JP2010116594A - 曲げ性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板 - Google Patents

曲げ性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板 Download PDF

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Abstract

【課題】成形条件がより厳しくなった場合にでも、ヘム加工性を含む曲げ加工性に優れた6000系アルミニウム合金板を提供することを目的とする。
【解決手段】特定組成のAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、これまでは着目されなかった晶出物の相形態であるα相に着目し、第2相粒子(不溶性化合物)をX線回折法により測定して判別されるα相として、元々組織中に存在するβ相晶出物に対する存在割合を増して、第2相粒子を微細化、球状化させ、曲げ加工性を向上させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、曲げ性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板に関するものである。本発明で言うアルミニウム合金板とは、熱間圧延板や冷間圧延板であって、これら圧延上がりままの状態である(非調質)か、焼鈍などの調質されたアルミニウム合金板を言う。また、以下、アルミニウムをAlとも言う。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、成形性や焼付硬化性に優れた、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。
この内、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル( 内板) 等のパネルには、薄肉でかつ高強度アルミニウム合金板として、過剰Si型などのAl−Mg−Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に6000系と言う) のアルミニウム合金板の使用が検討されている。
6000系アルミニウム合金板は、Si、Mgを必須として含み、特に過剰Si型の6000系アルミニウム合金は、これらSi/Mgが質量比で1以上である組成を有し、優れた時効硬化能を有している。このため、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効( 硬化) 処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、パネルとしての必要な強度を確保できるBH性 (ベークハード性、人工時効硬化能、塗装焼付硬化性) がある。
また、6000系アルミニウム合金板は、Mg量などの合金量が多い他の5000系アルミニウム合金などに比して、合金元素量が比較的少ない。このため、これら6000系アルミニウム合金板のスクラップを、アルミニウム合金溶解材 (溶解原料) として再利用する際に、元の6000系アルミニウム合金鋳塊が得やすく、リサイクル性にも優れている。
一方、自動車のアウタパネルは、周知の通り、アルミニウム合金板に対し、プレス成形における張出成形時や曲げ成形などの成形加工が複合して行われて製作される。例えば、フードやドアなどの大型のアウタパネルでは、張出などのプレス成形によって、アウタパネルとしての成形品形状となされ、次いで、このアウタパネル周縁部のフラットヘムなどのヘム (ヘミング) 加工によって、インナパネルとの接合が行われ、パネル構造体とされる。
一方、前記自動車などのアウタパネルでは、アルミニウム合金板を張出や絞りあるいはトリム等のプレス成形してアウタパネル化した後、アウタパネルの縁を折り曲げて(180度折り返して) インナパネルの縁との接合を行う、ヘム( ヘミングの別称) 加工と呼ばれる厳しい曲げ加工が複合して施される。また、インナパネルでは深絞り等の厳しいプレス成形が複合して施される。
そして、前記自動車パネルの内、外板 (アウタパネル) では、上記プレス成形の後に、内板 (インナパネル) と接合してパネル構造体とするために、加工条件の厳しいフラットヘム加工と呼ばれる180 °曲げ加工等の厳しい曲げ成形が複合して施される。このフラットヘム加工は、アウタパネルの縁を折り曲げて (180 度折り返して) インナパネルの縁との接合を行うヘム (ヘミングの別称) 加工と呼ばれる厳しい曲げ加工である。
しかしながら、6000系アルミニウム合金は、前記した優れた特性を有する反面で、冷延鋼板に比して、特に、曲げ性(曲げ加工性)が劣るという問題を有している。このため、特に上記アウタパネルのフラットヘム加工において、形成されるフラットヘムの縁曲部 (ヘム部、折り曲げ部) に、比較的大きな割れ等の不良が生じ易くなる。
これら6000系アルミニウム合金板の、前記ヘム加工性を含む曲げ加工性向上のために、従来から、溶体化および焼入れ処理などの調質処理後に形成されるMg-Si クラスターなどのミクロ組織を制御する等の冶金的な改善が行なわれている。しかし、これら冶金的な改善は、一方では、前記BH性を低下させることにも繋がるため、曲げ加工性向上には限界がある。また、6000系アルミニウム合金板の集合組織を制御して(異方性を持たせて)、板の曲げ加工性を改善する方法も種々提案されている。しかし、これの方法もプレス成形性が低下するなどの犠牲を伴うために、やはり曲げ加工性の向上には限界がある。
これに対して、6000系アルミニウム合金板組織中の晶出物(第2相粒子)に注目して、これら晶出物の存在形態を制御して、曲げ加工性を改善する方法も提案されている(特許文献1、2、3)。
これらは、6000系アルミニウム合金板組織中のFe、Si系化合物あるいはFe、Si、Cu系化合物(Cuを含有する場合)からなる晶出物(不溶性化合物)が、曲げ加工性やヘム加工性あるいは靱性なども低下させているとの認識に基づく。即ち、6000系アルミニウム合金板の製造過程において、これらの晶出物が主として鋳塊の均熱工程などで生成し、生成した晶出物が、更に熱間圧延や冷間圧延によって、加工方向である圧延方向に延伸されて、組織中に連なって存在するようになる。そして、6000系アルミニウム合金板が曲げ加工された際に、鋭い切り欠きとして働き、ヘム加工性を含む曲げ加工性やプレス成形性あるいは靱性なども低下させているものである。
特開平9−263869号公報 特開平11−71623号公報 特開2001−262264号公報
このような認識に基づき、前記特許文献1では、晶出物のサイズを規定し、晶出物を微細化することで靱性を改善しようとしている。しかし、この特許文献1のような単なる晶出物の微細化では、曲げ加工性改善の十分な効果が得られていない。
また、前記特許文献2では、板の圧延方向断面で見られる最大径が10μm以上である前記晶出物の個数を300個/mm2 以下とし、かつ、最大径と最小径との比(最大径/最小径)が3.5以上である前記晶出物の個数を100個/mm2 以下と規定して、晶出物を微細化および球状化している。
更に、前記特許文献3では、前記晶出物の最大粒子径を5μm 以下とし、最大アスペクト比を5以下とし、特許文献2と同様に、晶出物を微細化および球状化し、かつ平均結晶粒径を30μm 以下としている。
しかし、これらの晶出物の微細化および球状化でも、加工条件が厳しくなった曲げ加工やヘム加工では、曲げ加工性改善の十分な効果が得られていない。
本発明は、かかる問題に鑑みなされたもので、ヘム加工性を含む曲げ加工性に優れた6000系アルミニウム合金板(Al−Mg−Si系アルミニウム合金板)を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明6000系アルミニウム合金板の要旨は、質量%で、Mg:0.3〜1.5%、Si:0.5〜1.5%を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、第2相粒子の平均粒径が2.0μm 以下、平均アスペクト比が1.0以上、1.7以下であり、かつ、この第2相粒子をX線回折法により測定した際のα相とβ相の各X線強度ピーク値の合計に対する前記α相のX線強度ピーク値の割合が0.2以上であることとする。
本発明で言う第2相粒子とは、製造された6000系アルミニウム合金板組織中のFe、Si系化合物(但し、Cu、Mnなどの遷移元素を含有する場合には、これらの元素を含む場合もある)からなる不溶性化合物のことを言う。これらの第2相粒子は、鋳塊鋳造時、鋳塊均熱処理時などに主として生成する晶出物や、熱延時、溶体化・焼入れ処理時、調質処理時などに主として生成する析出物などからなる。これに対して、本発明で問題とする前記α相とβ相との形態や割合は、前記晶出物のα相とβ相との形態や割合である。前記平均粒径や前記平均アスペクト比の規定なども、主たる対象としているのは、同様に、前記晶出物である。
ただ、本発明の、前記X線回折法によるα相とβ相の各X線強度ピーク値の合計に対する前記α相のX線強度ピーク値の割合規定では、現実的な測定方法として、板組織中のFe、Siのいずれか1種以上を含む第2相粒子である、不溶性化合物全体を測定対象としている。これは、前記平均粒径や前記平均アスペクト比の規定などでも同様である。即ち、これらの測定では、前記晶出物だけに限らず、前記析出物も含めて、互いに区分けをせずに、板組織中の不溶性化合物全体を測定の対象としている。したがって、本発明の前記要旨では、前記平均粒径や前記平均アスペクト比の規定などと同様に、前記X線回折法によるα相とβ相の各X線強度ピーク値の合計に対する前記α相のX線強度ピーク値の割合の規定を、晶出物ではなく、第2相粒子にて規定している。なお、以下の説明では、この第2相粒子に対し、分かりやすく晶出物という言い方も使う。また、前記した、X線回折法によるα相とβ相の各X線強度ピーク値の合計に対する前記α相のX線強度ピーク値の割合を、単に「α相の割合」とも言う。
ここで、前記Al−Mg−Si系アルミニウム合金板が、質量%で、更に、Fe:0.1〜1.0%、Mn:0.03〜1.0%、Cr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%、V:0.01〜0.3%、Ti:0.001〜0.1%、Cu:0.1〜1.0%、Ag:0.01〜0.2%、Zn:0.1〜1.0%、Sn:0.01〜0.2%の内の、一種また二種以上を含有することを許容する。
本発明者は、前記従来技術における、晶出物の微細化および球状化制御が、加工条件が厳しくなったヘム加工を含む曲げ加工に対して、なぜ、曲げ加工性改善の十分な効果が得られていないのか検討した。
この結果、6000系アルミニウム合金板組織中のFe、Si系化合物からなる晶出物には、大きく分けて二つの相、α相とβ相とがあることを知見した。そして、前記晶出物がα相であるか、β相であるかによって、晶出物の形態(アスペクト比)が大きく異なり、ヘム加工を含む曲げ加工時の鋭い切り欠きとして、曲げ加工性を低下させる因子として働くか否かの作用が大きく異なることを知見した。
後述する通り、晶出物がα相となっているか、β相となっているかの相形態は、X線回折法により明確に(正確に)同定、区別して、定量化することができる。そして、面心立方構造(hcp)であるα相晶出物は、体心立方構造(bcc)であるβ相に比して、より微細化と球状化とが進んだ形態をしている。したがって、晶出物がα相化した場合、言い換えると、晶出物のうちのα相晶出物の割合が多いほど、曲げ加工時の鋭い切り欠きとして、曲げ加工性を低下させる因子として働くことが無くなり、ヘム加工性を含む曲げ加工性が向上する。
しかし、特に均熱処理条件など、通常の6000系アルミニウム合金板の製造方法では、β相化した晶出物の方が優先的に生成し、これが最終製造過程まで維持されるために、通常の6000系アルミニウム合金板では、存在する晶出物は殆どβ相化した晶出物となっている。このため、前記した従来技術のように、晶出物を微細化および球状化しても、「微細化および球状化」されているのは、殆どβ相化した晶出物であり、前記曲げ加工性向上に効果的な「微細化および球状化」とは言い難かったものである。
例えば、前記した従来技術では、晶出物の最大粒子径(最大径)や、最大アスペクト比など、晶出物の「微細化および球状化」を最大値にて規定している。しかし、これら最大値にて規定した場合、確かに、粗大な晶出物は減少するものの、存在する晶出物全体が十分に「微細化および球状化」されているとは言い難い。したがって、晶出物の「微細化および球状化」の、厳しい条件での前記曲げ加工性向上に対する寄与は小さくならざるを得なかった。
事実、前記した特許文献3では、晶出物の微細化、アスペクト比の低減のために、鋳造時の冷却速度を5℃/sec 以上に速くしたりする鋳塊組織制御と圧延条件の制御によって、5μm 超などの粗大な晶出物を排除している。確かに、これらの工程の制御によって粗大な晶出物自体は無くすことができる。
しかし、晶出物がα相化するか、β相化するかの相形態は、後述する通り、特に均熱処理条件によって決まり、通常の均熱処理条件では、前記した通り、β相化した晶出物の方が優先的に生成する。即ち、従来の鋳造条件や圧延条件の制御によっては、α相かβ相かの晶出物の相形態を制御できない。したがって、従来技術では、前記した通り、必然的に、β相化した晶出物の方が優先的に生成してしまうこととなる。
これに対して、本発明では、6000系アルミニウム合金板に存在する晶出物のα相晶出物の割合を多くして、存在する晶出物全体を更に「微細化および球状化」させるため、前記厳しい条件での曲げ加工性が大きく向上する。これによって、本発明によれば、晶出物の存在を許容した上で、言い換えると、高強度やBH性、あるいはプレス成形性などの特性確保に必要な、Siなどの合金元素量を確保した上で、前記曲げ加工性を向上できる。例えば、晶出物の量自体を減らせば、前記曲げ加工性は向上するが、そのためにはSiなどの合金元素量を減らす必要があり、前記した6000系アルミニウム合金板の他の優れた特性が犠牲となる。
以下に、本発明の実施の形態につき、本発明6000系アルミニウム合金板の組織から、順に各要件ごとに具体的に説明する。
組織−晶出物の相形態:
図1、2に、6000系アルミニウム合金板の組織を、後述する実施例の通り、X線回折法(粉末X線回折法)により同定した際の、晶出物のX線強度ピークデータを示す。図1、2において、横軸2θ(単位:deg)の17deg近傍にある強度ピークが、体心立方構造(bcc)であるβ相晶出物特有の強度ピークであり、β相晶出物の存在を示している。また、図1の22deg近傍にある強度ピークが、面心立方構造(hcp)であるα相晶出物特有の強度ピークであり、α相晶出物の存在を示している。
図1は後述する実施例表3の発明例2であり、α相晶出物とβ相晶出物の強度ピークが両方存在し、α相とβ相とが混在する晶出物相からなり、後述する実施例表3の通り、前記α相の割合(X線回折法によるα相とβ相の各X線強度ピーク値の合計に対する前記α相のX線強度ピーク値の割合)が0.21である。また、図2が表3の比較例15であり、β相晶出物の強度ピークしか存在せず、β相晶出物のみの単相からなり、前記表3の通り、前記α相の割合が0.0である。
通常の均熱処理(均質化熱処理)条件では、均熱温度への昇温速度が遅い(それほど速くはない)。このため、過飽和したFe、Siが均熱温度への昇温途中の温度域で、体心立方構造(bcc)であるβ相化した晶出物として優先的に析出し、このβ相晶出物の状態が、溶体化・焼入れ処理などの調質処理を含めた、製造後の板まで維持される。
これに対して、特別に、均熱温度への昇温速度を速めれば、前記β相晶出物の析出を抑制できる。そして、更に、前記遷移元素の拡散速度が増大するよう、特別に均熱温度を高めた高温域において、晶出物を核とした析出を促進させれば、晶出物の面心立方構造(hcp)であるα相化、球状化が促進される。
このような特別な条件で均熱処理して析出させたα相晶出物は、晶出物の中でも、元々微細で、より球状化した晶出物である。具体的には、平均粒子径が1.4〜1.9μm程度の微細であり、また、平均アスペクト比も1.3〜1.7程度に球状化した第2相粒子(不溶性化合物)である。
これに対して、6000系アルミニウム合金板に通常存在するβ相晶出物は、元々粗大化しやすく、前記特許文献3のように、最大粒子径を5μm 以下とし、最大アスペクト比を5以下として、粗大なβ相晶出物を除外したとしても、前記α相晶出物ほどには、微細化あるいは球状化はしない。粗大なβ相晶出物を除外した場合、具体的には、平均粒子径が2.0〜2.6μm程度であり、また、球状化させても平均アスペクト比が1.7〜2.1程度である。
これらの数値同士の対比では、あまり差が無いようであるが、これらの数値は、前記した晶出物の最大粒子径(最大径)や最大アスペクト比規定など、粗大な晶出物を減少させた上での、存在する晶出物全体のレベルを示している。即ち、本発明のように、α相晶出物の割合を増せば、6000系アルミニウム合金板組織中に存在する晶出物、ひいては前記した第2相粒子(不溶性化合物)全体のレベルが「微細化および球状化」されることとなる。
このため、前記より厳しい加工条件における曲げ加工性には、この晶出物全体、ひいては第2相粒子(不溶性化合物)全体のレベルがより効いてくるものと推考される。前記した従来技術のβ相晶出物の「微細化および球状化」が、より厳しい加工条件における曲げ加工性向上に効果的な「微細化および球状化」とは言い難かったのはこの理由による。
組織−α相晶出物の割合:
なお、前記均熱処理条件を変えても(昇温速度を速めても)、製造された6000系アルミニウム合金板組織中の晶出物を全てα相化できるわけではなく、実際の均熱処理工程では、幾ら昇温速度を速めても、前記昇温過程でのβ相化した晶出物の析出は必然的に生じる。また、鋳造時に生成する晶出物も殆どがβ相である。したがって、本発明6000系アルミニウム合金板組織中においても、β相晶出物が実質量存在し、量的にはα相晶出物よりも多い場合も当然ある。
したがって、より厳しい加工条件におけるヘム加工性を含む曲げ加工性の向上に重要な点は、このβ相化した晶出物の割合を少しでも減らして、逆に、α相化した晶出物の、β相晶出物に対する割合を少しでも多くすることである。そして、これによって、6000系アルミニウム合金板組織中に存在する晶出物全体、ひいては前記第2相粒子(不溶性化合物)全体のレベルをより「微細化および球状化」させる。
このために、本発明では、6000系アルミニウム合金板組織中に存在する前記第2相粒子をX線回折法により測定した際の、α相とβ相の各X線強度ピーク値の合計に対する前記α相のX線強度ピーク値の割合(前記α相の割合)を0.2以上、1.0以下と規定する。
α相晶出物のX線強度ピークは、前記図1の横軸2θ(単位:deg)の22deg近傍にある強度ピークの、縦軸の強度(cps)の大きさ(高さ)で表される。また、β相晶出物のX線強度ピークは、前記図2の横軸2θ(単位:deg)の17deg近傍にある強度ピークの、縦軸の強度(cps)の大きさ(高さ)で表される。したがって、これらのX線強度ピーク(値)を用いて行う計算「α相晶出物の22deg近傍のX線強度ピーク値/(α相晶出物の22deg近傍のX線強度ピーク値+β相晶出物の17deg近傍のX線強度ピーク値)」がα相とβ相の各X線強度ピーク値の合計に対する前記α相のX線強度ピーク値の割合(前記α相の割合)となる。
このα相の割合が0.2未満では、β相晶出物に対してα相晶出物が絶対量としても少なすぎ、従来の6000系アルミニウム合金板と大差なくなる。したがって、6000系アルミニウム合金板組織中に存在する晶出物全体、ひいては前記第2相粒子(不溶性化合物)全体のレベルをより「微細化および球状化」させることができず、これら晶出物を含む、前記した第2相粒子(不溶性化合物)の平均粒径を2.0μm 以下、平均アスペクト比を1.0以上、1.7以下とできない。したがって、より厳しい加工条件における曲げ加工性を向上させることができない。
一方、このα相の割合の上限は、割合ゆえに必然的に1.0となり、β相晶出物が無い、α相晶出物だけの相を意味する。したがって、本発明における、このX線強度ピーク値によるα相の割合は、より正確には0.2〜1.0の範囲となる。ただ、実際の6000系アルミニウム合金板の製造では、前記した通り、あるいは後述する通り、β相晶出物が必然的に生成するため、上限である1.0に近い数値とはなっても、1.0とはなりにくい。
組織−第2相粒子のサイズと形態:
本発明では、これら晶出物を含む、前記第2相粒子(不溶性化合物)の平均粒径(平均粒子径とも言う)が2.0μm 以下、平均アスペクト比が1.0以上、1.7以下と規定する。これは、粗大なβ相晶出物を除外するとともに、前記した通り、6000系アルミニウム合金板組織中に存在する前記第2相粒子全体のレベルをより「微細化および球状化」させ、より厳しい加工条件における曲げ加工性を向上させるためである。
前記第2相粒子の平均粒径が2.0μm を超えた場合、粗大なβ相晶出物など、粗大な第2相粒子が多くなり、平均アスペクト比も1.7以下と球状化できなくなる。このため、第2相粒子が破壊の起点となるため、6000系アルミニウム合金板の靱性、曲げ加工性を著しく劣化させる。
また、平均アスペクト比が1.7を超えた場合、前記第2相粒子の平均粒径が2.0μm 以下であっても、球状化した第2相粒子が少なくなる。これら球状化していない第2相粒子(β相晶出物など)は、平均粒径が小さくても、応力集中が生じやすく、破壊の起点になりやすいため、やはり靱性、曲げ加工性を著しく劣化させる。
組織−第2相粒子のサイズと形態:
これら第2相粒子は、組織の走査型電子顕微鏡による観察(1000〜10000倍)で確認でき、平均粒径や平均アスペクト比も測定できる。観察される不溶性化合物にFe、Siのいずれか1種以上を含むものを、本発明で規定する第2相粒子とする。不溶性化合物中に含まれるFe、Siの確認は、X線マイクロアナライザ(EPMA: Electron Probe Micro Analyzer)を用いて行う。
組成−6000系:
本発明6000系アルミニウム合金板の化学成分組成について、以下に説明する。本発明が対象とする自動車などの輸送機の車体用の6000系アルミニウム合金板には、前記した自動車の外板用の板などとして、ヘム加工性を含む曲げ加工性の他にも、優れたプレス成形性やBH性、強度、溶接性、耐食性などの諸特性が要求される。
このような要求を満足するために、アルミニウム合金板の組成は、質量%で、Mg:0.3〜1.5%、Si:0.5〜1.5%を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなるものとする。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
本発明は、リジングマークが生じやすいが、BH性がより優れた、SiとMgとの質量比Si/ Mgが1 以上であるような過剰Si型の6000系アルミニウム合金板に適用されて好ましい。6000系アルミニウム合金板は、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、必要な強度を確保できる優れた時効硬化能(BH性)を有している。この中でも、過剰Si型の6000系アルミニウム合金板は、質量比Si/ Mgが1未満の6000系アルミニウム合金板に比して、このBH性がより優れている。
前記Mg、Si以外のその他の元素は、基本的には不純物であり、AA乃至JIS 規格などに沿った各元素レベルの含有量 (許容量) とする。リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のアルミニウム合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として多量に使用した場合には、前記Mg、Si以外の元素も大抵の場合混入される。そして、これらの不純物元素を低減すること自体が製造コストアップとなり、ある程度の含有を許容することが必要となる。そして、実質量含有しても、本発明目的や効果を阻害しない含有範囲があり、また、この範囲で固有の含有効果がある元素もある。
したがって、このような下記元素を、各々以下に規定する量以下の範囲での含有を許容する。具体的には、前記6000系アルミニウム合金板が、上記した基本組成に加えて、更に、Fe、Mn、Cr、Zr、V、Ti、Cu、Ag、Zn、Snの一種また二種以上を含有することを許容する。
6000系アルミニウム合金における、各元素の好ましい含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に元素毎に説明する。
Si:0.5〜1.5%
SiはMgとともに、6000系アルミニウム合金板を固溶強化し、前記晶出物を生成する。また、塗装焼き付け処理などの前記低温での人工時効処理時に強度向上に寄与する時効析出物などを形成する時効硬化能を発揮して、自動車のアウタパネルとして必要な強度(耐力)を得るための必須の元素である。
パネルへの成形後の、より低温、短時間での塗装焼き付け処理での優れた低温時効硬化能を発揮させるためには、Si/ Mgを質量比で1.0以上とし、一般に言われる過剰Si型よりも更にSiをMgに対し過剰に含有させた6000系アルミニウム合金組成とすることが好ましい。
Si含有量が少なすぎると、前記時効硬化能、更には、各用途に要求される、プレス成形性などの諸特性を兼備することができない。さらに、熱延中または熱延終了後で再結晶が促進されて、粗大再結晶を生じたり、Cube方位が発達しやすくなり、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御することができなくなる。一方、Si含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、曲げ加工性を含めたプレス成形性が著しく阻害される。更に、溶接性も著しく阻害される。したがって、Siは0.5〜1.5%の範囲とする。
Mg:0.3〜1.5%
Mgは、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記人工時効処理時に、Siとともに強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとしての必要耐力を得るための必須の元素である。
Mg含有量が少なすぎると、絶対量が不足するため、人工時効処理時に前記化合物相を形成できず、時効硬化能を発揮できない。このためパネルとして必要な耐力が得られない。さらに、熱延で再結晶が促進されて、粗大再結晶を生じたり、Cube方位が発達しやすくなり、本発明の規定範囲内に結晶方位分布状態を均一に制御することができなくなる。
一方、Mg含有量が多すぎると、却って、プレス成形加工時にSSマーク(ストレッチャストレインマーク)が発生し易くなる。したがって、Mgの含有量は0.3〜1.5%の範囲で、Si/ Mgが質量比で1.0以上となるような量とする。
Fe、Mn、Cr、Zr、V、Ti、Cu、Ag、Zn、Snなどの元素は、基本的に不純物だが、強度向上に寄与する面もある。したがって、これらの元素は含まなくても良いが、前記した通り、これらの内の一種また二種以上を含む場合には、各々下記範囲で含有させる。
Fe:0.1〜1.0%、Mn:0.03〜1.0%、Cr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%、V:0.01〜0.3%、Ti:0.001〜0.1%、Cu:0.1〜1.0%、Ag:0.01〜0.2%、Zn:0.1〜1.0%、Sn:0.01〜0.2%。
ここで、これらの元素の各記載上限量は、これらの元素の多量の含有によって、靱性、ヘム加工性を含む曲げ加工性、プレス成形性、溶接性、耐食性などの諸特性が低下するが、これらの諸特性の低下を許容できる上限量である。また、記載している各下限量は、含有する場合に、これらの元素が強度向上効果を有する下限量である。なお、Fe、Mn、Cr、Zr、V、Tiは、少量の含有により、結晶粒を微細化させる作用がある。Mnには、少量の含有により、晶出物がα相になりやすくなる効果もある。また、Cu、Ag、Zn、Snは、少量の含有により、ベーキング時の時効硬化速度を速め、時効による析出物形成を促進させる作用がある。
製造方法:
次ぎに、本発明アルミニウム合金板の製造方法について以下に説明する。本発明アルミニウム合金板は、製造工程自体は、均熱処理条件などを除いて、常法で可能であり、上記6000系成分組成のアルミニウム合金鋳塊を鋳造後に均熱処理(均質化熱処理)し、熱間圧延、冷間圧延が施されて所定の板厚とされ、更に溶体化焼入れなどの調質処理が施されて製造される。
(溶解、鋳造冷却速度)
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
なお、前記特許文献2は、凝固時に晶出する金属間化合物(晶出物)の微細分散、球状化のために、晶出核となる、Na、Sr、Sb、Ca、Te、Ba、Li、K、Bi、P、As、Seなどの元素を、鋳造凝固時に0.005〜0.3重量%添加する特別な方法をとっている。しかし、本発明では、晶出物の微細分散や球状化のために、前記特許文献2のような鋳造時の元素添加は不要であり、また、添加などはしない。これらの元素の添加は、生成する晶出物がα相かβ相かの形態には殆ど影響しない。即ち、これらの元素を鋳造時に添加しても、生成する晶出物は殆どがβ相である。また、前記晶出核となるNaなどの元素は、本発明が対象とする自動車車体用などとして要求される前記諸特性を阻害するとともに、脆化の原因となるなど、却って有害となるからである。
更に、前記した特許文献3では、晶出物の微細化、アスペクト比の低減のために、鋳造時の冷却速度を5℃/sec 以上好ましくは10℃/sec以上に速くして、粗大な晶出物を排除している。このために、鋳造時の冷却速度をそのようには速くできない通常のDC鋳造ではなく、双ロールなどの薄板連続鋳造方法によって、鋳塊を製造している。しかし、本発明では、製造の効率化のために薄板連続鋳造方法を採用しても良いが、効率晶出物の微細分散や球状化のために、前記特許文献2のような双ロールなどの薄板連続鋳造方法を用いることは不要である。鋳造時の冷却速度は、鋳塊の偏析や晶出物サイズや量のばらつきを抑えるためには、大きい方が好ましいが、生成する晶出物がα相かβ相かの形態には殆ど影響しない。即ち、鋳造時の冷却速度を速めても、生成する晶出物は殆どがβ相である。
(均質化熱処理)
これら特許文献2、3ともに記載されている通り、鋳造凝固後は、従来の一般的な板製造方法で、均熱処理、熱間圧延、冷間圧延および焼鈍によって圧延板としている。しかし、本発明では、晶出物の微細分散や球状化のための相形態の制御を均質化熱処理にて行う。均質化熱処理(均熱処理)は、熱間圧延に先立って、鋳造されたアルミニウム合金鋳塊組織の均質化、すなわち鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくすことを元々目的とする。このため、通常は、均熱処理温度まで、比較的ゆっくりと加熱され、500℃以上で融点未満、均質化時間は4時間以上の範囲から適宜選択される。
これに対して、本発明では、特別に、均熱温度への昇温速度を100℃/hrに高め、過飽和したFe、Si、Cuなどの遷移元素が昇温途中の温度域でβ相化した晶出物として優先的に析出するのを抑制する。そして、更に、前記遷移元素の拡散速度が増大するよう、550℃以上に、特別に均熱温度を高めた高温域において、好ましくは8時間(hr)以上保持する。これによって、晶出物を核とした析出を促進でき、面心立方構造(hcp)であるα相化した晶出物の析出が促進される。これによって、晶出物、ひいては第2相粒子の微細化、球状化が促進される。
したがって、この均熱処理条件によって、製造後の板の、第2相粒子の平均粒径が2.0μm 以下、平均アスペクト比が1.0以上、1.7以下であり、かつ、前記α相の割合が0.2以上という本発明組織形成が保証される。均熱温度への昇温速度が100℃/hr未満、均熱温度が550℃未満、均熱温度での保持時間が8時間未満では、本発明組織形成は難しくなる。
(熱間圧延)
均熱処理後、直ちに熱間圧延を行ってもよいが、均質化熱処理温度から冷却して熱間圧延の開始温度として、熱間圧延を開始しても良い。また、均質化熱処理後に、一旦室温まで冷却し、熱間圧延開始温度まで再加熱して、この再加熱温度で熱間圧延を開始しても良い。
熱間圧延は、圧延する板厚に応じて、鋳塊 (スラブ) の粗圧延工程と、粗圧延後の板厚が約40mm以下の板を約4mm以下の板厚まで圧延する仕上げ圧延工程とから構成される。これら粗圧延工程や仕上げ圧延工程では、リバース式あるいはタンデム式などの圧延機が適宜用いられる。粗圧延開始温度(熱間圧延開始温度)は、成分組成や鋳塊厚との関係で選択され、必ずしも特定されないが、高すぎると鋳塊の局部融解を生じ易く、低すぎると圧延荷重が過大となって圧延が困難となるため、340〜580℃の範囲とすることが好ましい。
熱間圧延の圧下率は、晶出物の平均アスペクト比や平均粒径を規定範囲内に制御するために重要となる。即ち、実際の板の製造では、前記した条件での均熱処理によっても、アスペクト比や粒径の大きな晶出物は生じやすい。このため、前記均熱処理の制御のみでは、特に晶出物の平均アスペクト比や平均粒径を規定範囲内に制御できなくなる可能性もある。したがって、晶出物の平均アスペクト比を規定範囲内に確実に制御するためには、粗圧延と仕上げ圧延との合計の圧下率を99%以上と大きくすることが好ましい。これによって、特にアスペクト比の大きな晶出物の、熱間圧延時の塑性変形による分断化と、それに伴う球状化と微細化とが促進され、晶出物の平均アスペクト比や平均粒径を規定範囲内に制御できやすくなる。
(熱延板の焼鈍)
この熱延板の冷間圧延前の焼鈍 (荒鈍) は必ずしも必要ではないが、リジングマークの抑制程度のバラツキを小さくするために、実施しても良い。
(冷間圧延)
冷間圧延では、上記熱延板を圧延して、所望の最終板厚の冷延板 (コイルも含む) に製作する。但し、結晶粒を微細化させるために、冷間圧延率は60%以上であることが望ましく、同様の目的で、冷間圧延パス間で中間焼鈍を行っても良い。
(溶体化および焼入れ処理)
冷間圧延後、溶体化焼入れ処理を行う。溶体化処理は500℃〜570で0〜10秒保持する条件で行い、その後10℃/秒以上の冷却速度で焼入れ処理を行うことが望ましい。溶体化処理後の焼入れ処理では、冷却速度が遅いと、粒界上にSi、MgSiなどが析出しやすくなり、プレス成形や曲げ加工時の割れの起点となり易く、これら成形性が低下する。この冷却速度を確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段や条件を各々選択して用い、冷却速度を10℃/秒以上の急冷とすることが好ましい。
板を通板しながら熱処理を行う連続熱処理炉を用いた、連続的溶体化焼入れ処理の場合には、前記予備時効の温度範囲で焼入れ処理を終了し、そのままの高温でコイルに巻き取るなどして行う。なお、コイルに巻き取る前に再加熱しても、巻き取り後に保温しても良い。また、常温までの焼入れ処理の後に、前記温度範囲に再加熱して高温で巻き取るなどしてもよい。
前記ベークハード性をより高めるため、この溶体化焼入れ処理の後に、直ちに予備時効処理を行ってもよい。この予備時効処理は70〜140℃の温度範囲に、1〜24時間の範囲で必要時間保持することが望ましい。この予備時効処理として、上記焼入れ処理の冷却終了温度を70〜140℃と高くした後に、直ちに再加熱乃至そのまま保持して行う。あるいは、溶体化処理後常温までの焼入れ処理の後に、10分以内に、直ちに70〜140℃に再加熱して行う。
更に、室温時効抑制のために、前記予備時効処理後に、時間的な遅滞無く、比較的低温での熱処理 (人工時効処理) を行っても良い。この他、用途や必要特性に応じて、更に高温の時効処理や安定化処理を行い、より高強度化などを図ることなども勿論可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
次に、本発明の実施例を説明する。表1に示す6000系アルミニウム合金を鋳造後、表2に示すように条件を変えて均熱処理および熱延し、更に、以下は共通の条件にて、冷延を行い、溶体化および焼入れ処理して製造した。なお、表1中の各元素の含有量の表示において、ブランク(空白)の表示は、検出限界以下であることを示す。
アルミニウム合金板のより具体的な製造条件は以下の通りである。溶解原料としてアルミニウム地金とともに6000系アルミニウム合金スクラップなども使用して、表1に示す各組成の6000系アルミニウム合金鋳塊をDC鋳造法により共通して溶製した。この鋳塊の均熱処理は、表2に示す昇温温度、均熱温度(到達温度)、保持時間の各条件とした。この均質化熱処理後、鋳塊を冷却し、または均熱温度によっては冷却せずに、共通して530〜540℃で熱延(粗圧延)を開始した。そして、表2に示すように、熱延圧下率(粗圧延と仕上げ圧延とを合わせた前記合計の圧下率)や各熱延板の厚みを変えて熱延し、熱間圧延板とした。
熱間圧延後のアルミニウム合金板を、各例とも共通して中間焼鈍(荒焼鈍)および冷間圧延パス間での中間焼鈍を施さずに、冷間圧延し、各例とも共通して厚さ1.0mmの冷延板とした。この各冷延板を、各例とも共通して連続式の熱処理設備で、表2に記載する条件で、540〜550℃の溶体化温度まで加熱して、直ちに(溶体化温度での保持時間は0秒)、室温まで水冷(平均冷却速度50℃/秒以上)する溶体化焼入れ処理を行った。また、各例とも共通して、この室温までの冷却後、直ちに、表2に記載する70〜95℃の温度まで再加熱して、この温度で共通して2時間保持する予備時効処理を行った。
これらT4調質処理後の各最終製品板から供試板 (ブランク) を切り出し、前記調質処理後15日の室温時効(室温放置)後の、各供試板の組織や特性を測定、評価した。これらの結果を表3に示す。なお、表1〜3の各例の番号は共通しており、各表における同じ番号は同じ例である。
第2相粒子の形態:
前記各供試板の平行断面において、第2相粒子の平均粒径(平均粒子径)、平均アスペクト比を、組織の5000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で、画像解析により測定した。測定は、各供試板の任意の5箇所について行い、これらを平均化した。なお、前記した通り、不溶性化合物中に含まれるFe、Siの確認をX線マイクロアナライザを用いて行い、観察される不溶性化合物にFe、Siのいずれか1種以上を含むものを、本発明で規定する第2相粒子とした。言い換えると、Fe、Siのいずれも含まない不溶性化合物は測定対象外とした。
第2相粒子の形態:
第2相粒子の相形態:
前記各供試板を抽出残渣法にて、晶出物を含む不溶性の化合物である第2相粒子を抽出し、抽出された第2相粒子粉末をX線回折する粉末X線回折法にて、晶出物のα相とβ相の各X線強度ピーク値の合計に対する前記α相のX線強度ピーク値の割合(前記α相の割合)を求めた。測定は、各供試板の任意の5箇所について行い、これらを平均化した。
抽出残渣法は次のように行った。先ず、分解フラスコにフェノールを入れて加熱した後、前記各供試板試料を分解フラスコに移し入れて加熱分解した。次に、ベンジルアルコールを加えた後、吸引ろ過してフィルター上の未溶解残渣を捕集した。捕集した残渣は、ベンジルアルコールとメタノールで洗浄し、X線回折測定用試料とした。なお、前記吸引ろ過にはメンブレンフィルター(捕集粒子径0.1μm、φ47mm)を用いた。
X線回折装置は、理学電気製X線回折装置RINT−1500を用い、Cuターゲット、モノクロメータを使用し、ターゲット出力は40kV−200mAで行った。X線回折チャートの測定は、測定角度(2θ)が10°〜100°まで行った。
そして、α相晶出物のX線強度ピークを、前記図1のように横軸の22deg近傍にある強度ピークの縦軸の強度(cps)の大きさより測定した。また、β相晶出物のX線強度ピークを、前記図2のように横軸の17deg近傍にある強度ピークの縦軸の強度(cps)の大きさより測定した。そして、これらのX線強度ピーク値を用いて行う計算「α相晶出物の22deg近傍のX線強度ピーク値/(α相晶出物の22deg近傍のX線強度ピーク値+β相晶出物の17deg近傍のX線強度ピーク値)」から、前記α相の割合を求めた。
As耐力:
前記各供試板から、板の圧延方向に平行な方向に、JISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温引張り試験を行った。室温引張り試験は、JISZ2241(1980)(金属材料引張り試験方法)に基づき、室温20℃で試験を行った。このときの試験片の採取方向は、圧延方向に平行な方向とした。また、クロスヘッド速度は、5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。この方法によって、0.2%耐力(MPa)を測定し、製造後の板の0.2%耐力であるAS耐力とした(N数=5の平均値)。
AB耐力:
前記各供試板の人工時効処理能を調査するため、人工時効硬化処理後の0.2%耐力であるAB耐力を測定した。前記各供試板について、板の製造後に室温時効(時間経過後)してから実際に使用されることを想定した100℃×10hrの促進時効処理(室温時効促進処理)を施した。その後、この板の圧延方向に平行な方向に、前記5号引張試験片を切り出し、自動車車体用にプレス成形された後で塗装焼き付け処理が施されることを模擬して、この引張試験片に5%の予歪みをあらかじめ与えた。そして、この後、この引張試験片に170℃×20分の条件にて人工時効硬化処理を行い、前記As耐力と同じ条件にて、この人工時効硬化処理後の0.2%耐力(MPa)を測定した(N数=5の平均値)。
曲げ加工性:
曲げ加工性は、前記各供試板から、長さ180mm、幅30mmの曲げ加工試験片を採取し、フラットヘム加工を模擬した曲げ試験を行って評価した。曲げ加工条件としては、自動車車体用にプレス成形された後でフラットヘム加工が施されることを模擬した厳しい曲げ試験条件とした。即ち、この引張試験片に10%の予歪みをあらかじめ与えた後、曲げ時の内側半径が0.5mmの条件での180°密着曲げ試験を行った。
曲げ加工性は、前記曲げ試験後の曲げ縁曲部の表面割れ発生程度を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
1:肌荒れ、微小な割れがない
2:肌荒れが発生しているものの微小なものを含めた割れはない
3:微小な割れが発生
4:大きな割れが発生
5:大きな割れが複数或いは多数発生
この評価で、ヘム加工性が良好と判断されるのは上記1〜2段階までで、3段階以下はヘム加工性が劣ると判断され、不合格となる。
表1、2に示す通り、各発明例1〜13は、本発明成分組成範囲内で、かつ、前記した好ましい条件範囲で均熱処理および熱間圧延を行なっている。このため、表3に示す通り、本発明で規定する組織を有する。即ち、第2相粒子の平均粒径が2.0μm 以下、平均アスペクト比が1.0以上、1.7以下であり、かつ、前記α相の割合が0.2以上、1.0以下である。このα相とβ相とのX線強度ピークについて、前記した通り、図1は表の発明例2であり、α相とβ相とが混在する晶出物相からなり、表3の通り、前記α相の割合が0.21である。また、図2が表の比較例15であり、β相晶出物のみの単相からなり、表3の通り、前記α相の割合が0.0である。
この結果、各発明例は、表3に示す通り、本発明アルミニウム合金板は、前記厳しい条件での曲げ試験においても、上記2段階以上の優れた曲げ加工性を有している。なお、確認の結果、各発明例は、張出成形試験による張出成形性では、前記した従来技術と同じレベルであった。
なお、表1において、発明例2〜13が、前記請求項2に対応する、Fe:0.1〜1.0%、Mn:0.03〜1.0%、Cr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%、V:0.01〜0.3%、Ti:0.001〜0.1%、Cu:0.1〜1.0%、Ag:0.01〜0.2%、Zn:0.1〜1.0%、Sn:0.01〜0.2%、の内の一種また二種以上を含有する組成となっている。
これに対して、比較例14〜21は、成分組成が本発明の範囲を外れるか、均熱処理条件が好ましい条件範囲を外れる。
比較例15はSi含有量が多すぎる。
比較例17はSi含有量が少な過ぎ、Fe含有量が多すぎる。
比較例20はMg含有量が多すぎる。
比較例14〜16、19は、鋳塊の均熱処理における昇温温度が昇温速度が100℃/hr未満と小さすぎる(遅すぎる)。
比較例18は、鋳塊の均熱処理における保持時間が8時間未満で短すぎる。
比較例14、15、16、21は、鋳塊の均熱処理における均熱温度(到達温度)が550℃未満で低すぎる。
比較例21は、熱延の合計の圧下率も99%未満と小さすぎる。
このため、各比較例は、表3に示す通り、共通して、本発明で規定する組織を有しておらず、曲げ加工性が著しく劣っている。例えば、均熱処理条件が好ましい条件範囲を外れる比較例14、16、18、19および熱延の圧下率も99%未満と小さすぎる比較例21は、第2相粒子の平均粒径、平均アスペクト比、前記α相の割合、のいずれかが外れており、曲げ加工性が著しく劣る。また、組成が外れた比較例17、20などはAS耐力やAB耐力なども劣っている。
したがって、以上の実施例の結果から、本発明における成分や組織の各要件の曲げ加工性に対する臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。また、好ましい製造条件の本発明組織を得るための臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。
Figure 2010116594
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本発明のAl−Mg−Si系Al合金板によれば、Mg、Si、Alのほか、所定量のFeあるいはさらにCuを本質的成分として含み、Fe,Si,Cu系化合物の最大粒子径、最大アスペクト比および平均結晶粒径を所定の値以下に制限したので、特性に悪影響を及ぼす有害な晶出物が残留せず、優れた靱性と曲げ性とを兼ね備えることができ、これらの特性が要求される、例えば自動車パネル等の素材として好適に使用することができる。また、本発明のAl合金板は、高純度のAl地金を用いることなく製造することができるので、製造コストを低減することができ、アルミ材料のリサイクルにも資することができる。
発明例アルミニウム合金板の組織をX線回折法により同定した際の、晶出物のX線強度ピークを示す説明図である。 比較例アルミニウム合金板の組織をX線回折法により同定した際の、晶出物のX線強度ピークを示す説明図である。

Claims (2)

  1. 質量%で、Mg:0.3〜1.5%、Si:0.5〜1.5%を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、第2相粒子の平均粒径が2.0μm 以下、平均アスペクト比が1.0以上、1.7以下であり、かつ、この第2相粒子をX線回折法により測定した際のα相とβ相の各X線強度ピーク値の合計に対する前記α相のX線強度ピーク値の割合が0.2以上であることを特徴とする曲げ性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板。
  2. 前記Al−Mg−Si系アルミニウム合金板が、質量%で、更に、Fe:0.1〜1.0%、Mn:0.03〜1.0%、Cr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%、V:0.01〜0.3%、Ti:0.001〜0.1%、Cu:0.1〜1.0%、Ag:0.01〜0.2%、Zn:0.1〜1.0%、Sn:0.01〜0.2%、の内の一種また二種以上を含有する請求項1に記載の曲げ性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板。
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