JP6810508B2 - 高強度アルミニウム合金板 - Google Patents

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Description

本発明はAl−Mg−Si系アルミニウム合金板に関するものである。本発明で言うアルミニウム合金板とは、熱間圧延板や冷間圧延板などの圧延板として、溶体化処理および焼入れ処理などの調質(T4)が施された後であって、使用される構造部材に成形される前のアルミニウム合金板を言う。また、以下の記載ではアルミニウムをアルミやAlとも言う。
近年、地球環境などへの配慮から、自動車等の車両の軽量化の社会的要求はますます高まってきている。かかる要求に答えるべく、自動車の材料として、鋼板等の鉄鋼材料にかえて、成形性や塗装焼付硬化性(ベークハード性、以下BH性とも言う)に優れた、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。
自動車のアウタパネル、インナパネルなどの大型パネル材用のアルミニウム合金板としては、代表的にはAl−Mg−Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に6000系とも言う) アルミニウム合金板が例示される。この6000系アルミニウム合金板は、Si、Mgを必須として含む組成を有し、成形時には低耐力(低強度)で成形性を確保し、成形後のパネルの塗装焼付処理などの人工時効(硬化) 処理時の加熱により耐力(強度)が向上し、必要な強度を確保できる、塗装焼付硬化性が優れている。
自動車車体の更なる軽量化のためには、自動車部材のうちでも、前記パネル材だけでなく、フレーム、ピラーなどの骨格材あるいは、バンパ補強材、ドアビームなどの補強材などの自動車構造部材にアルミニウム合金材料の適用を拡大することが望まれる。
これら自動車構造部材は、前記自動車パネルに比べて一層の高強度化が必要である。このため、前記自動車パネル材に使用されている6000系アルミニウム合金板を、これら骨格材あるいは補強材に適用するためには、更に高強度化する必要がある。
ただ、このような高強度化を、従来の6000系アルミニウム合金板の組成や製造条件を大きく変えることなく、また成形性など他の特性を阻害せずに、達成することは、そうたやすいことではない。
従来から、BH性など、前記パネル材としての6000系アルミニウム合金板の特性を向上させるための組織制御として、遷移元素系の分散粒子の大きさや数密度を制御することが、種々提案されている。
例えば、特許文献1では、前記パネル材として、0.5 μm 以上のサイズの分散粒子の平均個数密度を3000〜20000 個/mmとして、プレス成形性や曲げ加工性を向上させた6000系アルミニウム合金板が提案されている。
このアルミニウム合金板は、その実施例では、板の製造後(調質処理後)3カ月間( 9 0日間) の室温時効後の板を、2%のひずみ付与後170℃×20分の人工時効処理した後の0.2%耐力で、高いものでも205MPa程度の強度である。
また、特許文献2では、前記パネル材として、再結晶粒の平均結晶粒径を45μm以下に微細化させるために、分散粒子の平均径を0.02〜 0.8μmとするとともに、平均個数を1 個/ μ m3 以上とした、プレス成形性やヘム加工性に優れたアルミニウム合金板が提案されている。この特許文献2も、板の製造後(調質処理後)3カ月間 ( 9 0日間) の室温時効後の板を、深絞り成形後、180℃×20分の人工時効処理した後の0.2%耐力で、高いものでも205MPa程度の強度である。
特開2007−169740号公報 特許第3802695号公報
従来の6000系アルミニウム合金板における、遷移元素系分散粒子の大きさや個数密度の制御では、前記パネル材を用途としていることもあり、人工時効処理後の強度が、0.2%耐力で300MPa以上の高強度が要求される、前記骨格材あるいは補強材の用途には、強度が不足している。
これに対して、前記人工時効処理温度を例えば200℃程度に高温化して高強度化しようとしても、人工時効処理後の0.2%耐力で300MPa以上の高強度化はできない。 しかも、人工時効(硬化) 処理の温度には、処理効率や経費、焼き付けされた塗料の劣化、過時効による強度低下などからくる、限界や制約が当然あり、高温化できない事情もある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、前記自動車などの構造部材用として、従来の6000系アルミニウム合金板の組成や製造条件を大きく変えることなく、高強度化できる、6000系アルミニウム合金板を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明の高強度アルミニウム合金板の要旨は、質量%で、Mg:0.3〜1.5%、Si:0.3〜1.5%を各々含むとともに、遷移元素として、Mn:0.1〜0.8%、Zr:0.04〜0.20%、Cr:0.04〜0.20%、Sc:0.02〜0.1%ののうちの一種または二種以上を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板であって、この板の板厚中心部の組織として、平均結晶粒径が100μm以下であるとともに、5万倍の倍率のTEM―EDXにて測定された、遷移元素系分散粒子の平均円相当径が50〜300nmの範囲であり、かつ、円相当径が20〜400nmの範囲の遷移元素系分散粒子の平均数密度が5個/μm以上であることとする。
本発明では、従来のアルミニウム合金組成や製造条件を大きく変えないことを前提に、6000系アルミニウム合金板の組織中の遷移元素系分散粒子のBH性に与える影響につき、再検討した。
この結果、6000系アルミニウム合金板の組織中に、ナノメーターレベルの微細な遷移元素系分散粒子が実質量(実質個数)存在する場合に、BH性が格段に向上することを知見した。
これは、前記微細な遷移元素系分散粒子は、素材板を成形した構造部材の塗装焼付処理などの人工時効(硬化) 処理時の加熱による耐力(強度)を向上させるだけでなく、その前段における素材板の構造部材への成形時の加工硬化性も向上させるからである。
すなわち、前記微細な遷移元素系分散粒子は、素材板の成形時の加工硬化性(強度)の向上と、成形後の構造部材の人工時効処理による耐力(強度)向上との相乗効果により、BH性を向上させるという、特異な効果がある。
しかも、この微細な遷移元素系分散粒子は、素材板の構造部材への成形性を阻害しない。
このため、本発明は、6000系アルミニウム合金板の板厚中心部の平均結晶粒径を細かく(小さく)することを前提に、前記微細な遷移元素系分散粒子を実質量存在させ、その平均円相当径と平均数密度とを共に規定することで、従来のパネル材用途よりも高強度が要求される骨格材、補強材など、自動車構造部材用として、成形性を阻害せずに、高強度化できる。
以下に、本発明の実施の形態につき、要件ごとに具体的に説明する。
(化学成分組成)
先ず、本発明のAl−Mg−Si系(以下、6000系とも言う)アルミニウム合金板の化学成分組成について、以下に説明する。本発明では、前記骨格材あるいは補強材用として、従来の組成や製造条件を大きく変えることなく、高強度化する。
このような課題を組成の面から満たすために、6000系アルミニウム合金板の組成は、質量%で、Mg:0.3〜1.5%、Si:0.3〜1.5%を各々含むとともに、遷移元素として、Mn:0.1〜0.8%、Zr:0.04〜0.20%、Cr:0.04〜0.20%、Sc:0.02〜0.1%のうちの一種または二種以上を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものとする。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
上記6000系アルミニウム合金における、各元素の含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。
Mg:0.3〜1.5%
Mgは、Siとともに、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの人工時効処理時に、強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、自動車などの構造部材としての必要耐力を得るための必須の元素である。
Mg含有量が0.3%未満では強度が不足する。一方、Mg含有量が1.5%を超えると、冷間圧延時にせん断帯が形成されやすくなり、圧延時の割れの原因となる。従って、Mg含有量は0.3〜1.5%、好ましくは0.4〜1.2%の範囲とする。
Si:0.3〜1.5%
Siも、Mgとともに、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの人工時効処理時に、強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、自動車などの構造部材として必要な強度(耐力)を得るための必須の元素である。
Si含有量が0.3%未満では強度が不足する。一方、Si含有量が1.5%を超えると、粗大な化合物を形成し、延性を劣化させる。従って、Si含有量は0.3〜1.5%、好ましくは0.7〜1.4%の範囲とする。
Mn、Zr、Cr、Sc
Mn、Zr、Cr、Scの遷移元素は、本発明で規定する遷移元素系分散粒子を構成する主たる元素である。これらは鋳塊の段階や最終の板において、遷移元素系分散粒子を形成して、結晶粒を微細化して強度を向上させる。また、これら遷移元素系分散粒子は、本発明で規定する通り、ナノメーターレベルに微細化させると、人工時効処理の前段である、素材板の構造部材への成形時の加工硬化性も向上させ、成形後の構造部材の人工時効硬化能(BH性)の向上と合わせて、BH後の強度を著しく向上させる。
Mn、Zr、Cr、Scの含有量が少なすぎると、前記分散粒子の数密度が低下し、板の構造部材への成形時の加工硬化性や人工時効硬化能(BH性)が低下して、これによる耐力の増大量が低下し、前記相乗効果が小さくなり、人工時効処理後の強度が、構造部材に要求されるレベルには増加しない。
一方、Mn、Zr、Cr、Sc含有量が多すぎると、粗大な化合物を形成しやすくなり、破壊の起点になりやすく、却って延性や強度を劣化させる。
したがって、Mn:0.1〜0.8%、Zr:0.04〜0.20%、Cr:0.04〜0.20%、Sc:0.02〜0.1%のうちの一種または二種以上を含むものとする。
その他の元素
その他、本発明では、アルミニウム合金板の高強度化のために、Cu:0.5%以下(但し、0%を含まず)、Ag:0.01〜0.2%、Sn:0.001〜0.1%の1種または2種以上を含んでも良い。
因みに、これらの元素は、共通して板を高強度化させる効果があるので、高強度化の同効元素と見なせるが、その具体的な機構には、共通する部分も、異なる部分も勿論ある。 Cuは、固溶強化などにより強度を向上させる。Agは人工時効硬化能(BH性)を向上させるのに有用で、比較的低温短時間の人工時効処理の条件で、板組織の結晶粒内へのGPゾーンなどの化合物相の析出を促進させる効果がある。Snは原子空孔を捕獲することで、室温でのMgやSiの拡散を抑制し、室温における強度増加(室温時効)を抑制し、人工時効処理時に、捕獲していた空孔を放出し、MgやSiの拡散を促進し、BH性を高くする効果がある。
但し、これらの元素各々の含有量が大きすぎると、粗大な化合物を形成するなどして、板の製造が困難となり、強度や曲げ加工性、また、耐食性も低下する。特にCuは、含有量が多すぎると、曲げ加工性が著しく低下する。したがって、これらの元素を含有させる場合には、前記した各上限値以下の含有量とする。
不純物
この他のFe、V、Ti、B、Znなどは、鋳塊の溶解原料としてのスクラップなどから混入しやすい不可避的不純物であり、少ない方が好ましいが、溶解精錬の効率化もあり、JISなどの規格で許容している含有量とする。
(組織)
以上の6000系合金の化学成分組成とした上で、本発明では、この6000系アルミニウム合金板の組織を規定する。すなわち、この板の板厚中心部の平均結晶粒径を細かく(小さく)することを前提に、前記微細な遷移元素系分散粒子を実質量存在させ、その平均円相当径と平均数密度とを共に規定する。
これらの組織規定は、従来のアルミニウム合金組成や製造条件を大きく変えないこと、あるいは成形性を低下させないことを前提として、6000系アルミニウム合金板のBH性を向上させて高強度化を図るための、重要で必須の手段である。
平均結晶粒径:
板厚中心部における平均結晶粒径を細かく(小さく)することは、前記した微細な遷移元素系分散粒子の効果を発揮させる前提条件となる。すなわち、板厚中心部における結晶粒組織が、平均結晶粒径で100μm以下の微細な結晶粒組織となった場合に、前記微細な遷移元素系分散粒子の効果が初めて発揮される。板厚中心部における結晶粒組織が、平均結晶粒径で100μmを超える粗大な結晶粒組織となった場合は、前記微細な遷移元素系分散粒子の効果は半減あるいは減殺される。その意味で、結晶粒の微細化は、微細な遷移元素系分散粒子の効果発揮を保証する前提条件と言える。
本発明でいう結晶粒径とは、板の圧延方向の縦断面(圧延方向に沿って切断した板の断面)における、板厚中心部の圧延方向の結晶粒径である。この平均結晶粒径の測定は、圧延方向でのラインインターセプト法により評価する。すなわち、構造部材への成形前のT4調質した板から、前記縦断面の板厚中心部の試料を採取して、試料表面を機械研磨した後、テトラフルオロほう酸: 水=5:400の溶液中で、電圧30V、溶液温度20〜30℃ 、時間60〜90秒で電解エッチングする。そして、偏光板を使用した50倍の光学顕微鏡により、板の材質のバラツキを考慮するため板厚中心部の任意の測定箇所10視野(1視野当たり5本で、1本当たりのライン長は500μm)の目視観察によって行う。
遷移元素系分散粒子:
以上の平均結晶粒径を前提として、板の板厚中心部の組織として、5万倍の倍率のTEM―EDXにて測定された、遷移元素系分散粒子の平均円相当径が50〜300nmの範囲であり、かつ、円相当径が20〜400nmの範囲の遷移元素系分散粒子の平均数密度が5個/μm以上とする。
人工時効処理前の6000系アルミニウム合金板の組織中に、遷移元素系分散粒子の平均円相当径を50〜300nmの範囲とし、かつ、20〜400nmの範囲の円相当径を有する微細な遷移元素系分散粒子が、平均数密度で5個/μm以上と、できるだけ多く存在する場合に(多く存在するほど)、BH性が格段に向上する。
これらの遷移元素系分散粒子がBH性を向上させる機構は未だ不明であるものの、予ひずみ付与時の加工硬化特性の向上や、予ひずみ付与によって導入された転位の、焼き付け塗装処理相当の熱処理時の回復抑制に対して、前記サイズや数密度の遷移元素系分散粒子が特に寄与するものと推測される。しかも、このような微細な遷移元素系分散粒子は、素材板の構造部材への成形性を阻害しないという優れた効果も有する。
前記平均円相当径を有する遷移元素系分散粒子、あるいは前記範囲の円相当径を有する遷移元素系分散粒子は、人工時効処理時の加熱による耐力(強度)を向上させるだけでなく、その前段における素材板の自動車構造部材への成形時の加工硬化性も向上させる。これによって、前記微細な遷移元素系分散粒子は、素材板の自動車構造部材への成形時の加工硬化性の向上と、成形後の自動車構造部材の人工時効硬化能の向上との相乗効果により、BH性を著しく向上させる。
遷移元素系分散粒子の平均円相当径が50nm未満と小さくなっても、また、逆に300nmを超えて粗大化しても、前記BH後の強度向上の相乗効果は発揮されないか、小さくなる。
また、20〜400nmの範囲の円相当径を有する微細な遷移元素系分散粒子の平均数密度が5個/μm未満でも、前記微細な遷移元素系分散粒子の数が少なすぎて、前記相乗効果が発揮されない。本発明では、大きさ(円相当径)は問わずに、前記5万倍の倍率のTEM―EDXにて測定可能な遷移元素系分散粒子の平均数密度を規定しているものではない。
なお、製造の限界からすると、前記20〜400nmの範囲の円相当径を有する微細な遷移元素系分散粒子の平均数密度の上限は100個/μm程度である。
このような微細な遷移元素系分散粒子の平均数密度が少なくなるのは、構成する遷移元素含有量が不足することが原因となる。ただ、この他に、構成する遷移元素含有量の含有量が適切でも、板の製法の問題から、生成した遷移元素系分散粒子が成長できずに、50nmの円相当径を有さないほど小さすぎる(細かすぎる)か、あるいは逆に、400nmを超えて粗大化しすぎるなどの可能性もある。
遷移元素系分散粒子の測定:
本発明で規定する前記20〜400nmの範囲の円相当径を有する微細な遷移元素系分散粒子の平均数密度(個/μm)は、この分散粒子を同定(識別)するためのEDX(エネルギー分散型X線分光法)機能を持つ、5万倍の倍率のTEM(透過型電子顕微鏡:FE−TEM)によって測定する。
測定対象となる板は、熱間圧延板や冷間圧延板などの圧延板であって、溶体化処理および焼入れ処理などの調質が施された後(T4材)であって、加工硬化性も問題となるので、使用される構造部材に曲げ加工などの成形加工される前のアルミニウム合金板とする。
具体的な測定方法は、前記成形前のT4材から、板厚中心部の試料を採取して、TEM用の薄膜試料を作成した上で、5万倍の倍率のTEMにより撮影した、板厚中心部の組織写真を画像処理し、測定視野内(観察視野の合計面積が4μm以上)の同定(識別)可能および円相当径が測定可能な、遷移元素系分散粒子の円相当径を各々全て測定する。
そして、遷移元素系分散粒子の平均円相当径を測定するとともに、20〜400nmの範囲の円相当径を有する遷移元素系分散粒子の平均数密度(個/μm)を測定する。
ここで、前記平均円相当径や平均数密度の測定は、任意の板厚中心部から採取した10個の試料につき行い、これらを平均化し、20〜400nmの範囲の円相当径を有する遷移元素系分散粒子の平均数密度(個/μm)とする。
本発明で言う遷移元素系分散粒子は、TEMにより観察された板厚中心部の視野を、X線分光装置(EDX) により分析することにより、Mn、Cr、Zr、Scの一種または二種以上を含む遷移元素系分散粒子(析出物)と同定され、これら遷移元素を含まない他の析出物(分散粒子)と識別される。この識別に際して、Mn、Cr、Zr、Scの一種または二種以上を含む量は、前記EDX により検出できる量 (微量)であればよいものとし、前記視野内の析出物からMn、Cr、Zr、Scの一種または二種以上を、前記EDXにより検出できれば、その量によらず、本発明で言う遷移元素系分散粒子とする。
ここで、円相当径とは、前記EDXにより、Mn、Cr、Zr、Scの一種または二種以上を含む遷移元素系分散粒子であると同定した(同定できた)分散粒子を画像処理して、前記TEM視野内の個々の遷移元素系分散粒子の面積を算出し、その同一面積の円に換算した場合の直径(等価な円径)に換算したもの(円等価直径)である。
(製造方法)
次ぎに、本発明アルミニウム合金板の製造方法について以下に説明する。本発明アルミニウム合金板は、製造工程自体は常法あるいは公知の方法であり、上記6000系成分組成のアルミニウム合金鋳塊を鋳造後に均質化熱処理し、熱間圧延、冷間圧延が施されて所定の板厚とされ、更に溶体化焼入れ処理などの調質処理が施されて製造される。
但し、これらの製造工程中で、本発明の規定する組織(遷移元素系分散粒子の平均数密度と平均結晶粒径)を得るためには、後述する通り、好ましい製造条件がある。
(溶解、鋳造冷却速度)
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
(均質化熱処理)
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊に、熱間圧延に先立って、均質化熱処理を施す。この均質化熱処理(均熱処理)は、通常の目的である、組織の均質化(鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくす)の他に、遷移元素系分散粒子をナノメーターレベルに微細化させる、言い換えると、粗大化させないことが重要となる。
このため、均熱条件は1回の均熱処理でも、2回均熱或いは2段均熱のいずれでも良いが、その昇温、冷却過程の制御が必要となる。
2回均熱とは、1回目の均熱後に、一旦室温を含む200℃以下の温度まで冷却し、更に、再加熱し、その温度で一定時間維持した後に、熱延を開始する。これに対して、2段均熱とは、1回目の均熱後に冷却はするものの、200℃以下までは冷却せず、より高温で冷却を停止した上で、その温度で維持した後に、そのままの温度か、より高温に再加熱した上で熱延を開始する。
1回均熱、あるいは2回均熱における1回目、あるいは2段均熱における1段目の均熱条件は、500℃以上、融点未満の温度範囲で、遷移元素系分散粒子の粗大化を抑制し、規定するサイズや数密度に制御するために、1分以上、1時間以下の保持時間の範囲から適宜選択される。
これら1回均熱、あるいは2回均熱における1回目、あるいは2段均熱における1段目の均熱時の昇温速度は100℃/hr以上の急速加熱とし、遷移元素系分散粒子を前記ナノメーターレベルにできるだけ微細に析出させるために、昇温速度を速くすることが好ましい。昇温速度が100℃/hr未満と遅いと、遷移元素系分散粒子が粗大化して、前記ナノメーターレベルにできるだけ微細に析出させることができなくなる可能性がある。
その一方で、2回均熱の1回目均熱後の冷却速度、2段均熱の1段目均熱後の冷却速度は、40℃/hr以下、好ましくは30℃/hr以下と、炉外での放冷でなく、炉内での放冷とするなど、常法に反して、冷却速度をできるだけ小さく(遅く)することが好ましい。
これによって、冷却中の前記ナノメーターレベルの微細な遷移元素系分散粒子の析出及び成長を促進し、規定するサイズや数密度に制御する。
また、1回均熱工程では、この1回均熱処理後の冷却速度も、前記した40℃/hr以下と、できるだけ小さく(遅く)することが好ましい。
2回目あるいは2段目の均熱条件は、熱延開始温度以上、500℃以下の温度範囲で30分以上の保持時間の範囲から選択し、1回目の均熱、冷却後の鋳塊を再加熱し、熱延開始温度まで冷却するか、あるいは熱延開始温度まで再加熱してその近傍で保持することが好ましい。また、1段目の均熱後の鋳塊を、熱延開始温度まで冷却して、その近傍で保持しても良い。これら2回目あるいは2段目の均熱温度は、1回目あるいは1段目の均熱温度よりも低温とする。また、1回均熱条件においても、均熱後の熱延開始温度までの時間を制御することで同様な効果が得られる。
また、これら2回目あるいは2段目の均熱温度への加熱や、均熱後の冷却速度は、前記した1回目あるいは1段目の均熱工程において所望の形態の遷移元素系分散粒子が形成されているため、以下に記す熱間圧延条件を満たす範疇であれば、特に昇温速度や冷却速度を同じ条件範囲にする必要はない。
(熱間圧延)
均質化熱処理を行った鋳塊の熱間圧延は、圧延する板厚に応じて、鋳塊 (スラブ) の粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とから構成される。これら粗圧延工程や仕上げ圧延工程では、リバース式あるいはタンデム式などの圧延機が適宜用いられる。
熱延開始温度としての熱間粗圧延の開始温度は、1回均熱工程では350℃以上、固相線温度以下、2回均熱工程では350℃以上、400℃以下とすることが好ましい。熱間粗圧延の開始温度が350℃未満では、いずれの均熱工程材でも熱延が困難となり、逆に400℃を超えた場合、2回均熱工程材では遷移元素系分散粒子が粗大に析出して、前記ナノメーターレベルにできるだけ微細に析出させることができない可能性が高くなる。また、1回均熱工程材に関しては、均熱時間を所定の時間範囲で行った後に、直ちに熱延を行うことで、遷移元素系分散粒子の粗大化を抑制し、所望の形態での遷移元素系分散粒子を維持したままで熱延を行うことができる。
このような熱間粗圧延後に、好ましくは、終了温度を300〜350℃の範囲とした熱間仕上圧延を行う。この熱間仕上圧延の終了温度が300℃未満と低すぎる場合には、圧延荷重が高くなって生産性が低下する。一方、加工組織を多く残さず再結晶組織とするために、熱間仕上圧延の終了温度を高くした場合、この温度が350℃を超えると、遷移元素系分散粒子が粗大に析出して、前記ナノメーターレベルにできるだけ微細に析出させることができない可能性が高くなる。
(熱延板の焼鈍)
この熱延板の冷間圧延前の焼鈍 (荒鈍) は必要ではないが、実施しても良い。
(冷間圧延)
冷間圧延では、上記熱延板を圧延して、所望の最終板厚の冷延板 (コイルも含む) に製作する。但し、結晶粒をより微細化させるためには、冷間圧延率は30%以上であることが望ましく、また前記荒鈍と同様の目的で、冷間圧延パス間で中間焼鈍を行っても良い。
(溶体化および焼入れ処理)
冷間圧延後、溶体化処理と、これに続く、室温までの焼入れ処理を行う。この溶体化焼入れ処理については、通常の連続熱処理ラインを用いてよい。ただ、Mg、Siなどの各元素の十分な固溶量を得るためには、550℃以上、溶融温度以下の温度で溶体化処理した後、室温までの平均冷却速度を20℃/秒以上とすることが好ましい。550℃より低い温度では、溶体化処理前に生成していたMg−Si系などの化合物の再固溶が不十分になって、固溶Mg量と固溶Si量が低下する。
また、平均冷却速度が20℃/秒未満の場合、冷却中に主にMg−Si系の析出物が生成して固溶Mg量と固溶Si量が低下し、やはりSiやMgの固溶量が確保できない可能性が高くなる。この冷却速度を確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段や条件を各々選択して用いる。
(予備時効処理:再加熱処理)
このような溶体化処理後に焼入れ処理して室温まで冷却した後、1時間以内に冷延板を予備時効処理(再加熱処理)することが好ましい。室温までの焼入れ処理終了後、予備時効処理開始(加熱開始)までの室温保持時間が長すぎると、室温時効により、SiリッチのMg−Siクラスタが生成してしまい、MgとSiのバランスが良いMg−Siクラスタを増加させことができにくくなる。したがって、この室温保持時間は短いほど良く、溶体化および焼入れ処理と再加熱処理とが、時間差が殆ど無いように連続していても良く、下限の時間は特に設定しない。
この予備時効処理は、60〜120℃での保持時間を5時間以上、40時間以下保持することが好ましい。これによって、MgとSiのバランスが良いMg−Siクラスタが形成される。
予備時効温度が60℃未満か、または保持時間が10時間未満であると、この予備時効処理をしない場合と同様となって、SiリッチのMg−Siクラスタを抑制し、前記MgとSiのバランスが良いMg−Siクラスタを増加させにくくなり、焼付塗装後の耐力が低くなりやすい。
一方、予備時効条件が120℃を超える、または、40時間を超えては、析出核の生成量が多すぎてしまい、焼付け塗装前の曲げ加工時の強度が高くなりすぎ、曲げ加工性が劣化しやすい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の実施例として、前記ナノメーターレベルの微細な遷移元素系分散粒子の平均数密度や平均結晶粒径が異なる6000系アルミニウム合金板を、組成や製造条件を変えて作り分けて製造した。そして、板製造後のBH性(塗装焼付け硬化性)を測定、評価した。これらの結果を表1、2、3に示す。
具体的な前記作り分け方は、表1に示す組成の6000系アルミニウム合金板を、表2、3に示すように、均熱条件や熱間粗圧延開始温度などの製造条件を種々変えて行った。ここで、表1中の各元素の含有量の表示において、各元素における数値をブランクとしている表示は、その含有量が検出限界以下(0%)であることを示す。
アルミニウム合金板の具体的な製造条件は以下の通りとした。表1に示す各組成のアルミニウム合金鋳塊を、DC鋳造法により共通して溶製した。続いて、鋳塊を、各例とも表2、3に示す、各々異なる条件にて均熱処理をした後、表2、3に示す、各々異なる温度にて熱間粗圧延を開始した。
そして、各例とも共通して、終了温度を300〜350℃の範囲とした熱間仕上圧延を行い、共通して厚さ4.0mmの熱延板とした。この熱延板を、各例とも共通して、熱延後の荒焼鈍や、冷延パス途中の中間焼鈍無しで、加工率50%の冷間圧延を行い、厚さ2.0mmの冷延板とした。
更に、この各冷延板を、各例とも共通した条件にて、熱処理設備で調質処理(T4)した。具体的には、溶体化処理を550℃×30分で行い、この際、前記溶体化処理温度までの平均加熱速度を10℃/秒とし、溶体化処理後は平均冷却速度を100℃/秒とした水冷を行うことで室温まで冷却した。また、この冷却直後に、直ちに予備時効処理を100℃で8時間保持する条件で行い、予備時効処理後は徐冷(放冷)した。
これら調質処理後2週間室温放置した後の各最終製品板から供試板 (ブランク) を切り出し、各供試板の、遷移元素系分散粒子の平均円相当径(nm)や、20〜400nmの範囲の円相当径を有する遷移元素系分散粒子の平均数密度(個/μm)、平均結晶粒径(μm)などの組織を、前記した測定方法により測定した。
また、各供試板のBH性を測定、評価した。これらの結果を表2、3に示す。
(BH性)
前記各供試板の、0.2%耐力(As耐力:T4材=成形とBH前の板の耐力)、2%のストレッチ後の0.2%耐力、2%のストレッチ後に人工時効硬化処理した後(BH後)の0.2%耐力を引張試験により各々求めた。
前記2%のストレッチは、素材板の構造部材への成形として曲げ加工を模擬したものであり、人工時効硬化処理(BH)は185℃×20分の条件とした。
表2、3には、前記As0.2%耐力、前記2%ストレッチ後の0.2%耐力の増加量、前記BH後0.2%耐力の順に示す。
前記引張試験は、前記各供試板から、各々JISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温にて引張り試験を行った。このときの試験片の引張り方向を圧延方向と平行方向とした。また、評点間距離50mmで、引張速度は5mm/分とし、試験片が破断するまで一定の速度で行った。機械的特性測定のN数は5とし、各々平均値で算出した。
表1、2に各々示す通り、各発明例1〜13は、本発明の成分組成範囲内で、かつ好ましい条件範囲で製造されている。このため、これら各発明例は、表2に示す通り、本発明で規定する通りの組織(遷移元素系分散粒子の平均円相当径、円相当径が20〜400nmの範囲の遷移元素系分散粒子の平均数密度、平均結晶粒径)を有している。
この結果、これら各発明例は、室温時効後であっても、表2に示す通り、BH後の0.2%耐力が高く、高強度である。すなわち、前記2%ストレッチ後の0.2%耐力の増加量が33MPa以上と高く、素材板の自動車構造部材への成形時の加工硬化性が向上していることが分かる。
そして、成形後の自動車構造部材の人工時効処理時の耐力(強度)の向上との相乗効果により、BH性が262MPa以上と著しく向上していることが分かる。
これに対して、表3の比較例14〜21は、表1の発明例と同じ合金例1、4を用いている。しかし、これら各比較例は、表3に示す通り、均熱条件、熱間粗圧延開始温度などの製造条件が、好ましい条件を外れている。
比較例14は、均熱温度が500℃未満で低すぎる。
比較例15、18、21は、均熱時の昇温速度が100℃/hr未満で遅すぎる。
比較例19は、均熱後の冷却速度が40℃/hrを超えて速すぎる。
比較例15、16、18は、2回均熱工程であるが、熱間粗圧延の開始温度が400℃を超えて高すぎる。
比較例17、20は、2回均熱工程であるが、熱間粗圧延の開始温度が350℃未満で低すぎる。
このため、これら比較例は、いずれも本発明で規定する組織から、円相当径が20〜400nmの範囲の遷移元素系分散粒子の平均数密度や平均結晶粒径が外れている。
この結果、同じ合金組成である発明例に比して、前記2%ストレッチ後の0.2%耐力の増加量が高くても30MPa程度と低く、BH時の耐力向上との相乗効果が発揮されず、室温時効後のBH性が高くても248MPa程度と劣っている。
表3の比較例22〜27は、好ましい条件範囲で製造しているものの、表1の合金組成が各々本発明範囲を外れている合金番号9〜14を用いている。
比較例22、23は表1の合金番号9、10のMn、Zr、Cr、Scの含有量が少なすぎる。
比較例24は表1の合金番号11のMgの含有量が少なすぎる。
比較例25は表1の合金番号12のMgの含有量が多すぎる。
比較例26は表1の合金番号13のSiの含有量が少なすぎる。
比較例27は表1の合金番号14のSiの含有量が多すぎる。
このため、これら比較例は、表3に示す通り、いずれも本発明で規定する組織から、円相当径が20〜400nmの範囲の遷移元素系分散粒子の平均数密度や平均結晶粒径などが外れている。
この結果、前記2%ストレッチ後の0.2%耐力の増加量が高くても30MPa程度と低く、BH時の耐力向上との相乗効果が発揮されず、室温時効後のBH性が高くても244MPa程度と劣っている。
したがって、以上の実施例の結果から、室温時効後でも、高強度化させるためには、本発明で規定する組成や組織を全て満たす必要性があることが裏付けられる。
Figure 0006810508
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本発明によれば、高強度化させた6000系アルミニウム合金板を提供できる。この結果、パネル材を除く、フレーム、ピラーなどの骨格材あるいは、バンパ補強材、ドアビームなどの補強材などの自動車構造部材として、6000系アルミニウム合金板の適用を拡大できる。

Claims (1)

  1. 質量%で、Mg:0.3〜1.5%、Si:0.3〜1.5%を各々含むとともに、遷移元素として、Mn:0.1〜0.8%、Zr:0.04〜0.20%、Cr:0.04〜0.20%、Sc:0.02〜0.1%のうちの一種または二種以上を含み、更に、Cu:0.5%以下(但し、0%を含まず)、Ag:0.01〜0.2%、Sn:0.001〜0.1%の1種または2種以上を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板であって、この板の板厚中心部の組織として、平均結晶粒径が100μm以下であるとともに、5万倍の倍率のTEM―EDXにて測定された、遷移元素系分散粒子の平均円相当径が50〜300nmの範囲であり、かつ、円相当径が20〜400nmの範囲の遷移元素系分散粒子の平均数密度が5.5個/μm以上であことを特徴とする高強度アルミニウム合金板。
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