JP2009242904A - 塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗装焼付け硬化性に優れ、1〜4ヶ月間程度の比較的長期に亙る室温時効を抑制したアルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】特定組成のAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、調質処理における予備時効処理の条件を適正化して、この合金板断面組織を100万倍の透過型電子顕微鏡によって分析した際に、明視野像にて暗色コントラストとして観察される、特定の大きさのクラスタ(原子の集合体)の数密度を多くして、塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板(以下、アルミニウムを単にAlとも言う)およびその製造方法に関する。本発明で言うアルミニウム合金板とは、圧延後に溶体化および焼入れ処理などの調質が施された後の板であって、プレス成形などによってパネルに成形加工される前の、成形用の素材板のことを言う。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、成形性や焼付硬化性に優れた、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。
この内、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル( 内板) 等のパネルには、薄肉でかつ高強度アルミニウム合金板として、過剰Si型などのAl−Mg−Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に6000系と言う) のアルミニウム合金板の使用が検討されている。
6000系アルミニウム合金板は、Si、Mgを必須として含み、特に過剰Si型の6000系アルミニウム合金は、これらSi/Mgが質量比で1以上である組成を有し、優れた時効硬化能を有している。このため、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効( 硬化) 処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、パネルとしての必要な強度を確保できるBH性 (ベークハード性、人工時効硬化能、塗装焼付硬化性) がある。
また、6000系アルミニウム合金板は、Mg量などの合金量が多い他の5000系アルミニウム合金などに比して、合金元素量が比較的少ない。このため、これら6000系アルミニウム合金板のスクラップを、アルミニウム合金溶解材 (溶解原料) として再利用する際に、元の6000系アルミニウム合金鋳塊が得やすく、リサイクル性にも優れている。
一方、自動車のアウタパネルは、周知の通り、アルミニウム合金板に対し、プレス成形における張出成形時や曲げ成形などの成形加工が複合して行われて製作される。例えば、フードやドアなどの大型のアウタパネルでは、張出などのプレス成形によって、アウタパネルとしての成形品形状となされ、次いで、このアウタパネル周縁部のフラットヘムなどのヘム (ヘミング) 加工によって、インナパネルとの接合が行われ、パネル構造体とされる。
ここで、6000系アルミニウム合金は、優れたBH性を有するという利点がある反面で、室温時効性を有し、溶体化焼入れ処理後、数ヶ月間の室温保持で、時効硬化して強度が増加することにより、パネルへの成形性、特に曲げ加工性が低下する課題があった。例えば、6000系アルミニウム合金板を自動車パネル用途に用いる場合、アルミメーカーで溶体化焼入れ処理された後(製造後)、自動車メーカーでパネルに成形加工されるまでに、通常は1〜4ヶ月間程度室温におかれ(室温放置され)、この間で、かなり時効硬化(室温時効)することとなる。特に、厳しい曲げ加工が入るアウタパネルにおいては、製造後1ヵ月経過後では、問題無く成形可能であっても、3ヶ月経過後では、ヘム加工時に割れが生じるなどの問題が有った。したがって、自動車パネル用、特にアウタパネル用の6000系アルミニウム合金板では、1〜4ヶ月間程度の比較的長期に亙る室温時効を抑制する必要がある。
更に、このような室温時効が大きい場合には、BH性が低下して、前記した成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効( 硬化) 処理時の加熱によっては、パネルとしての必要な強度までに、耐力が向上しなくなるという問題も生じる。
このため、従来から、6000系アルミニウム合金の焼付硬化性の向上および室温時効の抑制については、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1では、溶体化および焼入れ処理時に、冷却速度を段階的に変化させることにより、製造後の室温での経過7日後から90日後の強度変化を抑制する提案がなされている。また、特許文献2では、溶体化および焼入れ処理後、60分以内に、50〜150℃の温度に10〜300分保持することにより、焼付硬化性と形状凍結性を得る提案がなされている。
また、特許文献3には、溶体化および焼入れ処理の際に、1段目の冷却温度とその後の冷却速度を規定することで、焼付硬化性と形状凍結製を得る提案がなされている。更に、特許文献4には、溶体化焼入れ処理後、100〜150℃の温度に、0.5〜5時間保持する熱処理を施して、金属間化合物の体積率を0.01〜0.1%に制御することにより、成形性および焼付硬化性が向上することが示されている。
特開2000-160310号公報 特開平4-147951(特許3207413)号公報 特開平6-17208(特許2614686)号公報 特開平7-18390(特許3157068)号公報
しかし、特許文献1のように、焼入れ工程の急速冷却において、冷却速度を精度良く制御することは、特に連続熱処理ラインにおいては、実生産上非常に困難であり、実質的には所望の板を生産できない。また、特許文献2は、焼付硬化性と形状凍結性の効果につき、高々1ヵ月室温時効後の特性が開示されているのみであり、前記した、通常の1〜4ヶ月間程度の室温時効に対して有効であるか否かの開示は無く、不明である。更に、特許文献3も、焼付硬化性と形状凍結性の効果につき、高々1ヵ月室温時効後の特性が開示されているのみであり、前記した、通常の1〜4ヶ月間程度の室温時効に対して有効であるか否かの開示は無く、不明である。
また、特許文献4は、室温時効についての開示は一切無く、金属間化合物の体積率についても、その測定手段は公知の画像処理とされているのみで、測定方法や条件等が全く不明で、再現あるいは実施することができない。更に、これらの従来技術では、機械的性質および成形性としては、エリクセン値またはLDR(限界絞り比)が示されているのみで、曲げ加工性、特に、前記ヘム加工性に関しての開示は無く、室温時効によるヘム加工性の低下を抑制することは出来なかった。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、塗装焼付け硬化性に優れ、1〜4ヶ月間程度の比較的長期に亙る室温時効を抑制したアルミニウム合金板およびその製造方法を提供しようとするものである。
この目的を達成するために、本発明の塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板の要旨は、質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この合金板の板厚中央部における組織を100万倍の透過型電子顕微鏡によって分析した際に、明視野像にて暗色コントラストとして観察されるクラスタ(原子の集合体)の内、この暗色コントラストの円等価直径が1〜5nmの範囲のクラスタの平均数密度が4000〜30000個/μm2 であることとする。
ここで、前記アルミニウム合金板が、板の板厚中央部の断面における組織を500倍の走査型電子顕微鏡によって分析した際に観察される、Mg−Si化合物の最大となる円等価直径が15μm以下であり、かつ、円等価直径が2μmを超え15μm以下の範囲であるMg−Si化合物の平均数密度が100個/mm2 以上であるとともに、平均結晶粒径が35μm以下であることが好ましい。また、前記アルミニウム合金板が、更に、Fe:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Ti:0.1%以下、Zn:1.0%以下(但し、これらの上限規定は全て0%を含まず)の1種または2種以上を含むことを許容する。
更に、本発明の塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板の製造方法の要旨は、上記したいずれかのアルミニウム合金板の製造方法であって、上記したいずれかのアルミニウム合金板組成を有するAl−Mg−Si系アルミニウム合金鋳塊を、均質化熱処理後、熱間圧延し、この熱延板を冷間圧延し、更に、この冷延板を溶体化処理後に室温まで焼入れ処理した後、予備時効処理として、10分以内に冷延板を90〜130℃の温度域に再加熱し、到達再加熱温度からの平均冷却速度を0.5〜5℃/hrの範囲で3時間以上保持する熱処理を行い、上記したいずれかの組織を選択的に得ることである。
ここで、前記製造方法において、前記鋳塊の均質化熱処理を500℃以上、溶融温度以下の温度で4hr以上保持する条件で行った後、鋳塊の温度が300℃〜500℃の間を20〜100℃/hrの平均冷却速度で室温まで一旦冷却し、次いで鋳塊を20〜100℃/hrの平均加熱速度で350℃〜450℃まで再加熱し、この温度域で熱間圧延を開始することが好ましい。
従来から、6000系アルミニウム合金板の焼付硬化性を高める方法は多数提案されているが、同時に室温時効、特にヘム加工性の低下を抑制する技術は無く、これらを両立することは出来なかった。
本発明者らは、焼付硬化性および室温時効に対して、100万倍という高倍率の透過型電子顕微鏡によってのみ測定可能な、特定の大きさのクラスタ(原子の集合体)が大きく影響することを見出した。また、このようなクラスタが、溶体化処理後の加熱温度と保持条件の適正な選択によって形成されることを見出し、本発明を完成した。
6000系アルミニウム合金においては、溶体化および焼入れ処理後に、室温保持、あるいは50〜150℃の熱処理中に、Mg、Siがクラスタと呼ばれる原子の集合体を形成することが知られている。但し、室温保持と50〜150℃の熱処理中とで生成するクラスタは、全くその挙動(性質)が異なる。
室温保持で形成されるクラスタ(或いはSiリッチクラスタ)は、その後の人工時効又は焼付塗装処理において強度を上昇させるGPゾーン或いはβ‘相の析出を抑制する。一方、50〜150℃で形成されるクラスタ(或いはMg/Siクラスタ)は、逆に、GPゾーン或いはβ‘相の析出を促進することが示されている(例えば、山田ら:軽金属vol.51、第215頁)。これらのクラスタは、従来では、比熱測定や3DAP(3次元アトムプローブ)等によって解析されている。
しかしながら、これらのクラスタ制御により、焼付硬化性を向上させた6000系アルミニウム合金板においても、1〜4ヶ月間程度の比較的長期に亙る室温時効によってヘム加工性等が低下する。これは、このような比較的長期に亙る室温保持中に、前記Siリッチクラスタが形成されることが原因である。
本発明者らは、前記した100万倍という高倍率の透過型電子顕微鏡によってのみ測定可能な、特定の大きさのクラスタ(原子の集合体)が、前記Siリッチクラスタと競合して形成され、このクラスタを予め適正な量(数密度)の範囲で形成させることによって、前記Siリッチクラスタ形成と室温時効とを抑制できることを知見した。また、この特定の大きさのクラスタは、低温短時間の人工時効硬化処理であっても、GPゾーン或いはβ‘相の析出を促進し、焼付硬化性を向上させることを知見した。
その意味で、本発明で規定するこのような特定の大きさのクラスタは、前記したGPゾーン或いはβ‘相の析出を促進し、50〜150℃の熱処理で形成されるMg/Siクラスタと同質のものである。しかし、従来のように、溶体化および焼入れ処理後の50〜150℃の熱処理(予備時効処理、再加熱処理)を施しても、この条件がより適正でないと、本発明で規定する前記クラスタは、本発明で規定する平均数密度とはならず、その数や量が不足する。従来のクラスタ制御により、焼付硬化性向上と同時に、室温時効、特にヘム加工性の低下を抑制できなかったのも、このような理由によるものと推考される。
また、従来の比熱測定や3DAPによるクラスタの解析では、観察されることによって、クラスタ自体の存在は裏付けられても、本発明で規定する前記クラスタの、サイズや数密度までは、不明或いは限定的にしか測定できなかった。したがって、当然ながら、本発明で規定する前記クラスタの、塗装焼付け硬化性向上や室温時効抑制効果との関係は依然不明であった。また、必然的に、製造方法や製造条件として、その十分な形成条件を決定或いは推測することは困難であった。従来のクラスタ制御により、焼付硬化性向上と同時に、室温時効、特にヘム加工性の低下を抑制できなかったのは、この理由にもよるものと推考される。
これに対して、本発明においては、前記した100万倍という高倍率の透過電子顕微鏡を用いることで、本発明で規定する前記クラスタの、前記した効果との相関やその臨界条件、その十分な形成条件を決定することを可能にした。
このように、本発明によれば、特定組成からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板における、前記した100万倍という高倍率の透過型電子顕微鏡によってのみ測定可能な、特定の大きさのクラスタを予め十分に形成させることによって、前記Siリッチクラスタの形成を抑制して室温時効を抑制してヘムなどの曲げ加工性を向上させ、同時に焼付硬化性を向上させ、両者を両立させることができる。
以下に、本発明アルミニウム合金板の実施態様につき具体的に説明する。
(組織)
前記した通り、本発明アルミニウム合金板は、圧延後に溶体化および焼入れ処理などの調質が施された後の板であって、プレス成形などによってパネルに成形加工される前の板のことを言う。ただ、プレス成形される前の1〜4ヶ月間程度の比較的長期に亙る室温放置された際の室温時効を抑制するためには、当然ながら、この室温放置される前の、調質が施された後の板の組織状態を本発明で規定する組織とする必要がある。
(クラスタ規定)
先ず、室温放置される前の、前記調質が施された後のAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の任意の板厚中央部における組織を100万倍の透過型電子顕微鏡によって分析した際に、明視野像にて暗色コントラストとして観察されるクラスタ(原子の集合体)の内、この暗色コントラストの円等価直径が1〜5nmの範囲のクラスタの平均数密度を4000〜30000個/μm2 とする。
このクラスタは、前記し、また詳しくは後述する、溶体化および焼入れ処理後の予備時効処理によって生成させるクラスタである。このクラスタは、前記した50〜150℃の板の加熱で形成され、GPゾーン或いはβ‘相の析出を促進するクラスタ(Mg/Siクラスタ)と同質であり、前記した、室温保持で形成され、GPゾーン或いはβ‘相の析出を抑制するクラスタ(Siリッチクラスタ)とは異なる。
ただ、これら両クラスタ(原子集合体)の内、溶体化および焼入れ処理後の予備時効処理によって生成させるクラスタは透過型電子顕微鏡による100万倍の明視野像で略球状の暗色コントラストを生じるのに対し、室温保持で形成されるクラスタ(Siリッチクラスタ)は同条件の観察でコントラストを生じない点で区別(識別)される。このクラスタは、円等価直径が1nm未満の暗色コントラストとなる成長段階では、その後に室温保持された際のSiリッチクラスタの形成を抑止する効果が不十分である。また、このサイズでは100万倍のTEMでも、その測定自体が困難となる。一方、円等価直径が5nmを超えるコントラストを生じる場合には、その形態が針状乃至棒状となることからもGPゾーンまたはβ‘相であると判断される。したがって、本発明で規定するクラスタの前記暗色コントラストの円等価直径は1〜5nmの範囲とする。
このクラスタ数密度が4000個/μm2 未満では、このクラスタ自体の形成量が不十分であるため、GPゾーン或いはβ‘相の析出を促進し、焼付硬化性を向上する効果は有っても、前記長期に亙る室温放置で、前記Siリッチクラスタの形成と、室温時効とを抑制できない。したがって、前記調質が施された後、1〜4ヶ月間程度の比較的長期に亙る室温放置後にヘム加工された場合の、ヘム加工性が著しく低下する。また、クラスタ数密度が30000個/μm2 を超えて形成されると、前記調質が施された後、1ヶ月内の初期であっても耐力が高くなり過ぎてヘム加工性が著しく低下する。この状態では、その後長期に亙る室温放置で前記Siリッチクラスタの形成と室温時効とを抑制できるが、初期の低下したヘム加工性が維持されるのみとなる。なお、本発明では、以後、1〜4ヶ月間程度の比較的長期に亙る室温放置を、便宜上一定の100日後と規定する。
ここで、前記した通り、従来のように、溶体化および焼入れ処理後の50〜150℃の熱処理(予備時効処理、再加熱処理)を施しても、この条件がより適正でないと、本発明で規定する前記クラスタは、本発明で規定する平均数密度とはならず、前記した通り、従来のように、その数や量が不足または超過することとなる。
(クラスタ測定)
本発明における透過型電子顕微鏡(TEM)観察は、倍率100万倍の明視野像観察とする。前記調質が施された後のAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の任意の板厚中央部における組織を100万倍の透過型電子顕微鏡によって分析した際に、本発明で規定する前記クラスタ(原子の集合体)は、明視野像にて暗色コントラストとして観察される。
板の板厚中央部におけるTEMによる測定(観察)は、任意の板の部位10箇所について行い、これらの数密度の各測定値を平均化して、本発明で規定する平均数密度とする。この際、試料の湾曲などにより観察視野全体が適切な結像条件を満たさない場合もあるが、この場合は2400nm2以上を基準として結像条件の適切な範囲を選択し、数密度を測定する。この明視野像における、上記暗色コントラストの円等価直径は、暗色コントラスト1個当たりの、暗色コントラストを等価な円径に換算した場合の大きさ(円径:円相当直径)であり、視野内の各暗色コントラストについて、この円相当直径(重心直径)を測定する。
ここで、透過型電子顕微鏡による観察は、試料の厚みを透過して行うものであるから、本発明で規定する数密度は、本来単位体積で取り扱うべきである。即ち、観察試料の膜厚tを決定した(測定した)上で、この膜厚tと観察視野の面積から観察試料の体積を求め、本発明で規定する前記特定の大きさのクラスタの単位面積あたりの個数を、観察試料の単位体積あたりの個数として、数密度に換算すべきである。
しかし、100万倍の高倍率でのTEMによる組織観察は、透過される試料の作成は常法によるものの、その厚みは、これよりも低い倍率での通常の厚み約0.5〜1.0μm程度の試料薄膜よりも、更に作成可能な限り薄い試料とする必要がある。このことから、倍率100万倍で観察可能な試料の厚みは、通常の試料より薄く、厚みは、その部位によらず、必然的にほぼ一定の厚みとなる。このため、通常試料の膜厚tの決定方法として公知のコンタミネーション・スポット法や干渉縞を利用した算出法等の適用が難しく、試料の膜厚tの正確な測定が困難となる。したがって、試料の膜厚tを用いた、前記観察試料の単位体積あたりの数密度への換算が困難となる。
また、本発明で規定する前記特定の大きさのクラスタが、コントラスト(明暗)を生じるのは、使用薄膜試料の中でも、結像条件の揃った一定の厚み部位と考えられる。したがって、以上の理由で、本発明においては、本発明で規定する前記特定の大きさのクラスタの数密度(平均数密度)は、TEMによる観察された単位面積当たりの前記クラスタ個数とする。
因みに、前記コンタミネーション・スポット法とは、TEMによる細い電子ビームを長時間試料に照射し、透過させると、薄膜試料上部(上面、表面)と下部(下面、裏面)とに、コンタミネーションによるスポット(或いはスパイクとも呼ばれる)が形成されるが、これを利用する方法である。このコンタミネーションによるスポットは、TEM雰囲気中(真空中)および試料表面に付着して存在するハイドロカーボン(微小な有機物)などが、電子ビームが照射された試料表面に集められる結果、試料の上部(上面)と下部(下面)の各表面上に生じる、略照射した電子ビーム径と同じ底面径を有する略円錐形の二つの突起のことである。ここで、薄膜試料を水平方向から適当な角度(例えばθ)だけ傾斜させると、前記スポット同士が互いに水平方向に距離(例えばL)をおいて(分離して)観察できる。この状態で撮影した写真から前記スポット間の水平方向の距離(例えばL)を測定し、前記傾斜した角度θを使って幾何学的に(試料膜厚t=L/sinθによって)、試料膜厚tを求める。この手法を用いて極薄い厚みの試料を測定する(傾斜させて二つのスポットを分離して観察する)為には、傾斜角度を非常に大きく取るか、コンタミネーションによるスポットの径、即ち電子ビームの径を極細く絞る必要があり、実質的に困難となる。
(結晶粒径)
より厳しい成形条件でのヘム加工性向上の点から、本発明の組織では、前記特定の大きさのクラスタ規定だけではなく、結晶粒径がより微細であることが好ましい。言い換えると、ヘム加工の成形条件がより厳しくなると、前記特定の大きさのクラスタ規定だけでは対応できなくなる可能性がある。この点、アルミニウム合金板の組織における結晶粒径は、後述する実施例で裏付ける通り、より厳しい成形条件でのプレス成形性やヘム加工性を向上させるためには、35μm以下のより微細であることが望ましい。
(Mg−Si化合物)
この結晶粒微細化のためには、再結晶核として働くMg−Si化合物が適正な条件で存在することが必要となる。この点で、本発明の組織では、Mg−Si化合物の内、円等価直径が2μmを超え15μm以下の範囲であるMg−Si化合物が、平均数密度で100個/mm2 以上存在することが好ましい。但し、Mg−Si化合物が過剰に、かつ粗大な状態で存在すると、却って、割れの起点となって、成形性やヘム加工性を低下させる。したがって、粗大なMg−Si化合物を組織中に含有させないために、このMg−Si化合物の最大となる円等価直径が15μm以下であると規定する。
(Mg−Si化合物測定)
Mg−Si化合物の測定は、前記調質が施された後のAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の任意の板厚中央部の断面における組織を500倍の走査型電子顕微鏡(SEM)によって分析する。より具体的には、測定対象となるアルミニウム合金板の板厚中央部から採取した試料の断面組織を、例えば、機械研磨した後電解研磨して前処理し、上記SEMにより観察する。その際に観察される上記した規定Mg−Si化合物を測定する。
本発明で言うMg−Si化合物は、このSEMによる明視野像観察における、暗色コントラストとして観察される、MgとSiとを両方含み、他の元素を含んでも良い、Mg−Si系化合物の総称である。ここで、Mg、Siを両方含む、本発明が対象とするMg−Si化合物か否かは、前記暗色コントラストのX線分光装置(EDX)により識別される。
組織観察は、板厚中央部の断面につき、観察視野の合計面積が4mm2 以上となるように、板の長手方向に適当に距離を置いて10箇所以上観察し、数密度の各測定値を平均化し、本発明で規定する平均数密度とする。ここで、Mg−Si化合物の円等価直径は、前記暗色コントラスト1個当たりの暗色コントラストの等価な円径に換算した場合の大きさ(円径:円相当直径)であり、視野内の各暗色コントラストについて、この円相当直径(重心直径)を測定する。なお、このSEMによるMg−Si化合物の平均数密度は、本発明においては、観察試料の単位体積を考慮せずに、SEMによる観察された断面の単位面積当たりの数密度(平均数密度)とする。
(化学成分組成)
本発明が対象とする6000系アルミニウム合金板の化学成分組成について、以下に説明する。本発明が対象とする6000系アルミニウム合金板は、前記した自動車の外板用の板などとして、優れた成形性やBH性、強度、溶接性、耐食性などの諸特性が要求される。
このような要求を満足するために、アルミニウム合金板の組成は、質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%(好ましくは0.01〜0.15%)、Cu:0.001〜1.0%(好ましくは0.01〜1.0%)を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものとする。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
本発明が対象とする6000系アルミニウム合金板は、BH性がより優れた、SiとMgとの質量比Si/ Mgが1 以上であるような過剰Si型の6000系アルミニウム合金板に適用されて好ましい。6000系アルミニウム合金板は、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化により成形性を確保するとともに、成形後のパネルの塗装焼付処理などの、比較的低温の人工時効処理時の加熱により時効硬化して耐力が向上し、必要な強度を確保できる優れた時効硬化能(BH性)を有している。この中でも、過剰Si型の6000系アルミニウム合金板は、質量比Si/ Mgが1未満の6000系アルミニウム合金板に比して、このBH性がより優れている。
Mg、Si、Mn、Cu以外のその他の元素は、基本的には不純物であり、AA乃至JIS 規格などに沿った各不純物レベルの含有量 (許容量) とする。リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のアルミニウム合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として多量に使用した場合には、下記その他の元素が不純物として混入される可能性がある。そして、これらの不純物元素を例えば検出限界以下に低減すること自体コストアップとなり、ある程度の含有の許容が必要となる。また、実質量含有しても本発明目的や効果を阻害しない含有範囲があり、この範囲での含有効果がある元素もある。
したがって、このような下記元素を各々以下に規定する量以下の範囲での含有を許容する。具体的には、Fe:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Ti:0.1%以下、Zn:1.0%以下の1種または2種以上を、この範囲で、上記した基本組成に加えて、更に含んでも良い。ここで、これらの各元素の各上限規定は、全て0%は含まないこととする。
上記6000系アルミニウム合金における、各元素の好ましい含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。
Si:0.4〜1.5%
SiはMgとともに、本発明で規定する前記クラスタ形成の重要元素である。また、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記低温での人工時効処理時に、強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、自動車のアウタパネルとして必要な強度(耐力)を得るための必須の元素である。更に、本発明6000系アルミニウム合金板にあって、プレス成形性、ヘム加工などの曲げ加工性の諸特性を兼備させるための最重要元素である。
また、パネルへの成形後の、より低温、短時間での塗装焼き付け処理での優れた時効硬化能を発揮させるためには、Si/ Mgを質量比で1.0以上とし、一般に言われる過剰Si型よりも更にSiをMgに対し過剰に含有させた6000系アルミニウム合金組成とすることが好ましい。
Si含有量が少なすぎると、Siの絶対量が不足するため、本発明で規定する前記クラスタを規定する数密度だけ形成させることができず、塗装焼付け硬化性が著しく低下する。更には、各用途に要求される、プレス成形性、曲げ加工性などの諸特性を兼備することができない。一方、Si含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、曲げ加工性やプレス成形性が著しく低下する。更に、溶接性も著しく阻害される。したがって、Siは0.4〜1.5%の範囲とする。
Mg:0.4〜1.0%
Mgも、Siとともに本発明で規定する前記クラスタ形成の重要元素である。また、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記人工時効処理時に、Siとともに強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとしての必要耐力を得るための必須の元素である。
Mg含有量が少なすぎると、Mgの絶対量が不足するため、本発明で規定する前記クラスタを規定する数密度だけ形成させることができず、塗装焼付け硬化性が著しく低下する。このためパネルとして必要な耐力が得られない。一方、Mg含有量が多すぎると、却って、SSマーク(ストレッチャストレインマーク)が発生し易くなる。したがって、Mgの含有量は0.4〜1.0%の範囲で、Si/ Mgが質量比で1.0以上となるような量とする。
Cu:0.001〜1.0%
Cuは、本発明の比較的低温短時間の人工時効処理の条件で、アルミニウム合金材組織の結晶粒内への強度向上に寄与する時効析出物の形成を促進させる効果がある。また、固溶したCuは成形性を向上させる効果もある。Cu含有量が0.001%未満、特に0.01%未満ではこの効果がない。一方、1.0%を越えると、耐応力腐食割れ性や、塗装後の耐蝕性の内の耐糸さび性、また溶接性を著しく劣化させる。このため、Cu含有量は0.001〜1.0%、好ましくは0.01〜1.0%とする。
Mn:0.01〜0.5%、
Mnには、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相) を生成し、これらの分散粒子には再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、微細な結晶粒を得ることができる効果がある。前記した通り、本発明アルミニウム合金板のプレス成形性やヘム加工性はアルミニウム合金組織の結晶粒が微細なほど向上する。この点、Mn含有量が0.01%未満ではこれらの効果が無い。
一方、Mn含有量が多くなった場合、溶解、鋳造時に粗大なAl−Fe−Si−(Mn、Cr、Zr) 系の金属間化合物や晶析出物を生成しやすく、アルミニウム合金板の機械的性質を低下させる原因となる。また、Mn含有量が1.0%を越えた場合、曲げ加工性が低下する。このため、Mnは0.01〜0.5%の範囲とし、好ましくは0.01〜0.15%の範囲とする。
(製造方法)
次ぎに、本発明アルミニウム合金板の製造方法について以下に説明する。本発明アルミニウム合金板は、製造工程自体は常法あるいは公知の方法であり、上記6000系成分組成のアルミニウム合金鋳塊を鋳造後に均質化熱処理し、熱間圧延、冷間圧延が施されて所定の板厚とされ、更に溶体化焼入れなどの調質処理が施されて製造される。
但し、これらの製造工程中で、室温時効を抑制してヘムなどの曲げ加工性を向上させ、同時に焼付硬化性を向上させ、両者を両立させるために、本発明の範囲に前記規定クラスタを制御するためには、後述する通り、溶体化および焼入れ処理後の熱処理をより適正に制御する必要がある。また、他の工程においても、本発明の規定範囲内に前記クラスタを制御するための好ましい条件がある。
(溶解、鋳造冷却速度)
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。ここで、本発明の規定範囲内にクラスタを制御するために、鋳造時の平均冷却速度について、溶解温度(約700℃)から固相線温度までを30℃/分以上と、できるだけ大きく(速く)することが好ましい。
このような、鋳造時の高温領域での温度(冷却速度)制御を行わない場合、この高温領域での冷却速度は必然的に遅くなる。このように高温領域での平均冷却速度が遅くなった場合、この高温領域での温度範囲で粗大に生成する晶出物の量が多くなって、鋳塊の板幅方向,厚さ方向での晶出物のサイズや量のばらつきも大きくなる。この結果、本発明の範囲に前記規定クラスタおよびMg−Si化合物を制御することができなくなる可能性が高くなる。
(均質化熱処理)
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊に、熱間圧延に先立って、均質化熱処理を施す。この均質化熱処理(均熱処理)は、組織の均質化、すなわち、鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくすことを目的とする。この目的を達成する条件であれば、特に限定されるものではなく、通常の1回または1段の処理でも良い。ただし、本発明の請求項2で規定するMg−Si化合物を、規定通り、粗大化させず、また過剰とならずに、適正な大きさと数密度で存在させるためには、均質化熱処理を適正な条件で行う必要がある。
このため、均質化熱処理温度は、500℃以上で融点未満、均質化時間は4時間以上の範囲から適宜選択される。この均質化温度が低いと結晶粒内の偏析を十分に無くすことができず、これが破壊の起点として作用するために、伸びフランジ性や曲げ加工性が低下する。この後、直ちに熱間圧延を開始又は、適当な温度まで冷却保持した後に熱間圧延を開始しても、本発明の請求項1で規定するクラスタの数密度に制御することはできる。
この均質化熱処理を行った後、300℃〜500℃の間を、20〜100℃/hrの平均冷却速度で室温まで冷却し、次いで20〜100℃/hrの平均加熱速度で350℃〜450℃まで再加熱し、この温度域で熱間圧延を開始することが好ましい。
この均質化熱処理後の平均冷却速度および、その後の再加熱速度の条件を外れると、本発明で規定する所定のMg−Si化合物が得られない可能性が高くなる。この平均冷却速度および再加熱速度が速すぎると、本発明で規定する微細なMg−Si化合物の数が少なくなり、円等価直径が2μmを超え15μm以下の範囲であるMg−Si化合物の平均数密度を100個/mm2 以上にできなくなる。一方、この平均冷却速度および前記再加熱速度が遅すぎると、円等価直径が15μmを超える粗大な化合物が形成され、本発明で規定する、Mg−Si化合物の最大となる円等価直径を、15μm以下にできなくなる。
(熱間圧延)
熱間圧延は、圧延する板厚に応じて、鋳塊 (スラブ) の粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とから構成される。これら粗圧延工程や仕上げ圧延工程では、リバース式あるいはタンデム式などの圧延機が適宜用いられる。
この際、熱延(粗圧延)開始温度が450℃を超える条件では、本発明で規定する所定のMg−Si化合物が得られない。また、熱延開始温度が350℃未満では熱延自体が困難となる。したがって、熱延開始温度は350〜580℃、更に好ましくは350〜450℃の範囲とする。
(熱延板の焼鈍)
この熱延板の冷間圧延前の焼鈍 (荒鈍) は必ずしも必要ではないが、結晶粒の微細化や集合組織の適正化によって、成形性などの特性を更に向上させる為に実施しても良い。
(冷間圧延)
冷間圧延では、上記熱延板を圧延して、所望の最終板厚の冷延板 (コイルも含む) に製作する。但し、結晶粒をより微細化させるためには、冷間圧延率は60%以上であることが望ましく、また前記荒鈍と同様の目的で、冷間圧延パス間で中間焼鈍を行っても良い。
(溶体化および焼入れ処理)
冷間圧延後、溶体化焼入れ処理を行う。溶体化処理焼入れ処理については、通常の連続熱処理ラインによる加熱,冷却でよく、特に限定はされない。ただ、各元素の十分な固溶量を得ること、および前記した通り、結晶粒はより微細であることが望ましいことから、520℃以上の溶体化処理温度に、加熱速度5℃/秒以上で加熱して、0〜10秒保持する条件で行うことが望ましい。
また、成形性やヘム加工性を低下させる粗大な粒界化合物形成を抑制する観点から、焼入れ時の冷却速度は10℃/秒以上で行うことが望ましい。冷却速度が遅いと、粒界上にSi、Mg2 Siなどが析出しやすくなり、プレス成形や曲げ加工時の割れの起点となり易く、これら成形性が低下する。この冷却速度を確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段や条件を各々選択して用いる。
(予備時効処理)
この室温まで焼入れ冷却した後、10分以内に冷延板を予備時効処理(再加熱処理)する。この予備時効処理は、90〜130℃の温度域に再加熱し、到達再加熱温度からの平均冷却速度を0.5〜5℃/hrの範囲で3時間以上保持する条件で行い、その後室温まで放冷する。この条件を満足させることによって、本発明で規定する所定のクラスタの数密度を有する組織を得ることができる。例え、この予備時効処理を施しても、このように条件が適正でないと、前記クラスタは、本発明で規定する平均数密度とはならず、前記した通り、従来のように、その数や量が不足又は超過する。
ここで、焼入れ冷却終了後からの室温保持が10分を超えると、室温保持で形成されるクラスタ(Siリッチクラスタ)が先に生成して、本発明で規定する所定のクラスタの数密度が得られず、焼付硬化性および室温時効抑制効果が得られない。前記再加熱温度が90℃未満でも、本発明で規定する所定のクラスタ密度が得られず、焼付硬化性および室温時効抑制効果が得られない。また、加熱温度が130℃を超える条件では、本発明で規定する所定のクラスタ密度を超過して形成され、又はクラスタとは異なるβ‘などの金属間化合物相を形成し、成形性や曲げ加工性を低下させる。この予備時効処理の温度範囲は、同様の観点から、100〜120℃が更に望ましい。
この予備時効処理においては、再加熱温度と共に、その保持時間または冷却速度も本発明で規定する所定のクラスタの数密度生成に大きく影響する。前記の通り、90〜130℃,更に望ましくは100〜120℃の温度範囲における保持時間が3hr未満では、本発明で規定する所定のクラスタ密度が得られず、焼付硬化性および室温時効抑制効果が得られない。また、過剰に長時間保持されると、本発明で規定する所定のクラスタ密度を超過して形成されるか又はクラスタとは異なるβ‘などの金属間化合物相を形成し、成形性や曲げ加工性を低下させる可能性がある。このため、例えばコイルの状態で予備時効処理を行う場合、一定温度で保持する予備時効処理では、処理後から緩冷却開始となる為に必然的に過剰な長時間保持となり易くなる。したがって、熱処理保持する時間の間でも規定の温度範囲で冷却条件とすることが好ましく、到達再加熱温度からの平均冷却速度を0.5〜5℃/hrの範囲で3時間以上保持する熱処理を行うことで、本発明で規定する所定のクラスタ密度が得られる。
なお、この予備時効処理における保持時間について、その上限の時間は特に規定しないが、前記の通り、過剰に長時間保持されると、所定のクラスタ密度を超過して形成されるか又はクラスタとは異なるβ‘などの金属間化合物相を形成し、成形性や曲げ加工性を低下させる可能性がある。このため、例えば5時間の保持時間後で100℃以下である場合はその後も保持時間内の冷却条件のままでも良いが、5時間の保持時間後で120℃を超える場合は、3℃/hr以上、更に望ましくは5℃/hr以上の冷却速度で100℃以下まで冷却することが好ましい。この条件によれば、予備時効処理は一旦再加熱した後、断熱状態の保温でも良く、一定温度で保持する条件においては必須となる制御加熱が不要となる利点も有る。
また、予備時効処理における加熱速度は特に規定されないが、溶体化焼入れ処理後、10分以内に所定の温度に加熱することから、必然的に10℃/分以上と速くする必要が有り、より望ましくは50℃/分以上とする。なお、連続溶体化焼入れ処理の場合には、板をコイルに巻き取る前に再加熱しても、巻き取り後に再加熱しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例を説明する。先ず、実施例1として、本発明で規定のクラスタ条件が異なる6000系アルミニウム合金板を作り分けて、塗装焼付け硬化性や室温時効への効果(影響)を各々調査した。
表1に示す6000系アルミニウム合金板を、表2に示す条件で、均質化熱処理 (均熱処理と略記) および熱間圧延 (熱延と略記) し、更に、冷間圧延を行い、溶体化および焼入れ処理して、製造した。なお、表1中の各元素の含有量の表示において、「−」の表示は、検出限界以下であることを示す。
アルミニウム合金板のより具体的な製造条件は以下の通りである。表1に示す各組成の鋳塊を、DC鋳造法により共通して溶製した。この際、各例とも共通して、鋳造時の平均冷却速度について、溶解温度(約700℃)から固相線温度までを50℃/分とした。
続いて、鋳塊を、各例とも共通して、560℃×4時間均熱処理した後、熱間粗圧延を開始した。そして、各例とも共通して、続く仕上げ圧延にて、厚さ3.5mmまで熱延し、熱間圧延板(コイル)とした。熱間圧延後のアルミニウム合金板を、各例とも共通して、中間焼鈍(荒焼鈍)無しで冷間圧延し、各例とも共通して、厚さ1.0mmの冷延板(コイル)とした。
更に、この各冷延板を、各例とも共通して、連続式の熱処理設備で、500℃までの平均加熱速度を10℃/秒として、550℃の溶体化処理温度まで加熱し、直ちに、平均50℃/秒の冷却速度で、室温まで冷却する、溶体化焼入れ処理を行った。この後、各例とも共通して、時間的な遅滞なく直ちに、表2に示す各条件で、加熱、冷却する予備時効処理を行った。尚、各例とも共通して、表2に記載する通りの到達再加熱温度からの平均冷却速度として5時間保持し、その後、各例とも室温まで放冷した。
これら調質処理直後の各最終製品板から供試板 (ブランク) を切り出し、各供試板の組織を測定、評価した。これらの結果を表3に示す。
(クラスタ)
前記供試板の板厚中央部における組織を、前記した方法により、100万倍の透過型電子顕微鏡によって分析し、明視野像にて暗色コントラストとして観察されるクラスタの内、この暗色コントラストの円等価直径が1〜5nmの範囲のクラスタの平均数密度(個/μm2 )を求めた。
(結晶粒径)
前記供試板の板厚中央部の圧延平行断面における組織を、機械研磨、バーカー法(陽極酸化処理)によって前処理した後に、100倍の光学顕微鏡を用いて観察した。この際、板の圧延方向および板厚方向に直線を引き、この直線上に位置する個々の結晶粒の切片長さを、個々の結晶粒径として測定する切断法(ラインインターセプト法)で、任意の板の圧延平行断面の部位10箇所で測定し、平均結晶粒径を算出した。1 測定ライン長さは0.5mm以上とし、1 視野当たり測定ラインを圧延方向/板厚方向各3本として、測定ライン毎に順次測定した平均結晶粒径を、10測定箇所当たりで順次平均化して、平均結晶粒径とした。
(供試板特性)
前記調質処理後の室温時効性として、前記調質処理後、7日間室温放置(室温時効)後と、100日間室温放置(室温時効)後の各供試板の特性を調査した。供試板の特性としては、引張強さ(MPa)、0.2%耐力(MPa)、人工時効硬化処理(塗装焼き付け硬化処理を模擬)後の0.2%耐力(MPa)、プレス成形性、ヘム加工性を各々試験、測定、評価した。これらの結果も表3 に示す。
(機械的特性)
機械的特性を測定するための引張試験は、前記調質処理後7日間室温放置後と、100日間室温放置後の各供試板、また、これらを各々人工時効硬化処理後(ベーク後)の供試板から、各々JISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温引張り試験を行った。このときの試験片の引張り方向を圧延方向の直角方向とした。引張り速度は、0.2%耐力までは5mm/分、耐力以降は20mm/分とした。機械的特性測定のN数は5とし、各々平均値で算出した。
(塗装焼付硬化性)
塗装焼付硬化性評価のための、人工時効硬化処理は、前記調質処理後、7日間室温放置後と100日間室温放置後の各供試板を、共通して、2%の予歪みを付与後、170℃で20分の加熱処理(塗装焼付相当)を行った。そして、これらの板の引張試験も行って、塗装焼付硬化性を評価した。測定のN数は5とし、各々平均値で算出した。
(プレス成形性)
プレス成形性試験は、前記調質処理後100日間室温放置後の各供試板についてのみ行った。試験は、矩形ブランク(サイズ110mm×200mm)に対して、φ100の球頭パンチとダイス (ビード付き) とを用いた張出成形試験を行い、割れ限界成形高さLDH0 (mm)から、プレス成形性を評価した。成形試験は、しわ押さえ力200kN、潤滑は市販の防錆洗浄油を用い、成形速度20mm/分の条件で5回行い、最も低い張出高さを割れ限界成形高さ値とした。
(ヘム加工性)
ヘム加工性は、前記調質処理後100日間室温放置後の各供試板についてのみ行った。試験は、30mm幅の短冊状試験片を用い、ダウンフランジによる内曲げR1.0mmの90°曲げ加工後、1.0mm厚のインナを挟み、折り曲げ部を更に内側に、順に約130度に折り曲げるプリヘム加工、180度折り曲げて端部をインナに密着させるフラットヘム加工を行った。このフラットヘムの曲げ部(縁曲部)の、肌荒れ、微小な割れ、大きな割れの発生などの表面状態を目視観察し、以下の基準にて目視評価した。
0;割れ、肌荒れ無し、1;軽度の肌荒れ、2;深い肌荒れ、3;微小表面割れ、4;線状に連続した表面割れ、5;破断、
表1〜3に示す通り、各発明例A1〜A9は、本発明成分組成範囲内で、かつ好ましい条件範囲で製造、調質処理を行なっている。このため、各発明例は、表3に示す通り、本発明で規定するクラスタ(暗色コントラストの円等価直径が1〜5nmの範囲の原子の集合体)と、平均数密度(4000〜30000個/μm2 )を有している。また、平均結晶粒径も30〜40μmの範囲であり、比較的微細である。
この結果、各発明例は、前記調質処理後100日間の長期室温放置(室温時効)後であっても、7日間の短時間の室温放置後の板に比して、引張強さ(MPa)、0.2%耐力(MPa)、人工時効硬化処理後の0.2%耐力(MPa)に遜色がない。また、前記調質処理後100日間の長期室温放置(室温時効)後であっても、プレス成形性、ヘム加工性に優れている。したがって、各発明例は、塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効による耐力上昇と成形性、特にヘム加工性の低下をしっかりと抑制できている。
これに対して、表1〜3に示す通り、比較例A13〜A16は、上記発明例1と同じ合金例を用いている。しかし、これら各比較例は、表2に示す通り、予備時効処理が好ましい範囲を外れている。比較例A13は予備時効処理温度が高すぎる。比較例A14は予備時効処理温度保持における温度降下(冷却速度)が大き過ぎる。比較例A15は焼入れ処理直後から予備時効処理(加熱)開始までの室温保持時間が長すぎる。比較例A16は予備時効処理温度が低すぎる。
この結果、表3に示す通り、比較例A13は本発明で規定するクラスタの平均数密度が多すぎ、又クラスタとは異なるβ‘などの金属間化合物相を形成しており、成形性や曲げ加工性が劣る。比較例A14〜A16は本発明で規定するクラスタの平均数密度が少なすぎ、塗装焼付け硬化性向上か、室温時効による耐力上昇と成形性の低下抑制ができていない。また、プレス成形性かヘム加工性かが劣っている。
比較例A10〜A12は、予備時効処理を含めて、好ましい範囲で製造しているものの、成分組成が本発明範囲を外れる。この結果、表3に示す通り、Si含有量が多すぎる比較例A10や、Mg含有量が多すぎる比較例A11は、本発明で規定するクラスタと平均数密度を有している。このため、塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効による耐力上昇と成形性の低下を抑制できているものの、プレス成形性かヘム加工性が劣っている。Si含有量が少なすぎる比較例A12は、本発明で規定するクラスタの平均数密度が少なすぎる。この比較例A12は、Si含有量が少なすぎるゆえに、室温時効による耐力上昇は抑制されているが、元々の強度が低すぎ、ベーク後耐力も低すぎ且つプレス成形性が劣っている。
したがって、以上の実施例の結果から、本発明における成分や組織の各要件、あるいは好ましい製造条件の、塗装焼付け硬化性向上や、室温時効による耐力上昇と成形性の低下抑制効果、機械的性質などを兼備するための臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。
(実施例2)
次に、実施例2として、本発明で規定のクラスタ条件とともに、好ましい要件である平均結晶粒径と、これを微細化するためのMg−Si化合物条件とが異なる6000系アルミニウム合金板を作り分けて、塗装焼付け硬化性や室温時効への効果(影響)を各々調査した。ここで、実施例1と同様にプレス成形性とヘム加工性との試験を行ったが、成形性試験は、実施例1よりも成形条件がより厳しいアウタパネルへの成形を模擬して、これらの各試験条件をより厳しくした。
実施例1と同じく表1に成分組成を示した6000系アルミニウム合金鋳塊を溶製し、表4に示す条件で、均質化熱処理および熱間圧延し、更に、冷間圧延を行い、厚さ1.0mmの冷延板(コイル)とした。 更に、この各冷延板を、各例とも共通して、実施例1と同じ条件で、連続式の熱処理設備で溶体化および焼入れ処理を行った。
この際、実施例1とは異なり、鋳塊の各温度での4時間均熱処理後に、300℃〜500℃の間を、各々表4に示す平均冷却速度で室温まで冷却し、その後、各熱延開始温度までの平均昇温速度(再加熱速度)も各々表4に示すように制御した。そして、これらによって、平均結晶粒径を微細化するためのMg−Si化合物生成と平均結晶粒径とを制御した。
この後、各例とも、実施例1と同様の溶体化焼入れ処理を行った後、各々表4に示す各条件で、加熱、冷却する予備時効処理を行った。尚、各実施例とも共通して、表4に記載する通りの到達再加熱温度からの平均冷却速度として5時間保持し、その後、各例とも室温まで放冷した。
これら調質処理直後の各最終製品板から供試板 (ブランク) を切り出し、実施例1と同様に、ただ、Mg−Si化合物の分析を追加して、各供試板の組織を測定、評価した。これらの結果を表5に示す。
(Mg−Si化合物)
前記供試板の板厚中央部の断面における組織を、前記した方法により、500倍の走査型電子顕微鏡によって分析し、明視野像にて暗色コントラストとして観察されるMg−Si化合物の最大となる円等価直径(最大径:μm)、円等価直径が2μmを超え15μm以下の範囲であるMg−Si化合物の平均数密度(個/mm2 )を求めた。
(供試板特性)
前記調質処理後の室温時効性として、実施例1と同様に、前記調質処理後、7日間室温放置(室温時効)後と、100日間室温放置(室温時効)後の各供試板の特性を実施例1と同様に調査した。但し、プレス成形性とヘム加工性の成形性試験は、実施例1よりも成形条件がより厳しいアウタパネルへの成形を模擬して、これらの各試験条件をより厳しくした。これらの結果も表5に示す。
(プレス成形性)
プレス成形性試験は、実施例1と同様の試験方法、試験条件にて、前記調質処理後100日間室温放置後の各供試板についてのみ行った。但し、この際に、試験条件を、実施例1よりも厳しくするために、成形速度を40mm/分に上げて、5回行い、最も低い張出高さを割れ限界成形高さ値とした。
(ヘム加工性)
ヘム加工性は、実施例1と同様の試験方法、試験、評価条件にて、前記調質処理後100日間室温放置後の各供試板についてのみ行った。但し、この際に、試験条件を、実施例1よりも厳しくするために、フラットヘム加工試験時に挟み込むインナの厚さを0.8mmとより薄くした。
表1、4、5に示す通り、発明例B1〜B9は、本発明成分組成範囲内で、かつ、好ましい条件範囲で製造、調質処理を行なっている。このため、表5に示す通り、本発明で規定するクラスタ(暗色コントラストの円等価直径が1〜5nmの範囲の原子の集合体)と、平均数密度(4000〜30000個/μm2)を有している。また、特に、均熱処理後の室温までの平均冷却速度と、その後の各熱延開始温度までの平均昇温速度とが制御されているために、本発明で規定するMg−Si化合物の最大となる円等価直径と平均数密度との条件を満足している。更に、このようなMg−Si化合物の適正な存在によって、平均結晶粒径も30μm以下に、実施例1の発明例よりも、微細化されている。
この結果、発明例B1〜B9は、前記調質処理後100日間の長期室温放置(室温時効)後であっても、7日間の短時間の室温放置後の板に比して、引張強さ(MPa)、0.2%耐力(MPa)、人工時効硬化処理後の0.2%耐力(MPa)に遜色がない。また、前記調質処理後100日間の長期室温放置(室温時効)後に、実施例1よりも厳しい成形条件で成形されても、プレス成形性、ヘム加工性に優れている。したがって、各発明例は、塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効による耐力上昇と成形性の低下をしっかりと抑制できている。
これに対して、表1,4,5に示す通り、比較例B13〜B18は、上記発明例1と同じ合金例を用いている。しかし、これら各比較例は、表4に示す通り、予備時効処理が好ましい範囲を外れている。比較例B13は予備時効処理温度が高すぎる。比較例B14は予備時効処理温度保持における温度降下(冷却速度)が大き過ぎる。比較例B15は焼入れ処理直後から予備時効処理(加熱)開始までの室温保持時間が長すぎる。比較例B16は予備時効処理温度が低すぎる。
この結果、表5に示す通り、比較例B13は本発明で規定するクラスタの平均数密度が多すぎ、又クラスタとは異なるβ‘などの金属間化合物相を形成しており、成形性や曲げ加工性が劣る。比較例B14〜B16は本発明で規定するクラスタの平均数密度が少なすぎ、塗装焼付け硬化性向上か、室温時効による耐力上昇と成形性の低下抑制ができていない。また、プレス成形性かヘム加工性かが劣っている。
比較例B17は均質化熱処理後の300℃〜500℃の間の平均冷却速度と、続く熱間圧延温度までの平均加熱速度がともに速すぎる。この結果、本発明で規定するMg−Si化合物の平均数密度が少なすぎる。このため、平均結晶粒径が40μmと粗大化しており、発明例B1〜9よりもヘム加工性が低くなる。比較例B18は均質化熱処理を行った後の300℃〜500℃の間の平均冷却速度と、続く熱間圧延温度までの平均加熱速度がともに遅すぎる。この結果、本発明で規定するMg−Si化合物が粗大化して、Mg−Si化合物の最大径が大きすぎる。このため、発明例B1〜9よりも強度が低く、成形性やヘム加工性も低くなっている。
比較例B10〜B12は、予備時効処理を含めて、好ましい範囲で製造しているものの、成分組成が本発明範囲を外れる。この結果、表5に示す通り、Si含有量が多すぎる比較例B10や、Mg含有量が多すぎる比較例B11は、本発明で規定するクラスタと平均数密度を有している。このため、塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効による耐力上昇と成形性の低下を抑制できているものの、プレス成形性かヘム加工性が劣っている。Si含有量が少なすぎる比較例B12は、本発明で規定するクラスタの平均数密度が少なすぎる。この比較例B12は、Si含有量が少なすぎるゆえに、室温時効による耐力上昇は抑制されているが、元々の強度が低すぎ、プレス成形性が劣っている。
したがって、以上の実施例の結果からも、本発明における成分や組織の各要件、あるいは好ましい製造条件の、塗装焼付け硬化性向上や、室温時効による耐力上昇と成形性の低下抑制効果、機械的性質などを兼備するための臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。
Figure 2009242904
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本発明によれば、塗装焼付け硬化性に優れ、1〜4ヶ月間程度の比較的長期に亙る室温時効を抑制したアルミニウム合金板およびその製造方法を提供できる。この結果、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機、家電製品、建築、構造物の部材や部品用として、また、特に、自動車などの輸送機の部材に、6000系アルミニウム合金板の適用を拡大できる。

Claims (5)

  1. 質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.01〜0.5%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板において、この合金板の板厚中央部における組織を100万倍の透過型電子顕微鏡によって分析した際に、明視野像にて暗色コントラストとして観察されるクラスタ(原子の集合体)の内、この暗色コントラストの円等価直径が1〜5nmの範囲のクラスタの平均数密度が4000〜30000個/μm2 であることを特徴とする、塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板。
  2. 前記アルミニウム合金板の板厚中央部の断面における組織を500倍の走査型電子顕微鏡によって分析した際に観察される、Mg−Si化合物の最大となる円等価直径が15μm以下であり、かつ、円等価直径が2μmを超え15μm以下の範囲であるMg−Si化合物の平均数密度が100個/mm2 以上である請求項1に記載の塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板。
  3. 前記アルミニウム合金板が、更に、Fe:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Ti:0.1%以下、Zn:1.0%以下(但し、これらの上限規定は全て0%を含まず)の1種または2種以上を含む請求項1または2に記載の塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板。
  4. 請求項1乃至3のいずれかのアルミニウム合金板の製造方法であって、請求項1か請求項3のいずれかのアルミニウム合金板組成を有するAl−Mg−Si系アルミニウム合金鋳塊を、均質化熱処理後、熱間圧延し、この熱延板を冷間圧延し、更に、この冷延板を溶体化処理後に室温まで焼入れ処理した後、予備時効処理として、10分以内に冷延板を90〜130℃の温度域に再加熱し、到達再加熱温度からの平均冷却速度を0.5〜5℃/hrの範囲で3時間以上保持する熱処理を行い、請求項1乃至2に規定するいずれかの組織を選択的に得ることを特徴とする塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板の製造方法。
  5. 前記製造方法において、前記鋳塊の均質化熱処理を500℃以上、溶融温度以下の温度で4hr以上保持する条件で行った後、鋳塊の温度が300℃〜500℃の間を20〜100℃/hrの平均冷却速度で室温まで一旦冷却し、次いで鋳塊を20〜100℃/hrの平均加熱速度で350℃〜450℃まで再加熱し、この温度域で熱間圧延を開始する、請求項4に記載の塗装焼付け硬化性に優れ、室温時効を抑制したアルミニウム合金板の製造方法。
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