JP3207413B2 - 成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた成形加工用アルミニウム合金材の製造法 - Google Patents
成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた成形加工用アルミニウム合金材の製造法Info
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、自動車のボディシート材をはじめとする輸
送機器の製造に特に適したプレス加工時の成形性、形状
凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた成形加工用アルミニ
ウム合金の製造法に関するものである。
送機器の製造に特に適したプレス加工時の成形性、形状
凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた成形加工用アルミニ
ウム合金の製造法に関するものである。
[従来の技術] 従来より、自動車のボディシート材をはじめとする輸
送機器用材料として各種アルミニウム合金材が開発さ
れ、使用されている。特に近年の地球温暖化対策の各種
法規制の強化により、多くの部品を鉄鋼材料からアルミ
ニウム合金材に転換することで軽量化を図る動きが極め
て活発である。
送機器用材料として各種アルミニウム合金材が開発さ
れ、使用されている。特に近年の地球温暖化対策の各種
法規制の強化により、多くの部品を鉄鋼材料からアルミ
ニウム合金材に転換することで軽量化を図る動きが極め
て活発である。
例えば自動車ボディシート材としては、1)成形性、
2)形状凍結性(プレス加工時にプレス型の形状が正確
にでること)、3)高強度、4)耐デント性、5)耐食
性、等の性能が満たされることが必要である。
2)形状凍結性(プレス加工時にプレス型の形状が正確
にでること)、3)高強度、4)耐デント性、5)耐食
性、等の性能が満たされることが必要である。
こうした中で、プレス加工メーカーの要求の厳しい日
本国内では自動車ボディシート材等用として、成形性の
良い5000系のAl−Mg−Zn−Cu合金(特開昭53−103914、
特開昭58−171547)及びAl−Mg−Cu合金(特開平1−21
9139)の開発が主になされてきた。
本国内では自動車ボディシート材等用として、成形性の
良い5000系のAl−Mg−Zn−Cu合金(特開昭53−103914、
特開昭58−171547)及びAl−Mg−Cu合金(特開平1−21
9139)の開発が主になされてきた。
これに対して、欧米では強度の優れた6000系のAl−Mg
−Si合金として6009、6111、6016合金が開発されてい
る。これらの合金は塗装焼付工程で200℃で30min程度の
加熱処理により高強度が得られ、より一層の薄肉化つま
り軽量化が可能である。
−Si合金として6009、6111、6016合金が開発されてい
る。これらの合金は塗装焼付工程で200℃で30min程度の
加熱処理により高強度が得られ、より一層の薄肉化つま
り軽量化が可能である。
[発明が解決しようとする課題] しかし、日本では塗装焼付温度が塗膜の性能により17
0℃程度と低いため、30minの加熱によって現状の6000系
合金及びそのボデーシート製造工程では高強度化は期待
することができない。さらに、6000系合金では、わずか
ではあるが、室温時効硬化が進み、成形性が劣り、ま
た、耐食性もやや劣るとの問題があり、諸性能に対する
要求の厳しい日本では5000系合金に対してメリットがな
く採用例はなかった。
0℃程度と低いため、30minの加熱によって現状の6000系
合金及びそのボデーシート製造工程では高強度化は期待
することができない。さらに、6000系合金では、わずか
ではあるが、室温時効硬化が進み、成形性が劣り、ま
た、耐食性もやや劣るとの問題があり、諸性能に対する
要求の厳しい日本では5000系合金に対してメリットがな
く採用例はなかった。
一方、形状凍結性については、弾性係数が大きいほ
ど、また耐力が小さいほど良好となる(参考:SAE Paper
No.890719)。アルミニウム合金の弾性係数は7000kgf/
mm2であり、鉄鋼の21000kgf/mm2の約1/3であることか
ら、プレス加工時のアルミニウム合金板の耐力をかなり
小さくしないかぎり鋼板と同様の形状凍結性の材料を得
ることができない。発明者らの実験によると、耐力は14
kgf/mm2より低いことが望ましい。しかしながら、構造
体として鋼板並の約30kgf/mm2の引張強さを得ようとす
ると、従来法で製造したアルミニウム合金板では5000
系、6000系合金ともに耐力が14kgf/mm2程度以上となっ
てしまい、この値の耐力では形状凍結性に劣る傾向があ
った。
ど、また耐力が小さいほど良好となる(参考:SAE Paper
No.890719)。アルミニウム合金の弾性係数は7000kgf/
mm2であり、鉄鋼の21000kgf/mm2の約1/3であることか
ら、プレス加工時のアルミニウム合金板の耐力をかなり
小さくしないかぎり鋼板と同様の形状凍結性の材料を得
ることができない。発明者らの実験によると、耐力は14
kgf/mm2より低いことが望ましい。しかしながら、構造
体として鋼板並の約30kgf/mm2の引張強さを得ようとす
ると、従来法で製造したアルミニウム合金板では5000
系、6000系合金ともに耐力が14kgf/mm2程度以上となっ
てしまい、この値の耐力では形状凍結性に劣る傾向があ
った。
したがってプレス加工前の耐力が14kgf/mm2を極力下
回り形状凍結性を向上させるとともに、170℃−30min程
度の塗装焼付工程で硬化し、耐力及び引張強さが著しく
増加し、耐デント性、構造強度が向上すれば以上の問題
点は全て解決される。しかし、従来法で製造した既存合
金ではプレス加工時の優れた形状凍結性と塗装焼付後の
優れた耐デント性や構造強度の両者を満足することはで
きなかった。
回り形状凍結性を向上させるとともに、170℃−30min程
度の塗装焼付工程で硬化し、耐力及び引張強さが著しく
増加し、耐デント性、構造強度が向上すれば以上の問題
点は全て解決される。しかし、従来法で製造した既存合
金ではプレス加工時の優れた形状凍結性と塗装焼付後の
優れた耐デント性や構造強度の両者を満足することはで
きなかった。
そこで、本発明においては化学成分及び加工熱処理工
程の詳細な検討により、室温時効硬化が抑制され成形性
が向上するとともに、形状凍結性が向上し、また、塗装
焼付硬化性に優れたプレス加工用の材料を提供するもの
である。
程の詳細な検討により、室温時効硬化が抑制され成形性
が向上するとともに、形状凍結性が向上し、また、塗装
焼付硬化性に優れたプレス加工用の材料を提供するもの
である。
[課題を解決するための手段] 本発明は、重量%で Si:0.4%以上1.5%未満 Mg:0.3%以上0.5%未満 Cu:0.15%以下 Mn:0.20%以下 Cr:0.20%以下 を含有し、残部はAlからなる合金を半連続鋳造し、得ら
れた鋳塊を圧延後、100℃/min以上の昇温速度で450℃以
上580℃未満の保持温度に加熱し、450℃から保持温度に
達し保持完了するまでの時間を10s以上10min未満として
溶体化処理した後、150℃以下まで100℃/min以上の速度
で室温まで冷却の後、60min以内の時間室温に放置し、5
0℃以上150℃以下に10min以上300min以下保持すること
を特徴とする成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に
優れた成形加工用アルミニウム合金材の製造法である。
れた鋳塊を圧延後、100℃/min以上の昇温速度で450℃以
上580℃未満の保持温度に加熱し、450℃から保持温度に
達し保持完了するまでの時間を10s以上10min未満として
溶体化処理した後、150℃以下まで100℃/min以上の速度
で室温まで冷却の後、60min以内の時間室温に放置し、5
0℃以上150℃以下に10min以上300min以下保持すること
を特徴とする成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に
優れた成形加工用アルミニウム合金材の製造法である。
上記本発明における合金の成分の限定理由は次のとお
りである。
りである。
Si:高強度を得るために必要で、Mg2Siを形成して高強度
を得ることができる。その量が0.4%未満では塗装焼付
による加熱がなされても十分な強度が得られない。ま
た、1.5%以上では、溶体化処理後もしくは最終熱処理
完了後の耐力が高く、成形性及び形状凍結性が劣る。
を得ることができる。その量が0.4%未満では塗装焼付
による加熱がなされても十分な強度が得られない。ま
た、1.5%以上では、溶体化処理後もしくは最終熱処理
完了後の耐力が高く、成形性及び形状凍結性が劣る。
Mg:Siと同様に高強度を得るために必要で、0.3%未満で
は塗装焼付時の加熱で十分な強度が得られない。また、
0.5%以上では、溶体化処理後もしくは最終熱処理完了
後の耐力が高く成形性及び形状凍結性が劣る。
は塗装焼付時の加熱で十分な強度が得られない。また、
0.5%以上では、溶体化処理後もしくは最終熱処理完了
後の耐力が高く成形性及び形状凍結性が劣る。
Cu:Cuを添加することにより、さらに強度を増すことが
できる。しかし、0.20%を越えて添加すると、溶体化処
理後もしくは最終熱処理完了後の耐力が高く、成形性及
び形状凍結性が劣るとともに糸錆性が劣る。
できる。しかし、0.20%を越えて添加すると、溶体化処
理後もしくは最終熱処理完了後の耐力が高く、成形性及
び形状凍結性が劣るとともに糸錆性が劣る。
Mn:Mnを添加することにより、さらに強度を増すことが
でき、また結晶粒を微細化することができ、成形性が向
上する。しかし、0.20%を越えて添加すると溶体化処理
後もしくは最終熱処理完了後の耐力が高く、成形性及び
形状凍結性が劣るとともに、粗大な金属間化合物が増え
てくるため、成形性が低下する。
でき、また結晶粒を微細化することができ、成形性が向
上する。しかし、0.20%を越えて添加すると溶体化処理
後もしくは最終熱処理完了後の耐力が高く、成形性及び
形状凍結性が劣るとともに、粗大な金属間化合物が増え
てくるため、成形性が低下する。
Cr:Crを添加することにより、さらに強度を増すことが
でき、また、結晶粒を微細化することができ、成形性が
向上する。しかし、0.20%を越えて添加すると、溶体化
処理後もしくは最終熱処理完了後の耐力が高く、成形性
及び形状凍結性が劣るとともに、粗大な金属間化合物が
増えてくるため、成形性が低下する。
でき、また、結晶粒を微細化することができ、成形性が
向上する。しかし、0.20%を越えて添加すると、溶体化
処理後もしくは最終熱処理完了後の耐力が高く、成形性
及び形状凍結性が劣るとともに、粗大な金属間化合物が
増えてくるため、成形性が低下する。
又、処理条件の限定理由は下記のとおりである。
溶体化処理:100℃/min未満の昇温速度では結晶粒が粗大
化し、成形性が劣る。又、加熱温度は450℃未満では、
析出物の固溶が不十分であり、塗装焼付後に十分な強度
が得られず、580℃以上では共晶融解により成形性が劣
る。また450℃以上の保持時間は10s未満では析出物の固
溶が不十分であり、塗装焼付後に十分な強度が得られ
ず、10min以上保持してもそれ以上性能が上がることは
ないため、工業的に価値は少ない。
化し、成形性が劣る。又、加熱温度は450℃未満では、
析出物の固溶が不十分であり、塗装焼付後に十分な強度
が得られず、580℃以上では共晶融解により成形性が劣
る。また450℃以上の保持時間は10s未満では析出物の固
溶が不十分であり、塗装焼付後に十分な強度が得られ
ず、10min以上保持してもそれ以上性能が上がることは
ないため、工業的に価値は少ない。
冷却工程:溶体化処理後の150℃(以下)までの冷却速
度は100℃/min以上とする。100℃/min未満の冷却速度で
は粒界に粗大な金属間化合物が析出し、延性が低下する
ので成形性が劣る。
度は100℃/min以上とする。100℃/min未満の冷却速度で
は粒界に粗大な金属間化合物が析出し、延性が低下する
ので成形性が劣る。
室温放置時間:室温放置時間はできるだけ短い方がよ
い。長くても60minが限度で、60minを越えるとGPゾーン
が発達し、プレス加工後に170℃程度で塗装焼付して
も、GPゾーンの分解に時間がかかり硬化しにくくなる。
い。長くても60minが限度で、60minを越えるとGPゾーン
が発達し、プレス加工後に170℃程度で塗装焼付して
も、GPゾーンの分解に時間がかかり硬化しにくくなる。
最終熱処理:60min以内の保持後に50℃以上150℃以下に1
0min以上300min以下保持することにより、クラスタを形
成する。これにより、GPゾーン形成による室温時効硬化
を抑制し良好な成形性を維持するとともに、塗装焼付の
170℃程度に加熱した時に短時間で硬化しやすくなる。
温度については50℃未満もしくは150℃を越えると、ま
た保持時間は10min未満もしくは300minを越えるとクラ
スタの形成が不十分で、塗装焼付時に硬化しにくくな
る。
0min以上300min以下保持することにより、クラスタを形
成する。これにより、GPゾーン形成による室温時効硬化
を抑制し良好な成形性を維持するとともに、塗装焼付の
170℃程度に加熱した時に短時間で硬化しやすくなる。
温度については50℃未満もしくは150℃を越えると、ま
た保持時間は10min未満もしくは300minを越えるとクラ
スタの形成が不十分で、塗装焼付時に硬化しにくくな
る。
[実施例] 実施例1 第1表に示す合金を半連続鋳造後、鋳肌部の表面切削
を行った。次いで550℃で24hの均質化処理後、500℃ま
で降温しその温度で熱間圧延を開始し、厚さ5mmまで圧
延した。次に350℃にて1hのバッチ炉での中間焼鈍を行
った。そして冷間圧延を経て、厚さ1mmの板とした。さ
らに連続焼鈍炉において第2表に示す条件において溶体
化処理を行い、冷却後、所定の室温で放置後、第2表に
示す条件の最終熱処理を施し、レベラー矯正を施した。
これらの材料の機械的性質の評価は、最終熱処理後1カ
月室温時効させた後に行った。
を行った。次いで550℃で24hの均質化処理後、500℃ま
で降温しその温度で熱間圧延を開始し、厚さ5mmまで圧
延した。次に350℃にて1hのバッチ炉での中間焼鈍を行
った。そして冷間圧延を経て、厚さ1mmの板とした。さ
らに連続焼鈍炉において第2表に示す条件において溶体
化処理を行い、冷却後、所定の室温で放置後、第2表に
示す条件の最終熱処理を施し、レベラー矯正を施した。
これらの材料の機械的性質の評価は、最終熱処理後1カ
月室温時効させた後に行った。
第3表に供試材の評価結果を示す。判定は1カ月室温
時効後の耐力が13.5kgf/mm2以下のものを優れた形状凍
結性があるとし、伸びが28%以上及びエリクセン値が9.
5mm以上のものを良好な成形性があるとし、1カ月室温
時効後でも170℃に30min加熱した後の耐力の増加が5kgf
/mm2以上であるものを塗装焼付硬化性が良好とし、か
つ、170℃に30min加熱した後の耐力が13.5kgf/mm2以上
のものをデント性が良好な材料とし、これらをすべて満
たすものを合格とした。さらに結晶粒径については、板
面の観察において100μm以下を合格とした。
時効後の耐力が13.5kgf/mm2以下のものを優れた形状凍
結性があるとし、伸びが28%以上及びエリクセン値が9.
5mm以上のものを良好な成形性があるとし、1カ月室温
時効後でも170℃に30min加熱した後の耐力の増加が5kgf
/mm2以上であるものを塗装焼付硬化性が良好とし、か
つ、170℃に30min加熱した後の耐力が13.5kgf/mm2以上
のものをデント性が良好な材料とし、これらをすべて満
たすものを合格とした。さらに結晶粒径については、板
面の観察において100μm以下を合格とした。
本発明例1〜8は、いずれも特許請求範囲内であり、
良好な性能が得られている。
良好な性能が得られている。
比較例1はSi量が、また比較例2はMg量がそれぞれ特
許請求範囲の下限よりも少ないため、170℃−30min加熱
後においても耐力が低かった。比較例3はSi量及びMg
量、比較例4はCu量、比較例5はMn量、比較例6はMn量
及びCr量がそれぞれ特許請求範囲の上限よりも多かった
ため、最終熱処理後の耐力が高すぎ、1カ月室温時効後
の耐力も13.5kgf/mm2を越えたため、形状凍結性が悪
く、成形性も悪かった。比較例7は溶体化処理時の昇温
速度が小さかったため、結晶粒が粗大化した。また、冷
却速度が小さかったために粒界析出が激しく、このため
伸びが小さく成形性が悪かった。比較例8は溶体化処理
における450℃以上の保持時間が短かったため、耐力の
増加が低かった。比較例9は溶体化処理温度が高すぎた
ため、共晶融解を起こし板切れを引き起こしたため以後
の熱処理及び評価を中止した。比較例10は最終熱処理に
おける保持時間が特許請求範囲の下限値よりも短かった
ため、室温時効硬化により耐力が13.5kgf/mm2を越え、
形状凍結性が低下したばかりでなく、170℃加熱後の強
度の増加が少なかった。比較例11は従来の製造法によ
り、溶体化処理後、室温に放置したままで所定の最終熱
処理を行わなかったため、比較例10と同様に室温時効硬
化が抑えきれなかったばかりでなく、170℃加熱後の強
度の増加が少なかった。比較例12は最終熱処理における
保持温度が特許請求範囲の上限よりも高かったため、材
料がかえって硬化し良好な成形性が得られなかった。
許請求範囲の下限よりも少ないため、170℃−30min加熱
後においても耐力が低かった。比較例3はSi量及びMg
量、比較例4はCu量、比較例5はMn量、比較例6はMn量
及びCr量がそれぞれ特許請求範囲の上限よりも多かった
ため、最終熱処理後の耐力が高すぎ、1カ月室温時効後
の耐力も13.5kgf/mm2を越えたため、形状凍結性が悪
く、成形性も悪かった。比較例7は溶体化処理時の昇温
速度が小さかったため、結晶粒が粗大化した。また、冷
却速度が小さかったために粒界析出が激しく、このため
伸びが小さく成形性が悪かった。比較例8は溶体化処理
における450℃以上の保持時間が短かったため、耐力の
増加が低かった。比較例9は溶体化処理温度が高すぎた
ため、共晶融解を起こし板切れを引き起こしたため以後
の熱処理及び評価を中止した。比較例10は最終熱処理に
おける保持時間が特許請求範囲の下限値よりも短かった
ため、室温時効硬化により耐力が13.5kgf/mm2を越え、
形状凍結性が低下したばかりでなく、170℃加熱後の強
度の増加が少なかった。比較例11は従来の製造法によ
り、溶体化処理後、室温に放置したままで所定の最終熱
処理を行わなかったため、比較例10と同様に室温時効硬
化が抑えきれなかったばかりでなく、170℃加熱後の強
度の増加が少なかった。比較例12は最終熱処理における
保持温度が特許請求範囲の上限よりも高かったため、材
料がかえって硬化し良好な成形性が得られなかった。
実施例2 第4表に示す合金を半連続鋳造後、鋳肌部の表面切削
を行った。次いで550℃で24hの均質化処理後、500℃ま
で降温しその温度で熱間圧延を開始し、厚さ2mmまで圧
延した。次に連続焼鈍炉において第5表に示す条件にお
いて溶体化処理を行い、冷却した。さらに所定の室温で
放置後、第5表に示す条件の最終熱処理を施し、レベラ
ー矯正した。
を行った。次いで550℃で24hの均質化処理後、500℃ま
で降温しその温度で熱間圧延を開始し、厚さ2mmまで圧
延した。次に連続焼鈍炉において第5表に示す条件にお
いて溶体化処理を行い、冷却した。さらに所定の室温で
放置後、第5表に示す条件の最終熱処理を施し、レベラ
ー矯正した。
第6表に供試材の評価結果を示す。これらの材料の評
価及び合否の判定基準は実施例1と同様とした。
価及び合否の判定基準は実施例1と同様とした。
本発明例21〜25は、いずれも特許請求範囲内のため、
良好な性能が得られている。
良好な性能が得られている。
比較例21はSi量及びMg量が特許請求範囲の下限より少
ないため、170℃の30min加熱後においても強度が低かっ
た。比較例22はSi量が、比較例23はMg量がいずれも特許
請求範囲の上限よりも多かったため、耐力が高すぎて形
状凍結性が悪く、伸び及びエリクセン値が低く成形性も
悪かった。比較例24は溶体化処理時の昇温速度が小さか
ったため、結晶粒が粗大化した。また、冷却速度が小さ
かったために粒界析出が激しく、このため伸び及びエリ
クセン値が低かった。比較例25は溶体化処理後、最終熱
処理までに20℃において100min間も保持してしまったた
め、その間にGPゾーンが多く形成され、170℃に30min加
熱しても高強度を得ることができなかった。比較例26は
最終熱処理が短すぎたため、クラスタの形成が不十分で
あり、熱処理後に室温時効硬化が進行し成形性がやや低
下した。また170℃に加熱しても高強度を得ることがで
きなかった。比較例27では最終熱処理温度が高すぎたた
め、材料が硬化し成形性が低下した。
ないため、170℃の30min加熱後においても強度が低かっ
た。比較例22はSi量が、比較例23はMg量がいずれも特許
請求範囲の上限よりも多かったため、耐力が高すぎて形
状凍結性が悪く、伸び及びエリクセン値が低く成形性も
悪かった。比較例24は溶体化処理時の昇温速度が小さか
ったため、結晶粒が粗大化した。また、冷却速度が小さ
かったために粒界析出が激しく、このため伸び及びエリ
クセン値が低かった。比較例25は溶体化処理後、最終熱
処理までに20℃において100min間も保持してしまったた
め、その間にGPゾーンが多く形成され、170℃に30min加
熱しても高強度を得ることができなかった。比較例26は
最終熱処理が短すぎたため、クラスタの形成が不十分で
あり、熱処理後に室温時効硬化が進行し成形性がやや低
下した。また170℃に加熱しても高強度を得ることがで
きなかった。比較例27では最終熱処理温度が高すぎたた
め、材料が硬化し成形性が低下した。
[発明の効果] 本発明によって、室温時効硬化が抑制され成形性が向
上するとともに、形状凍結性が向上し、また、塗装焼付
硬化性に優れたプレス加工用の材料を供給することがで
きる。そして、従来より薄い板の各種成形材が製造可能
となり、より一層の加工品の軽量化を促進することが可
能となる。さらに本発明は主に板材の例を述べたが、押
出材等の他の製造方法の場合にも合金製造の原理は同じ
であるため、適用可能である。
上するとともに、形状凍結性が向上し、また、塗装焼付
硬化性に優れたプレス加工用の材料を供給することがで
きる。そして、従来より薄い板の各種成形材が製造可能
となり、より一層の加工品の軽量化を促進することが可
能となる。さらに本発明は主に板材の例を述べたが、押
出材等の他の製造方法の場合にも合金製造の原理は同じ
であるため、適用可能である。
また、塗装焼付温度が近い将来150℃もしくはそれ以
下に低下しても、170℃加熱ほどの硬化は期待できない
が、本発明によって製造すれば、従来法よりも明らかに
良好な性能のものが得られる。
下に低下しても、170℃加熱ほどの硬化は期待できない
が、本発明によって製造すれば、従来法よりも明らかに
良好な性能のものが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−89852(JP,A) 特開 平2−205660(JP,A) 特開 平1−111851(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22F 1/04 - 1/057 C22C 21/00 - 21/18
Claims (1)
- 【請求項1】重量%でSi:0.4%以上1.5%未満 Mg:0.3%以上0.5%未満 Cu:0.15%以下 Mn:0.20%以下 Cr:0.20%以下 を含有し、残部はAlからなる合金を半連続鋳造し、得ら
れた鋳塊を圧延後100℃/min以上の昇温速度で450℃以上
580℃未満の保持温度に加熱し、450℃から保持温度に達
し保持完了するまでの時間を10s以上10min未満として溶
体化処理した後、150℃以下まで100℃/min以上の速度で
室温まで冷却の後、60min以内の時間室温に放置し、50
℃以上150℃以下に10min以上300min以下保持することを
特徴とする成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に優
れた成形加工用アルミニウム合金材の製造法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26950890A JP3207413B2 (ja) | 1990-10-09 | 1990-10-09 | 成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた成形加工用アルミニウム合金材の製造法 |
EP19910117216 EP0480402B1 (en) | 1990-10-09 | 1991-10-09 | Process for manufacturing aluminium alloy material with excellent formability, shape fixability and bake hardenability |
DE1991607392 DE69107392T2 (de) | 1990-10-09 | 1991-10-09 | Verfahren zur Herstellung eines Werkstoffes aus eines Aluminiumlegierung mit ausgezeichneter Pressverformbarkeit und Einbrennhärtbarkeit. |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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