JPH05247610A - 成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた異方性の少ないアルミニウム合金材の製造法 - Google Patents
成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた異方性の少ないアルミニウム合金材の製造法Info
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- JPH05247610A JPH05247610A JP3077099A JP7709991A JPH05247610A JP H05247610 A JPH05247610 A JP H05247610A JP 3077099 A JP3077099 A JP 3077099A JP 7709991 A JP7709991 A JP 7709991A JP H05247610 A JPH05247610 A JP H05247610A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、自動車のボディシート材をはじめ
とする輸送機器の製造に特に適したプレス加工時の成形
性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた異方性の少
ないアルミニウム合金材の製造法に関する。 【構成】 Si:0.4%以上1.5%未満、Mg:
0.3%以上0.5%未満、V:0.02%以上0.2
%以下、残Al並びに不可避不純物からなる合金を半連
続鋳造し、得られた鋳塊を通常の方法で最終板厚まで圧
延後特定条件で加熱、溶体化処理後、室温放置して熱処
理する方法である。 【効果】 薄い板の製造が可能となり、自動車等の軽量
化を促進することができる。
とする輸送機器の製造に特に適したプレス加工時の成形
性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた異方性の少
ないアルミニウム合金材の製造法に関する。 【構成】 Si:0.4%以上1.5%未満、Mg:
0.3%以上0.5%未満、V:0.02%以上0.2
%以下、残Al並びに不可避不純物からなる合金を半連
続鋳造し、得られた鋳塊を通常の方法で最終板厚まで圧
延後特定条件で加熱、溶体化処理後、室温放置して熱処
理する方法である。 【効果】 薄い板の製造が可能となり、自動車等の軽量
化を促進することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のボディシート
材をはじめとする輸送機器の製造に特に適したプレス加
工時の成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた
異方性の少ないアルミニウム合金材の製造法に関するも
のである。
材をはじめとする輸送機器の製造に特に適したプレス加
工時の成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた
異方性の少ないアルミニウム合金材の製造法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車のボティシート材をは
じめとする輸送機器用材料として各種アルミニウム合金
材が開発され、使用されている。特に近年の地球温暖化
対策の各種法規制の強化により、多くの部品を鉄鋼材料
からアルミニウム合金材に転換することで軽量化を図る
動きが極めて活発である。
じめとする輸送機器用材料として各種アルミニウム合金
材が開発され、使用されている。特に近年の地球温暖化
対策の各種法規制の強化により、多くの部品を鉄鋼材料
からアルミニウム合金材に転換することで軽量化を図る
動きが極めて活発である。
【0003】例えば自動車ボティシート材としては、
1) 成形性、 2) 形状凍結性(プレス加工時にプレス型
の形状が正確にでること)、 3) 高強度、 4) 耐デント
性、 5) 耐食性、等の性能が満たされることが必要であ
る。
1) 成形性、 2) 形状凍結性(プレス加工時にプレス型
の形状が正確にでること)、 3) 高強度、 4) 耐デント
性、 5) 耐食性、等の性能が満たされることが必要であ
る。
【0004】こうした中で、プレス加工メーカーの要求
の厳しい日本国内では自動車ボティシート材等用とし
て、成形性の良い5000系のAl−Mg−Zn−Cu合金
(特開昭53−103914、特開昭58−171547)及びAl−M
g−Cu合金(特開平 1−219139)の開発が主になされ
てきた。
の厳しい日本国内では自動車ボティシート材等用とし
て、成形性の良い5000系のAl−Mg−Zn−Cu合金
(特開昭53−103914、特開昭58−171547)及びAl−M
g−Cu合金(特開平 1−219139)の開発が主になされ
てきた。
【0005】これに対して、欧米では強度の優れた6000
系のAl−Mg−Si合金として6009、6111、6016合金
が開発されている。これらの合金は塗装焼付工程で 200
℃で30min 程度の加熱処理により高強度が得られ、より
一層の薄肉化つまり軽量化が可能である。
系のAl−Mg−Si合金として6009、6111、6016合金
が開発されている。これらの合金は塗装焼付工程で 200
℃で30min 程度の加熱処理により高強度が得られ、より
一層の薄肉化つまり軽量化が可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、日本では塗装
焼付温度が 170℃程度と低いため、30min の加熱によっ
て現状の合金及び製造工程では高強度化は期待すること
ができない。さらに、わずかではあるが、室温時効硬化
が進み、成形性が劣り、また、耐食性もやや劣るとの問
題があり、諸性能に対する要求の厳しい日本では5000系
合金に対して6000系合金はメリットがなく採用例はなか
った。
焼付温度が 170℃程度と低いため、30min の加熱によっ
て現状の合金及び製造工程では高強度化は期待すること
ができない。さらに、わずかではあるが、室温時効硬化
が進み、成形性が劣り、また、耐食性もやや劣るとの問
題があり、諸性能に対する要求の厳しい日本では5000系
合金に対して6000系合金はメリットがなく採用例はなか
った。
【0007】一方、形状凍結性について、弾性係数が大
きいほど、また耐力が小さいほど良好となる(参考:SA
E Paper No.890719)。アルミニウム合 金の弾性係数は
7000kgf/mm2であり、鉄鋼の21000kgf/mm2の約1/3 であ
ることから、プレス加工時のアルミニウム合金板の耐力
をかなり小さくしないかぎり鋼板と同様の形状凍結性の
材料を得ることができない。しかしながら、構造体とし
て鋼板並の約30kgf/mmの引張強さを得ようとすると、従
来法で製造したアルミニウム合金板では5000系、6000系
合金ともに耐力が14kgf/mm2程度以上となってしまい、
この値の耐力では形状凍結性に劣る傾向があった。
きいほど、また耐力が小さいほど良好となる(参考:SA
E Paper No.890719)。アルミニウム合 金の弾性係数は
7000kgf/mm2であり、鉄鋼の21000kgf/mm2の約1/3 であ
ることから、プレス加工時のアルミニウム合金板の耐力
をかなり小さくしないかぎり鋼板と同様の形状凍結性の
材料を得ることができない。しかしながら、構造体とし
て鋼板並の約30kgf/mmの引張強さを得ようとすると、従
来法で製造したアルミニウム合金板では5000系、6000系
合金ともに耐力が14kgf/mm2程度以上となってしまい、
この値の耐力では形状凍結性に劣る傾向があった。
【0008】したがってプレス加工前の耐力が14kgf/mm
2を極力下回り形状凍結性を向上させるとともに、 170
℃−30min 程度の塗装焼付工程で硬化し、耐力及び引張
強さが著しく増加し、耐デント性、構造強度が向上すれ
ば以上の問題点は全て解決される。しかし、従来法で製
造した既存合金では両者を満足することはできなかっ
た。
2を極力下回り形状凍結性を向上させるとともに、 170
℃−30min 程度の塗装焼付工程で硬化し、耐力及び引張
強さが著しく増加し、耐デント性、構造強度が向上すれ
ば以上の問題点は全て解決される。しかし、従来法で製
造した既存合金では両者を満足することはできなかっ
た。
【0009】そこで、本発明においては化学成分及び加
工熱処理工程の詳細な検討により、室温時効硬化が抑制
され成形性が向上するとともに、形状凍結性が向上し、
また、塗装焼付硬化性に優れたプレス加工用の材料を提
供するものである。
工熱処理工程の詳細な検討により、室温時効硬化が抑制
され成形性が向上するとともに、形状凍結性が向上し、
また、塗装焼付硬化性に優れたプレス加工用の材料を提
供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量%でS
i: 0.4%以上 1.5%未満、Mg: 0.3%以上 0.5%未
満、V:0.02%以上、 0.2%以下、もしくは、さらにC
u:0.20%以下、Mn:0.20%以下、Cr:0.20%以下
の1種以上を含有し、残部はAlからなる合金を半連続
鋳造し、得られた鋳塊を通常の方法で最終板厚まで圧延
した後、 100℃/min以上の昇温速度で 450℃以上 580℃
未満に加熱し、この温度範囲で10s以上10min 未満の保
持の溶体化処理後、150 ℃以下まで 100℃/min以上の速
度で冷却の後、室温放置時間を60min 未満とした後、50
℃以上 150℃以下に10min 以上500min以下保持すること
を特徴とする成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に
優れた異方性の少ないアルミニウム合金材の製造法であ
る。
i: 0.4%以上 1.5%未満、Mg: 0.3%以上 0.5%未
満、V:0.02%以上、 0.2%以下、もしくは、さらにC
u:0.20%以下、Mn:0.20%以下、Cr:0.20%以下
の1種以上を含有し、残部はAlからなる合金を半連続
鋳造し、得られた鋳塊を通常の方法で最終板厚まで圧延
した後、 100℃/min以上の昇温速度で 450℃以上 580℃
未満に加熱し、この温度範囲で10s以上10min 未満の保
持の溶体化処理後、150 ℃以下まで 100℃/min以上の速
度で冷却の後、室温放置時間を60min 未満とした後、50
℃以上 150℃以下に10min 以上500min以下保持すること
を特徴とする成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に
優れた異方性の少ないアルミニウム合金材の製造法であ
る。
【0011】上記本発明における合金の成分の限定理由
は次のとおりである。 Si:高強度を得るために必要で、Mg2Siを形成し
て高強度を得ることができる。その量が 0.4%未満では
塗装焼付による加熱がなされても十分な強度が得られな
い。また、 1.5%以上では、溶体化処理後もしくは最終
熱処理完了後の耐力が高く、成形性及び形状凍結性が劣
る。
は次のとおりである。 Si:高強度を得るために必要で、Mg2Siを形成し
て高強度を得ることができる。その量が 0.4%未満では
塗装焼付による加熱がなされても十分な強度が得られな
い。また、 1.5%以上では、溶体化処理後もしくは最終
熱処理完了後の耐力が高く、成形性及び形状凍結性が劣
る。
【0012】Mg:Siと同様に高強度を得るために必
要で、 0.3%未満では塗装焼付時の加熱で十分な強度が
得られない。また、 0.5%以上では、溶体化処理後もし
くは最終熱処理完了後の耐力が高く成形性及び形状凍結
性が劣る。
要で、 0.3%未満では塗装焼付時の加熱で十分な強度が
得られない。また、 0.5%以上では、溶体化処理後もし
くは最終熱処理完了後の耐力が高く成形性及び形状凍結
性が劣る。
【0013】V:Vを添加することにより、さらに強度
を増すことができ、また、機械的性質の等方性を向上さ
せることができる。しかし、0.02%未満ではその効果が
なく、 0.2%を越えて添加すると溶体化処理後もしくは
最終熱処理完了後の耐力が高く成形性及び形状凍結性が
劣る。
を増すことができ、また、機械的性質の等方性を向上さ
せることができる。しかし、0.02%未満ではその効果が
なく、 0.2%を越えて添加すると溶体化処理後もしくは
最終熱処理完了後の耐力が高く成形性及び形状凍結性が
劣る。
【0014】Cu:Cuを添加することにより、さらに
強度を増すことができる。しかし、0.20%を越えて添加
すると、溶体化処理後もしくは最終熱処理完了後の耐力
が高く、成形性及び形状凍結性が劣るとともに糸錆性が
劣る。
強度を増すことができる。しかし、0.20%を越えて添加
すると、溶体化処理後もしくは最終熱処理完了後の耐力
が高く、成形性及び形状凍結性が劣るとともに糸錆性が
劣る。
【0015】Mn:Mnを添加することにより、さらに
強度を増すことができ、また結晶粒を微細化することが
でき、成形性が向上する。しかし、0.20%を越えて添加
すると溶体化処理後もしくは最終熱処理完了後の耐力が
高く、成形性及び形状凍結性が劣るとともに、粗大な金
属間化合物が増えてくるため、成形性が低下する。
強度を増すことができ、また結晶粒を微細化することが
でき、成形性が向上する。しかし、0.20%を越えて添加
すると溶体化処理後もしくは最終熱処理完了後の耐力が
高く、成形性及び形状凍結性が劣るとともに、粗大な金
属間化合物が増えてくるため、成形性が低下する。
【0016】Cr:Crを添加することにより、さらに
強度を増すことができ、また、結晶粒を微細化すること
ができ、成形性が向上する。しかし、0.20%を越えて添
加すると、溶体化処理後もしくは最終熱処理完了後の耐
力が高く、成形性及び形状凍結性が劣るとともに、粗大
な金属間化合物が増えてくるため、成形性が低下する。
強度を増すことができ、また、結晶粒を微細化すること
ができ、成形性が向上する。しかし、0.20%を越えて添
加すると、溶体化処理後もしくは最終熱処理完了後の耐
力が高く、成形性及び形状凍結性が劣るとともに、粗大
な金属間化合物が増えてくるため、成形性が低下する。
【0017】又、処理条件の限定理由は下記のとおりで
ある。 溶体化処理: 100℃/min未満の昇温速度では結晶粒が粗
大化し、成形性が劣る。又、加熱温度は 450℃未満で
は、析出物の固溶が不十分であり、塗装焼付後に十分な
強度が得られず、 580℃以上では共晶融解により成形性
が劣る。また 450℃以上での保持時間は10s未満では析
出物の固溶が不十分であり、塗装焼付後に十分な強度が
得られず、10min 以上保持してもそれ以上性能が上がる
ことはないため、工業的に価値は少ない。
ある。 溶体化処理: 100℃/min未満の昇温速度では結晶粒が粗
大化し、成形性が劣る。又、加熱温度は 450℃未満で
は、析出物の固溶が不十分であり、塗装焼付後に十分な
強度が得られず、 580℃以上では共晶融解により成形性
が劣る。また 450℃以上での保持時間は10s未満では析
出物の固溶が不十分であり、塗装焼付後に十分な強度が
得られず、10min 以上保持してもそれ以上性能が上がる
ことはないため、工業的に価値は少ない。
【0018】冷却工程:溶体化処理後の 150℃までの冷
却速度は、 100℃/min未満では粒界に粗大な金属間化合
物が析出し、延性が低下するので成形性が劣る。
却速度は、 100℃/min未満では粒界に粗大な金属間化合
物が析出し、延性が低下するので成形性が劣る。
【0019】室温放置時間:室温放置時間はできるだけ
短い方がよい。長くても60min が限度で、60min を越え
るとGPゾーンが発達し、プレス加工後に 170℃程度で
塗装焼付しても、GPゾーンの分解に時間がかかり硬化
しにくくなる。
短い方がよい。長くても60min が限度で、60min を越え
るとGPゾーンが発達し、プレス加工後に 170℃程度で
塗装焼付しても、GPゾーンの分解に時間がかかり硬化
しにくくなる。
【0020】室温放置後の最終熱処理:60min 未満の保
持後に50℃以上 150℃以下に10min以上500min以下保持
することにより、クラスタを形成する。これにより、G
Pゾーン形成による室温時効硬化を抑制し良好な成形性
を維持するとともに、塗装焼付の 170℃程度に加熱した
時に短時間で硬化しやすくなる。温度については50℃未
満もしくは 150℃を越えると、また保持時間は10min 未
満もしくは500minを越えるとクラスタの形成が不十分
で、塗装焼付時に硬化しにくくなる。
持後に50℃以上 150℃以下に10min以上500min以下保持
することにより、クラスタを形成する。これにより、G
Pゾーン形成による室温時効硬化を抑制し良好な成形性
を維持するとともに、塗装焼付の 170℃程度に加熱した
時に短時間で硬化しやすくなる。温度については50℃未
満もしくは 150℃を越えると、また保持時間は10min 未
満もしくは500minを越えるとクラスタの形成が不十分
で、塗装焼付時に硬化しにくくなる。
【0021】
【実施例】表1に示す合金を半連続鋳造後、鋳肌部の表
面切削を行った。表1中に示すFe、Tiは不純物であ
る。次いで 550℃で24hの均質化処理後、 520℃まで降
温しその温度で熱間圧延を開始し、厚さ 5mmまで圧延し
た。次に 350℃にて1hのバッチ炉での中間焼鈍を行っ
た。そして冷間圧延を経て、厚さ 1mmの板とした。さら
に連続焼鈍炉において表2に示す条件において溶体化処
理を行い、冷却の後、所定の室温で放置後、表2に示す
条件の最終熱処理を施した。これらの材料の機械的性質
の評価は、最終熱処理後1カ月室温時効させた後に行っ
た。
面切削を行った。表1中に示すFe、Tiは不純物であ
る。次いで 550℃で24hの均質化処理後、 520℃まで降
温しその温度で熱間圧延を開始し、厚さ 5mmまで圧延し
た。次に 350℃にて1hのバッチ炉での中間焼鈍を行っ
た。そして冷間圧延を経て、厚さ 1mmの板とした。さら
に連続焼鈍炉において表2に示す条件において溶体化処
理を行い、冷却の後、所定の室温で放置後、表2に示す
条件の最終熱処理を施した。これらの材料の機械的性質
の評価は、最終熱処理後1カ月室温時効させた後に行っ
た。
【0022】表3に供試材の評価結果を示す。判定は1
カ月室温時効後の耐力が13.5kgf/mm2以下のものを優れ
た形状凍結性があるとし、伸びが28%以上及びエリクセ
ン値が9.5mm 以上のものを良好な成形性があるもの、圧
延0°と90°方向の伸びの差が2%以内であるものを
異方性が少ないとし、かつ、1カ月室温時効後でも 170
℃に30min 加熱した後の耐力の増加が5kgf/mm2以上で
あるものを塗装焼付硬化性が良好とし、170℃に30
min加熱した後の耐力が13.5kgf/mm2以上のものを耐
デント性が良好な材料とし、これらをすべて満たすもの
を合格とした。さらに結晶粒径については、板面の観察
において 100μm 以下を合格とした。
カ月室温時効後の耐力が13.5kgf/mm2以下のものを優れ
た形状凍結性があるとし、伸びが28%以上及びエリクセ
ン値が9.5mm 以上のものを良好な成形性があるもの、圧
延0°と90°方向の伸びの差が2%以内であるものを
異方性が少ないとし、かつ、1カ月室温時効後でも 170
℃に30min 加熱した後の耐力の増加が5kgf/mm2以上で
あるものを塗装焼付硬化性が良好とし、170℃に30
min加熱した後の耐力が13.5kgf/mm2以上のものを耐
デント性が良好な材料とし、これらをすべて満たすもの
を合格とした。さらに結晶粒径については、板面の観察
において 100μm 以下を合格とした。
【0023】本発明例1〜8は、いずれも特許請求範囲
内であり、良好な性能が得られている。
内であり、良好な性能が得られている。
【0024】比較例9〜18は合金成分は特許請求の範
囲内であるが最終熱処理条件が適切でない。比較例9は
溶体化処理時の昇温速度が特許請求の範囲より小さかっ
たため結晶粒が粗大化し成形性が劣った。比較例10は
溶体化処理時の冷却速度が特許請求の範囲より小さかっ
たため結晶粒粒界に溶質原子が析出し焼入効果が小さく
なり成形性が劣るとともに塗装焼付硬化性も劣った。比
較例11は溶体化処理時の保持温度が特許請求の範囲よ
り低かったため、比較例12は溶体化処理時の保持時間
が特許請求の範囲より短かったためそれぞれ溶体化処理
が不十分となり塗装焼付硬化性が劣った。比較例13は
溶体化処理時の温度が高すぎるため1部共晶融解を起こ
したため評価を中止した。
囲内であるが最終熱処理条件が適切でない。比較例9は
溶体化処理時の昇温速度が特許請求の範囲より小さかっ
たため結晶粒が粗大化し成形性が劣った。比較例10は
溶体化処理時の冷却速度が特許請求の範囲より小さかっ
たため結晶粒粒界に溶質原子が析出し焼入効果が小さく
なり成形性が劣るとともに塗装焼付硬化性も劣った。比
較例11は溶体化処理時の保持温度が特許請求の範囲よ
り低かったため、比較例12は溶体化処理時の保持時間
が特許請求の範囲より短かったためそれぞれ溶体化処理
が不十分となり塗装焼付硬化性が劣った。比較例13は
溶体化処理時の温度が高すぎるため1部共晶融解を起こ
したため評価を中止した。
【0025】比較例14は溶体化処理後の室温放置時間
が特許請求の範囲より長すぎたため比較例15は最終熱
処理の時間が特許請求の範囲下限より短かったためがそ
れぞれ塗装焼付硬化性が劣った。比較例16は最終熱処
理時間が特許請求の範囲の上限よりも長かったため、比
較例17は最終熱処理温度が特許請求の範囲の上限より
も高かったため、それぞれ塗装焼付硬化性が劣り、また
成形性も悪かった。比較例18は最終熱処理温度が特許
請求の範囲の下限よりも低かったため塗装焼付硬化性が
劣った。
が特許請求の範囲より長すぎたため比較例15は最終熱
処理の時間が特許請求の範囲下限より短かったためがそ
れぞれ塗装焼付硬化性が劣った。比較例16は最終熱処
理時間が特許請求の範囲の上限よりも長かったため、比
較例17は最終熱処理温度が特許請求の範囲の上限より
も高かったため、それぞれ塗装焼付硬化性が劣り、また
成形性も悪かった。比較例18は最終熱処理温度が特許
請求の範囲の下限よりも低かったため塗装焼付硬化性が
劣った。
【0026】比較例19〜24は熱処理条件は適切であ
るが合金成分が適切でない。比較例19はSi量が特許
請求の範囲の下限よりも少なかったため、比較例20は
Mg量が特許請求の範囲の下限よりも少なかったためそ
れぞれ塗装焼付硬化性が劣り耐デント性も悪く、比較例
20はV量が特許請求の範囲の下限よりも少なかったた
め機械的性質に異方性が見られる。比較例21はSi量
が特許請求の範囲の上限よりも多かったため、比較例2
2はCu量が特許請求の範囲の上限よりも多かったた
め、比較例23はMn量及びCr量が特許請求の範囲の
上限よりも多かったため、比較例24はV量が特許請求
の範囲の上限よりも多かったため、それぞれ1カ月室温
時効後の耐力が高く形状凍結性が劣り、成形性も悪かっ
た。本実施例ではV未添加によって圧延90゜方向の耐
力、引張強さが高く伸びが低い結果となったが製造条件
によっては逆転することもある。
るが合金成分が適切でない。比較例19はSi量が特許
請求の範囲の下限よりも少なかったため、比較例20は
Mg量が特許請求の範囲の下限よりも少なかったためそ
れぞれ塗装焼付硬化性が劣り耐デント性も悪く、比較例
20はV量が特許請求の範囲の下限よりも少なかったた
め機械的性質に異方性が見られる。比較例21はSi量
が特許請求の範囲の上限よりも多かったため、比較例2
2はCu量が特許請求の範囲の上限よりも多かったた
め、比較例23はMn量及びCr量が特許請求の範囲の
上限よりも多かったため、比較例24はV量が特許請求
の範囲の上限よりも多かったため、それぞれ1カ月室温
時効後の耐力が高く形状凍結性が劣り、成形性も悪かっ
た。本実施例ではV未添加によって圧延90゜方向の耐
力、引張強さが高く伸びが低い結果となったが製造条件
によっては逆転することもある。
【0027】
【表1】 注:wt%
【0028】
【表2】 *溶体化処理条件の昇温速度:室温から保持条件温度ま
での平均速度 *溶体化処理条件の冷却速度:保持条件温度から150
℃までの平均速度
での平均速度 *溶体化処理条件の冷却速度:保持条件温度から150
℃までの平均速度
【0029】
【表3】
【0030】
【発明の効果】本発明を用いることで、従来より薄い板
の各種成形材が製造可能となり、より一層の軽量化を促
進することが可能となる。さらに本発明は、主に板材の
例を述べたが、押出材等の他の製造方法の場合にも合金
製造の原理は同じであるため、適用可能である。また、
塗装焼付温度が近い将来150℃もしくはそれ以下に低
下しても、170℃加熱ほどの効果は期待できないが、
特許請求の範囲において製造すれば、従来法よりも、明
らかに良好な性能が得られる。
の各種成形材が製造可能となり、より一層の軽量化を促
進することが可能となる。さらに本発明は、主に板材の
例を述べたが、押出材等の他の製造方法の場合にも合金
製造の原理は同じであるため、適用可能である。また、
塗装焼付温度が近い将来150℃もしくはそれ以下に低
下しても、170℃加熱ほどの効果は期待できないが、
特許請求の範囲において製造すれば、従来法よりも、明
らかに良好な性能が得られる。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、Si: 0.4%以上 1.5%未
満、Mg: 0.3%以上0.5%未満、V:0.02%以上 0.2
%以下を含有し、残部はAl並びに不可避不純物からな
る合金を半連続鋳造し、得られた鋳塊を通常の方法で最
終板厚まで圧延した後、 100℃/min以上の昇温速度で 4
50℃以上 580℃未満に加熱し、この温度範囲で10s 以上
10min 未満の保持の溶体化処理後、150 ℃以下まで 100
℃/min以上の速度で冷却の後、室温放置時間を60min 未
満とした後、50℃以上 150℃以下に10min 以上500min以
下保持することを特徴とする成形性、形状凍結性及び塗
装焼付硬化性に優れた異方性の少ないアルミニウム合金
材の製造法。 - 【請求項2】 重量%でSi: 0.4%以上 1.5%未満、
Mg: 0.3%以上 0.5%未満、V:0.02%以上 0.2%以
下を含有し、更にCu:0.20%以下、Mn:0.20%以
下、Cr:0.20%以下の1種以上を含有し、残部はAl
並びに不可避不純物からなる合金を半連続鋳造し、得ら
れた鋳塊を通常の方法で最終板厚まで圧延した後、 100
℃/min以上の昇温速度で 450℃以上 580℃未満に加熱
し、この温度範囲で10s以上10min 未満の保持の溶体化
処理後、 150℃以下まで 100℃/min以上の速度で冷却の
後、室温放置時間を60min 未満とした後、50℃以上 150
℃以下に10min 以上500min以下保持することを特徴とす
る成形性、形状凍結性及び塗装焼付硬化性に優れた異方
性の少ないアルミニウム合金材の製造法。
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DE1991607392 DE69107392T2 (de) | 1990-10-09 | 1991-10-09 | Verfahren zur Herstellung eines Werkstoffes aus eines Aluminiumlegierung mit ausgezeichneter Pressverformbarkeit und Einbrennhärtbarkeit. |
EP19910117216 EP0480402B1 (en) | 1990-10-09 | 1991-10-09 | Process for manufacturing aluminium alloy material with excellent formability, shape fixability and bake hardenability |
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- 1991-03-18 JP JP3077099A patent/JPH0747804B2/ja not_active Expired - Fee Related
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