JP2001254161A - 加工性に優れる高強度Al−Cu−Mg系合金の製造方法 - Google Patents

加工性に優れる高強度Al−Cu−Mg系合金の製造方法

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JP2001254161A
JP2001254161A JP2000066654A JP2000066654A JP2001254161A JP 2001254161 A JP2001254161 A JP 2001254161A JP 2000066654 A JP2000066654 A JP 2000066654A JP 2000066654 A JP2000066654 A JP 2000066654A JP 2001254161 A JP2001254161 A JP 2001254161A
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Tetsuya Masuda
哲也 増田
Takeo Sakurai
健夫 櫻井
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工に際しては強度が比較的低くて加工
性に優れ、成形加工後の加熱処理(樹脂コートや塗装焼
付時等の150 〜200 ℃の高温雰囲気で5〜100 時間保持
という加熱処理)の際に強度が増加して該加熱処理の後
には高強度を有し得るAl-Cu-Mg系合金の製造方法、即
ち、加工性に優れる高強度Al-Cu-Mg系合金の製造方法を
提供する。 【解決手段】 Cu:3.5〜4.5%(質量% 、以下同様)、M
g:0.4〜1.0%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.4〜1.0%を含有し、
残部がAl及び不可避的不純物からなるAl合金の鋳塊を均
質化熱処理し、熱間圧延し、溶体化処理後、焼き入れ処
理を施した後、室温にて1〜7日間室温時効させ、この
室温時効後のAl合金に10〜30%の冷間ひずみを付与する
ことを特徴とするAl-Cu-Mg系合金の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性に優れる高
強度Al−Cu−Mg系合金の製造方法に関する技術分
野に属し、詳細には、プレス加工等の加工時には加工し
易く、加工後のコティング時等の加熱処理の後に高強度
が得られるAl−Cu−Mg系合金を製造する方法に関
する技術分野に属し、特には、高強度・軽量化を必要と
する車両、自動車、航空機等の加工部材に好適に用いる
ことができる加工性に優れる高強度Al−Cu−Mg系
合金の製造方法に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】近時、環境問題及び高級化、燃費向上等
の要請により、車両、自動車、航空機等の軽量化が図ら
れており、様々な部品にアルミニウム合金が使用される
ようになった。
【0003】従来、車両、自動車、航空機等の部品には
鋼板が多く使用されていたが、軽量化の観点からアルミ
ニウム合金がその代替材料として使用されるようになっ
た。
【0004】上記車両、自動車、航空機等の部品へのア
ルミニウム合金の適用に際し、第1に、所定の剛性を確
保するために、高い強度が要求される。第2に、プレス
加工等の成形加工において、破断、くびれ等の不具合を
生じることなく成形部品を得るために、成形加工性に優
れていることが要求される。
【0005】高強度アルミニウム合金としては、JIS
2014、2024、2218、2618アルミニウム
合金が公知である。これらの合金は、いずれもT6処理
〔溶体化処理後のものを人工時効硬化処理(焼き入れ
後、焼き戻し処理)〕後の状態で使用されることが多
い。特に、2218合金及び2618合金はNi及びF
eを多量に添加したものであり、T6処理によって強度
を高くすることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記T
6処理を施したアルミニウム合金においては、その強度
が高いことからプレス加工等の成形加工が困難であると
いう問題点がある。さらに、成形加工の後、樹脂コート
や塗装焼付時等の150〜200℃の高温雰囲気で5〜
100時間保持という加熱処理(以下、加熱処理とい
う)を施した際、強度が低下するという問題点がある。
【0007】このため、前記の如きT6処理を施したア
ルミニウム合金を用いて車両、自動車、航空機等の部品
を製造する場合、成形加工の際に不具合が発生すると共
に、プレス成形金型等の成形金型の寿命も短縮されるよ
うになり、また、成形加工後の加熱処理の後の強度も不
充分となる。
【0008】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、成形加工に際しては強度が
比較的低くて加工性に優れ、成形加工後の加熱処理(樹
脂コート時や塗装焼付時等の150〜200℃の高温雰
囲気で5〜100時間保持という加熱処理)の際に強度
が増加して該加熱処理の後には高強度を有し得るAl−
Cu−Mg系合金を製造する方法、即ち、加工性に優れ
る高強度Al−Cu−Mg系合金の製造方法を提供しよ
うとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係るAl−Cu−Mg系合金の製造方法
は、請求項1〜3記載のAl−Cu−Mg系合金の製造
方法としており、それは次のような構成としたものであ
る。
【0010】即ち、請求項1記載のAl−Cu−Mg系
合金の製造方法は、Cu:3.5〜4.5質量%、M
g:0.4〜1.0質量%、Si:0.2〜1.0質量
%、Mn:0.4〜1.0質量%を含有し、残部がアル
ミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金
の鋳塊を均質化熱処理し、熱間圧延し、溶体化処理後、
焼き入れ処理を施した後、室温にて1〜7日間室温時効
させ、この室温時効後のアルミニウム合金に10〜30
%の冷間ひずみを付与することを特徴とする加工性に優
れる高強度Al−Cu−Mg系合金の製造方法である
(第1発明)。
【0011】請求項2記載のAl−Cu−Mg系合金の
製造方法は、前記熱間圧延と前記溶体化処理との間に冷
間圧延を施す請求項1記載の加工性に優れる高強度Al
−Cu−Mg系合金の製造方法である(第2発明)。請
求項3記載のAl−Cu−Mg系合金の製造方法は、前
記冷間ひずみが12〜22%の冷間ひずみである請求項
1記載の加工性に優れる高強度Al−Cu−Mg系合金
の製造方法である(第3発明)。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、例えば次のような形態
で実施する。Cu:3.5〜4.5質量%、Mg:0.
4〜1.0質量%、Si:0.2〜1.0質量%、M
n:0.4〜1.0質量%を含有し、残部がアルミニウ
ム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金の鋳塊
を、均質化熱処理した後、熱間圧延する。次に、この熱
間圧延後のアルミニウム合金を溶体化処理した後、焼き
入れ処理を施す。この後、室温にて1〜7日間放置して
室温時効させ、この室温時効後のアルミニウム合金に1
0〜30%の冷間ひずみを付与する。この冷間ひずみの
付与は、冷間圧延する方法等により行う。
【0013】このような形態で本発明が実施され、加工
性に優れる高強度Al−Cu−Mg系合金が得られる。
【0014】以下、本発明について主にその作用効果を
説明する。
【0015】本発明者等は、アルミニウム合金の成形加
工性の向上及び成形加工後の加熱処理(樹脂コート時や
塗装焼付時等の150〜200℃の高温雰囲気で5〜1
00時間保持という加熱処理)による強度の増加をはか
るべく種々実験研究した。その結果、アルミニウム合金
の成分組成及び製造条件を適正なものとすること、特
に、アルミニウム合金の溶体化処理、焼き入れ処理後
に、1〜7日間室温時効させ、この室温時効後のアルミ
ニウム合金に10〜30%の冷間ひずみを付与すること
により、加工性に優れる高強度Al合金を得ることがで
きること、即ち、成形加工に際しては強度が比較的低く
て加工性に優れ、成形加工後の加熱処理の際に強度が増
加して該加熱処理の後には高強度を有し得るAl−Cu
−Mg系合金を得ることができること等の知見を得た。
本発明は、かかる知見に基づき完成されるに至ったもの
である。
【0016】この詳細を以下説明する。
【0017】Al−Cu−Mg系合金等のAl合金材を
溶体化処理し、焼き入れ処理した後に、室温時効させる
と、微細析出物が析出生成される。このとき、室温時効
の期間を1〜7日間にしておくと、室温時効工程及びそ
の後の冷間ひずみ付与工程を経て得られるAl合金材
は、前記微細析出物による成形加工性の低下はほとんど
なく、成形加工に際して良好に成形加工し得、そして、
成形加工後の加熱処理(樹脂コート時や塗装焼付時等の
150〜200℃の高温雰囲気で5〜100時間保持と
いう加熱処理)の際には前記微細析出物が該加熱処理時
の析出の核となって該加熱処理時のθ'-CuAl2
S'-Al2 CuMgの析出を促進し、このため強度が増
加して該加熱処理の後には強度が高いものとなる。即
ち、上記Al合金材の1〜7日間の室温時効により、A
l合金材は良好な成形加工性を維持したままで、良好に
成形加工し得、そして、成形加工後の加熱処理により強
度を増加させることができ、該加熱処理の後には高い強
度を有するものにし得る。
【0018】上記室温時効後のAl合金材に冷間ひずみ
を付与すると、冷間ひずみ付与後に得られるAl合金材
は、成形加工後の加熱処理の際には該加熱処理時のθ'-
CuAl2 、S'-Al2 CuMgの析出が促進され、こ
のため、強度が増加する。このとき、付与する冷間ひず
みを10〜30%にすると、冷間ひずみ付与後に得られ
るAl合金材は、成形加工性が損なわれることなく、良
好な成形加工性を維持したままで、成形加工に際して良
好に成形加工し得、そして、成形加工後の加熱処理の際
にS'-Al2 CuMgの析出が促進され、このため強度
が増加して該加熱処理の後には高い強度を有するものに
し得る。
【0019】上記1〜7日間室温時効と上記10〜30
%冷間ひずみ付与とは相乗効果を奏するものであり、両
者は相まって相乗的に作用し、Al合金材の成形加工後
の加熱処理(樹脂コートや塗装焼付時等の150〜20
0℃の高温雰囲気で5〜100時間保持という加熱処
理)の際に強度を増加させ、該加熱処理の後には充分に
高い強度をもたせることができるのである。
【0020】このとき、Al−Cu−Mg系合金の成分
組成を、Cu:3.5〜4.5質量%、Mg:0.4〜
1.0質量%、Si:0.2〜1.0質量%、Mn:
0.4〜1.0質量%を含有し、残部がアルミニウム及
び不可避的不純物からなるものとしておくと、成形加工
に際しては強度が比較的低くて加工性に優れ、成形加工
後の加熱処理の際に強度が増加して該加熱処理の後には
充分に高い強度を有し得るものとなる。
【0021】本発明は主に以上のような知見に基づいて
完成されたものであり、本発明に係るAl−Cu−Mg
系合金の製造方法は、Cu:3.5〜4.5質量%、M
g:0.4〜1.0質量%、Si:0.2〜1.0質量
%、Mn:0.4〜1.0質量%を含有し、残部がアル
ミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金
の鋳塊を均質化熱処理し、熱間圧延し、溶体化処理後、
焼き入れ処理を施した後、室温にて1〜7日間室温時効
させ、この室温時効後のアルミニウム合金に10〜30
%の冷間ひずみを付与するようにしている(第1発
明)。従って、本発明に係るAl−Cu−Mg系合金の
製造方法によれば、成形加工に際しては強度が比較的低
くて加工性に優れ、成形加工後の加熱処理(樹脂コート
や塗装焼付等の150〜200℃の高温雰囲気で5〜
100時間保持という加熱処理)の際に強度が増加して
該加熱処理の後には高強度を有し得るAl−Cu−Mg
系合金、即ち、加工性に優れる高強度Al合金を得るこ
とができるようになる。
【0022】本発明におけるアルミニウム合金(Al−
Cu−Mg系合金)の成分組成についての数値限定理由
を、以下説明する。
【0023】Cuはアルミニウム合金の強度確保のため
に必要不可欠の元素であるが、Cu含有量が3.5質量
%未満の場合にはAl合金材は充分な材料強度が得られ
ず、また、成形加工後の加熱処理(樹脂コートや塗装焼
付時等の150〜200℃の高温雰囲気で5〜100時
間保持という加熱処理)の後における強度が不充分とな
る。一方、Cu含有量が4.5質量%を超えると、Al
合金材(板材等)の材料強度すなわち成形加工に供され
る前のAl合金材の材料強度(以下、初期強度ともい
う)は高くなるが、成形加工性が低下し、プレス加工等
の成形加工の際に割れ等の不具合が発生し易くなる。更
には、Cu:4.5質量%超の場合にはアルミニウム合
金鋳塊製造の際に鋳造割れが起こり易くなり、また、A
l合金製造の初期段階での加工性の低下によって熱間圧
延時に割れ等が発生し易くなる。従って、Cu含有量は
3.5〜4.5質量%であることとしているのである。
【0024】Mgはアルミニウム合金の強度確保のため
に必要不可欠の元素である。Mg含有量が0.4質量%
未満の場合には充分な材料強度が得られず、また、成形
加工後の加熱処理の後における強度が不充分となる。一
方、Mg含有量が1.0質量%を超えると、初期強度は
高くなるが、Al合金製造の初期段階での加工性が悪く
なり、熱間圧延時に割れ等が発生し易くなる。従って、
Mg含有量は0.4〜1.0質量%としているのであ
る。
【0025】Siはアルミニウム合金の強度を向上させ
るために必要な元素である。Si含有量が0.2質量%
未満の場合には充分な材料強度が得られず、また、成形
加工後の加熱処理の後における強度が不充分となる。一
方、Si含有量が1.0質量%を超えると、初期強度は
高くなるが、Al合金製造の初期段階での加工性が悪く
なり、熱間圧延時に割れ等が発生し易くなる。従って、
Si含有量は0.2〜1.0質量%としているのであ
る。
【0026】Mnはアルミニウム合金の強度の向上に有
効な元素である。Mn含有量が0.4質量%未満の場合
には充分な材料強度が得られず、また、成形加工後の加
熱処理の後における強度が不充分となる。一方、Mn含
有量が1.0質量%を超えると、その強度向上効果が飽
和すると共に、粗大な化合物が増加して材料強度(靱
性)及び加熱処理後の強度(靱性)が低下する。従っ
て、Mn含有量は0.4〜1.0質量%としているので
ある。
【0027】尚、アルミニウム合金の不可避的不純物と
しては、Fe、Ti、Zr、Cr、Zn、Ni、V等が
ある。これらの不可避的不純物については、Fe:0.
7質量%以下、Ti:0.05質量%以下、Zr:0.
2質量%以下、Cr:0.1質量%以下、Zn:0.2
5質量%以下、Ni:0.1質量%以下、V:0.1質
量%以下であれば、アルミニウム合金の性能に悪影響を
与えることはない。
【0028】本発明におけるアルミニウム合金の製造条
件についての数値限定理由を、以下説明する。
【0029】本発明において、溶体化処理、焼き入れ処
理後の素材(アルミニウム合金)に冷間ひずみを付与す
ることが、Al合金材の成形加工後の加熱処理(樹脂コ
ートや塗装焼付時等の150〜200℃の高温雰囲気で
5〜100時間保持という加熱処理)の後における強度
を高めるのに重要である。このとき、付与する冷間ひず
みの程度(ひずみ量)が10%未満であると、成形加工
後の加熱処理の際の析出が不充分であるために該加熱処
理の後において充分な高強度をもたせることができなく
なる。一方、付与する冷間ひずみ量が30%を超える
と、成形加工性が低下し、プレス加工等の成形加工の際
に不具合が発生し易くなる。従って、付与する冷間ひず
み量を10〜30%としているのである。尚、従来、工
業的に実施されている焼き入れ後のひずみ付与の場合の
ひずみ量は、通常、1〜5%程度であり、これに比べて
本発明の場合はひずみ量が極めて大きい。
【0030】本発明において、溶体化処理、焼き入れ処
理の工程と冷間ひずみの付与の工程との間に、室温時効
を施すことがAl合金材の成形加工後の加熱処理(樹脂
コートや塗装焼付時等の150〜200℃の高温雰囲気
で5〜100時間保持という加熱処理)の後における強
度を高めるのに重要である。室温時効を施すと、微細析
出物が析出生成され、この微細析出物はAl合金材の成
形加工後の加熱処理の際の析出を促進し、該加熱処理の
後における強度を大きく増加させる。このとき、室温時
効の期間が1日未満の場合には、Al合金材の成形加工
後の加熱処理による強度増加が小さく、該加熱処理の後
における強度が低くて不充分となる。一方、室温時効の
期間が7日を超えると、Al合金材の初期強度が高くな
るが、初期強度が高くなること等に起因して室温時効後
の冷間ひずみ付与の際に所要のひずみ量(10〜30
%)を付与することが困難となる。従って、室温時効の
期間を1〜7日間としているのである。
【0031】前記熱間圧延と前記溶体化処理との間に冷
間圧延を施すようにすると、その後の溶体化処理後に安
定した再結晶組織が得られ、このため、成形性がより向
上する。従って、かかる冷間圧延を施すようにすること
が望ましい(第2発明)。
【0032】前記付与する冷間ひずみに関し、これを1
2〜22%の冷間ひずみとすることが望ましい(第3発
明)。そうすると、成形加工後の加熱処理の後における
強度をより確実に高くすることができるからである。
【0033】本発明において、室温時効後のアルミニウ
ム合金に冷間ひずみを付与する方法については特には限
定されず、種々の方法を用いることができ、例えば、冷
間圧延による方法、レベラー、ストレッチ等による方法
を用いることができる。
【0034】均質化熱処理の条件、熱間圧延の条件、溶
体化処理、焼き入れ処理の条件については特には限定さ
れない。
【0035】
【実施例】(実施例1)実施例1に係るアルミニウム合
金の成分組成を表1に示す。尚、この表1において、本
発明に係るアルミニウム合金の成分組成範囲を最上段に
示し、比較例に係るアルミニウム合金において成分組成
が本発明に係るアルミニウム合金の成分組成範囲から外
れるものについて下線を付した。
【0036】表1に示す成分組成のアルミニウム合金の
鋳塊(厚さ50mm)を、480℃に8時間加熱して均
質化熱処理した後、更に430℃に2時間加熱した後、
熱間圧延をし、厚さ2.5mmのアルミニウム合金板を
得た。次に、このアルミニウム合金板を490℃に30
分間加熱して溶体化処理した後、水冷して焼き入れ処理
し、この後、室温にて3日間放置して室温時効させ、こ
の室温時効後のアルミニウム合金板を冷間圧延して該ア
ルミニウム合金板に18%の冷間ひずみ量で冷間ひずみ
を付与し、板厚2.05mmのAl−Cu−Mg系合金
板を得た。
【0037】このようにして得られたAl−Cu−Mg
系合金板について引張強さの測定及び成形加工試験を行
い、これによりAl−Cu−Mg系合金板の材料強度
(すなわち、成形加工や加熱処理を受ける前の状態での
引張強さ)及び成形加工性の評価を行った。また、同じ
板(上記Al−Cu−Mg系合金板)から引張試験用試
験片を採取し、成形加工後の加熱処理(150〜200
℃の高温雰囲気で5〜100時間保持という加熱処理)
として150℃で100時間加熱する処理をした後、引
張強さの測定を行い、これにより加熱処理後における引
張強さを求め、加熱処理による引張強さの変化を調べ
た。この結果を表2に示す。尚、表2において、熱処理
前の引張強さは材料強度を示すものであり、一方、熱処
理後の引張強さは加熱処理後の引張強さを示すものであ
る。引張強さの単位はN/mm2 である。成形加工試験
は角筒絞り試験により行い、限界絞り高さが5.0mm
以上である場合に成形加工性が良好であるとした。角筒
絞り試験における限界絞り高さの単位はmmである。
【0038】表1〜2からわかる如く、本発明の実施例
に係るAl−Cu−Mg系合金板、即ち、本発明に係る
アルミニウム合金の成分組成を満たすAl−Cu−Mg
系合金板であって本発明に係る室温時効及び冷間ひずみ
を施したものは、加熱処理前において成形加工性に優れ
ており、且つ、加熱処理後には加熱処理前に比較して引
張強さが高く大幅に増加している。
【0039】これに対し、比較例に係るAl−Cu−M
g系合金板は、本発明に係るアルミニウム合金の成分組
成を満たしていないため、本発明に係る室温時効及び冷
間ひずみを施しても、加熱処理前の成形加工性が悪い
か、あるいは、加熱処理前に対する加熱処理後の引張強
さの増加量が小さいものであった。
【0040】(実施例2)表1に示す成分組成のアルミ
ニウム合金の中、供試材No.1の成分組成のアルミニ
ウム合金の鋳塊(厚さ50mm)を用い、これを480
℃に8時間加熱して均質化熱処理した後、更に430℃
に2時間加熱した後、熱間圧延をし、厚さ2.5mmの
アルミニウム合金板を得た。次に、このアルミニウム合
金板を490℃に30分間加熱して溶体化処理した後、
水冷して焼き入れ処理し、この後、室温にて3時間〜2
40時間(10日間)放置して室温時効させ、この室温
時効後のアルミニウム合金板を冷間圧延して該アルミニ
ウム合金板に18%の冷間ひずみ量で冷間ひずみを付与
し、板厚2.05mmのAl−Cu−Mg系合金板を得
た。
【0041】このようにして得られたAl−Cu−Mg
系合金板について引張強さの測定及び成形加工試験を行
い、これにより材料強度(即ち、加熱処理前における引
張強さ)及び及び成形加工性の評価を行った。また、同
じ板から引張試験用試験片を採取し、加熱処理として1
50℃で100時間加熱する処理をした後、引張強さの
測定を行い、これにより加熱処理後における引張強さを
求め、加熱処理による引張強さの変化を調べた。この結
果を表3に示す。尚、表3において、熱処理前の引張強
さは材料強度を示すものであり、一方、熱処理後の引張
強さは加熱処理後の引張強さを示すものである。引張強
さの単位はN/mm2 である。成形加工試験は角筒絞り
試験により行い、限界絞り高さが5.0mm以上である
場合に成形加工性が良好であるとした。角筒絞り試験に
おける限界絞り高さの単位はmmである。
【0042】表3からわかるように、本発明の実施例に
係るAl−Cu−Mg系合金板、即ち、本発明に係るア
ルミニウム合金の成分組成を満たすAl−Cu−Mg系
合金板であって本発明に係る室温時効及び冷間ひずみを
施したものは、加熱処理前において成形加工性に優れて
おり、且つ、加熱処理後には加熱処理前に比較して引張
強さが高く大幅に増加している。
【0043】これに対し、比較例に係るAl−Cu−M
g系合金板、即ち、本発明に係るアルミニウム合金の成
分組成を満たしており、また、本発明に係る冷間ひずみ
が施こされているが、本発明に係る室温時効が施されて
いない(本発明に係る室温時効の条件を満たしていな
い)ものは、加熱処理前の成形加工性が悪いか、あるい
は、加熱処理前に対する加熱処理後の引張強さの増加量
が小さいものであった。
【0044】(実施例3)表1に示す成分組成のアルミ
ニウム合金の中、供試材No.1の成分組成のアルミニ
ウム合金の鋳塊(厚さ50mm)を用い、これを480
℃に8時間加熱して均質化熱処理した後、更に430℃
に2時間加熱した後、熱間圧延をし、厚さ2.05〜
3.15mmのアルミニウム合金板を得た。次に、この
アルミニウム合金板を490℃に30分間加熱して溶体
化処理した後、水冷して焼き入れ処理し、この後、室温
にて3日間放置して室温時効させ、この室温時効後のア
ルミニウム合金板を冷間圧延して該アルミニウム合金板
に0〜35%の冷間ひずみ量で冷間ひずみを付与し、板
厚2.05mmのAl−Cu−Mg系合金板を得た。
【0045】このようにして得られたAl−Cu−Mg
系合金板について引張強さの測定及び成形加工試験を行
い、これにより材料強度(即ち、加熱処理の前における
引張強さ)及び成形加工性の評価を行った。また、同じ
板から引張試験用試験片を採取し、加熱処理として15
0℃で100時間加熱する処理をした後、引張強さの測
定を行い、これにより加熱処理後における引張強さを求
め、加熱処理前後の引張強さの変化を調べた。この結果
を表4に示す。尚、表4において、熱処理前の引張強さ
は材料強度を示すものであり、一方、熱処理後の引張強
さは加熱処理後の引張強さを示すものである。引張強さ
の単位はN/mm2 である。成形加工試験は角筒絞り試
験により行い、限界絞り高さが5.0mm以上である場
合に成形加工性が良好であるとした。角筒絞り試験にお
ける限界絞り高さの単位はmmである。
【0046】表4からわかるように、本発明の実施例に
係るAl−Cu−Mg系合金板、即ち、本発明に係るア
ルミニウム合金の成分組成を満たすAl−Cu−Mg系
合金板であって本発明に係る室温時効及び冷間ひずみを
施したものは、加熱処理前において成形加工性に優れて
おり、且つ、加熱処理後には加熱処理前に比較して引張
強さが高く大幅に増加している。
【0047】これに対して、比較例に係るAl−Cu−
Mg系合金板、即ち、本発明に係るアルミニウム合金の
成分組成を満たしており、また、本発明に係る室温時効
が施こされているが、本発明に係る冷間ひずみ付与が施
されていない(本発明に係る冷間ひずみ量を満たしてい
ない)ものは、加熱処理前の成形加工性が悪いか、ある
いは、加熱処理前に対する加熱処理後の引張強さの増加
量が小さいものであった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【発明の効果】本発明に係るAl−Cu−Mg系合金の
製造方法によれば、成形加工に際しては強度が比較的低
くて加工性に優れ、成形加工後の加熱処理(樹脂コート
や塗装焼付等の150〜200℃の高温雰囲気で5〜
100時間保持という加熱処理)の際に強度が増加して
該加熱処理の後には高強度を有し得るAl−Cu−Mg
系合金、即ち、加工性に優れる高強度Al合金を得るこ
とができるようになる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 683 683 684 684C 685 685Z 686 686B 694 694A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu:3.5〜4.5質量%、Mg:
    0.4〜1.0質量%、Si:0.2〜1.0質量%、
    Mn:0.4〜1.0質量%を含有し、残部がアルミニ
    ウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金の鋳
    塊を均質化熱処理し、熱間圧延し、溶体化処理後、焼き
    入れ処理を施した後、室温にて1〜7日間室温時効さ
    せ、この室温時効後のアルミニウム合金に10〜30%
    の冷間ひずみを付与することを特徴とする加工性に優れ
    る高強度Al−Cu−Mg系合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記熱間圧延と前記溶体化処理との間に
    冷間圧延を施す請求項1記載の加工性に優れる高強度A
    l−Cu−Mg系合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記冷間ひずみが12〜22%の冷間ひ
    ずみである請求項1記載の加工性に優れる高強度Al−
    Cu−Mg系合金の製造方法。
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