JPH05112840A - プレス成形性に優れた焼付硬化性Al−Mg−Si系合金板及びその製造方法 - Google Patents

プレス成形性に優れた焼付硬化性Al−Mg−Si系合金板及びその製造方法

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JPH05112840A
JPH05112840A JP27141391A JP27141391A JPH05112840A JP H05112840 A JPH05112840 A JP H05112840A JP 27141391 A JP27141391 A JP 27141391A JP 27141391 A JP27141391 A JP 27141391A JP H05112840 A JPH05112840 A JP H05112840A
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JP27141391A
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Takeshi Fujita
毅 藤田
Shinji Mitao
真司 三田尾
Masakazu Niikura
正和 新倉
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Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】重量%で、Mgを0.4〜1.5%、Siを
0.24〜1.5%、Cuを0.12〜1.5%、Zn
を0.1〜1.0%、Tiを0.005〜0.15%、
Feを0.25%以下の範囲で含有し、かつSi及びM
gがSi≧0.6Mg(%)の関係を満たし、0.08
〜0.30%のMn、0.05〜0.20%のCr、
0.05〜0.20%のZr、0.04〜0.10%の
V、及び0.0002〜0.05%のBのうち1種又は
2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物から
なるプレス成形性に優れた焼付硬化性Al−Mg−Si
系合金板。 【効果】歪及びストレッチャ−ストレインマ−クの発生
がなく、プレス成形性及び低温焼付による硬化性が優れ
た、自動車ボディ−シ−ト用として好適なAl−Mg−
Si系合金板及びその製造方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プレス成形用アルミ
ニウム合金板及びその製造方法に関し、特に、自動車車
体等に適したプレス成形性に優れた焼付硬化性Al−M
g−Si系合金板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より自動車ボディ−シ−ト等の成形
加工用板材として表面処理冷間圧延鋼板が多用されてい
るが、近年、自動車の燃費向上のための軽量化の要望が
高まっており、その要望を満たすべく自動車ボディ−シ
−ト等にアルミニウム合金板が使用され始めてきてい
る。
【0003】自動車ボディ−シ−ト用アルミニウム合金
としては、5182に代表される非熱処理型のAl−M
g系合金と、熱処理型のAl−Cu系、Al−Mg−S
i系に分けられる。非熱処理型のAl−Mg系合金とし
ては、CuやZnを微量添加し、熱処理して用いること
を前提としたものが開発されている(特開昭57−12
0648、特開昭53−103914等)。
【0004】しかし、これらは熱処理型のAl合金より
やや成形性が優れてはいるものの、プレス成形時にスト
レッチャ−ストレインマ−クが発生しやすいという問題
があり、さらには塗装焼付工程により強度の上昇が得ら
れない。また、熱処理型であるAl−Cu系の203
6、Al−Mg−Si系の6009、6010、601
1では成形性が劣り、特に、Al−Mg−Si系におい
ては、最終熱処理である急速加熱−短時間保持−急速冷
却が適切でないと歪が生じ、ストレッチャ−ストレイン
マ−クを招くこともある。
【0005】さらには欧米における200℃での焼付け
に対して省エネルギの観点から進められた日本国内で主
流の170℃以下の温度で30分間たらず保持する低温
短時間の焼付けでは強度が上昇せず、2000系におい
ては逆に低下するという問題もあった。
【0006】このようなストレッチャ−ストレインマ−
クの防止、及び歪除去対策として、レベリング、スキン
パス等により2〜3%の加工歪を与える方法があるが、
この場合には成形性を低下させてしまう。
【0007】このように、従来のアルミニウム合金で
は、自動車ボディシートに要求される特性、特にストレ
ッチャ−ストレインマ−クの防止、成形性及び焼付硬化
性が十分に満足されていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明はかかる事情
に鑑みてなされたものであって、自動車車体用等として
十分なプレス成形性を有し、低温かつ短時間の焼付にお
いても焼付硬化性が良好であり、歪及びストレッチャ−
ストレインマ−クが発生しないAl−Mg−Si系合金
板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】本願発明者等
は、上記目的を達成するために種々検討を重ねた結果、
化学成分組成を適切に調整し、製造条件を適正化するこ
とにより、スキンパス等の弱加工なしで、歪及びストレ
ッチャ−ストレインマ−クの発生を防止し、熱処理後の
伸びが30%以上で、かつ170℃で20分間といった
低温・短時間の焼付処理(ベ−キング)においても焼付
後の降伏強度が焼付前よりも4kgf /mm2 以上という硬
化が得られることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、歪及びプレス成形時のストレ
チャ−ストレインマ−クの発生を防止しつつ、プレス成
形性の向上と塗装焼付後の耐デント性の向上を図るべ
く、材料特性としての破断伸び、及び低温・短時間焼付
後の降伏強度の両特性を改善したものである。
【0010】すなわち、この発明に係るプレス成形性に
優れた焼付硬化性Al−Mg−Si系合金板は、重量%
で、Mgを0.4〜1.5%、Siを0.24〜1.5
%、Cuを0.12〜1.5%、Znを0.1〜1.0
%、Tiを0.005〜0.15%、Feを0.25%
以下の範囲で含有し、かつSi及びMgがSi≧0.6
Mg(%)の関係を満たし、0.08〜0.30%のM
n、0.05〜0.20%のCr、0.05〜0.20
%のZr、0.04〜0.10%のV、及び0.000
2〜0.05%のBのうち1種又は2種以上を含有し、
残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とす
る。
【0011】この発明に係るプレス成形性に優れた焼付
硬化性Al−Mg−Si系合金板の製造方法は、重量%
で、Mgを0.4〜1.5%、Siを0.24〜1.5
%、Cuを0.12〜1.5%、Znを0.1〜1.0
%、Tiを0.005〜0.15%、Feを0.25%
以下の範囲で含有し、かつSi及びMgがSi≧0.6
Mg(%)の関係を満たし、0.08〜0.30%のM
n、0.05〜0.20%のCr、0.05〜0.20
%のZr、0.04〜0.10%のV、及び0.000
2〜0.05%のBのうち1種又は2種以上を含有し、
残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合
金の鋳塊に対し、450〜580℃の範囲内の温度で1
段又は多段の均質化処理を施した後、この鋳塊を熱間圧
延及び冷間圧延することにより所望の板厚とし、次いで
480〜580℃の範囲内の温度まで3℃/秒以上の加
熱速度で加熱してその温度で0〜120秒間保持し、そ
の後100℃まで30℃/秒以上、100℃から室温ま
で3℃/秒以下の冷却速度で冷却することを特徴とす
る。この場合に、熱間圧延と冷間圧延との間、又は冷間
圧延と冷間圧延との間、又はその両方で、320〜58
0℃の範囲内の温度における中間焼鈍処理を1回又は2
回以上実施してもよい。
【0012】このような組成、及び製造条件により、平
均結晶粒径を40μm以下とすることができ、歪及びス
トレッチャ−ストレインマ−クが防止され、優れたプレ
ス成形性を得ることができる。また、170℃で20分
間といった低温・短時間の焼付処理においても4kgf /
mm2 以上という高い焼付硬化性が得られる。以下、この
発明について詳細に説明する。なお、以下の説明におい
て%表示は重量%を表わす。先ず、この発明に係るアル
ミニウム合金の成分組成の限定理由について説明する。
【0013】Mg: Mgは本発明に係る合金における
必須の基本成分であり、Siと共にMg2 Siなる化合
物を形成し、強度の向上に寄与する。しかし、Mgが
0.4%未満では十分な強度が得られず、逆に1.5%
を超えると伸びが低下する。従って、Mgの含有量を
0.4〜1.5%の範囲に規定する。
【0014】Si: SiはMgと同様に、本発明に係
る合金における必須の基本成分であり、Mgと共にMg
2 Siなる化合物を形成し、強度の向上に寄与する。し
かし、Siが1.5%を超えると成形性に悪影響を及ぼ
す粗大な晶出物が生成されやすくなり、0.24%未満
では強度が不十分である。従って、Siの含有量を0.
24〜1.6%の範囲に規定する。また、Si≧0.6
Mg(%)であればプレス性の向上に有効である。従っ
て、Si≧0.6Mg(%)を満たす範囲にSiを規定
する。
【0015】Cu: Cuは強度及び成形性を向上さ
せ、さらにベ−キングによる硬化に寄与する成分であ
る。しかし、その含有量が0.12%未満ではその効果
が十分に得られず、逆に1.5%を超えると成形性及び
耐食性を劣化させる。従って、Cu含有量を0.12〜
1.5%の範囲に規定する。
【0016】Zn: Znは強度の向上に寄与する元素
であるが、その含有量が0.1%以下ではその効果が得
られず。1.0%を超えると延性及びプレス成形性を劣
化させる。従って、Znの含有量を0.1〜1.0%以
下に規定する。
【0017】Ti: Tiは微量添加により鋳塊の結晶
粒を微細化して加工性等を改善する効果を有する。しか
しながら、これらを過剰に添加すると粗大な晶出物を生
成し、成形性を劣化させる。従って、Tiの含有量を
0.005〜0.15%の範囲に規定する。
【0018】Fe: Feは不可避的不純物として通常
アルミニウム合金に含有されるものであり、含有量が
0.25%を超えるとAlとの共存により成形性に悪影
響を及ぼす粗大な晶出物が生成されやすく、また、Si
と結び付いて析出硬化として有用なSiの量を低下させ
る。従って、Feの含有量を0.25%以下に規定す
る。
【0019】本発明においては、以上の必須元素の他
に、選択成分としてMn,Cr,Zr,V及びBのうち
1種または2種以上を添加する。これらの元素は、鋳塊
粒のみならず再結晶粒を微細化し、組織を安定させると
ともに、プレス成形時の肌荒れの原因となる溶体化処理
後の結晶粒粗大化を抑制し、成形性を向上させる。しか
し、これらの元素を過剰に添加すると粗大な晶出物を生
成し、成形性を低下させ、さらにストレッチャ−ストレ
インマ−クを発生させる。他方、含有量が少なすぎると
平均結晶粒径が40μm以上の粗粒となり成形性が低下
する。従って、Mnを0.08〜0.30%、Crを
0.05〜0.20%、Zrを0.05〜0.20%、
Vを0.04〜0.10%、Bを0.0002〜0.0
5%の範囲に規定する。
【0020】上記元素の他、通常のアルミニウム合金と
同様、不可避的不純物が含有されるが、その量は本発明
の効果が損なわれない範囲であれば許容される。例え
ば、Be、Na,K等は、それぞれ0.001%以下程
度なら含有していても、特性上の支障はない。次に、こ
の発明の合金の製造条件について説明する。
【0021】上記範囲に成分・組成が規定されたアルミ
ニウム合金を常法により溶解・鋳造し、その鋳塊に対し
て450〜580℃の範囲内の温度で1段又は多段の均
質化熱処理を施す。このような均質化処理を施すことに
より、鋳造時に晶出した共晶化合物の拡散固溶を促進
し、局部的ミクロ偏析を軽減する。また、この処理によ
り、最終製品の結晶粒の異常粒成長を抑制し、均一化を
図るうえで重要な役割を果たすMn,Cr,Zr,Vの
化合物を微細に析出させることができる。しかし、この
処理の温度が450℃未満の場合には上述したような効
果が不十分であり、一方580℃を超えると共晶融解が
生じる。従って、均質化処理の温度を450〜580℃
の範囲とした。なお、この温度範囲内での保持時間が1
時間未満では上述の効果が十分に得られず、72時間を
超える長時間の加熱はその効果が飽和してしまうため、
この均質化処理の保持時間は1〜72時間が望ましい。
【0022】次いで、このような均質化処理が施された
鋳塊に対し、常法に従って所定の板厚を得るために熱間
圧延及び冷間圧延を行う。また、歪矯正又は表面粗度調
整のため5%以下のスキンパス圧延を実施してもよい。
【0023】圧延終了後、このような圧延板材に対し、
480〜580℃の範囲内の温度に3℃/秒以上の加熱
速度で加熱して、その温度に達して後即座に、又は12
0秒間以下の期間保持した後、100℃まで30℃/秒
以上の冷却速度で急速冷却するといった条件の熱処理を
施す。この処理により平均結晶粒径が40μm以下とな
り、5組織が均一化し、さらに加工歪が除去され、結果
としてプレス成形性を向上させることができる。また、
この熱処理は、焼付硬化に対する寄与が大きいMg2
i等の金属間化合物の溶体化を図り、なおかつ、ストレ
ッチャ−ストレインマ−クの発生を防止するものであ
る。この場合に、加熱温度が480℃未満では、上述の
ような効果を十分に得ることができない。また、加熱温
度が580℃を超えたり、保持時間が長すぎたりした場
合には、平均結晶粒径が40μmを超えて粗粒となり、
成形性が低下し、さらに結晶粒の一部が異常粒成長を起
こしやすい。また、冷却速度に関しては、100℃まで
の冷却速度が30℃/秒未満では、ストレッチャ−スト
レインマ−クが発生する可能性があり、また、冷却中に
上述の化合物が粗大に析出し、プレス成形性及び焼付硬
化性の点で望ましくない。従って、上述のように条件が
規定される。
【0024】さらに、100℃から室温までの冷却速度
を3℃/秒以下とする。これにより、100℃までの急
速冷却の際に発生した熱応力による歪を除去し、スキン
パス等の歪除去プロセスを省略することができる。この
際に3℃/秒を超える冷却速度では歪が十分に除去され
ずに残留してしまうため、このような効果を得ることが
できない。
【0025】このような工程に加えて、上述の熱間圧延
と冷間圧延との間、又は冷間圧延と冷間圧延との間、又
はその両方で、1回又は2回以上の中間焼鈍を施すこと
が望ましい。この中間焼鈍を施すことにより、冷間圧延
において強圧下する際のエッジ割れを防止することがで
き、また、再結晶核として機能するMg2 Si化合物が
析出して組織が均一化し、結果として成形性を向上させ
ることができる。しかし、この際の温度が320℃未満
ではその効果が十分ではなく、また580℃を超えると
共晶融解が生じる。従って、中間焼鈍は320〜580
℃の範囲で行う。なお、この中間焼鈍は必須のプロセス
ではなく、省プロセスの観点からはこの中間焼鈍を省略
しても構わない。
【0026】このようにして得られたアルミニウム合金
板は、平均粒径が40μm以下となり、歪及びプレス成
形時のストレッチャ−ストレインマ−クの発生が防止さ
れ、焼付硬化性及びプレス成形性に優れ、破断伸びが3
0%以上となり、また低温焼付による硬化性にも優れて
いる。従って、このようなアルミニウム合金板は自動車
ボディ−シ−ト用として好適である。
【0027】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。 (実施例1)
【0028】表1、表2に示すような成分・組成を有す
る合金を溶解−連続鋳造し、得られた鋳塊を面削した
後、520℃で8時間の均質化処理を実施し、次いで鋳
片を460℃に加熱し、板厚4mmまで熱間圧延を行い、
室温に冷却した後、圧延率75%の冷間圧延を行って厚
さ1mmの板材とした。なお、熱間圧延の仕上り温度は2
80℃であった。この厚さ1mmの板材を550℃まで1
0℃/秒の速度で加熱し、60秒保持後、100℃まで
40℃/秒の速度で強制空冷を行い、100℃から室温
まで0.1℃/秒の冷却速度で冷却した。
【0029】このようにして製造した板材を室温で30
日間放置後、所定形状に切出し、引張試験(JIS5
号,引張方向:圧延方向)及びコニカルカップ試験(J
ISZ2249:試験工具17型)を実施した。なお、
コニカルカップ試験はプレス成形のシミュレ−トとして
行い、張出しと深絞りとの複合成形性をCCV(mm)に
より評価した(CCVが小さいほど成形性に優れてい
る)。また、結晶粒形状はGa処理によりミクロ組織を
現出し、サンプル数50として切断法により求めた。さ
らに、プレス成形後の焼付塗装をシミュレ−トするため
に、170℃で30分間の熱処理(焼付に対応)を行
い、その後もう一度上述した熱処理後の試験と同一条件
で引張試験を行った。
【0030】これらの試験結果を表3、4に示す。さら
にストレッチャ−ストレインマ−クの有無も併記した。
なお、「焼付硬化」の欄は、焼付シミュレ−ト後の降伏
強度から、最終熱処理後の降伏強度を引いた値を示して
いる。また、コニカルカップ試験後の表面性状も併記し
た。
【0031】なお、表1の合金番号1〜16は本発明の
組成範囲内の実施例であり、表2の合金番号17〜34
はその範囲から外れる比較例である。合金番号32〜3
4は従来からボディ−シ−ト用に用いられている合金で
あり、夫々、2036、5182、6010に相当する
ものである。
【0032】表3から明らかなように、実施例である合
金番号1〜16は、いずれも降伏伸び及びストレッチャ
−ストレインマ−クの発生がなく、伸びが30%以上、
平均粒径が40μm以下で、CCVも良好で優れた成形
性が得られることが確認された。また、焼付硬化も降伏
強度で4kgf /mm2 以上と高い値を有し、高い焼付効果
性を有することが確認された。
【0033】これに対して、表2に示す比較例の合金番
号17〜33は、表4から明らかなように、ストレッチ
ャ−ストレインマ−クが発生したり、成形性又は焼付硬
化性のいずれかが不十分であった。例えば焼付硬化に寄
与する成分であるMg、Si、Cuのいずれかの含有量
が低い合金番号17,18,20は、焼付硬化性が低
く、2kgf /mm2 程度であった。逆に、Si,Cuの含
有量が多い合金番号19,21は成形性が低かった。ま
た、Mn,Cr,Zr,V,Ti−B,Feの量が本発
明の範囲よりも多い合金番号24,25,26,27,
28,29は伸びが低く、ストレッチャ−ストレインマ
−クも発生した。Mn,Cr,Zr,V,Ti−B,F
eの量がいずれも低い合金番号31は平均結晶粒径が4
0μm以上で伸びが低く、CCVも低かった。合金番号
22はTi−Bの量が本発明の範囲よりも少ないもので
あるが、伸びの値が不十分であった。また、合金番号2
3はZnの量が本発明の範囲よりも多いものであるが、
伸びが低く、また焼付硬化性も低かった。さらに従来の
合金番号32〜34についても焼付硬化性及び成形性の
両方とも劣っていることが確認された。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】 (実施例2)
【0038】次に、表1に示した合金のうち、合金番号
2の組成を有する鋳塊を使用し、表5に示す製造条件で
合金板材を製造した。なお、表5に特に記載されていな
い処理については実施例1の条件を採用した(圧延条件
等)。なお、表5中記号A〜Eは本発明に係る製造方法
の範囲内の実施例であり、記号F〜Mはその範囲から外
れる比較例である。このようにして製造した板材につい
て実施例1と同様の評価試験を行った。その結果を表6
に示す。
【0039】表6から明らかなように、本発明の条件を
満足しない比較例は、降伏伸び及びストレッチャ−スト
レインマ−クが発生し、伸び及び成形性、あるいは焼付
硬化性が不十分であることが確認された。
【0040】例えば、比較例のF,G,Jのように均質
化処理条件又は中間焼鈍処理条件が本発明の範囲から外
れると、成形性、焼付硬化性に劣り、比較例I,Lのよ
うに溶体化焼入条件の冷却速度が小さいと、降伏伸び及
びストレッチャ−ストレインマ−クが発生し、焼付硬化
性も劣ることが確認された。また比較例Kのように溶体
化焼入の加熱保持温度が低いと、降伏伸び及びストレッ
チャ−ストレインマ−クが発生し、伸びも低いため成形
性に劣る。また十分な焼付硬化性も得られない。溶体化
焼入加熱保持温度が高い比較例Hは、共晶融解等を生
じ、強度及び伸びが低下し、成形性も劣っている。さら
に、100℃から室温までの冷却速度が低い比較例M
は、歪が除去されず、伸び及び成形性が劣っていること
が確認された。
【0041】図1に、最終熱処理時の冷却速度と降伏伸
びとの関係を示す。この図に示すように、冷却速度が3
0℃/秒付近から降伏伸びが発生し、冷却速度が小さく
なるに従ってその値が増加することがわかる。すなわ
ち、冷却速度が本発明の範囲外の場合(合金番号I,
L)に、降伏伸びが発生することが明確である。
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【発明の効果】この発明によれば、歪及びストレッチャ
−ストレインマ−クの発生がなく、プレス成形性に優
れ、低温かつ短時間の焼付においても焼付硬化性が良好
であり、プレス成形性と塗装焼付後の耐デント性が要求
される自動車ボディ−シ−ト用等として好適なAl−M
g−Si系合金板及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】最終熱処理時の冷却速度と降伏伸びとの関係を
示す図。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Mgを0.4〜1.5%、S
    iを0.24〜1.5%、Cuを0.12〜1.5%、
    Znを0.1〜1.0%、Tiを0.005〜0.15
    %、Feを0.25%以下の範囲で含有し、かつSi及
    びMgがSi≧0.6Mg(%)の関係を満たし、0.
    08〜0.30%のMn、0.05〜0.20%のC
    r、0.05〜0.20%のZr、0.04〜0.10
    %のV、及び0.0002〜0.05%のBのうち1種
    又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物
    からなることを特徴とするプレス成形性に優れた焼付硬
    化性Al−Mg−Si系合金板。
  2. 【請求項2】 前記合金板の平均結晶粒径は40μm以
    下であることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形
    性に優れた焼付硬化性Al−Mg−Si系合金板。
  3. 【請求項3】 重量%で、Mgを0.4〜1.5%、S
    iを0.24〜1.5%、Cuを0.12〜1.5%、
    Znを0.1〜1.0%、Tiを0.005〜0.15
    %、Feを0.25%以下の範囲で含有し、かつSi及
    びMgがSi≧0.6Mg(%)の関係を満たし、0.
    08〜0.30%のMn、0.05〜0.20%のC
    r、0.05〜0.20%のZr、0.04〜0.10
    %のV、及び0.0002〜0.05%のBのうち1種
    又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物
    からなるアルミニウム合金の鋳塊に対し、450〜58
    0℃の範囲内の温度で1段又は多段の均質化処理を施し
    た後、この鋳塊を熱間圧延及び冷間圧延することにより
    所望の板厚とし、次いで480〜580℃の範囲内の温
    度まで3℃/秒以上の加熱速度で加熱してその温度で0
    〜120秒間保持し、その後100℃まで30℃/秒以
    上、100℃から室温まで3℃/秒以下の冷却速度で冷
    却することを特徴とするプレス成形性に優れた焼付硬化
    性Al−Mg−Si系合金板の製造方法。
  4. 【請求項4】 熱間圧延と冷間圧延との間、又は冷間圧
    延と冷間圧延との間、又はその両方で、320〜580
    ℃の範囲内の温度における中間焼鈍処理を1回又は2回
    以上実施することを特徴とする請求項3に記載のプレス
    成形性に優れた焼付硬化性Al−Mg−Si系合金板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記合金板の平均結晶粒径は40μm以
    下であることを特徴とする請求項3又は4に記載のプレ
    ス成形性に優れた焼付硬化性Al−Mg−Si系合金板
    の製造方法。
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