JPH10130767A - 高成形性のAl−Mg−Si系合金板材とその製造方法 - Google Patents

高成形性のAl−Mg−Si系合金板材とその製造方法

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JPH10130767A
JPH10130767A JP8288146A JP28814696A JPH10130767A JP H10130767 A JPH10130767 A JP H10130767A JP 8288146 A JP8288146 A JP 8288146A JP 28814696 A JP28814696 A JP 28814696A JP H10130767 A JPH10130767 A JP H10130767A
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rolling
sheet
cold rolling
thickness
casting
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JP8288146A
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English (en)
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Tetsushi Kakio
哲史 垣生
Yoichiro Totsugi
洋一郎 戸次
Shigeru Kuramoto
繁 倉本
Minoru Hayashi
稔 林
Koichi Hashiguchi
耕一 橋口
Masao Yukimoto
正雄 行本
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JFE Steel Corp
Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形用に好適なAl-Mg-Si系合金板材を、従来
と比べて廉価に製造できる直接鋳造圧延と冷間圧延及び
溶体化処理により得ること。 【解決手段】 Mg:0.3〜2.0%(mass%、以下同じ) 、Si:
0.3〜2.0%を必須元素として含有し、Mn:0.02 〜0.5%、C
r:0.02 〜0.5%、Zr:0.02 〜0.3%、Ti:0.003〜0.2%の1
種または2 種以上を含み、更にCu:0〜2.5%、Zn:0〜1.0
%、Sn:0〜0.5%の1 種または2種以上を含み、不純物と
してのFe:1.0% 以下に規制し、残部が実質的にAlからな
るAl合金の直接鋳造圧延板を、更に冷延、溶体化処理し
た板材であって、その板の特性として伸び20% 以上、引
張強さTS、耐力YSとした時の比を、TS/YS ≧1.8 とする
ことを特徴とする高成形性のAl-Mg-Si系合金板材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性に優れたAl
-Mg-Si系合金板材に関するものであり、さらに詳しくは
自動車部品, 家電製品等の曲げ成形、プレス成形等に用
いる成形用に好適なAl-Mg-Si系合金板材を、従来と比べ
て廉価な製造コストで製造できる直接鋳造圧延と冷間圧
延及び溶体化処理により製造する高成形性のAl-Mg-Si系
合金板材とその製造方法に関するものである。なお、本
明細書においては、Al合金の添加元素の含有量は、全
てmass%を意味するものであるが、これを単に%と
記す。
【0002】
【従来の技術】自動車の外板、家電用シャーシ等は、板
材を成形後に焼き付け塗装をおこなって製品にする場合
が多い。また、Al-Mg-Si系合金は耐食性, 成形性が比較
的よく、かつ焼き付け塗装のような加熱により時効硬化
することから、前述の製品群に使用される場合がある
(例えば、特開平02-122045)。また成形が難しい形状の
製品の場合は、Al-Mg-Si系合金よりも成形性の優れる A
l-Mg系合金が使用される場合が一般的だった。しかし、
Al-Mg 系合金を使用した場合、成形時にリューダースバ
ンドと称する表面模様が生じ、外観が問題となった。
【0003】近年自動車、家電製品の軽量化、小型化が
さらに進む傾向にあり、それに伴い部品の軽量化、薄肉
化、形状の複雑化が進む一方で、自動車メーカーからの
材料メーカーへの材料価格の低減要求が行われてきた。
このような背景から成形性に優れ、かつ製造コストの低
いAl-Mg-Si系合金の開発が求められている。これらの要
求を満足するためには、従来の半連続鋳造(DC鋳
造)、熱間圧延、冷間圧延プロセスでは限界があった。
そこで、ブロック式連続鋳造法等で連続鋳造板を製造
し、続いてこの鋳造板を熱間圧延温度以上に保って別工
程で熱間圧延、冷間圧延するいわゆる連鋳・直送圧延法
が検討されてきた(たとえば特開平07-252616)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、連続鋳造以降
の下工程としては、依然として従来法の踏襲に止まって
おり、大きな進歩はなされていない状況である。本発明
の課題は、自動車部品, 家電製品等の曲げ成形、プレス
成形等に用いる成形用に好適なAl-Mg-Si系合金板材を、
従来と比べて廉価な製造コストで製造できる直接鋳造圧
延と冷間圧延及び溶体化処理により製造する、高成形用
のAl-Mg-Si系合金板材を得ることである。本発明の他の
課題は、その直接鋳造圧延と冷間圧延及び溶体化処理に
よる好ましい製造条件を見出すことである。なお、ここ
でいう直接鋳造圧延法とは、図1、図2に示すごとく、
双ロール1、2間にノズル3より溶湯4を連続的に供給
し、溶湯の鋳造凝固の直後に、前記双ロール1、2で圧
延して、溶湯から直接に長尺の圧延板、そのコイルとす
るものである。この方法は、連続鋳造板のみを得る方法
(ベルト法、ブロック法等)とは異なり、一般にはハン
ター法、直接圧延法等と呼ばれているものであるが、本
明細書においては直接鋳造圧延法ということとする。こ
の製造方法は、従来別工程で行われている鋳塊又は鋳板
とする工程、均質化処理工程、熱間圧延工程を一工程で
行うもので、多くの工程が省略できるメリットがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の問題も
しくは課題に鑑み種々検討の結果、双ロールによる直接
鋳造圧延法を用いて、その後の冷間圧延の圧延率と直接
鋳造圧延時の荷重を調整する方法を見出した。本発明方
法によれば、成形性に優れ、かつ成形時にリューダース
バンドの発生しない画期的な低コストのAl-Mg-Si系合金
板材を得ることができる。
【0006】以下本発明について、具体的に説明する。
即ち、前記課題を解決するための請求項1の発明は、M
g:0.3〜2.0%、Si:0.3〜2.0%を必須元素として含有し、M
n:0.02 〜0.5%、Cr:0.02 〜0.5%、Zr:0.02 〜0.3%、Ti:
0.003〜0.2%の1 種または2 種以上を含み、更にCu:0〜
2.5%、Zn:0〜1.0%、Sn:0〜0.5%の1 種または2種以上を
含み、不純物としてのFe:1.0% 以下に規制し、残部が実
質的にAlからなるAl合金の直接鋳造圧延板を、更に冷
延、溶体化処理した板材であって、その板の特性として
伸び20% 以上、引張強さTS、耐力YSとした時の比を、TS
/YS ≧1.8 とすることを特徴とする高成形性のAl-Mg-Si
系合金板材である。
【0007】また、請求項2の発明は、Mg:0.3〜2.0%、
Si:0.3〜2.0%を必須元素として含有し、Mn:0.02 〜0.5
%、Cr:0.02 〜0.5%、Zr:0.02 〜0.3%、Ti:0.003〜0.2%
の1 種または2 種以上を含み、更にCu:0〜2.5%、Zn:0〜
1.0%、Sn:0〜0.5%の1 種または2種以上を含み、不純物
としてのFe:1.0% 以下に規制し、残部が実質的にAlから
なるAl合金溶湯を双ロールによる直接鋳造圧延装置で、
板厚0.7 〜4mm のストリップに製造する際の圧下荷重 P
(ton) を次の、式、 :P ≧3.5 ×10-6・t ・w ・√D ・v ・exp(1600/T) ・√ (100/R) :R ≧75 ただし、板表面温度T(K)、ロール 周速度V(mpm)、板出側厚
さt(mm) 、板出側幅w(mm) 、ロール直径D(mm) 、直接鋳造
圧延後の冷間圧延率R(%)、 を満足する条件で、板厚0.7 〜4mm のストリップに直接
鋳造圧延した後、冷間圧延を75% 以上行い、その後溶体
化処理を目標温度723K〜溶融温度、保持時間0 〜2min、
冷却速度 100K/min 以上で行い、得られる板の特性とし
て伸び20% 以上、引張強さTS、耐力YSとした時の比を、
TS/YS ≧1.8 とすることを特徴とする高成形性のAl-Mg-
Si系合金板材の製造方法であり、
【0008】請求項3の発明は、前記請求項2に記載の
Al合金溶湯を双ロールによる直接鋳造圧延装置で、板
厚0.7 〜4mm のストリップに製造する際の圧下荷重 P(t
on)を次の、式、 :P ≧3.5 ×10-6・t ・w ・√D ・v ・exp(1600/T) ・√ (100/R) :15≦R <75 ただし、板表面温度T(K)、ロール 周速度V(mpm)、板出側厚
さt(mm) 、板出側幅w(mm) 、ロール直径D(mm) 、直接鋳造
圧延後の冷間圧延率R(%)、 を満足する条件で、板厚0.7 〜4mm のストリップに直接
鋳造圧延した後、冷間圧延を15% 以上75% 未満行い、そ
の後溶体化処理を目標温度723K〜溶融温度、保持時間0
〜2min、冷却速度 100K/min 以上で行い、得られる板の
特性として伸び20% 以上、引張強さTS、耐力YSとした時
の比を、TS/YS ≧1.8 とすることを特徴とする高成形性
のAl-Mg-Si系合金板材の製造方法である。
【0009】さらに、請求項4の発明は、前記請求項2
及び請求項3に記載の製造方法において、冷間圧延前に
保持温度850K以下、保持時間2 〜24時間の条件にて均質
化処理を施すことを特徴とする高成形性のAl-Mg-Si系合
金板材の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】前記各請求項の発明のうち、請求
項1の発明は、直接鋳造圧延法と冷間圧延及び溶体化処
理によって得られた板に関するものであり、請求項2〜
4の発明は、前記板の製造方法に関するものである。以
下、各発明について詳細に説明する。
【0011】(1)請求項1の発明について まず、本発明に係わる板の合金組成を、前記のごとく限
定した理由について説明する。Mgは、Siと共にMg2Si を
折出させ、成形性の向上に寄与する。その添加量を 0.2
〜2.0%と限定したのは、0.2%未満ではその効果が小さ
く、2.0%を超えると成形時にリューダースバンドと称す
る表面模様が発生し、表面品質を悪化させるからであ
る。Siは、焼き付け塗装時にMgと共にMg2Si を折出さ
せ、強度を向上させる。その添加量を 0.3〜2.0%と限定
したのは、0.3%未満ではその効果が小さく、2.0%を越え
ると延性、成形性が低下するためである。
【0012】Cu、Zn、Snは強度、表面品質等の向上のた
め、必要に応じてCu:0〜2.5%、Zn:0〜1.0%、Sn:0〜0.5%
の1 種または2種以上を添加する。ここで、各元素が0
%とは、添加しない場合もあることを意味する。また、
添加する場合は、前記の上限までである。個々の元素に
ついて更に詳細に述べると、 Cu は、強度、延性、成形
性の向上に寄与する。本発明では、双ロールによる直接
鋳造圧延装置を使用することにより、マトリクス中への
固溶量が増加するため、その効果がさらに向上した。そ
の添加量を 2.5% 以下としたのは、上限を越えると直接
鋳造圧延時あるいは冷延時にコバ割れを生じ、生産性を
悪化させたり、耐食性を低下させるためである。また、
Zn は、Cuと同様に強度を向上させる。その添加量を
1.0% 以下と限定したのは、上限を越えると溶体化処理
後の成形性を低下させ、さらに焼き入れ感受性が高くな
るためである。Sn は、前記の効果の他に、直接鋳造圧
延板の表面品質を向上させる効果が知られており、0.5%
以下の添加であれは、特に本発明の効果を損なうことは
ない。
【0013】Mn、Cr、Zr、Tiは、それぞれ結晶粒の微細
化あるいはマトリックス強度を向上させるために、Mn:
0.02 〜0.5%、Cr:0.02 〜0.5%、Zr:0.02 〜0.3%、Ti:0.
003〜0.2%の1 種または2 種以上を添加する。それぞれ
の元素の下限未満では効果が小さく、上限を越えると溶
体化処理後の成形性を低下させ、さらにSiとの化合物を
形成しやすいため、時効硬化性を低下させる。
【0014】Feは、Al地金に不純物として一般に含有
され、Al-Fe 系またはAl-Fe-Si系等の晶出物を形成し、
延性、成形性を低下させる。本発明においては、直接鋳
造圧延により大きい冷却速度が得られるため、Feの固溶
量が増加し、前述の晶出物が減少する。しかし、1.0%を
超えると延性、成形性が低下するためその含有量は1.0%
以下とすることが望ましい。なお、鋳造組織の微細化剤
として通常添加されるB などは、0.1%以下の添加であれ
ば、特に本発明の効果を損なうことはない。
【0015】本発明に係わるAl-Mg-Si系合金板材は、双
ロールによる直接鋳造圧延板を、更に冷延を行うことで
目的に適合する最終板厚に調整後、溶体化処理したもの
である。この冷延工程において、パス数が多いほど製造
コストが増加するため、極力パス数を減らすことが望ま
しい。一方、冷延を行わないと目的の性能が得られな
い。本発明に係わるAl-Mg-Si系合金板材の特性は、伸び
が20% 以上で、さらに引張強さTS、耐力YSとした時のそ
の比が、 TS/YS≧1.8 である。これにより成形性、特に
深絞り性、張出し性が、従来のDC材と同等の成形性を維
持することが可能で、条件を満たさない場合、成形性が
低下する。
【0016】(2)請求項2の発明について 次に、請求項2の発明について説明する。本発明は、上
記の請求項1のAl-Mg-Si系合金板材の製造方法であり、
直接鋳造圧延した後、75%以上の冷間圧延を行い、続
いて溶体化処理して製造するものである。ここで、本発
明に使用する直接鋳造圧延法を、具体的に図で説明する
と、図1及び図2に示すような双ロールによる直接鋳造
圧延装置を用いて、前記請求項1に記載のAl合金溶湯
4をノズル3を通して、双ロール1、2間に連続的に供
給し、ノズル3の先端Bから双ロール1、2の最接近点
A間で、鋳造・凝固させ、A点近傍で圧延を行うもので
ある。なお図2において、C点は溶湯の最終凝固点であ
る。
【0017】即ち本発明は、鋳造・凝固、圧延を一工程
で行って、溶湯から直接圧延板5を製造した後、75%
以上の冷間圧延を行い、続いて溶体化処理して製造する
ものである。これを、具体的に説明すると、双ロールに
よる直接鋳造圧延装置で、板厚0.7〜4mm のストリップ
に製造する際の圧下荷重 P(ton) を次の、式、 :P ≧3.5 ×10-6・t ・w ・√D ・v ・exp(1600/T) ・√ (100/R) :R ≧75 ただし、板表面温度T(K)、ロール 周速度V(mpm)、板出側厚
さt(mm) 、板出側幅w(mm) 、ロール直径D(mm) 、直接鋳造
圧延後の冷間圧延率R(%)、 を満足する条件で、板厚0.7 〜4mm のストリップに直接
鋳造圧延した後、冷間圧延を75% 以上行い、その後溶体
化処理を目標温度723K〜溶融温度、保持時間0 〜2min、
冷却速度 100K/min 以上で行い、得られる板の特性とし
て伸び20% 以上、引張強さTS、耐力YSとした時の比を、
TS/YS ≧1.8 とすることを特徴とする高成形性のAl-Mg-
Si系合金板材の製造方法である。
【0018】本発明は、双ロールによる直接鋳造圧延を
行った後に、冷延および溶体化処理を行うことにより目
的のアルミニウム板を得る工程により構成されている。
まず、本発明は、双ロールによる直接鋳造圧延法を適用
して、前記の条件で製造することにより、従来方法と比
べて表面が非常に平滑なものとなる。さらには、直接鋳
造圧延後の急冷により高い固溶度を維持しており、その
後の冷間圧延によって、十分に使用に耐えうる強度、成
形性を確保できる。しかし、直接鋳造圧延時の圧下およ
び冷間圧延率が低い場合は、鋳造時に形成された粗大な
金属間化合物等の鋳造組織を圧下時に粉砕する効果が小
さく、鋳造組織の残存率が大きくなる。そこで、直接鋳
造圧延終了時にすでに加工による粉砕効果をある程度獲
得し、その後の冷延工程にて不足した粉砕効果を補足す
る必要がある。
【0019】本発明者らは、双ロールによる直接鋳造圧
延法では、条件によっては熱間圧延の要素を大きく含有
すること、及びその後の冷間圧延率との相乗効果に注目
し、種々の検討を行った結果、粉砕効果が発揮される条
件として上式を導きだしたものである。圧下荷重P の値
が計算値より小さい場合は、圧下が不十分であるため、
表面に亀裂を生じたり、鋳造組織が残存し強度、伸びお
よび成形性が低くなる。なお、直接鋳造圧延時の高い固
溶度を維持するためには、直接鋳造圧延後からコイルア
ップ前に100K/min以上の冷却速度で冷却することが望ま
しい。直接鋳造圧延後は、冷間圧延を75% 以上行う。前
述のように冷間圧延は、直接鋳造圧延の圧下率と密接な
関係があり、冷延率Rは2つの式(前記、)を同時
に満足しなければならない。冷延率が75% 未満の場合
は、本発明条件では直接鋳造圧延時の圧下量と冷間圧延
によるトータル圧下量が不十分であり、強度、延性、成
形性が低下する。従って、このような場合は、後に述べ
る請求項3の条件で、製造する必要がある。
【0020】本発明は、冷間圧延後、溶体化処理を目標
温度723K〜溶融温度、保持時間0 〜2min、冷却速度 100
K/min 以上で冷却する条件にて行う。これは連続焼鈍炉
( 以下CAL)による条件である。目標温度が723K以下で
は、固溶度の確保が困難となり、溶融温度以上だと溶融
が起こる。保持時間は、通常CAL で考えられる0 〜2min
ならば問題ない。冷却速度は溶体化温度から急冷し、固
溶度を維持する必要があるため、通常CAL にて可能な冷
却速度である100K/min以上で行う。
【0021】上記溶体化処理後に、急冷時の熱歪みを除
去し板をフラットにするために、矯正処理を行うことが
望ましい。また、直接鋳造圧延においては、DC材のよう
に鋳造後に面削を行っていないため、化成処理や酸洗に
より、表面の酸化膜を取り除くことが望ましい。なお、
直接鋳造圧延終了後、あるいは溶体化処理終了後に必要
に応じてショットダルロールやレーザーダルロールを用
いてスキンパスを行い、表面にこれらのパターンを転写
してもよい。本発明の製造方法で得られたAl-Mg-Si系合
金板材の特性は、伸びが20% 以上で、さらに引張強さT
S、耐力YSとした時の比が TS/YS≧1.8 となる。これに
より成形性、特に深絞り性、張出し性が、従来のDC材と
同等の成形性を維持することができ、しかも従来法と比
較して、著しく低コストの製造が可能となった。
【0022】(3)請求項3の発明について 次に、請求項3の発明について説明する。本発明は、上
記の請求項1のAl-Mg-Si系合金板材の別の製造方法であ
り、直接鋳造圧延した後、15%以上75%未満の冷間
圧延を行い、続いて溶体化処理して製造するものであ
る。即ち、前記請求項2に記載のAl合金溶湯を双ロー
ルによる直接鋳造圧延装置で、板厚0.7 〜4mm のストリ
ップに製造する際の圧下荷重 P(ton) を次の、式、 :P ≧3.5 ×10-6・t ・w ・√D ・v ・exp(1600/T) ・√ (100/R) :15≦R <75 ただし、板表面温度T(K)、ロール 周速度V(mpm)、板出側厚
さt(mm) 、板出側幅w(mm) 、ロール直径D(mm) 、直接鋳造
圧延後の冷間圧延率R(%)、 を満足する条件で、板厚0.7 〜4mm のストリップに直接
鋳造圧延した後、冷間圧延を15% 以上75% 未満行い、そ
の後溶体化処理を目標温度723K〜溶融温度、保持時間0
〜2min、冷却速度 100K/min 以上で行い、製造するもの
である。
【0023】圧延荷重Pおよび冷延率Rに関する限定理
由は、前記の請求項2と同様であるが、本発明では経済
性を考慮し、極力少ないパス数で冷延を行うことを目的
としている。そのため冷延率Rは、15≦R<75を満たす
ように行う。この場合、冷延率が低くなるため、鋳造組
織の粉砕効果を得るためには、直接鋳造圧延時に圧下を
十分に行う必要がある。そのための条件について、検討
を重ねた結果、上式、を導き出したものである。冷
延率が15% 未満では、鋳造組織の粉砕効果が不足してい
るため、強度や伸び、成形性が低下する。一方、冷延率
が75% 以上の場合は、前記の請求項2の製造方法で実施
することになる。
【0024】(4)請求項4の発明について 次に、請求項4の発明について説明する。本発明は、前
記請求項2及び請求項3に記載の製造方法において、冷
間圧延前に保持温度850K以下、保持時間2 〜24時間の条
件にて均質化処理を施すものである。直接鋳造圧延後の
鋳造組織は、局部的なマクロ偏析が存在し、不均一な組
織となっている。そのため均質化処理として、冷間圧延
の前に、850K以下の温度で保持時間2 〜24時間の焼鈍を
施すことで、より性能の優れる板材を得ることができ
る。均質化処理条件を上記のごとく限定したのは、温度
が850Kを超えると溶融が起こる可能性があるため好まし
くない。また、保持時間が2 時間に達しない場合には、
十分な均質化効果が得らず、24時間より長く行っても、
効果は飽和するためである。
【0025】
【実施例】次に、本発明の実施例(本発明例)を、比較
例とともに、さらに詳細に説明する。表1に示す組成の
Al合金を常法により溶解し、図1に示すような横型の双
ロールによる直接鋳造圧延装置で、表2に記載した条件
で板厚1 〜4mm のストリップを製造した。その後、それ
ぞれのストリップについて、表2に記載した条件によ
り、冷延および溶体化処理を施した。その後、さらに矯
正を行い、化成処理を行った。化成処理液は苛性ソーダ
および硝酸を用いた。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】このように製造された板材について、引張
試験、エリクセン張出試験、深絞り試験を行った。これ
らの結果を表3に示す。なお、引張試験は、JIS5号引張
試験片により、引張強さ、耐力、伸びを測定した。エリ
クセン張出試験は、JIS Z 2247 A法により張出高さを測
定した。また、深絞り試験はポンチ径φ33mm、ブランク
径φ66mmで粘度4cStの低粘度防錆油を塗布した条件で行
い、破断高さ(mm)を求めた。
【0029】
【表3】
【0030】表3より明らかなように、本発明例(No.1
〜9)は、Al-Mg 系合金である比較例No.17 、およびDC鋳
造法によるAl-Mg-Si系合金の従来例No.18 とほぼ同等の
成形性を有しており、しかもリューダースバンドが発生
しないため、総合的にも従来例並みの性能を維持してい
る。これに対し、本発明例の範囲を外れる比較例(No.10
〜16) は、溶体化処理後の成形性のいずれか一つ以上が
劣っている。また、均質化処理を行った本発明例No.4お
よびNo.7は、均質化処理なしのNo.3およびNo.6と比較す
ると、成形性は向上している。
【0031】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、自
動車部品、家電製品等の曲げ成形、プレス成形等に好適
な成形用Al-Mg-Si系合金板材を、従来と比べて廉価な製
造コストで製造できる直接鋳造圧延と冷間圧延及び焼鈍
で製造することができ、工業上顕著な効果を奏するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】横型双ロールによる直接鋳造圧延装置(断面)
の概略説明図である。
【図2】図1のD部を拡大した詳細図である。
【符号の説明】
1 上ロール 2 下ロール 3 ノズル 4 金属溶湯 5 直接鋳造圧延板 A 双ロールのセンターライン(ロールの最接近点) B ノズルの先端 C 溶湯の最終凝固点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 683 683 685 685 691 691B 691C 692 692A (72)発明者 戸次 洋一郎 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 倉本 繁 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 林 稔 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 橋口 耕一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 行本 正雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg:0.3〜2.0%(mass%、以下同じ) 、Si:
    0.3〜2.0%を必須元素として含有し、Mn:0.02 〜0.5%、C
    r:0.02 〜0.5%、Zr:0.02 〜0.3%、Ti:0.003〜0.2%の1
    種または2 種以上を含み、更にCu:0〜2.5%、Zn:0〜1.0
    %、Sn:0〜0.5%の1 種または2種以上を含み、不純物と
    してのFe:1.0% 以下に規制し、残部が実質的にAlからな
    るAl合金の直接鋳造圧延板を、更に冷延、溶体化処理し
    た板材であって、その板の特性として伸び20% 以上、引
    張強さTS、耐力YSとした時の比を、TS/YS ≧1.8 とする
    ことを特徴とする高成形性のAl-Mg-Si系合金板材。
  2. 【請求項2】 Mg:0.3〜2.0%、Si:0.3〜2.0%を必須元素
    として含有し、Mn:0.02 〜0.5%、Cr:0.02 〜0.5%、Zr:
    0.02 〜0.3%、Ti:0.003〜0.2%の1 種または2種以上を含
    み、更にCu:0〜2.5%、Zn:0〜1.0%、Sn:0〜0.5%の1 種ま
    たは2種以上を含み、不純物としてのFe:1.0% 以下に規
    制し、残部が実質的にAlからなるAl合金溶湯を双ロール
    による直接鋳造圧延装置で、板厚0.7 〜4mm のストリッ
    プに製造する際の圧下荷重 P(ton) を次の、式、 :P ≧3.5 ×10-6・t ・w ・√D ・v ・exp(1600/T) ・√(100/R) :R ≧75 ただし、 板表面温度T(K)、ロール 周速度V(mpm)、板出側厚さt(mm)
    、 板出側幅w(mm) 、ロール直径D(mm) 、直接鋳造圧延後の冷
    間圧延率R(%)、 を満足する条件で、板厚0.7 〜4mm のストリップに直接
    鋳造圧延した後、冷間圧延を75% 以上行い、その後溶体
    化処理を目標温度723K〜溶融温度、保持時間0 〜2min、
    冷却速度 100K/min 以上で行い、得られる板の特性とし
    て伸び20% 以上、引張強さTS、耐力YSとした時の比を、
    TS/YS ≧1.8 とすることを特徴とする高成形性のAl-Mg-
    Si系合金板材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記請求項2に記載のAl合金溶湯を双
    ロールによる直接鋳造圧延装置で、板厚0.7 〜4mm のス
    トリップに製造する際の圧下荷重 P(ton) を次の、
    式、 :P ≧3.5 ×10-6・t ・w ・√D ・v ・exp(1600/T) ・√ (100/R) :15≦R <75 ただし、 板表面温度T(K)、ロール 周速度V(mpm)、板出側厚さt(mm)
    、 板出側幅w(mm) 、ロール直径D(mm) 、直接鋳造圧延後の冷
    間圧延率R(%)、 を満足する条件で、板厚0.7 〜4mm のストリップに直接
    鋳造圧延した後、冷間圧延を15% 以上75% 未満行い、そ
    の後溶体化処理を目標温度723K〜溶融温度、保持時間0
    〜2min、冷却速度 100K/min 以上で行い、得られる板の
    特性として伸び20% 以上、引張強さTS、耐力YSとした時
    の比を、TS/YS ≧1.8 とすることを特徴とする高成形性
    のAl-Mg-Si系合金板材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2及び請求項3に記載の製造方法
    において、冷間圧延前に保持温度850K以下、保持時間2
    〜24時間の条件にて均質化処理を施すことを特徴とする
    高成形性のAl-Mg-Si系合金板材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000319741A (ja) * 1998-09-10 2000-11-21 Kobe Steel Ltd Al−Mg−Si系合金板
JP2005536358A (ja) * 2002-08-29 2005-12-02 コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼーション マグネシウム及びマグネシウム合金の双子ロール鋳造
WO2021092738A1 (zh) * 2019-11-12 2021-05-20 常德菲尔美化工技术有限公司 一种铝合金材料及其制造方法

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