JPH108176A - 耐力が低く極限変形能に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
耐力が低く極限変形能に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法Info
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- JPH108176A JPH108176A JP14644996A JP14644996A JPH108176A JP H108176 A JPH108176 A JP H108176A JP 14644996 A JP14644996 A JP 14644996A JP 14644996 A JP14644996 A JP 14644996A JP H108176 A JPH108176 A JP H108176A
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- alloy sheet
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 自動車のボディシート、骨格材およびホイー
ル、船舶や電気製品などの外板材料の如きに適した、耐
力が低く極限変形能に優れたAl−Mg合金板およびその好
ましい製造方法を提供する。 【構成】 wt%で、Mg:2〜6%を含有し、Mn、Crの固
溶量が合計で0.05%以下のアルミニウム合金板であっ
て、該アルミニウム合金板面における{100}方位と
{110}方位の強度比(I{100}/I{11
0})が1以上とする。
ル、船舶や電気製品などの外板材料の如きに適した、耐
力が低く極限変形能に優れたAl−Mg合金板およびその好
ましい製造方法を提供する。 【構成】 wt%で、Mg:2〜6%を含有し、Mn、Crの固
溶量が合計で0.05%以下のアルミニウム合金板であっ
て、該アルミニウム合金板面における{100}方位と
{110}方位の強度比(I{100}/I{11
0})が1以上とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐力が低く極限変
形能に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法に
係り、自動車のボディシート、骨格材およびホイール、
船舶や電気製品などの外板材料の如きに適したAl−Mg合
金板およびその好ましい製造方法を提供しようとするも
のである。
形能に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法に
係り、自動車のボディシート、骨格材およびホイール、
船舶や電気製品などの外板材料の如きに適したAl−Mg合
金板およびその好ましい製造方法を提供しようとするも
のである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金板は鋼板に比較して軽
く、しかもリサイクルし易いことから自動車のボディシ
ート、骨格材およびホイール、船舶などの外板等におい
て鋼板に代って使用されており、このようなアルミニウ
ム合金としてはMgを含有した強度および成形性の良好な
合金板が提案されているが、このMg含有アルミニウム合
金板は鋼板に比較して成形性に劣り、また耐力が高くて
形状凍結性が乏しい欠点がある。
く、しかもリサイクルし易いことから自動車のボディシ
ート、骨格材およびホイール、船舶などの外板等におい
て鋼板に代って使用されており、このようなアルミニウ
ム合金としてはMgを含有した強度および成形性の良好な
合金板が提案されているが、このMg含有アルミニウム合
金板は鋼板に比較して成形性に劣り、また耐力が高くて
形状凍結性が乏しい欠点がある。
【0003】即ち、これを具体的に言うと、実際に自動
車用部材をプレス成形するときには極端な曲げ加工が施
されることを避け得ないので良好な張り出し性や伸びフ
ランジ加工性が求められる。従前の5182合金におい
ては鋼板と比較して延性、特に局部伸びが低いので張り
出しや伸びフランジ加工などの厳しい成形を行う場合の
アルミニウム合金板は破断する可能性が高く、従って自
動車部品などの成形材として軽量性などに大きなメリッ
トがあるとしても、このような関係からは不充分であ
り、アルミニウム材が延性においてより優れたものが強
く望まれていて種々の提案がなされている。
車用部材をプレス成形するときには極端な曲げ加工が施
されることを避け得ないので良好な張り出し性や伸びフ
ランジ加工性が求められる。従前の5182合金におい
ては鋼板と比較して延性、特に局部伸びが低いので張り
出しや伸びフランジ加工などの厳しい成形を行う場合の
アルミニウム合金板は破断する可能性が高く、従って自
動車部品などの成形材として軽量性などに大きなメリッ
トがあるとしても、このような関係からは不充分であ
り、アルミニウム材が延性においてより優れたものが強
く望まれていて種々の提案がなされている。
【0004】例えば、特公平5−47616号公報にお
いては、Mgを2−5.5%を含有し、Mn、Cr、Zrを合計で
0.05%以下のアルミニウム合金を鋳造、ソーキングし
た後、熱間および冷間圧延を行い、最終焼鈍直前の冷延
率を20%以上となし、かつ最終焼鈍を300−450
℃で0.5−24h行うことによって圧延方向の結晶粒径
が150μm以下であり、しかも圧延方向と板厚方向の
結晶粒径の比が1.3以下で、曲げ性に優れた電気製品、
自動車部品用アルミニウム合金板の製造方法が開示され
ている。
いては、Mgを2−5.5%を含有し、Mn、Cr、Zrを合計で
0.05%以下のアルミニウム合金を鋳造、ソーキングし
た後、熱間および冷間圧延を行い、最終焼鈍直前の冷延
率を20%以上となし、かつ最終焼鈍を300−450
℃で0.5−24h行うことによって圧延方向の結晶粒径
が150μm以下であり、しかも圧延方向と板厚方向の
結晶粒径の比が1.3以下で、曲げ性に優れた電気製品、
自動車部品用アルミニウム合金板の製造方法が開示され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような提案技術によってAl−Mg合金を製造した場合に
おいて、未だ十分な成形性および低耐力性を得ることが
できず、極限変形能を高く求め得ない不利が残り、この
ため斯様なアルミニウム合金板を上述したような利用面
に採用した場合の成形加工に当って割れが発生する可能
性が高く、アルミニウム合金材の有利性は充分に理解さ
れながらも、これを充分に利用できない欠点がある。
たような提案技術によってAl−Mg合金を製造した場合に
おいて、未だ十分な成形性および低耐力性を得ることが
できず、極限変形能を高く求め得ない不利が残り、この
ため斯様なアルミニウム合金板を上述したような利用面
に採用した場合の成形加工に当って割れが発生する可能
性が高く、アルミニウム合金材の有利性は充分に理解さ
れながらも、これを充分に利用できない欠点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記したような
従来技術における課題を解消することについて検討を重
ねた結果、最終板におけるMn、Crの固溶量を制御し、ま
た結晶粒の方位を制御することによって耐力が低く、ま
た極限変形能が高くなることを見出したものであって、
以下の如くである。
従来技術における課題を解消することについて検討を重
ねた結果、最終板におけるMn、Crの固溶量を制御し、ま
た結晶粒の方位を制御することによって耐力が低く、ま
た極限変形能が高くなることを見出したものであって、
以下の如くである。
【0007】(1) wt%で、Mg:2〜6%を含有し、
Mn、Crの固溶量が合計で0.05%以下のアルミニウム合
金板であって、該アルミニウム合金板面における{10
0}方位と{110}方位の強度比(I{100}/I
{110})が1以上であることを特徴とする耐力が低
く極限変形能に優れたアルミニウム合金板。
Mn、Crの固溶量が合計で0.05%以下のアルミニウム合
金板であって、該アルミニウム合金板面における{10
0}方位と{110}方位の強度比(I{100}/I
{110})が1以上であることを特徴とする耐力が低
く極限変形能に優れたアルミニウム合金板。
【0008】(2) wt%で、Mg:2〜6%を含有し、
Mn、Crの固溶量が合計で0.05%以下のアルミニウム合
金板を最終焼鈍直前の冷間圧延率40%以上で圧延した
後最終焼鈍を施し再結晶させることを特徴とする耐力が
低く極限変形能に優れたアルミニウム合金板の製造方
法。
Mn、Crの固溶量が合計で0.05%以下のアルミニウム合
金板を最終焼鈍直前の冷間圧延率40%以上で圧延した
後最終焼鈍を施し再結晶させることを特徴とする耐力が
低く極限変形能に優れたアルミニウム合金板の製造方
法。
【0009】
【発明の実施の形態】上記したような本発明について更
に説明すると、まず本発明において重要な指標である極
限変形能について言うならば、一般に材料の破断伸びは
評点間距離に影響され、評点間距離を無限に小さくした
時の破断伸びは極限変形能であるが、極限変形能を求め
るには、引張破断部の板幅歪みεw および厚み歪みεt
を測定し、下記の式で極限変形能εl を求めることがで
きる。 εl =−(εw +εt ) ここでいう歪みは真歪みをいう。然して、このような極
限変形能εl というパラメータを用いてアルミニウム合
金板の伸びフランジ加工などの成形性の優劣を予測でき
ることを本発明者が見出し、即ち極限変形能の高い板は
局部的に良好な伸びを示し、従って極端な曲げ加工にお
いても破断し難く、伸びフランジ加工などの成形加工性
に優れていることを確認した。
に説明すると、まず本発明において重要な指標である極
限変形能について言うならば、一般に材料の破断伸びは
評点間距離に影響され、評点間距離を無限に小さくした
時の破断伸びは極限変形能であるが、極限変形能を求め
るには、引張破断部の板幅歪みεw および厚み歪みεt
を測定し、下記の式で極限変形能εl を求めることがで
きる。 εl =−(εw +εt ) ここでいう歪みは真歪みをいう。然して、このような極
限変形能εl というパラメータを用いてアルミニウム合
金板の伸びフランジ加工などの成形性の優劣を予測でき
ることを本発明者が見出し、即ち極限変形能の高い板は
局部的に良好な伸びを示し、従って極端な曲げ加工にお
いても破断し難く、伸びフランジ加工などの成形加工性
に優れていることを確認した。
【0010】また本発明においてはアルミニウム合金板
の組成についてMg量の範囲を限定すると共にMn、Crの固
溶量を限定するものであって、以下の如くである。 Mg:2〜6wt% 即ち、Mgは強度に寄与する元素であって、2%未満では
強度の低いものとなって既述したような用途に適しない
こととなり、一方6%を超えると圧延し難いこととな
り、しかも応力腐食割れに敏感となる欠点が認められる
ので上記のように2〜6%とすることが必要である。
の組成についてMg量の範囲を限定すると共にMn、Crの固
溶量を限定するものであって、以下の如くである。 Mg:2〜6wt% 即ち、Mgは強度に寄与する元素であって、2%未満では
強度の低いものとなって既述したような用途に適しない
こととなり、一方6%を超えると圧延し難いこととな
り、しかも応力腐食割れに敏感となる欠点が認められる
ので上記のように2〜6%とすることが必要である。
【0011】また、Mn、Crの固溶量は合計で0.05%以
下であり、これらのMn、Crはアルミニウム合金板を再結
晶する際に{100}方位の形成を妨げる元素であり、
これらの固溶量が0.05wt%を超えると、{100}方
位と{110}方位の強度比が1以上になり難く、極限
変形能が低く、耐力も高くなって成形加工に際して割れ
が発生し易くなり好ましくない。即ちMn、Crの固溶量を
0.05%以下に規制することが必要である。なお、Mn、
Crの固溶量は熱フェノール分解法によって測定したもの
である。
下であり、これらのMn、Crはアルミニウム合金板を再結
晶する際に{100}方位の形成を妨げる元素であり、
これらの固溶量が0.05wt%を超えると、{100}方
位と{110}方位の強度比が1以上になり難く、極限
変形能が低く、耐力も高くなって成形加工に際して割れ
が発生し易くなり好ましくない。即ちMn、Crの固溶量を
0.05%以下に規制することが必要である。なお、Mn、
Crの固溶量は熱フェノール分解法によって測定したもの
である。
【0012】上記したようなMgとMn、Cr以外の合金元素
については必要に応じて適宜に添加することができる。
即ち、更に高強度を必要とする場合にはFe、Cu、Znの1
種または2種以上をそれぞれ0.5%程度まで添加してよ
い。また鋳造に際して割れを防止するためにTiを0.1%
以下と、Bを0.05%以下添加することができる。更に
合金溶湯の溶製に当って不純物元素はアルミニウムイン
ゴットおよび返り材からJIS規格程度に含有されてよ
い。また本発明によるMg:2〜6%を含有したアルミニ
ウム合金溶湯を溶製するに当ってMgの酸化防止のため0.
005%以下のBeを添加することが好ましい。
については必要に応じて適宜に添加することができる。
即ち、更に高強度を必要とする場合にはFe、Cu、Znの1
種または2種以上をそれぞれ0.5%程度まで添加してよ
い。また鋳造に際して割れを防止するためにTiを0.1%
以下と、Bを0.05%以下添加することができる。更に
合金溶湯の溶製に当って不純物元素はアルミニウムイン
ゴットおよび返り材からJIS規格程度に含有されてよ
い。また本発明によるMg:2〜6%を含有したアルミニ
ウム合金溶湯を溶製するに当ってMgの酸化防止のため0.
005%以下のBeを添加することが好ましい。
【0013】更に本発明においては{100}方位と
{110}方位の強度比を1以上とする。即ち、本発明
の大きな特徴としては、板の面における{100}方位
と{110}方位の強度比が1以上とするもので、この
ような強度比が1以上になれば極限変形能が高く、耐力
が低くなることである。{100}方位と{110}方
位の強度比が1未満の場合、極限変形能が小さく、耐力
が高い。なお、上述{100}および{110}方位強
度はX線回折で求めた結晶方位分布関数から算出した
{100}、{110}面の積分強度である。
{110}方位の強度比を1以上とする。即ち、本発明
の大きな特徴としては、板の面における{100}方位
と{110}方位の強度比が1以上とするもので、この
ような強度比が1以上になれば極限変形能が高く、耐力
が低くなることである。{100}方位と{110}方
位の強度比が1未満の場合、極限変形能が小さく、耐力
が高い。なお、上述{100}および{110}方位強
度はX線回折で求めた結晶方位分布関数から算出した
{100}、{110}面の積分強度である。
【0014】次に上述したような本発明のアルミニウム
合金板を得る好ましい製造方法について説明すると、上
記組成のAl−Mg合金板は通常のDC鋳造あるいはベルト
キャスター法、双ロール法、3C法などの連続鋳造法で
製造することができ、特に限定するものではなく、必要
に応じてソーキングを施し、熱間圧延を行うが、その
後、冷間圧延をする。またこのような冷間圧延の途中で
必要に応じて1回また2回以上の中間焼鈍を行ってもよ
いが、最終焼鈍前の冷間圧延率が40%以上とする必要
がある。
合金板を得る好ましい製造方法について説明すると、上
記組成のAl−Mg合金板は通常のDC鋳造あるいはベルト
キャスター法、双ロール法、3C法などの連続鋳造法で
製造することができ、特に限定するものではなく、必要
に応じてソーキングを施し、熱間圧延を行うが、その
後、冷間圧延をする。またこのような冷間圧延の途中で
必要に応じて1回また2回以上の中間焼鈍を行ってもよ
いが、最終焼鈍前の冷間圧延率が40%以上とする必要
がある。
【0015】即ち、上記のような最終焼鈍前の冷延率は
最終焼鈍板の結晶粒の方位に大きな影響を与え、40%
未満では{100}方位の強度が低く、{100}方位
と{110}方位の強度比が1以上にならず、極限変形
能が低くて耐力が高い。従って、最終焼鈍直前の冷間圧
延率が40%以上にする必要がある。
最終焼鈍板の結晶粒の方位に大きな影響を与え、40%
未満では{100}方位の強度が低く、{100}方位
と{110}方位の強度比が1以上にならず、極限変形
能が低くて耐力が高い。従って、最終焼鈍直前の冷間圧
延率が40%以上にする必要がある。
【0016】上記に続いて行われる最終焼鈍は再結晶以
上の温度で行うがその好ましい温度範囲は300−55
0℃である。即ち300℃未満では再結晶せず、{10
0}方位と{110}方位の強度比が1以上にならな
い。一方550℃を超えると、局部的に溶融が発生する
恐れがある。このような焼鈍の仕方としては焼鈍温度が
350℃程度の場合には昇温速度の遅い(100℃/hr
程度)バッチ焼鈍で1〜3時間程度保持し、また焼鈍温
度が500℃以上のような場合は昇温速度の早い(例え
ば1℃/sec)のCAL焼鈍で1〜10秒間程度保持する
ことにより適切に再結晶させることができる。またこの
ような最終焼鈍後、必要に応じて冷却歪を解消するため
に矯正加工を施し、更には安定化処理を行ってもよい。
上の温度で行うがその好ましい温度範囲は300−55
0℃である。即ち300℃未満では再結晶せず、{10
0}方位と{110}方位の強度比が1以上にならな
い。一方550℃を超えると、局部的に溶融が発生する
恐れがある。このような焼鈍の仕方としては焼鈍温度が
350℃程度の場合には昇温速度の遅い(100℃/hr
程度)バッチ焼鈍で1〜3時間程度保持し、また焼鈍温
度が500℃以上のような場合は昇温速度の早い(例え
ば1℃/sec)のCAL焼鈍で1〜10秒間程度保持する
ことにより適切に再結晶させることができる。またこの
ような最終焼鈍後、必要に応じて冷却歪を解消するため
に矯正加工を施し、更には安定化処理を行ってもよい。
【0017】上記したような工程を施して得られる本発
明のアルミニウム合金板は{100}方位と{110}
方位の強度比が1以上となり、またMn、Crの固溶量が0.
05%以下であって、耐力が130MPa 以下のように低
く極限変形能において優れたものである。
明のアルミニウム合金板は{100}方位と{110}
方位の強度比が1以上となり、またMn、Crの固溶量が0.
05%以下であって、耐力が130MPa 以下のように低
く極限変形能において優れたものである。
【0018】
【実施例】本発明例として次の表1に示す合金番号1の
ような組成を有するアルミニウム合金溶湯を連続鋳造、
直接熱間圧延してから冷間圧延し最終焼鈍したものと、
および合金番号2〜5のような組成を有するアルミニウ
ム合金溶湯をDC鋳造後、面削・ソーキングし、熱間圧
延、冷間圧延し最終焼鈍したものを用意した。またこの
ような合金番号1〜5のものとは別にMgとしては本発明
範囲内であるが、Mnが高く、従ってMn、Cr含有量の多い
比較合金6、7を準備した。これらの各合金1〜7を後
に示す表2のような工程によって鋳造し、面削、ソーキ
ング・圧延・焼鈍を適宜に実施し合金板とした。
ような組成を有するアルミニウム合金溶湯を連続鋳造、
直接熱間圧延してから冷間圧延し最終焼鈍したものと、
および合金番号2〜5のような組成を有するアルミニウ
ム合金溶湯をDC鋳造後、面削・ソーキングし、熱間圧
延、冷間圧延し最終焼鈍したものを用意した。またこの
ような合金番号1〜5のものとは別にMgとしては本発明
範囲内であるが、Mnが高く、従ってMn、Cr含有量の多い
比較合金6、7を準備した。これらの各合金1〜7を後
に示す表2のような工程によって鋳造し、面削、ソーキ
ング・圧延・焼鈍を適宜に実施し合金板とした。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】即ち合金番号1のものについては、本発明
製造法による製造番号I 、II、IIIのものと、最終焼鈍
前の冷間圧延率を本発明製造法に達しない29%とした
製造番号VIII、合金番号2のものは製造番号IV、合金番
号3のものは製造番号V、XI、合金番号4のものは製造
番号VI、合金番号5のものは製造番号VII 、合金番号6
のものは製造番号IX、合金番号7のものは製造番号Xと
してそれぞれ表2の条件によりアルミニウム合金板とし
たものである。なお、中間焼鈍は330℃×2時間で処
理した。最終焼鈍は2時間保持し炉冷した。
製造法による製造番号I 、II、IIIのものと、最終焼鈍
前の冷間圧延率を本発明製造法に達しない29%とした
製造番号VIII、合金番号2のものは製造番号IV、合金番
号3のものは製造番号V、XI、合金番号4のものは製造
番号VI、合金番号5のものは製造番号VII 、合金番号6
のものは製造番号IX、合金番号7のものは製造番号Xと
してそれぞれ表2の条件によりアルミニウム合金板とし
たものである。なお、中間焼鈍は330℃×2時間で処
理した。最終焼鈍は2時間保持し炉冷した。
【0022】以上のようにして得られた各製造番号によ
るアルミニウム合金板について、その板の組織および特
性値を求めた結果を要約して示すと、次の表3の如くで
あり、本発明の条件を何れも満足した製造番号I〜VII
のものは耐力が130MPa 以下で、極限変形能が0.84
以上であるのに対し、本発明のものとは固溶量が外れた
比較材(製造番号IX、X)は耐力が高いと共に極限変形
能が低い。また本発明とは最終焼鈍前の冷間圧延率が外
れた製造番号VIII、XIのものは耐力は低いが極限変形能
において大きく劣っており、これら比較材のものは何れ
も本発明の目的を達し得ないことが知られた。
るアルミニウム合金板について、その板の組織および特
性値を求めた結果を要約して示すと、次の表3の如くで
あり、本発明の条件を何れも満足した製造番号I〜VII
のものは耐力が130MPa 以下で、極限変形能が0.84
以上であるのに対し、本発明のものとは固溶量が外れた
比較材(製造番号IX、X)は耐力が高いと共に極限変形
能が低い。また本発明とは最終焼鈍前の冷間圧延率が外
れた製造番号VIII、XIのものは耐力は低いが極限変形能
において大きく劣っており、これら比較材のものは何れ
も本発明の目的を達し得ないことが知られた。
【0023】
【表3】
【0024】
【発明の効果】以上説明したような本発明によるアルミ
ニウム合金板は耐力が低く、極限変形能が高いAl−Mg系
合金圧延板であり、また本発明の製造方法はこのような
アルミニウム合金板を容易且つ的確に製造することがで
きるものであって、自動車のボディシート、骨格部材、
およびホイール、船舶その他の電気機器の外板等に使用
される圧延板として軽量性と共にその製造操作が容易か
つ最適であるなどの効果を有しており、工業的にその効
果の大きい発明である。
ニウム合金板は耐力が低く、極限変形能が高いAl−Mg系
合金圧延板であり、また本発明の製造方法はこのような
アルミニウム合金板を容易且つ的確に製造することがで
きるものであって、自動車のボディシート、骨格部材、
およびホイール、船舶その他の電気機器の外板等に使用
される圧延板として軽量性と共にその製造操作が容易か
つ最適であるなどの効果を有しており、工業的にその効
果の大きい発明である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森山 武 愛知県稲沢市小池1丁目11番1号 日本軽 金属株式会社名古屋工場内
Claims (2)
- 【請求項1】 wt%で、Mg:2〜6%を含有し、Mn、Cr
の固溶量が合計で0.05%以下のアルミニウム合金板で
あって、該アルミニウム合金板面における{100}方
位と{110}方位の強度比(I{100}/I{11
0})が1以上であることを特徴とする耐力が低く極限
変形能に優れたアルミニウム合金板。 - 【請求項2】 wt%で、Mg:2〜6%を含有し、Mn、Cr
の固溶量が合計で0.05%以下のアルミニウム合金板を
最終焼鈍直前の冷間圧延率40%以上で圧延した後最終
焼鈍を施し再結晶させることを特徴とする耐力が低く極
限変形能に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14644996A JPH108176A (ja) | 1996-04-25 | 1996-05-17 | 耐力が低く極限変形能に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8-127631 | 1996-04-25 | ||
JP12763196 | 1996-04-25 | ||
JP14644996A JPH108176A (ja) | 1996-04-25 | 1996-05-17 | 耐力が低く極限変形能に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH108176A true JPH108176A (ja) | 1998-01-13 |
Family
ID=26463536
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14644996A Pending JPH108176A (ja) | 1996-04-25 | 1996-05-17 | 耐力が低く極限変形能に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH108176A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006109602A1 (ja) * | 2005-04-12 | 2006-10-19 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | アルミニウム合金製ブレージングシートおよび熱交換器用アルミニウム合金製チューブ |
JP2008511756A (ja) * | 2004-08-27 | 2008-04-17 | コモンウェルス インダストリーズ,インコーポレーテッド | アルミニウム自動車用構造部材 |
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