JPH10259441A - 高速超塑性成形性に優れ且つ成形後のキャビティの少ないアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

高速超塑性成形性に優れ且つ成形後のキャビティの少ないアルミニウム合金板およびその製造方法

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JPH10259441A
JPH10259441A JP8567997A JP8567997A JPH10259441A JP H10259441 A JPH10259441 A JP H10259441A JP 8567997 A JP8567997 A JP 8567997A JP 8567997 A JP8567997 A JP 8567997A JP H10259441 A JPH10259441 A JP H10259441A
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molding
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Koichiro Takiguchi
浩一郎 滝口
Hideo Yoshida
英雄 吉田
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速で高温成形が可能な高速超塑性成形性に
優れ、且つ成形後のキャビティの少ないアルミニウム合
金板を提供する。当該アルミニウム合金板を使用するこ
とにより、高品位の成形製品が得られ、また成形時間が
短縮され生産性が改善される。 【解決手段】 Mg:3.0〜8.0wt %、Cu:0.21 〜0.50
wt%、Ti:0.001〜0.1wt %を含有し、不純物としての
Fe:0.06wt %以下、Si:0.06wt %以下で、残部Al
および不可避的不純物からなる合金よりなり、平均結晶
粒径20〜200 μmであり、350 〜550 ℃で歪速度10-2〜1
00/s で成形加工した場合の伸びが350 %以上で、200
%成形時のキャビティ率が1 %未満である。少量のM
n、Cr、Zrを添加してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速超塑性成形性
に優れ、とくに歪速度が10-2〜100/s の高速超塑性成形
を可能とし、且つ成形後のキャビティの少ないAl−M
g系アルミニウム合金板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Al−Mg系合金において、再結晶を抑
制して結晶粒を微細化し、例えば500〜550 ℃の高温領
域で数100 %の伸びを生じるようにした超塑性合金が開
発され、各種の用途に適用されているが、従来のAl−
Mg系超塑性合金は、成形速度(歪速度)が10-4〜10-3
/sでの成形において最適の伸びが得られるものであり、
このような成形速度を適用した場合、一般的な器物など
の成形では、成形に例えば30〜100 分程度の時間を要す
るため、工業規模での生産においては生産性がわるく、
さらに早い成形速度で成形加工し得る超塑性アルミニウ
ム合金の開発が要望されている。粉末冶金法(P/M
法)により結晶粒を微細化した超塑性合金も開発され、
高い歪速度領域において1000%近い伸びが得られている
が、製造コストが高く、一般用途には適しない。
【0003】また、超塑性成形においては、粒界滑りに
よる変形機構に起因して結晶粒界にキャビティが生じ易
くなるが、キャビティの生成は、超塑性伸びを低下させ
るとともに、材料の機械的性質、疲労強度などを劣化さ
せる原因となるから、成形時のキャビティ発生が少ない
超塑性アルミニウム合金の開発も要請されている。
【0004】これまでに提案された超塑性アルミニウム
合金として、例えば、Mg:2.0〜6.0 %、Be:0.0001
〜0.01%、Ti:0.001〜0.15%を含み、不純物のFeお
よびSiをいずれも0.2 %以下の制限し、不純物に基づ
く金属間化合物の最大粒径を10μm 以下に限定したアル
ミニウム合金板( 特開平4-72030 号公報) があるが、こ
の合金板は、400 ℃での高温変形において、歪速度が10
-3/sでは350 %以上の伸びを示すものの、成形速度が増
加するにつれて伸びが減少し、10-2/s以上の歪速度では
十分な伸びが得られず、また、成形後のキャビティの発
生の点でも問題がある。
【0005】Mg:2.0〜6.5 %、B:0.5〜1000ppm を含
有し、Na:3ppm 以下、Ca:5ppm以下、Ga:150ppm
以下、Mn:0.40 %以下、V:0.15 %以下、Cr:0.15
%以下、Zr:0.15 %以下、Si:0.15 %以下、Cu:
0.20 %以下、Zn:1.0%以下に規制し、残部Alおよ
び不純物からなる超塑性成形用アルミニウム合金圧延板
も提案されている(特開平7-197177号公報) が、この材
料においても高速成形時の伸びが必ずしも十分ではな
く、キャビティの生成はかなり減少してはいるが、厳し
い使用条件に耐えるためにはなお改善の余地がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Al−Mg
系の超塑性アルミニウム合金における上記従来の問題点
を解消するために、合金成分の組合わせ、不純物量およ
び結晶粒径と超塑性成形特性、成形時のキャビティ生成
との関連性について再検討を行い、とくにキャビティ発
生の原因となる不純物としてのFeおよびSiの制限範
囲と、Al−Mg系合金の超塑性成形を向上させる一
方、キャビティの生成を抑制するCuの添加量との量的
バランスについて究明した結果としてなされたものであ
り、その目的は、高速の成形速度、例えば10 -2 〜100/
s の歪速度での成形において十分な伸びが得られ、且つ
成形時におけるキャビティの生成を抑制できるようにし
た高速超塑性成形性に優れ且つ成形後のキャビティの少
ないアルミニウム合金板およびその製造方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による高速超塑性成形性に優れ且つ成形後の
キャビティの少ないアルミニウム合金板は、Mg:3.0〜
8.0 %、Cu:0.21 〜0.50%、Ti:0.001〜0.1 %を含
有し、不純物としてのFeを0.06%以下、Siを0.06%
以下に制限し、残部Alおよび不純物からなる合金で構
成され、平均結晶粒径が20〜200 μm であることを特徴
とする。
【0008】また、上記の合金成分に加え、さらにM
n:0.1%以下、Cr:0.1%以下、Zr:0.1%以下のうち
の1種または2種以上を含有すること、引張強さTs
が、Ts(MPa)≧25×(Mg%)+160であるこ
と、350 〜550 ℃の温度域において歪速度10-2〜100/s
で成形加工したときの伸びが350 %以上であること、お
よび350 〜550 ℃の温度域において、歪速度10-2〜100/
s で200 %成形加工したときのキャビティ率が1%以下
であることを構成上の第2、第3、第4および第5の特
徴とする。
【0009】本発明による高速超塑性成形性に優れ且つ
成形後のキャビティの少ないアルミニウム合金板の製造
方法は、上記記載の組成を有するアルミニウム合金の鋳
塊を、450 〜550 ℃の温度で6 時間以上均質化処理した
後、開始温度250 〜500 ℃で熱間圧延し、ついで冷間圧
延を行い、350 〜550 ℃の温度で最終焼鈍すること、お
よび上記の組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を、45
0 〜550 ℃の温度で6時間以上均質化処理した後、開始
温度250 〜500 ℃で熱間圧延し、ついで加工度30%以上
の冷間圧延を行い、200 〜320 ℃の温度で最終焼鈍する
ことを第1および第2の特徴とする。
【0010】また、上記の組成を有するアルミニウム合
金の鋳塊を、450 〜550 ℃の温度で6 時間以上均質化処
理した後、開始温度250 〜500 ℃で熱間圧延し、ついで
加工度30%以上の冷間圧延を行い、200 〜320 ℃の温度
で最終焼鈍することを第3の特徴とする。
【0011】本発明における合金元素の意義および含有
範囲について説明すると、Mgは、高温変形中に合金を
再結晶させる機能を有する。好ましい含有範囲は3.0 〜
8.0%であり、3.0 %未満では再結晶促進の効果が小さ
く、8.0 %を越えて含有すると熱間加工性を劣化させ
る。
【0012】Cuは、Al−Mg系合金のキャビティ生
成を抑制し、超塑性伸びを向上させる点で好ましい元素
である。本発明においては、不純物のFe、Siを低く
限定することにより、Cuの含有範囲を0.21〜0.50%ま
で上げることが可能となる。0.21%未満では超塑性伸び
を向上させる効果が十分でなく、0.50%を越えると熱間
加工性が低下する。
【0013】Tiは鋳塊の結晶粒を微細化し、合金の超
塑性特性の向上に役立つ。好ましい含有範囲は0.001 〜
0.1 %であり、0.001 %未満ではその効果が小さく、0.
1 %を越えて含有すると、粗大な化合物が生じ加工性、
延性が害される。Mn、Crは、高温変形中の合金の再
結晶において、再結晶粒を微細にする機能を有する。好
ましい含有量はそれぞれ0.10%以下の範囲であり、0.10
%を越えると、粒径が1 μm 以上のAl−Fe−Si系
化合物を増加させ、合金の高速超塑性変形能を低下させ
る傾向がある。
【0014】本発明においては、不純物としてのFe、
Siをそれぞれ0.06%以下に制限することが重要であ
る。不純物のFe、Siは不溶性のAl−Fe−Si系
化合物を生成し、この化合物が結晶粒界に析出してキャ
ビティを増加させ、超塑性伸びを低下させる。好ましく
はFe:0.05 %以下、Si:0.05 %以下の制限する。ま
た、Beを通常のAl−Mg系合金と同様、溶湯の酸化
を防止するために50ppm以下の範囲で添加することもで
きる。
【0015】結晶粒径については、アルミニウム合金板
の初期の平均結晶粒径を25〜200 μm に制御することが
必要である。初期の平均結晶粒径が25μm 未満では、高
温変形中に再結晶した場合に元の結晶粒が現出され、上
記不溶性化合物の析出している粒界が消失し、再結晶し
た結果として生じる清浄な結晶粒からなる再結晶組織が
得難い。初期の平均結晶粒径が200 μm を越えると、変
形速度が増大するにつれて結晶粒内の剪断変形が顕著と
なって破断し易くなるため、超塑性伸びが低下し易い。
【0016】本発明のアルミニウム合金板の成形加工
は、350 〜550 ℃の温度で行うのが好ましい。350 ℃未
満では、Al−Mg系化合物、Al−Mg−Cu系化合
物が結晶粒界に析出し易く、伸びが低下する。成形加工
温度が550 ℃を越えると結晶粒の粗大化が生じ、さらに
結晶粒界に析出した融点の低いAl−Mg系またはAl
−Mg−Cu系の晶出物の共晶融解が生じ、伸びが極端
に低下する。成形加工時の歪速度は10-3〜100/s の範囲
が好ましく、10-3/s未満の歪速度では、変形中に結晶粒
が粗大化して伸びの低下を招き、100/s を越える歪速度
では、結晶粒内に剪断変形が生じて割れの原因となった
り、結晶粒界に析出が生じ伸びを低下させる。本発明に
おいては、上記の成形加工温度、歪速度で成形加工を行
った場合、350 %以上の伸びが得られ、200 %成形時の
キャビティ率は1 %未満に抑制される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明のアルミニウム合金
板の製造方法について説明する。常法に従って、上記組
成のアルミニウム合金を溶解、鋳造し、得られた鋳塊を
均質化処理する。均質化処理条件は450 〜550 ℃の温度
で行うのが好ましい。450 ℃未満では、鋳塊の結晶粒界
面やセル境界に偏析したMg、Cuが十分に再固溶され
ず熱間圧延割れの原因となる。550 ℃を越えた温度で
は、融点の低いAl−Mg系あるいはAl−Mg−Cu
系晶出物が共晶融解を生じ、熱間圧延時における割れ発
生の原因となる。
【0018】均質化処理後、熱間圧延を行い、鋳塊組織
を展伸材組織とする。熱間圧延の開始温度は250 〜500
℃であるが、好ましくは 400℃未満とするのがよい。25
0 ℃未満で熱間圧延を開始すると、材料の変形抵抗が高
く熱間圧延が困難となる。熱間圧延温度が高くなると、
析出物の分布態様の変化により、所定の結晶粒組織およ
び析出化合物の分布が得難くなる場合がある。
【0019】熱間圧延に続いて冷間圧延を行う。必要に
応じて、冷間圧延中に中間焼鈍を行ってもよい。冷間圧
延材の最終焼鈍は350 〜550 ℃の温度で実施する。350
℃未満の焼鈍では、熱間圧延で形成された組織の異方性
が十分に消失しない場合があり、550 ℃を越えると再結
晶粒界に局部溶解が生じるおそれがある。最終焼鈍は、
連続焼鈍などの急速焼鈍処理によるのが好ましい。
【0020】超塑性成形前に冷間加工を加えるような用
途のものに対しては、加工度10%以下の弱加工部が存在
すると、超塑性成形の加熱時に結晶粒の粗大化が生じ、
伸びが大幅に低下するため、冷間圧延を30%以上の加工
度で行い、200 〜320 ℃の温度で最終焼鈍するのが好ま
しい。冷間加工度が30%未満では、200 〜320 ℃の軟化
処理において弱加工の加工歪が除去できず、超塑性成形
の加熱時に結晶粒の粗大化が生じて、伸びが大幅に低下
する。
【0021】この製造方法に従った場合には、得られる
アルミニウム合金板はH2nに相当する調質のものとな
り、その引張強さは、引張強さ(MPa) ≧25×Mg%+
160を満足したものとなるから、Mg含有量を調整す
ることによって、強度特性を制御することが可能とな
る。
【0022】本発明においては、Al−Mg系合金中の
不純物であるFe、Siを制限し、合金成分量とその組
合わせに応じて上記の製造条件の組合わせを調整するこ
とにより、結晶粒径を特定の範囲に制御し、且つ結晶粒
界における化合物を少なくして、清浄な粒界としてキャ
ビティの生成を抑制し、その結果として、高温変形中に
平均で20μm 以下の再結晶粒が形成され、350 〜550 ℃
の温度域において、歪速度10-2〜100/s の高速成形で
も、350 %以上、好ましくは380 %以上の十分な延性を
得ることを可能とする。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例1、比較例1 表1に示す組成のAl−Mg系アルミニウム合金を溶解
し、DC鋳造法により造塊した。得られた鋳塊を520 ℃
で8 時間均質化処理したのち、30mm厚さとし、390 ℃の
温度で熱間圧延を開始し、4mm 厚さまで熱間圧延した。
ついで冷間圧延を行って板厚を2mm とし、480 ℃の温度
に急速に加熱し5 分間保持する急速焼鈍処理を行った。
【0024】これらの板材を試験材として、温度480
℃、歪速度10-2/sで引張試験を行った。各試験材の平均
結晶粒径( 板面の平均結晶粒径) 、引張試験により測定
した伸び値を表1に示す。なお、表1において、本発明
の条件を外れたものには下線を付した。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示すように、本発明に従う試験材N
o.1〜3 は、いずれも350 %を越える優れた伸びを示し
た。一方、試験材No.4はCu量が少ないため、高温変形
中の粒界からの再結晶が不十分となり伸びが劣る。試験
材No.5はCu量が多過ぎるため、また試験材No.6はMg
含有量が多過ぎるため、いずれも熱間圧延において割れ
が生じ試験片が形成できなかった。試験材No.7は、不純
物のFeおよびSiが多量に含まれるため、粒界に析出
する化合物量が多く伸びが低下する。試験材No.8はMg
量が少ないため、高温変形中において粒界からの再結晶
が不十分となり伸び値が低下している。
【0027】実施例2、比較例2 表2に示す組成のAl−Mg系アルミニウム合金を、実
施例1と同様に溶解、鋳造し、実施例1と同一の工程、
同一の条件で処理して厚さ2mm の試験材を作製し、各試
験材について実施例1と同じ条件で引張試験を行った。
各試験材の平均結晶粒径(板面の平均結晶粒径)、引張
試験で測定された伸び値を表2に示す。なお、表2にお
いて、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
【0028】
【表2】
【0029】表2にみられるように、本発明に従う試験
材No.9〜14は、いずれも350 %を越える優れた伸びを示
したが、試験材No.15 はMnの含有量が多く、試験材N
o.16はCr量が多いため、また試験材No.17 はMnおよ
びCr量が多いため、いずれもAl−Fe−Si系化合
物の分布が多く、伸び値が低い。
【0030】実施例3、比較例3 実施例1の試験材No.1と同一の組成を有するアルミニウ
ム合金を、実施例1と同様に溶解、鋳造し、実施例1と
同一の工程および条件で処理し、厚さ2mm の板材を作製
した。作製された板材を試験材として、表3に示すよう
に、引張温度、歪速度を変えて引張試験を行った。各試
験材の伸びを表3に示す。なお、各試験材の平均結晶粒
径(板面の平均結晶粒径)はいずれも50〜60μm の範囲
内であった。
【0031】
【表3】
【0032】表3に示すように、本発明に従う試験材N
o.18 〜22は、いずれも350 %以上の優れた伸び値を示
したが、試験材No.23 は引張試験温度が高いため結晶粒
が粗大化し、伸び値が低下している。試験材No.24 は歪
速度が小さいため、変形中に結晶粒の粗大化が生じ伸び
値が低下した。試験材No.25 は歪速度が大き過ぎるため
伸びが低い。
【0033】実施例4、比較例4 実施例1の試験材No.1、4 と同一組成のアルミニウム合
金を、実施例1と同様に溶解、鋳造し、実施例1と同一
の工程および条件で処理して厚さ2mm の板材を作製し
た。得られた板材を試験材として、表4に示すように歪
速度を変えて成形量200 %に相当する引張試験を行い、
画像解析装置を用いてL−ST断面(試験片中央部)の
キャビティ率を測定した。測定結果を表4に示す。キャ
ビティ率が1.0 %未満のものを良好とした。なお、表4
において、本発明の条件を外れたものには下線を付し
た。
【0034】
【表4】
【0035】表4に示すように、本発明に従う試験材N
o.26 、27は、200 %成形時のキャビティ率が0.3 %以
下の低キャビティ率を示した。一方、試験材No.28 、29
はCu含有量が少ないため、キャビティ率が高くなって
いる。
【0036】実施例5、比較例5 実施例1の試験材No.1と同一組成のアルミニウム合金
を、実施例1と同様に溶解、鋳造し、実施例1と同一工
程および同一条件で厚さ30mmから4mm まで熱間圧延し
た。ついで、表5に示す条件で冷間圧延および焼鈍処理
を行った。
【0037】得られた板材を試験材として、5 %相当の
冷間加工を加えた後、温度480 ℃、初期歪速度10-2s -1
で引張試験を行った。引張試験で測定した引張強さおよ
び伸び値を表5に示す。なお、表5において、本発明の
条件を外れたものには下線を付した。
【0038】
【表5】
【0039】表5に示すように、本発明に従う試験材N
o.30 〜31は、いずれも350 %を越える優れた伸び値を
示したが、試験材No.32 は熱間圧延後の冷間圧延率が少
ないため、また試験材No.33 は焼鈍温度が高いため、い
ずれも5 %相当の冷間加工後に480 ℃に加熱したとき結
晶粒が粗大化し伸びが低下した。さらに、本発明に従う
試験材No.30 〜31においては、引張強さが(25×Mg
%+160)以上の値を示している。
【0040】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、高温に
おいて、歪速度が 10 -2〜100/s のような高速成形にお
いても十分な超塑性伸びが得られ、且つ成形加工後のキ
ャビティの少ないAl−Mg系アルミニウム合金板が提
供される。当該アルミニウム合金板を使用して超塑性成
形を行うことにより高品位の成形製品を得ることができ
る。また、成形時間が短縮され生産性が改善される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 683 683 686 686A 691 691B 691C 694 694B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg:3.0〜8.0 %(重量%、以下同
    じ)、Cu:0.21 〜0.50%、Ti:0.001〜0.1 %を含有
    し、不純物としてのFeを0.06%以下、Siを0.06%以
    下に制限し、残部Alおよび不純物からなる合金よりな
    り、平均結晶粒径が20〜200 μm であることを特徴とす
    る高速超塑性成形性に優れ且つ成形後のキャビティの少
    ないアルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 さらにMn:0.1%以下、Cr:0.1%以
    下、Zr:0.1%以下のうちの1種または2種以上を含有
    することを特徴とする請求項1記載の高速超塑性成形に
    優れ且つ成形後のキャビティの少ないアルミニウム合金
    板。
  3. 【請求項3】 引張強さTsが、Ts(MPa)≧25×
    (Mg%)+160であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の高速超塑性成形性に優れ且つ成形後のキャ
    ビティの少ないアルミニウム合金板。
  4. 【請求項4】 350 〜550 ℃の温度域において歪速度10
    -2〜100/s で成形加工したときの伸びが350 %以上であ
    ることを特徴とする請求項1または3記載の高速超塑性
    成形性に優れ且つ成形後のキャビティの少ないアルミニ
    ウム合金板。
  5. 【請求項5】 350 〜550 ℃の温度域において、歪速度
    10-2〜100/s で200%成形加工したときのキャビティ率
    が1%以下であることを特徴とする請求項4記載の高速
    超塑性成形性に優れ且つ成形後のキャビティの少ないア
    ルミニウム合金板。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載の組成を有するア
    ルミニウム合金の鋳塊を、450 〜550 ℃の温度で6 時間
    以上均質化処理した後、開始温度250 〜500℃で熱間圧
    延し、ついで冷間圧延を行い、350 〜550 ℃の温度で最
    終焼鈍することを特徴とする高速超塑性成形性に優れ且
    つ成形後のキャビティの少ないアルミニウム合金板の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または2記載の組成を有するア
    ルミニウム合金の鋳塊を、450 〜550 ℃の温度で6 時間
    以上均質化処理した後、開始温度250 〜500℃で熱間圧
    延し、ついで加工度30%以上の冷間圧延を行い、200 〜
    320 ℃の温度で最終焼鈍することを特徴とする高速超塑
    性成形性に優れ且つ成形後のキャビティの少ないアルミ
    ニウム合金板の製造方法。
JP8567997A 1997-03-19 1997-03-19 高速超塑性成形性に優れ且つ成形後のキャビティの少ないアルミニウム合金板およびその製造方法 Pending JPH10259441A (ja)

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