JP2001032031A - 耐応力腐食割れ性に優れた構造材用アルミニウム合金板 - Google Patents

耐応力腐食割れ性に優れた構造材用アルミニウム合金板

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JP2001032031A
JP2001032031A JP20750199A JP20750199A JP2001032031A JP 2001032031 A JP2001032031 A JP 2001032031A JP 20750199 A JP20750199 A JP 20750199A JP 20750199 A JP20750199 A JP 20750199A JP 2001032031 A JP2001032031 A JP 2001032031A
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stress corrosion
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corrosion cracking
aluminum alloy
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Hitoshi Matsuzaki
均 松崎
Kiyonobu Sakaguchi
清信 坂口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性や強度等の他の特性を低下させずに、
耐応力腐食割れ性も向上させた、Mgを3.5%以上含むAl-M
g 系Al合金板を提供する。 【解決手段】 Mg:3.5〜5.5%を含み、最終焼鈍処理後の
強度 (σB ) が250N/mm2以上のAl-Mg 系アルミニウム合
金板であって、該アルミニウム合金板の、前記最終焼鈍
処理後の導電率を26.5〜29.6%IACS とすることである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐応力腐食割れ性
に優れた構造材用アルミニウム合金板(以下、アルミニ
ウムを単にAlと言う)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両、航空機、船舶、自動車、自動
二輪、自転車等の輸送機、或いは圧力容器やタンク等の
化学プラント、更には建築物や構造物等の構造部材や構
造部品として、主として、AA乃至JIS 5056、5082、518
2、5083、5086等の、Mgを3.5% (質量% 、以下同じ) 以
上を含むAl-Mg 系乃至5000系Al合金材が使用されてい
る。これらMg含有量の多いAl-Mg 系Al合金材は、優れた
強度を持ち、溶接性も良好であるため、溶接構造部材と
して汎用されている。
【0003】しかし、このMg含有量の多いAl-Mg 系Al合
金材を、構造材として、応力が付加された状態で長時間
使用した場合、応力腐食割れが発生しやすいという問題
がある。この応力腐食割れを確実に防止するためには、
塗装等の表面処理を施すことが有効である。ただ、前記
構造材用として、無塗装で使用される場合もあり、Al合
金材の側で、応力腐食割れを確実に防止することが求め
られている。
【0004】構造材の分野では、前記耐応力腐食割れ性
の要求など、特に、Al合金素材に対して、厳しい信頼性
が求められる。これは、構造材としての強度や成形性な
どの機械的な特性乃至要求特性は、熱処理などの構造材
の製造工程や成形工程の側で、必要特性を出すことが可
能であるものの、特に、耐応力腐食割れ性などの耐食性
は、Al合金素材の側で一義的に決定されてしまい、前記
製造工程や成形工程の側で改善できないからである。
【0005】従来から、Al-Mg 系Al合金材の応力腐食割
れは、時間の経過ととともに、β相(Al3Mg2)が粒界に優
先的に連続析出し、この粒界析出したβ相によって促進
されることが知られている。
【0006】そこで、従来より、Mg含有量の多いAl-Mg
系Al合金材の応力腐食割れを確実に防止するために、組
織的な制御として、β相の粒界に対する連続的な析出を
抑制することが、種々実施乃至提案されている。例え
ば、従来から実施されている方法としては、冷間圧延後
に204 〜274 ℃で2 時間以上保持する熱処理を行うこと
がある。そして、この熱処理により、β相を粒内に均一
に分散させることで、β相の粒界に対する連続的な析出
を抑制しようとしている。
【0007】また、特開平9-31615 号公報では、圧延終
了温度を80〜200 ℃の温間圧延を行い、圧延により増殖
した転位へのβ相の析出を促進し、β相の粒界に対する
連続析出を抑制しようとしている。
【0008】更に、特開平11-80874号公報では、6%を越
えるMg量の多いAl-Mg 系Al合金のβ相の全体析出量を制
御するとともに、粒界に析出したβ相を分断することが
開示されている。
【0009】そして、特開平11-80913号公報では、Mg含
有量の多いAl-Mg 系Al合金の連続鋳造圧延板を焼鈍処理
後、歪み矯正加工を行い、更に240 〜340 ℃の温度で加
熱および徐冷する熱処理を行い、連続鋳造によって偏析
したMg乃至β相を、結晶粒界に分断した形態で析出させ
ることが開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来から実施
されている、冷間圧延後に204 〜274 ℃で2 時間以上保
持する熱処理を行う方法では、熱処理温度が高いため
に、強度が低下し、熱処理後に再度冷間圧延を必要と
し、成形加工性が低下するという問題もある。これを防
止するために、150 〜230 ℃で熱処理を行う方法も、特
開平4-187748号公報で提案されているが、熱処理温度が
低いために、十分な応力腐食割れの改善効果が出ないと
いう問題がある。
【0011】また、前記特開平9-31615 号公報のよう
な、温間圧延を行う方法では、圧延効率が落ちるととも
に、耳割れが大きくなり歩留りが低下する等の圧延工程
における新たな問題を生じる。
【0012】更に、前記特開平11-80874号公報では、β
相の全体析出量を制御するとともに、粒界に析出したβ
相を分断するために、高温での溶体化処理後、260 〜34
0 ℃の加熱および徐冷する熱処理を行っており、やは
り、熱処理温度が高いために、強度が低下し、熱処理後
に再度冷間圧延を必要とし、成形加工性が低下するとい
う問題もある。
【0013】そして、この点は、前記特開平11-80913号
公報の240 〜340 ℃の温度で加熱および徐冷する熱処理
でも同様である。
【0014】したがって、連続鋳造材にしても、或いは
DC鋳造等の半連続鋳造材にしても、前記従来技術では、
耐応力腐割れ性を向上させるために、β相の粒界に対す
る連続析出を抑制しようとしても、成形性や強度等の他
の特性を低下させるという問題を共通して抱えていたも
のである。
【0015】それゆえ、Mgを3.5% (質量% 、以下同じ)
以上含むAl-Mg 系乃至5000系Al合金板の分野において、
DC鋳造材や連続鋳造材から板を製造する際、成形性や強
度等の他の特性を低下させずに、耐応力腐食割れ性も向
上させたAl合金板は、これまで実際には存在しなかった
のが実情である。
【0016】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、成形性や強度等の他の特性
を低下させずに、耐応力腐食割れ性も向上させた、Mgを
3.5%以上含むAl-Mg 系Al合金板を提供しようとするもの
である。
【0017】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明構造材用Al合金板の要旨は、Mg:3.5〜5.5%
(質量% 、以下同じ) を含み、最終焼鈍処理後の強度
B ) が250N/mm2以上のAl-Mg 系アルミニウム合金板
であって、該アルミニウム合金板の前記焼鈍処理後の導
電率を26.5〜29.6 IACS%の範囲とすることである。
【0018】通常、Mg:3.5〜5.5%以上含むAl-Mg 系Al合
金板は、他のAl合金板と同様に、鋳塊を均質化熱処理後
に熱間圧延し、更に幾つかの中間焼鈍を経て冷間圧延さ
れて製造される。しかし、その最終焼鈍処理後の導電率
は、σB で250N/mm2以上の高強度のAl-Mg 系Al合金板を
狙う限り、必然的に29.6 IACS%を越える値となる。
【0019】これは、Al-Mg 系Al合金板の強度がβ相の
析出状態に依拠すると考えられており、σB で250N/mm2
以上の高強度のAl-Mg 系Al合金板を狙う限り、前記β相
を固溶させずに、粒内にしろ粒界にしろ、β相を多量に
(必要量) 析出させる必要があると認識されていたから
である。したがって、強度を低下させずに、応力腐食割
れ性を向上させるためには、β相の析出量は変えずに
(低下させずに) 、析出するβ相を粒界ではなく、粒内
に析出させる、というのが前記した従来からの技術思想
である。
【0020】しかし、本発明者らは、このようなβ相の
析出制御とは異なり、最終焼鈍処理後のAl合金板の導電
率という、β相に限らない析出物トータルの (析出物全
体の) の析出と固溶状態が、応力腐食割れ性に影響を与
えていることを改めて知見した。即ち、Mg:3.5〜5.5%含
むAl-Mg 系Al合金板において、最終焼鈍処理後のAl合金
板の導電率が29.6 IACS%以下という、β相を含めた析出
物トータルの析出および固溶状態とすることにより、強
度特性を低下させずに、耐応力腐食割れ性を向上させる
ことが可能となることを知見した。
【0021】
【発明の実施の形態】(Al合金の化学成分組成)次に、本
発明Al合金における、化学成分組成について説明する。
本発明のAl合金は、前記構造材用として有すべき、基本
的な特性として、最終焼鈍処理(340℃×4 時間) 後のσ
B が250N/mm2以上の高強度を有する必要がある。
【0022】したがって、本発明Al合金の化学成分組成
は、前記強度を満足するために、Mg:3.5〜5.5% (質量%
、以下同じ) 含む組成とする。なお、この他の特性と
して、伸びや成形性等の特性を向上させる場合には、更
にMn:0.1〜1.0%、Cr:0.05 〜0.2%、Zr:0.05 〜0.2%、V:
0.01〜 0.15%の一種または二種以上を含む( 請求項5に
対応) ことが許容される。
【0023】また、その他、Si、Fe、Cu、Zn、Ti、B 等
の元素は、品質や特性を阻害しない範囲で、JIS 規格で
規定する上限量程度までは許容される。更に、例えば、
Ni、Sc、Ag、SnなどのJIS 規格に記載の無い他の元素
を、品質や特性を阻害しない範囲で、適宜含むことは許
容される。また、H2やO2などのガス成分や溶解原料スク
ラップなどから必然的に混入される他の不純物も、品質
や特性を阻害しない範囲で許容される。
【0024】(本発明Al合金の各元素量) Mg:3.5〜5.5%。Mgは、Al合金板に構造材に必要な強度と
成形性を付与するために必須の元素である。Mgの3.5%未
満の含有では構造材に必要な強度が不足する。一方、5.
5%を越えて含有されると、応力腐食割れ性および耐食
性、更には熱間加工性が低下する。したがって、Mgの含
有量は3.5 〜5.5%の範囲とする。
【0025】Mn:0.1〜1.0%、Cr:0.05 〜0.2%、Zr:0.05
〜0.2%、V:0.01〜 0.15%。 これらの元素は、いずれも結晶粒を微細化し、伸びおよ
び成形性を向上させる効果がある。この効果を得るため
には、各々前記下限量以上が必要である。しかし、各々
前記上限量を越える過剰な含有は、結晶粒微細化効果が
飽和し、伸びおよび成形性が却って低下する。このた
め、これらの元素を添加する場合は、各々、Mn:0.1〜1.
0%、Cr:0.05 〜0.2%、Zr:0.05 〜0.2%、V:0.01〜 0.15%
の範囲とする。
【0026】Cu:0.2% 以下。 Cuは粒界腐食感受性を高め、構造材としての耐粒界腐食
性を低下させる。したがって、Cuを含んだ場合、構造材
の使用環境が、塩水腐食など過酷な腐食環境下では、構
造材の粒界腐食割れや応力腐食割れを生じやすくさせる
可能性がある。この傾向は、Cuの含有量が0.2%を越えた
場合に著しくなる。したがって、Cuの含有量は0.2%以下
のできるだけ少ない含有量に規制する。しかし、地金以
外にリサイクル材を溶解原料として使用する場合、合金
中にCuを全く含有しないようにする (分析限界以下にす
る) ことは難しく、また、リサイクル自体も困難とな
る。したがって、実際の溶解技術やリサイクルの点から
も、Cuの許容量を0.2%以下と設定することが好ましい。
【0027】Ti:0.001 〜0.1%、B:1 〜300ppmの一種ま
たは二種。 Ti、B は鋳塊の結晶粒を微細化する効果がある。このた
め、特にTiは通常添加する元素である。Tiの0.001%未
満、B の1ppm未満の含有では、この効果が得られず、一
方、Tiを0.1%を越えて、またB を300ppmを越えて含有す
ると、粗大な晶出物を形成する。したがって、Tiの含有
量は0.001 〜0.1%の範囲、B の含有量は1〜300ppmの範
囲と、各々することが好ましい。
【0028】Fe:0.30% 以下。 Al合金に不純物として含まれるFeは、Al7Cu2Fe、Al12(F
e,Mn)3Cu2 、(Fe,Mn)Al6、或いは本発明で問題とする粗
大なAl-Fe-Si-(Mn、Cr、Zr) 系の晶出物を生成する。こ
れらの晶出物は、前記した通り、破壊靱性および疲労特
性などを劣化させる。特に、Feの含有量が0.3%、より厳
密には0.25% を越えると、Al-Fe-Si-(Mn、Cr、Zr) 系晶
出物の合計の面積率が、単位面積当たり1.5%以下、好ま
しくは、1.0%以下とすることができず、高靱性を得るこ
とができない。したがって、Feの含有量は0.30% 以下、
より好ましくは0.25% 以下とすることが好ましい。
【0029】また、Znは、前記した通り、却ってAl合金
材の腐食自体を促進する側面があり、特に、無塗装
(裸) で使用されることが多いAl合金構造部材にあって
は、却って粒界腐食を助長する可能性がある。したがっ
て、通常の不純物レベル以上に積極的に添加する必要は
ない。
【0030】(導電率)次に、本発明のAl- Mg系Al合金板
の導電率について説明する。本発明においては、Al合金
板の導電率を、最終焼鈍処理後の導電率で26.5〜29.6 I
ACS%の範囲と規定する。Al合金板の導電率は熱処理等、
析出物の固溶および析出状態が変わる処理乃至工程によ
って大きく変わるので、前記条件での最終焼鈍処理後の
導電率として規定する。
【0031】最終焼鈍処理後のAl合金板の導電率が、2
9.6 IACS [International AnnealedCopper Standard
(国際軟銅標準)]%を越えた場合、β相を含むトータルの
析出物の析出量が過大となり、強度は高くなるものの、
従来材と同じく、応力腐食割れ性が著しく低下する。し
たがって、Mg:3.5〜5.5%を含み、最終焼鈍処理後の強度
B ) が250N/mm2以上のAl-Mg 系Al合金板において、
最終焼鈍処理後のAl合金板の導電率を29.6 IACS%以下と
することにより、前記強度特性を低下させずに、耐応力
腐食割れ性を向上させることが可能となる。一方、耐応
力腐食割れ性の観点からは、導電率を26.5 IACS%よりも
低くする必要はなく、これより導電率が低いと延性が低
下し、成形性が低下する。したがって、導電率は26.5〜
29.6%IACS の範囲とする。
【0032】(本発明Al合金板の製造方法)前記最終焼鈍
処理後のAl合金板の導電率を、29.6 IACS%以下とするた
めには、熱間圧延や焼鈍処理等の工程では、析出物が析
出する側に働くので、析出物の固溶と析出を初期に支配
する鋳造工程においては、析出物の固溶を促進して、析
出を抑制することが好ましい。このためには、鋳造の際
の冷却速度が早い方が好ましい。この点、半連続鋳造法
(DC鋳造法、ブロック)よりは、回転式水冷鋳型や移
動鋳型を有する双ロール法、ベルトキャスター法、3C
法、ブロック連鋳等の連続鋳造で製造する方が好まし
い。
【0033】Al合金鋳塊の均質化熱処理および熱間圧延
は、常法により行うことが可能である。しかし、冷間圧
延の際の中間焼鈍および冷間圧延後の最終焼鈍は、析出
物を析出させる側に働くので、析出物の固溶を促進し
て、析出を抑制するため、加熱後の冷却における冷却速
度が早い方が好ましい。このために、バッチ式の熱処理
炉ではなく、Al合金板のコイルを連続的に巻き戻しなが
ら連続的に熱処理を行う、連続式熱処理炉による焼鈍が
好ましい。
【0034】より具体的には、冷間圧延の際の中間焼鈍
および冷間圧延後の最終焼鈍の際に、この連続焼鈍炉(C
AL) を用いる場合、焼鈍温度までの加熱速度を好ましく
は30℃/ 分以上で急速加熱し、保持後、保持温度から室
温までを100 ℃/ 分以上の冷却速度で急冷することが好
ましい。
【0035】
【実施例】次に、本発明方法の実施例を説明する。表1
に示すNo.A〜E までの、化学成分組成を有するAl-Mg 系
Al合金を用い、種々製造条件を変えてAl合金板の供試材
を製造した。具体的な製造方法は、Al-Mg 系Al合金鋳塊
を、ベルトキャスター方式の連続鋳造方法により25 m
m 厚みの鋳塊に溶製するか、またはDC鋳造法により50
0mm 厚みの鋳塊に溶製した後、510 ℃×4 時間の均質化
熱処理を施した。そして、この温度から熱間圧延を開始
し、300 ℃で圧延を終了し、厚さ3.5mm まで熱間圧延し
た。更に、この熱延板を340 ℃×3 時間の焼鈍を施した
後、厚さ1.0mm まで冷間圧延した。前記鋳造工程の種別
を表2 に示す。
【0036】そして、この冷間圧延の際、厚さ1.4mm
まで冷間圧延した段階で、連続焼鈍炉で昇温速度1000℃
/ 分、420 ℃×数秒の焼鈍および2000℃/ 分の冷却速度
で冷却する中間焼鈍を施す、前記と同じ段階で、バ
ッチ焼鈍炉で 340℃× 3時間の焼鈍および徐冷する中間
焼鈍を施した後、最終的に厚さ1.0mm まで冷間圧延す
る、これら中間焼鈍を施こさず、最終板厚1.0mm まで
冷間圧延する、3 つの条件で板の製造を行った。これら
工程の種別を表2 の中間焼鈍の欄に示す (は連続焼
鈍、はバッチ焼鈍、は焼鈍無しと記載) 。
【0037】また、冷間圧延後のAl合金板に対し、最終
焼鈍を施す際、連続焼鈍炉で昇温速度1000℃/ 分、51
0 ℃×5 秒の焼鈍および2000℃/ 分の冷却速度で冷却す
る、、バッチ焼鈍炉で 340℃×3 時間の焼鈍および徐
冷する、2 つの条件で板の製造を行った。これら工程の
種別を表2 の最終焼鈍の欄に示す (は連続焼鈍、は
バッチ焼鈍と記載) 。
【0038】(Al合金板の特性評価)前記各供試板の導電
率(IACS%) を測定した。また、引張試験(JIS Z 2241
法)にて引張試験を行い、引張強さ (σB ) 、耐力 (σ
0.2)、伸び(%) を測定した。これらの結果を表3 に示
す。
【0039】また、前記各供試板のプレス成形性を評価
するために、供試板よりブランク材を採取して張出し成
形し、その際に割れを生じずに成形できた最大張出し高
さ(LDHO ) を求めた。これらの結果も表3 に示す。な
お、深絞り成形の条件は、球頭張出試験として、直径5
0.0mmφの球頭パンチおよび肩R5.0mmで内径60mmφのビ
ード付きダイスを用い、120mm φに加工した試験片に市
販の防錆油を塗布し、ダイスに4.0 トンのしわ押さえ圧
を負荷する条件にて、割れの発生する成形限界高さを求
めた。
【0040】(応力腐食割れ試験)耐応力腐食割れ性は、
各供試板から採取した試験片を、30% の加工率で冷間圧
延後、120 ℃×7 日間の熱処理を行う鋭敏化処理を施
し、この鋭敏化試験片をRが14t のU 字に曲げ、U 字両
端部を拘束した応力付加状態で、室温に保持した3.5%濃
度の塩化ナトリウム水溶液 (腐食液) に浸漬するととも
に、電流密度0.062mA/mm2 で試験片に通電し、応力腐食
割れが生じるまでの時間 (分) を一定時間毎に測定し
た。これらの結果も表3 に示す。なお、応力腐食割れ試
験はJIS 等にも規定されているが、前記鋭敏化処理を施
した上でないと、実際の使用時における応力腐食割れの
発生の状況と対応しないことが多いため、本試験では前
記鋭敏化処理を施した。
【0041】表3 から明らかな通り、Mg:3.5〜5.5% (質
量% 、以下同じ) を含み、最終焼鈍処理後の導電率が2
6.5〜29.6 IACS%の範囲にある発明例No.1〜7 のAl合金
板は、耐応力腐食割れ性の基準である、応力腐食割れ発
生までの時間が1000分以上あり、耐応力腐食割れ性に優
れる。しかも、最終焼鈍処理後の強度 (σB ) が250N/m
m2以上であるとともに、伸びや成形性にも優れる。
【0042】なお、発明例の中でも、Feの含有量が少な
く (表1 のAl合金A)、連続鋳造および中間焼鈍と最終焼
鈍を連続焼鈍にて行った発明例No.1や、Feの含有量が高
くても (表1 のAl合金B 、D)、連続鋳造および中間焼鈍
と最終焼鈍を連続焼鈍にて行った発明例No.3、5 の方
が、連続鋳造であっても、中間焼鈍と最終焼鈍のいずれ
かをバッチ式の焼鈍で行った発明例No.2、4 、およびDC
鋳造を行い、中間焼鈍と最終焼鈍を連続焼鈍にて行った
発明例No.6よりも、導電率が低く、耐応力腐食割れ性に
も、比較的優れている。これは、前記した通り、連続鋳
造および連続焼鈍工程の方が、前記耐応力腐食割れ性に
対して、好ましい析出物状態を得やすいことを示してい
る。
【0043】これに対し、Feの含有量が高く (表1 のAl
合金B 、D)、DC鋳造を行っている比較例No.8、10、Feの
含有量は低いが (表1 のAl合金A)、DC鋳造を行い、中間
焼鈍と最終焼鈍の両者をバッチ式の焼鈍で行った比較例
No.11 、Feの含有量が高く (表1 のAl合金B)、連続鋳造
を行っているが、中間焼鈍と最終焼鈍の両者をバッチ式
の焼鈍で行った比較例No.12 は、各々最終焼鈍処理後の
導電率が29.6 IACS%を越えており、機械的な特性が発明
例よりも同等か劣るかしており、耐応力腐食割れ性は、
共通して、発明例よりも著しく劣っている。
【0044】なお、参考のために、Mg量が低く、本発明
の対象外であるJIS 5154相当のAl合金板 (表1 のAl合金
E)を、最も応力腐食割れが生じやすい製造条件(DC 鋳造
を行い、中間焼鈍と最終焼鈍の両者をバッチ式の焼鈍)
とした比較例No.9は、応力腐食割れ発生までの時間が10
00分以上あり、応力腐食割れの問題が、Mg含有量の多い
Al-Mg 系Al合金材で問題となることが分かる。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、輸送機等の構造材の軽
量化のために、強度等の他の特性を低下させずに、耐応
力腐食割れ性も向上させた、Mgを3.5%以上含むAl-Mg 系
Al合金板を提供することができる。したがって、構造材
用のAl合金材の用途を大きく拡大できる点で工業的な価
値が大きい。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg:3.5〜5.5% (質量% 、以下同じ) を含
    み、最終焼鈍処理後の強度 (σB ) が250N/mm2以上のAl
    -Mg 系アルミニウム合金板であって、該アルミニウム合
    金板の、前記焼鈍処理後の導電率が26.5〜29.6 IACS%で
    あることを特徴とする耐応力腐食割れ性に優れた構造材
    用アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム合金板が連続鋳造によ
    り製造されたスラブから圧延されたものである請求項1
    に記載の耐応力腐食割れ性に優れた構造材用アルミニウ
    ム合金板。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム合金板が、更にMn:0.1
    〜1.0%、Cr:0.05 〜0.2%、Zr:0.05 〜0.2%、V:0.01〜
    0.15%の一種または二種以上を含む請求項1または2に
    記載の耐応力腐食割れ性に優れた構造材用アルミニウム
    合金板。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム合金板が、およびTi:
    0.001〜0.1%、B:1 〜300ppmの一種または二種を含む請
    求項1乃至3のいずれか1 項に記載の耐応力腐食割れ性
    に優れた構造材用アルミニウム合金板。
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