JPH08127850A - 耳率の低い成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

耳率の低い成形加工用アルミニウム合金板の製造方法

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JPH08127850A
JPH08127850A JP26892494A JP26892494A JPH08127850A JP H08127850 A JPH08127850 A JP H08127850A JP 26892494 A JP26892494 A JP 26892494A JP 26892494 A JP26892494 A JP 26892494A JP H08127850 A JPH08127850 A JP H08127850A
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aluminum alloy
cold rolling
rolling
alloy sheet
rate
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JP26892494A
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Yukio Urayoshi
幸男 浦吉
Satoru Shoji
了 東海林
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耳率の低いアルミニウム合金板を高い生産性
で製造する。 【構成】 Mgを 0.8〜1.4 wt%、Mnを 0.8〜1.4 wt
%、Feを 0.2〜0.6 wt%、Siを 0.1〜0.3 wt%、C
uを 0.1〜0.3 wt%含有し、更にTi 0.005〜0.05wt%
を単独で或いはB0.0001〜0.01wt%とともに含有し、残
部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳
塊に、析出処理、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、中
間焼鈍、最終冷間圧延を施す成形加工用アルミニウム合
金板の製造方法であって、中間焼鈍を生産性の高いCA
L(急速加熱・冷却が可能な連続焼鈍炉)を用いて行
い、且つ、熱間圧延、冷間圧延を除く各々の工程を所定
条件にて施す。 【効果】 しごき加工性、塗装焼付け後のフランジ成形
性に優れた耳率の低いアルミニウム合金板が生産性の高
いCALを使用して効率よく製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は強度及び成形性に優れ
た、耳率の低いアルミニウム合金板の製造方法に関し、
更に詳しくは、特に飲料缶胴材として、高強度が得ら
れ、しごき加工性、塗装焼付け後のフランジ成形性に優
れた、耳率の低い成形加工用アルミニウム合金板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビール及び炭酸飲料等の飲料缶は、アル
ミニウム合金円板をカップに絞り加工し、このカップを
缶状体に再絞り加工し、次いで前記缶状体側壁をしごき
加工により薄肉化したのち、ボトムをドーム状に加工
し、次いでトリミング、洗浄、塗装、焼付け、ネックイ
ン、フランジ出しを順次行って缶状体胴部を形成したの
ち、内容物を充填し、蓋を付けて作製される。このよう
に絞り(Drawing) としごき(Ironing) により成形した缶
はDI缶と呼ばれ、又蓋を付けたものは、胴部と蓋の2
部分で構成されるので、2ピースDI缶と称される。飲
料缶胴材には、従来よりAl−Mn−Mg系のJIS-3004
合金板が用いられている。近年2ピースDI缶の側壁が
更に薄肉化され、その結果、缶状体側壁が、DI成形時
に破断したり、又は塗装焼付け後のネッキング成形、フ
ランジ成形、シーミング成形時に割れや挫屈等が発生し
易くなった。ところで飲料缶胴材の製造方法は、通常、
JIS-3004合金鋳塊を均質化処理後、常法により熱間圧
延、冷間圧延、中間焼鈍を施すことにより行われる。近
年、前記中間焼鈍には、生産性向上、コストダウン、品
質向上等の点から、バッチ焼鈍に代り連続焼鈍が採用さ
れるようになった。この連続焼鈍には、高温短時間加熱
と急速加熱冷却を特徴とし、溶体化焼入れが可能なCA
Lと称する連続焼鈍炉が多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】缶胴は、前述のよう
に、アルミニウム合金板(以下、合金板と略記する)を
絞り加工して成形される。前記合金板には、所定の強度
を有し、且つカップ成形後の耳率が低いことが要求され
る。ここで耳率とは前記合金板を円筒状に絞ったカップ
の周縁部に生じる凸部と凹部の高さの差のカップ高さに
対する比率をいう。この耳率は、立方体方位の核を持っ
た再結晶組織を成長させることにより改善できる。とこ
ろで、中間焼鈍をCAL(連続焼鈍炉)を用いて施した
ものは、耳率が高くなる傾向がある。特に、冷間圧延で
の圧延率が大きい場合は、耳率不良が増加して歩留りが
低下する。又耳率を低くするために、冷間圧延での圧延
率を少なく抑えると、強度を確保できないという問題が
ある。本発明は、冷間圧延での圧延率を高くし、CAL
を用いて中間焼鈍を行った場合でも耳率を低くできる、
成形加工用アルミニウム合金板の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0004】
【課題を解決する為の手段】本発明は、Mgを 0.8〜1.
4 wt%、Mnを 0.8〜1.4 wt%、Feを0.2 〜0.6wt
%、Siを 0.1〜0.3 wt%、Cuを 0.1〜0.3 wt%含有
し、更にTi 0.005〜0.05wt%を単独で或いはB0.0001
〜0.01wt%とともに含有し、残部がAlと不可避的不純
物からなるアルミニウム合金鋳塊に、析出処理を施
し、前記析出処理後直ちに、或いは一旦冷却したのち、
均質化処理を施し、均質化処理後直ちに熱間圧延を施
し、次いで前記熱間圧延材に、冷間圧延、中間焼鈍、
最終冷間圧延を順次施すアルミニウム合金板の製造方
法であって、前記析出処理を 220〜340 ℃の温度範囲
で5時間以上加熱して施し、前記均質化処理を 530〜
630℃の温度範囲で1時間以上加熱して施し、前記中
間焼鈍を 100℃/分以上の加熱速度で 360〜520 ℃の温
度範囲の所定温度に急速加熱し、前記所定温度に到達後
直ちに或いは所定時間保持後、 100℃/分以上の冷却速
度で急速冷却して連続的に施し、前記最終冷間圧延を
60〜90%の圧延率で施すことを特徴とする耳率の低い成
形加工用アルミニウム合金板の製造方法である。
【0005】又、請求項2の発明は、請求項1記載の耳
率の低い成形加工用アルミニウム合金板の製造方法にお
いて、最終冷間圧延後、更に 150℃以下の温度で8時間
以内の最終焼鈍を施すことを特徴とする耳率の低い成形
加工用アルミニウム合金板の製造方法である。
【0006】
【作用】以下に、本発明にて用いるアルミニウム合金板
の合金成分の作用とその限定理由について説明する。M
gは強度向上に寄与し、缶底部の高強度化に有効であ
る。その含有量を 0.8〜1.4 wt%に限定した理由は、
0.8wt%未満ではその効果が得られず、1.4wt %を超え
るとDI成形時に加工硬化し易くなり、しごき加工時の
割れの発生頻度が増加する為である。Mgの最適含有量
は、他元素の添加量や製造条件によりやや変化するが、
強度とDI成形性のバランスが良好な組成範囲は 1.0〜
1.35wt%で、更に望ましくは1.20〜1.30wt%の範囲であ
る。
【0007】Mnは強度とDI成形性の向上に寄与す
る。MnがDI成形性を向上させるのは、Mnが、固体
潤滑作用を有するAl−Mn系、Al−Mn−Fe系、
Al−Mn−Fe−Si系等の晶出化合物を形成する為
である。DI成形には、通常エマルジョン型の潤滑剤が
使用されるが、これだけでは潤滑が不十分であり、合金
板と金型との凝着によるビルトアップが発生してゴーリ
ング又はスコアリングと呼ばれる擦り傷や焼付きが発生
することがある。Mnを所定量含有させることにより、
前記ビルトアップの発生が阻止される。Mnの含有量を
0.8〜1.4 wt%に限定した理由は、 0.8wt%未満ではD
I成形性の改善効果が不十分なばかりか強度も不足し、
1.4 wt%を超えるとDI成形性及び強度向上効果が飽和
する上、後述のFeと結合してAl−Mn−Fe系の巨
大な(時として数mm程度のサイズの)初晶化合物が溶解
鋳造時に発生し易くなり、これが圧延後も残存してDI
成形時に割れやピンホールの原因になる為である。Mn
の含有量は、望ましくは 0.9〜1.3 wt%、更に望ましく
は 1.0〜1.2 wt%である。
【0008】Feは前記Mnの晶出化合物の生成を促進
するとともにその分布状態を均一化してDI成形性をよ
り一層向上させる。Feの含有量を 0.2〜0.6 wt%に限
定した理由は、 0.2wt%未満ではその効果が十分に得ら
れず、 0.6wt%を超えると前述のAl−Mn−Fe系の
巨大初晶化合物が発生し易くなる為である。Feの含有
量は望ましくは 0.3〜0.5 wt%、更に望ましくは 0.3〜
0.45wt%である。
【0009】CuはMgと同じように缶底部の高強度化
に有効である。Cuの含有量を 0.1〜0.3 wt%に限定し
た理由は、 0.1wt%未満では強度が不十分で、耐圧強度
を確保する為に必要な最終冷間圧延での圧延率が大きく
なってDI成形性が低下し、0.3wt%を超えると強度が
高くなりすぎてフランジ成形性が低下する為である。
【0010】SiはAl−Fe−Mn系の晶出物に相変
態を起こさせ、Al−Mn−Fe−Si系析出物を形成
してその硬度を高め、しごき加工性の向上に寄与する。
Siの含有量を 0.1〜0.3 wt%に限定した理由は、 0.1
wt%未満ではその効果が十分に得られず、 0.3wt%を超
えると晶出物が巨大化して、逆にしごき加工性が低下す
る為である。
【0011】Ti、又はTi及びBは、鋳塊の結晶粒を
均一微細化する。Tiの含有量を 0.005〜0.05 wt %に
限定した理由は、Tiが 0.005wt%未満では鋳塊の結晶
粒を均一微細化する効果が得られず、0.05wt%を超える
とAl−Ti系の巨大双晶化合物が溶解鋳造時に発生し
易くなり、これが圧延後も残存してDI成形時に割れや
ピンホールの発生原因になる為である。Bは、Tiの結
晶粒均一微細化効果を助長する。Bが0.0001wt%未満で
はその効果が十分に得られず、0.01wt%を超えるとTi
−B系の巨大な双晶化合物が溶解鋳造時に発生し易くな
り、これが圧延後も残存して成形時における割れやピン
ホールの発生頻度が増加する為である。Tiは0.01〜0.
03wt%、Bは0.0002〜0.001 wt%の範囲で同時に含有さ
せるのが望ましい。不純物については、本発明の効果を
損なわない程度で許容でき、例えばZnは0.5wt%以
下、Crは 0.3wt%以下、Zrは 0.1wt%以下、Vは
0.1wt%以下であれば問題ない。
【0012】次に本発明の製造方法について説明する。
前述の合金組成を有するアルミニウム合金を、常法によ
り溶解、鋳造し、得られた鋳塊に析出処理を施し、析出
処理後直ちに、或いは一旦冷却したのち、均質化処理を
施す。前記の析出処理は、鋳塊中の晶出物周辺にMg−
Si系析出物を均一微細に析出させる為に施すものであ
る。そして、前記Mg−Si系析出物が核となって、次
工程の均質化処理の昇温過程で析出するAl−Mn−F
e−Si系析出物を均一微細に析出させる。更に前記A
l−Mn−Fe−Si系析出物は、均質化処理過程でオ
ストワルド成長する。つまり、より大きなAl−Mn−
Fe−Si系析出物は粗大化し、より小さなAl−Mn
−Fe−Si系析出物は消滅し、鋳塊中の析出物は粗大
かつ疎に分布するようになる。その結果、CALを用い
た中間焼鈍において、立方体方位の核を持った再結晶粒
が析出物に阻害されることなく成長し、耳率の低いアル
ミニウム合金板が製造される。
【0013】本発明では、鋳塊に、析出処理を 220〜34
0 ℃の所定温度で5時間以上施し、その後直ちに、或い
は一旦冷却した後 530〜630 ℃の所定温度で均質化処理
を1時間以上施す。ここで、析出処理温度が 220℃未
満、又は 340℃を超えた場合は、晶出物周辺のMg−S
i系析出物の析出が不十分となり、その後均質化処理を
施してもAl−Mn−Fe−Si系析出物がMg−Si
系析出物上以外のマトリックス内にも多く析出し、その
結果Al−Mn−Fe−Si系析出物が晶出物周辺に密
に析出することになり、CALによる中間焼鈍において
立方体方位の核を持った再結晶粒の成長が析出物に阻止
され、成形されるカップは耳率が高いものとなる。従っ
て析出処理は 220〜340 ℃、望ましくは 280〜320 ℃の
温度で行うようにする。又均質化処理前の析出処理でM
g−Si系析出物を十分に析出させるには保持時間は5
時間以上が必要である。又、前記析出処理後に施す均質
化処理の温度は 530℃未満では均質化が不十分で、深絞
り成形の際に45°耳(板の圧延方向に対して45°方向に
でる耳)の耳率が高くなる傾向にある。一方、均質化処
理温度が 630℃を超えると、鋳塊表面に膨れが生じたり
鋳塊が溶融したりする。生産性とその効果を勘案した最
も望ましい均質化処理条件は、 580〜620 ℃で3〜12時
間加熱する条件である。
【0014】本発明では、析出処理及び均質化処理を施
した後、熱間圧延を行う。熱間圧延は、圧延開始温度 3
00〜500 ℃、終了温度 240〜340 ℃、終了板厚2〜6mm
の条件で施すのが一般的である。熱間圧延後、常法によ
り冷間圧延を施し、次いで、連続焼鈍炉で中間焼鈍を施
す。この中間焼鈍を施すことにより、(1) 組織が立方体
方位の核を持った再結晶組織となり耳率が低くなる。
(2) Cu及びSiの固溶量が適正に制御されてフランジ
成形性と耐圧強度が向上する。(3) 熱間圧延及びその後
の冷却中にAl−Mg−Cu系、Al−Mg−Cu−S
i系、Al−Mg−Si系等の析出物として晶出物上、
或いは結晶粒内に析出していたCu及びSiが再固溶す
る。前記中間焼鈍を 100℃/分以上の加熱速度で 360〜
520 ℃の温度範囲の所定温度に急速加熱し、前記所定温
度に到達後直ちに、或いは所定時間保持後、 100℃/分
以上の速度で冷却して施す。前記中間焼鈍温度を 360〜
520 ℃に限定した理由は、中間焼鈍温度が 360℃未満で
は、再結晶が不完全となり、最終冷間圧延板の深絞り耳
率が高くなり、又強度が上がりすぎてDI成形性が低下
し、 520℃を超えるとCuやSi等の析出物が再固溶し
すぎて、これが焼付塗装時に析出してフランジ成形性を
低下させる為である。中間焼鈍の保持時間は、目標温度
に到達後直ちに冷却しても良い。保持時間が2分を超え
ると、中間焼鈍温度が 520℃以下でも析出物が再固溶し
すぎて好ましくない。前記中間焼鈍の加熱速度及び冷却
速度はともに 100℃/分以上にして生産性を高める。特
に冷却の場合、その速度が 100℃/分未満では、固溶し
たCu及びSiが析出して、次の最終冷間圧延で十分な
強度が得られなくなる。
【0015】中間焼鈍後に施す最終冷間圧延は、缶胴材
として必要な強度を付与する為に行う。この最終冷間圧
延の圧延上がり材の厚さは0.28〜0.4 mmである。この最
終冷間圧延での圧延率を60〜90%に限定した理由は、前
記圧延率が60%未満では合金板の強度が低く耐圧強度が
不足し、90%を超えると、深絞り成形時の45°耳の耳率
が高くなるとともに、合金板強度が高くなりすぎてDI
成形性が低下し、しごき割れ(破胴)の発生頻度が高く
なる為である。
【0016】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明の冷間圧延後に、更に最終焼鈍を施すもので、この最
終焼鈍により加工組織に回復が起きてDI成形性が向上
し、又缶胴の形状(真円度)がより良好となる。最終焼
鈍条件は 150℃以下の温度で8時間以下にする必要があ
り、前記焼鈍温度が 150℃を超え或いは保持時間が8時
間を超えると固溶元素が析出しだして、DI成形性が低
下するようになる。又最終焼鈍温度が 100℃未満では、
その効果が十分に得られないので、最終焼鈍温度は 100
℃以上にすることが望ましい。最も望ましい最終焼鈍条
件は 115〜130℃で1〜4時間である。
【0017】
【実施例】以下に、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)表1に示す組成のアルミニウム合金を常法
により溶解鋳造して厚さ 500mmの板状鋳塊(スラブ)を
得た。次にこのスラブに、面削後 300℃で8時間の析出
処理を施し、続いて 600℃で6時間の均質化処理を施し
た後、圧延開始温度 380℃で厚さ 490mmから3mmまで熱
間圧延し、熱延コイルを得た。この熱延コイルを室温ま
で冷却したのち、板厚 1.0mmまで冷間圧延し、次いでこ
れをCAL(連続焼鈍炉)により 440℃で0分(材料が
440℃に到達後直ちに空冷)の中間焼鈍を行った。この
時の加熱、冷却速度はともに 820℃/分とした。続いて
常法により板厚0.3 mmまで最終冷間圧延し(冷間圧延率
70%)、次いで 120℃で2時間の最終焼鈍を施して缶胴
用アルミニウム合金板を得た。
【0018】このようにして得られた合金板について、
引張強度、DI成形性、フランジ成形性を調査した。引
張強度は、前記合金板を 200℃で20分間加熱し(塗装焼
付け条件)、加熱前後の引張強さ(TS)と0.2%耐力
(YS)を測定した。DI成形性は、炭酸飲料用のDI
缶胴(内径66mmφ、側壁板厚 100μm、側壁先端部板厚
150μm)に成形して調査した。フランジ成形性は、前
記成形したDI缶胴を、トリミングと洗浄を施したの
ち、200 ℃で20分間加熱し、次に4段のネッキング加工
を施して開口部の内径dを57mmφに縮小し、最後に角度
90°の円錐状の治具をフランジ割れが発生するまで押し
込み、割れの発生した時の開口部の径Dを測定し、開口
部の径の増加率Pを次式“P=[(D−d)/d〕×100
%”により算出してフランジ成形性を評価した。結果を
表1に併記した。
【0019】
【表1】
【0020】表1から明らかなように、本発明例品(No.
A〜D)は、フランジ成形での口径の限界増加率が大き
く、フランジ成形性が良好であった。又 200℃で20分間
加熱(塗装焼付条件)後の強度(YS)も 265MPa以
上あるので缶底部の耐圧強度も問題のない強度水準を有
していた。又DI成形性も良好であった。これに対し、
比較例品の合金Eと合金Fは、それぞれMg又はMnの
添加量が多かった為、いずれもDI成形でしごき割れが
発生した。合金Gは、CuとSiの添加量が多かった為
200℃で20分の焼付け加熱により引張強さが高くなって
おり、缶胴側壁先端部の塗装、焼付け加熱による熱軟化
が不十分で、フランジ成形での口径の限界増加率が小さ
くフランジ成形性が劣った。合金HはMg添加量が少な
い為強度が低下し、合金IはMnの添加量が少ない為D
I成形において焼付が生じた。合金JはCuとSiの添
加量が少ない為強度が低下した。
【0021】(実施例2)表1に示した組成の合金Aを
常法により溶解鋳造して厚さ 500mmの板状鋳塊(スラ
ブ)を得た。次にこのスラブに、面削後析出処理を施
し、続いて均質化処理を施した後、圧延開始温度 380℃
で厚さ 490mmから3mmまで熱間圧延し、熱延コイルを得
た。この熱延コイルを室温まで冷却したのち、板厚 1.0
mmまで冷間圧延し、次いでこれをCAL(連続焼鈍炉)
により中間焼鈍を行った。続いて常法により板厚0.3 mm
まで最終冷間圧延して缶胴用アルミニウム合金板を得
た。析出処理、均質化処理、中間焼鈍、最終冷間圧延の
条件は種々に変化させた。このようにして得られた合金
板について、実施例1と同じ方法により、引張強度、D
I成形性、フランジ成形性を調査した。又加熱(200℃×
20分) 前の合金板について耳率を測定した。耳率(%)
は、直径33mm、肩R 2.5mmのポンチを用いて57mmφの円
板をクリアランス30%で深絞りを行って測定した。結果
を主な製造条件を併記して表2及び表3に示す。評価基
準は、耳率3%以内、加熱熱処理(200℃×20分)後の耐
力 265MPa以上、フランジ成形での口径の限界増加率
15%以上を良好とした。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】表2及び表3から明らかなように、本発明
例品(No.11〜26) は耳率も3%以内で低く、フランジ成
形性も良好であった。又焼付に相当する加熱処理後の強
度(耐力)も 265MPa以上で、缶底部の耐圧性にも問
題のない強度水準を有し、更にDI成形性も良好であっ
た。これに対して、比較例品の No.27〜30は本発明の析
出処理条件又は均質化処理条件を外れた為、いずれも耳
率が3%の基準値を上回った。No.31 は均質化処理温度
が高かった為鋳塊に膨れが生じた。No.32 は中間焼鈍の
到達温度が低かった為再結晶が不完全で合金板強度が異
常に高くなり、その結果耳率が基準値を超えた。No.33
は中間焼鈍における到達温度が高かった為耳率が高くな
り、又フランジ加工性が低下した。これは、中間焼鈍で
析出元素が再固溶し、この再固溶した析出元素が 200℃
×20分の加熱(塗装焼付条件)時に析出した為である。
No.33の 200℃×20分加熱後の強度が高くなっているの
は再固溶元素の析出によるものである。No.34 は最終冷
間圧延における圧延率が低すぎた為、強度が不足した。
No.35 は前記圧延率が高すぎた為、強度が異常に高くな
り、耳率が高くなった。No.27 〜30、32〜35はいずれ
も、DI成形で絞り割れ又はしごき割れのいずれかを起
こした。
【0025】(実施例3)表1に示した組成の合金Aを
常法により溶解鋳造して厚さ 500mmの板状鋳塊(スラ
ブ)を得た。次にこのスラブに、面削後析出処理を施
し、続いて均質化処理を施した後、圧延開始温度 380℃
で厚さ 490mmから3mmまで熱間圧延し、熱延コイルを得
た。この熱延コイルを室温まで冷却したのち、板厚 1.0
mmまで冷間圧延し、次いでこれをCAL(連続焼鈍炉)
により中間焼鈍を行った。続いて常法により板厚0.3 mm
まで最終冷間圧延し、次いで最終焼鈍を施して缶胴用ア
ルミニウム合金板とした。析出処理、均質化処理、中間
焼鈍、最終冷間圧延、最終焼鈍の条件は種々に変化させ
た。このようにして得られた合金板について、実施例1
と同じ方法により、引張強度、DI成形性、フランジ成
形性を調査した。又加熱(200℃×20分)前の合金板につ
いて耳率を測定した。耳率(%)は、直径33mm、肩R
2.5mmのポンチを用いて57mmφ円板をクリアランス30%
で深絞りを行って測定した。結果を主な製造条件を併記
して表4及び表5に示す。更に、一部の缶胴について真
円度を測定した。結果を最終焼鈍を入れない実施例2の
サンプルと比較して表6に示す。
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】表4及び表5から明らかなように、本発明
例品(No.36〜52) は耳率も3%以内で低く、フランジ成
形性も良好であった。又塗装焼付に相当する加熱処理後
の強度も 265MPa以上で、缶底部の耐圧性にも問題の
ない強度水準を有した。更に最終焼鈍を入れた為、実施
例2の結果に較べて、DI成形性やフランジ成形性が一
層向上した。前記No.52 の真円度は、表6に示したよう
に最終焼鈍を入れないもの(No.14〜16)より良かった
が、望ましい条件で最終焼鈍したもの(No.39 〜41)よ
りやや低下した。
【0030】これに対して、比較例品の No.53〜63は本
発明の析出処理条件又は均質化処理条件を外れた為、い
ずれも耳率が3%の基準値を上回った。No.59 は均質化
処理温度が高かった為鋳塊に膨れが生じた。No.60 は中
間焼鈍の到達温度が低かった為再結晶が不完全で合金板
の強度が異常に高くなり、その結果耳率が基準値を超
え、又DI成形で絞り割れを起こした。No.61 は中間焼
鈍における到達温度が高かった為耳率が高くなり、又フ
ランジ加工性が低下した。これは、中間焼鈍で析出元素
が再固溶し、この再固溶した析出元素が 200℃×20分の
加熱時に析出した為である。No.61 の 200℃×20分加熱
後の強度が高くなっているのは再固溶元素の析出による
ものである。No.62 は最終冷間圧延における圧延率が低
すぎた為、強度が不足した。No.63 は前記圧延率が高す
ぎた為、強度が異常に高くなり、耳率が基準値を大幅に
超え、DI成形で絞り割れを起こした。又比較例品のN
o.53 は、焼鈍時間がやや長すぎた為、No.54 は焼鈍温
度がやや高すぎた為、固溶元素が析出しだしてDI成形
性が低下した。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、生
産性の高いCAL(連続焼鈍炉)を使用して、しごき加
工性、塗装焼付け後のフランジ成形性に優れた耳率の低
いアルミニウム合金板が得られ、工業上顕著な効果を奏
する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mgを 0.8〜1.4 wt%、Mnを 0.8〜1.
    4 wt%、Feを0.2〜0.6 wt%、Siを 0.1〜0.3 wt
    %、Cuを 0.1〜0.3 wt%含有し、更にTi 0.005〜0.
    05wt%を単独で或いはB0.0001〜0.01wt%とともに含有
    し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム
    合金鋳塊に、析出処理を施し、前記析出処理後直ち
    に、或いは一旦冷却したのち、均質化処理を施し、均
    質化処理後直ちに熱間圧延を施し、次いで前記熱間圧延
    材に、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延を順次施
    すアルミニウム合金板の製造方法であって、前記析出
    処理を 220〜340 ℃の温度範囲で5時間以上加熱して施
    し、前記均質化処理を 530〜630 ℃の温度範囲で1時
    間以上加熱して施し、前記中間焼鈍を 100℃/分以上
    の加熱速度で 360〜520 ℃の温度範囲の所定温度に急速
    加熱し、前記所定温度に到達後直ちに或いは所定時間保
    持後、 100℃/分以上の冷却速度で急速冷却して連続的
    に施し、前記最終冷間圧延を60〜90%の圧延率で施す
    ことを特徴とする耳率の低い成形加工用アルミニウム合
    金板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の耳率の低い成形加工用ア
    ルミニウム合金板の製造方法において、最終冷間圧延
    後、更に 150℃以下の温度で8時間以内の最終焼鈍を施
    すことを特徴とする耳率の低い成形加工用アルミニウム
    合金板の製造方法。
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