JP3909885B2 - 絞り−扱き加工用アルミ板とポリエステルフィルムとの積層体の製造方法及び絞り−扱き缶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として食品及び飲料を充填保存するために用いられる、絞り−扱き缶(Draw and Ironing缶、DI缶)を製造するために使用される、アルミ板とポリエステルフィルムとの積層体の製造方法と、該DI缶に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミを材料に用いた飲料缶の製造方法として、アルミ板の絞り−扱き加工(Draw Ironing加工)がある。この方法により缶底と缶側壁に継ぎ目のないツーピース缶(DI缶)が作られる。缶の内側には内容物によるアルミの腐食を防ぐため、樹脂塗装が行われるのが一般的である。しかしこの塗装工程を作業環境の改善や工程簡素化の要請により省略し、加工前のアルミ板の片面か又は両面にポリエステルフィルムを熱接着した後、DI加工する技術が開発されつつある。
【0003】
しかし、DI加工は極めて過酷な加工法のため、あらかじめポリエステルフィルムを熱被覆したアルミ板をDI加工する際、フィルムには大きな衝撃力が加わる。また延展性に富むアルミの変形にフィルムが追従しなければならない。このような困難を克服するためにいくつかの試みがなされてきている。
【0004】
例えば 特表平2−501638号には、アルミ板にポリエステルフィルムを熱接着し非晶無配向化処理した後、DI加工する技術が開示されている。より詳しくは、アルミ板をポリエステルフィルムの融点以上の温度で予熱しポリエステルフィルムを圧着することで仮接着状態とし、更にポリエステルフィルムの融点以上の温度の加熱炉に通すことで表面のポリエステルフィルムを融解する。直後に冷却水槽又は空冷装置をくぐらせることでポリエステル層の完全な非晶無配向化処理を実現するというものである。
【0005】
この非晶無配向化処理を行うことによって、後に続く苛酷なDI加工にポリエステル層が耐え得るために重要な処理となっている。そしてこの一連の工程はフィルム層を被覆したDI缶を製造するための基本的操作の一つとして当業者の間で一般的に行われている。
【0006】
しかしながら内側塗装の旧来のアルミDI缶に対し、ポリエステルフィルム被覆のアルミDI缶の実現を目指す上記の工夫がなされても実際に旧来の塗装型のアルミDI缶に較べて成形加工性に於いて、満足のゆく缶が得られていないのが現状であり、例えば特表平4−500185号では成形加工性を改善するために、用いるポリエステルの分子量を高くしている。
【0007】
また、特表平4−500175号では、成形加工性を改善するために成形用の特に、扱き用金型を改良している。しかし、これらの改良は総じてポリエステルフィルムをラミネートしたアルミ板のDI加工性向上を主目的として行われている。
【0008】
それゆえ、これが達成された後にも多くの解決すべき課題が残されている。例えばDI加工後の各工程や最終製品としての流通時、使用時に要求される耐衝撃性の問題があり、これらの問題はDI加工性を向上させる技術と必ずしも両立しない場合がある。
【0009】
この点に関しては特開平4−231120号の中にDI加工直後の缶の洗浄工程に於ける耐衝撃性を向上するために製缶後に加熱処理を行うという技術が開示されている程度である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
アルミ板にポリエステルフィルムをラミネートした積層体をDI加工する技術はようやく実現しつつある。しかし、DI加工後のカップ状の半製品では未だ缶としての利用価値はなく、後に続く諸工程が必要である。例えば缶首部のネッキング、フランジング工程、洗浄工程、印刷工程、内容物充填工程、蓋の巻き締め工程がある。更に流通経路までも考慮した缶の一生を通じて、あるときは必然的な、またある時は偶然突発的な機械的衝撃が加わる。
【0011】
ところで、DI加工の機構により積層体に加わる変形の特徴は、DI缶の缶側壁となる部分には極度の扱き変形が加えられ、一方缶底となる部分には扱き変形が加えられないことにある。扱き加工に耐えるためには積層体上のポリエステル部分は非晶無配向化していることが必要である。従って積層体の缶側壁となる部分のポリエステルは非晶無配向でなければならない。製造上の容易さから、従来のように積層体全面のポリエステル部を非晶無配向化した積層体にてDI缶を作成すれば、缶側壁部のポリエステルは扱き加工により高度に再配向し、これにより耐熱性、耐衝撃性は充分なものとなる。
【0012】
一方、缶底部のポリエステルは扱き加工を受けず、非晶無配向化状態のままである。この状態で印刷工程のような熱履歴を受けると不都合な無配向結晶化による脆化が起きてしまう。
【0013】
本発明ではポリエステルフィルムをラミネートしたアルミ板から作られるDI缶の耐衝撃性が、缶の印刷工程に於いて被る熱履歴によって著しく悪化すること、缶のなかでもとりわけ缶底の部分が特に顕著であるという問題を解決すべき課題としている。
【0014】
そして最終的にポリエステルフィルムをラミネートしたアルミ板から作られ、印刷工程を経ても、耐衝撃性低下のないDI缶を得ることも解決すべき課題である。
【0015】
【課題を解決するための手段】
しかる課題を解決するために、本発明で用いる手段は、DI缶の材料であるアルミ板とポリエステルフィルムとの積層体を作るときに適用されるものである。すなわち、アルミ板とポリエステルフィルムとを仮熱接着した仮積層体のポリエステル部分を非晶無配向化処理するに際し、後に続く絞り−扱き加工で缶底となる部分に対して、非晶無配向化処理を完全には行わず、中間的処理状態として残し、缶側壁となる部分及びその他の部分については完全な非晶無配向化処理を行う。かかる手段を講じてなる積層体をDI加工し、印刷を施したDI缶をつくることによって従来法では得られない耐衝撃性に優れた缶が得られる。
【0016】
本発明に用いられるポリエスルフィルムのポリエステル原料組成物としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、PETに共重合成分としてテレフタル酸以外の酸成分を0〜30モル%の範囲、エチレングリコール以外のグリコール成分を0〜30モル%の範囲で共重合したものが用いられ、これらのPET及び共重合PETの複数種の混合物も用いられる。
【0017】
共重合用酸成分として好適なものは、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、ダイマー酸、トリメリット酸等が挙げられる。
【0018】
共重合用グリコール成分として好適なものは、1,4ーブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ビスフェノール系化合物等がある。
【0019】
該ポリエステル組成物の固有粘度は、0.6dl/sec以上あることが実用的である。また原料ポリエステルの融点は200℃〜260℃が好ましい。融点が260℃より高い場合扱き加工性が悪く、加工時にフィルムにクラックが入ってしまう。一方200℃未満の場合は缶の印刷工程やトップコートで熱硬化性インクや塗料を焼付ける条件(200℃の雰囲気で10分)でポリエステル層が融解して望ましくない。
【0020】
ポリエステル組成物中には必要に応じて滑剤、アンチブロッキング剤、マット化剤、白色顔料または着色顔料の役割をする無機粒子や、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、誘電損失物質などを含んでいても良い。
【0021】
本発明に用いられるポリエステルフィルムは二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。層構成としては単層もしくはその片面にアルミ板との接着層としてのポリエステル又は他の樹脂コーティング法ないしは共押出法で積層されたものである。
【0022】
該ポリエステルフィルムの製膜方法としては、一般に、通常のロール延伸機を用いて3倍以上縦延伸し、続いてステンター型延伸機を用いて3倍以上横延伸し、熱固定および弛緩処理を行う、いわゆる逐次二軸延伸方式にて製膜される。この他に同時二軸延伸方式、インフレーション方式にて製膜することもできる。
【0023】
必要に応じて接着剤層が二軸延伸工程の途中か又は後にコーティング法にて施される。最終的にフィルムの厚みは積層するアルミ板の厚みとDI加工装置の金型のクリアランスの関係から接着剤層も含めて20μm以下が適当である。
【0024】
本発明で用いられるアルミ板は純アルミか又はその合金でできている。その厚みは0.1〜0.4mmが好ましく、表面処理としてリン酸クロメート処理やDOS処理がなされていても良い。形状は枚葉状でも又帯状体のロール形状でも良い。
【0025】
本発明で行われるアルミ板とポリエステルフィルムとの熱接着方法は、大まかに分けて仮熱接着工程と非晶無配向化工程の二工程を包含する。
【0026】
(仮熱接着工程)
仮接着の方法としては通常のロールを加熱してラミネートするロールラミネーターやそれに類する形式のラミネーターを使うことができる。また、図1のA工程のようにあらかじめアルミ板1を熱風炉6にて予熱し、その後圧着ロール4、5にてポリエステルフィルム2、3を圧着する方法をとることもできる。
【0027】
このとき予熱手段は熱風法に限られない。例えば誘導加熱法、電熱線法、赤外又は遠赤外線法、超音波加熱法等が用いられる。いづれの方法であってもポリエステルフィルム2、3表面が圧着ロール4、5に触れる時のフィルム表面温度はロールへの融着を防ぐため、ポリエステルの融点未満でなければならない。
【0028】
(非晶無配向化工程)
本発明で用いられる非晶無配向化処理は、後のDI加工工程で、缶底となる部分のみ中間的非晶無配向化処理状態とし、缶側壁となる部分を含む他の部分は完全な非晶無配向化状態とするような処理技術であれば、いかなるものも採用し得る。
【0029】
例えば、図1に於いてA工程にてアルミ板に仮接着されたポリエステルフィルムはB工程の非晶無配向化工程で熱風炉により完全非晶無配向化されるが、このとき缶底予定部の冷却部材9をアルミ板とポリエステルフィルムとの仮積層体に接触させるか又は近づけることによって冷却し缶底予定部は中間的処理状態となる。この方法は更に改良して積層体の両面から行っても良い。
【0030】
さらに、図1および図2で示した装置について概略を説明すると、図1中の仮熱接着工程Aで使用する装置は、アルミロール1aから送り出されたアルミ板1を予熱するための、仮接着の予熱用熱風炉6と、該アルミ板1の表裏両側に配設されておりポリエステルフィルムロール2a、3aから繰り出されるポリエステルフィルム2,3をアルミ板1の表面に加熱、圧着するための、仮熱接着用圧着ロール4,5と、を有している。
【0031】
非晶無配向化処理工程Bにおける装置は、非晶無配向化処理用熱風炉7と、急冷用装置8と、缶底予定部冷却用部材支持体10と、缶底予定部冷却用部材9と、を有している。該非晶無配向化処理用熱風炉7には、図2に示すように、仮積層体20が通過するスリット71が設けられている。回転駆動する缶底予定部冷却用部材支持体10の周囲に缶底予定部冷却用部材9が多数固定されており、該缶底予定部冷却用部材9の先端部91が上記スリット71内に配設されて移動するようになっており、そのロッド92が通過する通路72が該非晶無配向化処理用熱風炉7に設けられている。図中13は缶底予定部マーキング装置である。
【0032】
該非晶無配向化処理用熱風炉7のスリット71内を移動する仮積層体20の片面に近接もしくは接触して上記缶底予定部冷却用部材9の先端部91が配置されるようにスリット71は湾曲しており、かつ仮積層体20と該先端部91とが同速で移動するように該缶底予定部冷却用部材支持体10の回転速度が設定されている。図中11および12は引き取りロールである。
【0033】
また、図3に於いてA工程で借り接着されたフィルムは、B工程で誘導加熱装置14にて仮積層体20のアルミ板を発熱させることで完全非晶無配向化されるが、このとき缶底予定部電磁遮蔽部材29,30を近づけることによって冷却し缶底予定部を中間的処理状態とする。
【0034】
図3および図4において、誘導加熱装置14は仮積層体20の移動通路に配設されており、該誘導加熱装置14に設けられた通口21を仮積層体20が通過する。また仮積層体20の両側には、一対のロール22、22にて移動するベルト23、23が配設されている。該ベルト23には、缶底予定部冷却用部材としての電磁遮蔽部材29、29、…が適当間隔おきに設けられている。図中8は急冷用装置、11および12は引き取りロールである。
【0035】
また、図5においてA工程で仮接着されたフィルムは、B工程で誘電加熱法により帯状電極39,40にて完全非晶無配向化されるが、このとき電極39,40中で缶底予定部に近接する部分に孔28が開いているため、缶底予定部は中間的処理状態となる。また誘電加熱法でも缶底予定部のみ遮蔽する方法も用いることができる。
【0036】
図5においては、電極積層体支持槽15が配設されており、仮積層体20の両側には一対のロール22、22にて移動する誘電加熱用孔あき帯状電極39、40が配設されている。そして、この誘電加熱用孔あき帯状電極39、40が該電極積層体支持槽15の開口26を通るようになっている。なお、図中8は冷却装置である。
【0037】
また例えば、図7に於いてA工程で仮接着されたフィルムは、B工程で適切な厚みであってポリエステルと融着、急冷後の易剥離性に優れた帯状高熱伝導部材49,50を介し、加熱圧着ロール22、22にて圧着完全非晶無配向化されるが、帯状高熱伝導部材の缶底予定部に圧着される部分のみ開孔状態となっており、この部分のみ加熱圧着ロールも帯状高熱伝導部材もともにフィルムに接しないため、中間的処理状態となる。
【0038】
図7においては、B工程で使用される装置は、仮積層体20の両側に配設された帯状高熱伝導部材16、16と、該帯状高熱伝導部材16を予熱するための予熱炉13、14を有している。該帯状高熱伝導部材16は、一対のロール22、22間に巻回され、仮積層体20と同速で移動するようになっている。該帯状高熱伝導部材16は、適切な厚みであってポリエステルと融着、急冷後の易剥離性に優れたもので形成され、缶底予定部に圧着される部分のみ開孔27が形成されている。なお、図中8は冷却装置であり、帯状高熱伝導部材16に向けて冷風を吐出する。
【0039】
本発明の方法で、帯状高熱電導部材がポリエステルフィルムに接するときの表面温度はポリエステルの融点以上の温度である。またこの方法ではA工程の仮接着を省略することもできる。以上幾つかの熱接着工程を例示したが、用いられる方法は、本発明の請求するところを逸脱しない範囲内では限定されない。
【0040】
【実施例】
次に、本発明の実施例により説明する。例中に用いた測定法、評価法は以下の通りである。
【0041】
(1)落下テスト(耐衝撃性の評価法)
金属缶に内容物がはいる所まで水を入れ、蓋又は封をする。その缶を1mの高さから床に縦に落とす。これにより生じた缶の損傷の度合を他の計量法にて評価する。
【0042】
(2)加熱テスト(缶内面塗料や印刷インキの熱硬化焼付工程を想定した評価法)
金属缶を熱風式加熱炉内にいれ、200℃の温度で10分間加熱する。
【0043】
(3)ERV測定(缶内面の防食用被覆層の品質評価法)
開封した金属缶の中に1%のNaCl水溶液を内容物が入る高さまで入れ、缶体を陽極、真ちゅうを陰極として+6Vの電圧をかけたときに流れる電流値を測定した。電流値が製缶直後で1mA以下、落下テスト後で10mA以下であれば実用に供し得る缶となる。
【0044】
(4)融点(Tm)
理学電機製サーモフレックスシリーズの外熱タイプ熱流束型示差走査型熱量計(DSC)を用い、フィルムサンプル10mgを室温から280℃まで昇温速度20℃/分にて測定し、結晶融解の吸熱ピークの温度を融点(Tm)とした。
【0045】
(実施例1)
用いたポリエステルフィルムは以下のものである。
【0046】
ポリエチレンテレフタレート(PET)と、酸成分として20モル%のイソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレートイソフタレート共重合体を重量比で1:1に混合したポリエステル原料を押出機に供給し、280℃で溶融し、T型ダイより押出し冷却ドラム上にキャストして未延伸シートを得た。
【0047】
このシートをロール型延伸機にて、温度103℃、倍率3.3倍で縦延伸し、続いてステンター型延伸機にて温度120℃、倍率3.4倍で横延伸し、230℃で横方向に12%弛緩処理しつつ熱固定した。
【0048】
結果として厚み15μmの二軸配向ポリエステルフィルムが得られた。このフィルムの融点は245℃であった。このフィルムを20cm角に2枚切り出し、リン酸クロメート表面処理層を有する20cm角、厚み300μmのアルミ板に表裏より重ね、ゴムロールのラミネーターにて、ロール表面温度200℃、ロール圧力6kgf/cm2で仮接着した。
【0049】
このアルミ板とポリエステルフィルムとの仮積層板の表裏とも中央部に直径66mmのテフロンクロス、多孔質セラミック板をこの順で重ね、その部分を表裏より挟持し、260℃の循環式熱風炉中で1分間加熱後冷却水中にくぐらせ、非晶無配向化処理を行った。水分を拭い1週間陰干しにした。
【0050】
このものの上に偏光板を重ね、常光光線のもとで偏光板を徐々に回転させながら観察すると、セラミック板を重ねた部分は偏光板の角度によって淡く翳りが見えるが、その周囲は明るく反射光が見えた。
【0051】
次に、この積層体をセラミック板を重ねた部分が缶底となるように絞り−扱き加工(DI加工)を行った。得られたDI缶の特性を表1に示す。
【0052】
(比較例1)
実施例1に於いて、テフロンクロスと多孔質セラミック板を用いず、積層板の角をハンドバイスで挟持し、非晶無配向化処理を行った。
【0053】
偏光板による複屈折の確認では積層板の角以外は完全非晶無配向化していた。それ以外は実施例1と同様の操作を行い得られたDI缶の特性を表1に示す。
【0054】
(実施例2)
実施例1で用いたものと同一のポリエステルフィルムを使い、図1に示した熱接着装置を用いて、巾20cm、厚み300μmのリン酸クロメート処理層を有するアルミ板1の表裏にラミネートした。図1に於ける熱風炉6により予熱されたアルミ板1にポリエステルフィルム2,3を圧着ロール4,5にてアルミ板1の表面の温度が180℃となる時点で仮接着を行った。この時、圧着ロールは18kgf/cmである。
【0055】
次に、缶底部認識用マーカー13でアルミ板1の耳部分にマークをつけた後、温度265℃とした熱風炉7、急冷装置8に仮積層体を通してポリエステル部分を非晶無配向化処理した。このとき缶底予定部冷却部材9(ここでは先端が多孔質セラミック板とテフロンクロスでできている)を仮積層体に接触させ該部分を中間的非晶無配向処理とした。
【0056】
その後、引き取りロール11,12にて引き取り、アルミ板とポリエステルフィルムとの積層体を得た。
【0057】
このものの偏光板による複屈折の確認では缶底予定部には翳りが起こるが他の部分は明るいままであった。この積層体を缶底予定部が缶底となり、冷却部材が接した側が缶の内側となるよう絞り−扱き加工(DI加工)を行った。得られたDI缶の特性を表1に示す。
【0058】
(比較例2)
実施例2に於いて、非晶無配向化処理するとき、缶底予定部冷却部材9をアルミ板とポリエステルフィルムとの仮積層体に接触させないよう隔離した以外は実施例2と同様の方法を用い、得られたDI缶の特性を表1に示す。
【0059】
(実施例3)
実施例2に於いて、用いるポリエステルフィルムのポリエステルとしてグリコール成分のうち24モル%のネオペンチルグリコールを共重合したポリエステルを用い、製膜時の熱固定温度を220℃とした以外は実施例2と同様の方法により積層体を作り、DI加工を行った。得られたDI缶の特性を表1に示す。
【0060】
(比較例3)
実施例3に於いて、非晶無配向化処理するとき缶底予定部冷却部材9をアルミ板とポリエステルフィルムとの仮積層体に接触させないよう隔離した以外は実施例3と同様の方法を用い、積層体を作り、DI加工を行った。得られたDI缶の特性を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1で用いたポリエステル組成の略号は以下の通り。
【0063】
TPA;テレフタル酸
IPA;イソフタル酸
EG;エチレングリコール
NPG;ネオペンチルグリコール
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、アルミ板とポリエステルフィルムとの積層体を作る工程に於いて、仮接着、非晶無配向化処理工程を通じて缶底となる部分のみ二軸配向性、配向結晶性を幾分かでも残すので、缶側壁ばかりでなく缶底も耐熱性、耐衝撃性を有し、印刷工程のような熱履歴を受けてもその特性が大巾に低下することのないDI缶を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポリエステルフィルムをアルミ板に熱接着する装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】図1における非晶無配向化処理の入り口の斜視図である。
【図3】本発明によるポリエステルフィルムをアルミ板に熱接着する装置の他の実施例を示す概略図である。
【図4】図3における非晶無配向化処理工程の斜視図である。
【図5】本発明によるポリエステルフィルムをアルミ板に熱接着する装置のさらに他の実施例を示す概略図である。
【図6】図5に於ける非晶無配向化処理工程の斜視図である。
【図7】本発明によるポリエステルフィルムをアルミ板に熱接着する装置のさらに他の実施例を示す概略図である。
【図8】図7における非晶無配向化処理工程の斜視図である。
【符号の説明】
A 仮熱接着工程
B 非晶無配向化処理工程
1 アルミ板
2,3 ポリエステルフィルム
4,5 仮熱接着用圧着ロール
6 仮接着の予熱用熱風炉
7 非晶無配向化処理用熱風炉
8 急冷用装置
9 缶底予定部冷却用部材
10 缶底予定部冷却用部材支持体
11,12 引き取りロール
13 缶底予定部マーキング装置
14 誘導加熱装置
15 電極積層体支持槽
16 帯状高熱伝導部材
Claims (2)
- アルミ板とポリエステルフィルムとを仮接着した仮積層体のポリエステルフィルム部分を非晶無配向化処理するに際し、後に続く絞り−扱き加工で缶底となる部分を中間的非晶無配向化処理状態として残し、缶側壁となる部分は完全な非晶無配向状態となるよう加熱処理をするアルミ板とポリエステルフィルムとの積層体の製造方法であって、
該ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートに共重合成分としてテレフタル酸以外の酸成分を0〜30モル%の範囲、エチレングリコール以外のグリコール成分を0〜30モル%の範囲で共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート、およびこれらのポリエチレンテレフタレートおよび共重合ポリエチレンテレフタレートの混合物からなる群から選択されたポリエステル組成物から形成され、
該仮積層体の缶底となる部分の表裏を冷却部材で挟持し、この状態で仮積層体を加熱することにより、該缶底となる部分を中間的非晶無配向化処理状態として残し、缶側壁となる部分は完全な非晶無配向状態となるよう加熱処理をするアルミ板とポリエステルフィルムとの積層体の製造方法。 - 前記冷却部材が、テフロンクロスと多孔質セラミック板であり、テフロンクロスが仮積層体に接触していることを特徴とする請求項1記載のアルミ板とポリエステルフィルムとの積層体の製造方法。
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