JP4411937B2 - 容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板 - Google Patents

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Description

本発明は、容器用のポリエステル樹脂ラミネート金属板に関するものであり、より詳細には、フィルム密着性、耐熱性、成形加工性に優れ、さらに加工後のレトルト後耐食性にも優れ、絞り成形やしごき成形等の成形加工によって製造される金属缶の蓋や胴の素材に好適なポリエステル樹脂ラミネート金属板に関するものである。
従来、ティンフリースチール(TFS)やアルミニウム等を用いた金属缶の缶内面及び外面には、金属板の防食を目的として、エポキシ系、フェノール系等の各種熱硬化性樹脂を塗装し、金属板表面を被覆することが広く行われてきた。しかしながら、このような熱硬化性樹脂等の被覆方法は、塗料の乾燥に長時間を要するため生産性が低く、しかも多大なエネルギーを消費する、多量の溶剤を排出するといった問題がある。
そこで、これらの問題を解決するため、熱可塑性樹脂フィルムを金属板に接着することにより樹脂被覆を形成する方法が開発され、従来、これに使用されるラミネートフィルムに関する提案が数多くなされている。
例えば、特許文献1には、特定の密度及び面配向係数を有する二軸配向ポリエステルフィルムからなる金属板ラミネート用ポリエステルフィルムが、また、特許文献2には、所定の酸性分とグリコール成分からなり、特定の結晶化度を有する金属板ラミネート用共重合ポリエステルフィルムが、それぞれ開示されている。
また、特許文献3には、固体高分解能NMRによる構造解析における1、4位のベンゼン環炭素の緩和時間を所定レベル以上とした金属板ラミネート用二軸延伸ポリエステルフィルムが開示されている。
特開昭64−22530号公報 特開平2−57339号公報 特開平9−141735号公報
しかしながら、特許文献1,2のラミネート用ポリエステルフィルムでは、ラミネート金属板に高度の成形性、耐熱性、レトルト後耐食性が要求されるような用途において、全ての性能を同時に満足させることは難しい。すなわち、特許文献1に示される特定の密度及び面配向係数を有する二軸配向ポリエステルフィルムは、ラミネート後の成形加工性は比較的良好ではあるが、加工後、内容物の殺菌処理のために加熱処理した後の耐食性(レトルト後耐食性)が不十分である。また、特許文献2に示される特定の結晶化度を有するラミネート用共重合ポリエステルフィルムは、成形加工性や成形後の加熱工程を経た後のフィルム密着性については、ある程度の性能を満足させることができるが、酸成分としてテレフタル酸以外にイソフタル酸及び/又はオルソフタル酸を多く使用する場合、フィルムの融点やガラス転移点、さらには結晶化度が大きく低下し、高度な耐熱性及び味特性が要求される用途では十分な性能が得られず、製品への適用が困難である。
また、特許文献3の二軸延伸ポリエステルフィルムは、缶に成形する際の成形加工熱や成形後の加熱工程、レトルト工程において、フィルム密着性の劣化やフィルム割れが発生する場合があり、レトルト後耐食性が不十分である。
したがって本発明の目的は、上記のような従来技術の課題を解決し、フィルム密着性、耐熱性、成形加工性に優れ、さらに加工後のレトルト後耐食性にも優れた容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板を提供することにある。
上述したように、特許文献1に示されるような二軸配向ポリエステルフィルムは、ラミネート後の成形加工性は比較的良好であるが、加工後、内容物の殺菌処理のため加熱処理した後のレトルト後耐食性が劣るという問題がある。そこで、本発明者らは、レトルト後耐食性が劣る原因とその対策について検討を行った。その結果、缶成形後の段階ではフィルムに割れ等は全く生じていないものの、加熱処理によりフィルムに割れが生じ、これがレトルト後耐食性を悪化させる原因となっていることが判明した。そして、このような加熱処理によるフィルム割れを防止するには、加熱によるフィルムの過度の結晶化を防ぐために、ラミネートフィルムの非晶構造の拘束性とフィルム面内の結晶配向を特定の範囲に制御することが有効であることが判明した。具体的には、非晶構造の拘束性の指標となる動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の高温側ピーク温度を特定の範囲に制御し、かつフィルム面内の結晶配向の指標となる面配向係数を特定の範囲に制御することにより、加熱処理によるフィルム割れを効果的に防止し、レトルト後耐食性を顕著に改善できることが判った。
また、そのようなラミネート用フィルムにおいて、フィルムを構成するポリエステル単位の90モル%以上をエチレンテレフタレート単位とすることにより、耐熱性及び味特性が大幅に改善されることが判明した。
さらに、特許文献3のラミネート用フィルムのように、固体高分解能NMRによる特定の炭素の緩和時間を指標にすることによってフィルム構造を規定したものが、良好なレトルト後耐食性を示さないのは、上記緩和時間による評価がフィルムの結晶構造についての規定のみであり、レトルト処理(加熱処理)後の密着性やフィルム割れに大きな影響を与える非晶構造については規定されていないためであると考えられる。そこで、ポリエステルフィルムの非晶構造を詳細に調べるため、温度変調DSC測定によって解析した結果、フィルムの可動非晶量を特定の範囲に制御することにより、加熱工程、レトルト工程での密着性やフィルム割れを効果的に改善することができ、レトルト後耐食性をより高度に改善できることが判明した。
本発明は、以上のような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下のとおりである。
[1]動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)の最高温ピーク温度が113℃〜128℃、面配向係数が0.130〜0.150、温度変調DSC測定による可動非晶量が25.0%〜38.0%であり、フィルムを構成するポリエステルが、エチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とし、共重合成分としてジエチレングリコールのみを0.01〜3.0mol%含む二軸延伸ポリエステルフィルムを、金属板の両面又は片面にラミネートしたことを特徴とする容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板。
本発明の容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板は、耐熱性、成形加工性に優れ、さらに加工後のレトルト後密着性、レトルト後耐食性にも優れており、絞り成形やしごき成形等の成形加工によって製造される金属缶の蓋や胴の素材に好適である。
本発明の容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板は、二軸延伸ポリエステルフィルムを金属板の両面又は片面にラミネートしたものであり、特に加工後の優れたレトルト後耐食性を得るために、二軸延伸ポリエステルフィルムは、動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)の高温側ピーク温度(最高温ピーク温度。以下同様)が113℃〜128℃の範囲にあり、かつ面配向係数が0.130〜0.150の範囲であることを特徴とする。
ここで、動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)の高温側ピーク温度が113℃未満では、フィルムの破断強度が低下するため加工後にフィルム割れが生じやすく、一方、128℃を超えるとフィルムの伸びが小さくなるため、成形性が悪化する。また、面配向係数が0.130未満では、フィルムの弾性率が低下するため機械的強度が低下し、一方、0.150を超えると、加工後にフィルム割れが生じやすく、耐食性やラミネート時のフィルム密着性が悪化する。
動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)の高温側ピーク温度は、例えば、フィルムの延伸条件(延伸温度、延伸倍率など)や延伸後のフィルムの熱処理条件(熱処理温度、熱処理時間など)などにより調整することができる。
なお、動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)の高温側ピーク温度及び面配向係数は、後述する実施例に記載の方法で求めることができる。
さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムは、温度変調DSC測定による可動非晶量が25.0%〜38.0%の範囲であることが好ましく、これにより加熱工程、レトルト工程でのフィルム密着性の劣化やフィルム割れをより効果的に防止することができ、特に高度なレトルト後耐食性が得られる。ここで、温度変調DSC測定による可動非晶量が25.0%未満では、加熱処理後のフィルム密着性が低下し、一方、38.0%を超えると加熱処理によるフィルムの結晶化が過度に進みフィルム割れを生じる。温度変調DSC測定による可動非晶量は、例えば、フィルムの延伸条件(延伸温度、延伸倍率など)や延伸後のフィルムの熱処理条件(熱処理温度、熱処理時間など)、触媒等の種類や添加量などにより調整することができる。
なお、上記温度変調DSC測定による可動非晶量は、後述する実施例に記載の方法で求めることができる。
また、二軸延伸ポリエステルフィルムは、耐熱性及び味特性の要求性能の観点から、エチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とするものであることが好ましい。具体的には、フィルムを構成するポリエステル単位の90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることが好ましく、これにより特に高度な耐熱性及び味特性を得ることができる。また、ポリエステル単位の96モル%以上をエチレンテレフタレート単位とすることにより、レトルト処理後の耐熱性、密着性、味特性が特に良好となるので好ましい。
一方、二軸延伸ポリエステルフィルムは、耐熱性、味特性を損ねない範囲で他のジカルボン酸成分、グリコール成分を共重合させたものであってもよく、ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族カルボン酸;p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、グリコール成分としては、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合させてもよい。
さらに、フィルムを構成するポリエステルの共重合成分として、ジエチレングリコールを0.01〜3.0mol%、好ましくは0.02〜2.5mol%、より好ましくは0.1〜2.0mol%配合することが、製缶工程での熱処理、製缶後のレトルト処理などの多くの熱履歴を受けても優れた味特性を維持する上で望ましい。
また、フィルムには、公知の酸化防止剤を0.0001〜1質量%、好ましくは0.001〜1質量%添加することが、耐衝撃性を向上させる点から望ましい。酸化防止剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードフェノール類、ヒドラジン類、フォスファイト類等に分類される公知の酸化防止剤を使用することができる。なかでも、ペンタエスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェイト等が好適である。
味特性を良好にする上で、フィルム中のアセトアルデヒドの含有量が25ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下であることが望ましい。アセトアルデヒドの含有量が25ppmを超えると味特性に劣る。フィルム中のアセトアルデヒドの含有量を25ppm以下にする方法は特に限定されないが、例えば、ポリエステルを重縮合反応等で製造する際の熱分解によって生じるアセトアルデヒドを除去するために、ポリエステルを減圧下又は窒素等の不活性ガス雰囲気下において、その融点以下の温度で熱処理する方法、好ましくはポリエステルを減圧下又は不活性ガス雰囲気下において155℃以上、融点以下の温度で固相重合する方法、ベント式押出機を使用して溶融押出する方法、ポリマーを溶融押出する際に押出温度を高融点ポリマー側の融点+30℃以内、好ましくは融点+25℃以内で、短時間、好ましくは平均滞留時間1時間以内で押出しする方法等を挙げることができる。
本発明における二軸延伸ポリエステルフィルムの厚さは、金属板にラミネートした後の成形性、金属板に対する被覆性、耐衝撃性、味特性の観点から、3〜50μm、好ましくは5〜35μm、より好ましくは8〜30μmとするのが望ましい。
この二軸延伸ポリエステルフィルムは単層で若しくは接着層等と積層させて金属板表面にラミネートされる。二軸延伸ポリエステルフィルムの下層に接着層等として1層以上のフィルムを設ける場合、このフィルムとして熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー等のポリマーからなるフィルムを用いてもよい。具体的には、ポリエステル、例えば、高分子量ポリエチレンテレフタレート、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、ブタンジオール、イソフタル酸残基骨格を有する共重合ポリエチレンテレフタレート、さらにジエチレングリコールを添加、共重合したポリエステル等が好ましく使用できる。また特に、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムを用いることが、ラミネート後の加工性とレトルト後耐食性を両立させる点から好ましい。
本発明で用いる二軸延伸フィルムの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給してスリット状のダイからシート状に押出し、静電印加等の方式によりキャスティングドラムに密着させて冷却固化し、未延伸シートを得る。延伸方式としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸いずれでもよく、該未延伸シートをフィルムの長手方向及び幅方向に延伸した後、熱処理し、目的とする二軸延伸フィルムを得る。延伸方式はフィルムの品質の観点からテンター方式によるものが好ましく、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する逐次二軸延伸方式、長手方向・幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。
延伸倍率は、それぞれの方向に1.6〜4.2倍、好ましくは1.7〜4.0倍とすることが望ましい。長手方向、幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、両方を同一としてもよい。また、延伸速度は1000〜200000%/分とすることが望ましく、延伸温度は、ポリエステルのガラス転移温度以上、ガラス転移温度+100℃以下であれば任意の温度とすることができるが、通常は80〜170℃が好ましい。また、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行うが、この熱処理はオーブン中又は加熱されたロール上で行うなど、従来公知の任意の方法で行うことができる。熱処理温度は120℃以上245℃以下の任意の温度とすることができるが、好ましくは120〜240℃である。また、熱処理時間は任意であるが、通常1〜60秒間行うのが好ましい。熱処理は、フィルムをその長手方向及び/又は幅方向に弛緩させた状態で行ってもよい。さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行ってもよく、その後熱処理を行ってもよい。
また、二軸延伸ポリエステルフィルムの取扱い性、加工性を向上させるために、各種不定形の外部添加粒子や内部析出型粒子を用いることができる。このうち外部添加粒子としては、例えば、無機粒子として湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バナジウム、酸化アルミニウム、マイカ、カオリン、クレーなどが、有機粒子としてスチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物等を構成成分とする粒子などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
フィルムを金属板にラミネートして本発明のポリエステル樹脂ラミネート鋼板を製造する方法は特に制限はないが、例えば、金属板をフィルムの融点を超える温度で加熱し、その片面又は両面にフィルムを圧着ロールを用いて接触させ、ラミネート(熱融着)させる方法がある。この際、ラミネート開始時の温度を280℃以上とし、ラミネート時にフィルムの受ける温度履歴として、フィルムの融点以上の温度になる時間を1〜20msecの範囲にすることが好適である。このようなラミネート条件を達成するためには、高速でのラミネートに加え接着中の冷却も必要である。ラミネート時の圧着ロールの加圧は、特に規定するものではないが、面圧として1〜30kgf/cmが好ましい。この値が低すぎると、融点以上であっても圧着ロールによる圧着時間が短時間であるため十分な密着力が得られない。また、加圧が大きいとラミネート金属板の性能上は不都合がないものの、圧着ロールにかかる力が大きくなるため設備的な強度が必要となり、装置の大型化を招くため不経済である。
本発明で用いる金属板としては、缶用材料として広く使用されているアルミニウム板や軟鋼板等を用いることができ、特に下層が金属クロム、上層がクロム水酸化物からなる二層皮膜を形成させた表面処理鋼板(いわゆるTFS)等が最適である。
TFSの金属クロム層、クロム水酸化物層の付着量については、特に限定されないが、加工後密着性及び耐食性の観点から、何れもCr換算で、金属クロム層は70〜200mg/m、クロム水酸化物層は10〜30mg/cmの範囲とすることが望ましい。
[実施例1の樹脂フィルムの製造]
ポリエステル樹脂として、公知の重合法によりジエチレングリコール含有量が1.6mol%のポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。この樹脂を160℃にて5時間乾燥した後、押出機により加熱溶融し、溶融樹脂をTダイからフィルム状に冷却ドラムに吐出し、冷却ドラム上で固化させることにより未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを温度110℃にて長手方向に3.0倍延伸し、温度115℃で幅方向に3.0倍延伸した後、熱処理温度180℃、熱処理時間5秒間の熱処理を施すことにより、表1に示す実施例1の樹脂フィルムを製造した。
[実施例2〜7、参考例1,2、比較例1〜7の樹脂フィルムの製造]
実施例1の製造条件における樹脂組成、延伸条件、熱処理条件を適宜変更することにより、表1及び表2に示す実施例2〜7、参考例1,2、比較例1〜7の樹脂フィルムを製造した。
各特性等は以下の方法により測定、評価した。
(1) 動的粘弾性測定
原反フィルムから長手方向に長さ4cm、幅0.4cmの短冊状の試験片を切り取り、オリエンテック社製「RHEO VIBRON DDV−01FP」を用いて、加振周波数110Hz、チャック間距離約3cm、昇温速度3℃/min、−150℃〜220℃で貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)を測定し、この貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)の比から損失正接(tanδ)を求めた。
(2) 面配向係数
ナトリウムD線(波長589mm)を光源として、アッベ屈折計を用いてフィルムの長手方向、幅方向および厚み方向の屈折率(Nx、Ny、Nz)をそれぞれ測定し、このフィルム長手方向、幅方向及び厚み方向の屈折率(Nx、Ny、Nz)から、下記計算式により面配向係数fnを求めた。
面配向係数fn=(Nx+Ny)/2−Nz
(3) 可動非晶量
ティー・エイ・インスツルメント社製「DSC2920」を用いて、温度範囲0℃〜200℃、昇温速度2℃/min、振幅1℃、周波数60Hz、窒素雰囲気下で原反フィルムのガラス転移点前後の比熱を測定し、下記計算式より可動非晶量を求めた。
可動非晶量(%)={ΔCp/ΔCp(a)}×100
ここで ΔCp:原反フィルムのガラス転移点前後の比熱差
ΔCp(a):完全非晶物のガラス転移点前後の比熱差
(4) フィルム中のジエチレングリコール成分の含有量
フィルムを加水分解しガスクロマトグラフにより測定した。
(5) 耐熱性
原反フィルムから10mm×200mmの試験片を切り取り、この試験片
を150℃×30分間、熱風で加熱した後の収縮率を長手方向、幅方向について各5点測定し、それらの平均値を求め、下記により評価した。
◎:長手方向、幅方向の収縮率がいずれも1.8%未満である。
○:長手方向、幅方向の収縮率のいずれかが1.8%以上3.0%未満である。
×:長手方向、幅方向の収縮率のいずれかが3.0%以上である。
通電加熱方式で加熱したTFS(板厚:0.22mm,テンパー度:T3CA,金属クロム層付着量:80mg/m、クロム酸化物層付着量:15mg/m(金属クロム換算))の両面に、上述した樹脂フィルムを熱圧着した後、水中急冷する熱接着法で樹脂ラミネート金属板を得た。
このラミネート金属板を製缶加工し、歪み取り熱処理を施して供試缶を作製し、各性能について調査を行った。その結果を、樹脂フィルムの構成とともに表1及び表2に示す。
(a) 成形性
ラミネート金属板にワックス塗布後、直径179mmの円板を打ち抜き、絞り比1.60で浅絞り缶を得た。次いで、この絞りカップに対し、絞り比2.10及び2.80で再絞り加工を行った。この後、常法に従いドーミング成形を行った後、トリミングし、次いでネックイン−フランジ加工を施し深絞り缶を成形した。このようにして得た深絞り缶のネックイン部に着目し、フィルムの損傷程度を目視観察した。その評価基準は以下の通りである。
◎:成形後フィルムに損傷なく、フィルム剥離も認められない。
△:成形可能であるが、フィルム剥離が認められる。
×:缶が破胴し、成形不可能。
(b) レトルト後密着性
第3段階の絞り成形加工後の缶について、水を満注した後、蓋を巻き締め、各試験について10個ずつを130℃で30分間の加圧水蒸気中に保持し、37℃にて30日間保管した。その後、缶胴部よりピール試験用のサンプル(幅15mm×長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムを一部剥離し、引張試験機で剥離した部分のフィルムを、フィルムが剥離されたクロムめっき鋼板とは反対方向(角度:180°)に開き、引張速度30mm/minでピール試験を行い、密着力を評価した。なお、密着力測定対象面は、缶内面側とした。その評価基準は以下の通りである。
◎:0.15kgf/15mm以上
○:0.10kgf/15mm以上、0.15kgf/15mm未満
×:0.10kgf/15mm未満
(c) レトルト後耐食性
第3段階の絞り成形加工後の缶について、水を満注した後、蓋を巻き締め、各試験について10個ずつを130℃で30分間の加圧水蒸気中に保持し、37℃にて30日間保管した。その後、缶内面側の缶胴上部の腐食状況を目視にて評価した。その評価基準は以下の通りである。
◎:全く腐食が認められない。
○:ほとんど腐食が認められない。
△:軽微な腐食が認められる。
×:顕著な腐食が認められる。
Figure 0004411937
Figure 0004411937
表1及び表2によれば、本発明範囲を満足する実施例1〜は、何れも耐熱性、成形加工性に優れ、さらに加工後のレトルト後密着性及びレトルト後耐食性にも優れている。これに対して本発明の範囲を外れた比較例は、耐熱性、成形加工性、レトルト後密着性、レトルト後耐食性の少なくとも1つが不良である。

Claims (1)

  1. 動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)の最高温ピーク温度が113℃〜128℃、面配向係数が0.130〜0.150、温度変調DSC測定による可動非晶量が25.0%〜38.0%であり、フィルムを構成するポリエステルが、エチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とし、共重合成分としてジエチレングリコールのみを0.01〜3.0mol%含む二軸延伸ポリエステルフィルムを、金属板の両面又は片面にラミネートしたことを特徴とする容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板。
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