JP3951417B2 - 金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属貼合わせ成形加工用二軸延伸ポリエステルフイルムに関するものである。さらに詳しくはラミネート性、成形時、特に絞り及びしごき成形時の耐摩耗性、レトルト後の接着性を兼ね備えた成形加工などにより製造される容器、特に金属缶に好適な金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属缶の缶内面及び外面は腐食防止を目的として、エポキシ系、フェノ−ル系等の各種熱硬化性樹脂を溶剤に溶解または分散させたものを塗布し、金属表面を被覆することが広く行われてきた。しかしながら、このような熱硬化性樹脂の被覆方法は塗料の乾燥に長時間を要し、生産性が低下したり、多量の有機溶剤による環境汚染など好ましくない問題がある。
【0003】
これらの問題を解決する方法として、金属缶の材料である鋼板、アルミニウム板あるいは該金属板にめっき等各種の表面処理を施した金属板にフイルムをラミネ−トする方法がある。そして、フイルムのラミネ−ト金属板を絞り成形やしごき成形加工して金属缶を製造する場合、フイルムには次のような特性が要求される。
【0004】
(1)金属板へのラミネート性に優れていること。
【0005】
(2)金属板との密着性に優れていること。
【0006】
(3)成形性に優れ、成形後にピンホールなどの欠陥を生じないこと。
【0007】
(4)金属缶に対する衝撃によって、ポリエステルフイルムが剥離したり、ク ラック、ピンホールが発生したりしないこと。
(5)缶の内容物の香り成分がフイルムに吸着したり、フイルムからの溶出物 によって内容物の風味がそこなわれないこと(以下味特性と記載する)。
【0008】
これらの要求を解決するために多くの提案がなされており、例えば特開平2−57339号公報には特定の結晶性を有する共重合ポリエステルフイルム等が開示されている。しかしながら、近年、製缶速度の向上に伴い、ラミネート鋼板からの製缶成形比が増大しており、より一層のラミネート性、成形性、フィルムと鋼板の密着性の向上が望まれている。特に成形比の増加が絞り及びしごき成形により達成される場合、フィルムの粒子の削れに代表される耐摩耗性が問題となる。また成形比が増加することにより、特に缶成形後のレトルトによるフィルムと鋼板の密着性の低下が問題となる。上記の提案はこれらの要求特性を総合的に満足できるものではなくなってきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記した問題点を解消することにあり、優れたラミネート性や耐摩耗性、レトルト後の接着性を発現する金属缶に好適な金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の目的は、少なくとも2層以上からなる金属板貼合わせ成形加工用の二軸延伸ポリエステルフィルムであって、鋼板側層のポリエステルが下記式(1)で定義されるフィルム中での異形度(粒子の最小長さdに対する最大長さDの比)1.1未満の粒子を0.01〜1重量%含有してなり、非鋼板側層のポリエステルが異形度1.1以上の粒子を0.05〜1重量%、異形度1.1未満の粒子を0.001〜0.1重量%含有してなる金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルムによって達成される。
【0011】
異形度=D/d (1)
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルとは、エステル結合により構成される高分子量体の総称であり、ジカルボン酸成分としては、例えばイシフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマ−酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。一方、グリコ−ル成分としては例えばプロパンジオ−ル、ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコ−ル成分は2種以上を併用してもよい。
【0013】
さらに本発明では、上記ポリマを2種以上ブレンドして使用してもかまわない。
【0014】
また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、共重合ポリエステルにトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロ−ルプロパン等の多官能化合物を共重合してもよい。
【0015】
本発明のポリエステルは耐熱性、生産性の点から85モル%以上のエチレンテレフタレートおよび/またはエチレンナフタレート単位を主構成成分とするポリエステルであることが好ましく、より好ましくは88モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
【0016】
本発明におけるポリエステルフィルムの主たる融解ピーク温度は、耐熱性、成形性の点から215〜265℃であることが好ましく、より好ましくは220〜265℃であり、さらに好ましくは246〜260℃である。ここでポリエステルフィルムの主たる融解ピーク温度はいわゆる示差走査熱量法(DSC)の1stRUNにより検出される融解ピークである。ポリエステルの融解ピーク温度が215℃未満であると、耐熱性が低下し、缶成形後のレトルトや内容物を充填し高温で保存する時にフィルム内容物の流出やフィルム自体の軟化、熱劣化が生じるなどの問題が起こり、好ましくない。また融解ピークが265℃を越えると成形性が低下し、好ましくない。
【0017】
本発明のポリエステルフィルムは、耐熱性、熱寸法安定性の点から、ポリエステルを二軸延伸化することが必要である。二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよい。
【0018】
本発明のポリエステルフィルムはラミネート性、耐摩耗性、レトルト後のフィルムと鋼板の接着性の点から積層フィルムとすることが必要で、その形態は例えばA/B、A/C/Bの積層が挙げられるが、鋼板側層のポリエステルがフィルム中での異形度(粒子の最小長さdに対する最大長さDの比)1.1未満の粒子を0.01〜1重量%含有してなり、非鋼板側層のポリエステルが異形度1.1以上の粒子を0.05〜1重量%、異形度1.1未満の粒子を0.001〜0.1重量%含有してなることを満足していれば、他の積層構造のものであってもよい。各層の厚み比は、レトルト後のフィルムと鋼板の接着性及び特に耐摩耗性の点から、鋼板側層のポリエステルA/非鋼板側層のポリエステルBで3以上が好ましく、より好ましくは4以上である。この積層における各ポリエステルについては上記記載の通りであるが、よりラミネート性、レトルト後の鋼板とフィルムの接着性を向上させる点から、非鋼板側層を構成するポリエステルBの融解ピーク温度(TmB)−鋼板側層を構成するポリエステルAの融解ピーク温度(TmA)が0.5〜35℃であることが好ましく、より好ましくは1〜20℃、更に好ましくは1.5〜10℃である。
【0019】
また非鋼板側層を構成するポリエステルBにおいては、融解ピーク温度が215〜265℃であることが好ましく、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートであることが溶出成分の低減化、味特性の向上の点から好ましい。さらにポリエステルBの融解ピーク温度が246〜265℃であることがレトルト後の鋼板とフィルムの接着性、フィルムの耐熱性の点からより好ましく、さらに成形性を考慮すると246〜258℃であることが一層好ましい。非鋼板側層のポリエステルの融解ピーク温度が246〜265℃であることにより、耐熱性が向上するのみならず、フィルムの剛性が上がるため接着性、特にレトルト後の接着性が向上する。一方ポリエステルBの融解ピーク温度が215〜246℃であることは成形性向上の点から好ましく、より好ましくは220〜246℃である。
【0020】
鋼鈑側層を構成するポリエステルAは、融解ピーク温度が215〜265℃であることが好ましく、特に融解ピーク温度が246〜265℃であると融解ピークがシャープとなりラミネート時に溶融部分が急激に融けるため、接着性特にレトルト後の接着性が向上するので好ましく、より好ましくは246〜260℃である。
【0021】
本発明においては鋼板側層のポリエステルは接着性の点から下記式(1)で定義されるフィルム中での異形度(粒子の最小長さdに対する最大長さDの比)1.1未満の粒子を0.01〜1重量%含有してなり、その添加量は好ましくは0.01〜0.5重量%である。ここで異形度は1.1未満であることが必要であるが、好ましくは1.08未満であり、いわゆる球状の粒子が好ましいことを指している。またフィルムの取り扱い性の点から添加量が0.01〜0.5重量%であることが必要である。一方、非鋼板側層のポリエステルは、主に易滑性、耐摩耗性の点から異形度1.1以上の粒子を0.05〜1.0重量%、異形度1.1未満の粒子を0.001〜0.1重量%含有してなることが必要であり、好ましくは異形度1.1以上の粒子が0.07〜0.5重量%、異形度1.1未満の粒子が0.001〜0.05重量%である。ここで非鋼板側層のポリエステル中での異形度1.1以上の粒子は缶成形時の耐摩耗性を向上させる点から必要であり、好ましくは異形度1.2以上、さらに好ましくは2以上であり、さらにその含有量はフィルムの取り扱い性の点から0.05〜1重量%であることが必要である。また非鋼板側層のポリエステル中の異形度1.1未満の粒子は主に易滑性を向上させ、耐摩耗性と両立させる点から0.01〜0.1重量%が必要である。
【0022】
異形度=D/d (1)
本発明の粒子の異形度は、(1)式で定義されたようにフィルム中で観察される粒子の最小長さに対する最大長さの比で表され、後に定義した方法で求められる。つまりここで粒子の最大長さとは、個々の粒子あるいは一次粒子径より小さい間隔で形成されるものを一つの粒子と見なし、その輪郭に接する最長間隔の平行線間の距離であり、最小長さとは最長間隔の1/2の位置における最大長さに直角方向の粒子長さである。
【0023】
また粒子の異形とは、粒子の種類、形状、大きさに関わらず特に限定されるものではない。例えば、粒子の製造、ポリエステルの製膜(押出、延伸など)、フィルムの金属板へのラミネート成形加工などにおける粒子の分割、分断、解碎、ほぐれによる変形、あるいは湾曲、屈曲する変形などが挙げられる。粒子の形状は、楕円状、紡錘状、棒状、針状、繊維状、板状などが挙げられ、個々の粒子がこのような形状であっても良く、凝集体によって形成されていてもよい。
【0024】
さらに本発明で言うところの異形度1.1以上あるいは1.1未満の粒子を含有するポリエステルフィルムとは、異形の粒子を含有するポリエステルを成形したフィルムであってもよく、粒子を含有するポリエステルを成形する工程で変形させてもよい。
【0025】
本発明の粒子の異形度は、粒子を含有するポリエステルから製造されたフィルム、さらにはフィルムがラミネート、成形された金属缶から採取したフィルム中に含有される粒子を観察することにより求めることができる。
【0026】
本発明における二軸延伸フィルムは主にラミネート性、成形性の点から面配向係数が0.095〜0.13であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.12である。
【0027】
また、より一層ラミネート性、レトルト後の接着性向上の点からは、非鋼板側層の面配向係数から鋼板側層の面配向係数を引いた値(Δfn)が0.001〜0.05であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.03である。
【0028】
本発明においてはフィルムと鋼板の接着性を向上させる点で、特にレトルト時のフィルムの収縮応力による剥離の影響を低減するために、125℃でのフィルム長手方向の熱収縮応力が0.1〜1MPaであることが好ましく、より好ましくは0.2〜1MPaである。
【0029】
本発明において、主にフィルムと鋼板の接着性向上の点から、125℃でのフィルム長手方向の線熱膨張係数を−140×10−6〜−5×10−6K−1にすることが好ましく、更に好ましくは−130×10−6〜−40×10−6K−1である。線熱膨張係数がこの範囲外であるとラミネート時に鋼板との熱膨張挙動の違いから残留応力が発生し,そのため,その後の成形やレトルト時にフィルムにクラックや鋼板との剥離が発生する場合がある。
【0030】
本発明では、フィルムと鋼板の接着性を向上させる点から、鋼板側層を構成するポリエステルAのカルボキシル末端基量が35〜50当量/トンであることが好ましく、特に好ましくは37〜47当量/トンである。
【0031】
また本発明では、味特性を向上させる点から、非鋼板側層を構成するポリエステルBのカルボキシル末端基量が35当量/トン未満であることが好ましく、特に好ましくは30当量/トン未満である。
【0032】
本発明においてはフィルムと鋼板の接着性を向上させる点で、特にフィルムと鋼板の接着界面におけるポリマー部分の接着面積及び厚みを増加させるために、少なくとも片面の表面から1μmでの粒子濃度R1と表面から0.1μmでの粒子濃度R2の比R1/R2が2〜200であることが好ましく、更に好ましくは3〜150である。
【0033】
本発明では、接着性、味特性をより一層向上させるためにポリエステルの固有粘度が0.6dl/g以上好ましく、さらに好ましくは0.62dl/g以上、特に好ましくは0.65dl/g以上である。固有粘度が0.6dl/g未満ではオリゴマの溶出などにより味特性が悪化することがあるため好ましくない。
【0034】
本発明のポリエステルを製造する際には、従来公知の反応触媒、着色防止剤を使用することができ、反応触媒としては例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物等、着色防止剤としては例えばリン化合物等挙げることができる。ポリエステルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては例えば、ゲルマニウム化合物を例にすると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭54−22234号公報に記載されているように、ポリエステルの出発原料であるグリコ−ル成分中にゲルマニウム化合物を溶解させて添加する方法等を挙げることができる。ゲルマニウム化合物としては、例えば二酸化ゲルマニウム、結晶水含有水酸化ゲルマニウム、あるいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキシド等のゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマニウムフェノレ−ト、ゲルマニウムβ−ナフトレ−ト等のゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウム等のリン含有ゲルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウム等を挙げることができる。中でも二酸化ゲルマニウムが好ましい。アンチモン化合物としては、特に限定されないが例えば、三酸化アンチモンなどのアンチモン酸化物、酢酸アンチモンなどが挙げられる。チタン化合物としては、特に限定されないがテトラエチルチタネート、テトラブチルチタネートなどのアルキルチタネート化合物などが好ましく使用される。
【0035】
例えばポリエチレンテレフタレ−トを製造する際に、ゲルマニウム化合物として二酸化ゲルマニウムを添加する場合で説明する。テレフタル酸成分とエチレングリコ−ルをエステル交換またはエステル化反応せしめ、次いで二酸化ゲルマニウム、リン化合物を添加し、引き続き高温、減圧下で一定のジエチレングリコール含有量になるまで重縮合反応せしめ、ゲルマニウム元素含有重合体を得る。さらに、好ましくは得られた重合体をその融点以下の温度において減圧下または不活性ガス雰囲気下で固相重合反応せしめ、アセトアデルヒドの含有量を減少させ、所定の固有粘度、カルボキシル末端基を得る方法等を挙げることができる。
【0036】
本発明におけるポリエステルは、好ましくはジエチレングリコール成分量が0.01〜3.5重量%、さらに好ましくは0.01〜2.5重量%、特に好ましくは0.01〜2重量%であることが製缶工程での熱処理、製缶後のレトルト処理などの多くの熱履歴を受けても優れた味特性を維持する上で望ましい。このことは、200℃以上での耐酸化分解性が向上するものと考えられ、さらに公知の酸化防止剤を0.0001〜1重量%添加してもよい。また、特性を損ねない範囲でジエチレングリコールをポリマ製造時に添加してもよい。
【0037】
また、味特性を良好にする上で、フィルム中のアセトアルデヒドの含有量を好ましくは25ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下とすることが望ましい。アセトアルデヒドの含有量が25ppmを越えると味特性に劣ることがある。フィルム中のアセトアルデヒドの含有量を25pm以下とする方法は特に限定されるものではないが、例えばポリエステルを重縮反応等で製造する際の熱分解によって生じるアセトアルデヒドを除去するため、ポリエステルを減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下において、ポリエステルの融点以下の温度で熱処理する方法、好ましくはポリエステルを減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下において155℃以上、融点以下の温度で固相重合する方法、ベント式押出機を使用して溶融押出する方法、ポリマを溶融押出する際に押出温度を高融点ポリマ側の融点+30℃以内、好ましくは融点+25℃以内で、短時間、好ましくは平均滞留時間1時間以内で押出す方法等を挙げることができる。
【0038】
本発明の二軸延伸フイルムの全厚みは、金属にラミネートした後の成形性、金属に対する被覆性、耐衝撃性、味特性の点で、3〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは5〜35μmであり、特に好ましくは10〜30μmである。
【0039】
本発明における二軸延伸フィルムの製造方法としては、特に限定されないが例えば各ポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し未延伸シートを得る。延伸方式としては、同時二軸、逐次二軸延伸いずれでもよいが、該未延伸シートをフイルムの長手方向及び幅方向に延伸、熱処理し、目的とする面配向度のフィルムを得る。好ましくはフィルムの品質の点でテンター方式によるものが好ましく、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する逐次二軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。延伸倍率としてはそれぞれの方向に1.6〜4.2倍、好ましくは1.7〜4.0倍である。長手方向、幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、同一としてもよい。また、延伸速度は1000%/分〜200000%/分であることが望ましく、延伸温度はポリエステルのガラス転移温度以上ガラス転移温度+100℃以下であれば任意の温度とすることができるが、通常は80〜170℃が好ましい。更に二軸延伸の後にフイルムの熱処理を行うが、この熱処理はオ−ブン中、加熱されたロ−ル上等、従来公知の任意の方法で行なうことができる。熱処理温度は120℃以上245℃以下の任意の温度とすることができるが、好ましくは120〜240℃である。また熱処理時間は任意とすることができるが、通常1〜60秒間行うのが好ましい。熱処理はフイルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行ってもよく、その後熱処理を行ってもよい。
【0040】
本発明における添加粒子としては平均粒子径0.01〜10μmの公知の内部粒子、無機粒子および/または有機粒子などの外部粒子の中から任意に選定される粒子を含有させることができる。特に平均粒子径0.1〜5μmの粒子が0.01〜3重量%含有されていることが缶内面に使用されるフィルムとして好ましい。10μmを越える平均粒子径を有する粒子を使用するとフィルムの欠陥が生じ易くなるので好ましくない。粒子としては例えば湿式および乾式シリカ、球状シリカ、珪酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレ−等の無機粒子およびスチレン、シリコ−ン、アクリル酸類等を構成成分とする有機粒子等を挙げることができる。なかでも乾式、湿式および乾式コロイド状シリカ、アルミナ等の無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼン等を構成成分とする有機粒子等を挙げることができる。これらの内部粒子、無機粒子および/または有機粒子は二種以上を特性を損ねない範囲で併用してもよい。
【0041】
本発明におけるフィルム中の異形度が1.1未満のものとしては、上記例示の粒子の中から任意に選択できるが、例えば単分散の球状シリカ、珪酸アルミニウム、球状有機粒子、球状の炭酸カルシウム、湿式凝集シリカなどが挙げられ、中でも特に球状単分散シリカが好ましいが、これらに限定されるものではない。またフィルム中の異形度が1.1以上のものとしては、凝集した無機粒子などが挙げられるが、異形度が1.1以上であれば特に限定されるものではない。ここで言う凝集粒子とはポリエステル中で観察される粒子の少なくとも50%以上が2個以上の一次粒子から形成されるものである。また凝集粒子は100nm以下の一次粒子から形成されていることが耐摩耗性、耐衝撃性の点から好ましく、より好ましくは70nm以下であり、更に好ましくは50nm以下である。また本発明は粒子の異形度が1.1以上の粒子を含有する以外に異形度が1.1未満の粒子を併用することにより、フィルムの易滑性、ラミネート性、成形性が向上する。
【0042】
さらに、缶内面に使用される場合、鋼板側層、非鋼板側層の中心線平均粗さRaは好ましくは0.005〜0.07μm、さらに好ましくは0.008〜0.05μmである。さらに、最大粗さRtとの比Rt/Raが4〜50、好ましくは6〜40であると高速製缶性が向上する。また、特に非鋼板側層の中心線平均粗さRaは好ましくは0.002〜0.04μm、さらに好ましくは0.003〜0.03μmであると味特性が向上するので好ましい。
【0043】
また、フィルムにコロナ放電処理などの表面処理を施すことにより接着性を向上させることはさらに特性を向上させる上で好ましい。
【0044】
また本発明のフィルム上には各種コーティングを施してもよく、その塗布化合物、方法、厚みは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されない。
【0045】
本発明の金属板とは特に限定されないが、成形性の点で鉄やアルミニウムなどを素材とする金属板が好ましい。さらに、鉄を素材とする金属板の場合、その表面に接着性や耐腐食性を改良する無機酸化物被膜層、例えばクロム酸処理、リン酸処理、クロム酸/リン酸処理、電解クロム酸処理、クロメート処理、クロムクロメート処理などで代表される化成処理被覆層を設けてもよい。特に金属クロム換算値でクロムとして6.5〜150mg/m2 のクロム水和酸化物が好ましく、さらに、展延性金属メッキ層、例えばニッケル、スズ、亜鉛、アルミニウム、砲金、真ちゅうなどを設けてもよい。スズメッキの場合0.5〜15mg/m2 、ニッケルまたはアルミニウムの場合1.8〜20g/m2 のメッキ量を有するものが好ましい。
【0046】
本発明の金属貼合わせ成形加工用二軸延伸ポリエステルフィルムは、金属板等にラミネートした後、絞り成形やしごき成形によって製造されるツーピース金属缶の内面被覆用に好適に使用することができる。また、ツーピース缶の蓋部分、あるいはスリーピース缶の胴、蓋、底の被覆用としても良好な金属接着性、成形性を有するため好ましく使用することができる。
【0047】
【実施例】
以下実施例によって本発明を詳細に説明する。なお特性は以下の方法により測定、評価した。
【0048】
(1)ポリエステルの固有粘度
ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し,25℃において測定した。
【0049】
(2)ポリエステルの融解ピーク温度
原料チップについてはポリエステルを結晶化させ,示差走査熱量計(パーキン・エルマー社製DSC2型)により,10℃/分の昇温速度で測定し融解のピーク温度を融点とした。またフィルムについては、フィルムを40℃×60時間処理し、水分の影響を取り除いた後、上記同様に測定し、フィルムの主融解ピーク温度を求めた。
【0050】
(3)面配向係数(fn)
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として,アッベ屈折計を用いて長手方向,幅方向,厚み方向の屈折率(それぞれNx,Ny,Nz)から得られる非鋼板側層の面配向係数fn=(Nx+Ny)/2−Nzを計算して求めた。さらに鋼板側層のfnも同様に測定し、非鋼板側層のfnから鋼板側層のfnを差し引いた値をΔfnとした。
【0051】
(4)粒子の異形度
フィルム長手方向の断面を透過型電子顕微鏡にて観察し、個々の粒子、あるいは一次粒子径より小さい間隔で凝集体(集合体)を形成したものを一つの粒子をみなし、フィルム中に存在する各粒子の最大長さD、最小長さdを求め、その比D/dを算出した。さらに少なくとも100個以上の粒子について値を求めその相加平均を異形度とした。
【0052】
(5)平均粒子径
フィルムの表面から熱可塑性樹脂をプラズマ低温灰化処理法で除去し粒子を露出させる。処理条件は熱可塑性樹脂は灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。これを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し,粒子の画像をイメージアナライザーで処理する。観察箇所を変えて粒子数5,000個以上で次の数値処理を行いそれによって求めた数平均径Dを平均粒径とする。
【0053】
【数1】
なお,内部粒子ではフィルムの切片断面を透過型顕微鏡観察により行ってもよい。
【0054】
(6)ラミネート性
板厚0.2mmのティンフリースチール金属板(TFS)を240℃に加熱しておいて50m/分でフィルムを貼り合わせた後急冷し、金属板にラミネートさせた後のフィルム非鋼板側層の面配向係数を測定する。これを10個のサンプルについて行い、その中の面配向係数の最大値と最小値の差により以下の基準でラミネート性を評価した。
【0055】
特A級:0.005未満
A級:0.005以上0.01未満
B級:0.01以上0.02未満
C級:0.02以上
(7)接着性(レトルト後の接着力)
40m/分でフィルムと239℃に加熱したTFS鋼板(厚さ0.2mm)にラミネート後、70℃の水槽で急冷した。該ラミネート鋼板を幅30mmに切り取り,一部をフィルムを残して鋼板のみをカットし,カットした部分に100gの錘を吊し125℃、25分間のレトルト処理を行った。レトルト後の鋼板からのフィルムの剥離長さで評価を行った。
【0056】
特A級:5mm未満
A級:10mm未満5mm以上
B級:15mm未満10mm以上
C級:15mm以上
(8)耐摩耗性
上記ラミネート鋼板をしごき成形機,絞り成形機でコイル5000m成形(成形比(最大厚み/最小厚み)=1.70,成形可能温度領域で成形)し、缶(直径6cm,高さ12cm)を得た。この時のツールに付着したフィルムの削れ量を測定し、耐摩耗性を評価した。
【0057】
A級:1mg未満
B級:1〜3mg
C級:3mgを越えるもの
(9)味特性
上記缶に125℃×25分の加圧蒸気処理を行った後,水を充填し,40℃密封後1ヶ月放置し,その後開封して液の濁りにより、以下の基準で評価した。
【0058】
特A級:全く濁りがみられない。
【0059】
A級:濁りがほとんど見られない。
【0060】
B級:やや濁りが見られる。
【0061】
C級:全面に濁りが見られる。
【0062】
D級:全面にかなり濁っている。
【0063】
(10)耐熱性
上記缶を200℃、30秒間熱処理した後に耐衝撃性を測定し、その優劣で耐熱性を評価した。耐衝撃性は成形缶内に1%の食塩水を入れて、1日放置後食塩水中の電極と金属缶に6vの電圧をかけて10秒後の電流値を読み取り、10缶測定後の平均値を求めた。
【0064】
A級:0.1mA未満
B級:0.1mA以上0.2mA未満
C級:0.2mA以上0.4mA未満
D級:0.4mA以上
実施例1
鋼板側層を構成するポリエステルAとして平均粒子径1.6μmの単分散型球状シリカを0.1重量%含有するイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.69dl/g,融点224℃、カルボキシル末端量39等量/トン)と非鋼板側層を構成するポリエステルBとして凝集乾式シリカ粒子(平均一次粒子径40nm、平均粒径0.4μm)を0.11重量%と凝集湿式シリカ粒子(平均一次粒子径10nm、平均粒径1.5μm)を0.025重量%及び平均粒子径1.6μmの単分散型球状シリカを0.008重量%含有するイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.69dl/g,融点226℃、カルボキシル末端量24等量/トン)を各々180℃3時間真空乾燥後,別々の押出機に供給し、ピノールにてA/B=1:4に積層し、口金から吐出後、静電印加(6.7kv)しながら鏡面冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを温度110℃にて長手方向に3.05倍し,予熱温度95℃(3秒)、延伸温度110℃で幅方向に3.05倍延伸した後,180℃にて弛緩5%,5秒間熱処理し、厚さ20μm、二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム中における凝集乾式シリカ粒子の異形度は11、凝集湿式シリカ粒子の異形度は8、単分散型球状シリカの異形度は1.05であった。フィルム特性,缶特性は表1に示した通りであり,優れた特性を得ることができた。
【0065】
実施例2
実施例1における非鋼板側層を構成するポリエステルBとして2、6ーナフタレンジカルボン共重合PET(固有粘度0.72dl/g,融点226℃、カルボキシル末端量20等量/トン)とし、延伸条件を変更する以外は実施例1と同様にして厚さ20μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム中における凝集乾式シリカ粒子の異形度は12、凝集湿式シリカ粒子の異形度は8.2、単分散型球状シリカの異形度は1.04であった。フィルム特性,缶特性は表1に示した通りであり,優れた特性を得ることができた。
【0066】
実施例3
実施例1における鋼板側層を構成するポリエステルAとしてPET(固有粘度0.68dl/g,融点255℃、カルボキシル末端量37等量/トン)、非鋼板側層を構成するポリエステルBとしてPET(固有粘度0.68dl/g,融点255℃、カルボキシル末端量28等量/トン)とし、延伸条件を変更する以外は実施例1と同様にして厚さ20μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム中における凝集乾式シリカ粒子の異形度は11、凝集湿式シリカ粒子の異形度は7、単分散型球状シリカの異形度は1.01であった。フィルム特性は表1に、またラミネート温度を変更した缶特性は表1に示した通りであり,優れた特性を得ることができた。
【0067】
実施例4
実施例1における鋼板側層を構成するポリエステルAのイソフタル酸共重合PETを固有粘度0.69dl/g,融点226℃、カルボキシル末端量39等量/トンのものとする以外は実施例1と同様にして厚さ20μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム中における凝集乾式シリカ粒子の異形度は9、凝集湿式シリカ粒子の異形度は14.5、単分散型球状シリカの異形度は1.03であった。フィルム特性,缶特性は表1に示した通りであり,優れた特性を得ることができた。
【0068】
実施例5
実施例1における鋼板側層を構成するポリエステルAのイソフタル酸共重合PETを固有粘度0.69dl/g,融点226℃、カルボキシル末端量30等量/トンのものとする以外は実施例1と同様にして厚さ20μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム中における凝集乾式シリカ粒子の異形度は12、凝集湿式シリカ粒子の異形度は8、単分散型球状シリカの異形度は1.03であった。フィルム特性,缶特性は表1に示した通りであり,優れた特性を得ることができた。
【0069】
実施例6
鋼板側層を構成するポリエステルAとして平均粒子径1.6μmの単分散型球状シリカを0.1重量%含有するイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.69dl/g,融点226℃、カルボキシル末端量30等量/トン)と非鋼板側層B層を構成するポリエステルとして平均2次粒子径0.4μmの凝集乾式シリカ粒子を0.1重量%と平均粒子径1.6μmの単分散型球状シリカを0.02重量%含有するイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.69dl/g,融点226℃、カルボキシル末端量24等量/トン)を各々180℃3時間真空乾燥後,別々の押出機に供給し、ピノールにてA/B=1:1に積層し、口金から吐出後、静電印加(6.7kv)しながら鏡面冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを温度110℃にて長手方向に3.05倍し,予熱温度95℃(3秒)、延伸温度110℃で幅方向に3.05倍延伸した後,180℃にて弛緩5%,5秒間熱処理し、厚さ20μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム中における凝集乾式シリカ粒子の異形度は11.8、単分散型球状シリカの異形度は1.01であった。フィルム特性,缶特性は表1に示した通りであり,実施例に比較すると若干接着性が低下するものの優れた特性が発現されることがわかった。
【0070】
実施例7
実施例1における非鋼板側層を構成するポリエステルAのイソフタル酸共重合PETを固有粘度0.69dl/g,融点249℃、カルボキシル末端量28等量/トンとし、延伸温度を変更して実施例1と同様にして厚さ20μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム中における凝集乾式シリカ粒子の異形度は13.2、凝集湿式シリカ粒子の異形度は9.5、単分散型球状シリカの異形度は1.025であった。フィルム特性,缶特性は表1に示した通りであり,優れた特性を得ることができた。
【0071】
比較例1
非鋼板側層を構成するポリエステルBとして平均粒子径1.6μmの単分散型球状シリカを0.15重量%含有するイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.69dl/g,融点226℃、カルボキシル末端量39等量/トン)と鋼板側層を構成するポリエステルAとして平均2次粒子径0.45μmの凝集乾式シリカ粒子を0.15重量%と平均粒子径1.6μmの単分散型球状シリカを0.004重量%含有するイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.69dl/g,融点226℃、カルボキシル末端量20等量/トン)を各々180℃3時間真空乾燥後,別々の押出機に供給し、ピノールにてA/B=1:4に積層し、口金から吐出後、静電印加(6.7kv)しながら鏡面冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを温度110℃にて長手方向に3.05倍し,予熱温度95℃(3秒)、延伸温度110℃で幅方向に3.05倍延伸した後,180℃にて弛緩5%,5秒間熱処理し、厚さ20μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム中における凝集乾式シリカ粒子の異形度は12.4、単分散型球状シリカの異形度は1.02であった。フィルム特性,缶特性は表1に示した通りであり,劣るものであった。
【0072】
比較例2
平均粒子径0.3μmの球状炭酸カルシウム粒子を0.22重量%含有するイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65dl/g,融点224℃、カルボキシル末端量18等量/トン)を180℃3時間真空乾燥後,単軸押出機に供給し、通常の口金から吐出後、静電印加(6.9kv)しながら鏡面冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを温度92℃にて長手方向に3.5倍し,予熱温度105℃(5秒)、延伸温度110℃で幅方向に3.5倍延伸した後,172℃にて弛緩5%,10秒間熱処理して厚さ20μmの二軸延伸フィルムを得た。フィルム中における球状炭酸カルシウム粒子の異形度は1.04であった。得られたフィルムの各特性は表1に示す通り大きく低下したものであった。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】
本発明は、金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルムの積層構成と添加粒子及びポリマー熱特性及びフィルム構造を制御することにより、ラミネート性、缶成形時の耐摩耗性、レトルト後のフィルムと鋼板の接着性を両立させることができたものである。
Claims (8)
- 少なくとも2層以上からなる金属板貼合わせ成形加工用の二軸延伸ポリエステルフィルムであって、鋼板側層のポリエステルが下記式(1)で定義されるフィルム中での異形度(粒子の最小長さdに対する最大長さDの比)1.1未満の粒子を0.01〜1重量%含有してなり、非鋼板側層のポリエステルが異形度1.1以上の粒子を0.05〜1重量%、異形度1.1未満の粒子を0.001〜0.1重量%含有してなる金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム。
異形度=D/d (1) - 非鋼板側層のポリエステルフィルムの厚み/鋼鈑側層のポリエステルの厚み比が3以上である請求項1に記載の金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム。
- 非鋼板側層を構成するポリエステルのカルボキシル末端基量が35当量/トン未満であり、鋼板側層を構成するポリエステルのカルボキシル末端基量が35〜50当量/トンである請求項1または2に記載の金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム。
- 非鋼板側層を構成するポリエステルが2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートである請求項1〜3のいずれかに記載の金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム。
- 非鋼板側層を構成するポリエステルの融解ピーク温度−鋼板側層を構成するポリエステルの融解ピーク温度差が0.5〜35℃であること請求項1〜4のいずれかに記載の金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルムの主たる融解ピーク温度が246〜265℃である請求項1〜5のいずれかに記載の金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム。
- 非鋼板側層のポリエステルの融解ピーク温度が246〜265℃である請求項1〜6のいずれかに記載の金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム。
- 鋼板側層のポリエステルの融解ピーク温度が246〜265℃である請求項1〜7のいずれかに記載の金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム。
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