JPH10110046A - 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents
金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法Info
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- JPH10110046A JPH10110046A JP26898896A JP26898896A JPH10110046A JP H10110046 A JPH10110046 A JP H10110046A JP 26898896 A JP26898896 A JP 26898896A JP 26898896 A JP26898896 A JP 26898896A JP H10110046 A JPH10110046 A JP H10110046A
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Abstract
持しながら金属板と熱圧着可能であり、しかも、金属板
に熱圧着する際の条件変動に対してラミネート金属板の
品質が変化し難く、さらに、比較的低温で熱圧着可能な
金属板ラミネート用フィルム及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 極限粘度が0.50〜0.90のポリエ
チレンテレフタレート系樹脂(A)10〜55重量%
と、極限粘度が0.60以上のポリブチレンテレフタレ
ート系樹脂(B)90〜45重量%とを配合したポリエ
ステル樹脂組成物からなり、面配向度が0.11〜0.
16であり、かつ、特定の熱特性を有する金属板ラミネ
ート用フィルム。
Description
ト金属板の構成材料として有用なフィルム及びその製造
方法、ラミネート金属板及びその製造方法、さらにはこ
のラミネート金属板を用いて製造した金属缶体に関する
ものである。
は、機械的強度に優れ、密閉性にも優れることから内容
物の長期保存が可能であり、また、内容物を高温で充填
しそのまま密封したり、レトルト処理等の殺菌処理も容
易に行えるため、包装容器としての安全衛生性に対する
信頼性も高く、更に、加温状態で内容物が保存できた
り、使用後の缶体の分別・回収が比較的容易であるとい
う多くの長所を有するため、近年、様々な種類の内容物
が充填され多量に使用されている。
物の風味を保つと同時に、金属缶素材の腐食を防止する
ため、あるいは缶外面の美粧性の向上、印刷面の保護等
を目的として、従来より、熱硬化性樹脂を主成分とする
溶剤型塗料が塗布されてきた。しかし、このような塗装
缶においては、次のような問題がある。 (イ)内容物を充填、密封した後にレトルト処理等の加
温処理を施すと、塗膜中の残存溶剤等の低分子量物質が
内容物中に移行し、内容物の風味が著しく低下する。
(フレーバー性に劣る) (ロ)缶蓋部の小径化や缶体の薄肉化に伴い、これまで
以上に塗膜の加工性や耐衝撃性が要求され、一方ではレ
トルト処理後に塗膜が白化したり、塗膜が剥離する等の
問題に対する耐レトルト性が要求されるが、これらの性
能を満足させる塗膜を得ることが難しい。 (ハ)有機溶剤を多量に使用し、また、塗膜の乾燥、焼
付けに多量の熱エネルギーが必要である。
しくは複層のプラスチックフィルムを金属板にラミネー
トしたフィルムラミネート金属板を用いて製造した金属
缶が注目されている。特にポリエステルフィルムは、機
械的強度、加工性、耐熱性に優れ、ピンホールやクラッ
ク等が発生しにくく、内容物の風味が損なわれにくく
(フレーバー性に優れる)、比較的安価であるという長
所があり、積極的に実用化が進められている。
トする方法としては、プラスチックフィルム、あるいは
金属板の少なくとも一方に予め接着層を設けておき、熱
接着する方法や、熱接着性のプラスチックフィルムを用
いて金属板とを熱圧着させる方法等がある。前者の方法
において、未硬化の熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶解した
溶液からなる接着剤を用いた場合には、前記の(イ)及
び(ハ)の問題や、接着層とフィルムとの間に界面が生
成するためラミネート金属板の加工性やラミネート缶の
耐衝撃性に難がある。一方、後者の方法を用いた場合に
は、上記の(イ)〜(ハ)の問題は解決し、金属缶の生
産性も向上する。たとえば、特開平2−305827号
公報、特開平3−86729号公報、特公平7−350
92号公報、特開平5−154971号公報、特開平5
−156040号公報、特開平6−39979号公報、
特開平7−207040号公報、特開昭64−2253
0号公報、特開平6−116374号公報、特公平7−
80253号公報、特開平5−147647号公報、特
開平7−195617号公報、特公昭57−23584
号公報等には、熱圧着が可能なポリエステルフィルムが
記載されており、また、特開昭60−170532号公
報、特開平3−212433号公報、特開平5−925
35号公報、特開平3−57514号公報、特開平3−
101930号公報、特開昭58−220729号公
報、特公昭57−22750号公報等には、熱圧着可能
なポリエステルフィルムを用いてラミネート金属板及び
高絞り比の金属缶体を製造する方法が記載されている。
リエステルフィルムは熱圧着性を保持させる目的や、ラ
ミネート金属板の加工性を向上させ、金属缶体の耐衝撃
性を保持する目的から、他の成分を共重合したり配合す
ることによってフィルムの結晶化度を低くすることがな
されている。しかしながら、従来の金属板ラミネート用
ポリエステルフィルムを用いた場合には、レトルト処理
等の高温処理の際にフィルム中の低分子量物が内容物に
移行しやすく、内容物の風味が損なわれ、場合によって
は内容物が変色するといった現象が発生したり、レトル
ト処理時にフィルムの結晶化が起こり、フィルムの剥離
や、ミクロクラックが発生し、あるいは、球晶が生長し
てフィルムが白化するという種々の問題が発生し、改善
が求められていた。ラミネート金属板の加工性と、ラミ
ネート缶の耐衝撃性を高め(通常、フィルムの結晶化度
を下げる)、金属缶のフレーバー性を向上させる(通
常、フィルムの結晶化度を上げる)等の性能のバランス
をとるため、熱圧着条件を工夫することが提案されてい
るが(特開平5−92535号公報、特開平7−223
646号公報、特公平7−115411号公報、特公平
7−85923号公報、特開平7−195651号公報
等)、鋼板や熱ロール等の温度やラミネート速度等を均
一に精度よく制御しなければならず、装置、設備が非常
に高価になり経済性を失ってしまうという問題があっ
た。
問題を一挙に解決し、次の〜を達成することを主た
る課題とするものである。 機械的特性や耐熱性に優れ、高結晶化度であっても金
属板との熱圧着が可能であり、しかも、金属板に熱圧着
する際の条件変動に対してラミネート金属板の品質の変
化がしにくく、比較的低温で熱圧着可能な金属ラミネー
ト用フィルム及びその製造方法を提供すること。 フィルムの高結晶化度が保持されており、しかも、フ
ィルムと金属板との接着性は十分であり、高絞り比缶の
製造も可能なラミネート金属板及びその製造方法を提供
すること。 フィルムの高結晶化度を保持しておりフレーバー性に
優れ、耐衝撃性にも優れた金属缶体を提供すること。
を解決するために鋭意検討した結果、特定の極限粘度を
有するポリエチレンテレフタレート(PET)又はこれ
を主体とするポリエステル(A)と、特定の極限粘度を
有するポリブチレンテレフタレート(PBT)又はこれ
を主体とするポリエステル(B)とを、特定の割合で配
合したポリエステル樹脂組成物を用いて、特定の面配向
度を有するフィルムを製造することにより、機械的特性
や耐熱性に優れたフィルムが得られ、また、フィルムを
製造するに際し、適度な延伸処理を施し、しかも、フィ
ルムの製造時の予熱〜熱固定工程条件を適度に制御する
ことにより高結晶化度のフィルムが得られ、かつ、得ら
れたフィルムは、ポリエステル(B)に由来する融点以
下の温度域に特定の結晶化ピークを有するようになり、
フィルムの融点以下の温度でも金属板と熱圧着すること
が可能となり、しかも驚くべきことに、得られたラミネ
ート金属板は、フィルム自体の高結晶化度を保持しなが
らも高絞り比缶の製造にも耐え得る加工性と接着性を有
するという事実を見出し、本発明に到達した。
る。 (1)PET又はこれを主体とする極限粘度が0.50
〜0.90のポリエステル(A)10〜55重量%と、
PBT又はこれを主体とする極限粘度が0.60以上の
ポリエステル(B)90〜45重量%とからなるポリエ
ステル樹脂組成物で構成されたフィルムであって、フィ
ルムの面配向度が0.11〜0.16であり、かつ、フ
ィルムの熱特性が下記の条件(a)〜(d)を満足する
ことを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィ
ルム。 (a)ポリエステル(A)に由来する融点Tm (A)が
245〜253℃。 (b)ポリエステル(B)に由来する融点Tm (B)が
215〜221℃。 (c)フィルム中のポリエステル(A)及び(B)の結
晶部分に由来する融解熱の和〔ΔHm(A+B)〕が3
5〜45J/g。 (d)フィルムを20℃/minで昇温した際に発生す
る結晶化開始温度Tcが100〜190℃であり、か
つ、結晶化熱(ΔHc)が2〜10J/g。 (2)上記(1)に示した配合割合のポリエステル
(A)とポリエステル(B)からなる樹脂組成物を、T
ダイを備えた押出機を用いて、温度230〜280℃で
溶融し、Tダイよりシート状に押出し、キャスティング
ロール上に密着させて急冷して得られた未延伸シートの
両端を把持し、40〜100℃で予熱した後、50〜1
20℃で縦及び横方向にそれぞれ2〜4倍の延伸倍率で
同時2軸延伸した後、80〜180℃で熱固定すること
を特徴とする上記(1)の金属板ラミネート用ポリエス
テルフィルムの製造方法。 (3)上記(1)記載のフィルムを金属板の少なくとも
片面に積層したフィルムラミネート金属板であって、ラ
ミネート金属板中のフィルムが下記の熱特性を有するこ
とを特徴とするフィルムラミネート金属板。 (a1)ポリエステル(A)に由来する融点が245〜
253℃。 (b1)ポリエステル(B)に由来する融点が215〜
221℃。 (c1)ポリエステル(A)及び(B)の結晶部分に由
来する融解熱の和〔ΔHm(A+B)〕が35〜48J
/g。 (d1)20℃/minで昇温した際に結晶化が認めら
れないか、或は、結晶化が起こっても結晶化熱(ΔH
c)が2J/g未満。 (4)下記式(1)を満足する温度T(℃)の金属板に
下記式(2)を満足する時間S(sec)フィルムを接
触させた後、40℃/sec以上の速度でフィルムのガ
ラス転移温度以下まで冷却することを特徴とする上記
(3)記載のフィルムラミネート金属板の製造方法。 (Tc+20℃)≦T≦{Tm(B)−10℃} (1) (36/T)−0.14≦S≦(800/T)−3 (2) (5)上記(3)記載のラミネート金属板を少なくとも
一部に用いた金属缶体であって、金属缶体中のフィルム
の熱特性が下記の条件を満足することを特徴とする金属
缶体。 (a2)ポリエステル(A)に由来する融点が245〜
253℃。 (b2)ポリエステル(B)に由来する融点が215〜
221℃。 (c2)ポリエステル(A)及び(B)の結晶部分に由
来する融解熱〔ΔHm(A+B)〕が35〜50J/
g。 (d2)20℃/minで昇温した際に結晶化が認めら
れないか、或は、結晶化が起こっても結晶化熱(ΔH
c)が2J/g未満。 (6)フィルム中のオリゴマー含有量が1.3重量%以
下である上記(5)記載の金属缶体。
する。
(A)は、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分
とを主成分として溶融重縮合反応、あるいは引き続いて
固相重合されたものであり、極限粘度は0.50〜0.
90であることが必要であり、好ましくは0.55〜
0.80、さらに好ましくは0.60〜0.77であ
る。極限粘度が0.50未満では、実用に供することの
できる機械的強度を有したフィルムが得られず、極限粘
度が0.90を超えるとフィルムの金属板への熱圧着性
が損なわれる。
果が損なわれない範囲で適宜他の成分を共重合してもよ
い。共重合成分としての酸成分としては、イソフタル
酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカ
ルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン
酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、(無水)マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサ
コン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)ヘキサヒドロ
フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカル
ボン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、p−ヒドロキ
シ安息香酸、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、ε−カプロラ
クトン等のヒドロキシカルボン酸や、(無水)トリメリ
ット酸、トリメシン酸、(無水)ピロメリット酸等の多
官能カルボン酸を挙げることができる。また、共重合成
分としてのアルコール成分としては、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオ
ール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール
等の脂環族ジオール、ビスフェノールAやビスフェノー
ルSのエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付
加物等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、グ
リセリン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコール
等を挙げることができる。
方法を適用することができる。たとえば、ビス(β−ヒ
ドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体の存
在するエステル化反応槽に、テレフタル酸とエチレング
リコール及び必要に応じて他の共重合成分のスラリーを
連続的に供給し、温度250℃で3〜8時間程度反応さ
せて、エステル化反応率95%付近のエステル化物を連
続的に得る。次いで、これを重合缶に移送し、二酸化ゲ
ルマニウム、三酸化アンチモン等の触媒の存在下に、
1.3hPa以下の減圧下、温度250〜280℃で所
望の極限粘度のポリエステルが得られるまで溶融重縮合
反応を行えばよい。
レフタル酸成分と1,4−ブタンジオール成分とを主成
分として溶融重縮合反応、あるいは引き続いて固相重合
されたものであり、極限粘度が0.60以上であること
が必要であり、0.80〜2.0であることが好まし
い。極限粘度が0.60未満では、実用に供することの
できる機械的強度を有したフィルムを得ることができな
い。極限粘度の上限については特に限定されないが、原
料ポリエステル樹脂及びフィルムの生産性の面で2.0
以下であることが好ましい。また、ポリエステル(B)
としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜ポリ
エステル(A)と同様の他の成分を共重合したものでよ
い。
方法を適用することができる。たとえば、ジメチルテレ
フタレートと1,4−ブタンジオール及び必要に応じて
他の共重合成分とをエステル交換反応槽に仕込み、温度
230℃で5時間程度反応させて、エステル交換反応率
95%付近のエステル化物を得る。次いで、これを重合
缶に移送し、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライ
ソプロピルチタネート等の触媒の存在下に、1.3hP
a以下の減圧下、温度220〜250℃で所望の極限粘
度のポリエステルが得られるまで溶融重縮合反応を進め
ればよい。
配合割合は、ポリエステル(A)を10〜55重量%、
ポリエステル(B)を90〜45重量%とすることが必
要である。ポリエステル(A)の配合割合が10重量%
未満の場合、得られるフィルムをポリエステル(B)に
由来する融点以下の温度で金属板と熱圧着することが困
難となり、仮りに熱圧着ができても絞り缶を製造するた
めに必要な金属板との十分な接着性が得られない。ま
た、ポリエステル(A)の配合割合が55重量%を超え
ると、金属板と低温で熱圧着させ、かつフィルムの高結
晶化度を保持させることが困難となる。結晶化度を高く
するために、金属板との熱圧着後、あるいは、缶体を製
造した後に加熱した場合には、球晶が生長してフィルム
が白化したり、ミクロクラックが発生して剥離が起こり
易く、実用に供することが困難となる。
1〜0.16でなければならない。ここで、fは、下記
式により定義されるものである。 f={(nx +ny )/2}−nz ただし、nx 、ny はフィルムの面方向の屈折率の最大
値及び最小値であり、nz はフィルムの厚さ方向の屈折
率を示す。面配向度が0.11未満の場合は、フィルム
の機械特性や耐熱性が十分でなく、0.16を超える
と、絞り加工やネック加工等のラミネート金属板の加工
時にフィルムにミクロクラックが発生したり破断すると
いう問題を生じる。
(A)に由来する融点は245〜253℃であり、ポリ
エステル(B)に由来する融点は215〜221℃であ
る。ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の融点
は、両成分の相溶性の程度(エステル交換反応の程度も
含めて)により変化し、これらの値が上記のそれぞれの
下限値未満の場合は、エステル交換反応が進行し過ぎて
おり、フィルムの結晶化度が低くなりフレーバー性が損
なわれる。一方、両ポリマー成分の融点がそれぞれ上記
の上限値を超える場合は、相溶性が不十分となり、フィ
ルムの熱圧着性及び金属板との接着性、加工性が低下
し、また、延伸時にフィルムが破断し易くなる。
(A)及び(B)の結晶部分に由来する融解熱の和〔Δ
Hm(A+B)〕が35〜45J/g、さらに好ましく
は40〜45J/gであることが必要である。ΔHm
(A+B)が35J/g未満の場合は、フレーバー性が
損なわれる場合があり、45J/gを超えると、フィル
ムの熱圧着性及び金属板との接着性が低下し、ラミネー
ト金属板を缶体に加工する時に、フィルムにミクロクラ
ックが発生したり、フィルムと金属が剥離してしまうこ
とがある。
0℃/minで昇温したときの結晶化開始温度Tcが1
00〜190℃、好ましくは110〜170℃、さらに
好ましくは120〜160℃であり、かつ、結晶化熱
(ΔHc)が2〜10J/g、好ましくは3〜9J/
g、さらに好ましくは4〜8J/gであることが必要で
ある。上記の要件は、フィルムの高結晶化度を保ちなが
ら、金属板との熱圧着を可能にし、さらには絞り缶を製
造する場合のような厳しい加工条件にも耐え得るような
接着性及び加工性をフィルムに付与するための条件とし
て特に重要である。
熱収縮現象が著しくなり、熱圧着の際にフィルムが縮ん
で良好にラミネートできない。一方、Tcが190℃を
超える場合は、ポリエステル(B)の融点以下の温度に
おける金属板との低温熱圧着は実質上不可能となり、ポ
リエステル(B)の融点以上でラミネートした場合には
フィルムの高結晶化度を保持することができず、本発明
の目的を達成することができない。
着が不可能となり、また、ΔHcが10J/gを超える
場合には、フィルム自体の結晶化度が十分でなく、ま
た、金属板との熱圧着時に結晶化が進行して十分な密着
強度が得られないばかりでなく、フィルムが白化する場
合がある。なお、DSCで測定した場合、ポリエステル
(B)の融点以下の温度域で認められるのは発熱ピーク
(結晶化ピーク)であり、吸熱ピーク(融解ピーク)が
認められないことが望ましいが、吸熱ピークが認められ
る場合にも、融解熱は2J/g未満でなければならな
い。
造方法としては、フラット式もしくはチューブラー式製
膜法等の公知の方法により製造することができるが、本
発明におけるフィルムの面配向度を有し、厚みムラの少
ないフィルムを製造するためにはフラット式が好まし
く、延伸方法としては同時二軸延伸法が好ましい。
フィルムを製造する場合には、たとえば、本発明におけ
る配合割合のポリエステル(A)とポリエステル(B)
からなる樹脂組成物を、Tダイを備えた押出機を用い
て、温度230〜280℃で溶融し、Tダイよりシート
状に押出し、これを40℃以下に温度調節されたキャス
ティングロール上に密着させて急冷し、所望の厚みの未
延伸シートを得る。なお、原料の樹脂組成物の混合を十
分にするために、予め溶融混練した原料を用いてもよ
い。
把持してシート上下面より40〜100℃の熱風を吹付
けて予熱し、50〜120℃の雰囲気下で縦及び横方向
にそれぞれ2〜4倍程度に二軸延伸する。その後、縦方
向及び/又は横方向の弛緩率を数%として、80〜18
0℃で数秒間熱処理してフィルムを熱固定した後、室温
まで冷却し、20〜300m/minの速度で巻き取っ
て所望の厚みのフィルムとする。延伸温度が50℃未満
では、延伸応力が高くなり、ネッキングが発生し、12
0℃を超えると、溶断したり、フィルムの結晶化が進ん
で白化し、フィルムの面配向度が低くなる。熱固定温度
が180℃を超えると、得られるフィルムの結晶化開始
温度Tc が190℃を超え、フィルムの高結晶化度を保
ちながら金属板と熱圧着することが困難となる。
にし、かつ、ΔHcを2〜10J/gとするためには、
熱固定温度を180℃以下にすることと共に、予熱から
熱固定工程においてフィルムに加えられる熱量(雰囲気
温度Ti×時間ti)を1600℃・ sec 以下とすることが
好ましい(ただし、熱量は雰囲気温度が100℃未満の
ゾーンについては除外して計算した値である)。
知の方法を採用することができ、例えば、延伸フィルム
に熱風を吹き付ける方法、延伸フィルムに赤外線を照射
する方法、延伸フィルムにマイクロ波を照射する方法等
が挙げられるが、均一に精度良く加熱できる点で、延伸
フィルムに熱風を吹き付ける方法が好適である。また、
特公昭35−11774号公報、特公昭43−5557
号公報等に開示されているように、延伸工程から熱固定
工程の中間に熱緩衝帯を設けてもよい。
ナ、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バ
リウム等の無機滑剤、もしくはシリコーン粒子等の有機
滑剤から選ばれた1種もしくは2種以上の平均粒径2.
5μm以下の滑剤を必要量添加してフィルム表面にスリ
ップ性を付与させ、フィルム製造時や金属板との熱圧着
時の工程通過性を改善させることができる。また、二酸
化チタン、硫酸バリウム、シリコーン化合物等を添加し
て隠蔽性を付与し、金属缶体の外観或は金属缶体に対す
る印刷性を向上させることができる。更に、フィルムに
は着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、消泡剤、難燃剤等
を含有させることもできる。
m、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは10
〜25μmである。厚みが5μm未満では加工時に破れ
等が生じ易くなり、100μmを超えても過剰品質とな
り不経済である。
熱圧着性及びその後の密着性を更に向上させる目的で、
共押出法やラミネート加工、あるいはコーティング加工
により接着層を設けることができる。接着層は乾燥膜厚
で0.5μm以下が好ましい。
面(以下、反対面と略す)には、金属缶体の外観や印刷
性を向上させたり、フィルムの耐熱性や耐レトルト性等
を向上させるために1種もしくは2種以上の樹脂層を設
けることができる。これらの層は、共押出法やラミネー
トあるいはコーティング加工により設けることができ
る。
る方法としては、金属板を予め所定温度まで予熱してお
き、これとフィルムとを温度制御可能なロールによって
圧接して熱圧着させた後、室温まで冷却することにより
連続的に製造される。金属板の加熱方法としては、ヒー
ターロール伝熱方式、誘導加熱方式、抵抗加熱方式、熱
風伝達方式等があげられ、特に、設備費及び設備の簡素
化を考慮した場合、ヒーターロール伝熱方式が好まし
い。また、ラミネート後の冷却方法については、水等の
冷媒中に浸漬する方法や冷却ロールと接触させる方法を
用いることができる。
記の製法を用いてラミネートすることにより、フィルム
中の結晶部分を実質的に崩さない温度でラミネートする
ことが可能となる。しかも、本発明によればフィルム及
び金属板の幅及び走行方向において、ラミネート条件を
過度に正確に制御する必要がなく、そのための特別の装
置や設備を必要としないという特長がある。
ミネートする際には、下記式(1)及び(2)を満足す
る温度T(℃)の金属板にフィルムを時間S(sec)
の間密着させた後、40℃/sec以上の速度でフィル
ムのガラス転移温度以下まで冷却する。 (Tc+20℃)≦T≦{Tm(B)−10℃} (1) (36/T)−0.14≦S≦(800/T)−3 (2)
には、絞り缶製造時の苛酷な加工条件に耐え得る密着性
を得ることが困難となる。また、T及び/又はSが上記
式の上限を超えると、フィルム中の非晶部分の結晶化が
過度に進んで金属板との密着性が低下したり、加工時に
フィルムにミクロクラックが発生する場合がある。ま
た、ラミネート後の平均冷却速度が40℃/sec未満
の場合でも、フィルムと金属板との密着性が低下した
り、加工時にフィルムにミクロクラックが発生する場合
があり、好ましくない。
は、シート状又は帯状の鋼板及びアルミニウム板、ある
いはそれらの表面に種々のメッキ処理や化成処理を施し
たものが好適である。特に表層にクロム水和酸化物皮膜
を有したものは、フィルムとの接着性が優れる。特に下
層が金属クロム、上層がクロム水和酸化物の二層構造を
もつティンフリースチール(TFS)が好ましく、さら
に鋼板表面に錫、ニッケル、亜鉛、アルミニウム等の一
種又は二種以上の複層メッキ、合金メッキを施し、その
上層に上記の二層構造をもつ皮膜、或いはクロム水和酸
化物皮膜を形成させたもの、アルミニウムに電解クロム
酸処理、浸漬クロム酸処理等を施し、表層にクロム水和
酸化物皮膜を形成させたもの等を用いることができる。
板中のフィルムは、DSC分析による熱特性が、以下の
条件を満足している。 (a1)ポリエステル(A)に由来する融点が245〜
253℃。 (b1)ポリエステル(B)に由来する融点が215〜
221℃。 (c1)ポリエステル(A)及び(B)の結晶部分に由
来する融解熱の和〔ΔHm(A+B)〕が35〜48J
/g。 (d1)20℃/minで昇温した際に結晶化が認めら
れないか、あるいは、結晶化が起こっても結晶化熱(Δ
Hc)が2J/g未満。
ィルムは、(a1)〜(c1)に示されたように、フィ
ルム自体の熱特性はラミネート前後において保持されて
おり、その結果、優れた耐熱性やフレーバー性を有し、
しかも、高絞り比缶を製造する場合のような苛酷な加工
条件に耐え得る接着性と加工性が得られる。
Hm(A+B)〕は、ラミネート前のフィルムの値より
も若干増加するが、その場合でも35〜48J/gの範
囲であることが好ましい。ラミネート金属板中のフィル
ムのΔHm(A+B)が48J/gを超えると、加工時
にフィルムにミクロクラックが発生したり、剥離する場
合がある。
化ピークを有しないか、あるいは有するとしても結晶化
熱(ΔHc)は2J/g未満でなければならない。ΔH
cが2J/gを超えると、金属缶を製造する段階での過
酷な加工に耐え得る密着性は得られない。
板を用いることにより、耐熱性に優れ、レトルト処理の
ような高温処理が可能で、過酷な加工処理を施してもピ
ンホールやミクロクラック、フィルムの剥離等の欠陥が
発生し難く、しかもフレーバー性に優れた金属缶体を製
造することができる。金属缶体としては、飲食料を充填
して使用に供することができ得る形態にまで加工処理が
施された金属容器及びその一部分、例えば巻き締め加工
が可能な形状に成形された缶蓋も含まれる。特に、厳し
いネックイン加工が施される3ピース缶(3P缶)の缶
胴部材や、絞りしごき加工によって製造される2ピース
缶(2P缶)の缶胴部材として用いる場合に本発明のフ
ィルム及びラミネート金属板の優れた加工性が発揮され
る。また、特開平3−57514 号公報や特開平3−101930
号公報に示された、実質的にしごき加工を施さずに絞り
加工のみで胴高が10cm以上の缶体を製造する場合に
特に好適である。本発明の金属缶体は、その優れた耐レ
トルト性、フレーバー性から、コーヒー、緑茶、紅茶等
の内容物を充填する場合に適している。
製造する際には、通常、室温〜(フィルムのガラス転移
温度+30℃)の温度で加工処理が施されるが、金属缶
体製造後のフィルムの熱特性は、次に示したようにラミ
ネート金属板と実質的に同一の熱特性を有することが好
ましい。 (a2)ポリエステル(A)に由来する融点が245〜
253℃。 (b2)ポリエステル(B)に由来する融点が215〜
221℃。 (c2)ポリエステル(A)及び(B)の結晶部分に由
来する融解熱〔ΔHm(A+B)〕が35〜50J/
g。 (d2)20℃/minで昇温した際に結晶化が認めら
れないか、あるいは、結晶化が起こっても結晶化熱(Δ
Hc)が2J/g未満。
に、金属缶体の製造時、又はその後の工程でフィルムの
結晶化を高める処理を行ってもよいが、上記(c2)に
示したように、〔ΔHm(A+B)〕は50J/g以下
とすることが好ましい。〔ΔHm(A+B)〕が50J
/gを超えると、フィルムの耐衝撃性が低下する場合が
ある。
には、用いる樹脂やフィルム中の低分子量物を低減する
手段が採られてきたが、本発明者らは、フィルム中に低
分子量物がある程度含有されていても、フィルムの融点
及び結晶化度を高く保持することにより、低分子量物の
内容物への移行は少なくなり、優れたフレーバー性が得
られることを見出したものであり、従来の公知の技術と
は峻別されるものである。また、缶体とラミネートされ
たフィルム中に含まれるオリゴマー量を1.3重量%以
下とすることにより、レトルト処理等の高温処理を行っ
ても、低分子量物の内容物への移行が少なく、フレーバ
ー性がさらに向上する。金属缶体のフィルム中のオリゴ
マー含有量を1.3重量%以下に低減する方法として
は、樹脂を固相重合することにより可能となるが、ポリ
エステル樹脂組成物を溶融・混合する際にベント付押出
機を用い、1hPa以下の減圧下で揮発性物質を除去す
る方法や、得られたフィルムを水や各種溶剤中に短時
間、浸漬する等の簡便な処理によっても達成することが
できる。
て、ポリエステル(B)成分が早く結晶化し、しかも、
結晶化開始温度をフィルムの融点以下とすることによっ
て、ポリエステル(A)成分の分子鎖の動きが拘束さ
れ、その一部が非晶状態となることにより、ラミネート
時の接着性が向上し、しかも、フィルム自身の結晶構造
を保持することができるものと考えられる。
に説明する。なお、実施例及び比較例に用いた各特性値
の分析方法、測定方法は下記の通りである。
1,2,2−テトラクロロエタンの等重量混合溶媒を用
い、20℃で測定した。単位はdl/g。
アッベ式屈折計を用い、下記式により求めた。 f={(nx +ny )/2}−nz ただし、nx 、ny はフィルムの面方向の屈折率の最大
値及び最小値であり、nz はフィルムの厚さ方向の屈折
率を示す。屈折率は、アッベ式屈折計の接眼側に偏光板
アナライザーを取り付け、単色光NaD線により、マウ
ント液としてヨウ化メチレンを用い、温度25℃で測定
した値である。なお、測定に用いたフィルムの幅は20
cmであり、フィルムの中央部及び両端から各3cmの
部分を測定し、その平均値を面配向度とした。
金属板及び金属缶体中のフィルムから、それぞれ10〜
12mgの試料を採取し、パーキンエルマー社製DSC
−7を用いて測定した。フィルムの融点、Tc、ΔHc
の各特性値は、昇温速度20℃/minの条件で、25
〜280℃まで昇温して測定し求めた。なお、ポリエス
テル(A)及び(B)に由来する融点は、それぞれの融
解ピークのピークトップの温度とした。また、結晶化開
始温度Tcは、発熱ピークの立ち上がりの温度とした。
ポリエステル(A)及び(B)の結晶部分に由来する融
解熱〔ΔHm(A+B)〕は、結晶化ピークによりベー
スラインが不明確となり、DSC測定中に結晶化した部
分の融解現象が分離できないため次の方法に依った。す
なわち、昇温速度20℃/minで、25〜190℃ま
で昇温し、190℃に達した時点で直ちに50℃/mi
nの速度で25℃まで降温する。そして25℃で3分保
持した後、再度、20℃/minで280℃まで昇温
し、生成した融解ピークより〔ΔHm(A+B)〕を求
めた。上記の2つの昇温条件で得られたDSCチャート
の一例を図1、図2に示す。
M−D882に準じて、幅10mm、長さ10cmの試
験片を用いて、測定を行った。なお、フィルムの機械方
向(MD)及びその直角方向(TD)にそれぞれ各10
枚の試験片を採取したものを用いて測定し、その平均値
で表した。
て、以下の基準に従って目視で評価した。 ◎:金属とラミネートしたフィルムに傷やしわ等の欠陥
がなく、良好に熱圧着されている部分が全面積の98%
以上。 ○:上記の部分が全面積の80%以上。 △:上記の部分が全面積の50%以上。 ×:上記の部分が全面積の50%未満。
と判断されたラミネート金属板から幅18mmの短冊状
の試験片(ラミネート金属板の端部はラミネートせず、
ラミネートされた部分が8cm以上確保されるようにす
る)を切り出した。次に、この試験片のフィルム面に、
JIS Z−1522に規定された粘着テープを貼りつ
け、島津製作所社製オートグラフで、10mm/nin
の速度で180゜剥離試験を行い、その剥離強力を測定
することにより、接着性の指標とした。 ○:11枚のうち10枚以上の試験片の剥離強力が30
0gf以上か、300gf以上でフィルムが破断。 △:11枚のうち5枚以上の試験片の剥離強力が300
gf以上か、300gf以上でフィルムが破断。 ×:剥離強力が300gf未満の試験片が7枚以上。
缶を成形した後のフィルムの剥離、切れ、クラック等の
損傷の有無を目視及び蛍光顕微鏡(倍率80倍)で観察
し、以下の基準に従って評価した。 ○:缶体100個のうち、95個以上に損傷なし。 △:缶体100個のうち、80〜94個に損傷なし。 ×:缶体100個のうち、21個以上が何らかの損傷が
認められる。 なお、実施例10については、得られたラミネート金属
板から、寸法17cm×12cmの試験片を各々3枚切
り出し、3P缶の缶胴部材に使用する場合を想定し、缶
体の成形性を評価するための簡易方法として、JIS
K−5400に準じてエリクセン試験機を用い、ラミネ
ート金属板100枚を用いて両面から2回ずつ5mmの
深さまで押し出し(成形条件:C−1)た後の、ラミネ
ート金属板の上記と同様の損傷を同様の基準で評価し
た。
れた金属缶体について、それぞれ缶体10個に1重量%
の食塩水を充填し、80℃×24時間加熱した後の缶体
内の錆の発生状況を、以下の基準に従って評価した。 ○:ほとんど錆が認められない。 △:食塩水と接触していたフィルム表面積の5%未満に
錆が発生した。 ×:食塩水と接触していたフィルム表面積の5%以上に
錆が発生した。 なお、実施例10については、エリクセン試験機で加工
したラミネート金属板5枚を、ステンレス製容器中の1
重量%食塩水に浸漬して加熱処理を行い、上記と同様に
評価した。
属板(実施例10)をオートクレーブ(トミー精工社
製、BS−325)に入れ、125℃のスチーム中で3
0min、レトルト処理を施し、フィルムの外観につい
て、ウォータースポット(白い斑点)及び白粉(フィル
ム中のオリゴマーに由来)の発生状況を目視観察し、耐
レトルト性の指標とした。 ○:良好。 △:フィルム表面積の5%未満に、ウォータースポット
又は白粉がみられた。 ×:フィルム表面積の5%以上に、ウォータースポット
又は白粉がみられた。
C−3によって得られた2P缶胴部に蒸留水550gを
充填し、市販の307径アルミEO蓋を巻き締めてこれ
を密封し、上記と同様にしてレトルト処理を行った。 C−2:絞りダイスとポンチを用いて、室温で2段階で
絞り成形を行い、その後にトリミング、ネッキングフラ
ンジ加工を施して外径87mm、胴高10cmの2P缶
胴部を得た。 C−3:絞りダイスとポンチの表面温度を80〜85℃
で絞り成形を行った以外はC−2と同様にした。次に、
室温まで十分冷却した後に、内容物をパネラー50人に
試飲してもらい、におい、味覚等が蒸留水と違いがない
かを判断してもらい、その結果を以下の基準に従ってフ
レーバー性の指標とした。 ○:両者の違いを感知した人数が10人未満。 △:両者の違いを感知した人数が10人以上30人未
満。 ×:両者の違いを感知した人数が30人以上。 なお、実施例10については、エリクセン試験機で加工
したラミネート金属板1枚当たり400gの蒸留水と共
にステンレス製容器に入れて、これを密封後、レトルト
処理を行い、上記と同様に評価した。
って得られた2P缶胴部に1重量%の食塩水550gを
充填し、307径アルミEO蓋を用いて密封した缶10
個を50cmの高さから塩ビタイル床面に落下した。次
に、80℃×24時間加熱した後に、錆の発生状況を評
価した。なお、実施例10については、ラミネート後に
ロール状のラミネート金属板から10cm×10cmの
角板を切り出し、これを水平に保って、この上に300
gの立方体のおもりを載せて落下試験を行った。
缶体のフィルムより、注意深く所定量の試料を採取し、
これをヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム
の等容積比混合溶媒に溶解した後、撹拌しながらアセト
ニトリル中に滴下して樹脂を沈澱させた。次に、これを
メンブランフィルターで濾過し、得られた濾液を高速液
体クロマトグラフ(ウォーターズ社製、600E)を用
いて分析した。なお、予めPETの環状3量体と内部標
準物質との検量曲線を作成しておき、上記分析で得られ
たチャート中の全ピークについて、PETの環状3量体
換算でその重量を求め、その合計量をオリゴマー量とし
た。
80gを充填した後、アルミEO蓋を用いて密封し、レ
トルト処理を行った。次に、室温まで十分冷却した後に
内容物を取り出し、水を留去し、得られた不揮発物を秤
量し、これを2P缶内面のフィルム被覆面積で除した値
を溶出オリゴマー量(μg/cm2 )とした。なお、レ
トルト処理により、アルミEO蓋から溶出する不揮発物
は認められないことを予め確認した。
相重合して得られたPET(〔η〕0.67、ポリエス
テルA−1)30重量部と、PBT(三菱エンジニアリ
ングプラスチックス社製、ノバドゥール5009AS、
〔η〕1.0、ポリエステルB−1)70重量部とをド
ライブレンドし、これをTダイを備えた押出機(75m
m径、L/D=45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー)を
用いて、265℃、吐出量500g/minでシート状
に押し出した。続いて、これを表面温度18℃に調節さ
れたキャスティングロール上に密着させて急冷し、厚み
180μmの未延伸シートを得た。この未延伸シートの
端部を、テンター式同時二軸延伸機のクリップで把持
し、50℃の予熱ゾーンを2sec走行させた後、温度
70℃でMD及びTDそれぞれ3倍の倍率で同時二軸延
伸した(延伸ゾーンは3secで通過)。次に、TDの
弛緩率を5%として150℃で4sec熱固定処理した
後、室温まで冷却し、50m/minの速度で巻き取っ
て厚み20μmのフィルムを得た。得られたフィルムを
スリットし、幅20cmのロール状のフィルム(A)を
得た。次に、このフィルムを用いて各種の特性評価を行
った。得られた結果を表1に示す。
条件を、表1及び2に示したように変更し、実施例1と
同様にして各種フィルムを得た。得られたフィルムの性
能を表1及び2に示す。
3を70重量部をドライブレンドし、ベント付二軸押出
機(池貝鉄工所社製、PCM−45)を用いて、260
℃、1hPaの減圧状態で溶融、混練し、ストランド状
に押し出し(吐出量500g/min)、水冷後、ペレ
ット化した。得られたペレットを十分に乾燥した後、表
1に示した条件により延伸フィルム(I)を得た。延伸
フィルムの特性値を表1に示す。
ものを意味する。 ポリエステル(A) A−2:イソフタル酸(IPA)5mol%共重合PE
T(〔η〕0.76、固相重合したもの)。 A−3:PET(〔η〕0.79、固相重合は行ってい
ない) A−4:IPA10mol%共重合PET(〔η〕0.
70、固相重合は行っていない)。 なお、A−2〜A−4は、全てA−1と同量のシリカを
含有する。
8、固相重合したもの) B−3:三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバ
ドゥール5010S
1を80重量部をドライブレンドし、実施例9と同様
に、ベント付二軸押出機を用いて280℃、1hPaの
減圧状態で溶融、混練し、ストランド状に押し出し(吐
出量320g/min)、水冷後、ペレット化した。得
られたペレットを十分に乾燥した後、表2に示した条件
により延伸フィルム(O)を得た。延伸フィルムの特性
値を表2に示す。
縮タイプの単軸スクリューのものを用いた以外は、実施
例1と同様にして延伸フィルム(P)を得た。延伸フィ
ルムの特性値を表2に示す。
条件を、表2に示したように変更し、実施例1と同様に
してフィルム(Q)及び(R)を得た。得られたフィル
ムの性能を表2に示す。なお、表中のポリエステル
(A)として用いたA−5は〔η〕0.94のPETで
あり、固相重合して得られたものである。
合をしていないPBTを用いた以外は実施例1と同様に
して、フィルムの製造を試みたが、延伸〜熱固定工程で
フィルムの破断が多発し、しかも、機械的特性に満足で
きるフィルムが得られなかった。
ール状のブリキ(スチール−1)を、誘導加熱ロールに
より190℃に加熱し、その両面に実施例2で得られた
幅20cmのロール状のフィルムBを、表面温度50℃
に調整された1対のシリコーンロールを用いてニップ長
が20mm、ライン速度20m/minの条件でラミネ
ートした後(ラミネート時間0.06秒)、1sec後
に氷水中に浸漬冷却してラミネート金属板を得た(ラミ
ネート条件:L−1)。なお、氷水中に浸漬して2se
c後には、ラミネート金属板は、20℃以下に冷却され
ていることを確認した。得られたラミネート金属板のフ
ィルムの特性を表3に示す。
した以外は、実施例10と同様にしてラミネート金属板
及び金属缶体を製造した。得られたラミネート金属板、
金属缶体の性能を表3及び4に示す。
る。 スチール−2:板厚0.24mm、板幅22cm、テン
パー度T−4のロール状のティンフリースチール。 アルミ:3004H19材、板厚0.26mm、板幅2
2cm、リン酸−クロム酸塩系化成処理品。 L−2:誘導加熱ロールにより金属板温度を200℃、
シリコーンロールの表面温度を100℃とする以外はL
−1と同じ。
し、その両面に幅20cmのフィルムAを、表面温度が
120℃に調整された1対のシリコーンロールを用いて
ニップ長が20mm、ライン速度20m/minの条件
でラミネートした以外は実施例10と同様にしてラミネ
ート金属板及び2P缶胴部を得た。得られたラミネート
金属板及び金属缶体(内面)の性能を表5に示す。
のオーブン中に缶体を60min間保持し、フィルムの
結晶化を進めた以外は実施例19と同様にして缶を成形
した。得られた金属缶体の性能を表5に示す。
度を表5に示すように変更した以外は、実施例19と同
様の操作でラミネート金属板及び金属缶体を試作した。
また、比較例24においては、ラミネート時に、ラミネ
ート金属板を氷水中に浸漬して冷却せず、室温でそのま
ま放置した。その結果、シリコーンロールを通過して5
sec後の金属板の表面温度は100℃以上であり、フ
ィルムと金属板の接着性は不良であった。
50℃のオーブン中に30分間保持し、フィルムの結晶
化を進めた。ポリエステル(A)及びポリエステル
(B)の融点は変化が認められなかったが、フィルムの
融解熱の和〔ΔHm(A+B)〕は49.5J/gと増
加し、結晶化ピークも認められなかった。得られた金属
板を成形条件C−2及びC−3で、2P缶胴部を試作し
たが、胴部上部でのフィルムの剥離がみられた。
優れ、高結晶化度であっても金属板と熱圧着可能であ
り、しかも、金属板に熱圧着する際の加工条件が変動
してもラミネート金属板の品質が変化し難く、さらに、
比較的低温で熱圧着可能な金属板ラミネート用フィル
ムを提供することが可能となる。そして、高絞り比缶
の製造が可能なラミネート金属板が得られ、さらには、
フィルムの高結晶化度が保持されているためフレーバ
ー性に優れ、しかも、耐衝撃性に優れた金属缶体を提
供することができる。特に、本発明よれば、200℃以
下の温度でもラミネートは可能であり、しかも条件幅が
非常に広いため、特別の設備や装置等を必要とせず、し
かも、得られるラミネート金属板の品質が変動し難いと
いう長所を有し、経済効果が極めて大きい。
昇温して得られたDSCチャートの一例である。
昇温し、190℃に達した時点で直ちに50℃/min
の速度で25℃まで降温する。そして25℃で3min
保持した後に、再度、20℃/minで280℃まで昇
温して得られたDSCチャートである。
Claims (6)
- 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート又はこれを
主体とする極限粘度が0.50〜0.90のポリエステ
ル(A)10〜55重量%と、ポリブチレンテレフタレ
ート又はこれを主体とする極限粘度が0.60以上のポ
リエステル(B)90〜45重量%とからなるポリエス
テル樹脂組成物で構成されたフィルムであって、フィル
ムの面配向度が0.11〜0.16であり、かつ、フィ
ルムの熱特性が下記の(a)〜(d)の条件を満足する
ことを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィ
ルム。 (a)ポリエステル(A)に由来する融点〔Tm
(A)〕が245〜253℃。 (b)ポリエステル(B)に由来する融点〔Tm
(B)〕が215〜221℃。 (c)フィルム中のポリエステル(A)及び(B)の結
晶部分に由来する融解熱の和〔ΔHm(A+B)〕が3
5〜45J/g。 (d)フィルムを20℃/minで昇温したときの結晶
化開始温度Tcが100〜190℃であり、かつ、結晶
化熱(ΔHc)が2〜10J/g。 - 【請求項2】 請求項1に示した配合割合のポリエステ
ル(A)とポリエステル(B)からなる樹脂組成物を、
Tダイを備えた押出機を用いて、温度230〜280℃
で溶融し、Tダイよりシート状に押出し、キャスティン
グロール上に密着させて急冷して得られた未延伸シート
の両端を把持し、40〜100℃で予熱した後、50〜
120℃で縦及び横方向にそれぞれ2〜4倍の延伸倍率
で同時2軸延伸した後、80〜180℃で熱固定するこ
とを特徴とする請求項1記載の金属板ラミネート用ポリ
エステルフィルムの製造方法。 - 【請求項3】 請求項1記載のフィルムを金属板の少な
くとも片面に積層したフィルムラミネート金属板であっ
て、ラミネート金属板中のフィルムが下記の熱特性を有
することを特徴とするフィルムラミネート金属板。 (a1)ポリエステル(A)に由来する融点が245〜
253℃。 (b1)ポリエステル(B)に由来する融点が215〜
221℃。 (c1)ポリエステル(A)及び(B)の結晶部分に由
来する融解熱の和〔ΔHm(A+B)〕が35〜48J
/g。 (d1)20℃/minで昇温した際に結晶化が認めら
れないか、あるいは、結晶化が起こっても結晶化熱(Δ
Hc)が2J/g未満。 - 【請求項4】 下記式(1)を満足する温度T(℃)の
金属板に下記式(2)を満足する時間S(sec)フィ
ルムを接触させた後、40℃/sec以上の速度でフィ
ルムのガラス転移温度以下まで冷却することを特徴とす
る請求項3記載のフィルムラミネート金属板の製造方
法。 (Tc+20℃)≦T≦{Tm(B)−10℃} (1) (36/T)−0.14≦S≦(800/T)−3 (2) - 【請求項5】 請求項3記載のラミネート金属板を少な
くとも一部に用いた金属缶体であって、金属缶体中のフ
ィルムの熱特性が下記の条件を満足することを特徴とす
る金属缶体。 (a2)ポリエステル(A)に由来する融点が245〜
253℃。 (b2)ポリエステル(B)に由来する融点が215〜
221℃。 (c2)ポリエステル(A)及び(B)の結晶部分に由
来する融解熱〔ΔHm(A+B)〕が35〜50J/
g。 (d2)20℃/minで昇温した際に結晶化が認めら
れないか、あるいは、結晶化が起こっても結晶化熱(Δ
Hc)が2J/g未満。 - 【請求項6】 フィルム中のオリゴマー含有量が1.3
重量%以下である請求項5記載の金属缶体。
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JP26898896A JP3247053B2 (ja) | 1996-10-09 | 1996-10-09 | 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法 |
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JPH10110046A true JPH10110046A (ja) | 1998-04-28 |
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