JP2002212401A - 金属ラミネート用ポリエステルフィルム、ラミネート金属板および金属容器 - Google Patents

金属ラミネート用ポリエステルフィルム、ラミネート金属板および金属容器

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JP2002212401A
JP2002212401A JP2001005077A JP2001005077A JP2002212401A JP 2002212401 A JP2002212401 A JP 2002212401A JP 2001005077 A JP2001005077 A JP 2001005077A JP 2001005077 A JP2001005077 A JP 2001005077A JP 2002212401 A JP2002212401 A JP 2002212401A
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melting point
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Madoka Inagaki
まどか 稲垣
Yukiko Inui
由起子 乾
Mikio Kusunoki
幹夫 楠
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属板との熱ラミネート性、成形性、耐食
性、味特性等に優れた金属ラミネート用ポリエステルフ
ィルムを提供する。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレート又はこれを
主体とするポリエステル(A)10〜60質量%と、ポ
リブチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエ
ステル(B)90〜40質量%とからなるフィルムであ
って、ポリエステル(A)由来の融点が245℃以上、
ポリエステル(B)由来の融点が215℃以上であり、
カルボキシル末端基濃度が25当量/トン以下であるこ
とを特徴とする金属ラミネート用ポリエステルフィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板との熱ラミ
ネート性、成形性、耐食性、味特性等に優れた金属ラミ
ネート用ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、食品や飲料用の包装には、スチー
ル缶やアルミ缶等の金属缶が大量に使用されている。こ
れらの金属缶は、内容物の風味、耐腐蝕性及び印刷性等
を付与するために、缶表面に熱硬化性樹脂を主成分とす
る溶剤型塗料を塗布して用いられてきた。しかし、この
ような方法は、生産性が悪いというだけでなく、環境汚
染の問題等もあり、近年、二軸延伸されたプラスチック
フィルムあるいはこれをベースとしたヒートシール可能
な積層フィルムを、鋼板又はアルミ板等の金属板(メッ
キ等の表面処理を施したものを含む)にラミネートし、
そのラミネート金属板を成形加工する方法が提案されて
いる。
【0003】金属板にラミネートする方法としては、プ
ラスチックフィルムあるいは金属板の少なくとも一方に
予め接着層を設けておき熱接着させる方法や、熱接着性
のプラスチックフィルムを用いて金属板と熱圧着させる
方法等がある。前者の方法では、味特性や耐衝撃性、省
エネルギーの点で問題があり、後者の方法を用いれば、
それらは解決され、生産性も向上する。
【0004】上記のような金属板ラミネート用ポリエス
テルフィルムにおいては、熱圧着性、加工性を向上させ
る目的で、他の成分を共重合したり配合することにより
フィルムの結晶化度を低下させたりするが、レトルト処
理等の高温処理の際に、フィルム中の低分子量物が内容
物に移行し、風味が損なわれたり、変色したりすること
があり、また、結晶化が起こり、剥離やクラックの発
生、白化という問題が生じたりしていた。
【0005】これらを解決する方法として、特開平5−
339348号公報には、融点、ガラス転移点温度、末
端カルボキシル基濃度を規定した共重合ポリエステルか
らなる金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム
が、特開平7−304885号公報には、融点、ガラス
転移温度、末端カルボキシル基濃度の異なる共重合ポリ
エステルを積層した金属板貼合せ成形加工用ポリエステ
ルフィルムが、また特開平7−68725号公報には、
金属に熱ラミネート被覆し、製缶した後の末端カルボキ
シル基濃度およびレトルト処理によって抽出される低分
子量物の量を規定した共重合成分が10〜40モル%で
あるポリエステルからなる金属ラミネート用ポリエステ
ルフィルムが開示されている。
【0006】また、本発明者らも、特開平10−195
210号公報において、特定の極限粘度を有するポリエ
チレンテレフタレート系樹脂とポリブチレンテレフタレ
ート系樹脂とを配合した組成物からなり、特定の面配向
度、熱特性を有する金属板ラミネート用ポリエステルフ
ィルムを提供している。
【0007】しかし、特に、高度な成形性、ラミネート
性、味特性等が要求される用途では、不十分な場合があ
り、また、耐食性、耐衝撃性等の長期間の安定性に関し
ても改良が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、金属
板との熱ラミネート性、成形性、耐食性、味特性等に優
れた金属ラミネート用ポリエステルフィルムを提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体と
するポリエステル(A)とポリブチレンテレフタレート
又はこれを主体とするポリエステル(B)とを特定の割
合で混合したポリエステル組成物からなる特有の性能を
有するフィルムを用いることにより、上記課題が解決で
きることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発
明の要旨は、次の通りである。 (1)ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とす
るポリエステル(A)10〜60質量%と、ポリブチレ
ンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステル
(B)90〜40質量%とからなるフィルムであって、
ポリエステル(A)由来の融点が245℃以上、ポリエ
ステル(B)由来の融点が215℃以上であり、カルボ
キシル末端基濃度が25当量/トン以下であることを特
徴とする金属ラミネート用ポリエステルフィルム。 (2)(1)記載のフィルムが金属板に直接、または接
着層を介して積層されていることを特徴とするフィルム
ラミネート金属板。 (3)(2)記載のフィルムラミネート金属板を成形し
てなることを特徴とするフィルムラミネート金属容器。 (4)ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とす
るポリエステル(A)10〜60質量%と、ポリブチレ
ンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステル
(B)90〜40質量%とからなるフィルムであって、
金属板に熱ラミネート被覆、成形した後の、ポリエステ
ル(A)由来の融点が245℃以上、ポリエステル
(B)由来の融点が215℃以上であり、カルボキシル
末端基濃度が30当量/トン以下であることを特徴とす
る金属ラミネート用ポリエステルフィルム。 (5)金属板に熱ラミネート被覆、成形し、純水中で、
121℃、120分のレトルト処理を行った後のポリエ
ステル(A)由来の融点が245℃以上、ポリエステル
(B)由来の融点が215℃以上であり、カルボキシル
末端基濃度が30当量/トン以下であることを特徴とす
る(4)記載の金属ラミネート用ポリエステルフィル
ム。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明におけるポリエステル(A)は、テレフタ
ル酸成分とエチレングリコール成分とを主成分として溶
融重縮合反応されたものであり、あるいは引き続いて固
相重合されたものでもよく、極限粘度は0.50〜0.
90であることが好ましい。さらに好ましくは0.55
〜0.85である。極限粘度が0.50未満では、実用
に供することのできる機械的強度を有したフィルムが得
られず、0.90を超えると成形加工性が損なわれる。
【0011】ポリエステル(A)としては、本発明の効
果が損なわれない範囲で、適宜、他の成分を共重合して
もよい。共重合成分としての酸成分としては、イソフタ
ル酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジ
カルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、(無水)
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メ
サコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)ヘキサヒド
ロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の脂環族ジカルボ
ン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、p−ヒドロキシ
安息香酸、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、ε−カプロラク
トン等のヒドロキシカルボン酸や、(無水)トリメット
酸、トリメシン酸、(無水)ピロメリット酸等の多官能
カルボン酸を挙げることができる。また、共重合成分と
してのアルコール成分としては、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等
の脂環族ジオール、ビスフェノールAやビスフェノール
Sのエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加
物等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、グリ
セリン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコール等
を挙げることができる。これらの共重合成分は、2種以
上併用してもよい。
【0012】ポリエステル(A)の製造方法としては、
特に限定されることはなく、公知の方法を適用すること
ができる。たとえば、ビス(β−ヒドロキシエチル)テ
レフタレート及びその低重合体の存在するエステル化反
応槽に、テレフタル酸とエチレングリコール及び必要に
応じて他の共重合成分のスラリーを連続的に供給し、温
度250℃で3〜8時間程度反応させて、エステル化反
応率95%付近のエステル化物を連続的に得る。次い
で、これを重合缶に移送し、二酸化ゲルマニウム、三酸
化アンチモン等の触媒の存在下に、1.3hPa以下の
減圧下、温度250〜280℃で所望の極限粘度のポリ
エステルが得られるまで溶融重縮合反応を行えばよい。
【0013】本発明におけるポリエステル(B)は、テ
レフタル酸成分と1,4−ブタンジオール成分とを主成
分として溶融重縮合反応されたものであり、あるいは引
き続いて固相重合されたものでもよく、極限粘度は0.
60以上であることが好ましく、0.80〜2.0であ
ることがさらに好ましい。極限粘度が0.60未満で
は、実用に供することのできる機械的強度を有したフィ
ルムが得られず、上限については特に限定されないが、
原料ポリエステル樹脂及びフィルムの生産性の面で2.
0以下であることが好ましい。また、ポリエステル
(B)としては、本発明の効果が損なわれない範囲で、
適宜、ポリエステル(A)と同様の他の成分を共重合し
てもよい。
【0014】ポリエステル(B)の製造方法としては、
公知の方法を適用することができる。たとえば、ジメチ
ルテレフタレートと1,4−ブタンジオール及び必要に
応じて他の共重合成分とをエステル交換反応槽に仕込
み、温度230℃で5時間程度反応させて、エステル交
換反応率95%付近のエステル化物を得る。次いで、こ
れを重合缶に移送し、テトラ−n−ブチルチタネート、
テトライソプロピルチタネート等の触媒の存在下に、
1.3hPa以下の減圧下、温度220〜250℃で所
望の極限粘度のポリエステルが得られるまで溶融重縮合
反応を行えばよい。
【0015】本発明のポリエステルフィルムは、ポリエ
ステル(A)10〜60質量%と、ポリエステル(B)
90〜40質量%とからなることが必要であり、好まし
くはポリエステル(A)が30〜50質量%、ポリエス
テル(B)が70〜50質量%である。ポリエステル
(A)の配合割合が10質量%未満の場合、得られるフ
ィルムの成形加工性が劣ったものとなり、耐衝撃性も劣
る。また、60質量%を超えると、金属板と低温で熱圧
着させ、かつフィルムの高結晶化度を保持させることが
困難となる。結晶化度を高くするために、金属板との熱
圧着後、あるいは、缶体を製造した後に加熱した場合に
は、球晶が生長してフィルムが白化したり、ミクロクラ
ックが発生して剥離が起こりやすく、実用に供すること
が困難となる。
【0016】本発明のフィルムには、シリカ、アルミ
ナ、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バ
リウム等の無機粒子、もしくはシリコーン等の有機粒子
から選ばれた1種もしくは2種以上を併用して添加して
もよい。添加する粒子の平均粒径は好ましくは1.0〜
5.0μm以下、さらに好ましくは2.0〜4.0μm
以下がよく、添加量は好ましくは0.01〜0.20質
量%、さらに好ましくは0.02〜0.10質量%がよ
い。粒径の異なる粒子を2種類以上併用してもよい。こ
のように、粒子を添加することにより、フィルム表面に
スリップ性を付与させ、フィルム製造時や金属板との熱
圧着時の工程通過性を改善させることができる。また、
二酸化チタン、硫酸バリウム、シリコーン化合物を添加
して隠蔽性を付与し、金属缶体の外観あるいは金属缶体
に対する印刷性を向上させることができる。
【0017】さらに、必要に応じてフィルムの性能に影
響を与えない範囲で、例えば、着色剤、酸化防止剤、帯
電防止剤、消泡剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等各種
添加剤を添加することができる。
【0018】本発明において、ポリエステル(A)とポ
リエステル(B)の混合方法は特に限定されず、ブレン
ドした原料チップを同一の押出機で溶融混合する方法、
各々別々の押出機で溶融させた後に混合する方法等が挙
げられる。溶融混合条件として、高い溶融温度下もしく
は高剪断下で長時間混合した場合には、エステル交換反
応や分解反応が進行して、混合物の特性が変化すること
がある。
【0019】本発明のフィルムは、厚みが5〜100μ
m、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは10
〜35μmである。厚みが5μm未満では、加工時に破
れ等が生じやすくなり、100μmを超えても、過剰品
質となり不経済である。
【0020】本発明のフィルムは、ポリエステル(A)
由来の融点が、245℃以上であることが必要である。
245℃未満の場合、成形性が劣ったものとなる。また
同様に、ポリエステル(B)由来の融点が、215℃以
上であることが必要である。215℃未満の場合、フィ
ルムの耐熱性が低下し、成形性や耐衝撃性が劣ったもの
となる。また、金属板に熱ラミネート被覆、成形した後
においても、上記の融点を有することが必要である。
【0021】本発明のフィルムのカルボキシル末端基濃
度は25当量/トン以下であることが必要である。また
金属板にラミネート被覆、成形した後においては30当
量/トン以下であり、好ましくは27当量/トン以下、
さらに好ましくは25当量/トン以下であることが必要
である。また、純水中で、121℃、120分のレトル
ト処理を行った後のフィルムにおいては、カルボキシル
末端基濃度は30当量/トン以下であることが好まし
い。好ましくは27当量/トン以下である。カルボキシ
ル末端基濃度が上記値を超えると、オリゴマー等の低分
子量物の溶出量が増加し、味特性に劣ったものとなる。
また、長期間保存した場合、耐食性、耐衝撃性に劣った
ものとなる。
【0022】カルボキシル末端基濃度を制御する方法と
しては、特に限定されないが、原料ポリエステルとし
て、カルボキシル末端基濃度が低い樹脂を用いる方法、
通常より低い溶融押出温度で製膜する方法、溶融押出し
する際に、アルコール化合物、カルボジイミド化合物、
エポキシ化合物、オキサゾリン化合物等の末端封鎖剤の
少なくとも1種を添加する方法等が挙げられる。本発明
のフィルムの場合、理由は定かではないが、ポリブチレ
ンテレフタレート系樹脂のカルボキシル末端基濃度を低
くすることにより、得られたフィルムのカルボキシル末
端基濃度を低下させることができる。特に、ポリブチレ
ンテレフタレート系樹脂において、カルボキシル末端基
濃度が10当量/トン以下のものを使用した場合、顕著
な効果が発現される。
【0023】本発明のフィルムの製造方法としては、特
に限定されることはないが、例えば、フラット式もしく
はチューブラー式製膜法等の公知の方法により製造する
ことができるが、フラット式の方が好ましい。また、延
伸方法としては、逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法等に
より製造することができるが、同時二軸延伸法の方が物
性、操業性の点から好ましい。
【0024】フラット式二軸延伸法によりフィルムを製
造する場合には、例えば、本発明における配合割合のポ
リエステル樹脂組成物を、Tダイを備えた押出機を用い
て、温度230〜280℃で溶融し、Tダイよりシート
状に押出し、これを40℃以下に温度調節されたキャス
ティングロール上に密着させて急冷し、所望の厚みの未
延伸シートを得る。なお、原料の樹脂組成物の混合を十
分にするために、予め溶融混練したものを用いてもよ
い。次いで、未延伸シートをクリップで両端を把持して
シート上下面より40〜100℃の熱風を吹き付けて予
熱し、50〜150℃の雰囲気下で縦及び横方向にそれ
ぞれ2〜4倍程度に同時又は逐次二軸延伸する。その
後、縦方向及び/又は横方向の弛緩率を数%として、8
0〜220℃で数秒間熱処理してフィルムを熱固定した
後、室温まで冷却し、20〜300m/minの速度で
巻き取って所望の厚みのフィルムとする。延伸温度が5
0℃未満では延伸応力が高くなり、ネッキングが発生
し、150℃を越えると溶断したり、フィルムの結晶化
が進んで白化する。延伸後の熱処理方法としては、従来
公知の方法を採用することができ、例えば、延伸フィル
ムに熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マ
イクロ波を照射する方法等が挙げられるが、均一に精度
良く加熱できる点で熱風を吹き付ける方法が好適であ
る。また、延伸工程から熱固定工程の中間に熱緩衝帯を
設けてもよい。
【0025】本発明のフィルムを、金属板にラミネート
する方法は、特に限定されないが、金属板上に溶融押出
・積層する方法(押出ラミネーション法)、フィルムと
金属板を熱や接着剤によりラミネートする方法等が挙げ
られる。
【0026】例えば、フィルムと金属板を熱によりラミ
ネートする方法を具体的に説明する。金属板を予め所定
温度まで予熱しておき、これとフィルムとを温度制御可
能なロールによって圧接して熱圧着させた後、室温まで
冷却することにより連続的に製造される。金属板の加熱
方法としては、ヒーターロール伝熱方式、誘導加熱方
式、抵抗加熱方式、熱風伝達方式等があげられ、特に、
設備費及び設備の簡素化を考慮した場合、ヒーターロー
ル伝熱方式が好ましい。また、ラミネート後の冷却方法
については、水等の冷媒中に浸漬する方法や冷却ロール
と接触させる方法を用いることができる。フィルムと金
属板をラミネートする温度は、フィルムの有する結晶部
分を実質的に崩さない、ポリエステル(B)由来の融点
以下の温度で、具体的には180〜190℃の比較的低
温でも熱圧着できる。特に、高絞り比の絞り成形や絞り
しごき成形を施す場合には、フィルムと金属板との接着
性及び成形加工性を向上させるために、フィルムの一部
又は全体を非晶化させてもよい。
【0027】また、接着剤を介して金属板にラミネート
する場合は、共押出法やラミネート加工、あるいはコー
ティング加工により、接着層を設けることができる。接
着層は、乾燥膜厚で2.0μm以下が好ましい。接着層
としては、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリエステルポリウレタン系樹脂、イ
ソシアネート系樹脂等、あるいはそれらの各種変性樹脂
を挙げることができる。接着層は、通常、部分硬化状態
でフィルムに形成しておき、金属板にラミネートした状
態で完全硬化させるようにするのがよい。
【0028】本発明のフィルムをラミネートする金属板
としては、シート状又は帯状の鋼板及びアルミニウム
板、あるいはそれらの表面に種々のメッキ処理や化成処
理を施したものが好適である。表層にクロム水和酸化物
皮膜を有したものは、フィルムとの接着性が優れる。特
に、下層が金属クロム、上層がクロム水和酸化物の二層
構造をもつティンフリースチール(TFS)が好まし
く、さらに鋼板表面に錫、ニッケル、亜鉛、アルミニウ
ム等の一種又は二種以上の複層メッキ、合金メッキを施
し、その上層に上記の二層構造を持つ皮膜、あるいはク
ロム水和酸化物皮膜を形成させたもの、アルミニウムに
電解クロム酸処理、浸漬クロム酸処理等を施し、表層に
クロム水和酸化物皮膜を形成させたもの等を用いること
ができる。
【0029】本発明のフィルムをラミネートした金属板
を用いて、金属容器を製造することができる。金属容器
としては、飲食料を充填して使用に供することができ得
る形態にまで加工処理が施された金属容器、及びその一
部分、例えば、巻き締め加工が可能な形状に成形された
缶蓋や、厳しいネックイン加工が施される3ピース缶の
缶胴部材や、絞りしごき加工によって製造される2ピー
ス缶の缶胴部材、実質的にしごき加工を施さずに絞り加
工のみで胴高が10cm以上の缶体等が挙げられる。
【0030】金属容器を製造する際には、通常、室温〜
(フィルムのガラス転移温度+30℃)の温度で加工処
理が施されるが、必要に応じて、さらに熱処理を加えて
フィルムの結晶化を進めてもよい。例えば、フィルムの
ガラス転移温度〜(ポリエステルB由来の融点−20
℃)の温度で、数秒から30分程度の熱処理を施すこと
により結晶化を進行させることができる。この処理工程
を、後の加工工程である胴外面の印刷、トップコートの
乾燥、焼き付け加工工程において代用することもでき
る。
【0031】また、金属板と熱圧着するフィルムの反対
面には、金属缶体の外観や印刷性を向上させたり、耐熱
性や耐レトルト性等を向上させる目的で、1種もしくは
2種以上の樹脂層を設けることができる。これらの層
は、共押出法やラミネート加工あるいはコーティング加
工により設けることができる。
【0032】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を具体的に説明
するが、必ずしもこれに限定されるものではない。本発
明における評価方法は以下の通りである。
【0033】1.極限粘度[η] フィルムを200mg採取し、フェノール/1,1,
2,2−テトラクロロエタンの等質量混合溶媒40ml
に溶解させ、20℃で測定した(単位はdl/g)。
【0034】2.融点 フィルムを10〜12mg採取し、パーキンエルマー社
製DSC−7を用いて、昇温速度10℃/minの条件
で測定した。なお、ポリエステル(A)およびポリエス
テル(B)に由来する融点は、それぞれの融解ピークの
ピークトップの温度とした。
【0035】3.カルボキシル末端基濃度 フィルムを150mg採取し、ベンジルアルコール10
mlに加熱溶解させた後、クロロホルム10mlに加
え、0.1N−KOHベンジルアルコールで滴定した
(単位は当量/トン)。
【0036】4.熱ラミネート性 ラミネート金属板から幅18mmの短冊状の試験片(端
部はラミネートせず、ラミネートされた部分がMD方向
に8cm以上確保されるようにする)をTD方向に10
枚切り出し、この試験片のフィルム面に、JIS Z−
1522に規定された粘着テープを貼り付け、島津製作
所製のオートグラフで、10mm/minの速度で18
0゜剥離試験を行い、その剥離強力を測定した。剥離強
力が2.9N以上であるか、または2.9N以上でフィ
ルムが破断した試験片が6枚以上あった場合を○、5枚
以下の場合を×とした。
【0037】5.成形性 ラミネート金属板のフィルム側を缶胴内面として、50
0ml相当の深絞り成形を行い、さらに硫酸銅水溶液に
浸漬し、金属が腐食されていないものを○、腐食が認め
られたものを×とした。
【0038】6.保味保香性 上記深絞り成形品に、蒸留水500mlを充填し、市販
のアルミEO蓋を巻き締めて密封し、125℃、30分
間、レトルト処理を行った。次に、室温まで冷却した後
に、内容物をパネラー30人に試飲してもらい、にお
い、味覚等が蒸留水と違いがないかを判断してもらっ
た。両者の違いを感知した人が5人未満の場合を○、5
人以上の場合は×とした。
【0039】7.耐食性 深絞り成形品に、クエン酸、リンゴ酸、塩化ナトリウム
を各3質量%含有する水溶液を充填し、市販のアルミE
O蓋を巻き締めて密封し、121℃、120分間レトル
ト処理を行った後、60℃で3ヶ月間保存した。錆が発
生していないものを○、錆が認められたものを×とし
た。
【0040】8.耐衝撃性 上記保存試験が行われた成形品の胴面に、高さ50cm
の高さから1kgのおもり(先端は直径1/2inch
の球面)を落下させ、そのフィルム部分を硫酸銅水溶液
に浸して、金属が腐食されていないものを○、腐食が認
められたものを×とした。
【0041】実施例1 表1に示した組成でドライブレンドした原料を、押出機
を用いて275℃でシート状に溶融押出し、表面温度1
8℃の冷却ドラムに密着させて冷却し、厚さ240μm
の未延伸シートを得た。得られた未延伸シートの端部を
テンター式同時二軸延伸機のクリップに把持し、温度6
0℃で予熱し、80℃で縦3.0倍、横3.3倍で同時
二軸延伸を行った。その後、横方向の弛緩率を5%と
し、温度150℃で熱処理を行った後、冷却して巻き取
り、厚さ25μmの金属ラミネート用ポリエステルフィ
ルムを得た。200℃に加熱した金属ロールと、100
℃に調整されたシリコンゴムロールとの間に、得られた
フィルムとティンフリースチール板(厚み0.21m
m)とを重ね合わせて供給し、速度20m/min、線
圧4.9×104N/mで加熱圧着し、2sec後に氷
水中に浸漬し、冷却してラミネート金属板を得た。得ら
れたラミネート金属板のフィルム側を内面として500
ml相当の深絞り成形を行った。それぞれの性能を、表
1に示す。
【0042】実施例2〜3、比較例1〜3 実施例1に準じて、表1に示す条件でフィルム、ラミネ
ート金属板、深絞り缶を得た。性能を表1に示す。
【0043】実施例1〜3では、密着性、成形性、味特
性、耐食性、耐衝撃性に優れたものが得られた。しか
し、比較例1では密着性、成形性の劣ったもの、比較例
2では成形性の劣ったもの、比較例3では、味特性、耐
食性及び耐衝撃性に劣ったものしか得られなかった。
【0044】実施例4 表1に示した組成でドライブレンドした原料を、押出機
を用いて275℃でシート状に溶融押出し、表面温度1
8℃の冷却ドラムに密着させて冷却し、厚さ240μm
の未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを、温度
50℃で予熱し、60℃で縦方向3.0倍に延伸し、続
いて、端部をテンター式横延伸機のクリップに把持し、
温度80℃で横方向3.3倍に延伸を行った。その後、
横方向の弛緩率を5%とし、温度150℃で熱処理を行
った後、冷却して巻取り、厚さ25μmの逐次二軸延伸
フィルムを得た。得られたフィルムを用いて、実施例1
と同様に、ラミネート金属板、深絞り缶を得た。それぞ
れの性能を表1に示す。
【0045】実施例5〜6、比較例4〜7 実施例4に準じて、表1に示す条件でフィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、実施例1と同様にラミネー
ト金属板、深絞り缶を得た。性能を表1に示す。実施例
4〜6では、密着性、成形性、味特性、耐食性、耐衝撃
性に優れたものが得られた。しかし、比較例4〜5では
成形性の劣ったもの、比較例6では、味特性、耐食性、
耐衝撃性に劣ったものしか得られなかった。比較例7で
は、耐食性、耐衝撃性に劣ったものしか得られなかっ
た。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、金属板との熱ラミネー
ト性、成形性、耐食性、味特性等に優れた金属ラミネー
ト用ポリエステルフィルムを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 65/40 B65D 65/40 D C08J 5/18 C08J 5/18 Fターム(参考) 3E061 AA15 AB15 3E086 AB01 BA04 BA13 BA15 BB77 CA01 CA11 4F071 AA45 AA46 AA80 AA84 AH05 BB08 BC01 4F100 AB01A AB03 AK42B AL05B BA02 BA07 CB00G DA01 DA20 EC03 EJ19 EJ38 EJ42 GB16 JA04B JB02 JK10 JL01 JL02 JL11 YY00B 4J002 CF06W CF07X FD010 GF00 GG01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート又はこれを
    主体とするポリエステル(A)10〜60質量%と、ポ
    リブチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエ
    ステル(B)90〜40質量%とからなるフィルムであ
    って、ポリエステル(A)由来の融点が245℃以上、
    ポリエステル(B)由来の融点が215℃以上であり、
    カルボキシル末端基濃度が25当量/トン以下であるこ
    とを特徴とする金属ラミネート用ポリエステルフィル
    ム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフィルムが金属板に直
    接、または接着層を介して積層されていることを特徴と
    するフィルムラミネート金属板。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のフィルムラミネート金属
    板を成形してなることを特徴とするフィルムラミネート
    金属容器。
  4. 【請求項4】 ポリエチレンテレフタレート又はこれを
    主体とするポリエステル(A)10〜60質量%と、ポ
    リブチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエ
    ステル(B)90〜40質量%とからなるフィルムであ
    って、金属板に熱ラミネート被覆、成形した後の、ポリ
    エステル(A)由来の融点が245℃以上、ポリエステ
    ル(B)由来の融点が215℃以上であり、カルボキシ
    ル末端基濃度が30当量/トン以下であることを特徴と
    する金属ラミネート用ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 金属板に熱ラミネート被覆、成形し、純
    水中で、121℃、120分のレトルト処理を行った後
    の、ポリエステル(A)由来の融点が245℃以上、ポ
    リエステル(B)由来の融点が215℃以上であり、カ
    ルボキシル末端基濃度が30当量/トン以下であること
    を特徴とする請求項4記載の金属ラミネート用ポリエス
    テルフィルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005314542A (ja) * 2004-04-28 2005-11-10 Teijin Dupont Films Japan Ltd 金属貼合せ成形加工用フィルム
JP2006015718A (ja) * 2004-05-31 2006-01-19 Teijin Dupont Films Japan Ltd 金属貼合せ成形加工用積層フィルム

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