JP2001322617A - 耐熱性容器 - Google Patents

耐熱性容器

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JP2001322617A JP2000140704A JP2000140704A JP2001322617A JP 2001322617 A JP2001322617 A JP 2001322617A JP 2000140704 A JP2000140704 A JP 2000140704A JP 2000140704 A JP2000140704 A JP 2000140704A JP 2001322617 A JP2001322617 A JP 2001322617A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエチレンテレフタレートを主体とするポ
リエステル樹脂製容器において、耐熱性及び透明性に優
れていると共に、高速生産に対応可能な容器を提供する
にある。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレートを主たる構
成成分とするポリエステル製シートを成形して得られる
容器であって、延伸による配向結晶を有し、下記式
(1) C=(ΔHm−ΔHc)/ΔHm …(1) 式中、ΔHmは示差走査熱量計(DSC)により測定さ
れる融解吸熱量であり、ΔHcは示差走査熱量計(DS
C)により測定される結晶化発熱量である、で定義され
る結晶化傾向(C)が、容器の側壁部において実質上1
であることを特徴とする耐熱性容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエチレンテレフタ
レートを主体とするポリエステル樹脂から成る耐熱性容
器に関し、より詳細には、高温充填による耐熱変形性に
優れると共に、透明性にも優れた耐熱性容器に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート樹脂(PE
T樹脂)は、ポリオレフィン樹脂やポリスチレン樹脂等
と比較して、透明性に優れると共に原料コストが低く、
またリサイクルルートが確立されていることから、食
品、飲料等の容器として広く利用されている。しかしな
がら、PET樹脂は材料そのものに耐熱性がないため、
ホットパック等の高温充填に付される用途においては収
縮変形するおそれがあり、その耐熱性を向上させる必要
がある。PET樹脂から成る成形体の耐熱性を向上する
方法としては、従来より成形体の結晶化度を高めること
が提案されている。例えば、特公平4−36534号公
報には、容器の底部及び側部の結晶化度が20%以上
で、蓋材との熱接着部分(フランジ部)が20%未満で
あるポリエステル容器が記載されており、この容器は、
オーブナブルトレイなどとして有用なことも記載されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、加熱
可塑化された非晶質のポリエステルシートを、結晶化温
度に維持された金型を用いて、トレイ等に成形し、底部
及び/又は側部を熱結晶化させるものであるが、上記ポ
リエステル樹脂から成る容器においては、未延伸の状態
で分子配向させることなく熱結晶化を促進しているた
め、ポリエステル樹脂の最大の特徴である透明性を容器
に付与できず、また脆性破壊を起こしやすく、充分な落
下強度を得ることができない。また成形体の熱結晶化の
みによって結晶化度を向上しているため、成形に要する
時間が長く、高速生産は困難であり、生産性に劣るとい
う欠点もある。
【0004】従って、本発明の目的は、ポリエチレンテ
レフタレートを主体とするポリエステル樹脂製容器にお
いて、耐熱性及び透明性に優れていると共に、高速生産
に対応可能な容器を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ポリエ
チレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエス
テル製シートを成形して得られる容器であって、延伸に
よる配向結晶を有し、下記式(1) C=(ΔHm−ΔHc)/ΔHm …(1) 式中、ΔHmは示差走査熱量計(DSC)により測定さ
れる融解吸熱量であり、ΔHcは示差走査熱量計(DS
C)により測定される結晶化発熱量である、で定義され
る結晶化傾向(C)が、容器の側壁部において実質上1
であることを特徴とする耐熱性容器が提供される。
【0006】この耐熱性容器においては、下記式(2) U=H(010)/H(−110) …(2) 式中、H(010)はX線回折で測定される面指数(0
10)の回折強度であり、H(−110)はX線回折で
測定される面指数(−110)の回折強度である、で定
義される配向化傾向(U)が容器の側壁部において、
1.05以上であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施形態】本発明の耐熱性容器は、ポリエチレ
ンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル
製シートを、後述するようなプラグアシスト圧空成形乃
至真空成形に付して成るものであり、フランジ部及びボ
トム部を除く容器の側壁部のほぼ全てが配向結晶化され
ていることにより、耐熱性を向上することを特徴とする
ものである。
【0008】添付図面の図1は、本発明の耐熱性容器1
を示し、上方からフランジ部2,側壁部の上方に設けら
れたスタッキング部3、側壁部4及びボトム部5から成
っている。図2は、本発明の耐熱性容器についての示差
走査熱量曲線であり、横軸が温度及び縦軸が熱流量を示
しており、吸熱ピークは上向きに凸のピークとして、発
熱ピークは下向きに凸のピークとして示されている。一
般に示差走査熱量計においては、結晶を溶融などにより
消失させるときは吸熱し吸熱ピークとして、また非晶質
状態から結晶化させるときには発熱し発熱ピークとして
観察される。本発明の耐熱性容器においては、図2に示
す未結晶化部分が結晶化するときの結晶化発熱量ΔHc
と、全体のサンプルが溶融するときの融解吸熱量である
ΔHmにおいて、上記式(1)で示される結晶化傾向
(C)が実質上1であること、すなわち上記式(1)に
おいて結晶化発熱量ΔHcが可級的に小さいことを特徴
とし、これはフランジ部及びボトム部を除いた部分、す
なわち側壁部では未結晶化部分がなく、本発明の耐熱性
容器が高い結晶化傾向を有することを示している。尚、
この結晶化傾向(C)において実質上1であるとは、小
数点第一位を四捨五入した場合に1となる程度をいう。
【0009】上記式(1)を満足する本発明の容器が耐
熱性に優れたものであることは、充填温度と内容積変化
率との関係を示す図3から明らかである。すなわち、下
記式(3)、 で表される内容積変化率(%)は、充填を行った前後で
の内容積の変化の割合を表すものであり、この値が4%
以内にあれば実用上問題がないとされているが、図3に
示す本発明の耐熱性容器(プラグ温度135℃で成形)
においては、充填温度が90℃においても4%以下の内
容積変化率を有しており、ホットパック等の高温充填を
行った場合にも、収縮変形等が有効に防止され、耐熱性
が向上していることが明らかである。
【0010】また本発明の耐熱性容器1においては、フ
ランジ部2及びボトム部4を除いた部分の側壁部4は、
後述するプラグアシスト圧空乃至真空成形によって、配
向結晶し、また熱固定によって更に熱結晶されているこ
とにより、透明性に優れた耐熱性容器を得ることが可能
となる。すなわち、上記式(2)で表される配向化傾向
(U)が1.05以上であり、フランジ部を除いた部分
では顕著に配向されていることを示している。
【0011】図4は、本発明の耐熱性容器の一例(高さ
96mm)のボトム部からの所定高さ(45mm)の容
器胴部について求めたX線回折像であり、このX線回折
像によれば、本発明の容器胴部においては、前述した面
指数(010)に顕著な回折ピークが、また(−11
0)面に小さな回折ピークが現れる一方で、(100)
面に相当する回折ピークは測定されていない。一般に、
ポリエチレンテレフタレートの結晶構造は、三斜晶系で
あり、結晶ポリエチレンテレフタレートにおいて、面指
数(100)の面はベンゼン環を含む面であり、(01
0)面は(100)のベンゼン面とX軸及びY軸に直交
する関係にあり、(−110)面は(100)面のベン
ゼン面とY軸及びZ軸に直交する関係にある。
【0012】すなわち、このX線回折像によれば、ベン
ゼン面である(100)面が試料シート面にほぼ平行に
なっているため測定されないことを意味する。従って、
前記式(2)における配向化傾向(U)は、容器側壁の
PETのベンゼン面が胴部壁面と平行になっている程度
を表すものであり、この配向化傾向(U)が大きいと一
軸配向の程度が大きいことを意味している。そして、一
軸配向が顕著になると結晶化が高くなるため、本発明で
は、この配向化傾向(U)が1.05以上、特に1.2
0以上であることにより、胴部が高度に配向結晶され、
透明性及び落下衝撃に優れた耐熱性容器を提供すること
が可能となるのである。
【0013】本発明の耐熱性容器においては、容器の側
壁部のほぼ全てが結晶化され、しかも容器の側壁部のほ
とんどが配向されているため、耐熱性及び耐衝撃性、ま
た透明性に優れたものであるが、このような配向結晶化
傾向を有する容器を成形するには、プラグアシスト圧空
成形乃至真空成形に際して、ポリエステル製シートの温
度、プラグ温度及び金型温度を適正な温度範囲にすると
共に、ヒートセットのためにプラグをシート上に保持す
るプラグホールド時間、及びプラグ外面と金型内面との
クリアランス量を適正な範囲にする必要がある。
【0014】すなわち、本発明の耐熱性容器の製造方法
を説明するための、図5乃至9において、図5は、エア
シリンダー駆動のプラグ5及びクランプ金型6が金型7
上に設置されたシート8に降下する前のニュートラルな
状態を示す図である。プラグ5は、延伸成形されたカッ
プ全体にヒートセットをかけるためにフラットな底形状
を有しており、またプラグ5は、シート表面とのスティ
ックスリップ現象を防止するためにテフロン(登録商
標)コーティングされていることが好ましい。
【0015】図6は、クランプ金型6がプラグ5に先行
して降下し、シート8をクランピングする工程を示す図
である。図7は延伸工程及びヒートセット工程を示す図
であり、図7に示すように、プラグ5が降下して、シー
ト8を延伸しながら容器形状に成形し、その後プラグが
降下したままの状態を保持し、プラグによってヒートセ
ットを行う。このため、ポリエステル製シートは延伸温
度以上に、またプラグ温度はポリエステル製シートの結
晶化温度以上の温度に調節されていることが好ましく、
またプラグホールド時間は2秒以上であることが好まし
い。
【0016】図8は圧空工程を示す図であり、ヒートセ
ット終了後、圧空によって付形を行うが、本発明の耐熱
性容器においては、高温プラグにより既に熱固定が行わ
れているため、金型の温度はポリエチレン製シートのガ
ラス転移点以下の低い温度とすることが好ましく、これ
により、容器の外表面が金型に接触して冷却され、更に
付形が進むことになる。この際、プラグ外面と金型内面
とのクリアランスをシート厚の1/4〜5/6の範囲に
することが好ましい。図9は、離型工程を説明する図で
あり、プラグ5、クランプ金型6が、この順番で上昇し
て、離型が可能となり、金型から容器が取り出されるこ
とによって、本発明の耐熱性容器が完成する。
【0017】上述したように、プラグアシスト圧空乃至
真空成形では、シートはプラグによって容器軸方向に延
伸されて所望の形状の容器を成形した後、プラグは降下
したままの状態を保持してヒートセットを行う。その後
圧空によって金型に付形させることにより、容器が成形
される。この際、ポリエステル製シートの結晶化温度以
上に保持されたプラグによって延伸されたシートは配向
結晶化するため、透明性が保持されたまま結晶化度が上
昇する。またプラグが降下したままの状態を2秒以上保
持することにより、ヒートセットを促し、加工による成
形歪みを十分に緩和すると共に、結晶化を促進し、耐熱
性が向上される。更にプラグ外面と金型内面とのクリア
ランス量をシート厚の1/4〜5/6の範囲にすること
により、圧空による金型への付形によって生じる成形歪
みを最小限に抑制でき、容器の高温充填時の変形量を抑
えることが可能となるのである。
【0018】図10及び図11は、プラグ温度又はプラ
グホールド時間と、上記式(3)で示す内容積変化率
(%)との関係をそれぞれ示す図である。この図10及
び図11によれば、プラグ温度が高いほど、またプラグ
ホールド時間が2秒以上であることにより、内容積変化
率が小さく、熱による変形が小さい、すなわち耐熱性が
向上していることが理解される。
【0019】本発明の耐熱性容器はカップの高さ(H)
とカップ外口径(D)の比H/Dが1.3以上であるこ
とが特に好ましい。すなわち、本発明の耐熱性容器の各
部位における結晶化傾向(C)の関係を示す図12にお
いて、H/D=1.4の容器はボトム部においても結晶
化傾向(C)は1.0であり、容器の全ての部位で結晶
化しており、またH/D=1.3の容器はボトム部を除
く各部において結晶化傾向(C)は1.0であるのに対
し、H/D=1.2の容器では、ボトム部及びその近傍
を除く各部では、実質上1であるとしてもH/D=1.
3以上の容器に比して結晶化傾向(C)は劣っているこ
とが明らかである。
【0020】また、本発明の耐熱性容器の各部位におけ
る配向化傾向(U)の関係を示す図13において、H/
D=1.4の容器はボトム部A及び容器上部Dにおいて
も1.20以上の高い配向化傾向(U)を示し、H/D
=1.3では、ボトム部Aでは多少配向化傾向(U)が
低いものの何れの部位でも1.05以上であるのに対
し、H/D=1.2では、ボトム部及び容器上部Dにお
いて配向化傾向(U)が1.05を下回っており、H/
D=1.3以上のものに比して配向化傾向(U)が劣っ
てることが明らかである。更に、本発明の耐熱性容器の
各部位における肉厚の関係を示す図14において、例え
ばポリエステルシート厚1.2mmを用いた場合、H/
D=1.4以上の容器は、ボトム部及び側壁部の何れに
おいても0.30mm以下の薄肉に延伸されているのに
対して、H/D=1.3未満の容器では、側壁部は0.
30mm以下であるがボトム部が0.50mm程度とボ
トム部が側壁部に比して延伸されていないことが明らか
である。すなわち、H/D=1.3以上の容器は結晶化
傾向(C)及び配向化傾向(U)が大きく、耐熱性に優
れ、また耐衝撃性にも優れる。
【0021】また、本発明の耐熱性容器においては、側
壁部の全ての部分が結晶化していることは既に述べた通
りであるが、側壁部の結晶化度は、後述する密度勾配管
法による測定で15%以上、特に、20乃至40の範囲
にあることが好ましい。尚、上述した本発明の耐熱性容
器の製造方法においては、プラグ温度がポリエステル製
シートの結晶化温度以上という高温であり、これに対
し、金型温度はポリエステル製シートのガラス転移点以
下という低温であるため、容器外面側に比して容器内面
側の結晶化が進み、本発明の耐熱性容器では、図15に
示すように、容器内面側の結晶化度の方が大きくなって
いる。
【0022】本発明では、ポリエチレンテレフタレート
を主たる構成成分とするポリエステル製シートを使用す
るが、このポリエステル製シートとしてはポリエステル
単層のシートも使用できるし、多層のシートも使用でき
る。本発明に用いるポリエステル製シートの主たる構成
成分であるポリエチレンテレフタレートは、カルボン酸
成分の50モル%以上がテレフタル酸成分から成り、ア
ルコール成分の50モル%以上がエチレングリコール成
分から成るポリエステルであり、このポリエステルは、
ホモポリエステルでも、共重合ポリエステルでも、或い
はこれらの2種以上のブレンド物であってもよい。
【0023】テレフタル酸成分以外のカルボン酸成分と
しては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、p−
β−オキシエトキシ安息香酸、ビフェニル−4,4’−
ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカル
ボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒ
ドロテレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリ
ット酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。
【0024】一方、エチレングリコール以外のアルコー
ル成分としては、1,4−ブタンジオール、プロピレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキシ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノ
ールAのエキレンオキサイド付加物、グリセロール、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペン
タエリスリトール、ソルビタン等のアルコール成分を挙
げることができる。
【0025】本発明に用いるポリエステル製シートは、
ポリエチレンテレフタレートを最も多く含んでいる限
り、上述した他のポリエステルとの共重合でも、また他
の熱可塑性樹脂とのブレンド物であってもよい。例え
ば、決してこれに限定されないが、ポリエチレン/ブチ
レンテレフタレート、2,6−ナフトエート、イソフタ
レート、これらとポリブチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレン
−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート
/アジペート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート/
イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/アジペ
ート等の1種または2種以上とポリエチレンテレフタレ
ートとのブレンド物等を挙げることができる。
【0026】ポリエステルは、フィルム形成範囲の分子
量を有するべきであり、溶媒としてフェノール/クロロ
テトラエタン混合溶媒を用いて測定した固有粘度[η]
が0.5以上、特に0.6乃至1.5の範囲にあること
が成形性や機械的性質、耐熱性等の点で好ましい。
【0027】ポリエステル中には、エチレン系重合体、
熱可塑性エラストマー、ポリアリレート、ポリカーボネ
ートなどの改質樹脂成分の少なくとも1種を含有させる
ことができる。この改質樹脂成分は、一般にポリエステ
ル100重量部当たり50重量部までの量、特に好適に
は5乃至35重量部の量で用いるのが好ましい。
【0028】本発明に用いるポリエステル製シートに
は、それ自体公知のプラスチック用配合剤、例えば酸化
防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、充填
剤、着色剤等を配合することができる。本発明の耐熱性
容器は、それ自体透明性に優れるものであるが、成形容
器を不透明化することも勿論可能であり、この場合に
は、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミナ、シ
リカ、各種クレイ、焼石膏、タルク、マグネシヤ等の充
填剤やチタン白、黄色酸化鉄、ベンガラ、群青、酸化ク
ロム等の無機顔料や有機顔料を配合することができる。
【0029】本発明に用いるポリエステル製シートは、
上記ポリエステル単層から成っていてもよく、またガス
バリヤー製樹脂等の他の樹脂層との積層体からなってい
てもよい。ガスバリヤー性樹脂としては、公知の任意の
もの、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体(E
VOH)、ナイロン樹脂(Ny)、ガスバリアー性ポリ
エステル樹脂(BPR)、環状オレフィン系共重合体な
どを用いることができる。他の樹脂層は、2層構成で内
層或いは外層として用いることもできるし、また3層構
成で中間層として用いることもできる。
【0030】ガスバリヤー性樹脂層としては、ビニルア
ルコール含有量が40乃至85モル%、特に50乃至8
0モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体が適し
ている。エチレン−ビニルアルコール共重合体の分子量
は、フィルムを形成し得るに足る分子量であれば特に制
限はないが、一般には、フェノール85重量%と水15
重量%との混合溶媒中、30℃の温度で測定して、固有
粘度(I.V.)が0.07乃至0.17dl/gの範
囲にあるのがよい。
【0031】ガスバリヤー性樹脂の他の例として、ナイ
ロン樹脂、例えばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロ
ン6/ナイロン6,6共重合体、キシリレン基含有ポリ
アミドを挙げることができる。ナイロン樹脂を構成する
ω−アミノカルボン酸成分としては、ε−カプロラクタ
ム、アミノヘプタン酸、アミノオクタン酸等が挙げら
れ、ジアミン成分としては、ヘキサメチレンジアミンの
ような脂肪族ジアミン、ピペラジンのような脂環族ジア
ミン、m−キシリレンジアミン及び/又はp−キシリレ
ンジアミンなどが挙げられ、二塩基酸成分としては、脂
肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、セバシン酸、ス
ベリン酸等、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル
酸、イソフタル酸等が挙げられる。特にバリヤー性に優
れたものとして、ジアミン成分の35モル%以上、特に
50モル%以上がm−キシリレン及び/又はp−キシリ
レンジアミンであり、二塩基酸成分が脂肪族ジカルボン
酸及び/又は芳香族ジカルボン酸であり、所望により全
アミド反復単位当たり25モル%以下、特に20モル%
以下のω−アミノカルボン酸単位を含むポリアミドが挙
げられる。用いるポリアミドは、96重量%硫酸を使用
し、1g/100mlの濃度及び25℃の温度で測定し
て0.4乃至4.5の相対粘度(ηrel )を有する
ことが望ましい。
【0032】ガスバリヤー性樹脂として、ガスバリヤー
性ポリエステルを用いることもできる。このガスバリヤ
ー性ポリエステルの1種(以下、BPRと記すこともあ
る。)は、重合体鎖中に、テレフタル酸成分(T)とイ
ソフタル酸成分(I)とを、 T:I=95:5乃至5:95 特に75:25乃至25:75 のモル比で含有し且つエチレングリコール成分(E)と
ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン成分(BHE
B)とを、 E:BHEB=99.999:0.001乃至2.0:
98.0 特に99.95:0.05乃至40:60 のモル比で含有する。BHEBとしては、1,3−ビス
(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが好ましい。この
ポリエステル(BPR)は、少なくともフィルムを形成
し得るに足る分子量を有するべきであり、一般にフェノ
ールとテトラクロルエタンとの60:40の重量比の混
合溶媒中、30℃の温度で測定して、0.3乃至2.8
dl/g、特に0.4乃至1.8dl/gの固有粘度
[η]を有することが望ましい。
【0033】本発明の容器は、上述したポリエステル樹
脂層及びガスバリヤー性樹脂層に加えて、任意の他の樹
脂層を含有していることができる。例えば、ポリエステ
ル層とガスバリヤー性樹脂層との間に熱接着性がない場
合には、両樹脂層間に接着剤樹脂層を介在させることが
できる。接着剤樹脂としては、特に限定されないが、酸
変性オレフィン系樹脂、例えば、無水マレイン酸グラフ
トポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレ
ンなどを用いることができる。
【0034】本発明の耐熱性容器の製造に用いる多層プ
ラスチックシートの断面構造の一例を示す図16におい
て、このシート3は、熱可塑性ポリエステル樹脂から成
る内層11及び外層12、ガスバリヤー性樹脂から成る
中間層13、及び必要により内外層と中間層とを強固に
接着するために設けられた接着剤層14及び15の積層
構造を有する。
【0035】積層シートは、好適には上記熱可塑性ポリ
エステル樹脂、ガスバリヤー性樹脂及び必要あれば接着
剤樹脂を多層多重ダイスを通して上記多層構造に共押出
することにより製造されるが、勿論サンドイッチラミネ
ーション、押出コート法等の他の積層技術によっても製
造することができる。積層構造のプラスチックシートで
は、熱可塑性ポリエステル内外層の厚み(tA)と酸素
バリヤー性樹脂中間層の厚み(tB)とは、 tA:tB=100:1乃至4:1 特に 25:1乃至5:1 の範囲内にあることが望ましい。
【0036】シート成形に際しては、上記プラスチック
シートを前述したシート温度(Ts)に加熱する。プラ
スチックシートの加熱は、赤外線乃至遠赤外線加熱や、
熱風炉による加熱、伝熱による加熱等で行い得る。一
方、プラグや金型は、上述したプラグ温度(Tp)や金
型温度(Tm)に保持されるが、これらの温度制御は、
プラグや金型中に内蔵されたヒーターのON−OFF制
御や、プラグや金型に温度制御のための熱媒体を通すこ
とにより行われる。
【0037】本発明の耐熱性容器の製造に用いるプラグ
は、フラットな底形状を有するべきことは既に指摘した
とおりであるが、用いるプラグの胴部先端、つまり底部
に接続される部分は、上に向けて次第に径の増大するテ
ーパー部からなっていることが好適である。即ち、この
ようなテーパー部を設けることにより、プラグ底部上に
あるポリエステルを胴部上に引き込むことが容易とな
り、配向分布の良好な容器を製造することが可能とな
る。テーパ部のテーパー角度(α)は0.5乃至10
゜、特に2乃至6゜の範囲が適当であり、またテーパー
部はプラグの高さの0.3乃至0.9の割合となるよう
に設けるのが好ましい。また、プラグはフランジ段差形
成部を有していて、配向結晶化されたフランジ部が形成
されるようになっていてもよい。
【0038】一方、成形されつつあるシートに印加する
圧力は、プラグ側からの圧空でも、金型側からの真空で
も、或いはそれらの組合せであってもよく、一般的にい
ってシート内面側からの圧力が2乃至10kg/cm
となるようなものであればよい。
【0039】
【実施例】(測定方法) 1.示差走査熱量計(DSC)測定 示差走査熱量計を用いて、20℃より10℃/minの
速度で昇温させたときの、100〜175℃の発熱ピー
ク面積、200〜275℃O吸熱ピーク面積を算出し、
それぞれ結晶化発熱量ΔHc、融解吸熱量ΔHmとし
た。 2.X線回折測定 透過型X線回折装置を用い、容器壁面に垂直にX線を入
射し、容器軸方向に対して直角方向のBragg角(2
θ=0〜150゜)での回折強度測定を行った。得られ
た回折プロファイルより、面指数(010)、(−11
0)の回折強度を求め、H(010)、H(−110)
とした。
【0040】3.結晶化度 n−ヘプタン−四塩化炭素、水−硝酸カルシウム系の2
種の密度勾配管を使用し、20℃の条件下でのサンプル
の密度(ρ)を求めた。得られた密度より、次式に従っ
て結晶化度(Xc)を算出した。 Xc=(ρc/ρ)×[(ρ−ρam)/(ρc−ρa
m)]×100 式中、ρam、ρcはそれぞれ、ポリエチレンテレフタ
レートの非晶密度(=1.335g/cm)、結晶密
度(=1.455g/cm)である。
【0041】4.肉厚分布測定法 PANAMETRICS社製ボールエフェクトシックネ
スゲージMAGNA−MIKE MODEL8000を
用いて測定した。 5.耐熱性評価 容器の耐熱性は、前述した式(3)で表される内容積変
化率(%)によって評価した。
【0042】〔実施例1〕ポリエチレンテレフタレート
を主成分とするポリエステルとして、SA135(三井
化学株式会社製)を65mm押し出し機を用い、溶融混
練されたポリエステル樹脂を幅400mmのTダイから
押し出した後、急冷して厚さ1.2mmの実質的に非晶
のシートを作成した。次いで、上記シートを30cm角
に切断後、遠赤外線ヒーターでシート温度を100℃に
加熱した。その後、プラグアシスト真空圧空成形機を用
い、上記シートをクランプ金型によりクランプし、内部
に装着したヒーターで120℃に加熱されたアルミ製プ
ラグと、周囲に取り付けられたヒーターにより50℃に
加熱され、型内形状がプラグ形状と相似形で、上記プラ
グとのクリアランスが0.5mmの金型(雌型)により
挟み込んで2秒間保持した後、プラグ側から圧空を1秒
間吹き込み、一方金型側から真空引きを行い、容器口径
D=68mm、容器高さH=95mm(H/D=1.
4)の透明なポリエステル容器を成形した。このポリエ
ステル容器のボトム部A及び上記ボトム部Aから上方5
mm(B)、45mm(C)及び90mm(D)の側壁
部における4mm×4mmの切片を切り出し、示差走査
熱量計(DSC)を用いて、それぞれ結晶化発熱量ΔH
cと融解吸熱量ΔHmを測定した。その結果、上記ボト
ム部A、及び側壁部B、C、Dのいずれにおいても、結
晶化傾向C=(ΔHm-ΔHc)/ΔHmは実質上1で
あった。また、各切片を、透過型X線回折装置を用いて
X線回折測定を行った結果、配向化傾向U=H(01
0)/H(−110)は、いずれも1.05以上であっ
た。次いで、上記ポリエステル容器の85℃熱水充填試
験を行った結果、内容積変化率が3.5%であり、透明
性を有し極めて良好な耐熱性が得られた。
【0043】〔実施例2〕実施例1と同様のシートを用
い、容器口径68mm、容器高さ88mm(H/D=
1.3)とした以外は上記実施例1と同じ条件で真空圧
空成形した。実施例1と同様に示差走査熱量計(DS
C)を用いて、それぞれ結晶化発熱量ΔHcと融解吸熱
量ΔHmを測定した。その結果、側壁部B、C及びDの
いずれにおいても、結晶化傾向C=(ΔHm-ΔHc)
/ΔHmは実質上1であった。また、透過型X線回折装
置を用いてX線回折測定の結果、配向化傾向U=H(0
10)/H(−110)は、底部A及び側壁部B、C、
Dのいずれも1.05以上であった。次いで、上記ポリ
エステル容器の85℃熱水充填試験を行った結果、内容
積変化率が2.8%であり、実施例1のポリエステル容
器に比べやや透明性に劣るものの、良好な耐熱性が得ら
れた。
【0044】〔実施例3〕シートの構成を、ポリエチレ
ンテレフタレートを主成分とするポリエステル(三井化
学株式会社製SA135)の内外層、ガスバリヤー層と
してポリ(m−キシリレンアジパミド:三菱瓦斯化学株
式会社製MXD−6・6007)の中間層、及び上記内
外層と中間層の間のエチレン・ブテン共重合体(三菱瓦
斯化学株式会社製モディックF512)接着剤から成る
3種5層の厚さ1.2mmの実質的に非晶の多層シート
とした。この多層シートを実施例1と同じ条件での真空
圧空成形を行い、この時、プラグ形状及び金型形状をH
/Dが1.3、1.4、1.5となるように随時交換し
てポリエステル容器を成形した。実施例1と同様に示差
走査熱量計(DSC)を用いて、それぞれ結晶化発熱量
ΔHcと融解吸熱量ΔHmを測定した。その結果、H/
Dが1.3の多層ポリエステル容器は側壁部B、C及び
Dのいずれにおいても、また、H/Dが1.4及び1.
5の多層ポリエステル容器はボトム部A及び側壁部B,
C、Dのいずれにおいても、結晶化傾向C=(ΔHm-
ΔHc)/ΔHmは実質上1であった。また、透過型X
線回折装置を用いてX線回折測定の結果、配向化傾向U
=H(010)/H(−110)は、ボトム部A及び側
壁部B、C、Dのいずれも1.05以上であった。次い
で、上記ポリエステル容器の85℃熱水充填試験を行っ
た結果、それぞれ内容積変化率が3.5%、3.8%、
3.4%でいずれも4%以内であり、H/Dが1.3の
ポリエステル容器はやや透明性に劣るものの良好な耐熱
性が得られ、またH/Dが1.4及び1.5のポリエス
テル容器は透明性を有し極めて良好な耐熱性が得られ
た。
【0045】〔比較例1〕実施例1と同様のシートを用
い、容器口径68mm、容器高さ83mm(H/D=
1.2)とした以外は上記実施例1と同じ条件で真空圧
空成形した。実施例1と同様に示差走査熱量計(DS
C)を用いて、それぞれ結晶化発熱量ΔHcと融解吸熱
量ΔHmを測定した。その結果、結晶化傾向C=(ΔH
m-ΔHc)/ΔHmはボトム部Aが0.35、側壁部
Bが0.39、Cが0.73、Dが1であった。また、
透過型X線回折装置を用いたX線回折測定の結果、配向
化傾向U=H(010)/H(−110)は、ボトム部
Aが1.01、側壁部Bが1.03、Cが1.02、D
が1.03で、いずれも1.05未満であった。次い
で、上記ポリエステル容器の85℃熱水充填試験を行っ
た結果、内容積変化率が5%であり、白みを帯びて透明
性に欠け耐熱性が極めて劣っていた。
【0046】〔比較例2〕上記実施例3において、H/
D=1.2とした以外は同じ条件で真空圧空成形して多
層ポリエステル容器を得た。実施例3と同様に示差走査
熱量計(DSC)を用いて、それぞれ結晶化発熱量ΔH
cと融解吸熱量ΔHmを測定した。その結果、結晶化傾
向C=(ΔHm-ΔHc)/ΔHmはボトム部Aが0.
35、側壁部Bが0.39、Cが0.73、Dが1であ
った。また、透過型X線回折装置を用いたX線回折測定
の結果、配向化傾向U=H(010)/H(−110)
は、ボトム部Aが1.01、側壁部Bが1.03、Cが
1.02、Dが1.03で、いずれも1.05未満であ
った。次いで、上記多層ポリエステル容器の85℃熱水
充填試験を行った結果、内容積変化率が5%であり、白
みを帯びて透明性に欠け耐熱性が極めて劣っていた。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、ポリエチレンテレフタ
レートを主たる構成成分とするポリエステル製シートを
成形して得られる容器であって、延伸による配向結晶を
有し、下記式(1) C=(ΔHm−ΔHc)/ΔHm …(1) 式中、ΔHmは示差走査熱量計(DSC)により測定さ
れる融解吸熱量であり、ΔHcは示差走査熱量計(DS
C)により測定される結晶化発熱量である、で定義され
る結晶化傾向(C)が、容器の側壁部において実質上1
であることにより、耐熱性及び透明性に優れていると共
に、高速生産に対応可能な容器を提供することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐熱性容器の一例を示す図である。
【図2】本発明の容器の示差走査熱量曲線である。
【図3】本発明の容器における充填温度と内容積変化率
との関係を示す図である。
【図4】本発明の容器のX線回折像を示す図である。
【図5】本発明容器の製法におけるニュートラル状態を
示す図である。
【図6】本発明容器の製法におけるクランプ工程を示す
図である。
【図7】本発明容器の製法における延伸・熱固定工程を
示す図である。
【図8】本発明容器の製法における圧空工程を示す図で
ある。
【図9】本発明容器の製法における離型工程を示す図で
ある。
【図10】本発明容器の製法におけるプラグ温度と内容
積変化率との関係を示す図である。
【図11】本発明容器の製法におけるプラグホールド時
間と内容積変化率との関係を示す図である。
【図12】本発明の容器の各部位における結晶化傾向を
示す図である。
【図13】本発明の容器の各部位における配向化傾向を
示す図である。
【図14】本発明の容器の各部位における肉厚を示す図
である。
【図15】本発明の容器の各部位における結晶化度を示
す図である。
【図16】本発明に用いるポリエステル製シートの一例
の断面図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年6月23日(2000.6.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】添付図面の図1は、本発明の耐熱性容器1
を示し、上方からフランジ部2,側壁部の上方に設けら
れたスタッキング部3、側壁部4及びボトム部5から成
っている。図2は、本発明の耐熱性容器についての示差
走査熱量曲線であり、横軸が温度及び縦軸が熱流量を示
しており、吸熱ピークは上向きに凸のピークとして、発
熱ピークは下向きに凸のピークとして示されている。一
般に示差走査熱量計においては、結晶を溶融などにより
消失させるときは吸熱し吸熱ピークとして、また非晶質
状態から結晶化させるときには発熱し発熱ピークとして
観察される。本発明の耐熱性容器においては、図2に示
す未結晶化部分が結晶化するときの結晶化発熱量ΔHc
と、全体のサンプルが溶融するときの融解吸熱量である
ΔHmにおいて、上記式(1)で示される結晶化傾向
(C)が実質上1であること、すなわち上記式(1)に
おいて結晶化発熱量ΔHcが可級的に小さいことを特徴
とし、これはフランジ部及びボトム部を除いた部分、す
なわち側壁部では高い結晶化傾向を有することを示して
いる。尚、この結晶化傾向(C)において実質上1であ
るとは、小数点第一位を四捨五入した場合に1となる程
度をいう。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】また本発明の耐熱性容器1においては、フ
ランジ部2及びボトム部5を除いた部分の側壁部4は、
後述するプラグアシスト圧空乃至真空成形によって、配
向結晶し、また熱固定によって更に熱結晶されているこ
とにより、透明性に優れた耐熱性容器を得ることが可能
となる。すなわち、上記式(2)で表される配向化傾向
(U)が1.05以上であり、フランジ部を除いた部分
では顕著に配向されていることを示している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】図8は圧空工程を示す図であり、ヒートセ
ット終了後、圧空によって賦形を行うが、本発明の耐熱
性容器においては、高温プラグにより既に熱固定が行わ
れているため、金型の温度はポリエチレン製シートのガ
ラス転移点以下の低い温度とすることが好ましく、これ
により、容器の外表面が金型に接触して冷却され、更に
賦形が進むことになる。この際、プラグ外面と金型内面
とのクリアランスをシート厚の1/4〜5/6の範囲に
することが好ましい。図9は、離型工程を説明する図で
あり、プラグ5、クランプ金型6が、この順番で上昇し
て、離型が可能となり、金型から容器が取り出されるこ
とによって、本発明の耐熱性容器が完成する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】上述したように、プラグアシスト圧空乃至
真空成形では、シートはプラグによって容器軸方向に延
伸されて所望の形状の容器を成形した後、プラグは降下
したままの状態を保持してヒートセットを行う。その後
圧空によって金型に付形させることにより、容器が成形
される。この際、ポリエステル製シートの結晶化温度以
上に保持されたプラグによって延伸されたシートは配向
結晶化するため、透明性が保持されたまま結晶化度が上
昇する。またプラグが降下したままの状態を2秒以上保
持することにより、ヒートセットを促し、加工による成
形歪みを十分に緩和すると共に、結晶化を促進し、耐熱
性が向上される。更にプラグ外面と金型内面とのクリア
ランス量をシート厚の1/4〜5/6の範囲にすること
により、圧空による金型への賦形によって生じる成形歪
みを最小限に抑制でき、容器の高温充填時の変形量を抑
えることが可能となるのである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】ガスバリヤー性樹脂層としては、ビニルア
ルコール含有量が40乃至85モル%、特に50乃至8
0モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体が適し
ている。エチレン−ビニルアルコール共重合体の分子量
は、フィルムを形成し得るに足る分子量であれば特に制
限はないが、一般には、フェノール85重量%と水15
重量%との混合溶媒中、30℃の温度で測定して、固有
粘度[η]が0.07乃至0.17dl/gの範囲にある
のがよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 22:00 C08L 67:02 C08L 67:02 B65D 1/00 A Fターム(参考) 3E033 AA08 BA13 BA18 BA26 BB01 BB04 BB05 CA07 CA16 CA18 DA08 DD01 EA04 EA12 FA01 FA04 GA02 4F071 AA44 AA89 AF11 AF45 BB06 BB07 BC01 BC04 4F208 AA25C AC03 AG07 AH55 MA01 MA02 MB01 MC01 MG12

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレートを主たる構
    成成分とするポリエステル製シートを成形して得られる
    容器であって、延伸による配向結晶を有し、下記式
    (1) C=(ΔHm−ΔHc)/ΔHm …(1) 式中、ΔHmは示差走査熱量計(DSC)により測定さ
    れる融解吸熱量であり、ΔHcは示差走査熱量計(DS
    C)により測定される結晶化発熱量である、で定義され
    る結晶化傾向(C)が、容器の側壁部において実質上1
    であることを特徴とする耐熱性容器。
  2. 【請求項2】 下記式(2) U=H(010)/H(−110) …(2) 式中、H(010)はX線回折で測定される面指数(0
    10)の回折強度であり、H(−110)はX線回折で
    測定される面指数(−110)の回折強度である、で定
    義される配向化傾向(U)が容器の側壁部において、
    1.05以上であることを特徴とする請求項1に記載の
    耐熱性容器。
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