JP2004115064A - カップ状ポリエステル容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性及び賦形性に優れるカップ状ポリエステル容器を提供する。
【解決手段】以下の式(1)及び式(2)の条件を満たす底部2を有するカップ状ポリエステル容器1。
0.06≦ΔP≦0.14(1)、20%≦χc≦60%(2)
(式中、ΔPは面配向度を示し、nは平均屈折率を示す。)
好ましくは、胴下部3が以下の式(3)及び式(4)の条件を満たし、胴上部4が以下の式(5)及び式(6)の条件を満たす。
0.12≦ΔP≦0.16(3)、20%≦χc≦50% (4)
0.08≦ΔP≦0.13(5)、20%≦χc≦50% (6)
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カップ状ポリエステル容器に関し、特に、耐熱性、透明性及び賦形性に優れるカップ状ポリエステル容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂容器は、耐衝撃性等に優れ、取り扱いが容易であるため、今後も需要の増大が予想される。特に、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂の容器は、耐衝撃性に加え、透明性、耐熱性に優れ、かつガスバリアー性を有することから、各種容器に広範に使用されている。
このような熱可塑性樹脂容器の一例として、延伸又は未延伸のポリエステルのシートを熱成形してなるフランジ付きカップがある。
【0003】
この種の容器としては、例えば、軟化したポリエチレンテレフタレートのシートを、雄型プラグを用いて、シートのガラス転移点以上に加熱された雌型金型内に、圧伸、接触させ、ヒートセットした後、雄型プラグ上にシュリンクバックさせ冷却して製造したカップ状容器がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−89319号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この容器では、底部が過剰に延伸されるため、底部及びその周辺が薄肉化し、特に深絞り容器の製造においては、賦形が困難となる問題があった。また、底部が薄肉化すると落下した際変形しやすい等落下耐性に劣った。一方、延伸が不十分であると、白化して外観が損なわれかつ落下した際に割れやすい問題もあった。
本発明者らは、上記課題に鑑み、耐熱性があり且つ透明性及び賦形性に優れるカップ状ポリエステル容器の提供を目的とする。
なお、本発明における耐熱性とは、過酸化水素水殺菌工程中のオーブン加熱および100℃の沸騰水中で1分間程度の浸漬に耐える耐熱性をいう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明者らは、面配向度及び結晶化度を所定の値に制御することにより、耐熱性、透明性及び賦形性の優れたカップ状ポリエステル容器を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明によれば、底部が以下の式(1)及び式(2)の条件を満たすカップ状ポリエステル容器が提供される。
0.06≦ΔP≦0.14(1)
20%≦χc≦60%  (2)
(式中、ΔPは面配向度を示し、χcは結晶化度を示す。)
【0008】
底部の面配向度と結晶化度が上記の範囲にあると、白化することなく、さらに賦形性も良好となる。また、配向結晶化が十分であるため、耐衝撃性も有する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のカップ状ポリエステル容器について説明する。
図1は、本発明のカップ状ポリエステル容器の一実施形態によるカップの側断面図である。
図1に示すように、このカップ1は、底部2、胴下部3、胴上部4及び口部5からなり、口部5にはフランジ6が形成されている。また、胴上部4にはスタック7が形成されていて、カップ1を重ね易くしてある。Hは、底部2から口部5までの高さであり、Dは、口部5の直径である。
本発明の容器の形状はこの実施形態に限定されず、底部と胴部を有するカップ状の容器であればよい。例えば、この実施形態では、底部2に段があるが、底部2の形状は特に限定されず、底部2は平らでもよい。また、スタック7も無くてもよい。
本発明において、胴下部とは、底部から高さ(H)の0〜50%であり、好ましくは、0〜25%である。胴上部とは、底部から高さ(H)の50〜100%であり、好ましくは75〜100%である。
【0010】
本発明のカップ状ポリエステル容器は、底部の面配向度及び結晶化度が、以下の式(1)及び式(2)の条件を満たす。
0.06≦ΔP≦0.14(1)
20%≦χc≦60%  (2)
(式中、ΔPは面配向度を示し、χcは結晶化度を示す。)
【0011】
面配向度(ΔP)は以下の式により定義される。
ΔP=0.5×(nβ+nγ)−nα
(式中、nαは試料面に垂直な方向(面法線方向)の屈折率、nγは試料面内の方向(面方向)の屈折率の最大値、nβはこれに直交する面方向の屈折率である)。
【0012】
面配向度が0.06より小さいと、延伸が弱くヒートセットにより白化しやすい。また、配向結晶化が不足しているため、落下の際割れ易く耐衝撃性に劣る。さらに、面配向度が0.14より大きいと、過度に延伸されすぎて、賦形性が低く成形し難くなる。
より好ましくは、0.08≦ΔP≦0.13である。
結晶化度が20%より小さいと、耐熱性が得られない。また、60%より大きくするためには、ヒートセット時間を長くする必要が生じ、生産性に劣る。
より好ましくは、20%≦χc≦50%であり、特に好ましくは、20%≦χc≦40%である。
【0013】
好ましくは、本発明のカップ状ポリエステル容器は、胴下部の面配向度及び結晶化度が、以下の式(3)及び式(4)の条件を満たす。
0.12≦ΔP≦0.16 (3)
20%≦χc≦50%   (4)
面配向度がこの範囲にあると、耐熱性が得られ且つ耐衝撃性に優れる容器が得られ、また賦形性が高く容易に成形が出来る。
結晶化度が20%より小さいと、耐熱性が得られない。また、50%より大きいと、耐衝撃性が低下する。
より好ましくは、30%≦χc≦40%である。
【0014】
好ましくは、本発明のカップ状ポリエステル容器は、胴上部の面配向度及び結晶化度が、以下の式(5)及び式(6)の条件を満たす。
0.08≦ΔP≦0.13(5)
20%≦χc≦50%  (6)
面配向度がこの範囲にあると、耐熱性が得られ且つ耐衝撃性に優れる容器が得られ、また賦形性が高く容易に成形が出来る。
結晶化度が20%より小さいと、耐熱性が得られない。また、50%より大きいと、耐衝撃性が低下する。
より好ましくは、30%≦χc≦40%である。
【0015】
底部、胴下部及び胴上部全ての、面配向度及び平均屈折率が上記の範囲にあるカップ状ポリエステル容器は、特に、耐熱性、透明性、賦形性及び耐衝撃性に優れ好ましい。
【0016】
また、本発明のカップ状ポリエステル容器は、H(高さ)/D(口部直径)が、1.3〜1.9であることが好ましい。
H/Dが、1.3より小さいと底部において延伸が不十分となり、配向結晶化がされず容器の透明性が低下するとともに、耐衝撃性が低下するおそれがあり、1.9より大きいと賦形が困難となる。特に、1.4〜1.8が好ましい。すなわち、深絞り状の容器の製造に適している。
【0017】
本発明の容器の材料であるポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸を主体とするカルボン酸成分と脂肪族ジオールを主体とするアルコール成分とから誘導されたポリエステル、特に前記カルボン酸成分の50モル%以上がテレフタル酸成分からなりかつ前記アルコール成分の50モル%以上がエチレングリコール成分からなるポリエステルが挙げられる。
ポリエステルは、ホモポリエステルでも、共重合ポリエステルでも、あるいはこれらの2種類以上のブレンド物であってもよい。
【0018】
テレフタル酸成分以外のカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。
【0019】
一方、エチレングリコール以外のアルコール成分としては、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロへキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビタン等のアルコール成分を挙げることができる。
【0020】
好ましい熱可塑性ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/ブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/2,6−ナフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレートや、これらとポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、又はこれらの2種以上とのブレンド物等が挙げられる。特に、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0021】
ポリエステルは、フィルム形成範囲の分子量を有するべきであり、溶媒として、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した固有粘度[η]は0.5以上、特に0.6〜1.5の範囲にあるのが成形性や機械的性質、耐熱性等の点でよい。
【0022】
ポリエステル中には、エチレン系重合体、熱可塑性エラストマー、ポリアリレート、ポリカーボネート等の改質樹脂成分の少なくとも1種を含有させることができる。この改質樹脂成分の添加量は、一般にポリエステル100重量部当たり50重量部以下、特に、5〜35重量部が好ましい。
【0023】
エチレン系重合体として、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
これらの内でも、アイオノマーが好適であり、アイオノマーのべースポリマーとしては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、イオン種としては、Na、K、Zn等が使用される。
【0024】
熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンスチレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が使用される。
【0025】
ポリアリレートは、二価フェノールと二塩基酸とから誘導されたポリエステルとして定義され、二価フェノールとしては、ビスフェノール類、例えば2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、4−ヒドロキシフェニルエーテル、P−(4−ヒドロキシ)フェノール等が使用される。好ましくは、ビスフェノールA又はビスフェノールBである。二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,2−(4−カルボキシフェニル)プロパン、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン等が使用される。
ポリアリレートは、上記単量体成分から誘導されたホモ重合体でもよく、また共重合体でもよい。また、その本質を損なわない範囲で、脂肪族グリコールと二塩基酸とから誘導されたエステル単位との共重合体であってもよい。これらのポリアリレートは、ユニチカ社のUポリマーのUシリーズ又はAXシリーズ、UCC社のArdelD−100、Bayer社のAPE、Hoechst社のDurel、DuPont社のArylon、鐘淵化学社のNAP樹脂等として入手できる。
【0026】
ポリカーボネートは、二環二価フェノール類とホスゲンから誘導される炭酸エステル樹脂であり、高いガラス転移点と耐熱性とを有することが特徴である。ポリカーボネートとしては、ビスフェノール類、例えば、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、
1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロへキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等から誘導されたポリカーボネートが好適である。
【0027】
本発明に用いるポリエステルには、公知のプラスチック用配合剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤等を配合することができる。成形容器を不透明化する目的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミナ、シリカ、各種クレイ、焼せっこう、タルク、マグネシヤ等の充填剤やチタン白、黄色酸化鉄、ベンガラ、群青、酸化クロム等の無機顔料や有機顔料を配合することができる。
【0028】
本発明のカップ状ポリエステル容器は、上記ポリエステル単層からなっていてもよく、またガスバリアー性樹脂、リサイクルポリエステル樹脂、酸素吸収性樹脂等の他の樹脂層との積層体からなっていてもよい。
他の樹脂層は、2層構成で外層として用いることもできるし、また3層構成で中間層として用いることもできる。
ガスバリアー性樹脂としては、公知の任意のもの、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン樹脂(Ny)、ガスバリアー性ポリエステル樹脂(BPR)、環状オレフィン系共重合体等を用いることができる。
【0029】
ガスバリアー性樹脂層としては、ビニルアルコール含有量が40〜85モル%、特に50〜80モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体が適している。エチレン−ビニルアルコール共重合体の分子量は、フィルムを形成し得るに足る分子量であれば特に制限はないが、一般には、フェノール85重量%と水15重量%との混合溶媒中、30℃の温度で測定して、固有粘度[η]が0.07〜0.17dl/gの範囲にあるのがよい。
【0030】
ガスバリアー性樹脂の他の例として、ナイロン樹脂、例えばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/ナイロン6,6共重合体、キシリレン基含有ポリアミドを挙げることができる。
ナイロン樹脂を構成するω−アミノカルボン酸成分としては、ε−カプロラクタム、アミノへプタン酸、アミノオクタン酸等が挙げられ、ジアミン成分として、ヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジンのような脂環族ジアミン、m−キシリレンジアミン及び/又はp−キシリレンジアミン等が挙げられ、二塩基酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、セバシン酸、スべリン酸等、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。
特にバリアー性に優れたものとして、ジアミン成分の35モル%以上、特に50モル%以上がm−キシリレン及び/又はp−キシリレンジアミンであり、二塩基酸成分が脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸であり、所望により全アミド反復単位当たり25モル%以下、特に20モル%以下のω−アミノカルボン酸単位を含むポリアミドが挙げられる。
用いるポリアミドは、96重量%硫酸を使用し、1g/100mlの濃度及び25℃の温度で測定して0.4〜4.5の相対粘度(ηrel)を有することが望ましい。
【0031】
ガスバリアー性樹脂として、ガスバリアー性ポリエステルを用いることもできる。このガスバリアー性ポリエステルの1種(以下、BPRと記すこともある。)は、重合体鎖中に、テレフタル酸成分(T)とイソフタル酸成分(I)とを、T:I=95:5〜5:95、特に75:25〜25:75のモル比で含有しかつエチレングリコール成分(E)とビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン成分(BHEB)とを、E:BHEB=99.999:0.001〜2.0:98.0、特に99.95:0.05〜40:60のモル比で含有する。BHEBとしては、1,3一ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが好ましい。
このポリエステル(BPR)は、少なくともフィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般にフェノールとテトラクロルエタンとの60:40の重量比の混合溶媒中、30℃の温度で測定して、0.3〜2.8dl/g、特に0.4〜1.8dl/gの固有粘度[η]を有することが望ましい。
【0032】
リサイクルポリエステルとしては、使用済みポリエステル容器を回収し、異物を除去し、洗浄し、乾燥して得られる粒状又は粉末状のポリエステルが使用される。これらのリサイクルポリエステルは、前述した方法で測定した固有粘度[η]が0.6〜0.75の範囲にあることが好ましい。
リサイクルポリエステルは、単独で使用することもできるし、バージンのポリエステルとのブレンド物として用いることもできる。リサイクルポリエステルが低下した固有粘度を有する場合には、バージンのポリエステルとブレンドして用いることが好ましく、この場合、リサイクルポリエステル:バージンのポリエステルの配合比は、9:1〜2:8の重量比にあることが好ましい。
このリサイクルポリエステル層は、バージンのポリエステルでサンドイッチされた3層以上の多層構造で用いるのが好ましい。
【0033】
酸素吸収性樹脂層としては、金属系の酸化触媒と酸化性有機成分とを含有するものが使用される。
酸化性有機成分としては、遷移金属系触媒の触媒の作用により、空気中の酸素により酸化を受ける樹脂であり、(i)炭素側鎖(a)を含み、かつ主鎖又は側鎖にカルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基及びカルボニル基から成る群より選択された少なくとも1個の官能基(b)を含む樹脂、(ii)ポリアミド樹脂、(iii)エチレン系不飽和基含有重合体等が使用される。
金属系の酸化触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属成分が好ましいが、他に銅、銀等の第I族金属:錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウムの第V族、クロム等VI族、マンガン等のVII族の金属成分を挙げることができる。これらの金属成分の内でもコバルト成分は、酸素吸収速度が大きく、特に好適なものである。
遷移金属系触媒は、上記遷移金属の低価数の無機酸塩あるいは有機酸塩あるいは錯塩の形で一般に使用される。これらの触媒は、樹脂当たり100〜1000ppmの量で用いるのがよい。
【0034】
積層体は、上述したポリエステル樹脂層及びガスバリアー性樹脂層等に加えて、任意の他の樹脂層を含有することができる。
例えば、ポリエステル層とガスバリアー性樹脂層との間に熱接着性がない場合には、両樹脂層間に接着剤樹脂層を介在させることができる。
接着剤樹脂としては、特に限定されないが、酸変性オレフィン系樹脂、例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等を用いることができる。
【0035】
積層シートは、上記ポリエステル樹脂、ガスバリアー性樹脂等及び必要あれば接着剤樹脂を、多層多重ダイスを通して上記多層構造に共押出することにより製造できる。他に、サンドイッチラミネーション、押出コート法等の他の積層技術によっても製造することができる。
積層シートでは、熱可塑性ポリエステル内外層の厚み(tA)と酸素バリアー性樹脂等の中間層の厚み(tB)とは、tA:tB=100:1〜4:1、特に25:1〜5:1の範囲内にあることが望ましい。
【0036】
本発明のカップ状ポリエステル容器は、その大きさ等によっても相違するが、一般に0.5〜5mm、特に1〜3mmの厚みを有することが、容器の強度や成形性の点で好ましい。
【0037】
本発明のカップ状ポリエステル容器の製造方法は、底部の面配向度と結晶化度が、所定の範囲にある限り、特に限定されない。本発明のカップ状ポリエステル容器は、シートから製造することもできるし、射出成形や圧縮成形等で成形したメンコまたはプリフォームから製造することもできる。
本発明のカップ状ポリエステル容器を製造するときは、面配向度と結晶化度は、プラグの温度、材料の温度、上型の温度、下型の温度、プラグの形状、第一の成形工程におけるプラグの挿入量及びプラグの材料の摩擦等を変えることにより、調節できる。プラグと材料の摩擦は例えば油を塗布したりして変えることができる。
プラグと材料の摩擦を調節して、最初に胴部を次に底部を延ばすように、順次延伸し130℃〜200℃の金型温度で、ある一定以上の時間熱固定すると、底部、胴下部及び/又は胴上部の面配向度と結晶化度を、本発明の所定の範囲内にできる。
以下、本発明のカップ状ポリエステル容器をシートから製造する方法及びメンコから製造する方法について図面を参照して説明するが、本発明の容器の製造方法は、この製造方法に限定されるものではない。
【0038】
[シートから製造する方法]
図2は、カップ状ポリエステル容器の製造に使用する製造装置の概略側断面図である。
成形装置100は、主に、プラグ11、下金型12、上金型13、上プレクランプ金型14及び下プレクランプ金型15から構成されている。
プラグ11は、ポリエステルシート16を延伸成形するためのものであり、また、延伸・ヒートセット(熱固定)したシートを収縮賦形するため、最終成形体の外形を有している。プラグ11には、軸方向に圧空及び減圧のための気体通路111が設けられている。
【0039】
下金型12は、プラグから離れたシートを、ヒートセットするためのものである。下金型12の上端面には、上金型13と協動してフランジ部を成形するフランジ把持面122が設けられている。また、下金型12の中心部には、気体排出及び供給のための気体通路121が形成されている。
下金型12とプラグ11は同軸に配置されており、プラグ11が下金型12内に挿入されかつ離隔するように、軸方向に相対的に移動できるようになっている。
【0040】
上金型13は、下金型12と協動して、フランジ部(口部)を成形するものであり、短い中空の筒状体となっている。したがって、上金型13は、下金型12の円筒状内面とほぼ同じ径の内面131を有するとともに、その下端面には、下金型12のフランジ把持面122と同じ形状の把持面132が設けてある。
【0041】
上プレクランプ金型14及び下プレクランプ金型15は、上金型13及び下金型12の外周に同軸に設けられており、協動して熱可塑性樹脂シートを固定する。また、下プレクランプ金型15は、プラグ11及び下金型12とは独立して作動する。
【0042】
次に、製造方法について具体的に説明する。
図2に示すように、ポリエステルシート16は四辺又は二辺がクランプされ(図示なし)、上金型13等と下金型12等の間に固定されている。
このときのシートの温度は、使用する樹脂にもよるが、(ガラス転移点(Tg)〜(Tg+45)℃とする。シートの温度が(Tg+45)℃より高いと、配向結晶化が十分起こらず、後のヒートセット工程において熱結晶化による白化現象が生じるおそれがあり、(ガラス転移点(Tg)+15)℃より低いと、成形時に樹脂が過延伸状態になり白化現象が生じるおそれがある。
【0043】
図3は、上プレクランプ金型14と下プレクランプ金型15により、ポリエステルシート16をプレクランプしたときの側断面図である。
シートを成形金型周辺でクランプすることにより、シートのクランプされた部分の内側(プレクランプエリア)と外側との関係を絶つことができる。したがって、一枚のシートから多数の容器を一度に成形する、いわゆる多数個取りの製造を行うときに、他のクランプエリアの影響及び金型間間隔の差の影響を受けることがない。これにより、多数個取りによる容器の成形においても、品質(肉厚、重量等)の揃った容器を製造できる。
なお、一枚のシートから、一個の容器を製造(一個取り)する場合は、上記したように、通常シート16は、四辺又は二辺が枠によってクランプされているので、プレクランプ工程を省略することもできる。
【0044】
プレクランプ金型の温度は、好ましくはシート樹脂の軟化点又は融点以下であり、必要に応じて冷却を行ってもよい。プレクランプ金型を冷却することにより、打ち抜き後におけるシートの固化時に、シートの熱変形によって生じる容器変形を抑えることができる。
ここで、プレクランプの把持面は平面でもよく、山切り状、凹凸状等のリブ形状を設けてもよい。リブ形状を設けることにより、打ち抜き後シートに剛性を付与でき、プレクランプ金型を冷却したときと同様な効果が得られる。
【0045】
図4は、容器口部あるいはフランジ部に対応する部分の延伸を行い、口部の外周から樹脂を引き込む工程(先行延伸工程)を示す側断面図である。
プラグ11がシート16を、下方に所定量押し込んでいる。これにより、後の工程でフランジ部(口部)となる部分が延伸される。したがって、フランジ部は配向結晶化するので、賦形後の反りを防止することができる。
また、この延伸により、容器口部あるいはフランジ部となる部分の外周から、樹脂が口部あるいはフランジ部の内側のエリア(成形エリア)に引き込まれる。これにより、従来は容器に使用されなかった、容器口部あるいはフランジ部の外周部分の樹脂を有効利用することができ、容器の底部の肉厚を厚くできる。
【0046】
このときのプラグ11の温度は、例えば、ポリエステル樹脂シートの場合は、70℃〜110℃、好ましくは80℃〜100℃である。
また、プラグ11の押込み量(先行量)は、製造する容器の形状(肉厚、高さ、底面積等)、プレクランプされたエリア、樹脂シートの厚さ等を考慮して、適宜調整する。
先行量が不足した場合、延伸が不十分となり、フランジ部の反りの改善が達成されず、また、樹脂の引き込みが不足し、製造した容器の底部の厚肉化ができないおそれがある。
一方、先行量が大きすぎると樹脂の引き込み量が多すぎて、後のプラグを使用した延伸工程で容器全体、特に容器底部の樹脂に対して十分な延伸を付与することができず、その結果、成形された容器は十分は配向結晶化が得られず底部において白化するおそれがある。
【0047】
図5は、熱可塑性樹脂シートの延伸した部分をクランプして成形する工程を示す側断面図である。
この工程では、下金型12が上昇することにより、上金型13と協動して、それぞれの把持面122、132でフランジ部(口部)をクランプして成形する。上金型13及び下金型12によりクランプされることにより、フランジ部は流動配向される。また、クランプされたシートの部分が押し潰されて、一部の樹脂が把持面132、122の間から押し出されて口部内側に流れ込んでくるため、より多くの樹脂を容器の底部等として使用できる。
このとき、上金型の温度は、例えば、ポリエステル樹脂シートの場合は、室温〜150℃が好ましく、特に50℃〜130℃が好ましい。
【0048】
図6は容器本体を成形するための延伸工程を示す側断面図である。
この工程では、プラグ11がストロークエンドまで、下金型12内部に挿入されることで、シート16は延伸され配向結晶化された延伸部16’を形成する。
図7は、ヒートセット工程を示す側断面図である。
この工程では、プラグ11の気体通路111を介して圧縮空気を供給(圧空)して、延伸部16’を下金型12内面に接触させる。このとき、下金型12を加熱しておき、延伸部16’に熱を加えてヒートセットする。
ヒートセット時の下金型12の温度は、ポリエステル樹脂シートの場合、好ましくは120℃〜200℃、特に好ましくは140℃〜180℃である。
【0049】
図8は、冷却・賦形工程を示す側断面図である。
この工程では、プラグ11の通路111から供給される圧縮空気を停止して、延伸部16’に自己収縮を起こさせる。そして、プラグ11の外表面まで収縮したときに、気体通路111を介して吸気を行い延伸部16’とプラグ11の間を真空にして、延伸部16’をプラグ11の外表面の形状に賦形する。このとき、下金型12の気体通路121から空気を供給してもよく、このようにすると賦形性が向上する。
図9は、離型工程を示す側断面図である。
この工程では、金型及びプレクランプ金型を開き、プラグ11を上昇させ、最終成形体を取り出す。
【0050】
本発明の容器製造方法は、平面断面が、図10に示すようなオーバル形状の容器あるいは図11に示すような角形形状の容器を製造する場合にも好適に適用することができる。
図10はオーバル断面形状を有する容器を製造するときの成形装置の平面図であり、図11は角断面形状を有する容器を製造するときの成形装置の平面図である。
すなわち、プレクランプ工程において、プレクランプエリアの形状を調整することで、容器の肉厚分布を制御する。
例えば、平面断面が丸形形状の容器を製造する場合においては、上記したように、容器の肉厚、重量等の均一化を図るときには、プレクランプエリアはプラグの平面断面形状と相似形にする必要がある。
【0051】
一方、平面断面がオーバル形状を有する容器を製造する場合には、容器の肉厚が薄くなり易い曲率の大きい部分に、多くの樹脂を引き込ませるため、プラグとプレクランプエリアとの間隔を大きくすることによって肉厚分布制御を可能とならしめている。
また、辺部の肉厚が薄くなりやすい平面断面が角形形状を有する容器を製造する場合も、図11に示すようにプラグの直線部とプレクランプエリアとの間隔を大きくすることによって肉厚分布制御を可能ならしめている。
なお、平面が角形形状の容器においては、長辺部は短辺部よりも、プラグとプレクランプエリアとの間隔を大きくしてある。
【0052】
[メンコから製造する方法]
図12〜図14は、メンコの製造方法を説明するための図面である。
図12は、本実施形態の製造方法を実施するためのメンコを製造するための圧縮成形機の概略側断面図である。
圧縮成形機200は、主に上型21、下型22及び固定盤23から構成されている。上型21と下型22は互いに対向していて、上型21は公知の方法により、上下方向に移動できる。下型22は固定盤23上に設けられ、型締め圧に耐える構造になっている。上型21と下型22を組合わせることによりメンコを成形する。
【0053】
次に、メンコの成形について具体的に説明する。
図12に示すように、公知の方法により加熱溶融した熱可塑性樹脂の塊であるゴブ24が下型22上に供給されている。
このときの、ゴブの温度は使用する樹脂にもよるが、260℃〜300℃である。300℃より高いとゴブ24の搬送が難しくなるおそれがあり、260℃より低いと、未溶融の結晶核が残りやすくなり、成形品が白化するおそれがある。
また、上型21の温度は、約20℃、下型22の温度は、約20℃である。
【0054】
図13は、上型21を移動し下型22と協動して型締めすることにより、ゴブ24をメンコに賦形したときの概略側断面図である。
ゴブ24は型締め圧により押し潰され、上型21及び下型22により賦形される。
型締め後、上型21を上昇させメンコ25を取り出す。
図14は、メンコの側断面図である。
メンコ25は、全体が平板形状となっており、中央部が底の浅い凹状をしており、後の工程により容器のフランジ部に成形される外周部26を有する。
なお、メンコの形状は本実施形態の形状に限られず、平面状等でもよいが、容器成形時にメンコの位置合わせが容易であることから、底の浅い凹状が好ましい。
【0055】
図15〜図18は、メンコを使用した実施形態を説明するための図面である。図15は、本発明の容器の製造方法を実施するための成形装置の概略側断面図である。
成形装置300は、主に、プラグ11、下金型12、上金型13から構成されている。すなわち、既に説明した成形装置100(図2)において、上プレクランプ金型14及び下プレクランプ金型15を設けていない他は、同じ構成となっている。したがって、図2に示す成形装置100と同一部分には同一の符号を付して、当該部分の詳しい説明は省略する。
【0056】
次に、メンコから容器を製造する方法について具体的に説明する。
なお、成形時のメンコの温度、金型の温度等の条件については、上記で説明したシートからカップ状容器を製造する際の条件と同じである。
図15に示すように、メンコ25はその外周部26が、下金型12のフランジ把持面122上に位置することで、下金型12及び上金型13の間に置かれている。メンコ25は公知の方法により加熱されている。
【0057】
図16は、メンコの外周部26をクランプしてフランジを成形する工程を示す側断面図である。
なお、メンコはシートと異なりフランジとなる部分を厚くすることが容易にできる。
この工程では、下金型12が上昇することにより、上金型13と協動して、把持面122と、把持面132でメンコ25の外周部26をクランプして、フランジを成形する。
【0058】
図17は、容器本体を成形するための延伸工程、及びヒートセット工程を示す側断面図である。
この工程では、プラグ11がストロークエンドまで、下金型12内部に挿入することで、メンコ25の中央部を延伸して配向結晶化した延伸部25’を形成する。その後、気体通路111から圧縮空気を供給し、樹脂を下金型12に接触させることによりヒートセット工程を行う。
【0059】
図18は、冷却・賦形工程を示す側断面図である。
この工程では、プラグ11の気体通路111から供給される圧縮空気を停止して、樹脂に自己収縮を起こさせる。そして、プラグ11の外表面まで収縮したときに、気体通路111を介して吸気を行い樹脂とプラグ11の間を真空にして、延伸部25’をプラグ11の外表面の形状に賦形する。このとき、下金型12の気体通路121から空気を供給してもよく、このようにすると賦形性が向上する。その後、金型を開き、プラグ11を上昇させ、最終成形体を取り出す。
【0060】
【実施例】
実施例及び比較例の特性の評価は以下のように行なった。
(1)面配向度(ΔP)及び平均屈折率(n)
カップから採取した試料につき、アッベ屈折計を用いて、23℃で試料面に垂直な方向(面法線方向)の屈折率(nα)及び試料面内の方向(面方向)の屈折率の最大値(nγ)及びそれに直交する面方向の屈折率(nβ)を測定し、得られた測定値から次式により算出した。
ΔP=0.5×(nβ+nγ)−nα
n=(nα+nβ+nγ)/3
(2)面積延伸倍率
成形前の元板厚と成形した容器の厚みから、成形前後の密度変化が小さいことから、次の近似式を用いて計算した。
面積延伸倍率≒元板厚み÷容器測定部の厚み
(3)透明性(白化)
目視により行なった。
(4)落下試験
カップに水を240cc充填し、蓋材をヒートシールして密封した後、5℃の雰囲気下に一昼夜放置し、その雰囲気下において50cmの高さから底面を下にして2回落下させ、容器の破損の有無を評価した。5カップとも変形、割れがない場合を○とした。なお、サンプル数は各5カップとした。
(5)賦形性
目視により、製品形状が得られていないものを賦形が困難とした。
(6)結晶化度
試料の密度d、結晶相の密度dc(=1.455)、および非晶相の密度da(=1.335)として、密度法により次式により求めた。
χc(%)=((dc÷d)×(d−da)÷(dc−da))×100
(7)耐熱性
100℃のオーブンに入れ、容器表面が約100℃になってから1分間放置した後の容器変形を目視で確認した。
【0061】
実施例1
上記の図2〜図9を用いて説明した方法によりカップ状容器を製造した。ポリエステルシートとして、厚さ1.2mm、ガラス転移温度73℃の非晶性ポリエチレンテレフタレートのシート(三井化学社製、品名:SA135)を使用し、以下に示す成形条件で製造した。
プレクランプ領域内径:95mm
シート温度:約95℃
プラグ温度:約90℃
上金型温度:約130℃
下金型温度:約150℃〜約160℃
上下プレクランプ金型温度:約30℃
ヒートセット工程及び賦形時の圧空条件:0.6MPa
第1の工程におけるプラグの挿入量:22.5mm
【0062】
得られたカップの形状は以下の通りであった。
底部直径:53mm、高さ(H):108mm、
口部直径(D)(フランジ部の内径):67.5mm、H/D=1.6、
フランジ部の外径:75mm、
底部肉厚:0.2mm、胴上部肉厚:0.35mm、
胴下部肉厚:0.17mm
評価結果を表1にまとめた。尚、この実施例及び以下の実施例、比較例で、胴下部は底部から10mm(高さ(H)の9.3%)に相当する部分であり、胴上部は底部から88mm(高さ(H)の81.5%)に相当する部分である。
【0063】
実施例2
下型温度を130℃に変えた以外は、実施例1と同様にしてカップを製造した。
評価結果を表1にまとめた。
【0064】
実施例3
シート温度を100℃に変えた以外は、実施例1と同様にしてカップを製造した。
評価結果を表1にまとめた。
【0065】
比較例1
シート温度を110℃に変えた以外は、実施例1と同様にしてカップを製造した。
評価結果を表1にまとめた。
【0066】
比較例2
上型温度と下型温度を共に50℃、シート温度を約110℃に変えた以外は、実施例1と同様にしてカップを製造した。
評価結果を表1にまとめた。
【0067】
比較例3
成形第一工程におけるプラグ挿入量を0mmに変えた以外は、実施例1と同様にしてカップを製造した。
評価結果を表1にまとめた。
【0068】
【表1】
Figure 2004115064
【0069】
上記の実施例1〜3及び比較例1〜3の、底部の面配向度と面積延伸倍率の関係を図19に示す。比較例1では、底部の面配向度が0.08未満であり、底部は白化しており、落下試験で5カップのすべてが割れた。また、比較例3では、面配向度が0.14を超えていて、底部は賦形が困難であった。更に、落下試験では薄肉化により変形したものがあった。
上記の実施例1〜3のカップは、透明性、賦形性、耐熱性及び耐衝撃性を満足していた。比較例1〜3のカップは、上記のように、透明性、耐衝撃性又は賦形性に問題があった。
また、従来の深絞りカップは底部に対し胴部が薄いので、胴部の把握強度を高めるためには胴部を厚くする必要があり、それに伴い、底部も厚くなり、減量化できなかった。しかし、この実施例のカップは、底部と胴部が必要以上に厚くないので、減容性(環境対応)に優れていた。
上記の実施例1〜3の、胴上部及び胴下部の面配向度と面積延伸倍率の関係を図20に示す。全ての実施例の胴下部の面配向度は本発明の範囲内である0.12≦ΔP≦0.16であり、胴上部の面配向度は本発明の範囲内である0.08≦ΔP≦0.13であることが確認できた。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性及び賦形性に優れるカップ状ポリエステル容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカップ状ポリエステル容器の一実施形態を示す側断面図である。
【図2】本発明のカップ状ポリエステル容器を製造するための固相成形装置の側断面図である。
【図3】ポリエステルシートを固定(プレクランプ)したときの側断面図である。
【図4】先行延伸工程を示す側断面図である。
【図5】ポリエステルシートの延伸した部分をクランプして成形する工程を示す側断面図である。
【図6】延伸工程を示す側断面図である。
【図7】ヒートセット工程を示す側断面図である。
【図8】冷却・賦形工程を示す側断面図である。
【図9】離型工程を示す側断面図である。
【図10】オーバル断面形状を有する容器を製造するときの成形装置の平面図である。
【図11】角断面形状を有する容器を製造するときの成形装置の平面図である。
【図12】メンコを製造するための圧縮成形機の概略側断面図である。
【図13】上型21を移動し下型22と協動して型締めすることにより、ゴブ24をメンコに賦形したときの概略側断面図である。
【図14】メンコの側断面図である。
【図15】本発明の容器の製造方法を実施するための成形装置の概略側断面図である。
【図16】メンコの外周部をクランプしてフランジを成形する工程を示す側断面図である。
【図17】容器本体を成形するための延伸工程、及びヒートセット工程を示す側断面図である。
【図18】冷却・賦形工程を示す側断面図である。
【図19】底部の面配向度と面積延伸倍率の関係を示す図である。
【図20】胴上部及び胴下部の面配向度と面積延伸倍率の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 カップ(カップ状ポリエステル容器)
2 底部
3 胴下部
4 胴上部
5 口部
6 フランジ
7 スタック
H 高さ
D 口部直径

Claims (5)

  1. 底部が以下の式(1)及び式(2)の条件を満たすカップ状ポリエステル容器。
    0.06≦ΔP≦0.14(1)
    20%≦χc≦60%  (2)
    (式中、ΔPは面配向度を示し、χcは結晶化度を示す。)
  2. さらに、胴下部が以下の式(3)及び式(4)の条件を満たす請求項1に記載のカップ状ポリエステル容器。
    0.12≦ΔP≦0.16 (3)
    20%≦χc≦50%   (4)
  3. さらに、胴上部が以下の式(5)及び式(6)の条件を満たす請求項1又は2に記載のカップ状ポリエステル容器。
    0.08≦ΔP≦0.13 (5)
    20%≦χc≦50%   (6)
  4. 前記ポリエステル容器のH(高さ)/D(口部直径)が、1.3〜1.9である請求項1〜3のいずれか一項に記載のカップ状ポリエステル容器。
  5. 前記胴上部にスタックがある請求項1〜4のいずれか一項に記載のカップ状ポリエステル容器。
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JP2012236401A (ja) * 2011-04-28 2012-12-06 Yoshino Kogyosho Co Ltd 容器の製造方法、これを用いた容器及び容器の製造装置、並びに容器

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