JP2001329055A - ラミネート用ポリエステルフィルム、ラミネート金属板および金属容器 - Google Patents

ラミネート用ポリエステルフィルム、ラミネート金属板および金属容器

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JP2001329055A JP2000155159A JP2000155159A JP2001329055A JP 2001329055 A JP2001329055 A JP 2001329055A JP 2000155159 A JP2000155159 A JP 2000155159A JP 2000155159 A JP2000155159 A JP 2000155159A JP 2001329055 A JP2001329055 A JP 2001329055A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属板との密着性および成形加工性に優れ、
リメルト処理や金属容器の製造後の加熱処理によって
も、オリゴマーの析出や白化が起こらず、しかも強度的
にも満足できるポリエステル積層フィルム、前記積層フ
ィルムを金属板にラミネートした積層フィルムラミネー
ト金属板、および前記積層フィルムラミネート金属板を
成形した金属容器を提供すること。 【解決手段】 昇温時の融解ピーク温度が190〜25
0℃の温度範囲に2つ以上あり、結晶化指数が0.30
〜0.70のポリエステルからなることを特徴とするラ
ミネート用ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、清涼飲料、ビール
などの飲料や食品の缶詰用の金属板にラミネートするた
めのポリエステルフィルム、前記ポリエステルフィルム
をラミネートした金属板、および前記フィルムラミネー
ト金属板を成形した金属容器に関するものであり、特に
2ピース缶の外壁面に好適に用いられるポリエステルフ
ィルム、前記ポリエステルフィルムをラミネートした金
属板、および前記フィルムラミネート金属板を成形した
金属容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属缶の内壁面および外壁面の腐食防止
方法として、熱可塑性樹脂フィルムをラミネートする方
法がある。例えば特開平7-227946号公報に食品
の缶詰用の金属板にラミネートするためのポリエステル
フィルムが開示されている。このポリエステルフィルム
は、例えば、金属板を円筒成形し、この円筒の上下開口
部分に蓋体を巻締め加工するという製罐工程において
も、フィルム表面にスクラッチ傷が発生せず、また製缶
後に食品を充填し、レトルト処理などの加熱処理を行っ
てもオリゴマーの溶出量が少ないので、金属容器の内外
壁面にラミネートするのに適している。
【0003】ところで、清涼飲料水用缶には、金属板を
円筒成形してなる金属円筒の上下開口部に蓋体を取り付
けてなる、いわゆる3ピース缶の他に、金属板を深絞り
成形して容器部を形成し、この容器部の上面開口部に蓋
体を巻締め加工してなる、いわゆる2ピース缶がある。
【0004】しかし、ポリエチレンテレフタレートを主
体とするポリエステルフィルムを2ピース缶に適用する
と、絞りしごき加工時の成形加工性および金属板に対す
るフィルムの密着性が不十分であり、デラミネート現象
が起こったり、破れたりする場合がある。この傾向は、
フィルムが配向状態にある2軸延伸フィルムにおいて、
より顕著に現れる。
【0005】したがって、2ピース缶に適用するために
は、金属板の成形に追随して成形されるという良好な成
形性を有し、金属板に対する密着性が優れている必要が
ある。成形性が不充分であったり、金属板に対するフィ
ルムの密着性が不充分な場合には、フィルムが金属板か
ら剥がれるという、いわゆるデラミネート現象が起こっ
たり、2ピース缶の容器部の作製時にフィルムが破れて
しまったりするからである。
【0006】このためフィルムラミネート金属板をピー
ス缶に適用する場合には、ラミネート後、ポリエステル
フィルムの配向を除去するために、フィルムを構成する
ポリエステルの融点以上で加熱した後、急冷するという
リメルト処理が行われることがある。リメルト処理後の
X線観察による配向度は、10%以下で、実質的に無配
向と言える。しかし、無配向フィルムは、一般に2軸延
伸フィルムと比べて強度が低く、オリゴマーが析出し易
くなったり、白化が起こり易くなる。
【0007】さらに、外壁面にラミネートされるフィル
ムについては、絞りしごき加工を経て製缶後に行われる
レトルト処理や印刷などの加熱処理によっても、オリゴ
マーの析出や白化が起こることがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的と
するところは、2ピース缶用のラミネートフィルムにも
適用できるように、金属板との密着性および成形加工性
に優れ、リメルト処理や金属容器の製造後の加熱処理に
よってもオリゴマーの析出や白化が起こらず、しかも強
度的にも満足できるポリエステル積層フィルム、積層フ
ィルムラミネート金属板および金属容器を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、特定の昇温時の融
解ピーク温度を有し、かつ特定の結晶化指数を有するポ
リエステルフィルムにより、上記目的が達成することが
できることを見出し、本発明に到達した。
【0010】本発明は、以下の通りである。 昇温時の融解ピーク温度が190〜250℃の温度
範囲に2つ以上あり、結晶化指数が0.30〜0.70の
ポリエステルからなることを特徴とするラミネート用ポ
リエステルフィルム。 前記1記載のポリエステルフィルムにおいて、昇温
時の融解ピーク温度が200〜260℃で、結晶化指数
が0.30〜0.70のポリエステルをA層、昇温時の融
解ピーク温度が180〜240℃で、結晶化指数が0.
30〜0.70のポリエステルをB層として積層し、か
つA層におけるポリエステルとB層におけるポリエステ
ルとの融解ピーク温度差が5〜25℃であることを特徴
とするラミネート用ポリエステルフィルム。 前記1または2に記載のポリエステルフィルムにお
いて2軸延伸ポリエステルフィルムであることを特徴と
するラミネート用ポリエステルフィルム。 前記1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィル
ムを金属板の少なくとも片面にラミネートしてなる積層
フィルムラミネート金属板。 前記4に記載のフィルムラミネート金属板を成形し
てなる金属容器。 ポリエステルフィルムが、実質的に非晶・無配向と
なるように熱処理してなる前記4に記載のフィルムラミ
ネート金属板。 ポリエステルフィルムが、実質的に非晶・無配向と
なるように熱処理してなる前記5に記載の金属容器。 深絞り缶である前記5または7に記載の金属容器。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルフィルム
は、以下に示すような、特定のポリエステル層で構成さ
れているフィルムである。本発明のポリエステルフィル
ムは昇温時の融解ピークが190〜250℃の温度範囲
に2つ以上あり、結晶化指数が0.30〜0.70のポリ
エステルであることを特徴とするポリエステルフィルム
である。昇温時の融解ピーク温度が190〜250℃と
あるのは、金属板とのラミネート工程や、ラミネート工
程後に行われるリメルト処理、さらに金属容器の製造後
の加熱処理によってもポリエステルが溶融しないためで
ある。さらに、融解ピークが2つ以上ありことにより上
記製缶工程での白化が抑えられる。また、結晶化指数が
0.30〜0.70とあるのは、加熱後急冷処理された
ときに、白化や白化斑の原因となる粗大結晶が析出しな
いようにするためである。
【0012】すなわち、一般的なポリエチレンテレフタ
レートの結晶化指数よりも小さい、つまり0.30未満
であると、ラミネート後、実質的に無配向化するために
行う溶融急冷の際に、結晶化する速度が遅く、粗大結晶
ができやすい。したがって、レトルト処理工程時、粗大
結晶生成に伴う白化や白化斑の生成を防止することがで
きる。一方、結晶化指数が0.7より大きいと製膜性が
低下するため好ましくない。結晶化指数は、金属板への
ラミネート前又は後、0.3〜0.7の範囲にあること
必要であるが、ラミネート前後においてこの範囲にあっ
ても良い。フィルムを構成するポリエステルは、上記要
件を満たすものであれば特に制限されないが・ポリエチ
レンテレフタレート共重合体および/またはポリブチレ
ンテレフタレート共重合体が好適に使用される。
【0013】上記ポリエステルフィルムは、積層フィル
ムであることが好ましい。各層に適した特性を付与する
ことにより、金属板との密着性や成形加工性をさらに適
したものにすることができる。本発明のポリエステル積
層フィルムの、金属板とラミネートされない側を構成す
るポリエステル層(以下、「ポリエステル層A」と略記
する。)と金属板とラミネートされる側を構成するポリ
エステル層(以下、「ポリエステル層B」と略記す
る。)について説明する。A層は、昇温時の融解ピーク
温度が200〜260℃で、結晶化指数が0.30〜
0.70のポリエステルで構成される。また結晶化指数
が0.30〜0.70とあるのは、金属板とのラミネー
ト工程や、ラミネート工程後に行われるリメルト処理、
さらに金属容器の製造後の加熱処理およびそれに続く急
冷処理されたときに、白化や白化斑の原因となる粗大結
晶が析出しないためである。B層は、昇温時の融解ピー
ク温度が180〜240℃で、結晶化指数が0.30〜
0.70のポリエステルで構成される。昇温時の融解ピ
ーク温度が180〜240℃とあるのは、ラミネート金
属板の製造に際して、ポリエステルが溶融し金属板と十
分に密着させるためである。
【0014】さらに、B層におけるポリエステルの融解
ピーク温度は、A層におけるポリエステルの融解ピーク
温度よりも5〜25℃低くなるように選択する。これは
ラミネート金属板の製造に際して、B層のポリエステル
が溶融するときに、A層のポリエステルが溶融しないた
めである。
【0015】A層およびB層を構成するポリエステル
は、上記要件を満たすものであれば特に制限されない
が、ポリエチレンテレフタレート共重合体および/また
はポリブチレンテレフタレート共重合体が好適に使用さ
れる。
【0016】上記のポリエステルを構成する他の共重合
体成分としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、4,4'−ジカルボキシルジフェニル、4,
4'−ジカルボキシルベンゾフェノン、ビス(4−カルボ
キシルフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸、シクロヘキサン−
1,4−ジカルボン酸、ダイマー酸などのジカルボン酸
成分;プロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノー一ルAのエチレンオキサイド付加物、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリテトラメチレングリコールなどのグリコール成分;
p−オキシ安息香酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸な
どのオキシカルボン酸成分等が挙げられる。また、これ
ら以外の共重合体成分として少量のアミド結合、ウレタ
ン結合、エーテル結合、カーボネート結合などを含有す
る化合物を使用してもよい。
【0017】本発明におけるポリエステルは、直接エス
テル化法、エステル交換法などの従来公知の方法により
合成される。これらの方法は、それぞれ回分式および連
続式のいずれの方法で行ってもよい。あるいは、分子量
を高めるために固相重合法を用いてもよい。なお積層フ
ィルムにおけるそれぞれのポリエステルは、1種類のみ
でもよいし、2種以上が混合して含まれていてもよい。
2種以上を混合する場合には、結晶化指数を最適化する
ためエステル交換度を調節することが好ましい。このエ
ステル交換度を調節する方法として、溶融滞留時間の減
少、触媒の失活、酸化防止剤や熱安定剤などの添加等が
挙げられるが、特に制限するものではない。
【0018】またポリエステルは、前記要件を満たす範
囲内で、必要に応じて滑剤、非相溶の熱可塑性樹脂、酸
化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯
電防止剤、潤滑剤、結晶核剤などを含有してもよい。滑
剤としては、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、酸
化チタン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化
リチウム、硫酸バリウム、力一ポンプラックなどの不活
性無機微粒子を使用することができる。この滑剤を0.
05〜1重量%含有させることにより、成形加工時の金
型との雛型性を向上させることができる。
【0019】本発明の積層フィルムラミネート金属板を
2ピース缶に適用する場合、ラミネート後、ポリエステ
ルの配向を除去するために、フィルムを構成するポリエ
ステルの融点以上で加熱した後、急冷するというリメル
ト処理を行うことが好ましい。このリメルト処理によ
り、積層フィルムは実質的に非晶・無配向となるため、
デラミネートや破れなどが生じることなく、2ピース缶
のような金属板の塑性変形を伴う成形を行うことができ
るようになる。しかも本発明の積層フィルムでは、無配
向であってもオリゴマーの析出や白化が起こらない。
【0020】ポリエステルフィルムをラミネートしてな
る2ピース缶に、飲料を充填し、レトルト処理などの加
熱を行ったときに、ポリエステル層からオリゴマーが多
量に溶出すると衛生上好ましくない。さらに、このオリ
ゴマーが食品に移行して、食品の味やフレーバーに対し
て悪影響を及ぼすことになる。また、ポリエステル層が
缶外壁にラミネートされている場合にオリゴマーが析出
すると、外観が損なわれて好ましくない。
【0021】特に、A層を構成するポリエステルは、フ
ィルムにおけるオリゴマーの析出を抑制するためには、
エチレンテレフタレート環状三量体が少ないことが望ま
しく、その含有量は好ましくは0.7重量%以下、より
好ましくは0.5重量%以下である。エチレンテレフタ
レート環状三量体の含有量を0.7重量%以下にする方
法は特に限定せず、前記環状三量体の少ないポリエステ
ルを用いてA層を形成する方法、積層フィルム形成後に
このフィルムから水または有機溶剤で該環状三量体を抽
出する方法などが挙げられる。
【0022】前記環状三量体の少ないポリエステルを製
造する方法は、特に限定されず、固相重合法や重合後、
減圧加熱処理あるいは水又は有機溶剤による抽出除去す
る方法、さらにはこれらの方法を組み合わせた方法など
が挙げられる。特に固相重合法により環状三量体含有量
の少ないポリエステルを製造した後、得られたポリエス
テルを水で抽出してさらに環状三量体を低減させる方法
がフィルム形成工程での環状三量体の生成量が少なく好
ましい。
【0023】またA層を構成するポリエステルの極限粘
度は、得られるフィルムの力学特性および原料ポリエス
テルの生産性からみて、0.6〜1.2の範囲が好まし
い。
【0024】積層フィルムの製造方法としては、特に限
定されず、例えば多層押出し法、押出しラミネート法な
どが挙げられる。またA層およびB層の2層構造に限ら
ず、A層とB層との間にさらに他のポリエステル層が積
層された多層構造でもよい。多層構造の場合にも、積層
フィルム全体として結晶化指数が0.30〜0.70で
あることが、白化および白化斑防止のために必要であ
る。
【0025】積層フィルムは、無延伸フィルムでもよい
が、耐熱性および耐フレーバー性をさらに向上させるに
は2軸延伸することが好ましい。2軸延伸法としては、
逐次2軸延伸、同時2軸延伸、それらを組合わせたいず
れの方法でもよい。
【0026】積層フィルムにおけるA層およびB層の厚
みは、それぞれ3〜20μmが好ましい。A層の厚みが
3μm未満では、絞り加工などにおいて十分な雛型性が
得られず、またB層の厚みが3μm未満では、金属板に
対する十分な密着性が得られないからである。積層フィ
ルム全体としての厚みは、6〜40μmが好ましい。
【0027】本発明の積層フィルムラミネート金属板
は、ポリエステル積層フィルムのB層を金属板の少なく
とも片面にラミネートして得られるが、ラミネートする
方法としては特に限定されず、例えばドライラミネート
法、サーマルラミネート法などを採用することができ
る。具体的には、B層のポリエステルが溶融しうる温度
で、A層のポリエステルが溶融しない温度に加熱した金
属板の表面に積層フィルムのB層を接触させ、かかる状
態でニップロール間を通過させることによりB層のポリ
エステルを溶融させる。ついで10〜40℃で急冷硬化
させることにより、ラミネートさせる。ニップロールを
通過させた後、必要に応じてB層のポリエステルの融点
以上で熱処理してもよい。ポリエステル積層フィルムを
金属板の両面にラミネートする場合には、同時にラミネ
ートしても逐次でラミネートしてもよい。
【0028】本発明の金属容器は、2軸延伸または非晶
・無配向の積層フィルムラミネート金属板を、適宜成形
することによって得られる。金属容器の形状および成形
方法は、特に限定されないが、例えば形状としては缶
状、瓶状、樽状などであり、また成形方法としては絞り
成形法、しごき成形法、絞りしごき成形法などを採用す
ることができる。
【0029】本発明の金属容器には、必要に応じて印刷
などを施してもよい。なお印刷した場合、インクの焼き
付けによりリメルト処理と同様の効果が得られるので、
2ピース缶の胴部のように絞りしごき成形時に配向が生
じても、印刷工程を経ることにより再び無配向状態に戻
すことができる。したがって絞りしごき成形直後の2ピ
ース缶のように、配向状態になっている場合には、印刷
などによって再度リメルト処理を行って、フィルムの配
向度をX線観察で10%未満にすることが好ましい。
【0030】本発明における結晶化指数(CI)は、下
記の測定方法で算出する。試料約10mgを、50℃/
分の昇温速度で300℃まで加熱し1分間保持した後、
液体窒素で急冷し、示差走査型熱量計を使用して、20
℃/分の昇温速度で昇温していき、結晶化熱(Hc)と融
解熱(Hm)を測定し、下記式より算出する。CI=(H
m一Hc)/Hm
【0031】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の内容及び効果
を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しな
い限り以下の実施例に限定するものではない。 (実施例) (ポリエステル積層フィルムの製造)A層用のポリエステ
ルとして、下記の組成物A1、A2、A3、A4をそれ
ぞれ40、40、20、0.7重量部の混合物を用い
た。この組成物の昇温時の融解ピークが220℃と24
0℃に現れ、結晶化指数は0.48であった。B層用の
ポリエステルとして、下記の組成物B1、B2、B3、
B4をそれぞれ42、26、26、6重量部の混合物を
用いた。この組成物の昇温時の融解ピークが205℃と
216℃にショルダーとして現れ、結晶化指数は0.3
2であった。 A1:凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径2.5μm)
を0.2wt%を含有させ、高温の窒素雰囲気下で低オ
リゴマー化させて得た極限粘度0.62、エチレンテレ
フタレート環状3量体が0.4wt%のポリエチレンテ
レフタレート。 A2:重合後固相にて真空下で分子量を上げた極限粘度
1.1のポリブチレンテレフタレート。 A3:ジカルボン酸成分がテレフタル酸単位が90モル
%、ダイマー酸単位が10モル%よりなり、ジオール成
分がエチレングリコール単位100モル%の極限粘度が
0.7の共重合ポリエステル。 A4:リン化合物系の酸化防止剤(旭電化工業(株)
製:商品名 「アデカスタグ/PEP−36」) B1:ジカルボン酸成分がテレフタル酸単位が90モル
%、ダイマー酸単位が10モル%よりなり、ジオール成
分がエチレングリコール単位100モル%の共重合ポリ
エステル。 B2:重合後固相にて真空下で分子量を上げた極限粘度
1.1のポリブチレンテレフタレート。 B3:ジカルボン酸成分がテレフタル酸単位が65モル
%、イソフタル酸単位が10モル%、アジピン酸単位2
5モル%よりなり、ジオール成分がブタンジオール単位
100モル%、極限粘度1.1の共重合ポリエステル。 B4:凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径2.5μm)
を0.2wt%を含有させ、高温の窒素雰囲気下で低オ
リゴマー化させて得た極限粘度0.62、エチレンテレ
フタレート環状3量体が0.4wt%のポリエチレンテ
レフタレート。 これらのA層用およびB層用のポリエステルを別々の押
出し機で溶融させ、この溶融体をダイ内で合流させた
後、押出し急冷して未延伸積層シートを得た。
【0032】この未延伸積層シートを、予熱温度65
℃、延伸温度100℃で、縦方向に3.3倍延伸し、さ
らにテンター中で予熱温度65℃、延伸温度90℃で、
横方向に4.0倍延伸した後、210℃で8秒間熱処
理、190℃で5%の弛緩処理を行い、厚み12μm(A
層およびB層の厚みはそれぞれ6μm)の2軸延伸積層フ
ィルムを得た。このフィルムの昇温時の融解ピークが2
18℃と248℃に現れ、結晶化指数は0.52であっ
た。
【0033】(積層フィルムラミネート金属板の製造)予
熱したアルミニウム合金板の片面に、上記ポリエステル
積層フィルムのB層が接するように、ニップロール間を
通過させてラミネートした後、熱処理を行い、直後に1
0〜40℃の水槽中で急冷し、片面に積層フィルムがラ
ミネートされたアルミニウム合金板を得た。ラミネート
時には、初期密着性や張力変動、ニップロールヘの巻付
き等もなく、本実施例の積層フィルムのラミネート適性
は良好であった。
【0034】(金属容器の製造)上記で製造した積層フィ
ルムラミネート金属板を、板厚減少率55%で、フィル
ムラミネート面が外壁面側となるように、絞りしごき成
形を行って金属容器を製造した。成形時には、フィルム
の剥離や破れがなく、金型との雛型性もよく、また熱処
理後の急冷時にもフィルムの白化による外観変化はなか
った。
【0035】さらにフィルムがラミネートされた外壁面
胴部を印刷した後、ニスを塗布し、加熱硬化後、冷風で
急冷した。
【0036】このようにして成形した金属容器に飲料を
充填し、タブの付いた蓋を巻き締め接合後、125℃で
30分間レトルト殺菌をして、2ピース飲料缶を製造し
た。得られた飲料缶の外壁面には、白化および白化斑も
なかった。 (比較例)リン化合物系の酸化防止剤を添加しない以外
は実施例と同様にしてフィルムを得た。結晶化指数が
0.3未満のために白化した。
【0037】
【発明の効果】本発明のポリエステル積層フィルムは、
構成するポリエステルの融解ピーク温度とその温度差を
規定することにより、金属板と十分に密着させることが
でき、また結晶化指数を通常のポリエチレンテレフタレ
ートよりも大きくすることにより、溶融後急冷して非晶
無配向化してもオリゴマーの析出や白化することがない
ため、温水レトルト殺菌等が施される飲料や食品の缶詰
に用いられるラミネートフィルム、特に2ピース缶の外
壁面に好適に用いられる。
【0038】本発明の積層フィルムラミネート金属板
は、金属板との密着性および成形加工性に優れており、
さらにラミネート後リメルト処理して実質的に非晶無配
向化することにより、デラミネートや破れなどが生じる
ことなく、2ピース缶のような金属板の塑性変形を伴う
成形を行うことができる。
【0039】本発明の金属容器は、容器の製造、飲料や
食品の充填後に行われるレトルト処理および印刷処理に
よっても、オリゴマーの析出や白化が起こることがな
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 67:00 C08L 67:00 Fターム(参考) 3E086 AD30 BA04 BA13 BA15 BB41 BB58 CA01 CA03 CA11 4F071 AA46 AA87 AA88 AA89 AF14 AF53 AH05 BA01 BB06 BB08 BC01 4F100 AA04H AA20H AB01C AB10 AB31 AK41A AK41B AK42 AK42J AL01 AL05 BA02 BA03 BA05 BA06 BA07 BA10A BA10C BA13 CA06 CA23 EJ38A EJ38B EJ42 GB16 GB23 JA04A JA04B JA11A JA11B JA12 JK06 JL00 JL01 JN30 YY00A YY00B 4J029 AA01 AA03 AB01 AC01 AC02 AD08 AD10 AE03 BA08 BA10 BD03A BF09 BF23 BF25 BF26 CA02 CA06 CB05A CB05B CB06A CB10A CB12A CC06A CD03 EB04A GA11 GA12 HA01 HB01 HB03A

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昇温時の融解ピーク温度が190〜25
    0℃の温度範囲に2つ以上あり、結晶化指数が0.30
    〜0.70のポリエステルからなることを特徴とするラ
    ミネート用ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリエステルフィルムに
    おいて、昇温時の融解ピーク温度が200〜260℃
    で、結晶化指数が0.30〜0.70のポリエステルをA
    層、昇温時の融解ピーク温度が180〜240℃で、結
    晶化指数が0.30〜0.70のポリエステルをB層とし
    て積層し、かつA層におけるポリエステルとB層におけ
    るポリエステルとの融解ピーク温度差が5〜25℃であ
    ることを特徴とするラミネート用ポリエステルフィル
    ム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のポリエステル
    フィルムにおいて2軸延伸ポリエステルフィルムである
    ことを特徴とするラミネート用ポリエステルフィル
    ム。。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のラミネ
    ート用ポリエステルフィルムを金属板の少なくとも片面
    にラミネートしてなるラミネート金属板。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のラミネート金属板を成
    形してなることを特徴とする金属容器。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載のラミネート用ポリエス
    テルフィルムが、実質的に非晶・無配向となるように熱
    処理してなることを特徴とするフィルムラミネート金属
    板。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載のラミネート用ポリエス
    テルフィルムが、実質的に非晶・無配向となるように熱
    処理してなることを特徴とする金属容器。
  8. 【請求項8】 請求項5または7に記載に記載の金属容
    器であって、深絞り缶であることを特徴とする請求項5
    または7に記載の金属容器。
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