JP3846989B2 - ツーピース缶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物被覆金属板およびこの樹脂組成物被覆金属板からなるツーピース缶とその製造方法に関し、より詳細には特定の組成の樹脂組成物が被覆されてなる樹脂組成物被覆金属板およびこの特定組成の樹脂組成物が被覆された樹脂組成物被覆金属板からなるツーピース缶とその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
飲料缶用や食缶用として一般的に使われている金属板の内面に熱可塑性樹脂を被覆し、このラミネート材を用いて薄肉化絞り缶や絞りしごき缶を製造する方法については、すでに多くの提案がなされている。例えば、特定のポリエステルフィルムを金属板に接着後、急冷して樹脂層の結晶化度を30%以内にした被覆金属構造物(特公昭57−23584号公報)が提案されている。
しかしながら特公昭57−23584号公報に開示された被覆金属構造物は、成形加工前の被覆樹脂層の結晶化度が0〜30%のため無定形部分が70%以上存在することから薄肉化絞り成形や絞りしごき成形に優れた加工性を有するが、製缶工程の例えば印刷・塗装工程のインキや塗料を硬化させるための加熱処理や内容物充填後の加熱殺菌処理により樹脂皮膜層の無定形部分が結晶化し、樹脂層が乳白色化する外観不良や缶と缶が衝突するなどの不規則な外部からの衝撃で変形した部分の被覆樹脂にクラックが生じやすく内容物への金属溶出やそれに伴う内容物のフレーバーの消失あるいは変化、内容物の変色の危険があり、缶用素材として未だ実用化にいたっていない。
【0003】
また、耐熱水性に優れたポリエステル樹脂被覆金属板(特開平6−155660号公報)に開示されている方法は、ポリエステル樹脂よりなる二軸配向フィルムを金属板に熱融着により積層し、積層後の被覆樹脂層に於いて金属板近傍の樹脂層の結晶化の状態および非近傍の樹脂層の配向の状態を適正範囲に制御することで優れた加工性、加工密着性を有し、かつレトルト処理をしても乳白化しない特性を有する優れた缶用素材を提供するものであるが、この優れた特性を得るためには被覆樹脂層の二軸配向度を適性範囲に制御することが必要なため金属板と二軸配向フィルムの熱融着条件を厳密に管理する必要があり、さらに積層前の二軸配向フィルムの二軸配向状態も考慮しなければならない煩わしさがある。
【0004】
特開平6−255022号公報では、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂をブレンドした樹脂組成物で金属板を被覆することによって、すぐれた耐衝撃加工性を付与し、薄肉化深絞り缶、絞りしごき缶などに適した缶用素材が提案されているが、ポリカーボネート樹脂は内容物のフレーバー成分を吸着しやすい性質があるため缶の内面用に使用した場合、内容物を充填後、経時的に内容物の味覚が変化する欠点があるため味の濃いスープやミルクコーヒーなどには使用できるが、味の薄いお茶類、ブラックコーヒー、オレンジジュースなどには適用できず、缶用素材としての適用が大幅に制限される。
【0005】
このフレーバー吸着性改善案として特開平7−9616号公報では、上層がフレーバー性の維持が可能なポリエステル樹脂、下層が耐衝撃加工性の良好なポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂をブレンドした樹脂組成物からなる複合樹脂層を金属板に積層する方法を提案しているが、樹脂層を積層構造とする必要があるため、装置にコストがかかり、工程が複雑化し、そのうえ製膜が難しいので、製造効率があがらず、実用化は困難である。
【0006】
このように従来の樹脂被覆金属板およびこれからなる薄肉化絞り缶や絞りしごき缶等のツーピース缶は、いずれもレトルト殺菌処理による外観不良、充填レトルト殺菌後に缶が外部から不規則な衝撃を受け変形した部位の樹脂層に生じるクラック、被覆樹脂の配向状態を制御および管理する煩わしさ、耐衝撃性は優れているがフレーバー性が悪い、経済的ではないなどの欠点があり、これらの問題点を解決することが課題となっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の樹脂被覆金属板およびこれからなる薄肉化深絞り缶や絞りしごき缶などにおける前記問題が解消された、特定の組成の樹脂組成物を金属板に被覆した樹脂組成物被覆金属板およびこれからなるツーピース缶とその製造方法を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、金属板の片面又は両面に、ポリアリレート樹脂3〜40重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂12〜78重量%、およびポリエチレンテレフタレート樹脂12〜78重量%をブレンド(全体で100重量%になる)してなる樹脂組成物が直接または有機樹脂皮膜層を介して被覆されており、かつこの被覆樹脂組成物の結晶状態が結晶化分率で40%を超えないものであることを特徴とする樹脂組成物被覆金属板に関する。
【0009】
本発明の第二は、前記ポリアリレート樹脂が、芳香族ジカルボン酸と2価フェノールから構成され、ガラス転移温度が160℃〜250℃、好ましくは180℃〜230℃の樹脂である請求項1記載の樹脂組成物被覆金属板に関する。
【0010】
本発明の第三は、請求項1または2記載の樹脂組成物被覆金属板を、少なくとも内面側が樹脂組成物皮膜になるように薄肉化深絞りまたは絞りしごき加工をしてなるツーピース缶であって、該樹脂組成物皮膜の結晶化分率が40%を超えないものであることを特徴とするツーピース缶に関する。
【0011】
本発明の第四は、請求項1または2記載の樹脂組成物被覆金属板を用いて、少なくとも樹脂組成物被覆が内面となるように薄肉化深絞りまたは絞りしごき加工を施し、しかる後にポリエチレンテレフタレートの融点〔Tm〕から〔Tm+40℃〕の温度で印刷インキおよび/または塗装塗料の硬化焼き付けを行い、これを急冷することを特徴とする請求項3記載のツーピース缶の製造方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる金属板は、缶用材料として通常用いられている金属板を挙げることができ、具体的には、表面処理鋼板系としては電解錫めっき鋼板(ブリキ)、電解クロム酸処理鋼板(TFS−CT)、電解ニッケルめっき鋼板(TFS−NT)などを挙げることができ、またアルミニウム系では、アルミニウム合金板またはリン酸クロメート処理アルミニウム合金板などを挙げることができる。
この金属板は、厚さが通常0.08〜0.5mm、好ましくは0.1〜0.3mmである。厚さが0.5mmを超えるような缶体強度が必要とされる飲料缶または食缶はなく材料が無駄であり、0.08mm未満の厚みでは金属板の製造自体が困難となり値段的に割高となる。
【0013】
本発明において使用樹脂とその使用量を特定化した理由は、それによって加工性、加工密着性、缶への内容物充填後のレトルト殺菌による被覆樹脂組成物皮膜の乳白化の程度、缶が外部から不規則な衝撃を受けた場合に発生する被覆樹脂組成物皮膜のクラックの程度などの特性が変化することを見いだし、各々の樹脂の長所を引き出すと同時に各々の欠点を補いあうようにしたためである。
【0014】
本発明者らは、ポリアリレート樹脂が耐衝撃性、特に低温衝撃性に優れた樹脂であることを見いだし、本発明の樹脂組成物中の一成分として使用するものである。ポリアリレート樹脂を単独で金属板に被覆すれば缶性能面の問題は解消するが、比較的高価な樹脂材料であり経済的ではない。このポリアリレート樹脂の物性を最大限に生かすべく種々検討した結果、ポリアリレート樹脂の組成比として樹脂組成物のうち3〜40重量%が適当な範囲であり、より好ましい範囲は10〜30重量%である。ポリアリレート樹脂の組成比が樹脂組成物のうちの40重量%を超えると他の樹脂とブレンドした時の均一な混練りが困難となり被覆樹脂組成物層の均一性が悪くなり成形に支障をきたすようになる。ポリアリレート樹脂の組成比が樹脂組成物のうち3重量%未満ではポリアリレート樹脂の性能が発揮されず、耐衝撃性、特に低温衝撃性の効果が認められない。
【0015】
本発明におけるポリアリレート樹脂は、芳香族ジカルボン酸と2価フェノールから構成された実質的に非晶性の樹脂であり、ガラス転移温度が160℃〜250℃、更には180℃〜230℃のものが好ましい。ガラス転移温度が160℃未満では、該樹脂を含む被覆樹脂組成物が内容物中に含まれるフレーバー成分を吸着する場合がある。一方、250℃を超えると、該樹脂を含む被覆樹脂層の成形温度が高くなり、該樹脂を含んだ樹脂組成物の成形が難しくなる。
【0016】
ポリアリレート樹脂を構成する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を例示することができ、2価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシルビフェニル、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン等を例示することができる。
【0017】
特にテレフタル酸とイソフタル酸、及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから実質的に構成されるポリアリレート樹脂は、耐熱性、及び機械特性に優れ、工業生産も行われていることから、本発明において該樹脂を使用することは特に好ましい態様である。
【0018】
このようなポリアリレート樹脂は、界面重合、溶液重合や溶融重縮合反応等の公知の方法によって製造することができる。
【0019】
本発明における樹脂組成物中において、ポリブチレンテレフタレート樹脂は、12〜78重量%が適当であり、より好ましい範囲は35〜72重量%である。ポリブチレンテレフタレート樹脂の組成比が樹脂組成物のうち78重量%を超えるとレトルト殺菌による被覆樹脂組成物層の乳白化防止には好ましいが、加工密着性が劣化し、成形中に樹脂組成物被覆層が金属板から剥離する場合があり、安定した製造が困難となる。またポリブチレンテレフタレート組成比が樹脂組成物のうちの12重量%未満ではレトルト殺菌による被覆樹脂組成物層の乳白化が発生する。
【0020】
本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを主成分として溶融重縮合反応させ、あるいはひき続いて固相重合を行って得られるポリエステル樹脂であり、極限粘度が0.60〜2.0dl/g、さらには0.80〜1.6dl/gであることが好ましい。
極限粘度が0.60dl/g未満では、成形に耐えうる機械的強度を有した被覆樹脂組成物皮膜を得ることが難しく、2.0dl/gを超えると、樹脂組成物皮膜の金属板への接着性が損なわれる場合がある。
【0021】
ただし、ポリブチレンテレフタレート樹脂は、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜、他の成分を共重合したものでも良いが、主成分としてのテレフタル酸と1,4−ブタンジオールは、それぞれ70モル%以上存在する必要がある。
【0022】
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂の共重合成分としての酸成分としては、イソフタル酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、ε−カプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸や、(無水)トリメリット酸、トリメシン酸、(無水)ピロメリット酸等の多官能カルボン酸を挙げることができる。
【0023】
また、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂の共重合成分としてのアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド、あるいはプロピレンオキシド付加物等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコール等を挙げることができる。
【0024】
これらの成分は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を単独で示差走査熱量(DSC)測定に供した場合に、その融点が215〜223℃を満足する範囲で共重合されるべきである。該樹脂の融点が215℃未満の場合には、これを原料として得た被覆樹脂組成物皮膜のフレーバー性が劣ったり、レトルト殺菌処理により乳白化する等の不都合を生じる場合がある。なお223℃とは、何ら共重合されていないポリブチレンテレフタレートの融点である。
【0025】
ポリエチレンテレフタレート樹脂の組成比としては、樹脂組成物のうち12〜78重量%が適当であり、より好ましい範囲は14〜45重量%の範囲である。ポリエチレンテレフタレート樹脂の組成比が樹脂組成物のうちの78重量%を超えると、加工密着性には好ましいがレトルト殺菌による被覆樹脂層の乳白化が発生する。またポリエチレンテレフタレートの組成比が樹脂組成物のうちの12重量%未満では加工密着性が劣化し、成形中に樹脂組成物被覆層が金属板から剥離する場合があり、安定した製造が困難となる。
【0026】
本発明において用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸とエチレングリコールとを主成分として溶融重縮合反応させ、あるいは引き続いて固相重合を行うことによって得られる樹脂であり、極限粘度は0.50〜0.90dl/g、さらには0.55〜0.80dl/gであることが好ましい。極限粘度が0.50dl/g未満では、成形に耐え得る機械的強度を有した被覆樹脂組成物皮膜を得ることが難しく、極限粘度が0.90dl/gを超えると、樹脂組成物皮膜の金属板への接着性が損なわれる場合がある。
【0027】
ただし、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜、他の成分を共重合したものでも良いが、主成分としてのテレフタル酸とエチレングリコールは、それぞれ70モル%以上存在する必要がある。
また、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂は、DSC測定に供した場合に、その融点が224℃〜256℃、好ましくは234℃〜256℃を満足する範囲で共重合されるべきである。該樹脂の融点が224℃未満の場合は、これを原料として得た被覆樹脂組成物皮膜のフレーバー性が劣ったり、レトルト殺菌処理により乳白化するなどの不都合を生じる場合がある。なお、256℃とは、何ら共重合されていないポリエチレンテレフタレート樹脂の融点である。
【0028】
なお樹脂組成物には必要に応じて、適量の顔料、滑剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、安定剤等を添加しても良い。
【0029】
ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンテエフタレート樹脂をブレンドしてなる樹脂組成物を公知の方法でフィルム状にしたあとで金属板に貼りあわせるフィルムラミネート法、もしくは溶融した前記樹脂組成物を直接鋼板に被覆する押し出しラミネート法により金属板に被覆することもできる。樹脂組成物の金属板へのラミネートにおいては後述する通り、各樹脂の熱的物性を考慮にいれなければならない。すなわち、ポリアリレート樹脂は実質的に非晶性であり、融点のない樹脂である。ポリブチレンテレフタレート樹脂の融点は215〜223℃、ポリエチレンテレフタレート樹脂の融点は224〜256℃であり、上記のフィルムラミネート法あるいは押出しラミネート法によって得た樹脂組成物被覆金属板は、被覆樹脂組成物において両者とも、同様の熱的物性を有する。
【0030】
フィルムラミネート法では金属板を予備加熱し、金属板の片面あるいは両面に樹脂組成物フィルムを貼り合わせる時の金属板の温度は、ポリブチレンテレフタレートの樹脂の融点以上の温度からポリエチレンテレフタレート樹脂の融点以下の温度、すなわち215〜256℃の範囲が適当であり、より好ましくは225〜240℃である。金属板の温度が215℃未満では樹脂組成物フィルムの金属板に対する密着力が弱く不安定な被覆となる。金属板の温度が256℃を超えると金属板と樹脂皮膜の密着性には好ましいが樹脂組成物フィルムが金属板上で完全に溶融してしまい、貼り合わせロールに粘着する可能性がある。この時の金属板を加熱する方法は熱風加熱方式、電熱ロール加熱方式、高周波加熱方式、赤外線加熱方式が好適に利用される。金属板に樹脂組成物フィルムをラミネートした後、さらに、ポリエチレンテレフタレート樹脂の融点以上に加熱、すなわち256〜300℃に加熱し金属板上の被覆樹脂組成物層を溶融させて、樹脂組成物フィルム製造において二軸延伸されたことにより樹脂層に生成した二軸配向結晶を消滅させた後で急冷し、被覆樹脂層の結晶構造を無定形化する。加熱温度が256℃未満では樹脂組成物フィルムが全体的に溶融しないために、被覆樹脂組成物層に二軸配向結晶が残存し成形性に影響するので安定した成形を行うには二軸配向結晶の残存量を厳密に制御する必要が生じる。加熱温度が300℃を超えるとポリブチレンテレフタレート樹脂が熱劣化する恐れがある。加熱後の急冷は速く低温にするほど好ましい。加熱された樹脂組成物被覆金属板の冷却速度により被覆樹脂組成物層の結晶化度は変化するが、被覆樹脂組成物皮膜の結晶化分率が40%を超えないように急冷する必要があり、より好ましくは20%以下に制御するのが良い。被覆樹脂組成物被覆の結晶化分率が40%を超えると樹脂組成物皮膜は堅くなり、加工性が悪く、内面品位の良いツーピース缶を安定して製造するのが困難となる。
【0031】
本発明における結晶化分率は下記方法により求めたものである。
(1) 樹脂組成物被覆金属板を浴温25℃以下の希塩酸に浸漬し、金属板を完全に溶解し、被覆樹脂組成物だけを取り出して蒸留水中に3時間浸漬後、水を拭き取り25℃の雰囲気のシリカゲルを入れたデシケーター中で24時間乾燥して得た被覆樹脂組成物をサンプルaとした。
(2) 上記(1)と同様な被覆樹脂組成物金属板を285℃の温度で窒素中で1分間加熱後、直ちに液体窒素中に浸漬した。その後上記(1)と同様の手順で得た被覆樹脂組成物をサンプルbとした。
(3) 上記(1)と同様な被覆樹脂組成物金属板を、被覆樹脂組成物の結晶化温度範囲中で最も密度が高くなる温度で、窒素中で60分間加熱後、徐冷した。その後、上記(1)と同様の手順で得た被覆樹脂組成物をサンプルcとした。
(4) これらのサンプルa、bおよびcの密度を密度勾配管により公知の方法で測定し、下記式により算出して求めた値を結晶化分率(%)とする。
【数1】
結晶化分率(%)={(Da−Db)/(Dc−Db)}×100
なお式中のDa、DbおよびDcはそれぞれサンプルa、b、cの密度を示す。
【0032】
フィルムラミネート法による場合は、被覆樹脂組成物皮膜の厚さは5〜60μmの範囲が適しており、より好ましい範囲は8〜40μmである。厚さ5μm未満では樹脂組成物フィルムの強度が低いためにラミネート時のフィルムテンションコントロールが難しく作業性が悪くなる。厚さ60μmを超えると材料が無駄であり経済的ではない。
【0033】
この樹脂組成物フィルムは金属板と直接接着することも可能だが、該樹脂組成フィルム中を浸透するような金属腐食性物質を含有している内容物については有機樹脂皮膜を介して接着した方が良い場合がある。
本発明に用いる有機樹脂皮膜は、アルキド樹脂塗料、変性アルキド樹脂塗料(エポキシ変性アルキド樹脂塗料、アミノアルキド樹脂塗料、フェノール変性アルキド樹脂塗料)、エポキシ樹脂塗料、脂肪酸エステル変性エポキシ樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、尿素樹脂塗料、フェノール樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料の1種または2種以上を組み合わせて使用し、樹脂組成物フィルムおよび/または金属板に公知の適した方法で塗布、乾燥し、乾燥後の有機樹脂皮膜層の厚さを0.3μmから3.0μmとなるように塗布するのが好ましい。乾燥後の有機樹脂皮膜層の厚さが0.3μm未満では金属板腐食の保護性が不十分な場合があり、乾燥後の有機樹脂皮膜層の厚さが3.0μmを超えると、薄肉化深絞り加工や絞りしごき加工のきびしい成形に該皮膜が追従できず結果的に、樹脂組成物フィルムと金属板の剥離が生じる場合がある。
【0034】
押し出しラミネート法による場合は、270〜300℃の温度に溶融した樹脂組成物をTダイ金型から押し出し、120〜220℃の温度に予備加熱した金属上に流下し樹脂組成物の被覆を行う。溶融樹脂組成物温度が300℃を超えると樹脂組成物の熱劣化が懸念され、270℃未満では3種類の樹脂の混練りが不十分となり、均質な被覆樹脂組成物層が得られない。金属板の予備加熱温度は、上限は特に限定する必要はないが、必要以上の高温はエネルギー的に無駄であり上限を220℃とする。金属板の予備加熱温度が120℃未満ではTダイから流下した溶融樹脂組成物は金属板に接着し難くなる。
溶融樹脂組成物が予備加熱された金属板上に流下されて得られた樹脂組成物被覆金属板をさらに、255〜300℃の温度範囲で加熱し、金属板と被覆樹脂組成物フィルムの密着力を安定化させた後、速やかに急冷し被覆樹脂組成物層の結晶化分率が40%を超えないように急冷する必要があり、より好ましくは20%以下に制御するのが良い。
押し出しラミネート法で得られた被覆樹脂組成物皮膜の厚さは5〜60μmの範囲が適しており、より好ましい範囲は6〜40μmである。厚さ5μm未満では被覆樹脂組成物の厚みが不安定になり作業性が悪くなる。厚さ60μmを超えると材料が無駄であり、経済的ではない。
【0035】
押出しラミネート法で得られた被覆樹脂組成物皮膜は金属板と直接接着することも可能だが、該樹脂組成フィルム中を浸透するような金属腐食性物質を含有している内容物については有機樹脂皮膜を介して接着した方が良い場合がある。
本発明に用いる有機樹脂皮膜は、アルキド樹脂塗料、変性アルキド樹脂塗料(エポキシ変性アルキド樹脂塗料、アミノアルキド樹脂塗料、フェノール変性アルキド樹脂塗料)、エポキシ樹脂塗料、脂肪酸エステル変性エポキシ樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、尿素樹脂塗料、フェノール樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料の1種または2種以上を組み合わせて使用し、金属板に公知の適した方法で塗布、乾燥し、乾燥後の有機樹脂皮膜層の厚さを0.3μmから3.0μmとなるように塗布するのが好ましい。乾燥後の有機樹脂皮膜層の厚さが0.3μm未満では金属板腐食の保護性が不十分な場合があり、乾燥後の有機樹脂皮膜層の厚さが3.0μmを超えると、薄肉化深絞り加工や絞りしごき加工のきびしい成形に追従できず結果的に、樹脂組成物フィルムと金属板の剥離が生じる場合がある。
【0036】
フィルムラミネート法で得られた樹脂組成物被覆金属板および押し出しラミネート法で得られた本発明の樹脂組成物被覆金属板は、金属板と、この片面あるいは両面に被覆された樹脂組成物からなり、被覆された樹脂組成物の状態は結晶化分率として40%を超えないものである樹脂組成物被覆金属板であり、薄肉化深絞りや絞りしごきの加工性に優れ、特に低温での加工性に優れるため、金属露出欠陥のない優れた缶が得られる。
【0037】
本発明に係るツーピース缶は、前述のような樹脂組成物被覆金属板を薄肉化深絞り加工もしくは絞りしごき加工することにより製造される。薄肉化深絞り加工されてなる薄肉化深絞り缶及び絞りしごき加工されてなる絞りしごき缶は、特定の樹脂組成物を金属板に被覆した樹脂組成物被覆金属板を用いる点を除けば、公知の製造方法により製造できる。
【0038】
たとえば、薄肉化深絞り缶は、下記のような条件で製造することができる。
【0039】
たとえば、絞りしごき缶は、下記のような条件で製造することができる。
【0040】
ただし被覆樹脂組成物の一部に結晶性の樹脂が含まれており、底付きのカップ状に成形すると成形の程度に応じて底付きカップの壁部の上下方向に対して不可避的に一軸配向が生成する。この一軸配向が存在すると、ツーピース缶に内容物が充填されてレトルト殺菌処理後に、ツーピース缶の外部から衝撃などによる不規則な変形を受けた部分の被覆樹脂組成物被覆層に上下方向のクラックが生じ金属露出品となるため、公知のツーピース缶製造工程において、最後に加熱される工程すなわち外面の印刷インキ、塗装塗料(トップコート)の熱硬化の工程で、被覆樹脂組成物を樹脂組成物中のポリエチレンテレフタレートの融点以上の温度に加熱し急冷して、カップ成形時に生成した配向結晶を消滅させ、缶底部と缶胴部の結晶化分率を40%を超えないものとすることが肝要である。また、外面の印刷インキ、および塗装塗料をUV硬化型にした場合は、硬化過程で被覆樹脂組成物が溶融することはないので、UV照射後に上述と同様の加熱、急冷の処理を行い、缶底部と缶胴部の結晶化分率が40%を超えないものにすることが肝要である。
【0041】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。なお、以下に示す実施例、及び比較例では、次の原料樹脂を選択使用した。
樹脂A:ポリアリレート樹脂60重量%とポリエチレンテレフタレート樹脂40重量%との樹脂組成物(ユニチカ(株)製、商品名:「Uポリマー」U−8000)
樹脂B:極限粘度が1.09dl/gで、融点が223℃のポリブチレンテレフタレート樹脂
樹脂C:極限粘度が1.20dl/gで、融点が216℃のイソフタル酸6モル%共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂
樹脂D:ポリエチレンテレフタレート樹脂。(ユニチカ(株)製、商品名:NEH−2040)
樹脂E:極限粘度が0.78dl/gで、融点が236℃のイソフタル酸8モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂
【0042】
実施例1
板厚0.24mm、テンパー度T−5のTFS−CT鋼板(金属クロム量:110mg/m2、クロム水和酸化物:クロム量として19mg/m2)を誘導加熱ロールで235℃に加熱し、該金属板の両面に表1に示した原料明細、すなわち、樹脂Aを16.7重量%、樹脂Bを72重量%、樹脂Dを11.3重量%の組成比になるように混合し、結果的にポリアリレート樹脂10重量%とポリブチレンテレフタレート樹脂72重量%とポリエチレンテレフタレート樹脂18重量%とからなる樹脂組成物を用いて公知の製造方法により作った厚さ20μmの樹脂組成物フィルムをシリコン製のゴムロールを用いて貼り合わせた後、高周波加熱により270℃に加熱して金属板上の樹脂を溶融し1秒後に温度26℃の水槽で急冷して樹脂被覆金属板を得た。
該樹脂被覆金属板を下記成形条件で絞りしごき加工を行って、皮膜の加工密着性を評価した。
絞りしごき加工した後、印刷・塗装後の焼き付け時の缶温ピーク温度(到達温度)を270℃とし、その後、5秒間で缶温が36℃となるように空冷し、缶内面側の樹脂組成物皮膜の結晶化分率を15%とした後、公知の方法で缶開口端部を直径で211ψ(68.4mm)から206ψ(60.3mm)に4段ネックイン加工し、続いて、フランジ加工して内面品位の評価を行い、コーヒーを充填して125℃、30分のレトルト殺菌処理を施して外観の評価および外部から衝撃変形を与えて内面品位の評価を行った。結果を表2に示す。
【0043】
各々の評価方法を以下に示す。
(加工密着性)
絞りしごき加工をしたときの、被覆樹脂組成物層のクラックや金属板からの剥離を調べた。
(内面品位の評価)
缶に1%の食塩水を入れ白金電極を陰極として漬け、缶胴を陽極として+6Vの電圧をかけたときに流れる電流値(mA)を測定した。流れる電流値は小さいほど良い。
(レトルト後衝撃変形部の内面品位の評価)
125℃、30分のレトルト処理を施した後、5℃に冷却して缶胴側壁部にV字型の撃芯を乗せて、撃芯めがけて500gのおもりを15cmの高さから落下させて缶胴側壁部を変形させた缶に1%の食塩水を入れ白金電極を陰極として漬け、缶胴を陽極として+6Vの電圧をかけたときに流れる電流値(mA)を測定した。流れる電流値は小さいほど良い。
(レトルト後の外観白化)
缶に内容物を充填し、125℃×30分のレトルト殺菌処理を行い、被覆樹脂組成物層の外観を調べた。
(フレーバー性試験)
本発明の樹脂組成物被覆金属板からなるツーピース缶及び、従来通りエポキシ樹脂からなる塗料を塗装したアルミニウム製ツーピース缶(現在市販されている缶)にブラックコーヒー、日本茶、オレンジジュースをそれぞれ充填し所定の殺菌処理(ブラックコーヒー・・・121℃×20分、日本茶・・・115℃×20分、オレンジジュース・・・85℃×10分)を施し、3ケ月間常温で貯蔵した後で、20人のパネラーに対して3点識別法による官能試験を行い、両者(本発明の缶と、市販されている缶)の間に統計的な有意差があるか否かの検定それぞれを行った。
【0044】
実施例2
実施例1記載の樹脂組成物を表1に示す原料明細の処方により、ポリアリレート樹脂30重量%とポリブチレンテレフタレート樹脂50重量%とポリエチレンテレフタレート樹脂20重量%の樹脂組成物に代えた以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0045】
実施例3
実施例1記載の樹脂組成物を表1に示す原料明細の処方により、ポリアリレート樹脂10重量%とポリブチレンテレフタレート樹脂18重量%とポリエチレンテレフタレート樹脂72重量%の樹脂組成物に代えた以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0046】
実施例4
実施例1記載の樹脂組成物を表1に示す原料明細の処方により、ポリアリレート樹脂30重量%とポリブチレンテレフタレート樹脂14重量%とポリエチレンテレフタレート樹脂56重量%の樹脂組成物に代えた以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0047】
実施例5
実施例1記載の樹脂組成物を表1に示す原料明細の処方により、ポリアリレート樹脂20重量%とイソフタル酸6モル%共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂56重量%とポリエチレンテレフタレート樹脂24重量%の樹脂組成物に代えた以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0048】
実施例6
実施例1記載の樹脂組成物を表1に示す原料明細の処方により、ポリアリレート樹脂20重量%とポリブチレンテレフタレート樹脂56重量%とイソフタル酸8モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂24重量%の樹脂組成物に代えた以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0049】
比較例1
実施例1記載の樹脂組成物を表1に示す原料明細の処方により、ポリアリレート樹脂5重量%とポリブチレンテレフタレート樹脂90重量%とポリエチレンテレフタレート樹脂5重量%の樹脂組成物に代えた以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0050】
比較例2
実施例1記載の樹脂組成物を表1に示す原料明細の処方により、ポリアリレート樹脂5重量%とポリブチレンテレフタレート樹脂5重量%とポリエチレンテレフタレート樹脂90重量%の樹脂組成物に代えた以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0051】
比較例3
実施例1記載の樹脂組成物を表1に示す原料明細の処方により、ポリアリレート樹脂0重量%とポリブチレンテレフタレート樹脂50重量%とポリエチレンテレフタレート樹脂50重量%の樹脂組成物に代えた以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0052】
比較例4
実施例1記載の樹脂組成物を表1に示す原料明細の処方により、ポリアリレート樹脂20重量%とポリブチレンテレフタレート樹脂0重量%とポリエチレンテレフタレート樹脂80重量%の樹脂組成物に代えた以外は実施例1と同様の試験を行った。
結果を表2に示す。
【0053】
比較例5
実施例1記載の樹脂組成物を表1に示す原料明細の処方により、ポリアリレート樹脂20重量%とポリブチレンテレフタレート樹脂48重量%とポリエチレンテレフタレート樹脂32重量%の樹脂組成物に代えて、実施例1記載のラミネートをし、270℃に加熱して被覆樹脂を溶融させて、冷却までの時間を8秒に変更し、水温26℃の水槽で冷却し、結晶化分率として46%の樹脂被覆金属板を作成した。該樹脂被覆金属板を用いて実施例1記載の方法で絞りしごき加工を行い、印刷・塗装後の焼き付け時の缶温を到達温度で200℃とし、その後、4秒間で35℃となるように空冷し、缶内面側の樹脂組成物皮膜の結晶化分率を62%とした後、実施例1記載の方法と同様に、ネックイン加工、続いてフランジ加工して以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、金属板上に特定の樹脂組成物被覆層を形成することにより密着性、加工性、耐衝撃性、フレーバー性のすぐれた、ツーピース缶用素材を容易に得ることが可能になる。
また、本発明の樹脂組成物被覆金属板からなるツーピース缶は、さほど厳重な工程管理を行わなくても金属露出部が生ぜず、内容物充填後のレトルト殺菌処理による被覆樹脂の乳白化がなく、衝撃により被覆樹脂組成物層にクラックが生じて金属が露出する恐れのないすぐれた耐衝撃性があり、フレーバー性、長期保存性にすぐれている。
Claims (4)
- 金属板の片面又は両面に、ポリアリレート樹脂3〜40重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂12〜78重量%、およびポリエチレンテレフタレート樹脂12〜78重量%をブレンドしてなる樹脂組成物が直接または有機樹脂皮膜層を介して被覆されており、かつこの被覆樹脂組成物の結晶状態が結晶化分率で40%を超えないものであることを特徴とする樹脂組成物被覆金属板。
- 前記ポリアリレート樹脂が、芳香族ジカルボン酸と2価フェノールから構成され、ガラス転移温度が160℃〜250℃の樹脂である請求項1記載の樹脂組成物被覆金属版。
- 請求項1または2記載の樹脂組成物被覆金属板を、少なくとも内面側が樹脂組成物皮膜になるように薄肉化深絞りまたは絞りしごき加工をしてなるツーピース缶であって、該樹脂組成物皮膜の結晶化分率が40%を超えないものであることを特徴とするツーピース缶。
- 請求項1または2記載の樹脂組成物被覆金属板を用いて、少なくとも樹脂組成物被覆が内面となるように薄肉化深絞りまたは絞りしごき加工を施し、しかる後にポリエチレンテレフタレートの融点〔Tm〕から〔Tm+40℃〕の温度で印刷インキおよび/または塗装塗料の硬化焼き付けを行い、これを急冷することを特徴とする請求項3記載のツーピース缶の製造方法。
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