JPH10195210A - 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びそのフィルムを用いたラミネート金属板の製造方法 - Google Patents

金属板ラミネート用ポリエステルフィルム及びそのフィルムを用いたラミネート金属板の製造方法

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JPH10195210A
JPH10195210A JP8797A JP8797A JPH10195210A JP H10195210 A JPH10195210 A JP H10195210A JP 8797 A JP8797 A JP 8797A JP 8797 A JP8797 A JP 8797A JP H10195210 A JPH10195210 A JP H10195210A
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Kiyomi Hata
喜代美 畑
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吉弘 梅村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的特性や耐熱性に優れ、金属板に熱圧着
する際の条件変動に対してラミネート金属板の品質が変
化し難く、しかも、熱圧着後や各種の成形加工後のラミ
ネート金属板や金属缶体のフィルムに結晶化処理を施し
ても、フィルムが白化したり、剥離やミクロクラック等
が発生することがなくフィルムの高結晶化が可能である
金属板ラミネート用フィルムを提供する。 【解決手段】 極限粘度が0.50〜0.90のポリエ
チレンテレフタレート系樹脂(A)10〜60重量%
と、極限粘度が0.60以上のポリブチレンテレフタレ
ート系樹脂(B)90〜40重量%とを配合したポリエ
ステル樹脂組成物からなり、面配向度が0.11〜0.
16であり、かつ、特定の熱特性を有する金属板ラミネ
ート用フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルムラミネー
ト金属板の構成材料として有用なフィルム、及びそのフ
ィルムを用いてラミネート金属板を製造する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】飲食料の包装容器の一形態である金属缶
は、機械的強度に優れ、密閉性にも優れることから内容
物の長期保存が可能であり、また、内容物を高温で充填
しそのまま密封したり、レトルト処理等の殺菌処理も容
易に行えるため、包装容器としての安全衛生性に対する
信頼性も高く、更に、加温状態で内容物が保存できた
り、使用後の缶体の分別・回収が比較的容易であるとい
う多くの長所を有するため、近年、様々な種類の内容物
が充填され多量に使用されている。
【0003】飲食料用金属缶の内面及び外面には、内容
物の風味を保つと同時に、金属缶素材の腐食を防止する
ため、あるいは缶外面の美粧性の向上、印刷面の保護等
を目的として、従来、熱硬化性樹脂を主成分とする溶剤
型塗料が塗布されてきた。しかし、このような塗装缶に
おいては、次のような問題がある。 (イ)内容物を充填、密封した後にレトルト処理等の加
温処理を施すと、塗膜中の残存溶剤等の低分子量物質が
内容物中に移行し、内容物の風味が著しく低下する。
(フレーバー性に劣る) (ロ)缶蓋部の小径化や缶体の薄肉化に伴い、これまで
以上に塗膜の加工性や耐衝撃性が要求され、一方ではレ
トルト処理後に塗膜が白化したり、塗膜が剥離する等の
問題に対する耐レトルト性が要求されるが、これらの性
能を同時に満足させる塗膜を得ることが難しい。 (ハ)有機溶剤を多量に使用し、また、塗膜の乾燥、焼
付けに多量の熱エネルギーが必要である。
【0004】このような塗装缶に対して、最近、単層も
しくは複層のプラスチックフィルムを金属板にラミネー
トしたフィルムラミネート金属板を用いて製造した金属
缶が注目されている。特にポリエステルフィルムは、機
械的強度、加工性、耐熱性に優れ、ピンホールやクラッ
ク等が発生しにくく、内容物の風味が損なわれにくく
(フレーバー性に優れる)、比較的安価であるという長
所があり、積極的に実用化が進められている。
【0005】プラスチックフィルムを金属板にラミネー
トする方法としては、プラスチックフィルム、あるいは
金属板の少なくとも一方に予め接着層を設けておき、熱
接着する方法や、熱接着性のプラスチックフィルムを用
いて金属板とを熱圧着させる方法等がある。前者の方法
において、未硬化の熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶解した
溶液からなる接着剤を用いた場合には、前記の(イ)及
び(ハ)の問題や、接着層とフィルムとの間に界面が生
成するためラミネート金属板の加工性やラミネート缶の
耐衝撃性に難がある。一方、後者の方法を用いた場合に
は、上記の(イ)〜(ハ)の問題は解決し、金属缶の生
産性も向上する。たとえば、特開平2−305827号
公報、特開平3−86729号公報、特公平7−350
92号公報、特開平5−154971号公報、特開平5
−156040号公報、特開平6−39979号公報、
特開平7−207040号公報、特開昭64−2253
0号公報、特開平6−116374号公報、特公平7−
80253号公報、特開平5−147647号公報、特
開平7−195617号公報、特公昭57−23584
号公報等には、熱圧着が可能なポリエステルフィルムが
記載されており、また、特開昭60−170532号公
報、特開平3−212433号公報、特開平5−925
35号公報、特開平3−57514号公報、特開平3−
101930号公報、特開昭58−220729号公
報、特公昭57−22750号公報等には、熱圧着可能
なポリエステルフィルムを用いてラミネート金属板及び
高絞り比の金属缶体を製造する方法が記載されている。
【0006】ところで、従来の金属板ラミネート用のポ
リエステルフィルムは熱圧着性を保持させる目的や、ラ
ミネート金属板の加工性を向上させ、金属缶体の耐衝撃
性を保持する目的から、他の成分を共重合したり配合す
ることによってフィルムの結晶化度を低くすることがな
されている。しかしながら、従来の金属板ラミネート用
ポリエステルフィルムを用いた場合には、レトルト処理
等の高温処理の際にフィルム中の低分子量物が内容物に
移行しやすく、内容物の風味が損なわれ、場合によって
は内容物が変色するといった現象が発生したり、レトル
ト処理時にフィルムの結晶化が起こり、フィルムの剥離
や、ミクロクラックが発生し、あるいは、球晶が生長し
てフィルムが白化するという種々の問題が発生し、改善
が求められていた。ラミネート金属板の加工性と、ラミ
ネート缶の耐衝撃性を高め(通常、フィルムの結晶化度
を下げる)、金属缶のフレーバー性を向上させる(通
常、フィルムの結晶化度を上げる)等の性能のバランス
をとるため、熱圧着条件を工夫することが提案されてい
るが(特開平5−92535号公報、特開平7−223
646号公報、特公平7−115411号公報、特公平
7−85923号公報、特開平7−195651号公報
等)、鋼板や熱ロール等の温度やラミネート速度等を均
一に精度よく制御しなければならず、装置、設備が非常
に高価になり経済性を失ってしまうという問題があっ
た。
【0007】すでに、本発明者らは、特定の極限粘度を
有するポリエチレンテレフタレート(PET)系ポリエ
ステル樹脂と、特定の極限粘度を有するポリブチレンテ
レフタレート(PBT)系ポリエステル樹脂とを、特定
の割合で配合したポリエステル樹脂組成物からなり、特
定の面配向度と熱特性を有するフィルムは高結晶化度で
あっても金属板との熱圧着が可能であり、しかも、金属
板に熱圧着する際の条件変動に対して得られるラミネー
ト金属板の品質が変動し難いことを見出した(特願平8
−268988)。また、上記のフィルムを特定の条件
で金属板と熱圧着して得られたラミネート金属板は、フ
ィルムが高結晶化度を保っていても高絞り比缶の製造も
可能であり、優れた成形性、加工性を有していること、
また、このラミネート金属板を用いて得られる金属缶体
は、フィルムの高結晶化度が保持されているため優れた
フレーバー性、耐衝撃性を有していた。
【0008】しかしながら、上記の画期的な発明におい
ても、缶径が60mm以下で、しかも胴高が100mm
を超えるような金属缶体を製造する場合、あるいは、絞
り成形後さらに、しごき成形を施すような場合には、フ
ィルムと金属板との接着性及び成形性は十分とはいえ
ず、成形時にフィルムが剥離したりミクロクラックが発
生してしまう場合があるという問題があった。また、前
記の発明のフィルムを用いて得られたラミネート金属板
や金属缶体からのオリゴマーの溶出を減少させるために
加熱処理してフィルムの結晶化度を増加させる場合に、
急激に、あるいは、過度に結晶化させると、球晶が生長
してフィルムが白化したり、フィルムの剥離現象やミク
ロクラックが発生する等の問題があり改善が求められて
いた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題を一挙に解決し、次の〜の目的を達成すること
を主たる課題とするものである。 機械的特性や耐熱性に優れ、高結晶化度であっても金
属板との熱圧着が可能であり、しかも、金属板に熱圧着
する際の条件変動に対してラミネート金属板の品質の変
化がしにくく、比較的低温で熱圧着可能な金属ラミネー
ト用フィルムを提供すること。 成形性及び各種加工性に優れ、しかも、熱圧着や各種
の成形加工後のラミネート金属板や金属缶体のフィルム
の結晶化処理を施しても、フィルムが白化したり、剥離
やミクロクラック等が発生するという問題がなく、した
がって、フレーバー性に優れ、耐衝撃性にも優れた金属
缶体を容易に製造することができる金属板ラミネート用
フィルムを提供すること。 本発明のフィルムの特長を十分に発現させることがで
きるラミネート金属板の製造方法を提供すること。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、特定の極限粘度を
有するPET又はこれを主体とするポリエステル(A)
と、特定の極限粘度を有するPBT又はこれを主体とす
るポリエステル(B)とを、特定の割合で配合した特有
の相溶状態を形成させたポリエステル樹脂組成物を用い
て、特有の面配向度としたフィルムによって上記の課題
を解決することができること、さらに、本発明のフィル
ムを用いて特定の条件で金属板とラミネートすることに
より、上記の課題がさらに効果的に達成されることを見
出し本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明の要旨は、次の通りであ
る。 (1)ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とす
る極限粘度が0.50〜0.90のポリエステル(A)
10〜60重量%と、ポリブチレンテレフタレート又は
これを主体とする極限粘度が0.60以上のポリエステ
ル(B)90〜40重量%とからなるポリエステル樹脂
組成物で構成されたフィルムであって、フィルムの面配
向度が0.11〜0.16であり、かつ、フィルムの熱
特性が下記の(a)〜(c)の条件を満足することを特
徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。 (a)ポリエステル(A)に由来する融点〔Tm
(A)〕が228〜245℃。 (b)ポリエステル(B)に由来する融点〔Tm
(B)〕が190〜218℃。 (c)フィルム中のポリエステル(A)及び(B)の結
晶部分に由来する融解熱の和〔ΔHm(A+B)〕が3
3〜45J/g。 (2)上記の(1)のフィルムを用いて、下記式(イ)
を満足する温度T(℃)の金属板に下記式(ロ)を満足
する時間S(sec)フィルムを接触させた後、50℃
/sec以上の速度でフィルムのガラス転移温度以下ま
で冷却するフィルムラミネート金属板の製造方法。 (Tv−3℃)≦T≦(Tv+10℃) (イ) (30/T)−0.11≦S≦(200/T) (ロ)
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0013】本発明において用いられるポリエステル
(A)は、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分
とを主成分として溶融重縮合反応、あるいは引き続いて
固相重合されたものであり、極限粘度は0.50〜0.
90であることが必要であり、好ましくは0.55〜
0.80、さらに好ましくは0.60〜0.77であ
る。極限粘度が0.50未満では、実用に供することの
できる機械的強度を有するフィルムが得られず、極限粘
度が0.90を超えるとフィルムの金属板への熱圧着性
が損なわれるので好ましくない。
【0014】ポリエステル(A)は、本発明の効果が損
なわれない範囲で適宜他の成分を共重合したものでもよ
い。共重合成分としての酸成分としては、イソフタル
酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカ
ルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン
酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、(無水)マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサ
コン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)ヘキサヒドロ
フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカル
ボン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、p−ヒドロキ
シ安息香酸、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、ε−カプロラ
クトン等のヒドロキシカルボン酸や、(無水)トリメリ
ット酸、トリメシン酸、(無水)ピロメリット酸等の多
官能カルボン酸を挙げることができる。また、共重合成
分としてのアルコール成分としては、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオ
ール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコール、分子量が200〜2
000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−
シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ビス
フェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシドあ
るいはプロピレンオキシド付加物等の芳香族ジオール、
トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリ
トール等の多官能アルコール等を挙げることができる。
【0015】ポリエステル(A)の製法としては公知の
方法を採用することができる。たとえば、ビス(β−ヒ
ドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体の存
在するエステル化反応槽に、テレフタル酸とエチレング
リコール及び必要に応じて他の共重合成分のスラリーを
連続的に供給し、250℃近辺の温度で3〜8時間程度
反応させて、エステル化反応率95%付近のエステル化
物を連続的に得る。次いで、これを重合缶に移送し、二
酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン等の触媒の存在下
に、1.3hPa以下の減圧下、温度250〜280℃
で所望の極限粘度のポリエステルが得られるまで溶融重
縮合反応を行えばよい。また、上記の方法により得られ
たポリエステルをさらに固相重合してもよい。
【0016】本発明におけるポリエステル(B)は、テ
レフタル酸成分と1,4−ブタンジオール成分とを主成
分として溶融重縮合反応、あるいは引き続いて固相重合
されたものであり、極限粘度が0.60以上であること
が必要であり、0.80〜2.0が好ましい。極限粘度
が0.60未満では、実用に供することのできる機械的
強度を有したフィルムを得ることができない。極限粘度
の上限については特に限定されないが、原料ポリエステ
ル樹脂及びフィルムの生産性の面から2.0以下である
ことが好ましい。また、ポリエステル(B)は、本発明
の効果が損なわれない範囲で適宜ポリエステル(A)と
同様の他の成分を共重合したものでよい。
【0017】ポリエステル(B)の製法としては公知の
方法を採用することができる。たとえば、ジメチルテレ
フタレートと1,4−ブタンジオール及び必要に応じて
他の共重合成分とをエステル交換反応槽に仕込み、23
0℃近辺の温度で5時間程度反応させて、エステル交換
反応率95%付近のエステル化交換反応物を得る。次い
で、これを重合缶に移送し、テトラ−n−ブチルチタネ
ート、テトライソプロピルチタネート等の触媒の存在下
に、1.3hPa以下の減圧下、温度220〜250℃
で所望の極限粘度のポリエステルが得られるまで溶融重
縮合反応を進めればよい。また、上記の方法により得ら
れたポリエステルをさらに固相重合してもよい。
【0018】本発明におけるポリエステル樹脂組成物の
配合割合は、ポリエステル(A)を10〜60重量%、
ポリエステル(B)を90〜40重量%とすることが必
要である。ポリエステル(A)の配合割合が10重量%
未満の場合、金属板との溶融熱圧着及び急冷後にフィル
ムの結晶化処理を施した場合に、球晶が生長し易く、フ
ィルムの白化や剥離あるいはミクロクラックが発生した
り、DSCの融解曲線の谷間が認められなくなり、金属
板と熱圧着する際の条件変動に対してラミネート金属板
の品質が変動しやすくなるという問題が生じる。また、
ポリエステル(A)の配合割合が60重量%を超える
と、フィルム中のポリエステル(B)に由来する結晶部
分が少なくなり、金属板と熱圧着する際の条件変動に対
してラミネート金属板の品質が変動しやすくなったり、
金属板との熱圧着後に結晶化処理を施してフィルムの結
晶化度を十分に高くすることができず、また、ラミネー
ト金属板の成形加工性が損なわれる。
【0019】本発明のフィルムは、面配向度fが0.1
1〜0.16でなければならない。ここで、fは、下記
式により定義されるものである。 f={(nx +ny )/2}−nz ただし、nx 、ny はフィルムの面方向の屈折率の最大
値及び最小値であり、nz はフィルムの厚さ方向の屈折
率を示す。面配向度が0.11未満の場合は、フィルム
の機械特性や耐熱性が十分でなく、0.16を超える
と、絞り加工やネック加工等のラミネート金属板の加工
時にフィルムにミクロクラックが発生したり破断すると
いう問題を生じる。
【0020】本発明のフィルムにおいて、ポリエステル
(A)に由来する融点は228〜245℃であり、ポリ
エステル(B)に由来する融点は190〜218℃であ
る。ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の融点
は、両成分の相溶性の程度(エステル交換反応の程度も
含めて)により変化し、これらの値が上記のそれぞれの
下限値未満の場合は、エステル交換反応が進行し過ぎて
おり、結晶化処理を施してもフィルムの結晶化度を高く
することができずフレーバー性が損なわれる。一方、両
ポリマー成分に由来する融点がそれぞれ上記の上限値を
超える場合には、相溶性不十分となり、フィルムの熱圧
着性及び金属板との接着性、加工性が低下し、また、フ
ィルムを延伸する時に破断し易くなる。
【0021】本発明における原料として用いられるポリ
エステル(A)及び(B)としては、目的に応じて種々
の構成成分からなるポリエステルを用いることができる
が、ポリエステルの種類に応じた好ましい融点は次に示
すとおりである。 (イ)PET/PBTの場合、Tm(A)=235〜2
45℃、Tm(B)=205〜218℃。 (ロ)共重合PET/PBTの場合、Tm(A)=22
8〜240℃、Tm(B)=200〜218℃。 (ハ)PET/共重合PBTの場合、Tm(A)=23
0〜245℃、Tm(B)=190〜213℃。 (ニ)共重合PET/共重合PBTの場合、Tm(A)
=230〜240℃、Tm(B)=195〜213℃。
【0022】また、本発明のフィルムは、ポリエステル
(A)及び(B)の結晶部分に由来する融解熱の和〔Δ
Hm(A+B)〕が33〜45J/g、さらに好ましく
は38〜45J/gであることが必要である。ΔHm
(A+B)が33J/g未満の場合は、フレーバー性が
損なわれる場合があり、45J/gを超えると、フィル
ムの熱圧着性及び金属板との接着性が低下し、ラミネー
ト金属板を缶体に加工する時に、フィルムにミクロクラ
ックが発生したり、フィルムと金属が剥離してしまうこ
とがある。
【0023】また、本発明のフィルムは、ポリエステル
(A)に由来する融点〔Tm(A)〕以上で認められる
融解熱〔ΔHm(A1)〕の〔ΔHm(A+B)〕に対
する比が0.05〜0.3、好ましくは0.05〜0.
25、さらに好ましくは、0.06〜0.20である。
上記の値が0.05未満の場合には、特にTm(B)以
上の温度に予熱された金属板と熱圧着された後に結晶化
処理する際に、フィルムが白化したり、剥離やミクロク
ラックが発生することがある。また、上記の値が0.3
を超えると、〔(缶胴高さ)/(缶径)〕が1.5以上
のような金属缶体の成形時や、絞りしごき成形時に缶胴
の上部でフィルムが剥離したり、ミクロクラックが発生
したりする場合がある。
【0024】また、本発明のフィルムは、20℃/mi
nで昇温した際に、〔Tm (B)〕以下の温度で結晶化
が認められないか、あるいは、結晶化が起こっても結晶
化開始温度Tcが150℃以上であり、かつ、結晶化熱
(ΔHc)が5J/g未満であることが好ましい。上記
の要件を満足しない場合には、金属板との熱圧着時にお
けるフィルムの熱収縮現象によるラミネート不良の原因
となる場合がある。
【0025】さらに、本発明のフィルムにおいては、示
差走査熱量分析(DSC)で得られる融解曲線におい
て、フィルム中の〔Tm (A)〕と〔Tm (B)〕が近
いためその一部が重なり合い、DSCチャートにおい
て、Tm(A)とTm(B)の中間に融解曲線の谷間
(図1b参照)が現れる。そして、この〔Tm (A)〕
と〔Tm (B)〕の中間の谷に位置する温度(Tv)以
下で認められる融解熱ΔHm(Tv)が〔ΔHm(A+
B)〕の30〜70%であることが好ましい。すなわ
ち、ΔHm(Tv)を〔ΔHm(A+B)〕の30〜7
0%とすることにより、フィルムと金属板との接着性、
成形加工性、金属板に熱圧着する際の条件変動に対する
ラミネート金属板の品質安定性を得ることができる。上
記の値が70%を超える場合には、金属板に熱圧着する
際の条件変動に対するラミネート金属板の品質安定化を
図るためには、熱圧着を高温でしなければならず、その
結果、熱圧着後のフィルム表面があれるという問題が起
こる場合がある。また、上記の値が30%未満の場合に
は、ラミネート金属板の品質安定化を図ろうとすると金
属板との接着性やラミネート金属板の成形加工性が低下
する場合がある。
【0026】本発明のフィルムは、フィルムを構成する
樹脂組成物の酸価を35当量/トン以下、好ましくは3
0当量/トン以下、さらに好ましくは27当量/トン以
下とすることにより、フレーバー性がさらに向上する。
また、酸価を35当量/トン以下とすることにより、レ
トルト処理後のフィルム中のオリゴマー等の低分子量物
の溶出を著しく減少させることができる。酸価を35当
量/トン以下にする方法としては、原料ポリエステルと
して酸価の低い樹脂を使用する方法、ポリエステル
(A)とポリエステル(B)を溶融混合して押出する際
に、アルコール化合物、カルボジイミド化合物、エポキ
シ化合物、オキサゾリン化合物等の少なくとも1種を添
加して、カルボキシル基を封鎖する方法等を用いること
ができる。
【0027】本発明の金属板ラミネート用フィルムは、
フラット式もしくはチューブラー式製膜法等の公知の方
法により製造することができるが、本発明で規定するフ
ィルムの面配向度を有し、厚みムラの少ないフィルムを
製造するためにはフラット式が好ましく、延伸方法とし
ては同時二軸延伸法が好ましい。
【0028】フラット式同時二軸延伸法により本発明の
フィルムを製造する場合には、たとえば、所定の配合割
合のポリエステル(A)とポリエステル(B)からなる
樹脂組成物を、Tダイを備えた押出機を用いて、温度2
30〜280℃で溶融し、Tダイよりシート状に押出
し、これを40℃以下に温度調節されたキャスティング
ロール上に密着させて急冷し、所望の厚みの未延伸シー
トを得る。なお、原料の樹脂組成物の混合を十分にする
ために、予め溶融混練した原料を用いてもよい。
【0029】樹脂の溶融混練温度、押出機内で樹脂に加
わる剪断速度、押出機内での滞留時間は、〔Tm
(A)〕、〔Tm(B)〕、〔ΔHm(A1)〕、〔Δ
Hm(A+B)〕等の値に対する影響が大きい。すなわ
ち、溶融混練温度が高く、剪断速度が高く、滞留時間が
長いほど、各成分に由来する融点は低下して、結晶化度
や、〔ΔHm(A1)〕の〔ΔHm(A+B)〕に対す
る比が低下する傾向となる。特に、滞留時間が長い場合
には、樹脂の熱分解や加水分解による樹脂粘度の低下や
オリゴマー生成を招くため、滞留時間は20分以内、さ
らには15分以内であることが好ましい。ポリエステル
(A)及び(B)の相溶化を進めるために、溶融混練の
際に、エステル交換触媒を添加する方法を採ることもで
きる。エステル交換触媒としては、二酸化ゲルマニウ
ム、三酸化アンチモン、テトラ−n−ブチルチタネー
ト、テトライソプロピルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸コ
バルト、酢酸ナトリウム、酢酸マンガン等を例示するこ
とができる。
【0030】次いで、未延伸シートをクリップで両端を
把持してシート上下面より40〜100℃の熱風を吹付
けて予熱し、50〜120℃の雰囲気下で縦及び横方向
にそれぞれ2〜4倍程度に二軸延伸する。その後、縦方
向及び/又は横方向の弛緩率を数%として、150〜
〔Tm(B)−10〕℃で数秒間熱処理してフィルムを
熱固定した後、室温まで冷却し、20〜300m/分の
速度で巻き取って所望の厚みのフィルムとする。延伸温
度が50℃未満では、延伸応力が高くなり、ネッキング
が発生し、120℃を超えると、溶断したり、フィルム
の結晶化が進んで白化し、フィルムの面配向度が低くな
る。
【0031】延伸後の熱処理方法としては、従来より公
知の方法を採用することができ、例えば、延伸フィルム
に熱風を吹き付ける方法、延伸フィルムに赤外線を照射
する方法、延伸フィルムにマイクロ波を照射する方法等
が挙げられるが、均一に精度良く加熱できる点で、延伸
フィルムに熱風を吹き付ける方法が好適である。また、
特公昭35−11774号公報、特公昭43−5557
号公報等に開示されているように、延伸工程から熱固定
工程の中間に熱緩衝帯を設けてもよい。
【0032】本発明のフィルムには、シリカ、アルミ
ナ、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バ
リウム等の無機滑剤、もしくはシリコーン粒子等の有機
滑剤から選ばれた1種もしくは2種以上の平均粒径2.
5μm以下の滑剤を必要量添加してフィルム表面にスリ
ップ性を付与させ、フィルム製造時や金属板との熱圧着
時の工程通過性を改善させることができる。また、二酸
化チタン、硫酸バリウム、シリコーン化合物等を添加し
て隠蔽性を付与し、金属缶体の外観或は金属缶体に対す
る印刷性を向上させることができる。更に、フィルムに
は着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、消泡剤、難燃剤等
を含有させることもできる。
【0033】本発明のフィルムは、厚みが5〜100μ
m、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは10
〜25μmである。厚みが5μm未満では加工時に破れ
等が生じ易くなり、100μmを超えても過剰品質とな
り不経済である。
【0034】また、本発明のフィルムには、金属板との
熱圧着性及びその後の接着性を更に向上させる目的で、
共押出法やラミネート加工、あるいはコーティング加工
により接着層を設けることができる。接着層は乾燥膜厚
で0.5μm以下が好ましい。
【0035】また、金属板と熱圧着するフィルムの反対
面(以下、反対面と略す)には、金属缶体の外観や印刷
性を向上させたり、フィルムの耐熱性や耐レトルト性等
を向上させるために1種もしくは2種以上の樹脂層を設
けることができる。これらの層は、共押出法やラミネー
トあるいはコーティング加工により設けることができ
る。
【0036】本発明のフィルムと金属板をラミネートす
る方法としては、金属板を予め所定温度まで予熱してお
き、これとフィルムとを温度制御可能なロールによって
圧接して熱圧着させた後、室温まで冷却する方法が採用
され、この方法は連続的に実施することができる。金属
板の加熱方法としては、ヒーターロール伝熱方式、誘導
加熱方式、抵抗加熱方式、熱風伝達方式等が挙げられ、
特に、設備費及び設備の簡素化を考慮した場合、ヒータ
ーロール伝熱方式が好ましい。また、ラミネート後の冷
却方法については、水等の冷媒中に浸漬する方法や冷却
ロールと接触させる方法を用いることができる。
【0037】本発明においては、フィルムの有する結晶
部分を実質的に崩さない〔Tm(B)〕以下の温度、具
体的には180〜190℃の比較的低温でも熱圧着でき
るが、高絞り比の絞り成形や絞りしごき成形を施す場合
には、フィルムと金属板との接着性及び成形加工性を向
上させるためにはフィルムの一部を非晶化する方が良
く、また、金属板と熱圧着する際の条件変動に対するラ
ミネート金属板の品質の変動を防止するためには次に示
す熱圧着条件が好ましい。すなわち、下記式(イ)を満
足する温度T(℃)の金属板に下記式(ロ)を満足する
時間S(sec)フィルムを接触させた後、50℃/s
ec以上の速度でフィルムのガラス転移温度以下まで冷
却する。 (Tv−3℃)≦T≦(Tv+10℃) (イ) (30/T)−0.11≦S≦(200/T) (ロ)
【0038】本発明において用いられる金属板として
は、シート状又は帯状の鋼板及びアルミニウム板、ある
いはそれらの表面に種々のメッキ処理や化成処理を施し
たものが好適である。特に表層にクロム水和酸化物皮膜
を有したものは、フィルムとの接着性が優れる。特に下
層が金属クロム、上層がクロム水和酸化物の二層構造を
もつティンフリースチール(TFS)が好ましく、さら
に鋼板表面に錫、ニッケル、亜鉛、アルミニウム等の一
種又は二種以上の複層メッキ、合金メッキを施し、その
上層に上記の二層構造をもつ皮膜、或いはクロム水和酸
化物皮膜を形成させたもの、アルミニウムに電解クロム
酸処理、浸漬クロム酸処理等を施し、表層にクロム水和
酸化物皮膜を形成させたもの等を用いることができる。
【0039】以上のようにして得られたラミネート金属
板を用いることにより、耐熱性に優れ、レトルト処理の
ような高温処理が可能で、過酷な加工処理を施してもピ
ンホールやミクロクラック、フィルムの剥離等の欠陥が
発生し難く、しかもフレーバー性に優れた金属缶体を製
造することができる。金属缶体としては、飲食料を充填
して使用に供することができ得る形態にまで加工処理が
施された金属容器及びその一部分、例えば巻き締め加工
が可能な形状に成形された缶蓋も含まれる。特に、厳し
いネックイン加工が施される3ピース缶(3P缶)の缶
胴部材や、絞りしごき加工によって製造される2ピース
缶(2P缶)の缶胴部材として用いる場合に本発明のフ
ィルム及びラミネート金属板の優れた加工性が発揮され
る。また、特開平3−57514 号公報や特開平3−101930
号公報に示された、実質的にしごき加工を施さずに絞り
加工のみで胴高が10cm以上の缶体を製造する場合に
特に好適である。本発明の金属缶体は、その優れた耐レ
トルト性、フレーバー性から、コーヒー、緑茶、紅茶等
の内容物を充填する場合に適している。
【0040】本発明のラミネート金属板を用いて缶体を
製造する際には、通常、室温〜(フィルムのガラス転移
温度+30℃)の温度で加工処理が施されるが、必要に
応じて更に熱処理を加えてフィルムの結晶化を進めても
よい。たとえば、フィルムのガラス転移温度以上、〔T
m(B)−20〕℃の温度で数sec〜30min程度
の熱処理を施すことにより結晶化が進行するが、この処
理工程を、後の加工工程の胴外面の印刷、トップコート
の乾燥、焼き付け加工工程において代用することもでき
る。
【0041】
【作用】本発明のフィルムは、金属板との熱圧着時の条
件変動、特に温度の変動に対するラミネート金属板の品
質が変動しにくいという特長を有するが、この理由はフ
ィルムのDSC分析から、次のように説明することがで
きる。すなわち、本発明のフィルムは、融点が異なる実
質的に非相溶の2種類の樹脂組成物からなるものであ
り、図1(b)のようなDSCによる融解曲線を示す。
また、図2は、昇温していった時、温度Tに到達するま
でに発生する融解熱〔ΔHm(T)〕の〔ΔHm(A+
B)〕に対する比の変化を示す。温度Tに予熱された金
属板とフィルムを熱圧着する場合、フィルムの温度は厚
み方向で連続的に変化し、したがって、フィルムの結晶
構造は厚み方向に連続的に変化する。金属板との接着
性、ラミネート金属板の成性加工性を向上させるために
は、熱圧着温度を高くしてフィルムの結晶構造を壊した
方が有利であるが、熱圧着温度が高いと金属板側と反対
側のフィルムの表面があれるという問題が発生する。特
に、工業的に用いられるような厚みの小さいフィルムで
は、金属板との接着性を高め、しかもフィルムの反対面
の表面のあれを防止するために、図2(a)に示した融
解熱の比のカーブの傾きを急峻にすることが必要であ
り、熱圧着条件を過度なまでに均一かつ精度よく制御し
なければならないという問題がある。
【0042】それに対して、本発明のフィルムは、図2
(b)に示したように、上記の融解熱の比がほとんど変
動しないTv付近のプラトー領域を有しており、しか
も、低融点側の樹脂として結晶性の高いPBT系樹脂を
用いることにより、融解熱の比のカーブの傾きが大きい
ため上記の問題が解決したものと考えられる。
【0043】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、実施例及び比較例に用いた各特性値の
分析方法、測定方法は下記の通りである。
【0044】樹脂の極限粘度〔η〕:フェノール/1,
1,2,2−テトラクロロエタンの等重量混合溶媒を用
い、20℃で測定した。(単位はdl/g。)
【0045】樹脂の酸価:樹脂試料をo−クレゾール/
クロロホルム(重量比7/3)に90〜100℃、20
分の条件で溶解し、アルカリで電位差滴定を行い求め
た。(単位は当量/トン。)
【0046】フィルムの面配向度f:アタゴ光学社製、
アッベ式屈折計を用いて屈折率を測定し、前記の式で算
出した。屈折率は、アッベ式屈折計の接眼側に偏光板ア
ナライザーを取り付け、単色光NaD線により、マウン
ト液としてヨウ化メチレンを用い、温度25℃で測定し
た。なお、測定に用いたフィルムの幅は20cmであ
り、フィルムの中央部及び両端から各3cmの部分を測
定し、その平均値を面配向度とした。
【0047】フィルムの熱特性:フィルム、ラミネート
金属板及び金属缶体中のフィルムから、それぞれ10〜
12mgの試料を採取し、パーキンエルマー社製DSC
−7を用いて測定した。フィルムの融点、Tc、ΔHc
の各特性値は、昇温速度20℃/minの条件で、25
〜280℃まで昇温して求めた。なお、ポリエステル
(A)及び(B)に由来する融点は、それぞれの融解ピ
ークのピークトップの温度とした。また、結晶化開始温
度Tcは、発熱ピークの立ち上がりの温度とした。ポリ
エステル(A)及び(B)の結晶部分に由来する融解熱
〔ΔHm(A+B)〕、及び〔ΔHm(A1)〕、〔Δ
Hm(Tv)〕は、結晶化ピークによりベースラインが
不明確となり、DSC測定中に結晶化した部分の融解現
象が分離できないため次の方法に依った。すなわち、昇
温速度20℃/minで、25〜190℃まで昇温し、
190℃に達した時点で直ちに50℃/minの速度で
25℃まで降温する。そして25℃で3分保持した後、
再度、20℃/minで280℃まで昇温し、生成した
融解ピークより〔ΔHm(A+B)〕、〔ΔHm(A
1)〕、〔ΔHm(Tv)〕を求めた。上記の2つの昇
温条件で得られたDSCチャートの一例を図3、図4に
示す。
【0048】ラミネート性:ラミネート後の状況につい
て、次の基準に従って目視で評価した。 ◎:金属とラミネートしたフィルムに傷やしわ等の欠陥
がなく、良好に熱圧着されている部分が全面積の98%
以上。 ○:上記の部分が全面積の80%以上、98%未満。 △:上記の部分が全面積の50%以上、80%未満。 ×:上記の部分が全面積の50%未満。
【0049】接着性:上記のラミネート性が◎或いは○
と判断されたラミネート金属板から幅18mmの短冊状
の試験片(ラミネート金属板の端部はラミネートせず、
ラミネートされた部分が8cm以上確保されるようにす
る)を切り出した。次に、この試験片のフィルム面に、
JIS Z−1522に規定された粘着テープを貼りつ
け、島津製作所社製オートグラフで、10mm/nin
の速度で180゜剥離試験を行い、その剥離強力を測定
することにより、接着性の指標とした。 ○:11枚のうち10枚以上の試験片の剥離強力が30
0gf以上か、300gf以上でフィルムが破断。 △:11枚のうち5枚以上の試験片の剥離強力が300
gf以上か、300gf以上でフィルムが破断。 ×:剥離強力が300gf未満の試験片が7枚以上。
【0050】缶体の成形性: 成形性−1:ラミネート金属板を用いて缶を成形した後
のフィルムの剥離、切れ、クラック等の損傷の有無を目
視及び蛍光顕微鏡(倍率80倍)で観察し、次の基準に
従って評価した。 ○:缶体100個のうち、95個以上に損傷なし。 △:缶体100個のうち、80〜94個に損傷なし。 ×:缶体100個のうち、21個以上に何らかの損傷が
認められる。 なお、実施例11〜12については、得られたラミネー
ト金属板から、寸法17cm×12cmの試験片を切り
出し、3P缶の缶胴部材に使用する場合を想定し、缶体
の成形性を評価するための簡易方法として、JIS K
−5400に準じてエリクセン試験機を用い、ラミネー
ト金属板100枚を用いて両面から2回ずつ5mmの深
さまで押し出し(成形条件:C−1)た後の、ラミネー
ト金属板の上記と同様の損傷を同様の基準で評価した。
【0051】成形性−2:缶体の成形性が○と評価され
た金属缶体について、それぞれ缶体10個に濃度1重量
%の食塩水を充填し、80℃×24時間加熱した後の缶
体内の錆の発生状況を、次の基準に従って評価した。 ○:目視では錆が認められない。 △:食塩水と接触していたフィルム表面積の5%未満に
錆が発生した。 ×:食塩水と接触していたフィルム表面積の5%以上に
錆が発生した。 なお、実施例11〜12については、エリクセン試験機
で加工したラミネート金属板5枚を、ステンレス製容器
中の1重量%食塩水に浸漬して加熱処理を行い、上記と
同様に評価した。
【0052】成形性−3:各ラミネート金属板のフィル
ムに所定の結晶化処理を行った後、成形性−2の評価を
行った。
【0053】耐レトルト性:金属缶体又はラミネート金
属板(実施例11〜12)をオートクレーブ(トミー精
工社製、BS−325)に入れ、125℃のスチーム中
で30min、レトルト処理を施し、フィルムの外観に
ついて、ウォータースポット(白い斑点)及び白粉(フ
ィルム中のオリゴマーに由来)の発生状況を目視観察
し、耐レトルト性の指標とした。 ○:良好。 △:フィルム表面積の5%未満に、ウォータースポット
又は白粉がみられた。 ×:フィルム表面積の5%以上に、ウォータースポット
又は白粉がみられた。
【0054】フレーバー性:下記の成形条件C−2及び
C−3によって2P缶胴部を得た。 C−2:絞りダイスとポンチを用いて、室温で4段階で
絞り成形を行い、その後にトリミング、ネッキングフラ
ンジ加工を施して外径53mm、胴高100mmの2P
缶胴部を得た。 C−3:絞りダイスとポンチを用いて、40℃で2段階
で絞り成形を行った。すなわち、ラミネート金属板から
150mm径の円板を切り出し、第1段階で内径75m
mの缶体とし、更に第2段階で内径53mmの缶体を成
形した。そして、径が52、65mmのしごきポンチと
ダイスを用いて胴部の金属板の厚みが底部のそれの65
%となるように45℃でしごき成形を施し、その後にト
リミング、ネッキングフランジ加工を施して、外径53
mm、胴高100mmの2P缶胴部を得た。
【0055】次に、得られた2P缶胴部を用いて、所定
の結晶化処理を行った後、蒸留水190gを充填し、市
販の202径アルミEO蓋を巻き締めてこれを密封し、
上記と同様にしてレトルト処理を行った。次に、室温ま
で十分冷却した後に、内容物をパネラー50人に試飲し
てもらい、におい、味覚等が蒸留水と違いがないかを判
断してもらい、その結果を次の基準に従ってフレーバー
性の指標とした。 ○:両者の違いを感知した人数が10人未満。 △:両者の違いを感知した人数が10人以上30人未
満。 ×:両者の違いを感知した人数が30人以上。 なお、実施例11〜12については、エリクセン試験機
で加工及び所定の結晶化処理を行った後、ラミネート金
属板1枚当たり400gの蒸留水と共にステンレス製容
器に入れて、これを密封後、レトルト処理を行い、上記
と同様に評価した。
【0056】耐衝撃性:成形条件C−2及びC−3によ
って得られた2P缶胴部に所定の結晶化処理を行った
後、濃度1重量%の食塩水190gを充填し、202径
アルミEO蓋を用いて密封した缶10個を50cmの高
さからポリ塩化ビニルタイル床面に落下させた。次に、
80℃×24時間加熱した後に、成形性−2(錆の発生
状況)を評価した。なお、実施例11〜12について
は、ラミネート後にロール状のラミネート金属板から1
0cm×10cmの角板を切り出し、所定の結晶化処理
を施した後、これを水平に保って、この上に300gの
立方体のおもりを載せて落下試験を行った。その後、ス
テンレス容器中の濃度1重量%の食塩水に浸漬して加熱
処理を行い、成形性−2を評価した。
【0057】溶出オリゴマー量:蒸留水190gを充填
した後、アルミEO蓋を用いて密封し、レトルト処理を
行った。次に、室温まで十分冷却した後に内容物を取り
出し、水を留去し、得られた不揮発物を秤量し、これを
2P缶内面のフィルム被覆面積で除した値を溶出オリゴ
マー量(μg/cm2 )とした。なお、レトルト処理に
より、アルミEO蓋から溶出する不揮発物は認められな
いことを予め確認した。
【0058】実施例及び比較例に用いたポリエステル
(A)及びポリエステル(B)は、次のとおりである。 ポリエステル(A) A−1:平均粒径1.0μmのシリカを0.05重量%
を含有した、[η]が0.71、酸価が19の固相重合
を施したPET。融点は254℃。 A−2:イソフタル酸(以下、IPAと略す)を5mo
l%共重合した、[η]が0.76の固相重合を施した
PET。酸価は23、融点は245℃。 A−3:ポリエステルA−1及びA−2を等重量比でド
ライブレンドしたもの。 A−4:[η]が0.92で固相重合を施したPET。
酸価は15、融点は255℃。 A−5:[η]が0.67で固相重合を施しているPE
T。酸価は25、融点は255℃。 A−6:[η]が0.72で固相重合を施しているPE
T。酸価は38、融点は255℃。 なお、A−2〜A−6は、A−1と同様に平均粒径1.
0μmのシリカを0.05重量%含む。
【0059】ポリエステル(B) B−1:[η]が1.12で固相重合を施したPBT。
酸価は27、融点は222℃。 B−2:IPAを5mol%共重合した、[η]が0.
98で固相重合を施したPBT。酸価は28、融点は2
17℃。 B−3:三菱エンジニアリングプラスチックス社製PB
T、ノバドゥール5009AS。 B−4:[η]が0.56で固相重合を施していないP
BT。酸価は38、融点は222℃。
【0060】実施例1 ポリエステルA−1を40重量部と、ポリエステルB−
1を60重量部の割合でドライブレンドし、これをTダ
イを備えた押出機(75mm径、L/Dが45の緩圧縮
タイプ単軸スクリュー)を用いて、シリンダー部275
℃、Tダイ部265℃の温度で、吐出量450g/mi
nでシート状に押し出した。続いて、これを表面温度1
8℃に調節されたキャスティングロール上に密着させて
急冷し、厚み130μmの未延伸シートを得た。この未
延伸シートの端部を、テンター式同時二軸延伸機のクリ
ップで把持し、60℃の予熱ゾーンを2sec走行させ
た後、温度80℃でMD(縦方向)に3倍、TD(横方
向)に3.5倍の倍率で同時二軸延伸した(延伸ゾーン
は3secで通過)。次に、TDの弛緩率を5%として
200℃で4sec熱固定処理した後、室温まで冷却
し、50m/minの速度で巻き取って厚み13μmの
フィルムを得た。得られたフィルムをスリットし、幅2
0cmのロール状のフィルムAを得た。次に、このフィ
ルムを用いて各種の特性評価を行った。得られた結果を
表1に示す。
【0061】実施例2〜9及び比較例1〜7 原料のポリエステル樹脂、配合比、及びフィルムの製造
条件を、表1及び2に示したように変更し、実施例1と
同様にして各種フィルムB〜I、K〜Qを得た。得られ
たフィルムの性能を表1及び2に示す。
【0062】実施例10 ポリエステルA−1を30重量部、ポリエステルB−1
を70重量部、及び酢酸ナトリウムを0.5重量部の割
合でドライブレンドし、シリンダー〜Tダイ部の温度を
265℃、吐出量480g/minでシート状に押し出
した以外は実施例2と同様にしてフィルムJを得た。延
伸フィルムの特性値を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】比較例8 ポリエステルA−5を40重量部、ポリエステルB−3
を60重量部の割合でドライブレンドし、シリンダー〜
Tダイ部の温度を265℃、吐出量500g/minで
シート状に押し出し、実施例1と同様にして、厚み18
0μmの未延伸シートを得た。この未延伸シートを、6
0℃の予熱ゾーンを2sec走行させた後、80℃の雰
囲気でMD、TDにそれぞれ3倍の倍率で同時二軸延伸
を行った(延伸ゾーンは3secで通過)。次に、TD
の弛緩率を5%として110℃の熱風中で4sec熱固
定処理を施し、フィルムRを得た。延伸フィルムの特性
値を表2に示す。
【0065】比較例9 ポリエステルA−5を30重量部、ポリエステルB−3
を70重量部の割合でドライブレンドし、比較例8と同
様にして厚み200μmの未延伸シートを得た。この未
延伸シートを、50℃の予熱ゾーンを2sec走行させ
た後、70℃の雰囲気でMDに3倍、TDに3.5倍の
倍率で同時二軸延伸を行った(延伸ゾーンは3secで
通過)。次に、TDの弛緩率を5%として195℃の熱
風中で3sec熱固定処理を施し、フィルムSを得た。
延伸フィルムの特性値を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】比較例10 ポリエステル(B)として、ポリエステルB−4を用い
る以外は実施例1と同様にして、フィルムの製造を試み
たが、延伸〜熱固定工程でフィルムの破断が多発し、し
かも、機械的特性が満足できるフィルムは得られなかっ
た。
【0068】実施例11 錫メッキを施した板厚0.20mm、板幅22cmのロ
ール状のブリキ(スチール−1)を、誘導加熱ロールに
より226℃に加熱し、その両面に実施例1で得られた
幅20cmのロール状のフィルムAを、表面温度100
℃に調整された1対のシリコーンロールを用いてニップ
長が20mm、ライン速度20m/minの条件でラミ
ネートした後、1sec後に氷水中に浸漬冷却してラミ
ネート金属板を得た(ラミネート条件:L−1)。な
お、氷水中に浸漬して2sec後には、ラミネート金属
板は、20℃以下に冷却されていることを確認した。得
られたラミネート金属板を用いて成形条件C−1により
成形した後、80℃のオーブン中で5分間処理し結晶化
した(結晶化条件:R−1)。得られたラミネート金属
板の特性を表3に示す。
【0069】実施例12 フィルムCを用いて実施例11と同様にしてラミネート
金属板及び各処理金属片を得た。それらの特性値及び性
能評価結果を表3に示す。
【0070】実施例13 板厚0.24mm、板幅22cm、テンパー度T−4の
ロール状のTFS(スチール−2)を誘導加熱ロールに
より233℃に加熱し、シリコーンロールの表面温度を
120℃として、フィルムBを用いた以外は実施例11
と同様にしてラミネート金属板を得た(ラミネート条
件:L−2)。次に、上記のラミネート金属板を絞りダ
イスとポンチを用いて、室温で4段階で絞り成形を行っ
た後、トリミング、ネッキングフランジ加工を施して外
径53mm、胴高100mmの2P缶胴部を得た(成形
条件:C−2)。次に、得られた金属缶体をR−1の条
件で結晶化した。得られたラミネート金属板及び金属缶
体の性能を表3に示す。
【0071】実施例14〜24及び比較例11〜16 フィルム組成及び金属板の種類、ラミネート条件、成形
条件、結晶化条件を変更した以外は、実施例13と同様
にしてラミネート金属板及び金属缶体を製造した。得ら
れたラミネート金属板、金属缶体の性能を表3及び4に
示す。
【0072】なお、表中の略号は次に示すものを意味す
る。 アルミ:3004H19材、板厚0.26mm、板幅2
2cm、リン酸−クロム酸塩系化成処理品。 スチール−3:板厚0.32mm、板幅22cm、テン
パー度T−1のロール状のTFS。 結晶化条件R−2:80℃のオーブン中で3min静置
した後に、さらに100℃のオーブン中で5min保持
した。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】比較例17 フィルムR及びスチール−2を用いて実施例11と同様
に熱圧着を試みたが、フィルムが金属板に接触する直前
に収縮するため、良好なラミネート金属板が得られなか
った。
【0076】実施例25〜26及び比較例18〜19 各種のフィルムとスチール−2を用いて、ラミネート条
件L−2に準じて予熱時の金属板の表面温度を変化させ
て熱圧着を試み、下記の特性値を求めることにより、熱
圧着時の条件変動に対するラミネート金属板の特性の変
化を評価した。得られた結果を表5に示す。 T1:C−2の条件で成形を行った際に成形性−1の評
価が○となる金属板表面温度の最低温度。 T2:C−3の条件で成形を行った際に成形性−1の評
価が○となる金属板表面温度の最低温度。 T3:熱圧着時にフィルム表面があれない金属板表面温
度の最高温度。
【0077】
【表5】
【0078】実施例27 ポリエステルA−6を用いる以外は実施例2と同様にし
てフィルムTを得た。得られたフィルムの特性を表6に
示す。
【0079】実施例28 ポリエステル樹脂組成物100重量部に対してN−
(2,3−エポキシプロピル)フタルイミド0.2重量
部を添加して未延伸シートを得た以外は実施例2と同様
にしてフィルムUを得た。得られたフィルムの特性を表
6に示す。
【0080】
【表6】
【0081】実施例29〜31 フィルムB、T及びUについて、実施例13と同様にし
て2P缶胴部を得た。得られた金属缶体を用いてフレー
バー性及びオリゴマー溶出量を評価した結果を表7に示
す。なお、表中のフレーバー性(2)については、レト
ルト処理の後に、蒸留水が密封された金属缶を更に60
℃で3カ月間貯蔵した後のフレーバー性を評価した結果
である。
【0082】
【表7】
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、機械的特性や耐熱性
に優れ、比較的低温であっても金属板との熱圧着が可
能であり、しかも、金属板に熱圧着する際の条件が変
動してもラミネート金属板の品質が変化し難く、成形
性及び各種の加工性に特に優れた金属板ラミネート用フ
ィルムを提供することができる。そして、ラミネート金
属板や金属缶体のフィルムに結晶化処理を施しても、フ
ィルムが白化したり、剥離やミクロクラック等が発生す
るという問題もなく、フレーバー性、耐衝撃性に優れた
金属缶体を容易に製造することができる。なお、フィル
ムを金属板と熱圧着する際に、フィルムの一部を非晶化
し、かつ、熱圧着時の条件変動に対するラミネート金属
板の品質の変化をできるだけ防止する方法としては、特
公平7−84532号公報、特開平7−90093号公
報、特開平7−207039号公報、特開平7−285
206号公報、特開平7−290665号公報等に開示
されているように、金属板側の接着層に融点の低い樹脂
層を配した複層フィルムを用いる方法があるが、フィル
ム層間への応力集中に伴う界面剥離が発生しやすく、ま
た、設備コストやリサイクル利用等の点で問題があり、
本発明の単層フィルムでは、複層フィルムが有するこの
ような問題がなく、工業的な利用価値が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a):単一組成の樹脂からなるフィルムのD
SCチャートにみられる融解現象を模式的に表したもの
である。 (b):本発明のような本質的に非相溶で融点の異なる
2成分の樹脂からなるフィルムのDSCチャートにみら
れる融解現象を模式的に表したものである。
【図2】(a):図1(a)の場合における、温度Tに
到達するまでに発生する融解熱〔ΔHm(T)〕の、ポ
リエステル(A)に由来する融解熱〔ΔHm(A)〕に
対する値を表した図である。 (b):図1(b)の場合における、温度Tに到達する
までに発生する融解熱〔ΔHm(T)〕の、ポリエステ
ル(A)及び(B)に由来する融解熱〔ΔHm(A+
B)〕に対する値を表した図である。
【図3】昇温速度20℃/minで25〜280℃まで
昇温して得られたDSCチャートの一例である。
【図4】昇温速度20℃/minで25から190℃ま
で昇温し、190℃に達した時点で直ちに50℃/mi
nの速度で25℃まで降温する。そして25℃で3mi
n保持した後に、再度、20℃/minで280℃まで
昇温して得られたDSCチャートにおいて、〔ΔHm
(A+B)〕に相当する部分を斜線で示した図である。
【図5】図4のDSCチャートにおいて、〔ΔHm(A
1)〕に相当する部分を斜線で示した図である。
【図6】図4のDSCチャートにおいて、〔ΔHm(T
v)〕に相当する部分を斜線で示した図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 7:00 (72)発明者 畑 喜代美 京都府宇治市宇治小桜23 ユニチカ株式会 社中央研究所内 (72)発明者 梅村 吉弘 京都府宇治市宇治小桜23 ユニチカ株式会 社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート又はこれを
    主体とする極限粘度が0.50〜0.90のポリエステ
    ル(A)10〜60重量%と、ポリブチレンテレフタレ
    ート又はこれを主体とする極限粘度が0.60以上のポ
    リエステル(B)90〜40重量%とからなるポリエス
    テル樹脂組成物で構成されたフィルムであって、フィル
    ムの面配向度が0.11〜0.16であり、かつ、フィ
    ルムの熱特性が下記の(a)〜(c)の条件を満足する
    ことを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィ
    ルム。 (a)ポリエステル(A)に由来する融点〔Tm
    (A)〕が228〜245℃。 (b)ポリエステル(B)に由来する融点〔Tm
    (B)〕が190〜218℃。 (c)フィルム中のポリエステル(A)及び(B)の結
    晶部分に由来する融解熱の和〔ΔHm(A+B)〕が3
    3〜45J/g。
  2. 【請求項2】 フィルムの熱特性が下記の(d)〜
    (e)の条件を満足することを特徴とする請求項1記載
    の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。 (d)ポリエステル(A)に由来する融点〔Tm
    (A)〕以上で認められる融解熱〔ΔHm(A1)〕の
    〔ΔHm(A+B)〕に対する比が0.05〜0.3。 (e)20℃/minで昇温した際に、〔Tm(B)〕
    以下の温度で結晶化が認められないか、あるいは、結晶
    化が起こっても結晶化開始温度Tcが150℃以上であ
    り、かつ、結晶化熱(ΔHc)が5J/g未満。
  3. 【請求項3】 フィルムの示差走査熱量分析(DSC)
    で得られる融解曲線における、〔Tm(A)〕と〔Tm
    (B)〕の中間の谷に位置する温度(Tv)以下で認め
    られる融解熱ΔHm(Tv)が〔ΔHm(A+B)〕の
    30〜70%であることを特徴とする請求項1又は2記
    載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 フィルムを構成する樹脂組成物の酸価が
    35当量/トン以下であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の金属板ラミネート用ポリエステル
    フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の金属板
    ラミネート用ポリエステルフィルムを用いて、下記式
    (イ)を満足する温度T(℃)の金属板に下記式(ロ)
    を満足する時間S(sec)フィルムを接触させた後、
    50℃/sec以上の速度でフィルムのガラス転移温度
    以下まで冷却することを特徴とするフィルムラミネート
    金属板の製造方法。 (Tv−3℃)≦T≦(Tv+10℃) (イ) (30/T)−0.11≦S≦(200/T) (ロ)
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