JP2006265325A - ラミネート用ポリエステルフィルムおよびポリエステル樹脂ラミネート金属板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ガラス転移点が−10℃以上であり、結晶融解ピークが130℃以上190℃未満であり、下記式より算出される結晶化指数CIが0.1〜0.7であるポリエステルからなることを特徴とするラミネート用ポリエステルフィルム。
CI=(Hm−Hc)/Hm
Hm:融解熱
Hc:結晶化熱
【選択図】なし
Description
CI=(Hm−Hc)/Hm
ただし、
Hm:融解熱、
Hc:結晶化熱
である。
脂肪族成分としては例えば、下記式で示される炭素数10〜30の不飽和脂肪酸から誘導されるものが好ましく、主としてその二量化により得られる二量化脂肪酸もしくはそのエステル形成誘導体、または、それらを還元して得られるジオールから形成されることが好ましい。
CH3(CH2)m(CH=CH−CH2)k(CH2)nCOOR
上記式中のRは、水素原子またはアルキル基を表し、mは1〜25の整数、kは1〜5の整数、nは0〜25の整数であり、m、kおよびnは、
8≦m+3k+n≦28
の関係を満足する。
架橋高分子粒子としては例えば、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸のビニル系モノマーの単独重合体または共重合体からなる微粒子が挙げられる。また、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの微粒子も好ましく使用される。
本発明のラミネート用ポリエステルフィルムを形成するポリエステル樹脂は、ガラス転移点が−10℃以上であることが必要であり、好ましくは−5℃以上、より好ましくは0℃以上である。ガラス転移点が−10℃未満である場合、フィルムの耐傷性が不十分となる。ガラス転移点は、主に脂肪族成分および/または脂環族成分の種類と含有量(質量%)により制御することができる。
本発明のラミネート用ポリエステルフィルムを形成するポリエステル樹脂は、結晶融解ピークが130℃以上190℃未満であることが必要であり、好ましくは140℃以上185℃未満、より好ましくは150℃以上180℃未満である。結晶融解ピークが130℃未満である場合、ラミネート工程などで耐熱性が不十分となり、結晶融解ピークが190℃以上である場合、低温ラミネート性やラミネート後の成形加工性が不十分となる。結晶融解ピーク温度は、脂肪族成分および/または脂環族成分の種類と含有量により制御することができる。ガラス転移点制御の都合で含有量(質量%)が定まっている場合は、脂肪族成分および/または脂環族成分のモノマーの炭素数を増減することで制御できる。
CI=(Hm−Hc)/Hm
ただし、
Hm:融解熱、
Hc:結晶化熱
である。
本発明のラミネート用ポリエステルフィルムは、前述のような特定範囲のガラス転移点温度、結晶融解ピーク温度、結晶化指数CIを有するポリエステルの層以外に他の層を設けた多層構成としてもよい。当該他の層としては例えば、易滑性、接着性、粘着性、耐熱性、耐候性、耐傷性等を付与するため層や、意匠性を付与するための絵柄などが入った印刷層や、フィルム表面保護のためのハードコート層等を挙げることができる。
フィルムの長手方向および幅方向の延伸倍率は、柔軟性、加工性、蒸着適性などの所望の特性に応じて設定することができるが、厚み斑を防ぐ上で好ましくは1.5〜6.0倍である。延伸温度は、フィルムを構成する全てのポリエステルのガラス転移温度以上、融点マイナス20℃以下の範囲であればよく、より具体的に好ましくは20〜160℃である。
(1)ポリエステルの組成分析
ポリエステルをアルカリにより加水分解し、酸成分とグリコール成分をそれぞれ単離し、各成分を、高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)社製HLC−8220)またはガスクロマトグラフィー(島津製作所社製14A)により定量分析し、各成分のピーク面積より組成比を求めた。尚、高速液体クロマトグラフィーとガスクロマトグラフィーとの併用については、主として高速液体クロマトグラフィーを用い、比較的低分子量の成分についてはガスクロマトグラフィーも用いた。
高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)社製HLC−8220)により定量分析し、各成分のピーク面積より組成比を求めた。
(3)結晶融解ピーク
示差走査熱量計としてセイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いた。試料5mgをアルミニウム製受皿にセットし、25℃から昇温速度20℃/分で280℃まで昇温したときの結晶の融解による吸熱ピーク温度を結晶融解ピークとした。
(4)ガラス転移点、結晶化指数(CI)
上記(3)と同様の示差走査熱量計およびデータ解析装置を用いた。試料5mgをアルミニウム製受皿にセットし、25℃から昇温速度20℃/分で280℃まで昇温し、5分間保持した後、液体窒素で急冷し、再び25℃から昇温速度20℃/分で280℃まで昇温し、当該再昇温過程において測定される補外ガラス転移開始温度と補外ガラス転移終了温度との平均値をガラス転移点とした。また、結晶化指数は、その再昇温時の結晶化熱(Hc)と融解熱(Hm)から、下記式より算出した。
CI=(Hm−Hc)/Hm
。
設定温度に加熱した金属ロールとゴムロールとの間を、試料とするフィルムと、金属ロールと同温度に加熱した厚さ0.5mmの亜鉛めっき鋼板とを重ね合わせ、圧力2.0MPaで通過させた。通過してできた評価用の樹脂ラミネート金属板のおもて面(ラミネートフィルム層側)に、かみそり刃にて5mm間隔で#型にクロスカットを入れた。このクロスカット部位をエリクセン試験機で直径30mm、深さ7mmまでラミネートの裏面(金属板側)から表面方向に押し出して、金属板とフィルム層との間の剥離の有無を調べ、以下の基準で評価した。
◎:180℃のラミネートで剥離無し。
○:180℃のラミネートで剥離有り、200℃のラミネートで剥離無し。
×:200℃のラミネートで剥離有り。
JIS K 5600−5−4:1999(塗料一般試験方法−塗膜の機械的性質−引っかき硬度(鉛筆法))に準じて、上記(5)と同様の評価用の樹脂ラミネート金属板のラミネートフィルム層の表面に各種硬度の鉛筆を押し付けて動かした。ただし、鉛筆を押し付ける角度はラミネートフィルム層の表面に対して角度90°とし、また押し付ける荷重は1kgとした。鉛筆での引っかきにより傷が発生したときの鉛筆の硬さで示す鉛筆硬度を用いて以下の基準で評価した。
◎:3B以上。
○:4B〜5B。
×:6B以下。
(ポリエステルの合成)
下記の原料を反応槽に入れ、常圧下、最終温度210℃でエステル交換反応を留出物(H2O)が理論量だけ出るまで行った後、重合釜に移行し、1torr以下まで徐々に減圧し、最終温度240℃で重縮合反応を行い、共重合ポリエステルを合成した。
テレフタル酸
:60質量部
ダイマー酸(ユニケマ・インターナショナル社製“PRIPOL1025” (単量体2.2質量%、二量体78.6質量%、三量体19.2質量%))
:23質量部
エチレングリコール
:20質量部
1,4−ブタンジオール
:43質量部
テトラブチルチタネート
:0.1質量部
得られたポリエステルの組成は、
酸成分が、テレフタル酸残基90モル%、ダイマー酸残基10モル%、
グリコール成分が、エチレングリコール残基40モル%、1,4−ブタンジオール残基60モル%
であった。
前記ポリエステルをベント式異方向二軸押出機(ベント部3ヶ所、L/D=42)に入れ、溶融させ、真空ベント部および短管を通過させた。この溶融体をスリット状のダイからシート状に押出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み55μmの未延伸フィルムを得た。
ポリエステルの合成において、下記の原料を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。
テレフタル酸
:66質量部
ダイマージオール(単量体2.2質量%、二量体78.6質量%、三量体19.2質量%)
:32質量部
エチレングリコール
:19質量部
1,4−ブタンジオール
:40質量部
テトラブチルチタネート
:0.1質量部
得られたフィルムは、実施例1と比べて若干耐傷性に劣るものの実用レベルであり、低温ラミネート性は良好であった。
ポリエステルの合成において、下記の原料を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。
テレフタル酸
:58質量部
ダイマー酸(単量体0.5質量%、二量体99.0質量%、三量体0.5質量%)
:28質量部
エチレングリコール
:25質量部
1,4−ブタンジオール
:36質量部
テトラブチルチタネート
:0.1質量部
得られたフィルムは、実施例1と比べて低温ラミネート性に多少劣るものの合格レベルであり、耐傷性は良好であった。
[実施例4]
ポリエステルの合成において、下記の原料を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。
テレフタル酸
:56質量部
ダイマー酸(単量体2.2質量%、二量体78.6質量%、三量体19.2質量%)
:34質量部
1,4−ブタンジオール
:47質量部
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール
:29質量部
テトラブチルチタネート
:0.1質量部
得られたフィルムは、実施例1と比べて若干耐傷性に劣るものの実用レベルであり、低温ラミネート性は良好であった。
ポリエステルの合成において、下記の原料を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。
テレフタル酸
:60質量部
二量化脂肪酸(炭素数44)(単量体0.5質量%、二量体99.0質量%、三量体0.5質量%)
:27質量部
エチレングリコール
:10質量部
1,4−ブタンジオール
:58質量部
テトラブチルチタネート
:0.1質量部
得られたフィルムは、実施例1と比べて低温ラミネート性に多少劣るものの実用レベルであり、耐傷性は良好であった。
[実施例6]
ポリエステルの合成において、下記の原料を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。
テレフタル酸
:58質量部
ダイマー酸(単量体3.8質量%、二量体22.5質量%、三量体73.7質量%)
:28質量部
エチレングリコール
:20質量部
1,4−ブタンジオール
:43質量部
テトラブチルチタネート
:0.1質量部
得られたフィルムは、低温ラミネート性、耐傷性ともに良好であった。
ポリエステルの合成において、下記の原料を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。
テレフタル酸
:53質量部
ダイマー酸(単量体2.2質量%、二量体78.6質量%、三量体19.2質量%)
:45質量部
エチレングリコール
:12質量部
1,4−ブタンジオール
:54質量部
テトラブチルチタネート
:0.1質量部
得られたフィルムは、ガラス転移点が本発明の範囲の下限を下まわっており、耐傷性が不十分であった。
ポリエステルの合成において、下記の原料を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。
テレフタル酸
:65質量部
ダイマー酸(単量体2.2質量%、二量体78.6質量%、三量体19.2質量%)
:6質量部
エチレングリコール
:10質量部
1,4−ブタンジオール
:58質量部
テトラブチルチタネート
:0.1質量部
得られたフィルムは、結晶融解ピークの温度が本発明の範囲の上限を上まわっており、低温ラミネート性が不十分であった。
ポリエステルの合成において、下記の原料を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。
テレフタル酸
:55質量部
ダイマー酸(単量体2.2質量%、二量体78.6質量%、三量体19.2質量%)
:40質量部
1,4−ブタンジオール
:72質量部
テトラブチルチタネート
:0.1質量部
得られたフィルムは、ガラス転移点、結晶化指数の値が本発明の範囲を外れており、低温ラミネート性、耐傷性ともに不十分であった。
TPA :テレフタル酸残基
DA :ダイマー酸残基(炭素数36)
C44 :二量化脂肪酸残基(炭素数44)
EG :エチレングリコール残基
BG :1,4−ブタンジオール残基
DDO :ダイマージオール残基(炭素数36)
NPG :2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール残基(炭素数5)。
Claims (6)
- ガラス転移点が−10℃以上であり、結晶融解ピークが130℃以上190℃未満であり、下記式より算出される結晶化指数CIが0.1〜0.7であるポリエステルからなることを特徴とするラミネート用ポリエステルフィルム。
CI=(Hm−Hc)/Hm
Hm:融解熱
Hc:結晶化熱 - 結晶融解ピークが150℃以上180℃未満である、請求項1記載のラミネート用ポリエステルフィルム。
- ポリエステルが重合成分として炭素数4以上の脂肪族成分および/または炭素数4以上の脂環族成分を含有する請求項1または2記載のラミネート用ポリエステルフィルム。
- ポリエステルが重合成分としてダイマージオールおよび/またはダイマー酸を含有する請求項3記載のラミネート用ポリエステルフィルム。
- 前記脂肪族成分および前記脂環族成分のうち、不飽和脂肪酸から誘導される成分について、二官能体が15〜100質量%、三官能体が85〜0質量%である、請求項3または4記載のラミネート用ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜5のいずれか記載のラミネート用ポリエステルフィルムが金属板を被覆してなることを特徴とするポリエステル樹脂ラミネート金属板。
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JP2005083235A JP2006265325A (ja) | 2005-03-23 | 2005-03-23 | ラミネート用ポリエステルフィルムおよびポリエステル樹脂ラミネート金属板 |
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