JP4631583B2 - ラミネート用積層ポリエステルフィルムおよびポリエステル樹脂ラミネート金属板 - Google Patents
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CI=(Hm−Hc)/Hm
Hm:融解熱
Hc:結晶化熱
である。
脂肪族成分としては例えば、下記式で示される炭素数10〜30の不飽和脂肪酸から誘導されるものが好ましく、主としてその二量化により得られる二量化脂肪酸もしくはそのエステル形成誘導体、または、それらを還元して得られるジオールから形成されることが好ましい。
CH3(CH2)m(CH=CH−CH2)k(CH2)nCOOR
上記中のRは、水素原子またはアルキル基を表し、mは1〜25の整数、kは1〜5の整数、nは0〜25の整数である。また、m、kおよびnは、
8≦m+3k+n≦28
の関係式を満足する。
二量化反応においては、通常二量体とともに三量体も生成するので、二量化反応により得られるものの中には、二官能体、三官能体及び未反応の単官能体が含まれている可能性があることになる。
ただし、本発明のラミネート用積層ポリエステルフィルムを形成するポリエステルAは、脂肪族成分および脂環族成分のうち、不飽和脂肪酸から誘導される成分について、二官能体が22.5〜78.6質量%、三官能体が85〜0質量%であることが好ましく、より好ましくは二官能体が70〜78.6質量%、三官能体が30〜0質量%である。二量体を22.5〜78.6質量%、あるいは、三量体を85質量%以下とすることで、共重合ポリエステル製造時の反応性が低下して重合度が上がり難くなるのを防ぎ、機械特性を維持できる。
本発明のラミネート用積層ポリエステルフィルムを形成するポリエステルAは、ガラス転移点が20℃以下であることが好ましい。より好ましくは15℃未満、さらにより好ましくは10℃未満である。ポリエステルAのガラス転移点を20℃以下とすることで、金属とのラミネート性、ラミネート後の成形加工性に優れたラミネート用フィルムとすることができる。
結晶融解ピーク温度は、脂肪族成分および/または脂環族成分の種類と含有量により制御することができる。その他には、脂肪族成分および/または脂環族成分のモノマーの炭素数を増減することで制御できる。
CI=(Hm−Hc)/Hm
ただし、
Hm:融解熱
Hc:結晶化熱
である。
本発明のポリエステル樹脂ラミネート金属板は、特に、建材、家電、容器などに好適に用いることができる。
(1)結晶融解ピーク
示差走査熱量計としてセイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いた。試料5mgをアルミニウム製受皿にセットし、窒素ガスを流量40mL/minで流入させながら25℃から昇温速度20℃/分で280℃まで昇温したときの結晶の融解ピーク温度をJIS K 7121−1987 9.1に準じて求め、結晶融解ピークとした。
上記(1)の操作に引き続き、同試料を液体窒素で急冷し、再び窒素ガスを流量40mL/minで流入させながら25℃から昇温速度20℃/分で280℃まで昇温し、JIS K 7121−1987 9.3に準じてガラス転移点を求めた。また、当該再昇温過程において、結晶化熱(Hc)および融解熱(Hm)をJIS K 7122−1987 9に準じて求め、下記式より結晶化指数を算出した。
CI=(Hm一Hc)/Hm 。
ポリエステルをアルカリにより加水分解し、酸成分とグリコール成分をそれぞれ単離し、各成分を、高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)社製HLC−8220)またはガスクロマトグラフィー(島津製作所社製14A)により定量分析し、各成分のピーク面積より組成比を求めた。尚、高速液体クロマトグラフィーとガスクロマトグラフィーとの併用については、主として高速液体クロマトグラフィーを用い、比較的低分子量の成分についてはガスクロマトグラフィーも用いた。
高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)社製HLC−8220)により定量分析し、各成分のピーク面積より組成比を求めた。
設定温度に加熱した金属ロールとゴムロールとの間を、試料とするフィルムと、金属ロールと同温度に加熱した厚さ0.5mmの亜鉛めっき鋼板とをポリエステルA側が鋼板と接触するように重ね合わせ、圧力2.0MPaで通過させた。通過してできた評価用の樹脂ラミネート金属板のおもて面(ラミネートフィルム層側)に、かみそり刃にて5mm間隔で#型にクロスカットを入れた。このクロスカット部位をエリクセン試験機で直径30mm、深さ7mmまでラミネートの裏面(金属板側)から表面方向に押し出して、金属板とフィルム層の間の剥離の有無を調べ、以下の基準で評価した。
◎:180℃のラミネートで剥離無し。
○:180℃のラミネートで剥離有り、200℃のラミネートで剥離無し。
×:200℃のラミネートで剥離有り。
上記(5)と同様の評価用の樹脂ラミネート金属板を、0T、1T、2TのT字曲げ試験を行い、目視により加工部のフィルムクラック有無を調べ、以下の基準で評価した。
◎:全ての加工においてクラック無し。
○:2Tでクラック有り、0T、1Tでクラック無し。
×:0Tまたは1Tにおいてもクラック有り。
JIS K 7367−1に準じて、ポリエステルの試料2gをo−クロロフェノ−ル25mlに溶解し、25℃において測定した。
(ポリエステルAの合成)
下記の原料およびテトラブチルチタネート0.05質量部を反応槽に入れ、常圧下、最終温度210℃でエステル化反応を留出物(H2O)が理論量だけ出るまで行った。この反応生成物を重合釜に移行後、テトラブチルチタネート0.05質量部を添加し、1torr以下まで徐々に減圧、最終温度240℃で重縮合反応を行い、共重合ポリエステルを合成した。
テレフタル酸
:56質量部
ダイマー酸を含むユニケマ・インターナショナル社製“PRIPOL1025”(単量体2.2%、二量体78.6%、三量体19.2%))
:34質量部
エチレングリコール
:20質量部
1,4−ブタンジオール
:43質量部
得られたポリエステルの組成は、
酸成分が、テレフタル酸残基85モル%、ダイマー酸残基15モル%、
グリコール成分が、エチレングリコール残基40モル%、1,4−ブタンジオール残基60モル%
であった。
下記の原料およびテトラブチルチタネート0.05質量部を反応槽に入れ、常圧下、最終温度240℃でエステル化反応を留出物(H2O)が理論量だけ出るまで行った。この反応生成物を重合釜に移行後、テトラブチルチタネート0.05質量部を添加し、1torr以下まで徐々に減圧、最終温度245℃で重縮合反応を行い、固有粘度0.92、融点220℃のポリブチレンテレフタレート(PBT)を得た。
テレフタル酸
:76質量部
1,4−ブタンジオール
:61質量部。
前記ポリエステルAとポリエステルBとを別々のベント式異方向二軸押出機(ベント部3ヶ所、L/D=42)で溶融させ、真空ベント部および短管を通過させた。この溶融体をダイ内で合流させた後、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み74μm(ポリエステルA:25μm、ポリエステルB:49μm)の未延伸フィルムを得た。
ポリエステルAの合成において下記の原料を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
テレフタル酸
:56質量部
ダイマー酸(単量体2.2%、二量体78.6%、三量体19.2%)
:34質量部
1,3−プロパンジオール
:36質量部
1,4−ブタンジオール
:29質量部
得られた積層フィルムは、実施例1と比べて若干低温ラミネート性に劣るものであった。しかし、ラミネート金属板の成形性は良好であった。
ポリエステルAの合成において下記の原料を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
テレフタル酸
:56質量部
ダイマー酸(単量体3.8%、二量体22.5%、三量体73.7%)
:34質量部
エチレングリコール
:20質量部
1,4−ブタンジオール
:43質量部
得られた積層フィルムは、低温ラミネート性、ラミネート金属板の成形性ともに良好であった。
ポリエステルAの合成において下記の原料を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
テレフタル酸
:56質量部
ニ量化脂肪酸(炭素数44)(単量体0.5%、二量体99.0%、三量体0.5%)
:41質量部
エチレングリコール
:10質量部
1,4−ブタンジオール
:58質量部
得られた積層フィルムは、若干低温ラミネート性に劣るものであった。しかし、ラミネート金属板の成形性は良好であった。
ポリエステルAの合成において下記の原料を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
テレフタル酸
:66質量部
ダイマージオール(単量体2.2%、二量体78.6%、三量体19.2%)
:65質量部
エチレングリコール
:17質量部
1,4−ブタンジオール
:36質量部
得られた積層フィルムは、低温ラミネート性、ラミネート金属板の成形性ともに良好であった。
ポリエステルAの合成において下記の原料を用い、ポリエステルBとして下記の手順で合成したPPT(ポリプロピレンテレフタレート)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
テレフタル酸
:56質量部
ダイマー酸(単量体2.2%、二量体78.6%、三量体19.2%)
:34質量部
シクロへキサンジメタノール
:35質量部
1,4−ブタンジオール
:50質量部。
下記の原料およびテトラブチルチタネート0.05質量部を反応槽に入れ、常圧下、最終温度250℃でエステル化反応を留出物(H2O)が理論量だけ出るまで行った。この反応生成物を重合釜に移行後、テトラブチルチタネート0.05質量部を添加し、1torr以下まで徐々に減圧、最終温度260℃で重縮合反応を行い、固有粘度0.95、融点230℃のポリプロピレンテレフタレート(PPT)を得た。
テレフタル酸
:76質量部
1,3−プロパンジオール
:52質量部
得られた積層フィルムは、若干ラミネート金属板の成形性に劣るものであった。しかし、良好な低温ラミネート性を示した。
ポリエステルAの合成において下記の原料を用い、ポリエステルBとして下記の手順で合成したPET/I(ポリエチレンテレフタレートイソフタレート共重合体)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
2,6−ナフタレンジカルボン酸
:70質量部
ダイマー酸(単量体0.5%、二量体99.0%、三量体0.5%)
:45質量部
エチレングリコール
:10質量部
1,4−ブタンジオール
:58質量部。
下記の原料およびテトラブチルチタネート0.05質量部を反応槽に入れ、常圧下、最終温度250℃でエステル化反応を留出物(H2O)が理論量だけ出るまで行った。この反応生成物を重合釜に移行後、テトラブチルチタネート0.05質量部を添加し、1torr以下まで徐々に減圧、最終温度260℃で重縮合反応を行い、固有粘度0.65、融点230℃のポリエチレンテレフタレートイソフタレート共重合体(PET/I)を得た。
テレフタル酸
:68質量部
イソフタル酸
:8質量部
エチレングリコール
:28質量部
得られた積層フィルムは、若干ラミネート金属板の成形性に劣るものであった。しかし、良好な低温ラミネート性を示した。
ポリエステルAの合成において下記の原料を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
テレフタル酸
:56質量部
ダイマー酸(単量体2.2%、二量体78.6%、三量体19.2%)
:34質量部
1,4−ブタンジオール
:72質量部
得られた積層フィルムは、結晶化指数が本発明の範囲の上限を上まわっており、低温ラミネート性が不十分であった。
ポリエステルAの合成において下記の原料を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
テレフタル酸
:55質量部
ダイマー酸(単量体2.2%、二量体78.6%、三量体19.2%)
:38質量部
1,3−プロパンジオール
:61質量部
得られた積層フィルムは、結晶融解ピーク値が本発明の範囲の上限を上まわっており、低温ラミネート性が不十分であった。
ポリエステルAの合成において下記の原料を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
テレフタル酸
:65質量部
ダイマー酸(単量体2.2%、二量体78.6%、三量体19.2%)
:5質量部
エチレングリコール
:10質量部
1,4−ブタンジオール
:58質量部
得られた積層フィルムは、結晶融解ピーク値が本発明の範囲の上限を上まわっており、低温ラミネート性、ラミネート金属板の成形性ともに不十分であった。
TPA :テレフタル酸残基
DA :ダイマー酸残基(炭素数36)
C44 :二量化脂肪酸残基(炭素数44)
NDC :2,6−ナフタレンジカルボン酸残基
EG :エチレングリコール残基
PG :1,3−プロパンジオール残基
BG :1,4−ブタンジオール残基
DDO :ダイマージオール残基(炭素数36)
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール残基(炭素数8)。
Claims (5)
- 少なくともポリエステルAからなる層を有し、該ポリエステルAが重合成分としてダイマージオールおよび/またはダイマー酸を含有し、該ダイマージオールおよび/またはダイマー酸中の二量体が22.5〜78.6質量%であり、かつ結晶融解ピークが150℃以上180℃未満であり、下記式より算出されるポリエステルAの結晶化指数CIが0.1〜0.7であることを特徴とするラミネート用積層ポリエステルフィルム。
CI=(Hm−Hc)/Hm
Hm:融解熱
Hc:結晶化熱 - ポリエステルAのガラス転移点が20℃以下である、請求項1記載のラミネート用積層ポリエステルフィルム。
- ポリエステルAの基材との貼り合わせ面とは反対側に、ポリエステルAとは異なる、ポリエステルBからなる層を有し、該ポリエステルBのガラス転移点が20℃以上である、請求項1または2のいずれか記載のラミネート用積層ポリエステルフィルム。
- 隣り合うポリエステルBからなる層の厚みTBとポリエステルAからなる層の厚みTAとの比TB/TAが1〜5である、請求項3記載のラミネート用積層ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜4のいずれか記載のラミネート用積層ポリエステルフィルムが金属板の少なくとも一部を被覆してなることを特徴とするポリエステル樹脂ラミネート金属板。
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