JP7238236B2 - 金属貼合せ成形加工用フィルム - Google Patents

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本発明は、配向積層フィルムに関する。さらに詳しくは、特に、絞り成形やしごき成形等の厳しい高次加工において、配向積層フィルムが耐レトルトブラッシング性や蓋巻き締め加工性および加工後の耐食性に優れ、飲料缶や食品缶等の金属缶を製造するのに適した金属張り合わせ成形加工用フィルムに関する。
金属缶には内外面の腐蝕防止として一般に塗装が施されているが、近年、工程簡素化、衛生性向上、公害防止の目的で、有機溶剤を使用せずに防錆性を得る方法の開発が進められ、その一つとして熱可塑性樹脂フィルムによる金属缶の被覆が試みられている。すなわち、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工等により製缶する方法の検討が進められている。
特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、バランスのとれた特性を有するフィルムとして注目され、これをベースとした幾つもの提案(特許文献1~6)がなされてきたが、成形加工性、耐熱性、保香性、耐衝撃性、耐食性の全てを満足するものではない。
そのような中、保味性および耐レトルト性に優れるものとして、従来からエチレンナフタレートを繰り返し単位とするポリエステルを表層に用い、金属と接する面に、やガラス転移温度の低いポリエステルからなる層を積層すること(特許文献7)や、結晶性の低い融点が245℃以下のポリエステルからなる層を積層すること(特許文献8)が提案されている。しかしながら、エチレンナフタレートを繰り返し単位とするポリエステルからなる層はガラス転移温度が高く、このように熱特性に差のある層と積層すると、各層の適正な延伸条件が異なることから、非常に延伸が困難で、結果として厚み斑の悪いものしか得られず、厚み斑が悪いためにその後の成形加工などでその部分が助長され、エチレンナフタレートを繰り返し単位とするポリエステルを表層に用いた場合の特性を高度に発現できるフィルムは得ることができなかった。
特開2003-238780号公報 特開2002-88233号公報 特開2001-335682号公報 特開2007-203569号公報 特開2002-178471号公報 特開2003-231231号公報 特開平11-216826号公報 特開平11-334016号公報
本発明の目的は、製膜性に優れ、厚み斑が少なく、特に、絞り成形やしごき成形等の厳しい高次加工においても、優れた表面外観を有し、耐レトルトブラッシング性や蓋巻き締め加工性および加工後の耐食性に優れる配向積層フィルムを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決しようと鋭意研究した結果、エチレンナフタレートを繰り返し単位とするポリエステルからなる層と積層する下地層として、ポリブチレンテレフタレートを存在させ、それらの層の厚み比を特定の関係にすることで、本来ガラス転移温度が下がって層間の熱特性がさらに離れる方向ではあるが、驚くべきことに優れた延伸性とその後の成形加工性を備え、エチレンナフタレートを繰り返し単位とするポリエステルを表層に用いた場合の特性を高度に発現させることができることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の構成要件により達成される。
1.ポリエステル層A(A層)とポリエステル層B(B層)とが積層された配向積層フィルムであって、かつ下記(P1)~(P4)のすべての要件を満たす、配向積層フィルム:
(P1)A層は、樹脂成分が、エチレン-2,6-ナフタレートユニット(a)を90mol%以上含むポリエステルを用いてなること、
(P2)B層は、樹脂成分が、エチレンテレフタレートユニット(b1)とブチレンテレフタレートユニット(b2)とを主たる繰り返し単位とし、b1とb2のモル比が、97:3~50:50の範囲であること、
(P3)A層の厚みが0.5μm以上であり、A層とB層の厚み比(A層/B層)が0.8未満であること、
(P4)幅方向の中央部分100mm×100mmの領域における計100点の厚みについて、下記式(1)で定義される厚み斑が10%以下であること:
厚み斑(%)=(最大厚み-最小厚み)/平均厚み×100 ・・・式(1)。
2.上記B層の樹脂成分に、アルキレンナフタレンジカルボキシレートユニットまたはアルキレンイソフタレートユニットからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、上記1記載の配向積層フィルム。
3.上記1または2に記載の配向積層フィルムのB層側を、金属と接するように貼り合わせて用いられることを特徴とする、ラミネート金属板。
4.上記3に記載のラミネート金属板を成形加工してなる金属成形加工体。
本発明の配向積層フィルムは、熱特性に差があり同時に延伸することが非常に困難であったポリエチレンナフタレートとポリエチレンテレフタレートとを、ポリエチレンテレフタレートを用いてなる層にポリブチレンテレフタレートを添加し延伸補助剤として機能させることで、優れた製膜性を具備する。また、厚み斑が少なく、特に、絞り成形やしごき成形等の厳しい高次加工においても優れた表面外観を有し、耐レトルトブラッシング性や蓋巻き締め加工性および加工後の耐食性を具備する。
本発明の配向積層フィルムについて以下でそれぞれを構成する各成分、調整方法等について、順次具体的に説明する。
<配向積層フィルム>
[ポリエステル層A(A層)]
(樹脂成分)
ポリエステル層A(A層)は、樹脂成分が、エチレン-2,6-ナフタレートユニット(a)を90mol%以上含むポリエステルを用いてなるものとする。エチレン-2,6-ナフタレートユニットは、好ましくは92~98mol%、より好ましくは94~96mol%である。下限以上では、酸性の内容物をレトルト処理した際などにおいても高度の耐食性が得られるため好ましい。含有率は、高いほど耐食性の向上に寄与するものの、一方で成形性を向上させるには一定度合いのブレンドまたは共重合成分があることが好ましい。このため、最も好ましい含有率の範囲が存在する。
上記A層の樹脂成分は、上記の組成比の要件を満たしていれば、特に制限されず、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルとしては、ポリエチレン-2,6-ナフタレートが好ましく挙げられる。また、共重合成分は、酸成分でもジオール成分でも好ましく用いることができる。酸成分としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の如き主たる酸成分以外のイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等である芳香族ジカルボン酸やアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、コハク酸等の如き脂肪族ジカルボン酸および、p-オキシ安息香酸、p-オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸が好ましく、ジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,6-ヘキサンジオールの如き脂肪族ジオール、1,4-ヘキサメチレンジメタノールの如き脂環族ジオールが好ましく用いることができる。これらは単独または2種以上を使用することができる。これらの中、酸成分として、テレフタル酸がより好ましい。
上記A層に用いる樹脂組成物のガラス転移温度(Tgと略称)は、110℃以上であることが好ましく、113℃以上であることがより好ましく、116℃以上であることがさらに好ましい。他方、Tgの上限は、125℃以下であることが好ましく、123℃以下であることがより好ましく、121℃以下であることが、さらに好ましい。Tgが、下限以上では、該当フィルムを貼り合わせた金属を容器に加工し、ピクルスのような酸性度が高い内容物を容器内に充填して高温でレトルト処理した際にも、フィルム中の分子が動きづらい。よって、内容液がフィルム中を浸透しづらく金属部を錆びさせ難いため好ましい。他方、Tgが上限以下では、ポリエステル層B(B層)と積層したときの同時延伸性が良好となり好ましい。Tgは、上記A層に用いる樹脂組成物の未延伸フィルムを300℃で3分間溶融保持した後に急冷し、その後20℃/minで昇温する方法で求めた。ガラス転移温度の読み取り位置は、示差走査熱量測定チャートのガラス転移の階段状の変化部分において、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と,階段部分曲線の勾配が最大になるような点から引いた接線との交点の温度とする。
上記A層に用いる樹脂組成物の固有粘度は、好ましくは0.45~0.70であり、より好ましくは、0.50~0.60である。固有粘度が、下限以上でフィルムの機械的強度に優れるため好ましい。また、上限以下では成形加工性に優れるため好ましい。
(ポリエチレン-2,6-ナフタレート樹脂の製造方法)
上記A層に用いるポリエチレン-2,6-ナフタレート樹脂の製造方法は、例えば芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとをエステル化反応もしくはエステル交換反応させてポリエステルの前駆体を合成する第一反応と、該前駆体を重縮合反応させる第二反応とからなり、それ自体公知の方法を採用できる。
本発明の配向積層フィルムにおけるポリエステル層Aに用いられる樹脂の具体的な原料として用いられるポリエチレン-2,6-ナフタレートは、その繰り返し単位がエチレン-2,6-ナフタレートから構成されているものであり、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸またはその誘導体と、エチレングリコールとを、触媒の存在下で適当な反応条件下でエステル化、重合化せしめることによって製造できる。
好ましい第一反応の条件については、常圧下で行ってもよいが、0.05MPa~0.5MPaの加圧下で行うことが反応速度をより速めやすいことから好ましい。また、第一反応の温度は、210℃~270℃の範囲で行うことが好ましい。反応圧力を上記範囲内とすることで反応の進行を進みやすくしつつ、ジアルキレングリコールに代表される副生物の発生を抑制できる。このとき、アルキレングリコール成分は、第一反応を行う反応系に存在する酸成分に対し1.1~6モル倍用いることが、反応速度及び樹脂の物性維持の点から好ましい。より好ましくは2~5モル倍、さらに好ましくは3~5モル倍である。
また、第一反応の反応速度をより早くするには、それ自体公知の触媒を用いることが好ましく、たとえばLi,Na,K,Mg,Ca,Mn、Co、Tiなどの金属成分を有する金属化合物が好ましく挙げられ、これらの中でも加圧下で行う場合は、反応の進みやすさの点からMnやTi化合物が好ましい。特にTi化合物は、さらに重縮合反応触媒としても使用でき、かつ触媒残渣の析出も少ないことから好ましい。本発明で用いるチタン化合物としては、触媒残渣の析出による不溶性粗大異物の発生を抑制する観点からポリエステル中に可溶な有機チタン化合物が好ましい。特に好ましいチタン化合物としては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラフェノキシド、トリメリット酸チタンなどが例示できる。
また、添加する触媒量は、第一反応中に存在する全酸成分のモル数を基準として、金属元素換算で、10~150ミリモル%の範囲が好ましく、20~100ミリモル%の範囲がより好ましく、特に30~70ミリモル%の範囲が反応速度を促進しつつ、触媒起因の粗大不溶性異物の生成を抑制でき、さらに得られる共重合芳香族ポリエステルの耐熱性を高度に維持できることからさらに好ましい。なお、チタン化合物を添加する場合の添加時期は、第一反応のエステル化反応開始時から存在するように添加し、前述のとおり、引き続き重縮合反応触媒として使用することが好ましい。もちろん、重縮合反応速度をコントロールする目的で2回以上に分けて添加してもよい。
つぎに、第一反応で得られた前駆体を重縮合反応させる第二反応について説明する。
本発明における配向積層フィルムにおける樹脂は、高度の熱安定性を付与させる目的で、第二反応における重縮合反応の開始以前に、反応系にリン化合物からなる熱安定剤を添加することが好ましい。具体的なリン化合物としては、化合物中にリン元素を有するものであれば特に限定されず、例えば、リン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸アンモニウム、トリエチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテートなどが好ましく挙げることができ、これらのリン化合物は二種以上を併用してもよい。なお、リン化合物の添加時期は、第一反応が実質的に終了してから第二反応である重縮合反応初期の間に行うことが好ましく、添加は一度に行ってもよいし、2回以上に分割して行ってもよい。
本発明の配向積層フィルムにおけるポリエステル樹脂を製造する際、重縮合反応の温度は270℃~300℃の範囲で行うのが好ましく、重縮合反応中の圧力は50Pa以下の減圧下で行うのが好ましい。重縮合反応中の圧力が上限より高いと重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高い共重合芳香族ポリエステルを得ることが困難になる。重縮合触媒としては、それ自体公知のTi,Al,Sb,Geなどの金属化合物を好適に使用でき、それらの中でもエステル化反応やエステル交換反応時に添加されたチタン化合物を引き続き使用することが触媒残渣による不溶性粗大異物の発生を抑制できることから好ましい。
[ポリエステル層B(B層)]
(樹脂成分)
ポリエステル層B(B層)は、樹脂成分が、エチレンテレフタラートユニット(b1)とブチレンテレフタレートユニット(b2)とを主たる繰り返し単位とし、b1とb2のモル比が97:3~50:50の範囲にあるポリエステル層である。
上記B層の樹脂成分は、ポリエステルの混合物であっても、共重合ポリエステルであってもよい。b2の含有量は、好ましくは5~25mol%、さらに好ましくは10~20mol%である。b2の含有量が下限以上であると、上記A層と同時延伸する際、高温領域でもポリブチレンテレフタレートの結晶が存在することによりB層の過剰な軟化を抑制し延伸助剤として機能するため優れた製膜性を有し、かつ得られた配向フィルムの厚み斑が低減されるため好ましい。また、b2の含有量が上限以下では、ポリブチレンテレフタレートの結晶が過度にならず、延伸補助剤として機能し、優れた製膜性を有し、かつ得られた配向フィルムの厚み斑が低減されるため好ましい。
また、上記B層は、樹脂成分に第3のユニットを含むことができる。第3のユニットは、混合物であっても共重合成分であってもよく、アルキレンナフタレンジカルボキシレートユニットまたはアルキレンイソフタレートユニットからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
第3のユニットの含有量は、上記b1に対して、50mol%以下であることが好ましく、5~25mol%であることがより好ましい。該範囲では、b2との混合性がよいため好ましい。
第3のユニットは、酸成分でもジオール成分でも好ましく用いることができる。酸成分としては、テレフタル酸等の如き主たる酸成分以外のイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等である芳香族ジカルボン酸やアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、コハク酸等の如き脂肪族ジカルボン酸および、p-オキシ安息香酸、p-オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸が好ましく、ジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,6-ヘキサンジオールの如き脂肪族ジオール、1,4-ヘキサメチレンジメタノールの如き脂環族ジオールが好ましく用いることができる。これらは単独または2種以上を使用することができる。これらの中、酸成分として、2,6-ナフタレンジカルボン酸またはイソフタル酸がより好ましい。
上記B層に用いる樹脂組成物の固有粘度は、好ましくは0.58~0.73であり、より好ましくは、0.62~0.68である。固有粘度が、下限以上ではフィルムの機械的強度に優れるため好ましい。また、上限以下では成形加工性に優れるため好ましい。のため好ましい。
(b1とb2を主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルの製造方法)
上記B層で用いられるポリブチレンテレフタレートユニット(b1)およびポリエチレンテレフタレートユニット(b2)を主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルは、従来公知の方法で製造することができる。例えば、テレフタル酸、エチレングリコールおよび共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法、或いはジメチルテレフタレート、エチレングリコールおよび共重合成分をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法で製造することができる。
[層構成]
(A層とB層の厚み比(A層/B層))
上記A層と上記B層の厚み比(A層/B層)は、0.8未満である。厚み比(A層/B層)は、好ましくは、1/20~1/2であり、さらに好ましくは1/10~1/3である。上限以下では、同時延伸する際の高温領域でも優れた製膜性を有し、厚み斑が少ない配向積層フィルムが得られるため好ましい。また、下限以上であると成形加工後も上記A層の特性を高度に発現させることができるため好ましい。
(A層の厚み)
上記A層の厚みは0.5μm以上であり、1.0μm以上であることがさらに好ましく、2.0μm以上であることがさらに好ましい。下限以上は、成形加工等でフィルムが更に引き延ばされても、耐食性等の特性を高度に発現させることができるため好ましい。なお、上記A層の成形加工後の厚みは、耐食性等の特性を高度に発現させる点において0.4μm以上であることが好ましい。
(B層の厚み)
上記B層の厚みは、5.0μm以上であることが好ましく、10.0μm以上であることがさらに好ましく、20.0μm以上であることがさらに好ましい。下限以上は、成形加工等でフィルムが破断せず引き延ばせるため好ましい。
(配向積層フィルムの厚み)
本発明の配向積層フィルムは、フィルム全層の厚みが5~50μmであることが好ましい。厚みが下限以上の場合は金属板との良好な密着性が得られ、成形加工時にフィルムが破れづらく良好な耐食性が得られるため好ましい。また、上限以下では、しごき加工等の成形加工後の残留応力の増加を抑制でき金属板との優れた密着性により良好な耐食性が得られるため好ましい。また、ラミネート時にフィルムを溶融接着させた際に溶け残りが生じづらく、成形加工時にフィルム割れが起こりづらくなるため好ましい。なお、フィルムの厚みは打点厚み計で計測した。
(三層構成(B層/A層/B層))
上記A層と上記B層とが積層された配向積層フィルムのA層側に更に上記B層を積層する三層構成も好ましい形態として挙げられる。三層構成とすることで、A層とB層のガラス転移温度の違いに起因する残留応力により発生する製膜後のカールが起こりづらくフィルムの取り扱いの観点で好ましい。
[配向積層フィルムの厚み斑]
本発明の配向積層フィルムは、幅方向の中央部分100mm×100mmの領域における計100点の厚みについて、下記式(1)で定義される厚み斑が 10.0%以下である。
厚み斑(%)=(最大厚み-最小厚み)/平均厚み×100 ・・・式(1)
厚み斑の上限は、好ましくは6.0%以下、より好ましくは5.0%以下である。上限以下では、フィルムを金属板などにラミネートした際などに気泡を巻き込み外観欠点になりづらいまた、、成形加工時に厚み斑が助長されても優れた表面外観を維持することができ、エチレンナフタレートを繰り返し単位とするポリエステルを表層に用いた場合の特性を高度に発現させるるため好ましい。ここで、配向積層フィルム厚みの測定は打点式厚み測定器(アンリツ(株)製)を用いて行った。
[配向積層フィルムの製造方法]
配向積層フィルムの製造方法は、従来公知の共押出製膜法に準拠して製造することができる。例えば次のようにすればよい。先ず、前述の各ポリエステル原料を必要に応じて乾燥した後、複数台の押出し機、複数層のマルチマニホールドダイまたはフィードブロックを使用し、それぞれのポリエステルを積層してスリット状のダイから溶融シートを押出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法または液体塗布密着法が好ましく採用される。本発明においては必要に応じ両者を併用してもよい。つづいて、延伸については、上記層Aのガラス転移温度を「Tg(A)」とした際に、未延伸ポリエステルフィルムを、一軸方向(縦方向または横方向)に、(Tg(A)-10)℃~(Tg(A)+60)℃の温度で好ましくは、2.5倍以上、より好ましくは2.8倍以上の倍率で延伸する。さらに、上記延伸方向と直交する方向にTg(A)~(Tg(A)+60)℃の温度で好ましくは2.5倍以上、より好ましくは3倍以上の倍率で延伸する。
また、上記延伸方向と直交する方向に延伸する温度は、好ましくは(Tg(A)+15)~(Tg(A)+50℃)の範囲、より好ましくは(Tg(A)+20)~(Tg(A)+40℃)、さらに好ましくは(Tg(A)+25)~(Tg(A)+35℃)の範囲である。この際、延伸温度は、段階的に引き上げることが好ましく、いずれの温度も上記範囲内にあることが好ましい。層Bのガラス転移温度を「Tg(B)」とした際、Tg(B)がTg(A)に比べて低温であるため、通常は同時延伸を行っても均一に延伸できない。しかし、層BにPBTを含むことにより、Tg(A)基準での延伸製膜が可能となる。
さらに必要に応じて縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。このように延伸したときの全延伸倍率は、面積延伸倍率(縦方向の延伸倍率×横方向の延伸倍率)として好ましくは7倍以上、より好ましくは8~15倍、さらに好ましくは8~12倍である。下限以上だと、分子配向が進み、厚み斑が低減されるため好ましくない。上限以下では配向が過度とならず金属板との進密着性に優れるため好ましい。
延伸後、延伸フィルムは、上記層Aの融点を「Tm(A)」とした際に、好ましくは(Tm(A)-100)~(Tm(A)-60)℃の温度で熱固定する。具体的には170~210℃で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は0.1~60秒が好ましい。また、前述の延伸は逐次二軸延伸で説明したが、縦方向と横方向に同時に延伸する同時二軸延伸を用いても良い。
さらに引続き、延伸フィルムのクーリングを行うことが好ましい。クーリングは熱固定温度よりも低い温度(Tm(A)-20)~(Tm(A)-80)℃が好ましく、具体的には、好ましくは100~180℃、より好ましくは110~160℃の範囲の温度であり、5%以内の弛緩下で熱処理を行なうことが好ましい。
[添加剤]
上記A層およびB層は必要に応じて添加剤、例えば蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤を配合してもよい。
(ワックス)
ワックスとしては、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、パームワックス、ロジン変性ワックス、オウリキュリーワックス、サトウキビワックス、エスパルトワックス、バークワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、イボタロウ、セラックワックス等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックスを好ましく挙げることができる。中でも、軟化点が120℃以上のワックスを用いると高温レトルト処理においてもワックス成分が食品中に溶出することが少ないためより好ましい。
また、非相溶なワックスを含有させることが好ましく、このことにより、フィルムの表面を荒らすことができ、缶加工時の滑り性が向上してフィルム削れが起きにくくなるという効果が生じる。特に、包装食品用途で良好な衛生性を得ることができることから、ポリエチレンワックスが最も好ましい。
ワックスの含有量は、ポリエステル組成物100重量%に対して、好ましくは1.0重量%以下、さらに好ましくは、0.05~0.3重量%である。ワックスの含有量が、下限以上の場合には、缶成形時の耐削れ性が良好となり好ましい。他方、ワックスの含有量が、上限以下の場合には製膜やラミネート、製缶の工程でワックスがブリードアウトしづらく好ましい。
(粒子)
上記A層およびB層には、フィルム製造工程における取扱い性、特に巻取り性を改良するため、微粒子を配合することが好ましい。該微粒子は、ポリエステル樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部である。
微粒子は、好ましくは、無機微粒子、有機微粒子のいずれでも良く、より好ましくは無機微粒子である。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムを好ましく例示することができる。有機微粒子としては架橋ポリスチレン粒子、架橋シリコーン樹脂粒子が好ましく例示できる。中でも、非球状の多孔質シリカは、フィルムの延伸時に粒子周辺にボイドが発生しにくいため、フィルムの透明性と光沢感を向上させる特長を有しておりより好ましい。
該微粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1~3.0μm、より好ましくは0.3~2.0μmの微粒子である。平均粒子径が、下限以上であると、フィルムの搬送性、すなわち滑り性を得るために添加量を多くする必要がなく、優れた透明性を維持したまま効果が得られるため好ましい。
他方、平均粒子径が上限以下では成形加工の際にピンホールの発生や破断が起こりづらくなるため好ましい。
[ラミネート金属板]
本発明の配向積層フィルムは、金属板にラミネートすることができる。ラミネート金属板を製造する際に、上記A層は金属板に接しない側の層となり、上記B層は金属板に接する側の層となる構成が好ましい。
用いる金属板としては、例えば製缶用金属板であり、具体的には、例えばブリキ、ティンフリースチール、ティンニッケルスチール、アルミニウムの板が好ましい。金属板へのポリエステルフィルムの貼り合わせは、金属板をフィルムの融点以上に加熱しておいてフィルムを貼り合わせた後冷却し、金属板に接するフィルムの表層を非晶化して密着させる方法が好ましく、また、フィルムにあらかじめ接着剤をプライマーコートしておき、この面と金属板を貼り合わせる方法で行なうこともできる。なお、接着剤としては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着剤、エポキシ-エステル系接着剤、アルキッド系接着剤を用いることが好ましい。また、この接着剤に白色顔料や黄色顔料を分散させることにより着色外観を有するフィルムとしてもよい。
[金属成形加工体]
上記ラミネート金属板を成形加工して金属成形加工体とすることができる。本発明の配向積層フィルムは、厚み斑が少ないため、絞り成形やしごき成形等が好の厳しい高次加工においても優れた表面外観を有し、耐レトルトブラッシング性や蓋巻き締め加工性および加工後の耐食性に優れる。
以下、実施例を掲げて本発明をさらに説明する。なお、フィルムの特性は以下の方法で測定、評価した。
(1)樹脂組成物の融解ピーク温度
示差走査熱量計TA Instruments製 DSC Q100を用いてサンプル量20mgにて測定した。昇温速度20℃/分で300℃まで昇温し、融解ピーク温度を求めた。なお、各層のa、b1、b2ともに融点は各々を単層で製膜した未延伸フィルムの値である。融点の読み取り位置は、融解ピークの吸熱値が最大値のところとした。
(2)樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)
上記(1)と同様の手順を行い、更に300℃で3分間溶融保持した後に急冷し、再度20℃/分で昇温して、ガラス転移温度を求めた。Tgの読み取り位置は、示差走査熱量測定チャートのガラス転移の階段状の変化部分において、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と,階段部分曲線の勾配が最大になるような点から引いた接線との交点の温度とする。
(3)固有粘度
フィルムをo-クロロフェノールに溶解後、一旦冷却させ、その溶液をオストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した。なお、固有粘度はA層およびB層のそれぞれの層を単層で製膜した未延伸フィルムの値である。
(4)製膜性
表1に示すポリエステル層Aとポリエステル層Bのポリエステル組成物を常法により乾燥し、ポリエステル層Aを成すポリエステル組成物を300℃、ポリエステル層Bを成すポリエステル組成物を280℃で別々に溶融した後、フィードブロックを使用して二層に積層し、ダイから押出して冷却固化し、未延伸フィルムを作成した。この未延伸フィルムの製膜性を次の基準に従って評価した。
〇:1日以上破断することなく二軸配向積層フィルムを製膜できる
△:二軸配向フィルムは得られたが、1日の製膜で1~2回の破断が生じる
×:縦延伸または横延伸時にフィルムの破断が頻発し二軸配向フィルムを製膜できない
(5)厚み斑
得られた配向積層フィルムの幅方向の中央部分100mm×100mmの領域における計100点の厚みを打点式厚み測定器(アンリツ(株)製)を用いて行い、下記式(1)で定義される厚み斑を算出した。
厚み斑(%)=(最大厚み-最小厚み)/平均厚み×100 ・・・式(1)
(6)金属との密着性
本発明のフィルムを、260℃に予熱した板厚0.25mmのティンフリースチールの外面となる面に、ニップロールで圧着しラミネートした後、直後に水槽中で急冷し、ラミネート鋼鈑を得た。このラミネート金属板から幅15mmの短冊状試験片を切り出し、10mm/minの速度で180°剥離試験を行い、次の基準に従って評価した。
〇:14N/15mm以上
△:10N/15mm以上、14/N15mm未満
×:10N/15mm未満
(7)深絞り加工性
上記(6)の評価で得られたラミネート金属板を150mm径の円板状に切り取り、ラミネート側を内面として絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側面無継目容器(以下、缶と略す)を作成した。この缶の加工状況について観察した結果を、以下の基準で目視評価した。
○:フィルムに異常なく加工され、フィルムに白化や破断が認められない
△:フィルムの缶上部に白化や剥離が認められる
×:フィルムの一部にフィルム破断が認められる
(8)巻き締め加工性
フィルムラミネートした金属板を公知のプレス成形工程で円板状に打ち抜くとともに所望の蓋形状に成形した後、巻き締め機を用いて上記(7)の評価で作製した缶の上部に巻き締めを行った。この蓋材の加工状況について巻き締め部を観察し、以下の基準で目視評価した。
○:フィルムに異常(ひび、破れ、板からの剥離)が認められない
×:フィルムの一部に異常(ひび、破れ、金属板からの剥離)が発生した
(9)耐衝撃性
上記(8)の評価にて得られた缶に水を満注し、蒸気滅菌器で、120℃、1時間レトルト処理を行い、しかる後、50cmで30日間保存した。得られた缶を各テストにつき10個ずつ高さ50cmからポリ塩化ビニル製タイル床面に落とした後、缶内のERV試験を行った。
○:全10個について0.1mA以下であった
△:1~5個について0.1mAを超えていた
×:6個以上について0.1mAを超えていたかあるいは、落下後既にフィルムのひび割れが認められた
(10)耐レトルト性
上記(8)にて得られた缶をレトルト釜に入れ、スチームが直接サンプルに当らないようにして125℃の加圧水蒸気で30分間レトルト処理を施し、フィルムの外観について目視評価を行った。
○:変化なし
△:やや白濁した
×:著しく斑点状に乳白色に変化した
(11)耐食性(レトルト後健全性)評価
上記(8)にて得られた缶に3%酢酸+2%食塩水を満注し、上記滅菌器で、125℃の加圧水蒸気で90分間レトルト処理を施した。缶を取り出して、缶内の状態を目視確認した。
◎:全10個について鋼板の腐食およびフィルムの剥離なし
○:全10個のうち、いずれかについて鋼板の腐食はないが、微小なフィルム膨れが発生
△:全10個のうち、いずれかについて鋼板の部分的な腐食またはフィルムの剥離が発生
×:全10個のうち、いずれかについて鋼板に全面の腐食とフィルムの剥離が発生
[実施例1]
表1に示すA層とB層のポリエステル組成物を常法により乾燥し、A層を成すポリエステル組成物を300℃、B層を成すポリエステル組成物を280℃で別々に溶融した後、フィードブロックを使用して二層に積層し、ダイから押出して冷却固化し、未延伸フィルムを作成した。ここで、B層には、ポリエステルのジカルボン酸成分100モル%に対してリンの量として0.03モル%となるように正リン酸を添加した。次いで、この未延伸フィルムを135℃で3.0倍に縦延伸した後、140℃で3.8倍に横延伸し、185℃で熱固定して二軸配向積層フィルムを得た。得られた二軸配向積層フィルムの厚みは20μmであった。また、二軸配向積層フィルムにおける各層の厚みは、溶融押し出し機の吐出量を調整することで、A層の厚みが2.5μm、B層の厚みが17.5μmとなるようにした。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。得られた配向積層フィルムは、表2に示す通り、優れた性能を有するものであった。なお、表1中のIAはイソフタル酸、TAはテレフタル酸、NDCはナフタレンジカルボン酸を意味する。
[実施例2、3]
実施例1に対して、A層はそのままで、B層のb1の共重合成分をイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸とし、その他の製膜条件は同様にして二軸配向積層フィルムを製膜した。二軸配向積層フィルムの厚みおよび各層の厚みは、吐出量により調整し、表1に示すとおりの厚みとなるようにした。
得られた二軸配向積層フィルムは、表2に示す通り、優れた性能を有するものであった。
[実施例4,5,6]
実施例1,2,3に対してA層のポリエチレンナフタレート(a)の共重合成分をテレフタル酸(TA)とし、その他の製膜条件は同様にして二軸配向積層フィルムを製膜した。得られた二軸配向積層フィルムは、表2に示す通り、優れた性能を有するものであった。
[実施例7]
実施例1,2,3に対してA層のポリエチレンナフタレート(a)の共重合成分をテレフタル酸(TA)とし、B層は、b1とb2からなる共重合体とし、その他の製膜条件は同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを製膜した。得られた二軸配向積層フィルムは、表2に示す通り、優れた性能を有するものであった。
[実施例8]
実施例1に対して、A層はそのままで、B層のブチレンテレフタレートユニット(b2)の含有量を45mol%まで増やし、その他の製膜条件は同様にして二軸配向積層フィルムを製膜を試みた。得られた二軸配向積層フィルムは、表2に示す通り、優れた性能を有するものであった。
[実施例9]
実施例5に対してA層側に更にB層を積層し、その他の製膜条件は同様にして二軸配向積層フィルムを製膜した。得られた二軸配向積層フィルムは、表2に示す通り、優れた性能を有するものであった。
[比較例1]
実施例1に対して、A層の厚みのみを溶融押し出し機の吐出量を調整することで、0.4μmまで薄くし、その他の製膜条件は同様にして二軸配向積層フィルムを製膜した。得られた二軸配向積層フィルムは、表2に示す通り、耐食性が悪化した。
[比較例2]
実施例1に対して、A層のポリエチレンナフタレートユニット(a)を70mol%、共重合成分のテレフタル酸(TA)を30mol%とし、その他の製膜条件は同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを製膜した。得られた二軸配向積層フィルムは、表2に示す通り、耐食性が悪化した。
[比較例3]
実施例1に対して、A層はそのままで、B層のブチレンテレフタレートユニット(b2)の含有量を60mol%まで増やし、その他の製膜条件は同様にして二軸配向積層フィルムを製膜を試みた。しかし、製膜時に結晶化が著しく、横延伸時にフィルムが破断して製膜ができなかったため、その他の評価を行えなかった。
[比較例4]
実施例1に対して、A層の固有粘度を特許文献7の実施例6相当の0.65まで上げて、B層のブチレンテレフタレートユニット(b2)を添加せず、エチレンテレフタレートユニット(b1)のイソフタル酸共重合量をである17mol%まで増やし、A層およびB層の厚みをそれぞれ5μm、20μmとし、その他の製膜条件は同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを製膜を試みた。しかし、表2に示す通り製膜時にポリエステルB層の延伸応力が低すぎて厚み斑の大きい不均一な二軸フィルムが得られたため、成形加工時にその厚み斑が助長され外観を損ない、好ましくない。
Figure 0007238236000001
Figure 0007238236000002
本発明の配向積層フィルムは、製膜性に優れ、厚み斑が少なく、特に、絞り成形やしごき成形等の厳しい高次加工においても優れた表面外観を有し、耐レトルトブラッシング性や蓋巻き締め加工性および加工後の耐食性に優れることから、飲料缶、食料缶等の用途に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. ポリエステル層A(A層)とポリエステル層B(B層)とが積層された配向積層フィルムであって、かつ下記(P1)~(P4)のすべての要件を満たす、配向積層フィルム:
    (P1)A層は、樹脂成分が、エチレン-2,6-ナフタレートユニット(a)を90mol%以上含むポリエステルを用いてなること、
    (P2)B層は、樹脂成分が、エチレンテレフタレートユニット(b1)とブチレンテレフタレートユニット(b2)とを主たる繰り返し単位とし、b1とb2のモル比が、97:3~50:50の範囲であること、
    (P3)A層の厚みが0.5μm以上であり、A層とB層の厚み比(A層/B層)が0.8未満であること、
    (P4)幅方向の中央部分100mm×100mmの領域における計100点の厚みについて、下記式(1)で定義される厚み斑が10%以下であること:
    厚み斑(%)=(最大厚み-最小厚み)/平均厚み×100 ・・・式(1)。
  2. 上記B層の樹脂成分に、アルキレンナフタレンジカルボキシレートユニットまたはアルキレンイソフタレートユニットからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1記載の配向積層フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の配向積層フィルムのB層側を、金属と接するように貼り合わせて用いられることを特徴とする、ラミネート金属板。
  4. 請求項3に記載のラミネート金属板を成形加工してなる金属成形加工体。
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