JP2019206372A - 金属貼合せ成形加工用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ポリエチレンナフタレートフィルムを極薄いフィルムとして用いた際、鋼板との密着性に優れ、酸性の内容物をレトルト処理した際に高度の耐食性を具備する金属貼合せ成形加工用フィルムを提供することである。【解決手段】樹脂が、ポリエチレン−2,6−ナフタレートから主になり、厚みが5〜14μm、150℃30分間での熱収縮率が長手方向及びそれに直交する方向(幅方向)ともに2.7%以下である金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、金属貼合せ成形加工用フィルムに関する。
さらに詳しくは、特に、絞り成形やしごき成形等の厳しい高次加工において、二軸延伸薄膜フィルムが耐レトルトブラッシング性や蓋巻き締め加工性および加工後の耐食性に優れ、飲料缶や食品缶等の金属缶を製造するのに適したポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムに関する。
金属缶には内外面の腐蝕防止として一般に塗装が施されているが、近年、工程簡素化、衛生性向上、公害防止の目的で、有機溶剤を使用せずに防錆性を得る方法の開発が進められ、その一つとして熱可塑性樹脂フィルムによる金属缶の被覆が試みられている。すなわち、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工等により製缶する方法の検討が進められている。
特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、バランスのとれた特性を有するフィルムとして注目され、これをベースとした幾つもの提案(特許文献1〜6)がなされてきたが、成形加工性、耐熱性、保香性、耐衝撃性、耐食性の全てを満足するものではない。
そのような中、保味性および耐レトルト性に優れるものとして、特許文献7では、ポリエチレンテレフタレートフィルムに変えて、ポリエチレン―2,6―ナフタレートフィルムを使用することが提案され、具体的には縦方向及び横方向に3倍×3倍延伸して180℃で熱固定した厚みが25μmのポリエチレンナフタレートフィルムが開示されている。
しかしながら、ポリエチレンナフタレートフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムに比べて非常に高価で、実際の実用化は進んでいなかった。
特開2003−238780号公報 特開2002−88233号公報 特開2001−335682号公報 特開2007−203569号公報 特開2002−178471号公報 特開2003−231231号公報 特開平10−130403号公報
本発明の目的は、鋼板との密着性に優れ、酸性の内容物をレトルト処理した際に高度の耐食性を具備する金属貼合せ成形加工用フィルムを提供することである。
通常フィルムを薄くしていくと耐食性は、悪化するものと予想されていたが、ポリエチレンナフタレートフィルムにおいては、フィルムの厚みを極薄くすることと合わせて熱収縮率を制御することとを組み合わせることにより、予想に反して耐食性が保持されたまま密着性も良好となることが分かった。しかも、フィルムを薄くできることにより単位面積当たりの原価を抑えることができる。
すなわち、本発明は、以下の構成要件により達成される。
1.樹脂が、ポリエチレン−2,6−ナフタレートから主になり、厚みが5〜14μm、150℃30分間での熱収縮率が長手方向及びそれに直交する方向(幅方向)ともに2.7%以下である金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
2.ガラス転移点が100℃以上である前記1記載の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
3.金属貼合せ容器が酸性の内容物のレトルト処理に用いられる容器である前記1または2に記載の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
本発明の金属貼合せ成形加工用フィルムは、14μm以下という非常に薄いポリエチレンナフタレートフィルムを用い且つ特定の条件下における熱収縮率とを特定の範囲にすることで、鋼板との密着性に優れ、酸性の内容物をレトルト処理した際に高度の耐食性を具備させることができる。
本発明の金属貼合せ成形加工用フィルムについて以下でそれぞれを構成する各成分、調整方法等について、順次具体的に説明する。
<金属貼合せ成形加工用フィルム>
本発明の金属貼合せ成形加工用フィルムは、ポリエチレン−2,6−ナフタレートから主になり、厚みが5〜14μm、150℃30分間での熱収縮率が長手方向及びそれに直交する方向(幅方向)ともに2.7%以下である金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムである。
ここで、「主になり」とは、全樹脂組成物の重量を基準として、ポリエチレン−2,6−ナフタレート成分由来のポリエステルが、例えは゛50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましく80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であることを示す。
本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムの樹脂において、上記のポリエチレン−2,6−ナフタレート成分が主であることによって、酸性の内容物をレトルト処理した際に高度の耐食性に優れる。上記ポリエチレン−2,6−ナフタレート成分由来のポリエステルの割合が、下限より低いと金属貼合せ成形加工用フィルムにした際に、高度の耐食性が得られない。
また、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムは、単層からなるものが好ましいが、2層以上の層構成にしても構わない。
本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムは、上記の組成比の要件を満たしていれば、特に制限されず、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルとしては、ホモのポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましく挙げられ、共重合ポリエステルとしては、ポリエチレン−2,6−ナフタレート共重合体が好ましく挙げられる。
かかる共重合ポリエステルの共重合成分は、酸成分でもジオール成分でも好ましく用いることができる。酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き主たる酸成分以外のイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等である芳香族ジカルボン酸やアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、コハク酸等の如き脂肪族ジカルボン酸および、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸が好ましく、ジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールの如き脂肪族ジオール、1,4−ヘキサメチレンジメタノールの如き脂環族ジオールが好ましく用いることができる。これらは単独または2種以上を使用することができる。これらの中、酸成分として、テレフタル酸がより好ましい。
本発明における金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムは、ポリエチレンナフタレートを主成分とし、フィルムを300℃で3分間溶融保持した後に急冷し、その後20℃/minで昇温したときのガラス転移温度(Tgと略称)の下限は、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましく、115℃以上であることがさらに好ましい。他方、Tgの上限は、125℃以下であることが好ましく、123℃以下であることがより好ましく、121℃以下であることが、さらに好ましい。Tgが、下限より低い時は、該当フィルムを貼り合わせた金属を容器に加工し、ピクルスのような酸性度が高い内容物を容器内に充填して高温でレトルト処理した場合にフィルム中の分子が高温で動きやすくなるため、内容液がフィルム中を浸透し金属部を錆びさせてしまうため好ましくない。他方、Tgが上限を超えた場合は、ラミネーション時にフィルムが熱密着するために必要な熱量が十分に与えられず密着性に乏しくなり好ましくない。
(ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂の製造方法)
次に、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおけるポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
先ず、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムおけるポリエステル樹脂の製造方法は、例えば芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとをエステル化反応もしくはエステル交換反応させてポリエステルの前駆体を合成する第一反応と、該前駆体を重縮合反応させる第二反応とからなり、それ自体公知の方法を採用できる。
本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおけるポリエステル樹脂の具体的な原料として用いられるポリエチレン−2,6−ナフタレートは、その繰り返し単位がエチレン−2,6−ナフタレートから構成されているものであり、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはその誘導体と、エチレングリコールとを、触媒の存在下で適当な反応条件下でエステル化、重合化せしめることによって製造できる。
好ましい第一反応の条件については、常圧下で行ってもよいが、0.05MPa〜0.5MPaの加圧下で行うことが反応速度をより速めやすいことから好ましい。また、第一反応の温度は、210℃〜270℃の範囲で行うことが好ましい。反応圧力を上記範囲内とすることで反応の進行を進みやすくしつつ、ジアルキレングリコールに代表される副生物の発生を抑制できる。このとき、アルキレングリコール成分は、第一反応を行う反応系に存在する酸成分に対し1.1〜6モル倍用いることが、反応速度及び樹脂の物性維持の点から好ましい。より好ましくは2〜5モル倍、さらに好ましくは3〜5モル倍である。
また、第一反応の反応速度をより早くするには、それ自体公知の触媒を用いることが好ましく、たとえばLi,Na,K,Mg,Ca,Mn、Co、Tiなどの金属成分を有する金属化合物が好ましく挙げられ、これらの中でも加圧下で行う場合は、反応の進みやすさの点からMnやTi化合物が好ましい。特にTi化合物は、さらに重縮合反応触媒としても使用でき、かつ触媒残渣の析出も少ないことから好ましい。本発明で用いるチタン化合物としては、触媒残渣の析出による不溶性粗大異物の発生を抑制する観点からポリエステル中に可溶な有機チタン化合物が好ましい。特に好ましいチタン化合物としては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラフェノキシド、トリメリット酸チタンなどが例示できる。
また、添加する触媒量は、第一反応中に存在する全酸成分のモル数を基準として、金属元素換算で、10〜150ミリモル%の範囲が好ましく、20〜100ミリモル%の範囲がより好ましく、特に30〜70ミリモル%の範囲が反応速度を促進しつつ、触媒起因の粗大不溶性異物の生成を抑制でき、さらに得られる共重合芳香族ポリエステルの耐熱性を高度に維持できることからさらに好ましい。なお、チタン化合物を添加する場合の添加時期は、第一反応のエステル化反応開始時から存在するように添加し、前述のとおり、引き続き重縮合反応触媒として使用することが好ましい。もちろん、重縮合反応速度をコントロールする目的で2回以上に分けて添加してもよい。
つぎに、第一反応で得られた前駆体を重縮合反応させる第二反応について説明する。
本発明における金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける樹脂は、高度の熱安定性を付与させる目的で、第二反応における重縮合反応の開始以前に、反応系にリン化合物からなる熱安定剤を添加することが好ましい。具体的なリン化合物としては、化合物中にリン元素を有するものであれば特に限定されず、例えば、リン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸アンモニウム、トリエチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテートなどが好ましく挙げることができ、これらのリン化合物は二種以上を併用してもよい。なお、リン化合物の添加時期は、第一反応が実質的に終了してから第二反応である重縮合反応初期の間に行うことが好ましく、添加は一度に行ってもよいし、2回以上に分割して行ってもよい。
本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおけるポリエステル樹脂を製造する際、重縮合反応の温度は270℃〜300℃の範囲で行うのが好ましく、重縮合反応中の圧力は50Pa以下の減圧下で行うのが好ましい。重縮合反応中の圧力が上限より高いと重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高い共重合芳香族ポリエステルを得ることが困難になる。重縮合触媒としては、それ自体公知のTi,Al,Sb,Geなどの金属化合物を好適に使用でき、それらの中でもエステル化反応やエステル交換反応時に添加されたチタン化合物を引き続き使用することが触媒残渣による不溶性粗大異物の発生を抑制できることから好ましい。
これらは、必要に応じて、他の添加剤、例えば蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤を配合してもよい。
(ワックス)
本発明における金属貼合せ成形加工用フィルムを構成するポリエステル組成物は、ワックスを含有してもよい。ワックスとしては、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、パームワックス、ロジン変性ワックス、オウリキュリーワックス、サトウキビワックス、エスパルトワックス、バークワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、イボタロウ、セラックワックス等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックスを好ましく挙げることができる。中でも、軟化点が120℃以上のワックスを用いると高温レトルト処理においてもワックス成分が食品中に溶出することが少ないためより好ましい。
また、本発明における金属貼合せ成形加工用フィルムを構成するポリエステル組成物は、非相溶なワックスを含有させることが好ましく、このことにより、フィルムの表面を荒らすことができ、缶加工時の滑り性が向上してフィルム削れが起きにくくなるという効果が生じる。特に、包装食品用途で良好な衛生性を得ることができることから、ポリエチレンワックスが最も好ましい。
本発明における金属貼合せ成形加工用フィルムにおいて、ワックスの含有量は、ポリエステル組成物100重量%に対して、好ましくは0.01〜1.0重量%、さらに好ましくは、0.05〜0.3重量%である。ワックスの含有量が、下限未満の場合には、缶成形時の耐削れ性が不十分となり好ましくない。他方、ワックスの含有量が、上限より多い場合には過剰品質になるばかりか、製膜やラミネート、製缶の工程でワックスがブリードアウトし工程を汚染して好ましくない。
(粒子)
本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムは、フィルム製造工程における取扱い性、特に巻取り性を改良するため、微粒子を配合することが好ましい。該微粒子は、ポリエステル樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部である。
微粒子は、好ましくは、無機微粒子、有機微粒子のいずれでも良く、より好ましくは無機微粒子である。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムを好ましく例示することができる。有機微粒子としては架橋ポリスチレン粒子、架橋シリコーン樹脂粒子が好ましく例示できる。中でも、非球状の多孔質シリカは、フィルムの延伸時に粒子周辺にボイドが発生しにくいため、フィルムの透明性と光沢感を向上させる特長を有しておりより好ましい。
該微粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜3.0μm、より好ましくは0.3〜2.0μmの微粒子である。平均粒子径が、下限未満であると、フィルムの搬送性、すなわち滑り性を得るために添加量を多くせねばならず、透明性が損なわれて好ましくない。
他方、平均粒子径が上限を超えると成形加工により変形した部分の粗大粒子が起点となり、ピンホールを生じたり、場合によっては破断することもあり、好ましくない。
(他の添加剤)
なお、本発明における金属貼合せ成形加工用フィルムにおいて、該ポリエチレン−2,6−ナフタレート中には、本発明の目的を損なわない範囲において必要に応じ、他の添加剤、例えば着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を配合することができる。特に、白色外観を得る目的で、例えば酸化チタンを含有させるなどの公知の技術を用いることが好ましい。しかし、透明である方がフィルムと金属板をラミネートした後の光沢感が優れておりより好ましい。
特に、外観上の高級感を得るためにゴールド色の着色を施す場合があり、この目的のためにフィルムに着色剤、特に黄色着色剤を添加することができる。黄色着色剤としては、好ましくは、アンスラキノン系、イソインドリノン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、縮合アゾ系であり、より好ましくは、イソインドリノン系である。
該着色顔料の含有量は、好ましくは10重量%を超え50重量%以下であり、より好ましい含有量は15〜40重量%、特に好ましくは15〜30重量%の範囲である。着色顔料の含有量が下限未満の場合には隠蔽性に劣り、上限を超える場合には、隠蔽性の向上効果が飽和するだけでなく、フィルムが脆くなってフィルム延伸時にフィルム破断が生じやすくなり、かつ得られたフィルムを金属板に貼り合わせた後、缶に成形加工する際にクラックや破断が生じやすくなるので好ましくない。
また、着色剤としては色調を調整するために、他の成分を併用しても良いが、耐熱性の良好なものが好ましく、またその用途上食品衛生面での安全性が認められているものが好ましい。
また、ワックス成分やその他添加剤は、原料樹脂の重合工程にて含有させてもよく、高濃度のマスターチップを例えば二軸押出機を用いて製造しておき、添加剤未含有のチップで希釈することにより、所望の濃度の添加剤を含有する樹脂組成物を得てもよい。また、例えばスクリューフィーダーを用いて、製膜工程の押出機に添加剤を粉体のままで直接含有させてもよい。
(層構成)
本発明の金属貼合わせ成形加工用フィルムは主としてポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなる二軸延伸された単層フィルムが好ましいが、意匠性やすべり性付与するために積層フィルムとすることが好ましい。意匠性を付与するには例えば主としてポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなるポリエステル層Aと、この層Aに接するポリエステル層Bに顔料を添加し、共押出機で2層フィルムを製膜することで達成できる。同様に、すべり性付与のためにポリエステル層Bに粒子を添加することもできる。金属に貼り合わせる面はポリエステルA層でもポリエステルB層でも良いが、好ましくは添加物の添加量が低いポリエステル層Aである。
(ラミネート)
本発明の金属貼合わせ成形加工用フィルムは、金属板にラミネートされる。
本発明の金属貼合わせ成形加工用積層フィルムを貼り合わせる対象となる金属板としては、例えば製缶用金属板であり、具体的には、例えばブリキ、ティンフリースチール、ティンニッケルスチール、アルミニウムの板が好ましい。金属板へのポリエステルフィルムの貼り合わせは、金属板をフィルムの融点以上に加熱しておいてフィルムを貼り合わせた後冷却し、金属板に接するフィルムの表層部(薄層部)を非晶化して密着させる方法が好ましく、また、フィルムにあらかじめ接着剤をプライマーコートしておき、この面と金属板を貼り合わせる方法で行なうことが好ましい。なお、接着剤としては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着剤、エポキシ−エステル系接着剤、アルキッド系接着剤を用いることが好ましい。また、この接着剤に白色顔料や黄色顔料を分散させることにより着色外観を有するフィルムとしてもよい。
(厚み)
本発明の金属貼合せ成形加工用フィルムは、厚みが5〜14μmである必要がある。厚みが下限未満の場合は鋼板密着性の低下や、成形時にフィルムが破れやすくなり鋼板への防錆性が弱くなる。厚みが、上限を超える場合は、150℃30分間の熱処理した時の熱収縮率が長手方向及びそれに直交する方向(幅方向)に上限を超えるるため、残留応力が大きくなり金属との密着不良を起こして耐食性が下がる。厚みが上限を超える場合は、ラミネート時にフィルムを溶融接着させた際に溶け残りが残り、成形加工時にフィルム割れが起こり易い。なお、フィルムの厚みは打点厚み計で計測した。
(フィルムの製造方法)
以上に説明した本発明の金属貼合せ成形加工用フィルムの製造方法は、特に限定されず、従来公知の製膜方法により先ず未延伸のフィルムを作成し、次いで二方向に延伸すればよい。例えば、ポリマーを溶融状態でダイからシート状に共押出する工程、得られたシート状物を冷却固化することで、未延伸ポリエステルフィルムとする工程、そして得られた未延伸ポリエステルフィルムを製膜方向と幅方向に延伸することで製造できる。溶融状態で押し出す工程での温度は、未溶融物がなく、過度にポリエステルの熱劣化が進まない温度であれば特に制限されず、例えば、ポリエステルの融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度範囲で行うことが好ましい。次に、冷却については、得られる未延伸ポリエステルフィルムの平坦性を維持しつつ、厚み斑も少なくするために、フィルム製膜方向に沿ってダイの下方に設置された回転する冷却ドラムを用い、それにシート状物を密着させて冷却するのが好ましい。つづいて、延伸については、未延伸ポリエステルフィルムを、一軸方向(縦方向または横方向)に、(ポリエステルのガラス転移温度(Tg)−10)℃〜(Tg+60)℃の温度で好ましくは、2.5倍以上、より好ましくは2.8倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直交する方向にTg〜(Tg+60)℃の温度で好ましくは2.5倍以上、より好ましくは3倍以上の倍率で延伸する。横延伸温度は、好ましくは(Tg+25)〜(Tg+60℃)の範囲で延伸させ、より好ましくは(Tg+30)〜(Tg+60℃)、さらに好ましくは(Tg+30)〜(Tg+55℃)、最も好ましくは(Tg+35)〜(Tg+55℃)の範囲である。この際、横延伸温度は、段階的に引き上げることが好ましく、いずれの温度も上記範囲内にあることが好ましい。横延伸温度がTgに対して低すぎたりすると過度な延伸時応力が粒子に集中し、その結果、粒子周辺のボイドが大きくなることで突起が高く且つ、大きなものとなり破断しやすくなる。さらに必要に応じて縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。このように延伸したときの全延伸倍率は、面積延伸倍率(縦方向の延伸倍率×横方向の延伸倍率)として好ましくは7倍以上、より好ましくは8〜15倍、さらに好ましくは8〜12倍である。下限未満だと、分子配向が進まず、厚み斑の悪いフィルムとなってしまうため好ましくない。上限より大きいと配向が進みすぎて鋼板密着性が乏しくなるため好ましくない。二軸配向フィルムは、好ましくは(Tm−80)〜(Tm−60)℃の温度で熱固定する。具体的には185〜210℃で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は0.1〜60秒が好ましい。また、前述の延伸は逐次二軸延伸で説明したが、縦方向と横方向に同時に延伸する同時二軸延伸を用いても良い。
さらに引続き熱固定温度よりも低い温度(Tg−20)〜(Tm−80)℃が好ましく、具体的には、好ましくは100〜180℃、より好ましくは110〜160℃の範囲の温度であり、5%以内の弛緩下で熱処理を行なうことが好ましく、二軸延伸フィルムされた本発明の金属貼合せ成形加工用積層フィルムを得ることができる。
(物性値)
[熱収縮率]
本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける熱収縮率は、150℃、30分間に条件において長手方向及びそれに直交する方向(幅方向)ともに2.7%以下である必要がある。150℃の雰囲気で30分間フィルムを保持した時の熱収縮率が、上限を超えると、金属に貼り合わせ時にラミネート時の熱によってフィルムに残留応力が発生し、金属との密着性を低下してしまい、金属からフィルムが剥がれてしまうので好ましくない。
熱収縮率が上限以下である場合は、金属とフィルムの密着性が良好となり、高次加工性を維持することができる。
熱収縮率の測定は30cm角のフィルムを用意し、所定の温度下で所定の時間保持して自由収縮させた時の収縮率として測定した。
[ガラス転移温度]
本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおけるガラス転移温度(Tg)は、好ましくは100℃以上である。この温度より低い時は、ピクルスのような酸性度の高い内容物を高温でレトルト処理した場合にフィルム中の分子が高温で動きやすくなるため、内容液がフィルム中を浸透し金属部を錆びさせてしまうため好ましくない。ガラス転移点は高い方が好ましいが、ガラス転移点を高くすると融点が高くなる場合が多い。融点が275℃を超えるとラミネーション時にフィルムが熱密着するために必要な熱量が十分に与えられず密着性に乏しくなり好ましくない。好ましいガラス転移温度は125℃以下である。ガラス転移温度は、示差走査熱量計TA Instruments製DSC Q100を用いて測定したものである。290℃3分間溶融保持したあとに急冷しその後再昇温する方法でガラス転移温度を求めた。なお測定サンプルは、フィルムから20mgを量り取った。
[面配向係数]
本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける面配向係数は、好ましくは0.230〜0.251である。面配向係数が下限未満の場合はフィルムの厚み班が悪くなり、かつ熱収が3%を超えてしまい鋼板への密着性が下がるため好ましくない。面配向係数が上限を超える場合は、金属に貼り合わせた後に溶け残りが発生する場合があり耐食性が下がるので好ましくない。なお、面配向係数は以下の式で与えられる。
ns=(nTD+nMD)/2−(nz)
ここで、nsは面配向係数、nTDはフィルムの横方向の屈折率、nMDは縦方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率である。これら屈折率はメトリコン社製プリズムカプラを用いて波長633nmにおける屈折率を測定して求め、各方向の屈折率とした。
[密度]
本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける密度は、好ましくは1.350〜1.356g/cmである。この範囲であれば、フィルムの厚みムラを抑えることができ、ラミネート適性があり好ましい。密度が下限未満の場合は、フィルムを製膜した場合、フィルムの厚みムラを調整するのが困難であり、ラミネート時に気泡が入り込み好ましくない。ラミネート搬送時間を遅くして厚みムラの悪さを補おうとすると結晶化が進んでしまい、密着性が下がり好ましくない。密度が上限を超える場合は、金属に貼合せた後に溶け残りが発生する場合があり耐食性が下がるので好ましくない。なお、ここでいうフイルム密度は硝酸カルシウム溶解液を使った密度勾配管法の手段により30℃で測定した値を意味する。
[固有粘度]
次に、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける固有粘度は、好ましくは0.53〜0.65であり、より好ましくは、0.56〜0.62である。固有粘度が、下限未満では製膜性が低下し、実用に供することのできる機械的強度を有したフィルムが得られないなどの問題を生じて好ましくない。他方、上限を超えると成形加工性が損なわれて好ましくない。
ここで、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける固有粘度(IV)は、製膜に使用される原料ポリエステル組成物をo−クロロフェノールに溶解後、遠心分離機により着色顔料等を取り除き35℃溶液にて測定して得られる値(IVa)を、下記(2)式に代入して樹脂分の重量換算値として求めた。
IV=IVa/(1−C) −−−(2)
ここでいうCは各層の着色顔料濃度を指す。
[融解ピーク温度]
次に、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける融解ピーク得温度は、好ましくは240〜275℃であり、より好ましくは、265〜270℃である。融解ピーク温度が、下限未満では耐食性が低下し、他方、上限を超えるとラミネーション時にフィルムが熱密着するために必要な熱量が十分に与えられず密着性に乏しくなり好ましくない。
なお、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムおよび融解後の該ポリエステルフィルムの融点は、TA Instruments社製の示差走査熱量計DSC Q100により得られる融点である。サンプル20mgを昇温速度20℃/分で300℃まで昇温し、300℃で3分間溶融保持した後に急冷し、再度20℃/分で昇温して融解ピーク温度を測定した。
[金属との密着性]
次に、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける金属との密着性は、本発明のフィルムを、230℃に予熱した板厚0.25mmのティンフリースチールの外面となる面に、ニップロールで圧着しラミネートした後、直後に水槽中で急冷し、ラミネート鋼鈑を得た。このラミネート金属板から幅15mmの短冊状試験片を切り出し、10mm/minの速度で180°剥離試験を行い、次の基準に従って評価し、好ましくは、10N/15mm以上、14/N15mm未満であり、より好ましくは14N/15mm以上である。密着性の指標が、10N/15mm未満の場合は、凝集破壊しやすくなり好ましくない。
[耐レトルト性]
次に、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける耐レトルト性は、巻き締め加工で得られた缶をレトルト釜に入れ、スチームが直接サンプルに当らないようにして125℃の加圧水蒸気で30分間レトルト処理を施し、フィルムの外観について目視評価を行い、次の基準に従って評価した。好ましくは、やや白濁した程度とし、より好ましくは、変化なしであり、耐レトルト性の指標が、著しく斑点状に乳白色に変化した場合は、好ましくないとした。
[耐食性(レトルト後健全性)]
次に、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける耐食性は、フィルムラミネートした金属板を公知のプレス成形工程で円板状に打ち抜くとともに所望の蓋形状に成形して得られた缶に3%酢酸+2%食塩水を満注し、上記滅菌器で、125℃の加圧水蒸気で90分間レトルト処理を施した。缶を取り出して、缶内の状態を目視確認した。
好ましくは、全10個のうち、いずれかについて鋼板の部分的な腐食またはフィルムの剥離が発生、より好ましくは、全10個のうち、いずれかについて鋼板の腐食はないが、微小なフィルム膨れが発生、さらに好ましくは、全10個について鋼板の腐食およびフィルムの剥離なしである。耐食性の指標が、全10個のうち、いずれかについて鋼板に全面の腐食とフィルムの剥離が発生した場合は酸性度の高い食品を充填した時に、缶壁を錆びさせるため好ましくない。
[深絞り加工性]
次に、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける深絞り加工性は、得られたフィルムを、230℃に予熱した板厚0.25mmのティンフリースチールの外面となる面に、ニップロールで圧着しラミネートしで得られたラミネート金属板を150mm径の円板状に切り取り、ラミネート側を内面として絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側面無継目容器(以下、缶と略す)を作成した。この缶の加工状況について観察した結果を、以下の基準で目視評価した。
好ましくは、フィルムの缶上部に白化や剥離が認められる、より好ましくは、フィルムに異常なく加工され、フィルムに白化や破断が認められないである。フィルムの一部にフィルム破断が認められる場合は、耐食性が著しく下がるので好ましくない。
[巻き締め加工性]
次に、本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムにおける巻き締め加工性は、フィルムラミネートした金属板を公知のプレス成形工程で円板状に打ち抜くとともに所望の蓋形状に成形した後、巻き締め機を用いて深しぼり加工性評価で作製した缶の上部に巻き締めを行った。この蓋材の加工状況について巻き締め部を観察し、以下の基準で目視評価した。好ましくは、フィルムに異常(ひび、破れ、板からの剥離)が認められないである。フィルムの一部に異常(ひび、破れ、金属板からの剥離)が発生した場合は、耐食性が著しく下がるので好ましくない。
以下、実施例を掲げて本発明をさらに説明する。なお、フィルムの特性は以下の方法で測定、評価した。
(1)樹脂組成物の融解ピーク温度
示差走査熱量計TA Instruments製 DSC Q100を用いてサンプル量20mgにて測定した。昇温速度20℃/分で300℃まで昇温し、300℃で3分間溶融保持した後に急冷し、再度20℃/分で昇温して融解ピーク温度を求めた。
(2)樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)
上記(1)と同様の手順で、ガラス転移温度、および結晶化ピーク温度を求めた。(なお、サンプル量は20mgとした。)
(3)固有粘度
フィルム0.3gをo−クロロフェノール25ml中に溶解後、一旦冷却させ、その溶液をオストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した。
(4)金属との密着性
本発明のフィルムを、230℃に予熱した板厚0.25mmのティンフリースチールの外面となる面に、ニップロールで圧着しラミネートした後、直後に水槽中で急冷し、ラミネート鋼鈑を得た。このラミネート金属板から幅15mmの短冊状試験片を切り出し、10mm/minの速度で180°剥離試験を行い、次の基準に従って評価した。
〇:14N/15mm以上
△:10N/15mm以上、14/N15mm未満
×:10N/15mm未満
(5)深絞り加工性
(4)で得られたラミネート金属板を150mm径の円板状に切り取り、ラミネート側を内面として絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側面無継目容器(以下、缶と略す)を作成した。この缶の加工状況について観察した結果を、以下の基準で目視評価した。
○:フィルムに異常なく加工され、フィルムに白化や破断が認められない。
△:フィルムの缶上部に白化や剥離が認められる。
×:フィルムの一部にフィルム破断が認められる。
(6)巻き締め加工性
フィルムラミネートした金属板を公知のプレス成形工程で円板状に打ち抜くとともに所望の蓋形状に成形した後、巻き締め機を用いて(5)で作製した缶の上部に巻き締めを行った。この蓋材の加工状況について巻き締め部を観察し、以下の基準で目視評価した。
○:フィルムに異常(ひび、破れ、板からの剥離)が認められない。
×:フィルムの一部に異常(ひび、破れ、金属板からの剥離)が発生した。
(7)耐レトルト性
前記(6)にて得られた缶をレトルト釜に入れ、スチームが直接サンプルに当らないようにして125℃の加圧水蒸気で30分間レトルト処理を施し、フィルムの外観について目視評価を行った。
○:変化なし。
△:やや白濁した。
×:著しく斑点状に乳白色に変化した。
(8)耐食性(レトルト後健全性)評価
前記(6)にて得られた缶に3%酢酸+2%食塩水を満注し、上記滅菌器で、125℃の加圧水蒸気で90分間レトルト処理を施した。缶を取り出して、缶内の状態を目視確認した。
◎:全10個について鋼板の腐食およびフィルムの剥離なし
○:全10個のうち、いずれかについて鋼板の腐食はないが、微小なフィルム膨れが発生
△:全10個のうち、いずれかについて鋼板の部分的な腐食またはフィルムの剥離が発生
×:全10個のうち、いずれかについて鋼板に全面の腐食とフィルムの剥離が発生
[実施例1]
2,6−ジメチルナフタレート100部とエチレングリコール56部の混合物に、酢酸マンガン・4水和物0.0313部を加圧反応が可能なSUS(ステンレス)製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテート0.042部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
その後、反応生成物を重合容器に移し、滑剤として平均粒子径0.3μmの真球状シリカ粒子を0.15重量%を添加し、290℃まで昇温して三酸化アンチモン0.0239部を添加し100Paの高真空にて重縮合反応を行い、固有粘度0.62、ジエチレングリコール量1.5モル%(2,6−エチレンナフタレート成分対比)のポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物を得た。
樹脂組成物をペレット化し、そのペレットを170℃で6時間乾燥した後、押出機ホッパーに供給し、押出機にてペレットを熱溶融して、溶融温度310℃でダイから冷却ドラム上にシート状に共押出し、未延伸ポリエステルフィルムを得た。
このようにして得られた未延伸ポリエステルフィルムを、120℃に予熱し、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が140℃になるように加熱し、延伸倍率3.1倍で縦方向(製膜方向)の延伸を行った。続いて、155℃に加熱されたステンター内に供給し、165℃、170℃に段階的に温度を上げながら、横方向に3.0倍に延伸(第1段)後、更に180℃に加熱されたステンター内に供給して再度横方向に1.1倍に延伸した後、195℃の熱風で4秒間熱固定処理し、厚み9μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの固有粘度は0.59dl/g、Tgは120.5℃、熱固定由来のサブピークはなし、融点は269.6℃、面配向係数は0.240、150℃、30分の熱収縮率は長手方向で2.1%、長手方向に直交する方向で1.8%であった。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例2,比較例1,2,3]
実施例1に対して、延伸倍率と熱固定温度を変えて同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
これらフィルムの評価結果は表2に示すとおりであり、本発明のポリエステルフィルムを使用した缶では、金属板との密着性、耐食性が優れていることがわかった。
Figure 2019206372
Figure 2019206372
PEN;ポリエチレン−2,6−ナフタレート
PET;ポリエチレンテレフタレート
[比較例4]
ポリエチレンテレフタレートのペレットを170℃で6時間乾燥した後、押出機ホッパーに供給し、押出機にてペレットを熱溶融し、溶融温度310℃でダイから冷却ドラム上にシート状に共押出し、未延伸ポリエステルフィルムを得た。このようにして得られた未延伸ポリエステルフィルムを、120℃に予熱し、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が140℃になるように加熱し、延伸倍率3.6倍で縦方向(製膜方向)の延伸を行った。続いて、155℃に加熱されたステンター内に供給し、165℃、170℃に段階的に温度を上げながら、横方向に4.1倍に延伸(第1段)後、更に180℃に加熱されたステンター内に供給して再度横方向に1.1倍に延伸した後、200℃の熱風で4秒間熱固定処理し、厚み9μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
表1にこのポリエチレンテレフタレートの特性を示す。該当のポリエチレンテレフタラートフィルムを製膜し同様に金属に貼合せて耐食性を評価したが、レトルト処理後に金属に錆びを発生したため本発明の用途領域には適さない。
本発明の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムは、薄いフィルムを用いた際、加工後の耐食性にも優れることから、飲料缶、食料缶等の用途に好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 樹脂が、ポリエチレン−2,6−ナフタレートから主になり、厚みが5〜14μm、150℃30分間での熱収縮率が長手方向及びそれに直交する方向(幅方向)ともに2.7%以下である金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  2. ガラス転移点が100℃以上である請求項1記載の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  3. 金属貼合せ容器が酸性の内容物のレトルト処理に用いられる容器である請求項1または2に記載の金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
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