JP2000143840A - 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム - Google Patents
金属板ラミネート用ポリエステルフィルムInfo
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Abstract
耐熱性に優れ、比較的低温で熱圧着可能であり、これよ
り得られるラミネート金属板が、耐傷性、加工性、成形
性に優れ、更にこのラミネート金属板より得られる金属
缶体が、フレーバー性、耐レトルト性、耐衝撃性、印刷
性等に優れるようにする。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレート系樹脂
(A)と、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(B)
と、これらと実質的に非相溶の樹脂(C)とを特定量配
合した樹脂組成物からなり、特定の熱特性を有する金属
板ラミネート用ポリエステルフィルム。
Description
ポリエステルフィルムに関し、特に、金属缶体のよう
な、金属にフィルムをラミネートして得られるラミネー
ト金属板に、絞り成形やしごき成形等の高加工を施して
使用される際の構成材料として有用な、金属板ラミネー
ト用ポリエステルフィルムに関するものである。
は、機械的強度に優れ、密閉性にも優れることから、内
容物の長期保存が可能である。また、内容物を高温で充
填しそのまま密封したり、レトルト処理等の殺菌処理も
容易に行えるため、包装容器としての安全衛生性に対す
る信頼性も高い。更に、加温状態で内容物を保存できた
り、使用後の缶体の分別・回収が比較的容易である。そ
して、このように多くの長所を有するため、近年、様々
な種類の内容物が充填され多量に使用されている。
物の風味を保つと同時に、金属缶素材の腐食を防止する
ため、あるいは缶外面の美粧性の向上、印刷面の保護等
を目的として、従来より、熱硬化性樹脂を主成分とする
溶剤型塗料が塗布されて使用されている。これは塗装缶
と称されている。
のような問題がある。 (イ)内容物を充填、密封した後にレトルト処理等の加
温処理を施すと、塗膜中の残存溶剤や未硬化物等の低分
子量物質が内容物中に移行し、内容物の風味が著しく低
下する。すなわちフレーバー性に劣る。
い、塗膜にこれまで以上に加工性や耐衝撃性が要求され
ている。一方では、レトルト処理後に塗膜が白化した
り、塗膜が剥離する等の問題に対する耐レトルト性が要
求されている。しかし、これらの性能を同時に満足させ
る塗膜を得ることが難しい。
膜の乾燥、焼付けに多量の熱エネルギーが必要である。
このような塗装缶に対して、最近、単層もしくは複層の
プラスチックフィルムを金属板にラミネートしたフィル
ムラミネート金属板を用いて製造した金属缶すなわちラ
ミネート缶が注目されている。このラミネートのための
フィルムとして、特にポリエステルフィルムは、機械的
強度、加工性、耐熱性に優れ、ピンホールやクラック等
が発生しにくく、内容物の風味が損なわれにくく、すな
わちフレーバー性に優れ、しかも比較的安価であるとい
う長所があり、積極的に実用化が進められている。
トする方法としては、プラスチックフィルムあるいは金
属板の少なくとも一方に予め接着層を設けておいて熱接
着する方法や、熱接着性のプラスチックフィルムを用い
て金属板と熱圧着させる方法等がある。
熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶解した溶液からなる接着剤
を用いた場合には、前記の(イ)及び(ハ)の問題があ
る。また、接着層とフィルムとの間に界面が生成するた
め、ラミネート金属板の加工性やこの金属板より得られ
る缶の耐衝撃性に難がある。
には、上記の(イ)〜(ハ)の問題は解決し、金属缶の
生産性も向上する。たとえば、特開平2−305827
号公報、特開平3−86729号公報、特公平7−35
092号公報、特開平5−154971号公報、特開平
5−156040号公報、特開平6−39979号公
報、特開平7−207040号公報、特開昭64−22
530号公報、特開平6−116374号公報、特公平
7−80253号公報、特開平5−147647号公
報、特開平7−195617号公報、特公昭57−23
584号公報等には、熱圧着が可能なポリエステルフィ
ルムが記載されている。また、特開昭60−17053
2号公報、特開平3−212433号公報、特開平5−
92535号公報、特開平3−57514号公報、特開
平3−101930号公報、特開昭58−220729
号公報、特公昭57−22750号公報等には、熱圧着
可能なポリエステルフィルムを用いて、ラミネート金属
板及び高絞り比の金属缶体を製造する方法が記載されて
いる。
エステルフィルムは、熱圧着性を保持させる目的や、ラ
ミネート金属板の加工性を向上させるとともに金属缶体
の耐衝撃性を保持する目的から、他の成分を共重合した
り配合することによってフィルムの結晶化度を低くする
ことがなされている。
ポリエステルフィルムを用いた場合には、レトルト処理
等の高温処理の際にフィルム中の低分子量物が内容物に
移行しやすく、このため内容物の風味が損なわれ、場合
によっては内容物が変色するといった現象が発生した
り、レトルト処理時にフィルムの結晶化が起こり、この
ためフィルムの剥離やミクロクラックが発生し、あるい
は、球晶が生長してフィルムが白化するという種々の問
題が発生したりして、改善が求められている。また、種
々提案されているポリエステルフィルムを用いても、得
られる缶の耐衝撃性は十分でないという問題がある。
エチレンテレフタレート(PET)又はこれを主体とす
るポリエステルと、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)又はこれを主体とするポリエステルより成る2軸延
伸フィルムを用いることによって、これらの問題が解決
されることを提案している(特開平9−194604号
公報等)。すなわち、このようなフィルムは、結晶化度
が高くても、比較的低温で熱圧着でき、しかも得られた
ラミネート金属板は、熱圧着後のフィルムの結晶化度が
高くても、加工性、成形性に優れる。
性、経済性から求められる更なる低温での熱圧着性の要
求に対しては十分ではなく、また得られるラミネート缶
の耐衝撃性に劣る場合があることが判明している。一
方、ラミネート缶を多量に製造する際に、ラミネート時
や、絞り、絞りしごき等の成形時には、金属ロールや金
型と高速、高負荷で接触するが、このフィルムが軟らか
いためため、フィルムに微少な傷が発生するという新た
な問題のあることが判明している。
に対して特定のポリアリレートを配合することを提案し
たが、フィルムにおける傷の発生については十分に解決
することができていない。
問題を一挙に解決するものであり、具体的には、(ア)
機械的特性や耐熱性に優れ、(イ)結晶化度が高くても
低温での金属板との熱圧着が可能であり、しかも、金属
板に熱圧着する際の条件変動に対してラミネート金属板
の品質の変化がしにくく、(ウ)これをラミネートして
得られる金属板は、工程通過性(耐傷性)、加工性、成
形性に優れ、高絞り比缶や絞りしごき缶の製造も可能で
あり、しかも、(エ)ラミネート缶にした場合に、耐レ
トルト性、フレーバー性、耐衝撃性、印刷性等に優れた
フィルムを提供することを課題とするものである。
を解決するために鋭意検討した結果、PET又はこれを
主体とするポリエステルと、PBT又はこれを主体とす
るポリエステルと、上記ポリエステルとは実質的に非相
溶であるとともに融点またはガラス転移温度が特定の範
囲にある樹脂とを含有した組成のフィルムに対して、以
下の事実を見出すことにより、本発明に到達した。
における傷の発生については、有機物によってフィルム
表面にある程度の微小な凹凸を形成することによって解
決できるということである。
を主体とするポリエステルや、PBT又はこれを主体と
するポリエステルとは実質的に非相溶の樹脂を特定量配
合することにより、比較的容易にフィルム表面にこのよ
うな微小な凹凸を適当量形成できるということである。
になるように、上記の非相溶の樹脂やフィルムの生産条
件を選定すればよいということである。しかし、フィル
ム表面に凹凸を形成すると、特に低温での熱圧着性を阻
害し、加工性、成形性ばかりでなく、耐衝撃性をも悪化
させるという問題が生じる。
の樹脂として、融点が140〜230℃の結晶性樹脂、
或いは、ガラス転移温度が120〜180℃の非晶性樹
脂を用い、ラミネートする際に金属の温度の方が高くな
るように、金属及びフィルムに接触するラミネート・ロ
ールを温度調整しておけば、金属との接着面とは反対面
のフィルムの表面形状を保持しながら、しかも、ラミネ
ート時に金属との接着面近傍の樹脂が熱流動して接着面
の凹凸が消失するため熱圧着性にプラスに寄与すること
ができるということである。
る。 (1) 以下の樹脂成分(A)〜(C)を含有したフィ
ルムであって、各樹脂の含有率が下記の条件を満足する
ことを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィ
ルム。 (A)ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とす
るポリエステル WA (重量部) (B)ポリブチレンテレフタレート又はこれを主体とす
るポリエステル WB (重量部) (C)上記樹脂(A)(B)とは実質的に非相溶であ
り、融点が140〜230℃の結晶性樹脂、或いは、ガ
ラス転移温度が120〜180℃の非晶性樹脂、の少な
くとも一種類以上よりなる樹脂 WC (重量部) WA +WB +WC =100 WD =1〜15
含有したフィルムであって、各樹脂の含有率が下記の条
件を満足することを特徴とする金属板ラミネート用ポリ
エステルフィルム。 (A)ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とす
るポリエステル WA (重量部) (B)ポリブチレンテレフタレート又はこれを主体とす
るポリエステル WB (重量部) (C)上記樹脂(A)(B)とは実質的に非相溶であ
り、融点が140〜230℃の結晶性樹脂、或いは、ガ
ラス転移温度が120〜180℃の非晶性樹脂、の少な
くとも一種類以上よりなる樹脂 WC (重量部) (D)ポリアリレート WD (重量部) WA +WB +WC +WD =100 1≦WC ≦15 0<WD ≦40
と、ナイロン12と、ナイロン610と、ナイロン61
2と、ナイロン6/66と、ナイロン6/610と、ナ
イロン11との少なくとも一種以上よりなることを特徴
とする(1)または(2)記載の金属板ラミネート用ポ
リエステルフィルム。
ミドであることを特徴とする(1)または(2)記載の
金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
ートであることを特徴とする(1)または(2)記載の
金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
90であることを特徴とする(1)から(5)までのい
ずれかに記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィル
ム。
分に由来する融解熱の和[ΔHm]が25〜45J/g
であることを特徴とする(1)から(6)までのいずれ
かに記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
(7)記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィル
ム。 T80−T20≧30℃ ここで、 T80:融解熱を積算していった際の〔ΔHm〕の80%
に相当する温度 T20:融解熱を積算していった際の〔ΔHm〕の20%
に相当する温度
する。本発明において用いられる、PETまたはこれを
主体とするポリエステル[ポリエステル(A)]は、テ
レフタル酸成分とエチレングリコール成分とを主成分と
して溶融重縮合反応、あるいは引き続いて固相重合され
たものである。その極限粘度は、0.50〜0.90d
l/gであるのが好ましく、0.55〜0.80dl/
gであるのがさらに好ましい。極限粘度が0.50dl
/g未満では実用に供することのできる機械的強度を有
したフィルムを得ることが難しく、また極限粘度が0.
90dl/gを超えるとフィルムの金属板への熱圧着性
が損なわれる場合がある。
ステルには、本発明の効果が損なわれない範囲で、適宜
他の成分を共重合してもよい。共重合成分としての酸成
分としては、イソフタル酸、(無水)フタル酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、(無水)
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ド
デカンジカルボン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、
(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、
(無水)シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテ
レフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、p−ヒドロキシ安
息香酸、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、ε−カプロラクト
ン等のヒドロキシカルボン酸や、(無水)トリメリット
酸、トリメシン酸、(無水)ピロメリット酸等の多官能
カルボン酸を挙げることができる。
としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリ
コール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−
シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ビス
フェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシドあ
るいはプロピレンオキシド付加物等の芳香族ジオール、
トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリ
トール等の多官能アルコール等を挙げることができる。
れた特性を損なわない範囲、具体的には、このポリエス
テルの融点が235〜256℃の範囲となるように選択
されることが望ましい。
ステルの製法としては、公知の方法を適用することがで
きる。たとえば、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフ
タレート及びその低重合体の存在するエステル化反応槽
に、テレフタル酸とエチレングリコール、及び必要に応
じて他の共重合成分のスラリーを連続的に供給し、温度
250℃で3〜8時間程度反応させて、エステル化反応
率95%付近のエステル化物を連続的に得る。次いで、
これを重合缶に移送し、二酸化ゲルマニウム、三酸化ア
ンチモン等の触媒の存在下に、1.3hPa以下の減圧
下で、かつ温度250〜280℃で、所望の極限粘度の
ポリエステルが得られるまで溶融重縮合反応を行えばよ
い。また、引き続き、不活性雰囲気下あるいは減圧下
で、150〜230℃で固相重合反応を実施してもよ
い。
[ポリエステル(B)]は、テレフタル酸成分と1,4
−ブタンジオール成分とを主成分として、溶融重縮合反
応、あるいは引き続いて固相重合されたものである。そ
の極限粘度は、0.60〜2.0dl/gであることが
好ましく、0.80〜1.6dl/gであることがさら
に好ましい。極限粘度が0.60dl/g未満では、実
用に供することのできる機械的強度を有したフィルムを
得ることが難しく、また2.0dl/gを超えると、フ
ィルムの熱圧着性が損なわれる場合がある。
ステルとしては、本発明の効果が損なわれない範囲で、
適宜、上述のPET又はこれを主体とするポリエステル
の場合と同様の他の成分を共重合したものでよい。これ
らの共重合成分は、PBTの有する優れた特性を損なわ
ない範囲となるように、具体的にはこのポリエステルの
融点が210〜223℃の範囲となるように選択される
ことが望ましい。
の製法としては、公知の方法を適用することができる。
たとえば、ジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジ
オール、及び必要に応じて他の共重合成分をエステル交
換反応槽に仕込み、温度230℃で5時間程度反応させ
て、エステル交換反応率95%付近のエステル化物を得
る。
n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート
等の触媒の存在下に、1.3hPa以下の減圧下で、か
つ温度220〜250℃の条件で、所望の極限粘度のポ
リエステルが得られるまで溶融重縮合反応を進めればよ
い。また、上述のPET又はこれを主体とするポリエス
テルと同様に、固相重合反応を実施してもよい。
とするポリエステルやPBT又はこれを主体とするポリ
エステルとは実質的に非相溶であり、融点が140〜2
30℃の結晶性樹脂、或いは、ガラス転移温度が120
〜180℃の非晶性樹脂、の少なくとも一種類以上、す
なわち樹脂(C)を含有する必要がある。
性樹脂及び/又はガラス転移温度が120℃未満の非晶
性樹脂を含む場合は、他の条件を満足してもフィルムの
熱特性およびバリヤー性に劣り、このフィルムを金属板
にラミネートすることで得られる金属缶はフレーバー性
や耐食性に劣ることになる。一方、融点が230℃を超
える結晶性樹脂及び/又はガラス転移温度が180℃を
超える非晶性樹脂を含有する場合は、金属板へのラミネ
ート時に金属面に接着する面の凹凸が消失せず、低温で
のラミネート性に劣ることになる。
ては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロン610、ナイロン612、ナイロン6/66、6/
610、66/610、6/12、66/12等のポリ
アミド、ポリアセタール、ポリメチルペンテン等を挙げ
ることができる。このうち、ナイロン12が特に好まし
い。一方、ガラス転移温度が120〜180℃の非晶性
樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフ
ェニレンオキサイド及びこれと例えばポリスチレンとの
ブレンド樹脂等を例示することができる。
用することができるが、上記のようにPET又はこれを
主体とするポリエステルやPBT又はこれを主体とする
ポリエステルとは実質的に非相溶でなければならない。
また、本発明のフィルムがポリアリレートを含有する場
合には、このポリアリレートとも実質的に非相溶でなけ
ればならない。本発明でいう非相溶とは、この樹脂を配
合することによってフィルムのヘイズが10〜50増加
することを意味する。すなわち、下式で定義される〔Δ
Hz〕が10〜50であることを意味する。
造したフィルムのヘイズ(%) 〔ΔHz〕が10未満の場合は、相溶性であると理解す
べきであり、フィルム表面に十分な凹凸が形成されず、
ラミネート或いは成形加工時にフィルムに傷が発生し易
くなる。一方、50を超える場合は、フィルム自体の機
械的性質に劣り、バリヤー性にも劣ることから、これよ
り得られた金属缶体は、フレーバー性や耐食性に劣るこ
とになる。
する樹脂であっても、これを用いると、フィルム面内で
明らかな色斑や不規則な模様が生じてしまい、場合によ
ってはフィルムが安定して製造できないことがある。本
発明では、このような現象を生じるものは、非混合性を
有するものであるとして対象とはしない。たとえば、樹
脂(C)としてオレフィンを少量配合した場合には、
〔ΔHz〕に関する上記条件を満足させることができる
場合があが、この場合は、一般にオレフィンが均一に混
合されている訳ではなく、上述のようにフィルム面内で
明らかな色斑や不規則な模様が生じてしまい、場合によ
ってはフィルムが安定して製造できないことがある。
は、上記のヘイズ増加に関する条件を満足することが好
ましく、ミクロには成分(A)および(B)とは非相溶
でなければならないが、マクロにはこれらと混合できな
ければならない。
る指標として、樹脂成分(C)を配合することによるフ
ィルムのヘイズの増加分〔ΔHz〕が有効である。ヘイ
ズはその定義からも明らかなように、決してフィルムの
表面性状のみを反映する物理量ではない。このことは、
成分(C)が海−島構造の島となって存在し、これがフ
ィルム表面近傍では凹凸を形成するが、そのモルフォロ
ジーはフィルムの厚み方向でほとんど変化しないことを
示唆するものである。また、前述した通り、成分(C)
が形成する島と成分(A)(B)が形成するマトリック
スとの界面の密着力が十分でないと、却ってフィルム自
体の機械的性質、加工性、バリヤー性(従って、これよ
り得られた金属缶体のフレーバー性や耐食性)等が劣る
ことから、表面だけでなく、フィルム内部のこうしたモ
ルフォロジーを把握しておくことも重要となる。この点
からも、前記〔ΔHz〕は大変重要な指標ということが
できる。
の配合量や後述のフィルムの製造条件等によってこれを
主に制御することができる。そして、この樹脂(C)と
しては、比較的広い範囲のフィルム製造条件のもとで
〔ΔHz〕が前記条件を満足することができるという点
において、また、安全衛生性の点において、前記の結晶
性あるいは非晶性のポリアミドやポリカーボネートが特
に好適である。
ジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカル
ボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフ
タル酸、イソフタル酸等から成るジカルボン酸と、1,
6−ヘキサメチレンジアミン、トリメチル−1,6−ヘ
キサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−ジシクロ
ヘキシレンメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジ
メチル−ジシクロヘキシレンメタン、4,4’−ジアミ
ノ−ジシクロヘキシレンプロパン、イソホロンジアミン
等からなるジアミン、更にはε−カプロラクタム、ω−
ラウロラクタム等の環状アミドモノマー等から構成され
ているものが好ましく、具体的には以下の共重合体を例
示できる。
−ヘキサメチレンジアミン (b)イソフタル酸、4,4’−ジアミノ−3,3’−
ジメチル−ジシクロヘキシレンメタン、ω−ラウロラク
タム (c)アジピン酸、アゼライン酸、4,4’−ジアミノ
−ジシクロヘキシレンプロパン (d)テレフタル酸、イソフタル酸、1,6−ヘキサメ
チレンジアミン
な二価フェノールとホスゲンとが界面重縮合反応によっ
て高分子量化したもの、或いは二価フェノールとジフェ
ニルカーボネートとがエステル交換反応によって高分子
量化したものである。このうち、二価フェノールとして
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビ
スフェノールA]を用いたポリカーボネートは、耐熱性
及び機械特性に優れた、いわゆるエンジニアリングプラ
スチックとしてよく知られており、工業生産も行われて
いることから、本発明においてもこの樹脂を使用するこ
とが特に好ましい態様である。
割合は、以下の2式を満足しなければならない(但し、
WI は成分(I)の配合量を表し、その単位は重量部で
ある)。
(C)を配合する効果がみられず、フィルム表面に十分
な凹凸が形成されない。一方、この樹脂(C)の含有率
が15重量%を超えると、前記〔ΔHz〕に関する条件
を満足してもフィルム自体の機械的性質に劣り、バリヤ
ー性にも劣ることになる。したがって、これより得られ
た金属缶体は、フレーバー性や耐食性に劣る場合があ
る。
との配合割合は、特に限定されないが、重量比でWA /
WB =70/30〜10/90であることが好ましく、
60/40〜10/90であることが特に好ましい。ポ
リエステル(A)の配合割合が重量比で70を超える
と、得られるフィルムの耐レトルト性が劣り、白化する
場合がある。一方、重量比で10未満の場合は、フィル
ムの熱圧着性が劣ることがある。
分として、さらにポリアリレートを、0重量%を超えか
つ40重量%以下の範囲で含有することができる。この
ようにポリアリレートを含有させることで、得られるラ
ミネート金属板の耐熱性、加工性、成形性や、ラミネー
ト缶の耐衝撃性を向上させることができる。このポリア
リレートは、芳香族ジカルボン酸成分と2価フェノール
成分とから構成された樹脂であり、GPC分析(流出
液;テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)で得られ
る数平均分子量が7,000以上、好ましくは10,0
00以上のものである。7,000未満の場合、ポリア
リレートの含有率が低いフィルムであっても、十分な機
械特性を発現しない場合がある。
ン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタ
ル酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、3−
tert−ブチルイソフタル酸等を例示することができ
る。また2価フェノール成分としては、ハイドロキノ
ン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
メタン、ビス(4−ヒドロキシルフェニル)エーテル、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェ
ニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジ
イソプロピルベンゼン、ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−
ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフ
ィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル) シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブ
ロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,
4’−ジヒドロキシルビフェニル、3,3’,5,5’
−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等
を例示することができる。
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフ
ェノールA)とから構成されるポリアリレートは、耐熱
性及び機械特性に優れた、いわゆるエンジニアリングプ
ラスチックとしてよく知られており、工業生産も行われ
ていることから、本発明においてもこの樹脂を使用する
ことは特に好ましい態様である。
によって製造することができる。例えば、界面重合法に
おいては、重合触媒の共存下で、二価フェノール化合物
または二価フェノール化合物を溶解したアルカリ水溶液
に、反応に不活性でかつ生成する樹脂を溶解するような
溶媒に溶かした前記芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化
物を混合して、2〜50℃で0.5〜5時間反応させて
ポリアリレートを得る。
等の酸捕捉剤の存在下で二価フェノール化合物を反応に
不活性でかつ生成する樹脂を溶解するような溶媒に溶解
し、芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物を添加して5
℃〜溶媒の沸点までの温度で少なくとも0.5〜5時間
反応させてポリアリレートを得る。
ートを製造することができる。例えば、二価フェノール
化合物と芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルとを
反応させる方法、二価フェノール化合物のジアセチルエ
ステルと芳香族ジカルボン酸とを反応させる方法があ
る。
えると、フィルムの配向結晶化が十分に進まないため、
フィルムの製造時の操業性が損なわれるという問題があ
る。したがってポリアリレートを含有させる場合は、そ
の含有率は30重量%以下であるのが好ましく、20重
量%以下であるのがさらに好ましい。
C)分析で得られるフィルムの熱特性のうち、フィルム
中の樹脂組成物の結晶部分に由来する融解熱の和〔ΔH
m〕が25〜45J/gであることが好ましく、28〜
40J/gであることがさらに好ましい。
ち結晶性樹脂であるポリエステル(A)及び(B)と、
結晶性または非晶性樹脂の樹脂(C)との選択や、後述
のフィルムの生産条件によって、フィルムの結晶化度を
制御することができる。
レーバー性が損なわれ、レトルト処理時にフィルムが白
化する場合があり、好ましくない。一方、45J/gを
超えると、フィルムの熱圧着性及び金属板との密着性が
低下し、このフィルムをラミネートした金属板を缶体に
成形、加工する際に、フィルムにミクロクラックが発生
したり、フィルムと金属が剥離してしまうことがある。
ムの熱特性について、下式を満足することが好ましい態
様である。 T80−T20≧30℃ ここで、 T80:融解熱を積算していった際の〔ΔHm〕の80%
に相当する温度 T20:融解熱を積算していった際の〔ΔHm〕の20%
に相当する温度 である。
相溶化の程度などによって主に制御することができる
が、上式を満足しない場合は、フィルムの耐熱性が十分
ではなく、製缶後に施される印刷やトップコート剤塗布
後の乾燥・焼き付けといった熱処理によって、フィルム
が収縮したり剥離したりする場合がある。したがって、
上式左辺で示される温度差は、33℃以上であるのがよ
り好ましく、35℃以上であるのが特に好ましい。
ナ、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バ
リウム等の無機滑剤、もしくはシリコーン粒子、フッ素
化ポリエチレン(テフロン(登録商標))粒子やビニル
系モノマーから成る3次元架橋粒子等の有機滑剤から選
ばれた、1種もしくは2種以上の平均粒径2.5μm以
下の滑剤を必要量添加することができる。これにより、
フィルム表面にスリップ性を付与させて、フィルム製造
時や金属板との熱圧着時の工程通過性を改善させること
ができる。
フィルム自体が柔らかいために、製缶時等にかえって該
滑剤が起点となってフィルムに傷を発生させてしまい好
ましくない。一方、上記有機滑剤を配合すると、金属と
の接着性には負の効果を発現するため、特に低温での熱
接着性を悪化させてしまう。従って、これらの滑剤は必
要最低限使用することが好ましく、成分(C)と併用す
べきである。
二酸化チタン、硫酸バリウム、シリコーン等を添加して
隠ぺい性を付与し、金属缶体の外観或いは金属缶体に対
する印刷性を向上することができる。また、必要に応じ
て着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等を含有さ
せることもできる。
mが好ましく、10〜50μmがさらに好ましく、10
〜25μmがいっそう好ましい。厚みが5μm未満で
は、加工時に破れ等が生じ易くなる。反対に100μm
を超えると過剰品質となり不経済である。
熱圧着性及びその後の密着性を更に向上させる目的で、
共押出法やラミネート加工、あるいはコーティング加工
により、接着層を設けることができる。この接着層は、
乾燥膜厚が0.5μm以下であることが好ましい。
る面とは反対の面には、金属缶体の外観や印刷性を向上
させたり、フィルムの耐熱性や耐レトルト性等を向上さ
せるために、1種もしくは2種以上の樹脂層を設けるこ
とができる。これらの樹脂層は、共押出法やラミネート
あるいはコーティング加工により設けることができる。
ステルフィルムの製造方法について説明する。このポリ
エステルフィルムは、フラット式もしくはチューブラー
式製膜法等の公知の方法により製造することができる
が、本発明にもとづき所要の熱特性を有し、しかも厚み
ムラの少ないフィルムを製造するためには、フラット式
が好ましい。また延伸方法としては、逐次多段延伸法或
いは同時二軸延伸法が好ましい。
分(A)〜(C)を適度に相溶化する必要がある。ま
た、ポリアリレートを含有させる場合は、他の成分との
成形温度を合わせるために、まず、ポリアリレートの全
部と、成形温度が高く熱安定性に優れたPETまたはこ
れを主体とするポリエステル(A)の少なくとも一部と
を溶融混合しておくことが好ましい。このための操作は
特に限定されるものではないが、通常の単軸或いは2軸
押出し機を用いて、280〜350℃で溶融混合して両
者の相溶化を進め、得られる樹脂組成物が230〜28
0℃で成形可能となるものであればよい。
のポリエステル(A)、(B)及び樹脂(C)を加えた
樹脂組成物を、Tダイを備えた押出し機を用いて、温度
230〜280℃で溶融混合し、Tダイよりシート状に
押出し、これを40℃以下に温度調節されたキャスティ
ングロール上に密着させて急冷し、所望の厚みの未延伸
シートを得る。なお、原料の樹脂組成物の相溶化を更に
進めるために、ポリアリレートの全部とポリエステル
(A)の少なくとも一部とを溶融混合して得られた樹脂
組成物と、残りの成分とを予め溶融混合した原料を用い
てもよいし、溶融混合の際にエステル交換反応を促進す
る触媒等を添加してもよい。
られた未延伸フィルムでも良いが、次の様な操作を施し
て得た延伸フィルムであっても良い。すなわち、未延伸
シートの両端をクリップで把持してシート上下面より8
0〜120℃の熱風を吹付けて予熱し、90〜130℃
の雰囲気下で縦及び横方向にそれぞれ1.5〜5倍程度
に二軸延伸してもよい。その後、機械方向(MD)及び
/又はその直角方向(TD)の弛緩率を数%として、8
0〜220℃で数秒間〜十数秒間熱処理してフィルムを
熱固定した後、室温まで冷却し、20〜300m/mi
nの速度で巻き取って、所望の厚みのフィルムとするこ
とができる。
ヘイズが変化するため、〔ΔHz〕に関する前記条件を
十分に考慮しながら製造条件を適宜選択すべきである。
一般的には、予熱、延伸温度が低すぎると、延伸応力が
高くなり、ネッキングが発生して安定してフィルムを製
造できないか、均一なフィルムを得ることができない。
一方、予熱、延伸温度が高すぎると、溶断したり、フィ
ルムの結晶化が進んで均一な延伸が出来ない。また、熱
固定温度が80℃未満の場合はその目的を達成すること
ができず、220℃を超えると、得られるフィルムの
〔ΔHm〕が45J/gを超えたり、金属板との熱圧着
性が劣ることがある。
知の方法を採用することができる。例えば、延伸フィル
ムに熱風を吹き付ける方法、延伸フィルムに赤外線を照
射する方法、延伸フィルムにマイクロ波を照射する方法
等が挙げられるが、均一に精度良く加熱できる点で、延
伸フィルムに熱風を吹き付ける方法が好適である。
公昭43−5557号公報等に開示されているように、
延伸工程と熱固定工程の中間に熱緩衝帯を設けてもよ
い。次に、本発明のフィルムと金属板とをラミネートす
る方法について説明する。すなわち、このラミネート金
属板は、金属板を予め所定温度まで予熱しておき、これ
とフィルムとを温度制御可能なロールによって圧接して
熱圧着させ、その後に室温まで冷却することにより連続
的に製造される。
ル伝熱方式、誘導加熱方式、抵抗加熱方式、熱風伝達方
式等があげられ、特に、設備費及び設備の簡素化を考慮
した場合、ヒーターロール伝熱方式が好ましい。
は、水等の冷媒中に浸漬する方法や冷却ロールと接触さ
せる方法を用いることができる。本発明のフィルムの特
長を十分に発揮させるためには、金属板温度は160〜
270℃が好ましく、ロール温度は、金属板温度より3
0℃以上低いことが好ましい。ロール温度は、金属板温
度より50℃以上低いことが更に好ましい。
ート金属板を製造するに好適な金属板としては、シート
状又は帯状の鋼板及びアルミニウム板、あるいはそれら
の表面に種々のメッキ処理や化成処理を施したものを例
示することができる。特に表層にクロム水和酸化物皮膜
を有したものは、フィルムとの接着性に優れる。
酸化物の二層構造をもつティンフリースチール(TF
S)が好ましい。また、鋼板表面に錫、ニッケル、亜
鉛、アルミニウム等の一種又は二種以上の複層メッキ、
合金メッキを施し、その上層に上記の二層構造をもつ皮
膜、或いはクロム水和酸化物皮膜を形成させたものを用
いることもできる。さらに、アルミニウムに電解クロム
酸処理、浸漬クロム酸処理等を施し、表層にクロム水和
酸化物皮膜を形成させたものや、その他のもの等を用い
ることもできる。
板を用いることにより、耐熱性に優れ、レトルト処理の
ような高温処理が可能で、過酷な加工処理を施してもピ
ンホールやミクロクラック、フィルムの剥離等の欠陥が
発生し難く、しかもフレーバー性や耐食性、耐衝撃性に
優れた金属缶体を製造することができる。
に供することができ得る形態にまで加工処理が施された
金属容器及びその一部分、例えば巻き締め加工が可能な
形状に成形された缶蓋も含まれる。
ピース缶(3P缶)の缶胴部材や、絞りしごき加工によ
って製造される2ピース缶(2P缶)の缶胴部材として
用いる場合に、本発明のフィルムの優れた加工性が発揮
される。
平3−101930号公報に示された、実質的にしごき
加工を施さずに絞り加工のみで胴高が10cm以上の缶
体を製造する場合にも、特に好適である。
の優れた耐レトルト性、フレーバー性、耐食性から、コ
ーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶、各種加工食品等の内
容物を充填する場合に適している。
明する。なお、以下に説明する実施例及び比較例に用い
た各特性値の分析方法、測定方法は、下記の通りであ
る。
〔η〕:フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエ
タンの等重量混合溶媒を用い、20℃で測定した。単位
はdl/gである。
PC(島津製作所製、送液ポンプ:LC−9A、UV検
出器:SPD−6AV、検出波長:254nm)を用
い、流出液としてテトラヒドロフランを用いて分析を行
い、ポリスチレン換算で算出した。
0〜12mgの試料を採取し、パーキンエルマー社製D
SC−7を用いて、昇温速度20℃/minの条件で、
25℃から300℃まで昇温して測定した。
それぞれの融解ピークのピークトップの温度とした。ま
た、樹脂組成物の結晶部分に由来する融解熱〔ΔHm〕
は、フィルムの熱固定処理に由来する吸熱、或いは発熱
ピークを勘案し、測定中に結晶化したことに依る融解熱
は除去して算出した。一方、T80及びT20については、
得られたDSCチャートをそのまま利用した。
714に従って各フィルムのヘイズを測定した。
882に準じ、幅10mm、長さ10cmの試験片を用
いて測定を行った。なお、フィルムのMD及びTDにそ
れぞれ各10枚の試験片を採取して測定し、その平均値
で表した。
19mm、板幅22cmの鋼板であって、ロールから引
き出したものを、ヒートロールにより所定温度に加熱
し、その両面に、ロールから引き出した幅20cmのフ
ィルムを、表面温度が50℃に調整された1対のシリコ
ーンロールを用いて、ライン速度20m/minの条件
で連続的にラミネートした。そして、その2sec後に
氷水中に浸漬し、冷却して、ラミネート金属板を得た。
なお、各フィルムについて、金属板の予備加熱温度を2
00℃、180℃、160℃とした3水準でそれぞれラ
ミネート処理を実施した。また、いずれの場合も、氷水
中に浸漬した2sec後にラミネート金属板が20℃以
下に冷却されていることを確認した。 (ラミネート性)各条件で得られたラミネート金属板か
ら幅18mmの短冊状の試験片(ラミネート金属板の端
部はラミネートせず、ラミネートされた部分がMDに8
cm以上確保されるようにする)をTDに11枚切り出
した。
Z−1522に規定された粘着テープを貼りつけ、島
津製作所社製オートグラフで、10mm/ninの速度
で180゜剥離試験を行い、その剥離強力を測定するこ
とにより、以下の基準に従って接着性を評価した。
0gf以上であるか、又は300gf以上でフィルムが
破断。 ○:11枚のうち5枚〜9枚の試験片の剥離強力が30
0gf以上であるか、又は300gf以上でフィルムが
破断。
ルムが剥がれる。
△と評価されたラミネート金属板について、印刷、トッ
プコート剤の焼き付けを想定して、230℃のオーブン
中で5min間水平に保った。次いで室温まで放冷し、
その後に以下の基準に従ってフィルムの外観を観察し
て、耐熱性を評価した。
2mm以下。 △:外観変化は無いが、端部のフィルムの後退幅が平均
して2mmを越える。 ×:フィルムに白化や発泡等の外観変化が認められる。
金属缶体を成形した後のフィルムの剥離、切れ、クラッ
ク等の損傷の有無を目視及び蛍光顕微鏡(倍率80倍)
で観察し、以下の基準に従って評価した。
認められる。
レーブ(トミー精工社製、BS−325)に入れ、12
5℃のスチーム中で30min間レトルト処理を施し
た。そして、フィルムの外観について、白化、ウォータ
ースポット(白い斑点)及び白粉(フィルム中のオリゴ
マーに由来)の発生状況を目視観察し、以下の基準を耐
レトルト性の指標とした。
れた。 ×:フィルム表面積の5%以上に、何らかの変化がみら
れた。
缶体について、それぞれ缶体10個ずつに、食塩、リン
ゴ酸、クエン酸をそれぞれ3重量%混合、溶解させた水
溶液を充填し、密封後、60℃で2週間保存し、これを
開缶して缶体内の錆の発生状況を観察した。そして、以
下の基準に従って評価した。
5%未満。 ×:ほぼ全面に錆が発生しており、その総面積がフィル
ム表面積の5%以上。
填し、市販の206径或いは202径のアルミEO蓋を
巻き締めてこれを密封し、上記(9)の場合と同様にし
てレトルト処理を行った。
をパネラー100人に試飲してもらい、におい、味覚等
が蒸留水と違いがないかを判断してもらい、以下の基準
に従ってフレーバー性を評価した。なお、アルミEO蓋
は味覚試験に対して何ら悪影響を及ぼさないことが予め
確認された。
水を充填し、市販の206径或いは202径のアルミE
O蓋を巻き締めてこれを密封した。そして、この缶50
個を寝かせて水平に固定して、これに30cmの高さか
ら500gの剛球を位置を変えて5箇所に落下させた。
後に開缶して缶体内に生じた凸部の錆の発生状況を前記
耐食性と同様に評価した。
P缶として成形された缶胴部内外面のフィルムについ
て、胴高方向に伸びる線状の溝の発生の有無を観察し、
以下の基準に従って、フィルムの耐傷性として評価し
た。
生なし。 △:缶体200個のうち、180〜194個に線状の溝
の発生なし。 ×:缶体200個のうち、21個以上に線状の溝の発生
が認められる。
使用した樹脂原料の明細を下記に示す。
ル成分(A) A−1:固相重合を施したPET、〔η〕0.75dl
/g、(Tm)256℃。
0.67dl/g、(Tm)256℃。 A−3:イソフタル酸(IPA)8mol%共重合PE
T、〔η〕0.76dl/g、(Tm)236℃、固相
重合は施していない。
T、〔η〕0.76dl/g、Tmは認められない。固
相重合は施していない。但し、A−2以外の樹脂には平
均粒径1.1μmのシリカが0.1重量%充填されてい
る。
ル成分(B) B−1:固相重合を施したPBT、〔η〕1.12dl
/g、(Tm)223℃。
〔η〕0.98dl/g、(Tm)218℃。固相重合
したもの。
イアミド」L1801)、(Tm)178℃。
「グリロン」ELY2702)、(Tm)171℃。 C−3:非晶性ポリアミド(エムス社製、「グリルアミ
ド」TR55)、(ガラス転移温度;Tg)155℃。
カル社製「カリバー」200−13)、(Tg)143
℃。 C−5:非晶性ポリエステル(イーストマン・ケミカル
社製、「EASTAR」GN071)、(Tg)82
℃。
ニチカナイロン」A1030BRL)、(Tm)220
℃。 C−7:結晶性ポリアミド(ダイセル・ヒュルス社製、
「ベスタメルト」X7079)、(Tm)132℃。
「グリルアミド」TR55LX)、(Tg)100℃。
ル酸(TPA)とIPAとから成り、2価のフェノール
成分が2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ンから成る無色透明の樹脂を、界面重合法により得た。
この樹脂を分析した結果、数平均分子量は15,000
で、Tgは189℃であった。次にポリエステルA−1
を40重量部と、このポリアリレートを60重量部とを
ドライブレンドし、ベント付二軸押出機(池貝鉄工所社
製、PCM−45)を用いて、290℃、1hPaの減
圧状態で溶融、混練し、ストランド状に押し出し(吐出
量500g/min)、水冷後、ペレット化した。得ら
れたペレットを十分に乾燥した後、分析を行った結果、
Tmは認められず、Tgは124℃であった。
と、上記ポリアリレートを40重量部とをドライブレン
ドした。そして、それ以外はP−1と同様にして乾燥ペ
レットを得た。分析の結果、Tmは認められず、Tgは
99℃であった。
エステルB−1を57重量部と、C−1を5重量部とを
ドライブレンドし、これをTダイを備えた押出し機(7
5mm径、L/D=45の緩圧縮タイプ単軸スクリュ
ー)を用いて、268℃、吐出量500g/minでシ
ート状に押し出した。続いて、これを表面温度18℃に
調節されたキャスティングロール上に密着させて急冷
し、厚み160μmの未延伸シートを得た。
時二軸延伸機のクリップで把持し、85℃の予熱ゾーン
を走行させた後、温度100℃でMDに3.0倍及びT
Dに3.5倍の倍率で同時二軸延伸した。次に、TDの
弛緩率を5%として140℃で熱固定処理した後、室温
まで冷却し、50m/minの速度で巻き取って厚み1
6μmのフィルムを得た。
mのロール状のフィルムaを得た。次に、このフィルム
aを用いて各種の特性評価を行った。得られた結果を表
1に示す。
料樹脂、配合比及びフィルムの製造条件を、表1〜表4
に示したように変更し、実施例1と同様にして各種フィ
ルムを得た。
す。
ト用ポリエステルフィルムa〜nは、いずれも、樹脂成
分(A)(B)(C)を含み、含有率も本発明の範囲で
あったため、引張強度にすぐれるとともに、ラミネート
性にすぐれたものであった。また、いずれの実施例も上
述のΔHzが10〜50の範囲にあったため、後述のよ
うにラミネート加工時や成形加工時における傷の発生が
なく、しかも、これらのフィルムを用いて成形した金属
缶体は、後述のようにいずれもフレーバー性や耐食性に
優れたものであった。
ETに対して共重合量が多いために結晶性を有しない樹
脂A−4を含有していたため、後述のようにこれより得
られた金属缶は耐レトルト性、耐食性、フレーバー性に
劣るものであった。
の含有率が本発明における好適な範囲を上回ったため、
フィルムの結晶化度が低く、後述のようにこれより得ら
れた金属缶は耐レトルト性、耐食性、フレーバー性に劣
るものであった。
を含有しなかったため、160℃でのラミネート性に劣
り、後述のようにこれより得られた金属缶は特に耐傷性
に劣るものであった。
の含有率が本発明の範囲を下回ったため、後述のように
これより得られた金属缶は耐傷性に劣るものであった。
比較例5のフィルムsは、樹脂成分(C)の含有率が本
発明の範囲を上回ったため、フィルムの引張強度に劣
り、後述のようにこれより得られた金属缶は耐熱性、耐
食性、耐フレーバー性に劣るものであった。
に相当するものとしてポリエステルC−5を用いたとこ
ろ、他成分との相溶性が良好になってしまって〔ΔH
z〕が低く、そのため、後述のようにこれより得られた
金属缶は特に耐傷性に劣るものであった。
常に大きくなったため、引張強度に劣り、後述のように
これより得られた金属缶は耐熱性、耐食性、耐フレーバ
ー性に劣るものであった。
に相当するものとして、Tmが本発明の範囲を下回る結
晶性ポリアミドC−7を用いたため、フィルムのラミネ
ート性は優れていたものの、後述のようにこれより得ら
れた金属缶は耐傷性、耐レトルト性、耐フレーバー性に
劣るものであった。
に相当するものとして、Tgが本発明の範囲を下回る非
晶性ポリアミドC−8を用いたため、フィルムのラミネ
ート性は優れていたものの、後述のようにこれより得ら
れた金属缶は耐傷性、耐食性、耐フレーバー性に劣るも
のであった。
本発明における好適な範囲を上回ったため、特に低温で
のラミネート性に劣るものであった。
チレン樹脂粒子(ダイキン工業社製、「ルブロン」L−
5)を用いた。すると、未延伸シートにフローマーク
(不規則な流れ模様)が発生した。そこで押出し温度を
290℃に上げたが、この現象は解消されなかった。更
に押出し温度を300℃に上げたところ、ポリエステル
B−1の熱分解によると思われるガスが発生し、シート
にピンホールが発生して、均一で欠陥のない未延伸シー
トを得ることができなかった。
脂(出光石油化学工業社製、高密度ポリエチレン樹脂5
20MB)を用いたところ、押出し時にバラス現象がみ
られ、安定した吐出を確保することが出来なかった。そ
こで押出し温度を種々変更してみたが、この現象は解消
されなかった。
ト性評価の際に製造したラミネート金属板のうち、16
0℃でラミネートしたものを用いた。そして、これをボ
ディブランクに切断後、ロールフォーマーにより円筒状
に成形し、溶接、ネックイン加工、トリミングを施し、
市販のスチール製206径蓋を用いて巻き締めを行い、
211径溶接缶(外径67mm、胴高さ100mm)を
得た。
体との性能の評価結果を表5に示す。
施例のポリエステルフィルムを用いて金属板と金属缶体
とを得たため、耐熱性、成形性、耐レトルト性、耐食
性、フレーバー性、耐衝撃性のいずれも劣るものではな
かった。
れ上述の理由により本発明の目的を満足するものではな
かった。
のティンフリースチール(TFS、テンパー度T−4)
を、ヒーター加熱ロールにより200℃に加熱した。そ
して、その両面に、実施例2で得た幅20cmのフィル
ムbを、表面温度50℃に調整された1対のシリコーン
ロールを用いて、ライン速度20m/minの条件でラ
ミネートした。かつ、その2.5sec後に氷水中に浸
漬冷却して、ラミネート金属板を得た。なお、氷水中に
浸漬して2sec後には、ラミネート金属板が20℃以
下に冷却されていることを確認した。
の成形条件で絞りしごき成形を行った後、ネックイン加
工、トリミングを施して202径2P缶(外径53m
m、胴高さ100mm)を得た。
果を表6に示す。
実施例23と同様にしてラミネート金属板及び金属缶体
を製造した。
及び表7に示す。尚、表中の「アルミ」とは、3004
H19材(板厚0.24mm、板幅22cm、リン酸−
クロム酸塩系化成処理品)であった。
施例のポリエステルフィルムを用いて金属板と金属缶体
とを得たため、成形性、耐傷性、耐レトルト性、耐食
性、フレーバー性、耐衝撃性のいずれも劣るものではな
かった。
れ上述の理由により本発明の目的を満足するものではな
かった。
(ア)機械的特性や耐熱性に優れ、(イ)高結晶化度で
あっても金属板と熱圧着可能であり、しかも、金属板に
熱圧着する際の条件変動に対してもラミネート金属板の
品質が変化し難く、更に、160℃程度の低温でも熱圧
着可能であり、(ウ)これをラミネートして得られるラ
ミネート金属板は、フィルムが高結晶化度であっても加
工性や成形性に優れ、高絞り比缶の製造も可能であり、
しかも、(エ)ラミネート缶にした場合に、フレーバー
性や耐レトルト性、耐食性、耐衝撃性、印刷性等に優れ
たフィルムを提供することができる。
時、或いは、成形、加工時の金属ロールや金型等との接
触によっても傷が発生し難く、すなわち、耐傷性に優れ
ることから、各工程のライン速度を上げることが出来る
という効果をももたらす。
いては、どのような加熱方式を採用しても、金属板の予
熱温度とライン速度との間にはほぼ反比例の関係があ
り、従来より経済性の面で金属板の予熱温度の低減が求
められていた。この点に関し、本発明のフィルムは、金
属板の予熱温度が160℃という、熱圧着可能なフィル
ムとしては従来にない低温でラミネートでき、しかも、
これより得られるラミネート金属板及び金属缶は上述の
ように優れた性能を有しており、経済性の面からも画期
的なものということができる。
1)
る。 (1) 以下の樹脂成分(A)〜(C)を含有したフィ
ルムであって、各樹脂の含有率が下記の条件を満足する
とともに、フィルム中の樹脂組成物の結晶部分に由来す
る融解熱の和[ΔHm]が25〜45J/gであること
を特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィル
ム。 (A)ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とし
て融点が235〜256℃であるポリエステル WA
(重量部) (B)ポリブチレンテレフタレート又はこれを主体とし
て融点が210〜233℃であるポリエステル WB
(重量部) (C)上記樹脂(A)(B)とは実質的に非相溶であ
り、融点が140〜230℃の結晶性樹脂、或いは、ガ
ラス転移温度が120〜180℃の非晶性樹脂、の少な
くとも一種類以上よりなる樹脂 WC (重量部) WA +WB +WC =100WA /WB =70/30〜10/90 1≦WC ≦15
含有したフィルムであって、各樹脂の含有率が下記の条
件を満足するとともに、フィルム中の樹脂組成物の結晶
部分に由来する融解熱の和[ΔHm]が25〜45J/
gであることを特徴とする金属板ラミネート用ポリエス
テルフィルム。 (A)ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とし
て融点が235〜256℃であるポリエステル WA
(重量部) (B)ポリブチレンテレフタレート又はこれを主体とし
て融点が210〜233℃であるポリエステル WB
(重量部) (C)上記樹脂(A)(B)とは実質的に非相溶であ
り、融点が140〜230℃の結晶性樹脂、或いは、ガ
ラス転移温度が120〜180℃の非晶性樹脂、の少な
くとも一種類以上よりなる樹脂 WC (重量部) (D)ポリアリレート WD (重量部) WA +WB +WC +WD =100WA /WB =70/30〜10/90 1≦WC ≦15 0<WD ≦40
れた特性を損なわない範囲、具体的には、このポリエス
テルの融点が235〜256℃の範囲となるように選択
される。
ステルとしては、本発明の効果が損なわれない範囲で、
適宜、上述のPET又はこれを主体とするポリエステル
の場合と同様の他の成分を共重合したものでよい。これ
らの共重合成分は、PBTの有する優れた特性を損なわ
ない範囲となるように、具体的にはこのポリエステルの
融点が210〜223℃の範囲となるように選択され
る。
との配合割合は、重量比でWA /WB =70/30〜1
0/90であることが必要で、60/40〜10/90
であることが好ましい。ポリエステル(A)の配合割合
が重量比で70を超えると、得られるフィルムの耐レト
ルト性が劣り、白化する場合がある。一方、重量比で1
0未満の場合は、フィルムの熱圧着性が劣ることがあ
る。
C)分析で得られるフィルムの熱特性のうち、フィルム
中の樹脂組成物の結晶部分に由来する融解熱の和〔ΔH
m〕が25〜45J/gであることが必要で、28〜4
0J/gであることが好ましい。
レーバー性が損なわれ、レトルト処理時にフィルムが白
化する場合がある。一方、45J/gを超えると、フィ
ルムの熱圧着性及び金属板との密着性が低下し、このフ
ィルムをラミネートした金属板を缶体に成形、加工する
際に、フィルムにミクロクラックが発生したり、フィル
ムと金属が剥離してしまうことがある。
樹脂、配合比及びフィルムの製造条件を、表1〜表4に
示したように変更し、実施例1と同様にして各種フィル
ムを得た。得られたフィルムの性能を表1〜表4に示
す。
ト用ポリエステルフィルムa〜nは、いずれも、樹脂成
分(A)(B)(C)を含み、含有率も本発明の範囲で
あったため、引張強度にすぐれるとともに、ラミネート
性にすぐれたものであった。また、いずれの実施例も上
述のΔHzが10〜50の範囲にあったため、後述のよ
うにラミネート加工時や成形加工時における傷の発生が
なく、しかも、これらのフィルムを用いて成形した金属
缶体は、後述のようにいずれもフレーバー性や耐食性に
優れたものであった。
に相当するものとして、Tmが本発明の範囲を下回る結
晶性ポリアミドC−7を用いたため、フィルムのラミネ
ート性は優れていたものの、後述のようにこれより得ら
れた金属缶は耐傷性、耐レトルト性、耐フレーバー性に
劣るものであった。
に相当するものとして、Tgが本発明の範囲を下回る非
晶性ポリアミドC−8を用いたため、フィルムのラミネ
ート性は優れていたものの、後述のようにこれより得ら
れた金属缶は耐傷性、耐食性、耐フレーバー性に劣るも
のであった。
発明における好適な範囲を上回ったため、特に低温での
ラミネート性に劣るものであった。
チレン樹脂粒子(ダイキン工業社製、「ルブロン」L−
5)を用いた。すると、未延伸シートにフローマーク
(不規則な流れ模様)が発生した。そこで押出し温度を
290℃に上げたが、この現象は解消されなかった。更
に押出し温度を300℃に上げたところ、ポリエステル
B−1の熱分解によると思われるガスが発生し、シート
にピンホールが発生して、均一で欠陥のない未延伸シー
トを得ることができなかった。
脂(出光石油化学工業社製、高密度ポリエチレン樹脂5
20MB)を用いたところ、押出し時にバラス現象がみ
られ、安定した吐出を確保することが出来なかった。そ
こで押出し温度を種々変更してみたが、この現象は解消
されなかった。
性評価の際に製造したラミネート金属板のうち、160
℃でラミネートしたものを用いた。そして、これをボデ
ィブランクに切断後、ロールフォーマーにより円筒状に
成形し、溶接、ネックイン加工、トリミングを施し、市
販のスチール製206径蓋を用いて巻き締めを行い、2
11径溶接缶(外径67mm、胴高さ100mm)を得
た。用いたラミネート金属板と得られた金属缶体との性
能の評価結果を表5に示す。
施例のポリエステルフィルムを用いて金属板と金属缶体
とを得たため、耐熱性、成形性、耐レトルト性、耐食
性、フレーバー性、耐衝撃性のいずれも劣るものではな
かった。
れ上述の理由により本発明の目的を満足するものではな
かった。
のティンフリースチール(TFS、テンパー度T−4)
を、ヒーター加熱ロールにより200℃に加熱した。そ
して、その両面に、実施例2で得た幅20cmのフィル
ムbを、表面温度50℃に調整された1対のシリコーン
ロールを用いて、ライン速度20m/minの条件でラ
ミネートした。かつ、その2.5sec後に氷水中に浸
漬冷却して、ラミネート金属板を得た。なお、氷水中に
浸漬して2sec後には、ラミネート金属板が20℃以
下に冷却されていることを確認した。
実施例20と同様にしてラミネート金属板及び金属缶体
を製造した。
施例のポリエステルフィルムを用いて金属板と金属缶体
とを得たため、成形性、耐傷性、耐レトルト性、耐食
性、フレーバー性、耐衝撃性のいずれも劣るものではな
かった。
れ上述の理由により本発明の目的を満足するものではな
かった。
Claims (8)
- 【請求項1】 以下の樹脂成分(A)〜(C)を含有し
たフィルムであって、各樹脂の含有率が下記の条件を満
足することを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステ
ルフィルム。 (A)ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とす
るポリエステル WA (重量部) (B)ポリブチレンテレフタレート又はこれを主体とす
るポリエステル WB (重量部) (C)上記樹脂(A)(B)とは実質的に非相溶であ
り、融点が140〜230℃の結晶性樹脂、或いは、ガ
ラス転移温度が120〜180℃の非晶性樹脂、の少な
くとも一種類以上よりなる樹脂 WC (重量部) WA +WB +WC =100 1≦WC ≦15 - 【請求項2】 以下の樹脂成分(A)〜(D)を含有し
たフィルムであって、各樹脂の含有率が下記の条件を満
足することを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステ
ルフィルム。 (A)ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とす
るポリエステル WA (重量部) (B)ポリブチレンテレフタレート又はこれを主体とす
るポリエステル WB (重量部) (C)上記樹脂(A)(B)とは実質的に非相溶であ
り、融点が140〜230℃の結晶性樹脂、或いは、ガ
ラス転移温度が120〜180℃の非晶性樹脂、の少な
くとも一種類以上よりなる樹脂 WC (重量部) (D)ポリアリレート WD (重量部) WA +WB +WC +WD =100 1≦WC ≦15 0<WD ≦40 - 【請求項3】 成分(C)の樹脂が、ナイロン6と、ナ
イロン12と、ナイロン610と、ナイロン612と、
ナイロン6/66と、ナイロン6/610と、ナイロン
11との少なくとも一種以上よりなることを特徴とする
請求項1または2記載の金属板ラミネート用ポリエステ
ルフィルム。 - 【請求項4】 成分(C)の樹脂が非晶性ポリアミドで
あることを特徴とする請求項1または2記載の金属板ラ
ミネート用ポリエステルフィルム。 - 【請求項5】 成分(C)の樹脂がポリカーボネートで
あることを特徴とする請求項1または2記載の金属板ラ
ミネート用ポリエステルフィルム。 - 【請求項6】 WA /WB =70/30〜10/90で
あることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1
項記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。 - 【請求項7】 フィルム中の樹脂組成物の結晶部分に由
来する融解熱の和[ΔHm]が25〜45J/gである
ことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項記
載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。 - 【請求項8】 下式を満足することを特徴とする請求項
7記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。 T80−T20≧30℃ ここで、 T80:融解熱を積算していった際の〔ΔHm〕の80%
に相当する温度 T20:融解熱を積算していった際の〔ΔHm〕の20%
に相当する温度
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---|---|---|---|
JP32429598A JP3083508B2 (ja) | 1998-11-16 | 1998-11-16 | 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2000143840A true JP2000143840A (ja) | 2000-05-26 |
JP3083508B2 JP3083508B2 (ja) | 2000-09-04 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004032026A (ja) * | 2002-06-21 | 2004-01-29 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | スピーカ振動板用フィルム、スピーカ用振動板およびこれを用いたスピーカ |
JP2005298540A (ja) * | 2004-04-06 | 2005-10-27 | Toray Ind Inc | ポリエステルフィルムおよびそれを用いたガスバリア性ポリエステルフィルム |
JP2010162758A (ja) * | 2009-01-15 | 2010-07-29 | Mitsubishi Plastics Inc | 樹脂・金属複合積層材 |
WO2014171181A1 (ja) * | 2013-04-18 | 2014-10-23 | 住友ベークライト株式会社 | 鋼板被覆用フィルム |
JPWO2014163067A1 (ja) * | 2013-04-02 | 2017-02-16 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 光学シートおよびその製造方法 |
-
1998
- 1998-11-16 JP JP32429598A patent/JP3083508B2/ja not_active Expired - Fee Related
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