JP4806933B2 - ポリエステル樹脂ラミネート金属容器 - Google Patents

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Description

本発明は、容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板に関するものである。更に詳しくは製缶工程での成形性及び密着性が良好であり、内容物充填後の耐衝撃性及びレトルト処理後の内容物取り出し性に優れ、絞り成形やしごき成形等の成形加工によって製造される金属缶の蓋や胴の素材に好適なポリエステル樹脂ラミネート金属板に関するものである。
従来、ティンフリースチール(TFS)およびアルミニウム等を用いた金属缶の缶内面及び外面には金属板の防食を目的として、熱可塑性樹脂フィルムを加熱した金属板あるいはめっき等各種の表面処理を施した金属板に積層する方法が数多く提案されている。
例えば、特許文献1には特定の密度及び面配向係数を有する二軸配向ポリエステルフィルムからなる金属板ラミネート用ポリエステルフィルムが開示されている。また、特許文献2には所定の酸成分とグリコール成分からなり、特定の結晶化度を有する金属板ラミネート用共重合ポリエステルフィルムが、それぞれ開示されている。
しかしながら、これらで提案されているラミネート金属板を食品缶詰用途に使用すると、容器から内容物を取り出す際に、内容物が容器内面に強固に付着してしまい、内容物を取り出しにくいという問題がある。
また、特許文献3は内容物取り出し性の点からラミネート後のフィルム表面を水との接触角で規定しているが、食品缶詰用途では、殺菌工程として120℃前後でのレトルト処理が行われるため、この処理によりポリエステルフィルムの結晶構造が変化し、内容物の取り出し性に影響を与えるため必ずしも十分な効果が得られていない。また、食品缶詰用途では内容物が多岐にわたるため、親水性から親油性の内容物まで幅広く取り扱っており、様々な内容物に対して取り出し性を確保する必要があるが、水とフィルム表面の接触角を規定するだけでは必ずしも満足な性能が得られていない。
特開昭64−22530号公報 特開平2−57339号公報 特開2004−168365公報
よって本発明は、上記の従来技術の問題点を解決することにあり、食品缶詰用途で用いられ、レトルト処理後も内容物の取り出し性に優れ、さらに金属板との密着性、耐熱性、成形加工性に優れる、絞り成形やしごき成形等の成形加工によって製造される金属缶の蓋や胴の素材に好適なポリエステル樹脂ラミネート金属板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ラミネート金属板において、容器成形−レトルト処理後のフィルム表面のレーザーラマン法による3085cm-1付近のラマンバンド強度(I3085)と2968cm-1付近のラマンバンド強度(I2968)の強度比、I2968/I3085が、0.2〜1.0の範囲にあるようにフィルム結晶構造を高度に制御した二軸延伸ポリエステルフィルムが内容物取り出し性に優れることを見出した。上記課題を解決する本発明の要旨は下記のとおりである。
第1発明は、二軸延伸ポリエステル樹脂が金属板の両面に被覆された容器用樹脂ラミネート金属板であって、容器成形後に容器内面となる側の樹脂層は、ポリエステルを主成分とする、単層または複層の樹脂層からなり、質量比で樹脂層中に0.1〜2.0%のワックス成分を含有し(複層の場合、各層に質量比で0.1〜2.0%のワックス成分を含有)、容器に成形し、レトルト処理後の樹脂層表面のレーザーラマン法による3085cm-1付近のラマンバンド強度(I3085)と2968cm-1付近のラマンバンド強度(I2968)の強度比、I2968/I3085が式(1)の範囲にあることを特徴とする容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板である。
0.2≦I2968/I3085≦1.0 式(1)
第2発明は、第1発明において、容器に成形し、レトルト処理後の樹脂層表面のレーザーラマン法による3085cm-1付近のラマンバンド強度(I3085)と2968cm-1付近のラマンバンド強度(I2968)の強度比、I2968/I3085は、ラミネート金属板の長手方向(MD)の強度比、I2968/I3085が式(2)の範囲にあり、かつラミネート金属板の幅方向(TD)の強度比、I2968/I3085が式(3)の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板である。
0.4≦I2968/I3085≦0.6 式(2)
0.3≦I2968/I3085≦0.5 式(3)
第3発明は、第1発明または第2発明において、容器成形後に容器内面となる側の樹脂層のポリエステル樹脂は、ポリエステルの構成単位の80mol%以上がエチレンテレフタレート単位であることを特徴とする容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板である。
第4発明は、第1発明〜第3発明において、容器成形後に容器内面となる側のポリエステルを主成分とする樹脂層は、2層以上から構成され、ワックス成分は、内容物と接する最上層を構成する層のみに、質量比で0.1〜2.0%含有されていることを特徴とする容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板である。
第5発明は、第1発明〜第4発明において、容器成形後に容器外面となる側に形成された樹脂層はポリエステルを主成分とする樹脂層で、ポリエステル単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートおよび/またはブチレンテレフタレート単位であり、ポリエステル樹脂のガラス転移点が20〜73℃であることを特徴とする容器用ポリエステル樹脂ラミネート金属板である。
第6発明は、第1発明〜第5発明において、容器成形後に容器内面になる側の樹脂層の複屈折率が0.02以下である領域が、金属板との接触界面からフィルム厚み方向に5μm未満であることを特徴とする容器用フィルムラミネート金属板である。
本発明によるラミネート金属板は、レトルト処理後も内容物取り出し性に優れ、また密着性、耐衝撃性に優れ、絞り加工等を行う容器用素材、特に食缶容器用素材として好適である。
同じ組成のポリエステル樹脂であっても、ラミネート金属板の製造条件、レトルト処理の有無等で、内容物取り出し性が異なる場合がある。これは、樹脂層の表面状態が異なるためと考えられた。これまで、樹脂層の表面状態に着目した内容物取り出し性の検討はなされていない。そこで、容器内面側樹脂層の表面状態と内容物取り出し性の関係について調査検討した。
食品缶詰には内容物として脂肪類が含まれる。ポリエステル樹脂は、主としてテレフタル酸等のジカルボン酸成分とエチレングリコール等の2価のジオール成分の構造を有する。エチレングリコール等の脂肪族のグリコール成分は脂肪類中のパラフィン、オレフィン等の脂肪鎖と親和性があり、一方、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸成分は、脂肪類中のパラフィン、オレフィン等の脂肪鎖との親和性が劣ると考えられる。本発明者らは、ラミネート金属板の樹脂層表面ではグリコール成分および芳香族ジカルボン酸の並び方が異なり、そのために、内容物取り出し性が変化すると考えた。
樹脂層の表面状態を調査する手法としてレーザーラマン分光法がある。レーザーラマン分光による2986cm-1付近のラマンバンド強度(I2986)は樹脂層表面におけるジオール成分のC−H結合の並び方を反映し、この強度が相対的に大きいと、フィルム表面のポリエステル樹脂鎖の並び方は比較的無秩序に近い状態であり、二軸延伸フィルムの場合にはフィルム表面は非晶部分が多く存在する状態であると考えられる。レーザーラマン分光による3085cm-1付近のラマンバンド強度(I3085)は樹脂層表面のベンゼン環のC−H結合の並び方を反映し、この強度が相対的に大きいと、並び方はベンゼン環等の芳香族環面がフィルム表面方向と平行であり、二軸延伸フィルムの場合には、結晶部分が多く存在し結晶がフィルム表面と平行に配向していると考えられる。
以上から、両者の強度比(I2986/I3085)は樹脂層表面と脂肪類の親和性を示す指標となる可能性が考えられ、この点についてさらに検討した結果、両者の強度比(I2968/I3085)と内容物取り出し性に相関があることが明らかになり、さらに、レトルト処理後の両者の強度比を適切な範囲に規定すると、レトルト処理を行った食品缶詰においても、優れた内容物取り出し性が発現できることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明ではポリエステル樹脂を両面に被覆した金属板であり、特に容器成形後に容器内面となる側のフィルムは優れた内容物取り出し性を得るために、レーザーラマン分光による3085cm-1付近のラマンバンド強度と2968cm-1付近のラマンバンド強度の強度比がレトルト処理後の値が0.2〜1.0にあることを特徴とする。
ここで、3085cm-1付近のラマンバンド強度と2968cm-1付近のラマンバンド強度の強度比が0.2未満ではフィルム表面の結晶配向が高くなり、製缶時のフィルム破断やフィルム割れ等が起こるため加工性が低下し、またレトルト処理によるフィルム割れ等が発生し、一方、1.0を超えるとフィルム表面の結晶配向が小さくなり、非晶部分が増える。そのため、フィルム表面の表面粗さ等が大きくなり、また、耐水性、耐油性等が低下する結果、内容物との物理的・化学的な親和性が高くなり、内容物の取り出し性が悪化する。強度比を0.2〜1.0の範囲にすることで、加工性に優れ、内容物取り出し性にも優れる。
さらに、ラミネート金属板の長手方向(MD)の該ラマンバンド強度のラマンバンド強度比を0.4〜0.6の範囲とし、かつラミネート金属板の幅方向(TD)の該ラマンバンド強度の強度比を0.3〜0.5の範囲とすると、加工性に優れ、内容物との親和性が効果的に低下し、内容物取り出し性がより優れる。
レーザーラマン分光による3085cm-1付近のラマンバンド強度と2968cm-1付近のラマンバンド強度の強度比は、樹脂原料の触媒添加量、固有粘度、結晶化核剤の添加量、延伸条件等の制御により、また、ラミネート条件等により制御することができる。例えば樹脂原料の触媒量を増やす、固有粘度を下げる、結晶化核剤の添加量を増やす、また、延伸条件等(延伸倍率を上げる等)により強度比を低下させることができる。また、ラミネート条件(ラミネート開始時の金属板温度を下げる、ラミネートロール温度を下げる、ラミネートロールニップ圧力を下げる、ラミネートロールニップ時間を短くする、ラミネート後の冷却までの時間を短くする等)により該ラマンバンド強度比を低下させることができる。なお、レーザーラマン分光によるラマンバンド強度比は後述する実施例に記載の方法で求めることができる。
また缶内面側の二軸延伸ポリエステルフィルムは、内容物取り出し性、耐熱性及び味特性の要求性能の観点から、エチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とするものであることが好ましい。具体的には、フィルムを構成するポリエステル単位の80mol%以上がエチレンテレフタレート単位であることが好ましく、これにより特に高度な内容物取り出し性、耐熱性及び味特性を得ることができる。エチレンテレフタレート単位が80mol%未満になるとフィルムの結晶性が著しく低下し、前記該特性が悪化する。
一方、二軸延伸ポリエステルフィルムは、耐熱性、味特性を損ねない範囲で他のジカルボン酸成分、グリコール成分を共重合させたものであってもよく、ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族カルボン酸;p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、グリコール成分としては、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合させてもよい。
本発明では、上記ポリマーを2種以上ブレンドして使用することも可能である。なお、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、結晶核剤等を配合できる。
本発明で用いるフィルムは機械的特性、ラミネート性、味特性を向上させる点からポリエステルの固有粘度が0.50dl/g以上が好ましく、さらに好ましくは0.60dl/g以上、特に好ましくは0.63dl/g以上である。固有粘度が0.50dl/g未満ではオリゴマーの溶出などにより味特性が悪化するため好ましくない。
また、本発明では、容器成形後に容器内面側になる樹脂フィルムが、質量比で樹脂に対して0.1〜2.0%のワックス成分を含有するポリエステルフィルムであることを規定する。ワックス成分を添加することにより、(i)フィルムの表面自由エネルギーを低下させることと、(ii)フィルム表面への潤滑性付与である。(i)の効果によってフィルムに内容物が密着し難くなり、(ii)の効果によってフィルム表面の摩擦係数を低下させることにより内容物の取り出し性を飛躍的に向上させることが可能となる。
0.1%以上に限定した理由は、0.1%未満となると、上記の(i)、(ii)の効果が乏しくなり、内容物の取り出し性が劣るためである。また、2.0%以下に限定した理由は、2.0%を超えると内容物取り出し性がほぼ飽和してしまい、添加量増加による効果が見られないとともに、フィルム製膜において生産性が低下しコスト的に不利になるためである。
添加するワックス成分としては、有機・無機滑材が使用可能であるが、ポリオレフィン樹脂等の有機滑材が望ましく、なかでもα−オレフィンを1種または2種以上を重合して得られるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等を挙げることができる。また、これらオレフィン樹脂を単独あるいは2種類以上混合して使うことができる。また、ポリオレフィン樹脂は上記のオレフィン成分が主成分であれば問題なく、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸等を共重合してもよい。
なお、本発明で用いるオレフィン樹脂を添加したポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂に所定量のオレフィン樹脂を直接、あるいは予めブレンダー、ミキサー等で混合した後、通常の一軸、二軸押出機を用いて溶融混練し、通常の製膜方法で製造することができる。また、本発明で用いる二軸延伸ポリエステルフィルムの構成としては、単層、複層の如何を問わない。複層構造とした場合は、各々の層に0.1〜2.0%のワックス成分を添加してもよいが、内容物と接するフィルムの最上層にワックス成分が添加されていることが必要であり、経済性等の面よりフィルムの最上層にのみ、最上層を構成するフィルムに対して、0.1〜2.0%のワックス成分が添加されていることが望ましい。
また、容器成形後に容器内面側になる樹脂フィルムは、複屈折率が0.02以下である領域を、金属板との接触界面からフィルム厚み方向に5μm未満とすることが望ましい。ラミネート金属板の製造は、フィルムを加熱された金属板に接触させ圧着することで金属板界面のフィルム樹脂を溶融させ金属板に濡れさせることでフィルムとの接着を行うのが通常ある。従って、フィルムと金属板との密着性を確保するためにはフィルムが溶融していることが必要であり、必然的にラミネート後の金属板と接する部分のフィルム複屈折率は低下することとなる。本発明に規定するようにこの部分のフィルム複屈折率が0.02以下であれば、ラミネート時のフィルム溶融濡れが十分であることを示し、従って優れた密着性を確保することが可能となる。複屈折率は公知の方法にて測定することができる。
本発明で用いる容器成形後に容器外面側になる二軸延伸ポリエステルフィルムは、耐衝撃性の観点からポリエステル単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートおよび/またはブチレンテレフタレート単位である、ポリエステルを主成分とする樹脂フィルムであることが好ましい。
一方、容器外面側になる二軸延伸ポリエステルフィルムは、耐衝撃性を損ねない範囲で他のジカルボン酸成分、グリコール成分を共重合させたものであってもよく、ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族カルボン酸;p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、グリコール成分としては、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合させてもよい。
本発明では、上記ポリマーを2種以上ブレンドして使用することも可能である。なお、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、結晶核剤等を配合できる。
また、前記容器外面側になる樹脂フィルムのガラス転移点が20〜73℃であることが耐衝撃性を向上させる観点から必要である。ガラス転移点が20℃未満であると、耐衝撃性は良好であるがレトルト処理等の熱処理を受けた際の耐熱性が低下し好ましくない。またガラス転移点が73℃を超えると耐衝撃性が悪化する。
フィルムの厚さは、金属にラミネートした後の成形性、金属に対する被覆性、耐衝撃性、味特性の点で、内面側、外面側とも、3〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは8〜30μmである。
次に、これらのフィルムを金属板にラミネートするときの製造法について述べる。本発明では、金属板をフィルムの融点を超える温度で加熱し、その両面に該樹脂フィルムを圧着ロール(以後ラミネートロールと称す)を用いて接触させ熱融着させる方法を用いる。
ラミネート条件については、本発明に規定するフィルム構造が得られるものであれば特に制限されるものではない。例えば、ラミネート開始時の温度をフィルム融点より10℃以上とし、ニップ時間(ニップ長さ/ラミネート速度)は5msec〜50msecの範囲が好ましい。さらに、ラミネート時にフィルムの受ける温度履歴として、フィルムの融点以上の温度で接している時間を1〜20msecの範囲とすることが好適である。このようなラミネート条件を達成するためには、高速でのラミネートに加え接着中の冷却も必要である。ラミネート時の加圧は特に規定するものではないが、面圧として1〜30kgf/cm2が好ましい。この値が低すぎると、融点以上であっても時間が短時間であるため十分な密着性を得難い。また加圧が大きいとラミネート金属板の性能上は不都合が無いものの、ラミネートロールにかかる力が大きく設備的な強度が必要となり装置の大型化を招くため不経済である。
金属板としては、缶用材料として広く使用されているアルミニウム板や鋼板等を用いることができ、特に下層が金属クロム、上層がクロム水酸化物からなる2層皮膜を形成させた表面処理鋼板(いわゆるTFS)等が最適である。
TFSの金属クロム層、クロム水酸化物層の付着量についても、特に限定されないが、加工後密着性・耐食性の観点から、何れもCr換算で、金属クロム層は70〜200mg/m2、クロム水酸化物層は10〜30mg/m2の範囲とすることが望ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。厚さ0.18mm・幅977mmの冷間圧延、焼鈍、調質圧延を施した鋼板を、脱脂、酸洗後、クロムめっきを行い、クロムめっき鋼板(TFS)を製造した。クロムめっきは、CrO3、F-、SO4 2-を含むクロムめっき浴でクロムめっき、中間リンス後、CrO3、F-を含む化成処理液で電解した。その際、電解条件(電流密度・電気量等)を調整して金属クロム付着量とクロム水酸化物付着量を、Cr換算でそれぞれ120mg/m2、15mg/m2に調整した。
次いで、金属帯のラミネート装置を用い、前記で得たクロムめっき鋼板を金属帯加熱装置で加熱し、ラミネートロールで前記クロムめっき鋼帯の両面に樹脂フィルムをラミネート(熱融着)し、ラミネート金属板(ラミネート鋼板)を製造した。ラミネートロールは内部水冷式とし、ラミネート中に冷却水を強制循環し、フィルム接着中の冷却を行った。レーザーラマンによるラマンバンド強度比の調整は金属帯へのラミネート条件の変更で行った。ラミネートした樹脂フィルムの内容およびラミネート条件を表1に記載する。
使用した二軸延伸ポリエステルフィルムの特性は、下記の(1)〜(3)の方法により、また、以上の方法で製造したラミネート金属板の特性は、下記の(4)〜(6)の方法により、測定、評価した。結果を表1及び表2に記載する。
(1)ラマンバンド強度比(R)
レトルト処理した缶内面の底部からラミネート金属板を切り取り、ラミネート金属板の長手方向(MD),幅方向(TD)ついて、レーザーラマンによる3085cm-1付近のラマンバンドと2968cm-1付近のラマンバンドの各々のラマンスペクトルを測定し、下記式によりラマンバンド強度比(R)を求めた。
R=I2968/I3085
2968:2968cm-1付近のラマンバンド強度
3085:3085cm-1付近のラマンバンド強度
<測定条件>
励起光源:Arレーザー(λ=514.5nm)、出力2mW
顕微倍率:×100
長手方向(MD):レーザー偏光面がラミネート金属板の長手方向と平行になるようにレーザー光を入射。
幅方向(TD):レーザー偏光面がラミネート金属板の長手方向と垂直になるようにレーザー光を入射。
(2)ポリエステルのガラス転移点
ポリエステルフィルムを290℃で完全に溶融させた後、液体窒素にて急冷した試料を、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント社製DSC Q100)により、10℃/minの昇温速度で測定した。
(3)ポリエステルフィルムの複屈折率
偏光顕微鏡を用いてラミネート金属板の金属板を除去した後のフィルムの断面方向のレタデーションを測定し、フィルムの断面方向の複屈折率を求めた。
(4)内容物取り出し性
絞り加工機を用いて、ラミネート金属板を、絞り工程で、ブランク径:100mm、絞り比(成形前径/成形後径):1.88でカップ成形した。続いて、このカップ内に、卵・肉・オートミールを均一混合させた内容物を充填し、蓋を巻締め後、レトルト処理(125℃×90分間)を行った。その後、蓋を取り外し、カップを逆さまにして2、3回手で振って内容物を取り出した後にカップ内側に残存する内容物の程度を観察することにより、内容物の取り出し易さの程度を評価した。
(評点について)
◎:内容物の取り出しが容易であり、取り出し後のカップ内面に付着物が無い状態。
○:手で振るだけでは内容物の取り出しが困難であるが、スプーン等により容易に取り出すことができ、取り出し後のカップ内面に付着物がほとんど無い状態。
×:手で振るだけでは内容物の取り出しが困難であり、スプーン等で掻き出さないと内容物が取り出せず、取り出し後のカップ内面に多くの付着物が認められる状態。
(5)密着性
ラミネート金属板にワックス塗布後、直径179mmの円板を打ち抜き、絞り比1.60で浅絞り缶を得た。次いで、この絞りカップに対し、絞り比2.20及び2.90で再絞り加工を行った。この後、常法に従いドーミング成形を行った後、トリミングし、次いでネックイン−フランジ加工を施し深絞り缶を成形した。この缶胴部よりピール試験用のサンプル(幅15mm×長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムを一部剥離し、引張試験機で剥離した部分のフィルムを、フィルムが剥離されたクロムめっき鋼板とは反対方向(角度:180°)に開き、引張速度30mm/minでピール試験を行い、幅15mmあたりの密着力を評価した。なお、密着力測定対象面は、缶内面側とした。
(評点について)
◎:1.47N/15mm以上(0.15kgf/15mm以上)。
○:0.98N/15mm以上、1.47N/15mm未満(0.10kgf/15mm以上、0.15kgf/15mm未満)。
×:0.98N/15mm未満(0.10kgf/15mm未満)。
(6)耐衝撃性
上記(5)で成形可能であった缶に対し、水を満中し、各試験について10個ずつを高さ1.25mから塩ビタイル床面へ落とした後、電極と金属缶に6Vの電圧をかけて3秒後の電流値を読み取り、10缶測定後の平均値を求めた。
(評点について)
◎:0.01mA未満。
○:0.01mA以上、0.1mA未満。
×:0.1mA以上。
Figure 0004806933
Figure 0004806933
表1及び表2に示すように、本発明範囲の発明例は、いずれも品質安定性に優れ良好な特性を示した。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、内容物取り出し性、密着性、耐衝撃性が不良であった。

Claims (5)

  1. 二軸延伸ポリエステル樹脂が金属板の両面に被覆された樹脂ラミネート金属板を容器に成形し、レトルト処理した金属容器であって、容器内面側樹脂層は、ポリエステル単位がエチレンテレフタレート単位からなるポリエステルを主成分とする、単層または複層の樹脂層からなり、前記樹脂層中にポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれる1種以上のポリオレフィンを質量比で0.1〜2.0%含有し(複層の場合、各層に質量比で0.1〜2.0%のポリオレフィン成分を含有)、レトルト処理後の樹脂層表面のレーザーラマン法による3085cm-1付近のラマンバンド強度(I3085)と2968cm-1付近のラマンバンド強度(I2968)の強度比、I2968/I3085が式(1)の範囲にあることを特徴とするポリエステル樹脂ラミネート金属容器
    0.2≦I2968/I3085≦1.0 式(1)
  2. 前記容器内面側樹脂層は、レトルト処理後の樹脂層表面のレーザーラマン法による3085cm-1付近のラマンバンド強度(I3085)と2968cm-1付近のラマンバンド強度(I2968)の強度比、I2968/I3085は、ラミネート金属板の長手方向(MD)の強度比、I2968/I3085が式(2)の範囲にあり、かつラミネート金属板の幅方向(TD)の強度比、I2968/I3085が式(3)の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂ラミネート金属容器
    0.4≦I2968/I3085≦0.6 式(2)
    0.3≦I2968/I3085≦0.5 式(3)
  3. 前記容器内面側樹脂層は、2層以上から構成され、前記ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれる1種以上のポリオレフィンは、内容物と接する最上層を構成する層のみに、質量比で0.1〜2.0%含有されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエステル樹脂ラミネート金属容器
  4. 容器外面側樹脂層はポリエステルを主成分とする樹脂層で、ポリエステル単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートおよび/またはブチレンテレフタレート単位であり、ポリエステル樹脂のガラス転移点が20〜73℃であることを特徴とする請求項1〜請求項のうちのいずれかの項に記載のポリエステル樹脂ラミネート金属容器
  5. 前記容器内面側樹脂層の複屈折率が0.02以下である領域が、金属板との接触界面からフィルム厚み方向に5μm未満であることを特徴とする請求項1〜請求項のうちのいずれかの項に記載のポリエステル樹脂ラミネート金属容器
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