JP6380280B2 - 容器用樹脂被膜金属板 - Google Patents

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Description

本発明は、金属板の両面に樹脂被膜層を備える容器用樹脂被膜金属板に関する。
一般に、金属容器は2ピース缶と3ピース缶とに大別される。2ピース缶とは、缶底と一体になった缶体と蓋体との2つの部分によって構成される金属容器である。3ピース缶とは、缶胴、上蓋、及び底蓋の3つの部分によって構成される金属容器である。2ピース缶の缶体は、シーム部(溶接部)を有さないために外観が美麗である反面、一般に高い加工度が要求される。これに対して、3ピース缶の缶胴は、シーム部を有するために2ピース缶の缶体と比較すると外観が劣るが、一般に高い加工度は要求されない。このため、小容量で価格が高い金属容器に対しては2ピース缶が使用され、大容量で価格が安い金属容器に対しては3ピース缶が使用される傾向がある。
ところで、2ピース缶の中でも、絞りの加工度が高く、缶の高さ方向の延伸度が大きい2ピース缶、すなわち加工度が高い2ピース缶の缶体用の金属素材としては、高価で板厚の厚いアルミニウム等の軟質金属材料が用いられ、安価で板厚の薄いぶりきやティンフリースチール等の鋼板の適用例は多くない。その理由は、鋼板に対しては絞り加工法やDI(Draw & Ironing)加工法等の加工度が高い成形加工法を適用することが困難であるのに対して、軟質金属材料に対しては加工度が高いインパクト成形法を適用できるためである。なお、加工度が高い2ピース缶としては、エアゾール缶や食缶を例示することができる(特許文献1,2参照)。
一方、加工度が低い2ピース缶については、金属板の両面に樹脂被膜層を備える容器用樹脂被膜金属板を素材として、絞り加工法やDI加工法によって缶体を製造する技術が提案されている(特許文献3〜5参照)。また、印刷処理等の缶体の意匠性を高めるための処理が可能なように、成形加工後に金属容器の外面側に位置する樹脂被膜層に白色顔料を添加する技術も提案されている(特許文献6,7参照)。
特開2007−045508号公報 特開2009−184262号公報 特公平7−106394号公報 特許第2526725号公報 特開2004−148324号公報 特開平8−169098号公報 特開2004−130536号公報
近年、省資源及び材料コストの低減の観点から、素材板厚の薄肉化が進行している。薄肉化した素材で同一形状の缶体を得るためには、加工度を高くする必要がある。しかしながら、加工度を高くした場合、容器用樹脂被膜金属板の缶体外面側に位置する樹脂被膜層に破断又は削れが発生し、加工が不可能になる可能性がある。このため、容器用樹脂被膜金属板を用いて加工度が高い2ピース缶の缶体を製造するためには、加工によって缶体外面側の樹脂被膜層の破断又は削れを防ぐ必要がある。また、缶体外面側の樹脂被膜層には意匠性を高めるために各種の印刷が施されるが、単純に缶体外面側の樹脂被膜層に滑剤を適用すると印刷インクとの密着性が阻害され、印刷インクの剥れが生じ、意匠性が悪化する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、加工度が高い加工によっても缶体外面側の樹脂被膜層に破断又は削れが発生せず、さらに印刷性に優れる容器用樹脂被膜金属板を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねてきた結果、高加工度の成形によって缶体外面側の樹脂被膜層に破断又は削れが発生することを抑制するためには、樹脂被膜層を金属板に被覆させた際、樹脂被膜層の破断強度と破断伸びとをバランスさせる必要があるのと同時に、特定の滑剤成分を樹脂被膜層に含有させる必要があることを知見した。さらに、本発明の発明者らは、印刷時の印刷インクの剥れを抑制するために、熱処理後の樹脂被膜層の濡れ性を制御する必要があることを知見した。そして、本発明の発明者らは、これらの知見に基づきさらに研究を重ねた結果、樹脂被膜層の非晶質部の構造の制御と滑剤成分の添加とによって、樹脂被膜層の加工性を向上させて高加工度の成形を可能にし、さらに、印刷性を向上させるという技術思想を想到するに至った。
本発明に係る容器用樹脂被膜金属板は、金属板の両面に樹脂被膜層を備える容器用樹脂被膜金属板であって、前記樹脂被膜層が、エチレンテレフタレート単位が90mol%以上96mol%以下のポリエステル樹脂を主成分とし、且つ、容器成形後に容器の内面側に位置する樹脂被膜層の樹脂の融点(TmA)と容器成形後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層の樹脂の融点(TmB)とが以下に示す数式(1)を満足し、成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層の少なくとも1.0μm以上の最表面層に融点が110℃以上230℃以下の滑剤成分が0.05PHR以上1.0PHR以下含有され、前記金属板に被覆された後の段階で、成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層のポリエステル樹脂のガラス転移点前後における比熱差が0.25J/(g・℃)以上0.40J/(g・℃)以下の範囲内にあり、前記金属板に被覆された後にさらに200℃で2分間加熱した後、容器の外面側に位置する樹脂被膜層の水接触角が80度以上100度以下の範囲内にあることを特徴とする。
Figure 0006380280
本発明に係る容器用樹脂被膜金属板は、上記発明において、前記滑剤成分がポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックスであることを特徴とする。
本発明に係る容器用樹脂被膜金属板は、上記発明において、成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層が樹脂被膜層全体として30wt%以下の範囲内の酸化チタンを含有していることを特徴とする。
本発明によれば、加工度が高い加工によっても缶体外面側の樹脂被膜層に破断又は削れが発生せず、さらに印刷性に優れる容器用樹脂被膜金属板を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態である容器用樹脂被膜金属板の構成を示す断面図である。 図2は、図1に示す容器用樹脂被膜金属板の変形例の構成を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である容器用樹脂被膜金属板について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である容器用樹脂被膜金属板の構成を示す断面図である。図2は、図1に示す容器用樹脂被膜金属板の変形例の構成を示す断面図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である容器用樹脂被膜金属板1は、金属板2と、金属板2の表面側に形成された樹脂被膜層3と、金属板2の裏面側に形成された樹脂被膜層4と、を備えている。樹脂被膜層3及び樹脂被膜層4はそれぞれ、成形加工後に金属容器の外面側及び内面側に位置する。
金属板2は、ぶりきやティンフリースチール等の鋼板によって形成されている。ぶりきとしては、めっき量が0.5〜15g/mの範囲内にあるものを用いるとよい。ティンフリースチールは、付着量が50〜200mg/mの範囲内にある金属クロム層と、金属クロム層換算の付着量が3〜30mg/mの範囲内にあるクロム酸化物層と、を表面に有するとよい。鋼板の種類は、目的の形状に成形できるものであれば特に問わないが、以下に示すような成分や製法のものが望ましい。
(1)C(カーボン)量が0.01〜0.10%程度の範囲内にある低炭素鋼を用い、箱焼鈍で再結晶焼鈍したもの。
(2)C量が0.01〜0.10%程度の範囲内にある低炭素鋼を用い、連続焼鈍で再結晶焼鈍したもの。
(3)C量が0.01〜0.10%程度の範囲内にある低炭素鋼を用い、連続焼鈍で再結晶焼鈍及び過時効処理したもの。
(4)C量が0.01〜0.10%程度の範囲内にある低炭素鋼を用い、箱焼鈍又は連続焼鈍で再結晶焼鈍した後、2次冷間圧延(DR(Double Reduced)圧延)したもの。
(5)C量が概ね0.003%以下程度の極低炭素鋼にNb、Ti等の固溶したCを固定する元素を添加したIF(Interstitial Free)鋼を用い、連続焼鈍で再結晶焼鈍したもの。
鋼板の機械的特性は、目的の形状に成形できるものであれば特に限定されないが、加工性を損なわず、且つ、十分な缶体強度を保つために、降伏強度YPが220MPa以上580MPa以下程度の範囲内にあるものを用いることが望ましい。また、塑性異方性の指標であるランクフォード(r値)については、0.8以上であるものが望ましく、r値の面内異方性Δrについては、その絶対値が0.7以下であるものが望ましい。鋼板の板厚は、目的の缶の形状や必要となる缶体強度から適宜設定できる。鋼板自体及び缶体のコスト上昇を抑制する観点から、板厚が概ね0.15〜0.4mm程度の範囲内にあるものを用いることが望ましい。
なお、上記の特性を達成するための鋼の成分は特に限定されるものではないが、例えばSi,Mn,P,S,Al,N等の成分を含有すればよく、Siの含有量は0.001〜0.1%の範囲内、Mnの含有量は0.01〜0.6%の範囲内、Pの含有量は0.002〜0.05%の範囲内、Sの含有量は0.002〜0.05%の範囲内、Alの含有量は0.005〜0.100%の範囲内、Nの含有量は0.0005〜0.020%の範囲内にあることが好ましい。また、B,Cu,Ni,Cr,Mo,V等の他の成分を含有してもよいが、耐食性等を確保する観点から、これら他の成分の含有量は総量で0.02%以下とすることが望ましい。
樹脂被膜層3,4は、エチレンテレフタレート単位が90mol%以上、好ましくは92mol%以上の樹脂材料によって形成されている。樹脂材料のエチレンテレフタレート単位の上限値は96mol%以下である。エチレンテレフタレート単位が90mol%未満である場合、連続成形加工時に加わる熱によって樹脂が軟化し、樹脂被膜層3,4に破断又は削れが発生するため、好ましくない。また、耐熱性や加工性を損なわない範囲で樹脂材料に他のジカルボン酸成分、グリコール成分を共重合させてもよい。ジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族カルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を例示できる。グリコール成分としては、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール等を例示できる。なお、これらのジカルボン酸成分及びグリコール成分は2種以上を併用してもよい。
樹脂被膜層3,4を形成する樹脂材料は、その製法によって限定されることはない。例えば(1)テレフタル酸、エチレングリコール、及び共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合させて共重合ポリエステルとする方法や、(2)ジメチルテレフタレート、エチレングリコール、及び共重合成分をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法等を利用して、樹脂材料を形成できる。共重合ポリエステルの製造においては、必要に応じて、蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の添加物を添加してもよい。白色度を向上させる場合には、蛍光増白剤の添加が有効である。
樹脂被膜層3のうち、少なくとも1.0μm以上の最表面層には、融点が110℃以上230℃以下の範囲内にある滑剤成分が0.05PHR以上1.0PHR以下の範囲内で添加されている。滑剤成分を添加することによって樹脂被膜層3表面に潤滑性を付与することにより、高加工の成形時に樹脂被膜層3の破断又は削れが発生することを抑制できる。また、融点が110℃以上230℃以下の範囲内にある滑剤成分を添加することによって、缶加工時に缶体が加工発熱や金型との摩擦によって高温になっても摺動性を確保できる。
適用する滑剤成分としては、α−オレフィンを1種又は2種以上を重合して得られるポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス、ポリペンテンワックス、ポリメチルペンテンワックス、エチレン−プロピレン共重合体ワックス、エチレン−ブテン共重合体ワックス等を例示できる。また、これらポリオレフィン系ワックスを単独又は2種類以上混合して使うことができる。また、ポリオレフィン系ワックスは上記のオレフィン成分が主成分であれば問題なく、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸等を共重合してもよい。
滑剤成分は、特に、滑剤樹脂の耐熱性やポリエステル樹脂への分散性からポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックスを主成分としたものであることが好ましい。滑剤成分の添加量が0.05%未満では、樹脂被膜層3の破断又は削れに対する摺動性の効果が低くなるため好ましくない。また、滑材成分の添加量が1wt%を超えると、樹脂被膜層3と印刷インクとの密着性が低下し、印刷インクの種類によっては印刷インクが剥離する場合があり、好ましくない。
容器用樹脂被膜金属板は、金属板2を樹脂被膜層3,4の融点以上に加熱し、ラミネートロールにより樹脂被膜層3,4を被覆した直後の金属板2の温度を樹脂被膜層3,4の結晶化温度以上、結晶化温度+40℃以下の範囲内に保持することによって製造できる。樹脂被膜層3,4の被覆時には、面圧を19.6〜196N(2〜20kgf/cm)の範囲内にする必要がある。面圧がこの範囲より小さい場合、金属板2と樹脂被膜層3,4との界面の温度が融点以上であっても、融点以上の温度になっている時間が短時間であるため樹脂被膜層3,4の溶融が不十分となり、樹脂被膜層3,4と金属板2との十分な密着性が得られない。一方、面圧がこの範囲より大きい場合には、樹脂被膜層3,4の溶着が発生する。また、ラミネートロールの加圧による樹脂被膜層3,4の被覆時間は、2msec〜30msecの範囲内にする必要がある。被覆時間が2msec未満である場合、金属板2への樹脂被膜層3,4の圧着が不十分となり、密着性が低下する。一方、被覆時間が30msec以上である場合は、ラミネートロールでの冷却効果が大きくなり、樹脂被膜層3,4の溶融が不十分となる場合があり、密着性や加工性が悪化する。
ラミネートロールの温度は、(樹脂被膜層3,4のガラス転移点−20℃)以上、(樹脂被膜層3,4のガラス転移点+50℃)以下の範囲内にする必要がある。ラミネートロール温度が(樹脂被膜層のガラス転移点−20℃)より低い場合、樹脂被膜層3,4の表面側の結晶性が高くなり、成形性が悪化する。一方、ラミネートロール温度が(樹脂被膜層のガラス転移点+50℃)より高い場合には、樹脂被膜層3,4の表面に存在する滑剤成分がラミネートロールの表面に転写し、ラミネート後の容器用樹脂被膜金属板の外観不良等の問題が発生する。
樹脂被膜層3のポリエステル樹脂のガラス転移点前後における比熱差は0.25J/(g・℃)以上0.40J/(g・℃)以下の範囲内にある。この範囲内に比熱差を制御するためには、ラミネートロールでの被覆後から0.5秒から5秒以内に容器用樹脂被膜金属板を水冷する必要がある。容器用樹脂被膜金属板を水冷するまでの時間が0.5秒より短い場合、高温の樹脂被膜層3が急冷されるため、樹脂被膜層3の表面状態が悪化する場合がある。また、水冷するまでの時間が5秒より長い場合には、被覆後の樹脂被膜層3が水冷されるまでの間、自然放冷によって結晶化が進行し、非晶質部の構造が変化し、比熱差が0.25J/(g・℃)未満となり、加工性が悪化するため、好ましくない。水冷する際の水温は20℃〜85℃の範囲内とすることが好ましい。以上述べたように、樹脂被膜層3のポリエステル樹脂のガラス転移点前後における比熱差の制御は、樹脂被膜層3の被覆前の融点や結晶化温度及び被覆条件(金属板加熱温度、ラミネートロール温度、ニップ圧、被覆後の水冷却までの時間、被覆後の冷却温度、ライン速度)を変更することによって制御できる。
金属板2に被覆された後にさらに200℃で2分間加熱した後の樹脂被膜層3の水接触角は、80度以上100度以下の範囲内にある。
樹脂被膜層3の融点(TmB)は、234℃以上255℃以下、好ましくは240℃以上252℃以下、より好ましくは242℃以上250℃以下の範囲内にあることが望ましい。樹脂被膜層3の融点が234℃未満である場合、加工時の表面摺動や金属板2の加工発熱等によって樹脂被膜層3が軟化しやすくなり、樹脂被膜層3の表面に破断又は削れが発生する場合がある。一方、樹脂被膜層3の融点が255℃より高い場合には、樹脂被膜層3の結晶性が高くなり、加工度の高い加工に追随できない可能性がある。
樹脂被膜層4の融点(TmA)は、234℃以上250℃以下、好ましくは237℃以上247℃以下、より好ましくは240℃以上245℃以下の範囲内にあることが望ましい。樹脂被膜層3の融点が234℃未満である場合、内容物の吸着等が起こりやすくなり、好ましくない。一方、樹脂被膜層3の融点が250℃より高い場合には、樹脂被膜層3の結晶性が高くなり、加工度の高い加工に追随できない可能性がある。
樹脂被膜層3の融点(TmB)及び樹脂被膜層4の融点(TmA)との差(TmB−TmA)は0℃以上10℃以下の範囲内にある。樹脂被膜層3の融点と樹脂被膜層4との融点差との差が10℃より大きい場合、被覆時に、融点の低い方の樹脂被膜層が過剰に溶融されるため、加工時の衝撃等によって樹脂被膜層に亀裂が入りやすくなり、耐食性が劣化する。
樹脂被膜層3,4の固有粘度(IV)は、0.50dl/g以上0.90dl/g以下、好ましくは0.52dl/g以上0.80dl/g以下、より好ましくは、0.55dl/g以上0.75dl/g以下の範囲内にあることが望ましい。樹脂被膜層3,4の固有粘度が0.50dl/g未満である場合、樹脂被膜層3,4の分子量が低くなるため、樹脂被膜層3,4の機械的強度が低下し、好ましくない。一方、樹脂被膜層3,4の固有粘度が0.90dl/gより大きい場合には、製膜性が悪化する。なお、樹脂被膜層3,4の固有粘度(IV)は、重合条件(重合触媒量、重合温度、重合時間等)の制御や溶融重合の後にさらに窒素等の不活性雰囲気下や真空下での固相重合法等によって調整できる。
樹脂被膜層3は、印刷処理時の意匠性を高めるため、白色であることが求められる場合がある。このため、樹脂被膜層3は、樹脂被膜層3全体として、8wt%以上30wt%以下、好ましくは10wt%以上25wt%以下、より好ましくは12wt%以上20wt%の範囲内で酸化チタンを含有していることが望ましい。酸化チタンの含有量が8wt%以下である場合、加工後に十分な白色度が確保できない。一方、酸化チタンの含有量が30wt%より大きい場合には、加工度が高い成形加工を行った際、金属板2と樹脂被膜層3との密着性や加工性が問題となる。
樹脂被膜層3に添加する酸化チタンとしては、特に限定されないが、ルチル型酸化チタンの純度が90%以上のものを用いることが好ましい。ルチル型酸化チタンの純度が90%より低い場合、樹脂材料との混合時に酸化チタンの分散性が良くなく、また、樹脂材料の分子量低下を招くことがある。酸化チタンの添加方法としては、以下の(1)〜(3)に示すような各種方法を用いることができる。なお、方法(1)を利用して酸化チタンを添加する場合には、酸化チタンをグリコールに分散したスラリーとして反応系に添加することが望ましい。また、酸化チタンを添加した樹脂被膜層3の厚みは、加工度の白色度を確保するために、10〜40μm、好ましくは12〜35μm、より好ましくは15〜25μmの範囲内にすることが望ましい。樹脂被膜層3の厚みが10μm未満である場合、加工時に樹脂被膜層3の割れが生じやすくなる。一方、樹脂被膜層3の厚みが40μmより大きい場合には、過剰品質であって不経済である。
(1)共重合ポリエステル合成時のエステル交換又はエステル化反応の終了前、若しくは重縮合反応開始前に酸化チタンを添加する方法
(2)共重合ポリエステルに添加し、溶融混練する方法
(3)方法(1)、(2)において、酸化チタンを多量に添加したマスターペレットを製造し、粒子を含有しない共重合ポリエステルと混練し、所定量の酸化チタンを含有させる方法
図2に示すように、樹脂被膜層3は、最表面層(上層)3a、中間層3b、及び最下層(下層)3cからなる3層構造を有していてもよい。この場合、最表面層3a及び最下層3cの膜厚は、1μm以上5μm以下、好ましくは1.5μm以上4μm以下、より好ましくは2μm以上3μm以下の範囲内にあり、中間層3bの膜厚は、6μm以上30μm以下、好ましくは8μm以上25μm以下、より好ましくは10μm以上20μm以下の範囲内にあるとよい。また、最表面層3a及び最下層3cは、0wt%以上2wt%以下の範囲内の酸化チタンを含有し、中間層3bは、10wt%以上30wt%以下の範囲内の酸化チタンを含有するとよい。
特に最表面層3aに酸化チタンを添加した場合、印刷インクとの密着性が向上し、印刷性が改善する。最表面層3aの酸化チタン量は、印刷性の観点から0.5wt%以上添加されていることが好ましい。一方、最表面層3aの酸化チタン量が2wt%を超えると、加工時に樹脂被膜層3に破断又は削れが発生する場合が有り、好ましくない。
また、最表面層3a及び最下層3cの膜厚が1μmより小さい場合、樹脂被膜層3の破断又は削れが発生したり、樹脂被膜層3の表面の光沢を十分に確保できなくなったりする。一方、表面層3及び最下層3cの膜厚が5μmより大きい場合には、白色度を確保するために酸化チタンを含有する中間層3bの膜厚を厚くする又は酸化チタンの含有量を増加させる必要があるために、経済性や加工性の点で好ましくない。
金属板として厚さ0.22mmのT3CA、TFS(Tin Free Steel、金属Cr層:120mg/m、Cr酸化物層:金属Cr換算で10mg/m)を用い、フィルムラミネート法(フィルム熱圧着法)を利用して金属板の両面に以下の表1〜3に示す実施例1〜22及び比較例1〜8の樹脂被膜層を形成した。具体的には、以下の表1〜3に示すラミネート条件で、金属板を加熱し、ラミネートロールを利用して2軸延伸法で作製したフィルム状の樹脂被膜層を金属板に熱圧着した。ラミネート時の温度は、放射温度計によってラミネート前の温度を測定した(ニップ位置から100mmの位置)。熱圧着から1.5秒経過後に水冷することにより、金属板の両面に樹脂被膜層を被覆し、目的のサンプルを作製した。また、得られた容器用樹脂被膜金属板について、以下に示す方法を利用して樹脂被膜層のガラス転移点前後の比熱差を測定した。
(1)樹脂被膜層の融点及びガラス転移点前後の比熱差測定
示差走査熱量測定装置を用いて10℃/分の昇温速度で室温から290℃まで被覆前の樹脂被膜層を昇温した時の吸熱ピークを測定し、200〜280℃の間で測定された吸熱ピークのピーク温度を樹脂被膜層の融点とした。また、温度変調示差走査熱量測定装置を用いて、変調周期40秒、変調振幅0.5℃、平均昇温速度2℃/分、0℃から200℃まで昇温して、ガラス転移点前後の比熱差を求めた。
(2)白色度
分光色差計を用いて容器用樹脂被膜金属板の樹脂被膜層の白色度をJIS Z8722に示される方法で評価した。測定面積は8mmφ、測定光源をC条件、測定光源に対して2°視野の観察条件で測定したハンター(Hunter)Lab値のL値を白色度とした。
(3)水接触角
容器用樹脂被膜金属板を2分間で200℃になるように、熱風乾燥炉にて熱処理を行い、室温まで冷却した。その後、容器外面側に位置する樹脂被膜層の25℃における水接触角を評価した。
Figure 0006380280
Figure 0006380280
Figure 0006380280
〔評価〕
上記実施例1〜22及び比較例1〜8の容器用樹脂被膜金属板について、以下に示す方法を利用してその成形性、耐食性、加工後密着性、及び印刷性を評価した。評価結果を以下の表4に示す。表4に示すように、実施例1〜22の容器用樹脂被膜金属板では、成形性、耐食性、加工後密着性、及び印刷性の評価は良好であったが、比較例1〜8の容器用樹脂被膜金属板では、成形性、耐食性、加工後密着性、及び印刷性のうちのいずれかの評価が不十分であった。
(1)成形性
実施例1〜22及び比較例1〜8の容器用樹脂被膜金属板にパラフィンワックスを塗布後、直径123mmの円板を打ち抜き、カッピングプレス機で、内径71mmφ、高さ36mmのカップに絞り成形した。次いでこのカップをDI成形装置に装入して、ポンチスピード200mm/s、ストローク560mmで、再絞り加工及び3段階のアイアニング加工で総リダクション率51%(それぞれのリダクション23%、24%、23%)を行い、最終的に缶内径52mm、缶高さ90mmの缶を成形した。そして、成形後に樹脂被膜層表面の破断又は削れを目視で観察し、以下に示す基準に従って評点をつけた。
評点「◎◎」:フィルム削れが全く観察されない
評点「◎」:フィルム削れが缶フランジ部分から1mm以内の高さ位置に発生した場合
評点「○」:フィルム削れが缶フランジ部分から1mmを超えて5mm以内の高さ位置に発生した場合
評点「△」:フィルム削れが缶フランジ部分から5mmを越えて20mm以内の高さ位置に発生した場合
評点「×」:フィルム削れが缶フランジ部分から20mmを越えた高さ位置まで発生した場合又は破胴が発生した場合
(2)耐食性
成形性評価を行った深絞り缶の缶フランジ部の樹脂被膜層を削り金属板を露出させた。その後、缶内に5%の食塩水を注入し、これに白金電極を浸漬させ(浸漬させた位置は缶中央部)、白金電極及び缶のフランジ部(鋼板露出部)をそれぞれ陰極及び陽極として電極間に6Vの電圧をかけ、4秒後の電流値を読み取った。そして、10缶測定後の電流値の平均値を求め、以下に示す基準に従って評点を付けた。
評点「○」:電流値0.1mA未満
評点「△」:電流値0.1mA以上、1mA未満
評点「×」:電流値1mA以上
(3)加工後密着性
成形性評価において成形した深絞り缶の缶胴部からピール試験用のサンプル(幅15mm×長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部から樹脂被膜層を一部剥離し、剥離した樹脂被膜層を樹脂被膜層が剥離された金属板とは反対方向(角度:180度)に開き、引張速度30mm/minでピール試験を行い、以下に示す基準に従って幅15mmあたりの密着力を評価した。密着力測定対象面は缶内面側とした。
評点「◎」:1.47N/15mm以上(0.15kgf/15mm以上)
評点「○」:0.98N/15mm以上、1.47N/15mm未満(0.10kgf/15mm以上、0.15kgf/15mm未満)
評点「×」:0.98N/15mm未満(0.10kgf/15mm未満)
(4)印刷性
容器用樹脂被膜金属板にポリエステル系印刷用インク(赤色)を印刷し、200℃で2分間、熱風乾燥炉にて熱処理を行い、室温まで冷却した。その後、印刷面の碁盤目剥離試験を行い、樹脂被膜層と印刷インクとの密着性を評価した。剥離した面積で評点をつけた。
評点「◎」:剥離量0%以上5%未満
評点「○」:剥離量5%以上20%未満
評点「△」:剥離量20%以上50%未満
評点「×」:剥離量50%以上
Figure 0006380280
1 容器用樹脂被膜金属板
2 金属板
3,4 樹脂被膜金属板

Claims (2)

  1. 金属板の両面に樹脂被膜層を備える容器用樹脂被膜金属板であって、
    前記樹脂被膜層が、エチレンテレフタレート単位が90mol%以上96mol%以下のポリエステル樹脂を主成分とし、且つ、容器成形後に容器の内面側に位置する樹脂被膜層の樹脂の融点(TmA)と容器成形後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層の樹脂の融点(TmB)とが以下に示す数式(1)を満足し、
    成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層の少なくとも1.0μm以上の最表面層に融点が110℃以上230℃以下の滑剤成分が0.05PHR以上1.0PHR以下含有され、前記滑剤成分がポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックスであり、
    前記金属板に被覆された後の段階で、成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層のポリエステル樹脂のガラス転移点前後における比熱差が0.25J/(g・℃)以上0.40J/(g・℃)以下の範囲内にあり、
    前記金属板に被覆された後にさらに200℃で2分間加熱した後、容器の外面側に位置する樹脂被膜層の水接触角が80度以上100度以下の範囲内にある
    ことを特徴とする容器用樹脂被膜金属板。
    Figure 0006380280
  2. 成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層が樹脂被膜層全体として30wt%以下の範囲内の酸化チタンを含有していることを特徴とする請求項に記載の容器用樹脂被膜金属板。
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