JP5867422B2 - 樹脂被膜金属板 - Google Patents

樹脂被膜金属板 Download PDF

Info

Publication number
JP5867422B2
JP5867422B2 JP2013014233A JP2013014233A JP5867422B2 JP 5867422 B2 JP5867422 B2 JP 5867422B2 JP 2013014233 A JP2013014233 A JP 2013014233A JP 2013014233 A JP2013014233 A JP 2013014233A JP 5867422 B2 JP5867422 B2 JP 5867422B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
coating layer
resin coating
metal plate
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013014233A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014144577A (ja
Inventor
北川 淳一
淳一 北川
洋一郎 山中
洋一郎 山中
祐介 中川
祐介 中川
克己 小島
克己 小島
裕樹 中丸
裕樹 中丸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2013014233A priority Critical patent/JP5867422B2/ja
Publication of JP2014144577A publication Critical patent/JP2014144577A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5867422B2 publication Critical patent/JP5867422B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、金属板の両面に樹脂被膜層を備える樹脂被膜金属板に関する。
一般に、金属容器は2ピース缶と3ピース缶とに大別される。2ピース缶とは、缶底と一体になった缶体と蓋体との2つの部分によって構成される金属容器である。3ピース缶とは、缶胴、上蓋、および底蓋の3つの部分によって構成される金属容器である。2ピース缶の缶体は、シーム部(溶接部)を有さないために外観が美麗である反面、一般に高い加工度が要求される。これに対して、3ピース缶の缶胴は、シーム部を有するために2ピース缶の缶体と比較すると外観が劣るが、一般に高い加工度は要求されない。このため、小容量で価格が高い金属容器に対しては2ピース缶が使用され、大容量で価格が安い金属容器に対しては3ピース缶が使用される傾向がある。
ところで、2ピース缶の中でも、絞りの加工度が高く、缶の高さ方向の延伸度が大きい2ピース缶、すなわち加工度が高い2ピース缶の缶体用の金属素材としては、高価で板厚の厚いアルミニウムなどの軟質金属材料が用いられ、安価で板厚の薄いぶりきやティンフリースチールなどの鋼板はほとんど用いられていない。その理由は、鋼板に対しては絞り加工法やDI(Draw & Ironing)加工法などの加工度が高い成形加工法を適用することが困難であるのに対して、軟質金属材料に対しては加工度が高いインパクト成形法を適用できるためである。なお、加工度が高い2ピース缶としては、エアゾール缶を例示することができる。
一方、加工度が低い2ピース缶については、金属板の両面に樹脂被膜層を備える樹脂被膜金属板を素材として、絞り加工法やDI加工法によって缶体を製造する技術が提案されている(特許文献1〜3参照)。また、印刷処理などの缶体の意匠性を高めるための処理が可能なように、成形加工後に金属容器の外面側に位置する樹脂被膜層に白色顔料を添加する技術も提案されている(特許文献4,5参照)。また、金属容器に収容された食品に味や匂いの影響を及ぼさないために、金属容器の内面側の樹脂被膜層中の低分子量成分(オリゴマー成分)の含有量を低減する技術も提案されている(特許文献6参照)。
特公平7−106394号公報 特許第2526725号公報 特開2004−148324号公報 特開平8−169098号公報 特開2004−130536号公報 特開平7−133358号公報
本発明の発明者らは、安価で、板厚が薄くても強度が高い鋼板を用いて加工度が高い2ピース缶の缶体を製造できれば、加工度が高い2ピース缶をより安価に提供できると考えた。そこで、発明者らは、樹脂被膜金属板を用いて加工度が高い2ピース缶の缶体を製造し、加工後の樹脂被膜層と金属板との密着性、成形加工後に金属容器の内面側に位置する裏面側の樹脂被膜層の被覆性、および成形加工後に金属容器の外面側に位置する表面側の樹脂被膜層の意匠性を高める目的で樹脂被膜層の融点付近の温度で熱処理を行った。その結果、発明者らは、熱処理後の表面側の樹脂被膜層に黒色の斑点状の模様が形成され、熱処理によって外観上の欠陥が発生することを知見した。また、発明者らは、樹脂被膜層の融点付近の温度での熱処理によってエチレンテレフタレートの環状3量体が樹脂被膜層の表面に析出、結晶化することによって、容器内面側の樹脂被膜層が白く変色することを知見した。このため、樹脂被膜金属板を用いて加工度が高い2ピース缶の缶体を製造するためには、熱処理によって外観上の欠陥が発生しないようにし、さらに殺菌処理としてのレトルト処理によって容器内面側の樹脂被膜層が変色しないようにする必要がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、熱処理によって外観上の欠陥(肌荒れ)が発生せず、且つ、レトルト処理によって容器内面側の樹脂被膜層が変色することを抑制可能な樹脂被膜金属板を提供することにある。
本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねてきた結果、熱処理によって発生する外観上の欠陥は、成形加工の際に発生した樹脂被膜層内の残留応力が熱処理によって緩和されることによって、樹脂被膜層が不均一に変形し、不均一な顔料の分布が形成されるために発生することを知見した。そして、本発明の発明者らは、この知見に基づきさらに研究を重ねた結果、樹脂被膜層の結晶化度を制御することにより成形加工後の樹脂被膜層の残留応力を低減することによって、樹脂被膜層の不均一な変形を抑制し、熱処理によって外観上の欠陥が発生することを抑制できるという技術思想を想到するに至った。さらに、本発明の発明者らは、エチレンテレフタレートの環状3量体が加熱殺菌処理であるレトルト処理によって樹脂被膜層の表面に析出、結晶化することによって、容器内面側の樹脂被膜層が白く変色することを知見した。そして、本発明の発明者らは、容器内面側の樹脂被膜層中のエチレンテレフタレートの環状3量体の含有量を低減することにより、レトルト処理による容器内面側の樹脂被膜層の変色を抑制できるという技術思想を想到するに至った。
本発明に係る樹脂被膜金属板は、金属板の両面に樹脂被膜層を備える樹脂被膜金属板であって、成形加工後に容器の外面側に位置する前記樹脂被膜層が、前記金属板に被覆された後の結晶化熱量と融解熱量との差が単位重量当たりに換算して0.5J/g以上20J/g以下の範囲内にある樹脂材料によって形成され、成形加工後に容器の内面側に位置する樹脂被膜層はエチレンテレフタレート単位とブチレンテレフタレート単位との比が20mol%/80mol%〜79mol%/21mol%の範囲内にある樹脂材料によって形成され、成形加工後の容器の内面側に位置する樹脂被膜層中のエチレンテレフタレート環状3量体の含有量が0.9wt%以下であることを特徴とする。
本発明に係る樹脂被膜金属板によれば、熱処理によって外観上の欠陥が発生することおよびレトルト処理によって容器内面側の樹脂被膜層が変色することを抑制できる。
図1は、本発明の一実施形態である樹脂被膜金属板の構成を示す断面図である。 図2は、図1に示す樹脂被膜金属板の変形例の構成を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である樹脂被膜金属板について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である樹脂被膜金属板の構成を示す断面図である。図2は、図1に示す樹脂被膜金属板の変形例の構成を示す断面図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である樹脂被膜金属板1は、金属板2と、金属板2の表面側に形成された樹脂被膜層3と、金属板2の裏面側に形成された樹脂被膜層4と、を備えている。樹脂被膜層3および樹脂被膜層4はそれぞれ、成形加工後に金属容器の外面側および内面側に位置する。
金属板2は、ぶりきやティンフリースチールなどの鋼板によって形成されている。ぶりきとしては、0.5〜15g/mのめっき量を有するものを用いるとよい。ティンフリースチールは、付着量50〜200mg/mの金属クロム層と、金属クロム層換算の付着量が3〜30mg/mのクロム酸化物層とを表面に有するとよい。鋼板は、目的の形状に成形できるものであれば特にその種類を問わないが、以下に示すような成分や製法のものが望ましい。
(1)C(カーボン)量が0.01〜0.10%程度の低炭素鋼を用い、箱焼鈍で再結晶焼鈍したもの。
(2)C量が0.01〜0.10%程度の低炭素鋼を用い、連続焼鈍で再結晶焼鈍したもの。
(3)C量が0.01〜0.10%程度の低炭素鋼を用い、連続焼鈍で再結晶焼鈍および過時効処理したもの。
(4)C量が0.01〜0.10%程度の低炭素鋼を用い、箱焼鈍または連続焼鈍で再結晶焼鈍した後、2次冷間圧延(DR(Double Reduced)圧延)したもの。
(5)C量が概ね0.003%以下程度の極低炭素鋼にNb、Tiなどの固溶したCを固定する元素を添加したIF(Interstitial Free)鋼を用い、連続焼鈍で再結晶焼鈍したもの。
鋼板の機械的特性は、目的の形状に成形できるものであれば特に限定されないが、加工性を損なわず、且つ、十分な缶体強度を保つために、降伏強度YPが220MPa以上580MPa以下程度のものを用いることが望ましい。塑性異方性の指標であるランクフォード(r値)については0.8以上であるものが望ましく、r値の面内異方性Δrについては、その絶対値が0.7以下であるものが望ましい。鋼板の板厚は、目的の缶の形状や必要となる缶体強度から適宜設定できる。鋼板自体および缶体のコスト上昇を抑制する観点から、概ね0.15〜0.4mm程度の板厚のものを用いることが望ましい。
なお、上記の性能を達成するための鋼成分は特に限定するものではないが、例えば、Si,Mn,P,S,Al,N等を含有すればよく、Si:0.001〜0.1%、Mn:0.01〜0.6%、P:0.002〜0.05%、S:0.002〜0.05%、Al:0.005〜0.100%、N:0.0005〜0.020%であることが好ましい。また、B、Cu、Ni、Cr、Mo、Vなど、他の成分を含有してもよいが、耐食性などを確保する観点から、それらの含有量は総量で0.02%以下であることが望ましい。
金属容器の外面側に位置する樹脂被膜層3は、エチレンテレフタレート単位が90mol%以上、好ましくは92mol%以上の樹脂材料によって形成されている。エチレンテレフタレート単位が90mol%未満である場合、樹脂被膜層3の樹脂融点が低くなるため、加工度の高い成形加工時に、金型との摩擦、加工発熱により樹脂被膜層3が軟化し、削れ等が発生するため好ましくない。耐熱性や加工性を損なわない範囲で樹脂材料に他のジカルボン酸成分、グリコール成分を共重合させてもよい。ジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族カルボン酸、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを例示できる。グリコール成分としては、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコール、ジエチレングリコールなどを例示できる。なお、これらのジカルボン酸成分およびグリコール成分は2種以上を併用してもよい。
金属容器の内面側に位置する樹脂被膜層4は、エチレンテレフタレート単位とブチレンテレフタレート単位との比が20mol%/80mol%〜79mol%/21mol%の範囲内にある樹脂材料によって形成されている。エチレンテレフタレート単位が、20mol%より低下する場合(ブチレンテレフタレート単位が80mol%を超える場合)、外面の樹脂被膜層3との融点差が大きくなり、加工後の熱処理によって、樹脂被膜層4が過溶融し、熱劣化の原因となり被覆性が悪化する。一方、エチレンテレフタレート単位が79mol%を超える場合(ブチレンテレフタレート単位が21mol%より低い場合)、被膜樹脂中にエチレンテレフタレートの環状3量体が多く含まれ、レトルト処理後に、環状3量体が被膜樹脂4表面に析出、結晶化し、白く変色するため好ましくない。
金属容器の外面側に位置する樹脂被膜層3を形成する樹脂材料は、その製法によって限定されることはない。例えば、(1)テレフタル酸、エチレングリコール、および共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合させて共重合ポリエステルとする方法や、(2)ジメチルテレフタレート、エチレングリコール、および共重合成分をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法などを利用して、樹脂材料を形成することができる。共重合ポリエステルの製造においては、必要に応じて、蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などの添加物を添加してもよい。白色度を向上させる場合には、蛍光増白剤の添加は有効である。
金属容器の内面側に位置する樹脂被膜層4は、エチレンテレフタレート単位とブチレンテレフタレート単位との比が20mol%/80mol%〜79mol%/21mol%の範囲内にある樹脂材料によって形成され、成形加工後の容器の内面側に位置する樹脂被膜層4中のエチレンテレフタレート環状3量体の含有量が0.9wt%以下である。
樹脂被膜層4を形成する樹脂材料についても、その製法によって限定されることはない。例えば、(1)テレフタル酸、エチレングリコール、ブチレングリコールおよび共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合させて共重合ポリエステルとする方法や、(2)ジメチルテレフタレート、エチレングリコール、ブチレングリコールおよび共重合成分をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法などを利用して、樹脂材料を形成することができる。必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などの添加物を添加してもよい。
金属板2への被覆時に樹脂被膜層3,4をその融点以上の温度とする時間は1〜30msecの範囲内にすることが望ましい。被覆時の加圧圧力は、特に限定されないが、面圧を9.8〜294N(1〜30kgf/cm)の範囲内にすることが望ましい。面圧がこの範囲より小さい場合、金属板2と樹脂被膜層3,4との界面の温度が融点以上であっても、融点以上の温度になっている時間が短時間であるため樹脂被膜層3,4の溶融が不十分となり、樹脂被膜層3,4と金属板2との十分な密着性を得られないことがある。一方、面圧がこの範囲より大きい場合には、樹脂被膜層3,4の溶着が発生することがある。また、フィルム状の樹脂材料を金属板に被覆するのではなく、溶融した樹脂材料を金属板2の表面に被覆する溶融押出しラミネーションを適用することも可能である。
容器の外面側に位置する樹脂被膜層3は、金属板2に被覆した後の結晶化熱量と融解熱量との差が単位重量当たりに換算して0.5J/g以上20J/g以下、好ましくは1J/g以上18J/g以下、より好ましくは3J/g以上14J/g以下の範囲内にある樹脂材料によって形成されている。結晶化熱量と融解熱量とは、示差走査熱量測定装置(Differential Scanning Calorimetry : DSC)を用いて測定することができる。結晶化熱量と融解熱量との差は被覆後の樹脂被膜層3の結晶化度の指標となるものである。容器の外面側となる樹脂被膜の結晶化熱量と融解熱量の差が0.5J/g未満の場合は、成形加工後の残留応力は低減するものの、耐衝撃性が低下し、一定以上の衝撃が加わる場合、樹脂被膜割れが発生する。一方、結晶化熱量と融解熱量との差が20J/gより大きい場合には、樹脂被膜層3の結晶化度が高くなり、成形加工後の残留応力が大きくなる。このため、熱処理によって外観上の欠陥が発生する。以上のことより、容器の外面側樹脂被膜層3の結晶化熱量と融解熱量との差は、0.5J/g以上20J/g以下とする。
樹脂被膜層3の結晶化度は、被覆前の樹脂被膜層3の配向度や融点、および被覆条件(鋼板加熱温度、ニップ圧、被覆後の水冷却までの時間、被覆後の冷却温度、ライン速度)を制御することによって制御できる。具体的には、被覆時の金属板2の加熱温度を高くすることによって、樹脂被膜層3の結晶化度を低くすることができる。なお、金属板2の加熱温度は、樹脂被膜層3の融点や被覆前の結晶化度によって異なるが、樹脂被膜層3の融点より10〜50℃程度高い。また、ニップ圧を低下させることによってニップによる樹脂被膜層3の冷却効果を小さくすることにより、樹脂被膜層3の結晶化度を低くすることができる。また、被覆後の水冷却までの時間を短くすることによって被覆後の冷却過程における樹脂被膜層3の結晶化を抑制することにより、樹脂被膜層3の結晶化度を低くすることができる。なお、被覆後の水冷却までの時間は、ライン速度にもよるが、0.5秒〜10秒の範囲である。また、ライン速度を上げることによって、加熱ロール温度が同一条件でも樹脂被膜層3の結晶化度を低くすることができる。これは、加熱されてから被覆されるまでの放冷等の影響が少なくなるためである。
樹脂被膜層3の融点は、240℃以上254℃以下、好ましくは242℃以上252℃以下、より好ましくは244℃以上250℃以下の範囲内にあることが望ましい。樹脂被膜層3の融点が240℃未満である場合、加工時の表面摺動や金属板2の加工発熱などによって樹脂被膜層3が軟化しやすくなり、樹脂被膜層3の表面に削れが発生したり、破胴に至ったりする場合がある。一方、樹脂被膜層3の融点が254℃より大きい場合には、樹脂被膜層3の結晶性が高くなり、加工度の高い加工に追随できない可能性がある。
樹脂被膜層3の固有粘度(IV)は、0.55dl/g以上0.90dl/g以下、好ましくは0.58dl/g以上0.80dl/g以下、より好ましくは、0.59dl/g以上0.78dl/g以下の範囲内にあることが望ましい。樹脂被膜層3の固有粘度が0.55dl/g未満である場合、樹脂被膜層3の溶融粘度が低いために、熱処理時に樹脂被膜層3の不均一な変形が生じやすい。一方、樹脂被膜層3の固有粘度が0.90dl/gより大きい場合には、製膜性が悪化する。なお、被覆樹脂の固有粘度(IV)は、重合条件(重合触媒量、重合温度、重合時間など)の変更や溶融重合の後にさらに窒素などの不活性雰囲気下や真空下での固相重合法などによって調整できる。
樹脂被膜層3は、印刷処理などの意匠性を高めるための処理が可能なように、白色であることが求められる。このため、樹脂被膜層3は、8wt%以上30wt%以下、好ましくは10wt%以上25wt%以下、より好ましくは12wt%以上20wt%の範囲内で酸化チタンを含有していることが望ましい。酸化チタンの含有量が8wt%以下である場合、加工後に十分な白色度が確保できない。一方、酸化チタンの含有量が30wt%より大きい場合には、加工度が高い成形加工を行った際、金属板2と樹脂被膜層3との密着性や加工性が問題となる。
樹脂被膜層3に添加する酸化チタンとしては、特に限定されないが、ルチル型酸化チタンの純度が90%以上のものを用いることが好ましい。ルチル型酸化チタンの純度が90%より低い場合、樹脂材料との混合時に酸化チタンの分散性が良くなく、また、樹脂材料の分子量低下を招くことがある。酸化チタンの添加方法としては、以下の(1)〜(2)に示すような各種方法を用いることができる。なお、方法(1)を利用して酸化チタンを添加する場合には、酸化チタンをグリコールに分散したスラリーとして反応系に添加することが望ましい。また、酸化チタンを添加した樹脂被膜層3の厚みは、加工度の白色度を確保するために、10〜40μm、好ましくは12〜35μm、より好ましくは15〜25μmの範囲内にすることが望ましい。樹脂被膜層3の厚みが10μm未満である場合、加工時に樹脂被膜層3の割れが生じやすくなる。一方、樹脂被膜層3の厚みが40μmより大きい場合には、過剰品質であって不経済である。
(1)共重合ポリエステル合成時のエステル交換又はエステル化反応の終了前、若しくは重縮合反応開始前に酸化チタンを添加する方法。
(2)共重合ポリエステルに添加し、溶融混練する方法。
(3)方法(1)、(2)において、酸化チタンを多量に添加したマスターペレットを製造し、粒子を含有しない共重合ポリエステルと混練し、所定量の酸化チタンを含有させる方法。
図2に示すように、樹脂被膜層3は、最表面層(上層)3a、中間層3b、および最下層(下層)3cからなる3層構造を有していてもよい。この場合、最表面層3aおよび最下層3cの膜厚は、1μm以上5μm以下、好ましくは1.5μm以上4μm以下、より好ましくは2μm以上3μm以下の範囲内にあり、中間層の膜厚3cは、6μm以上30μm以下、好ましくは8μm以上25μm以下、より好ましくは10μm以上20μm以下の範囲内にあるとよい。また、最表面層3aおよび最下層3cは、0wt%以上2wt%以下の範囲内の酸化チタンを含有し、中間層3bは、10wt%以上30wt%以下の範囲内の酸化チタンを含有するとよい。
最表面層3aおよび最下層3cの膜厚が1μmより小さい場合、樹脂被膜層3の削れが発生したり、樹脂被膜層3の表面の光沢を十分に確保できなくなったりする。一方、表面層3aおよび最下層3cの膜厚が5μmより大きい場合には、白色度を確保するために酸化チタンを含有する中間層3bの膜厚を厚くする又は酸化チタンの含有量を増加させる必要があるために、経済性や加工性の点で好ましくない。最表面層3a、中間層3b、および最下層3cの融点差は10℃以下、好ましくは6℃以下、より好ましくは3℃以下の範囲内にすることが望ましい。各層の融点差が10℃より大きい場合、熱処理により各層の溶融状態が大きく異なるため、不均一な変位(流動)によって外観上の欠陥が発生しやすくなる。
加工度が高い成形加工を行った際に樹脂被膜層3に削れや破胴が発生することを抑制するために、樹脂被膜層3にワックス成分を塗布又は添加してもよい。塗布又は添加するワックス成分は、特に限定されないが、有機滑剤および無機滑剤を適用することができる。樹脂被膜層3にワックス成分を塗布する場合、パラフィンなどのような直鎖脂肪族や脂肪酸エステルなどの融点が30℃以上の脂肪族系ワックスを用いることが望ましい。樹脂被膜層3にワックス成分を添加する場合には、ポリエステル樹脂との相溶性が良好なステアリン酸、ステアリン酸エステル、パルミチン酸、パルミチン酸エステルなどの脂肪酸や脂肪酸エステルなどを用いることが望ましい。
ワックス成分の塗布量は20〜80mg/mの範囲内とすることが望ましい。ワックス成分の塗布量が20mg/mより少ない場合、潤滑の効果が少なくなり好ましくない。一方、ワックス成分の塗布量が80mg/mより多い場合には、ワックス成分が過剰となり、製缶時にワックス成分が固形分として金型に残ることによって製缶性を阻害する。ワックス成分の添加量は、0.01wt%〜5wt%の範囲内とすることが望ましい。ワックス成分の添加量が0.01wt%より少ない場合、潤滑の効果が少なくなり好ましくない。一方、ワックス成分の添加量が5wt%より多い場合には、樹脂被膜層3をロール状に巻いたときに、ワックス成分の転写などが発生して問題となる。
樹脂被膜層4は、金属板2に被覆した後の結晶化熱量と融解熱量との差が単位重量当たりに換算して0J/g以上10J/g以下の範囲内にある樹脂材料によって形成されていることが望ましい。結晶化熱量と融解熱量との差が0J/gである場合は、樹脂被膜層4は非晶質状態となり、樹脂被膜層4の結晶化度はほぼ0となり、成形加工後の残留応力が小さくなる。一方、結晶化熱量と融解熱量との差が10J/gより大きい場合には、樹脂被膜層4の結晶化度が高くなり、成形加工後の残留応力が大きくなる。このため、樹脂被膜層4の割れが発生することによって耐食性が悪化する。樹脂被膜層4の結晶化度は、樹脂被膜層3の結晶化度と同様、被覆前の樹脂被膜層4の配向度や融点および被覆条件(温度、ニップ圧、冷却時間、温度)を制御することによって制御できる。
樹脂被膜層4は、エチレンテレフタレート単位とブチレンテレフタレート単位との比が20mol%/80mol%〜79mol%/21mol%の範囲内にある樹脂材料によって形成されている。ブチレンテレフタレート単位が増加すると、樹脂被膜層4に含まれるエチレンテレフタレートの環状3量体の含有量が低下する。
樹脂被膜層4には、エチレンテレフタレートの環状3量体の含有量が少ないポリエチレンテレフタレート原料によって形成されていることが好ましく、樹脂被膜層4中のエチレンテレフタレートの環状3量体の含有量が0.9wt%以下であることが好ましい。エチレンテレフタレートの環状3量体の含有量が0.9wt%以下である場合、レトルト処理に伴う樹脂被膜層4表面へのエチレンテレフタレートの環状3量体の析出量が低減され、レトルト処理後に樹脂被膜層4が白く変色することを抑制できる。また、エチレンテレフタレートの環状3量体の含有量が0.9wt%以下である場合、ジクロロメタンやアセトンなどの極性の高い有機溶媒を金属容器内に充填しても、エチレンテレフタレートの環状3量体が有機溶媒に溶解、析出する量が少ないので、樹脂被膜層4が白く変色することを抑制できる。エチレンテレフタレートの環状3量体の含有量は0.9wt%以下、さらに好ましくは0.8wt%以下、特に好ましくは0.7wt%以下とする。
樹脂被膜層4のエチレンテレフタレートの環状3量体の含有量を0.9wt%以下に制御する方法は特に限定されない。例えば、ポリエステル樹脂を溶融重合した後にポリエステル樹脂の融点以下の温度で真空下又は不活性雰囲気下で固相重合する方法により環状3量体の含有量を0.9wt%以下に制御することができる。また、固相重合後に水処理などにより環状3量体を抽出することでも効果的に環状3量体の含有量を0.9wt%以下に制御することができる。さらに、フィルムを製膜後にフィルムから水又は有機溶剤で環状3量体を抽出除去する方法でも環状3量体の含有量を0.9wt%以下に制御することができる。これらの方法を単独で用いる又は組み合わせることによって、目的の樹脂被膜層4を得ることができる。
金属板として厚さ0.23mmのT3CA、TFS(Tin Free Steel、金属Cr層:120mg/m、Cr酸化物層:金属Cr換算で10mg/m)を用い、フィルムラミネート法(フィルム熱圧着法)を利用して金属板の両面に以下の表1〜3に示す実施例1〜20および比較例1〜12の樹脂被膜層を形成した。具体的には、金属板を樹脂被膜層の融点より20℃高い温度まで加熱した状態で、ニップロールを利用して2軸延伸法で作製したフィルム状の樹脂被膜層を金属板に熱圧着し、次いで5秒以内の水冷によって冷却することにより、金属板の両面に樹脂被膜層を被覆した。なお、成形加工後に容器の外面側に位置する金属板の表面側には白色顔料を含む樹脂被膜層(外面樹脂層)、成形加工後に容器の内面側に位置する金属板の裏面側には白色顔料を含まない樹脂被膜層(内面樹脂層)を被覆した。また、得られた樹脂被膜金属板について、以下に示す方法を利用してワックス成分の付着量(wax塗布量)、樹脂被膜層の固有粘度(IV)、樹脂被膜層の融点、樹脂被膜層の結晶化熱量、および樹脂被膜層の融解熱量を測定した。また、外面樹脂層については、その白色度を測定した。さらに、内面樹脂層については、エチレンテレフタレートの環状3量体の含有量を測定した。測定結果を以下の表1〜表3に示す。
(1)ワックス成分の付着量
ワックス成分の塗布前および塗布後の樹脂被膜金属板の重量を測定し、ワックス成分の塗布前後の樹脂被膜金属板の重量差をワックス成分の付着量として算出した。
(2)固有粘度(IV)
JIS K7367−5に示される方法で測定され、35℃のオルトクロロフェノール中で0.005g/mlの濃度で測定されたもので、固有粘度=(T−T)/(T×c)という式によって求められる。式中、cは溶液100ml当たりの樹脂濃度をグラム数で表した濃度、TおよびTはそれぞれ溶媒および樹脂溶液の毛細管形粘度計内の流下時間を示す。
(3)樹脂被膜層の融点
示差走査熱量測定装置を用いて10℃/分の昇温速度で室温から290℃まで被覆前の樹脂被膜層を昇温したときの吸熱ピークを測定し、200〜280℃の間で測定された吸熱ピークのピーク温度を樹脂被膜層の融点とした。
(4)結晶化熱量および融解熱量
希釈した塩酸により樹脂被膜金属板から樹脂被膜層を剥離し、樹脂被膜層を十分に蒸留水で洗浄して乾燥させた。そして、示差走査熱量測定装置を用いて、10℃/分の昇温速度で−50℃から290℃まで樹脂被膜層を昇温したときの発熱ピークおよび吸熱ピークを測定し、100〜200℃の間で観測された発熱ピークの面積から結晶化熱量を算出し、200℃〜280℃の間で観測された吸熱ピークの面積から融解熱量を算出した。なお、外面樹脂層については、酸化チタンの含有量を除いた重量を樹脂量として、樹脂単位重量当たりの結晶化熱量および融解熱量を算出した。
(5)白色度
分光色差計を用いて樹脂被膜金属板の樹脂被膜層3の白色度をJIS Z8722に示される方法で評価した。測定面積は30mmφ、測定光源をC条件、測定光源に対して2°視野の観察条件で測定したハンター(Hunter)Lab値のL値を白色度とした。
(6)エチレンテレフタレートの環状3量体の含有量
樹脂被膜金属板の樹脂被膜層4を約100mg精秤し、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール/クロロホルム混合溶媒を加えて溶解し、クロロホルムおよびアセトニトリルを加えた樹脂を沈殿させた。溶媒をろ過後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、蒸発残渣にN,N−ジメチルホルムアミドを5ml加えた溶液をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)測定試料とした。このHPLC測定試料を用い、以下に示すHPLC分析条件でエチレンテレフタレートの環状3量体の含有量を求めた。
(HPLC分析条件)
装置:2690/2487液体クロマトグラフ(日立ウォーターズ)
カラム:Develosil ODS−HG−3.3μ 4.6×150mm(野村化学(株))
移動相:0.5%酢酸水溶液/アセトニトリル グラジエント
流量:1.0mL/min
検出:254nm
カラム温度:35℃
注入量:15μL
別途得られたエチレンテレフタレートの環状3量体を用い、エチレンテレフタレートの環状3量体の含有量が既知のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を調製し、上記HPLC分析条件にて分析を行った。得られたクロマトグラムからエチレンテレフタレートの環状3量体のピーク面積を求め、このピーク面積とHPLC測定試料を上記分析条件で分析することで得られたクロマトグラムのエチレンテレフタレートの環状3量体のピーク面積とから、HPLC測定試料中に含まれるエチレンテレフタレートの環状3量体の濃度を求めた。得られたHPLC測定試料中のエチレンテレフタレートの環状3量体の濃度を用いて、HPLC測定試料中に含まれるエチレンテレフタレートの環状3量体の含有量を求めた。
Figure 0005867422
Figure 0005867422
Figure 0005867422
〔評価〕
上記実施例1〜21および比較例1〜12の樹脂被膜金属板について、以下に示す方法を利用してその成形性、肌荒れ、耐食性、加工後密着性、白色度、耐衝撃性、レトルト処理後の内面樹脂層の色調変化を評価した。評価結果を以下の表4に示す。表4に示すように、実施例1〜21の樹脂被膜金属板では、肌荒れの評点は「◎」又は「○」であったのに対して、比較例1〜11の樹脂被膜金属板では、肌荒れの評点は「×」であった。ここで、表1,表2を参照すると、実施例1〜21の樹脂被膜金属板では、外面樹脂層は結晶化熱量と融解熱量との差が単位重量当たりに換算して0.5J/g以上20J/g以下の樹脂材料によって形成されている。これに対して、比較例1〜11の樹脂被膜金属板では、外面樹脂層は結晶化熱量と融解熱量との差が単位重量当たりに換算して20J/g超の樹脂材料によって形成され、比較例12の樹脂被膜金属板では、外面樹脂層は結晶化熱量と融解熱量との差が単位重量当たりに換算して0J/gの樹脂材料によって形成されている。このことから、結晶化熱量と融解熱量との差が単位重量当たりに換算して0.5J/g以上20J/g以下の樹脂材料によって外面樹脂層を形成することにより、レトルト処理によって外観上の欠陥が発生することを抑制できることが確認された。
また、実施例1〜21および比較例1〜10,12の樹脂被膜金属板では、レトルト処理の前後で容器内面側の樹脂被膜層に大きな色調変化が見られなかったのに対して、比較例11の樹脂被膜金属板では、レトルト処理の前後で容器内面側の樹脂被膜層に大きな色調変化が見られた。ここで、実施例1〜21および比較例1〜10,12の樹脂被膜金属板とは異なり、比較例11の樹脂被膜金属板では、容器内面側の樹脂被膜層のエチレンテレフタレート単位とブチレンテレフタレート単位との比が20mol%/80mol%〜79mol%/21mol%の範囲内になく、容器内面側の樹脂被膜層におけるエチレンテレフタレートの環状3量体の含有量は0.90wt%以上である。このことから、容器内面側の樹脂被膜層のエチレンテレフタレート単位とブチレンテレフタレート単位との比が20mol%/80mol%〜79mol%/21mol%の範囲内にあり、且つ、容器内面側の樹脂被膜層におけるエチレンテレフタレートの環状3量体の含有量を0.90wt%以下にすることにより、レトルト処理に伴う容器内面側の樹脂被膜層の色調変化を抑制できることが確認された。
(1)成形性
実施例1〜21および比較例1〜12の樹脂被膜金属板にワックスを塗布後、直径123mmの円板を打ち抜き、絞り比1.7で浅絞り缶を成形した。次に、この浅絞り缶に対し、絞り比1.3で再絞り加工およびDI加工を行い、深絞り缶を成形した。そして、成形後に樹脂被膜表面の削れおよび破胴を目視で観察し、以下に示す基準に従って評点をつけた。
評点「◎◎◎」:フィルム削れが全く観察されない。
評点「◎◎」:フィルム削れが缶フランジ部分から1mm以内の高さ位置に発生した場合。
評点「◎」:フィルム削れが缶フランジ部分から1mmを越えて5mm以内の高さ位置に発生した場合。
評点「○」:フィルム削れが缶フランジ部分から5mmを越えて15mm以内の高さ位置に発生した場合。
評点「△」:フィルム削れが缶フランジ部分から15mmを越えて30mm以内の高さに位置に発生した場合。
評点「×」:フィルム削れが缶フランジ部分から30mmを越えた高さ位置まで発生した場合又は破胴が発生した場合。
(2)肌荒れ
実施例1〜21および比較例1〜12の樹脂被膜金属板にワックスを塗布後、直径158mmの円板を打ち抜き、絞り比1.7で浅絞り缶を得た。次いで、この浅絞り缶に対し、絞り比1.4および1.4で再絞り加工を行い、深絞り缶を成形した。このようにして得られた深絞り缶を、熱風乾燥炉を用いて缶体温度がフィルムの融点近傍になるまで2分間で加熱した後、冷風にて強制冷却した。冷却後の外面フィルムの状態を目視で観察し、以下に示す基準に従って評点をつけた。
評点「◎」:黒点が全く観察されない状態。
評点「○」:黒点が缶フランジ部分から5mm以内の高さ位置に発生した状態。
評点「△」:黒点が缶フランジ部分から5mmを越えて15mm以内の高さ位置に発生した場合。
評点「×」:黒点が缶フランジ部分から15mmを越えた高さ位置で発生した場合。
(3)耐食性
肌荒れ評価において熱処理を行った深絞り缶の缶フランジ部の樹脂被膜層を削り金属板を露出させた。その後、缶内に5%の食塩水を注入し、これに白金電極を浸漬させ(浸漬させた位置は缶中央部)、白金電極および缶のフランジ部(鋼板露出部)をそれぞれ陰極および陽極として電極間に6Vの電圧をかけ、4秒後の電流値を読み取った。そして、10缶測定後の電流値の平均値を求め、以下に示す基準に従って評点を付けた。
評点「○」:電流値0.1mA未満
評点「△」:電流値0.1mA以上、1mA未満
評点「×」:電流値1mA以上
(4)加工後密着性
肌荒れ評価において成形した深絞り缶の缶胴部からピール試験用のサンプル(幅15mm×長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部から樹脂被膜層を一部剥離し、剥離した樹脂被膜層を樹脂被膜層が剥離された金属板とは反対方向(角度:180度)に開き、引張速度30mm/minでピール試験を行い、以下に示す基準に従って幅15mmあたりの密着力を評価した。密着力測定対象面は缶内面側とした。
評点「◎」:1.47N/15mm以上(0.15kgf/15mm以上)
評点「○」:0.98N/15mm以上、1.47N/15mm未満(0.10kgf/15mm以上、0.15kgf/15mm未満)
評点「×」:0.98N/15mm未満(0.10kgf/15mm未満)
(5)白色度評価
樹脂被覆後の樹脂被膜層3の白色度(L値)を測定し白色度を評価した。
評点「○」:L値が75以上
評点「×」:L値が75未満
(6)耐衝撃性
肌荒れ評価において熱処理を行った深絞り缶(各10缶)の側壁に対して、先端半径6.35mm、荷重300g、高さ100mmのデュポン衝撃試験(JIS K5600準拠)を行った。缶の外面側の衝撃部に6.2Vの電圧をかけて4秒後の電流値を読み取り、10缶測定後の平均値を求め、以下に示す基準に従って評点を付けた。
評点「◎」:電流値0.5mA未満
評点「○」:電流値0.5mA以上、2.0mA未満
評点「△」:電流値2.0mA以上、5mA未満
評点「×」:電流値5mA以上
(7)レトルト処理後の内面樹脂層の色調変化
上記(2)の肌荒れの評価に供したサンプルの缶内に、常温の水道水を満たした後、蓋を巻き締めて密閉した。その後、水道水を充填した缶を、レトルト殺菌装置の中に配置し、125℃で90分間、レトルト処理を行った。レトルト処理後、容器内面側の樹脂被膜層の色調変化を調べた。レトルト処理前の白色度(ハンターLab値のL値)とレトルト処理後の白色度との差をとってレトルト処理後の色調変化(ΔL)を求め、以下に示す基準に従って評点を付けた。
評点「◎◎」:ΔL値が0以上〜1以下
評点「◎」:ΔL値が1超〜2以下
評点「○」:ΔL値が2超〜3以下
評点「×」:ΔL値が3超
Figure 0005867422
1 樹脂被膜金属板
2 金属板
3,4 樹脂被膜層

Claims (7)

  1. 金属板の両面にポリエステル樹脂被膜層を備える樹脂被膜金属板であって、
    成形加工後に容器の外面側に位置する前記樹脂被膜層が、前記金属板に被覆された後の結晶化熱量と融解熱量との差が単位重量当たりに換算して0.5J/g以上20J/g以下の範囲内にある樹脂材料によって形成され、成形加工後に容器の内面側に位置する樹脂被膜層はエチレンテレフタレート単位とブチレンテレフタレート単位との比が20mol%/80mol%〜79mol%/21mol%の範囲内にある樹脂材料によって形成され、成形加工後に容器の内面側に位置する樹脂被膜層中のエチレンテレフタレート環状3量体の含有量が0.9wt%以下であり、
    成形加工後に容器の内面側に位置する樹脂被膜層が、前記金属板に被覆された後の結晶化熱量と融解熱量との差が単位重量当たりに換算して0J/g以上20J/g以下の範囲内にある、該結晶化熱量および融解熱量の少なくとも一方が前記成形加工後に容器の外面側に位置する前記樹脂被膜層を形成する樹脂材料の該結晶化熱量および融解熱量とは異なる樹脂材料によって形成されていることを特徴とする樹脂被膜金属板。
  2. 成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層が、エチレンテレフタレート単位が90mol%以上の樹脂材料によって形成され、成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層の融点が、240℃以上254℃以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被膜金属板。
  3. 成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層の固有粘度が、0.55dl/g以上0.90dl/g以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂被膜金属板。
  4. 成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層が、8wt%以上30wt%以下の範囲内の酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の樹脂被膜金属板。
  5. 成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層が、最表面層、中間層、および最下層からなる3層構造を有し、
    前記最表面層および前記最下層の膜厚が、1μm以上5μm以下の範囲内にあり、前記中間層の膜厚が、6μm以上30μm以下の範囲内にあり、
    前記最表面層および前記最下層が、0wt%以上2wt%以下の範囲内の酸化チタンを含有し、前記中間層が、10wt%以上30wt%以下の範囲内の酸化チタンを含有することを特徴とする請求項4に記載の樹脂被膜金属板。
  6. 前記最表面層、前記中間層、および前記最下層の各層の融点の差が10℃以下であることを特徴とする請求項5に記載の樹脂被膜金属板。
  7. 成形加工後に容器の外面側に位置する樹脂被膜層の表面にワックス成分が、20mg/m以上80mg/m以下の付着量の範囲で塗布されていることを特徴とする請求項1〜6のうち、いずれか1項に記載の樹脂被膜金属板。
JP2013014233A 2013-01-29 2013-01-29 樹脂被膜金属板 Active JP5867422B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013014233A JP5867422B2 (ja) 2013-01-29 2013-01-29 樹脂被膜金属板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013014233A JP5867422B2 (ja) 2013-01-29 2013-01-29 樹脂被膜金属板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014144577A JP2014144577A (ja) 2014-08-14
JP5867422B2 true JP5867422B2 (ja) 2016-02-24

Family

ID=51425239

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013014233A Active JP5867422B2 (ja) 2013-01-29 2013-01-29 樹脂被膜金属板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5867422B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA3085410C (en) * 2017-12-15 2022-11-29 Jfe Steel Corporation Resin-coated metal sheet for container

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3958867B2 (ja) * 1998-06-02 2007-08-15 東洋鋼鈑株式会社 着色ポリエステルフィルムの製造方法、着色ポリエステルフィルム被覆金属板の製造方法、および缶の加工方法
JP4103974B2 (ja) * 1998-06-26 2008-06-18 大和製罐株式会社 ポリエステル樹脂被覆アルミニウムシームレス缶およびその製造方法
JP4186336B2 (ja) * 1998-10-05 2008-11-26 東レ株式会社 貼合わせ用ポリエステルフィルム
JP4119697B2 (ja) * 2002-07-17 2008-07-16 三菱樹脂株式会社 化粧シート、及び化粧シートの製造方法
JP4445787B2 (ja) * 2004-03-31 2010-04-07 新日本製鐵株式会社 ポリエステル樹脂フィルム被覆金属板及びポリエステル樹脂フィルム被覆金属缶
JP2006159621A (ja) * 2004-12-07 2006-06-22 Toyobo Co Ltd 絞り・しごき缶被覆用フィルム及びフィルムロール、それを用いた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板、及びフィルム被覆絞り・しごき缶

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014144577A (ja) 2014-08-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5733405B2 (ja) 樹脂被膜金属板
EP2962951B1 (en) Laminated metal plate for two-piece cans and two-piece laminated can body
EP2241437B1 (en) Laminated metal sheet for two-piece can body and two-piece laminated can body
JP5800112B1 (ja) 容器用ラミネート金属板、金属缶の製造方法、及び金属板成形性評価方法
JP5673860B2 (ja) ラミネート金属板および食品用缶詰容器
JP6380280B2 (ja) 容器用樹脂被膜金属板
JP6309741B2 (ja) 樹脂被覆金属板及びシームレス缶
JP6019823B2 (ja) 樹脂被膜金属板
KR20200078654A (ko) 용기용 수지 피막 금속판
JP6683260B2 (ja) 容器用樹脂被膜金属板
JP5786873B2 (ja) 樹脂被膜金属板
JP5867422B2 (ja) 樹脂被膜金属板
WO2016136099A1 (ja) 樹脂被膜金属板、樹脂被膜金属板の製造方法、及び金属容器
JP2001328208A (ja) 樹脂被覆金属板、金属缶及び缶蓋
JP3807037B2 (ja) 押出ラミネート法及びこの方法により得られる製缶用ラミネート
JP2006007746A (ja) 金属板被覆用ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム被覆金属板及びポリエステルフィルム被覆金属容器
JP4839594B2 (ja) 金属板被覆用ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム被覆金属板及びポリエステルフィルム被覆金属容器
JP2006007744A (ja) 金属板被覆用ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム被覆金属板及びポリエステルフィルム被覆金属容器
JP2005225225A (ja) 絞り・しごき缶被覆用フィルム及びフィルムロール、それを用いた絞り・しごき缶用フィルム被覆金属板、及びフィルム被覆絞り・しごき缶

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140825

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150519

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150702

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151208

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151221

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5867422

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250