JP5050838B2 - 容器用樹脂被覆金属板 - Google Patents

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本発明は、容器用樹脂被覆金属板に関するものである。更に詳しくは製缶工程での成形性及び密着性が良好であり、レトルト処理後の内容物取り出し性に優れ、絞り成形やしごき成形等の成形加工によって製造される金属缶の蓋や胴の素材に好適な容器用樹脂被覆金属板に関するものである。
従来、ティンフリースチール(TFS)、アルミニウム等の金属板を用いた金属缶の缶内面及び外面には、金属板の防食を目的として、熱可塑性樹脂フィルムを加熱した金属板に積層する方法が数多く提案されている。
例えば、特許文献1には特定の密度及び面配向係数を有する二軸配向ポリエステルフィルムからなる金属板ラミネート用ポリエステルフィルムが開示されている。また、特許文献2には所定の酸成分とグリコール成分からなり、特定の結晶化度を有する金属板ラミネート用共重合ポリエステルフィルムが、それぞれ開示されている。
しかしながら、これらで提案されているフィルムをラミネートしたラミネート金属板を食品缶詰用途に使用すると、容器から内容物を取り出す際に、内容物が容器内面に強固に付着してしまい、内容物を取り出しにくいという問題がある。
また、特許文献3は内容物取り出し性の点からラミネート後のフィルム表面を水との接触角で規定しているが、食品缶詰用途では、内容物が多岐にわたるため、様々な内容物に対して取り出し性を確保する必要がある。例えば、固形のタンパク質の含有率が高い内容物の場合、レトルト処理後に内容物が容器内面に付着しやすくなり、フィルム表面を水との接触角で規定するだけでは必ずしも満足できる内容物取り出し性が得られない。
特開昭64−22530号公報 特開平2−57339号公報 特開2004−168365公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するものであり、本発明の課題は、食品缶詰用途で用いられ、レトルト処理後も内容物の取り出し性に優れ、またはさらに金属板との密着性、成形性に優れ、絞り成形やしごき成形等の成形加工によって製造される金属缶の蓋や胴の素材に好適な容器用樹脂被覆金属板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、樹脂フィルムを両面に被覆したラミネート金属板において、容器に成形した後に容器内面側になる樹脂層をポリエステルを主体とする樹脂層とし、さらに該樹脂層に脂肪酸アミドを添加し、該樹脂層表面に存在する脂肪酸アミド量を制御することにより、レトルト処理後も内容物取り出し性が良好であることを見出した。
上記課題を解決する本発明の要旨は下記のとおりである。
第1発明は、樹脂フィルムを両面に被覆した容器用金属板であって、容器に成形した後に容器内面側になる樹脂層がポリエステルを60mass%以上含む単層または複層構造のポリエステル樹脂層であって、最上層のポリエステル樹脂層は、ポリエステルを60mass%以上含む樹脂に対して、0.5〜40.0mass%の脂肪酸アミドを含有し、且つ最上層のポリエステル樹脂層表面の脂肪酸アミド由来の窒素元素濃度が0.9原子%以上であることを特徴とする容器用樹脂被覆金属板である。
第2発明は、第1発明において、容器に成形した後に容器内面側になるポリエステル樹脂層の最上層の樹脂層が、ポリエステルを構成する酸成分の55mol%以上がテレフタル酸であることを特徴とする容器用樹脂被覆金属板である。
第3発明は、第1発明または第2発明において、容器に成形した後に容器内面側になるポリエステル樹脂層の金属板と接する樹脂層が、ポリエステルの構成単位の80mol%以上がエチレンテレフタレート単位であることを特徴とする容器用樹脂被覆金属板である。
本発明の樹脂被覆金属板は、レトルト処理後も内容物取り出し性に優れ、あるいはさらに成形性、密着性に優れるので、絞り加工等を行う容器用素材、特に食缶容器用素材として好適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の金属板は、樹脂フィルムを両面に被覆した容器用金属板であって、容器に成形した後に容器内面側になる樹脂層は、ポリエステルを60mass%以上含むポリエステル樹脂層で構成される。該ポリエステル樹脂層は単層でも複層構造でもよい。最上層のポリエステル樹脂層は脂肪酸アミドを0.5〜40.0mass%を含有し且つフィルム表面の脂肪酸アミド由来の窒素元素濃度が0.9原子%以上であることを特徴とする。単層の場合、この樹脂層が最上層である。
ポリエステルを60mass%以上含むポリエステル樹脂に限定したのは、ポリエステルが60mass%未満になると、引張強度、弾性率、衝撃強度等の機械特性が低下するとともに金属板との密着性が悪くなり、容器加工時にフィルム破断等の問題が発生するためである。
最上層のポリエステル樹脂層が脂肪酸アミドを含有し、その表面に脂肪酸アミドが存在するとレトルト処理後も内容物取り出し性に優れる。脂肪酸アミドの長鎖脂肪鎖により最上層樹脂層表面の表面自由エネルギーが低下するためと考えられる。本発明では、樹脂層表面に存在する脂肪酸アミド量を、脂肪酸アミドに由来する窒素量に基いて規定する。
本発明では、最上層のポリエステル樹脂層は脂肪酸アミドを0.5〜40.0mass%を含有し且つ該最上層のポリエステル樹脂層表面の脂肪酸アミド由来の窒素元素濃度が0.9原子%以上である。
最上層のポリエステル樹脂層の脂肪酸アミドの含有量が0.5mass%未満であると、樹脂層表面に存在する脂肪酸アミドの濃度が非常に低くなり、またこの場合、最上層の樹脂層表面の脂肪酸アミド由来の窒素濃度が0.9原子%より低下すると、樹脂層表面に占める脂肪酸アミド量がフィルム全表面に対して約20%より低下し、内容物取り出し性が低下する。脂肪酸アミドの含有量が40.0mass%を超えると、脂肪酸アミドの表面濃化が過度となるため、樹脂層表面で脂肪酸アミドの固定が困難となり、樹脂被覆金属板をコイル状に巻き取ったときに容器成形後に容器外面側となる面に脂肪酸アミドが転写し、外面印刷不良等となり、あるいは樹脂の機械的強度が低下するため成形性が劣化する。
最上層樹脂層表面の脂肪酸アミド由来の窒素濃度が2.0原子%以上であれば、フィルム表面に存在する脂肪酸アミド量がフィルム全表面に対して約40%以上となるため、内容物取り出し性がさらに向上するためより好ましい。
例えば、脂肪酸アミド種がエチレンビスオレイン酸アミドやエチレンビスステアリン酸アミドの場合、最上層樹脂層表面の脂肪酸アミド由来の窒素元素濃度が0.9原子%より低下すれば、最上層樹脂層表面に占める脂肪酸アミド量が約20%より低下し、内容物取り出し性が低下する。また、最上層樹脂層表面の脂肪酸アミド由来の窒素元素濃度が2.0原子%以上であれば、最上層樹脂層表面に存在する脂肪酸アミド量が約40%以上となるため、内容物取り出し性がさらに向上する。一方、最上層樹脂表面の窒素元素が6.0原子%を超えた場合、コイルとして巻き取った場合、内面側フィルムと外面側フィルムが接触し、脂肪酸アミドが転写されてしまうため、6.0原子%以下であることが好ましい。
脂肪酸アミドの種類は特に限定されないが、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルシン酸アミド、ラウリン酸アミド、パルミチル酸アミド、ベヘン酸アミドやメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド等のN−置換アミド等を用いることができる。
最上層樹脂層表面の脂肪酸アミド由来の窒素原子濃度の制御は、該樹脂層に添加する脂肪酸アミドの種類、脂肪酸アミドの含有量、ポリエステル樹脂組成、ラミネート条件、ラミネート後の熱処理等により制御することができる。
最上層樹脂層表面の脂肪酸アミド由来の窒素元素濃度は、XPSを用いて測定する。本明細書では、SII社製SSX−100を用いて、試料表面上で直径1000μmに集光した単色AlKα線(hν=1486.6eV)を用いて行った。装置のエネルギー値の較正はAu 4f7/2ピークの結合エネルギー値を83.96±0.05eVとして行った。また、フィルム樹脂層は絶縁体であるため、チャージアップを防止するため、電子線照射による緩和処理を行った。以上の条件でN 1S、C 1S、O 1Sのワイドスペクトルを測定した。窒素濃度は測定したXPSスペクトルの面積強度より計算した。
容器に成形した後に容器内面側になるポリエステル樹脂層の最上層は、内容物取り出し性、成形性、耐熱性及び味特性の要求性能の観点から、酸成分としてテレフタル酸を主たる構成成分とするものが好ましい。具体的には、フィルムを構成するポリエステルの酸成分の55mol%以上がテレフタル酸であることが好ましい。ガラス転移点がより高くなることから特に高度な内容物取り出し性、味特性を得ることができる。
さらに、容器に成形した後に容器内面側になるポリエステル樹脂層の金属板と接する樹脂層のポリエステルの構成単位の80mol%以上がエチレンテレフタレート単位であることが好ましい。これにより金属板にラミネートした際の耐食性、密着性の向上が可能となる。
ポリエステル樹脂は、内容物取り出し性、味特性、耐食性、密着性を損ねない範囲で他のジカルボン酸成分を共重合させたものであってもよく、ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族カルボン酸;p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合させてもよい。
本発明では、上記ポリマーを2種以上ブレンドして使用することも可能である。なお、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、結晶核剤等を配合できる。
本発明で用いるポリエステル樹脂は機械的特性、ラミネート性、味特性を向上させる点からポリエステルの重量平均分子量は、5000〜40000の範囲であるものが好ましく、さらに好ましくは10000〜30000の範囲である。
本発明のポリエステル樹脂層は単層、複層構造のいずれでもよい。単層構造の場合は樹脂層の厚みは2μm以上100μm以下であることが好ましく、更に8μm以上50μm以下、特に10μm以上25μm以下の範囲であることが好ましい。複層構造の場合、最上層となるポリエステル樹脂層の厚みは、0.5μm以上5.0μm以下の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、0.5μm以上1.5μm以下の範囲である。下層となるポリエスエル樹脂層の厚みは7.5μm以上45μm以下の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、9.5μm以上23.5μm以下の範囲である。
本発明では、容器に成形した後に容器外面側になる樹脂層は、金属板との密着性および耐食性の観点からポリエステル樹脂が好ましく、さらに機械的強度の点から酸成分としてテレフタル酸を主たる構成成分とするものであることが好ましい。具体的には、フィルムを構成するポリエステルの酸成分の60mol%以上がテレフタル酸であることが好ましい。さらにラミネート時の熱処理条件等から容器内面側となるポリエステル樹脂の融点と同程度のものが好ましい。さらに、ポリエステル樹脂層の厚みは2μm以上100μm以下であることが好ましく、更に5m以上40μm以下、特に8μm以上20μm以下の範囲であることが好ましい。
次に製造方法について説明する。
ポリエステルを60mass%以上含む樹脂層は、例えばダイレクトラミネート製法により形成された無配向層樹脂層であっても良いが、ニ軸延伸フィルムを金属板上に熱融着ラミネートして形成された樹脂層であれば、耐衝撃性・耐食性が向上するため好適である。
また、複層構造の樹脂層の形成方法としては、ダイレクトラミネート製法により複数の樹脂層を共押し出しすることによって、金属板上に直接積層しても良いし、複層構造のポリエステルフィルムを金属板上に熱融着させる方法でもよい。
次に、ポリエステルを60mass%以上含む樹脂中に脂肪酸アミドを添加する方法であるが、例えば、押出機によりポリエステルを60mass%以上含む樹脂と脂肪酸アミドを溶融混練することによりポリエステルを60mass%以上含む樹脂に脂肪酸アミドを含有させ、混練後に溶融押出して金属板上に樹脂皮膜を形成する方法や、脂肪酸アミドを含む塗液をポリエステルフィルムの製膜時もしくは製膜後に塗布して、最上層に脂肪酸アミドを含有したポリエステル樹脂層を形成させる方法が挙げられる。
押出機による溶融混練でポリエステルを60mass%以上含む樹脂に脂肪酸アミドを添加する方法は、ベースのポリエステルを60mass%以上含む樹脂に対する脂肪酸アミドの溶解量に制限があるのに対して、後者の方法は塗液に脂肪酸アミドを添加できるため、脂肪酸アミドの添加量を増やすことが容易であることと、高温の加熱による脂肪酸アミドの分解、昇華等が抑えられるため、脂肪酸アミドの添加量の制御がしやすいので、本発明の目的・用途には、後者の方が好ましい。
なかでも、二軸配向ポリエステルフィルムの製膜時もしくは製膜後に脂肪酸アミドを含む塗液を塗布し、加熱乾燥させて塗膜を形成させることにより、最上層に脂肪酸アミドを含む樹脂層を有する複層構造フィルムを製造する方法が好ましい。製膜時に塗布する場合は、ドラムキャスティング直後、もしくはドラムへキャスティングした後の縦延伸直後に行うことが好ましい。また、二軸配向ポリエステルフィルムへの塗布においては、グラビアロールコート法が好適であり、塗液塗布後の乾燥条件としては、80〜170℃で20〜180秒間、特に80〜120℃で60〜120秒間が好ましい。
脂肪酸アミド量および樹脂層表面の脂肪酸アミド由来の窒素元素濃度の制御は次のようにする。
ポリエステルを60mass%以上含む樹脂に脂肪酸アミドを添加し、押出成形機で混練後に溶融混練し、金属板上に樹脂皮膜を形成する場合は、混練時にポリエステルを60mass%以上含む樹脂に対する脂肪酸アミドの添加量や混練時の温度、該樹脂組成、ラミネート条件、ラミネート後の熱処理条件等を制御して本発明の樹脂層が得られるようにする。
また、脂肪酸アミドを含む塗液をポリエステルフィルムの製膜時もしくは製膜後に塗布して、最上層に脂肪酸アミドを含有したポリエステル樹脂層を形成させる場合は、塗液に対する脂肪酸アミドの添加量、塗液組成を制御して行う。この場合、塗膜の基材となる樹脂は60mass%以上がポリエステル樹脂であり、この樹脂に対して脂肪酸アミドを0.5〜40.0mass%添加し、トルエン等の溶剤に溶解または分散させ、脂肪酸アミド量の制御を行う。この塗液をフィルムにコーティングすることにより目的の被覆フィルムを得る。さらにラミネート時のラミネート条件(金属板温度、ニップ圧、ロール温度等)やラミネート後の熱処理条件等を制御して本発明の樹脂層が得られるようにする。
次に、該フィルムを金属板に熱融着法によってラミネートし、樹脂被覆金属板を製造する方法について述べる。本発明では、例えば、金属板をフィルムの融点を超える温度で加熱し、その両面に樹脂フィルムを圧着ロール(以後ラミネートロールと称す)を用いて接触させ熱融着させる方法を用いることができる。塗布方式によって上層に脂肪酸アミドを含有する樹脂層を形成した複層フィルムは脂肪酸アミドを塗布したかった面が金属面側になるようにして、ラミネートロールを用いて金属板に接触させ熱融着させることが必要である。
ラミネート条件については、本発明に規定する樹脂層が得られるように適宜設定される。例えば、ラミネート開始時の金属板温度をフィルムの融点以上とし、ラミネート時にフィルムの受ける温度履歴として、フィルムの融点以上の温度で接している時間を1〜20msecの範囲とすることが好適である。また、フィルム表面の脂肪酸アミド由来の窒素元素濃度の制御の点からもフィルムの融点以上の温度で接している時間が1〜20msecの範囲が好ましい。この時間が1msecより短いと脂肪酸アミドがフィルム表面に濃化できず、所定の窒素元素濃度が得られない。また、20msecを超えると、脂肪酸アミドの昇華によるフィルム表面の窒素元素濃度の減少がおこり好ましくない。このようなラミネート条件を達成するためには、高速でのラミネートに加え接着中の冷却も必要である。ラミネート時の加圧は特に規定するものではないが、面圧として9.8〜294N(1〜30kgf/cm)が好ましい。この値が低すぎると、樹脂界面の到達する温度がフィルム融点以上であっても時間が短時間であるため溶融が不十分であり、十分な密着性を得難い。また、加圧が大きいとラミネート金属板の性能上は不都合がないものの、ラミネートロールにかかる力が大きく設備的な強度が必要となり装置の大型化を招くため不経済である。
金属板としては、缶用材料として広く使用されているアルミニウム板や鋼板等を用いることができ、特に下層が金属クロム、上層がクロム水酸化物からなる2層皮膜を形成させた表面処理鋼板(いわゆるTFS)等が最適である。
TFSの金属クロム層、クロム水酸化物層の付着量についても、特に限定されないが、加工後密着性・耐食性の観点から、何れもCr換算で、金属クロム層は70〜200mg/m、クロム水酸化物層は10〜30mg/mの範囲とすることが望ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。
<金属板の作製>
厚さ0.18mm・幅977mmの冷間圧延、焼鈍、調質圧延を施した鋼板を、脱脂、酸洗後、クロムめっきを行い、クロムめっき鋼板(TFS)を製造した。クロムめっきは、CrO、F、SO 2−を含むクロムめっき浴でクロムめっき、中間リンス後、CrO、Fを含む化成処理液で電解した。その際、電解条件(電流密度・電気量等)を調整して金属クロム付着量とクロム水酸化物付着量を、Cr換算でそれぞれ120mg/m、15mg/mに調整した。
<フィルムの作製>
(容器成形後に容器内面側になるフィルム)
単層フィルム:
ポリエステル樹脂と必要量の脂肪酸アミドをあらかじめ混合し、押出機内で加熱混練し、スリット状のダイからシート状に押し出し、静電印荷方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、未延伸シートを得た。この未延伸シートをフィルムの長手方向及び幅方向に延伸、熱固定することにより二軸配向延伸フィルムを作製した。脂肪酸アミドの添加量は混合した際のポリエステル樹脂との重量比とした。
二層フィルム:
二軸配向延伸フィルムの表面に脂肪酸アミドを含む塗液(表1に示す脂肪酸アミドの添加量および変性ポリエステル、溶剤はトルエンとメチルエチルケトン混合溶媒)をロールコーティングにより塗布し、80〜120℃で乾燥した。
(容器成形後に容器外面側になるフィルム)
ポリエステル樹脂を必要に応じて乾燥した後、押出機内で加熱し、スリット状のダイからシート状に押し出し、静電印荷方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、未延伸シートを得た。この未延伸シートをフィルムの長手方向及び幅方向に延伸することにより二軸延伸フィルムを得た。
<ラミネート金属板の作製>
金属帯のラミネート装置を用い、前記で得た金属板(クロムめっき鋼板)を金属帯加熱装置で加熱し、ラミネートロールで前記クロムめっき鋼帯の両面に樹脂フィルムをラミネート(熱融着)し、ラミネート金属板(ラミネート鋼板)を製造した。ラミネートロールは内部水冷式とし、ラミネート中に冷却水を強制循環し、フィルム接着中の冷却を行った。ラミネートした樹脂フィルムの内容およびラミネート条件を表1に記載する。
以上の方法で製造したラミネート金属板のフィルム表面の脂肪酸アミド由来の窒素濃度を下記の(1)の方法により、また、ラミネート金属板の特性を下記の(2)〜(5)の方法により、測定、評価した。結果を表1及び表2に記載する。
(1)フィルム表面の脂肪酸アミド由来の窒素元素濃度
フィルム表面の元素組成をXPS(X線光電子分光)により分析した。X線源はAlKα線を用いてXPSワイドスキャンスペクトルから窒素原子濃度を求めた。
フィルム表面の脂肪酸アミド由来の窒素元素濃度は、XPSを用いて測定した。すなわち、SII社製SSX−100を用いて,試料表面上で直径1000μmに集光した単色AlKα線(hν=1486.6eV)を用いて行った。装置のエネルギー値の較正はAu 4f7/2ピークの結合エネルギー値を83.96±0.05eVとして行った。また,フィルム樹脂層は絶縁体であるため,チャージアップを防止するため、電子線照射による緩和処理を行った。以上の条件でN 1S、C 1S、O 1Sのワイドスペクトルを測定した。窒素濃度は測定したXPSスペクトルの面積強度より計算した。
(2)内容物取り出し性1(低タンパク質内容物)
絞り成形機を用いて、ラミネート金属板にワックスを塗布後、ブランク径:100mm、絞り比(成形前径/成形後径):1.88でカップ成形した。続いて、卵・肉・オートミールを均一混合させた内容物(固形分中のタンパク質比率:約30%)をカップ内に充填し、蓋を巻き締めた後、レトルト殺菌処理(130℃、90分間)を行った。その後、蓋を取り外し、カップを逆さまにして内容物を取り出した時に、カップ内側に残存する内容物の程度を観察することにより、内容物の取り出し易さの程度を評価した。
(評点について)
○:カップをさかさまにしただけで(手で振ることなく)内容物が取り出せ、取り出し後のカップ内面を肉眼で観察した際、付着物がほとんど確認できない状態になるもの。
△:カップをさかさまにしただけではカップ内側に内容物が残存するが、カップを上下に振動させる(手でカップを振るなどの動作をする)と、内容物が取り出せる。取り出し後のカップ内面を肉眼で観察した際、付着物がほとんど確認できない状態になるもの。
×:カップを上下に振動させる(手でカップを振るなどの動作をする)だけでは、内容物が取り出し難い。上下に振動させるスピードを極端に増すか、もしくはスプーンなどの器具を用いて内容物を強制的に取り出した後、カップ内面を肉眼で観察した際、付着物が明らかに確認できる状態になるもの。
(3)内容物取り出し性2(高タンパク質内容物)
(2)と同様に絞り比1.88でカップ成形し、続いて、ランチョンミート用の塩漬け肉(固形分中のタンパク質比率:50%以上)をカップ内に充填し、蓋を巻き締めた後、レトルト殺菌処理(130℃、90分間)を行った。その後、蓋を取り外し、カップを逆さまにして内容物を取り出した時に、カップ内側に残存する内容物の程度を観察することにより、内容物の取り出し易さの程度を(2)と同様の方法で評価した。
(4)成形性
ラミネート金属板にワックス塗布後、直径179mmの円板を打ち抜き、絞り比1.80で浅絞り缶を得た。次いで、この絞り缶に対し、絞り比2.20で再絞り加工を行った。この後、常法に従いドーミング成形を行った後、トリミングし、次いでネックイン−フランジ加工を施し深絞り缶を成形した。このようにして得た深絞り缶のネックイン部に着目し、缶内面側フィルムの損傷程度を目視観察した。
(評点について)
○:成形後フィルムに損傷が認められない状態
△:成形可能であるが、部分的にフィルム損傷が認められる状態
×:缶が破胴し、成形不可能
(5)密着性
上記(4)で成形した缶に対し、缶胴部よりピール試験用のサンプル(幅15mm×長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムを一部剥離し、引張試験機で剥離した部分のフィルムを、フィルムが剥離されたクロムめっき鋼板とは反対方向(角度:180°)に開き、引張速度30mm/minでピール試験を行い、密着力を評価した。なお、密着力測定対象面は、缶内面側とした。
(評点について)
◎:0.15kgf/15mm以上
○:0.10kgf/15mm以上、0.15kgf/15mm未満
×:0.10kgf/15mm未満
Figure 0005050838
Figure 0005050838
表1及び表2に示すように、本発明範囲の発明例は、いずれも良好な特性を示した。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、内容物取り出し性、密着性、成形性のうちの少なくとも1つの特性が不良であった。
本発明の樹脂被覆金属板は、レトルト処理後の内容物取り出し性に優れ、またはさらに密着性、成形性に優れるので、絞り成形やしごき成形等の成形加工によって製造され、食品缶詰用途で用いられる金属缶の蓋や胴の素材として利用することができる。

Claims (3)

  1. 樹脂フィルムを両面に被覆した容器用金属板であって、容器に成形した後に容器内面側になる樹脂層がポリエステルを60mass%以上含む単層または複層構造のポリエステル樹脂層であって、最上層のポリエステル樹脂層は、ポリエステルを60mass%以上含む樹脂に対して、0.5〜40.0mass%の脂肪酸アミドを含有し、且つ最上層のポリエステル樹脂層表面の脂肪酸アミド由来の窒素元素濃度が0.9原子%以上であることを特徴とする容器用樹脂被覆金属板。
  2. 容器に成形した後に容器内面側になるポリエステル樹脂層の最上層の樹脂層が、ポリエステルを構成する酸成分の55mol%以上がテレフタル酸であることを特徴とする請求項1に記載の容器用樹脂被覆金属板。
  3. 容器に成形した後に容器内面側になるポリエステル樹脂層の金属板と接する樹脂層が、ポリエステルの構成単位の80mol%以上がエチレンテレフタレート単位であることを特徴とする請求項1または2に記載の容器用樹脂被覆金属板。
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