JP7080125B2 - ポリエステル樹脂被覆金属板、ポリエステル樹脂被覆金属板の製造方法、そのポリエステル樹脂被覆金属板からなる容器及び容器蓋 - Google Patents
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Description
いずれの場合もレトルト釜の昇温速度への依存が大きく、特に連続式の製造ラインの様に昇温速度が特に速いレトルト釜に適用できる熱可塑性樹脂被覆金属容器の開発が求められている。
(1)本発明のポリエステル樹脂被覆金属板は、金属板と、前記金属板の少なくとも片面に接するように積層されたポリブチレンテレフタレート層と、を有し、前記ポリブチレンテレフタレート層における(100)面のX線回折強度と(1-11)面のX線回折強度比Rが1.3以上6.6以下の範囲内であることを特徴とする。(ただし、前記(100)面のX線回折強度は回折角2θが23.0°~24.0°の範囲に確認される最大値であり、前記(1-11)面のX線回折強度は回折角2θが25.0°~26.0°の範囲に確認される最大値であり、前記X線回折強度比R=(100)面の回折強度/(1-11)面の回折強度である。)
(2)上記(1)に記載のポリエステル樹脂被覆金属板において、前記ポリブチレンテレフタレート層は、前記金属板の片面に積層されており、前記金属板の他方の面には前記ポリブチレンテレフタレート層とは異なるポリエステル樹脂層が積層されていることが好ましい。
(3)上記(2)に記載のポリエステル樹脂被覆金属板において、前記異なるポリエステル樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート樹脂層、イソフタル酸が共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂層、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートがブレンドされた樹脂層、および、イソフタル酸が共重合されたポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとがブレンドされた樹脂層の中から選択されるいずれかであることが好ましい。
(4)上記(2)又は(3)に記載のポリエステル樹脂被覆金属板において、前記異なるポリエステル樹脂層は、未配向の状態でラミネートされていることが好ましい。
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載のポリエステル樹脂被覆金属板において、前記X線回折強度比Rが、1.3以上3.0以下の範囲内であることが好ましい。
(6)上記(5)に記載のポリエステル樹脂被覆金属板において、前記X線回折強度比Rが、1.3以上2.7以下の範囲内であることが更に好ましい。
(7)本発明の容器は、上記した(1)~(6)のいずれかに記載のポリエステル樹脂被覆金属板を用いて成形されたことを特徴とする。
(8)本発明の容器蓋は、上記した(1)~(6)のいずれかに記載のポリエステル樹脂被覆金属板を用いて成形されたことを特徴とする。
(9)本発明のポリエステル樹脂被覆金属板の製造方法は、金属板の少なくとも片面に対し、積層後のポリブチレンテレフタレート層における(100)面のX線回折強度と(1-11)面のX線回折強度比Rが1.3以上6.6以下の範囲内となるようにラミネートロールを用いて二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを積層するポリエステル樹脂被覆金属板の製造方法であって、前記金属板の板温を240℃~300℃の範囲内とし、前記ラミネートロールの表面温度を30℃~180℃の範囲内としつつ、かつ、ラミネート前の金属板の板温とラミネートロールの表面温度との温度差を80℃以上確保した条件にて前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを前記金属板に積層する積層工程と、前記積層工程の後で、前記積層工程により溶解した前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムの配向結晶が復帰する配向復帰工程と、前記配向復帰工程の後で、前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムが積層された金属板を急冷する急冷工程と、を含むことを特徴とする。(ただし、前記(100)面のX線回折強度は回折角2θが23.0°~24.0°の範囲に確認される最大値であり、前記(1-11)面のX線回折強度は回折角2θが25.0°~26.0°の範囲に確認される最大値であり、前記X線回折強度比R=(100)面の回折強度/(1-11)面の回折強度である。)
また本発明によれば、ポリエステル樹脂被覆金属板の製造方法、ポリエステル樹脂被覆金属板からなる容器及び容器蓋を提供することができる。
図1に示すように、本実施形態におけるポリエステル樹脂被覆金属板は、金属板1と、前記金属板1の少なくとも片面に接するように積層(ラミネート)されたポリブチレンテレフタレート層Aとを含む。
なお、前記ポリブチレンテレフタレート層Aは、前記金属板1が容器や容器蓋に成形された場合に、外面となる側に設けられることが好ましい。
前記金属板1としては、通常の金属缶等の容器や容器蓋に使用される公知の金属板を使用することが可能であり、特に制限されるものではない。例えば好ましく使用される金属板として、表面処理鋼板や、アルミニウム板及びアルミニウム合金板等の軽金属板を使用することができる。
なお、金属板の厚み等は、使用目的に応じて適宜選択することができる。
本実施形態において、上記金属板1の少なくとも片面にはポリブチレンテレフタレート層Aが設けられている。このポリブチレンテレフタレート層Aは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のホモポリマーからなることを特徴とする。すなわち、本実施形態のポリブチレンテレフタレート層Aは、ポリエチレンテレフタレート(PET)等とのブレンドフィルムではなく、また、イソフタレート等の共重合成分も含まない。
またポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法としては、結晶化速度の速さから逐次二軸延伸法の適用は困難であり、同時二軸延伸法による製造が一般的である。同時二軸延伸法としては、チューブラー方式やテンター方式が挙げられるが、縦横の強度バランスが良い点でチューブラー方式が特に好ましい。延伸倍率はフィルムの強度物性、透明性、及び厚みの均一性を考慮して、MD、及びTDそれぞれ2.7~4.5倍の範囲であることが好ましい。
本実施形態におけるポリブチレンテレフタレート層Aは、(100)面のX線回折強度と(1-11)面のX線回折強度比Rが1.3以上6.6以下の範囲内であることを特徴とする。ここで、前記(100)面のX線回折強度は回折角2θが23.0°~24.0°の範囲に確認される最大値であり、前記(1-11)面のX線回折強度は回折角2θが25.0°~26.0°の範囲に確認される最大値である。また、前記X線回折強度比Rは、「(100)面の回折強度/(1-11)面の回折強度」の値を表すものとする。
また、本明細書においては、表記の都合上、
を「(1-11)面」と記載するものとする。
従って、(1-11)面由来のピークが観測されることは、PBT中におけるベンゼン環の一部が、フィルム表面に対して45°に傾いて配向していることを意味するものと考えられる。
上述したように、PBTのX線回折強度は、分子鎖中のベンゼン環の向きが特定の面に揃うことで強く現れることが知られている。
すなわち、熱接着以外の方法によっても、ラミネート後のPBTフィルムのX線回折強度比Rを規定の範囲内とすれば、本発明の要求する耐衝撃性、成形性、レトルト密着性、レトルトブラッシング耐性、のいずれにおいても好ましい特性を得ることが可能である。
故に(1-11)面のX線回折強度のピークは配向結晶の指標である(100)面のX線回折強度のピーク変化と連動するパラメータであるといえる。さらに配向結晶を熱により崩して行くと、(1-11)面のX線回折強度のピークは緩やかに低下する一方で、配向結晶の指標である(100)面のX線回折強度はより大きな低下傾向を示す。本発明においては、この連動する二つのピーク強度の差が小さくなり、その強度比が上記の規定の範囲内となる場合において、成形性及びレトルト密着性を両立可能であることを見出した。
具体的には、(100)面のX線回折強度と(1-11)面のX線回折強度の比を6.6以下にする必要があることが確認できた。
一方で、PBTは非常に結晶化速度の速い樹脂のため、ラミネート後に短時間で冷却を行わないと上記した配向復帰により、元の配向結晶状態に戻る割合が多くなり、結果として十分な密着性を確保できなくなる可能性がある。これらの推測から、(1-11)面のX線回折強度のピークは、密着性に有効に作用する「メルト層」が一定量形成されていることと、ラミネート後の配向復帰量が少量に抑制されていることを示す指標と成り得ると考えた。
さらには、(100)面と(1-11)面の両方の結晶面におけるピーク強度の比により、成形性及びレトルト密着性の両方の特性をより好ましい次元で両立できると考えた。
一方で、上記したX線回折強度比Rが6.6を超える場合は、(1-11)面の配向復帰の量に対して(100)面の配向結晶の量が多過ぎるため、絞り加工や絞りしごき加工等の厳しい加工を行う際や、レトルト殺菌処理時において、フィルムが金属板から剥離する可能性があり好ましくない。
例えば、ポリブチレンテレフタレート層Aを形成した金属板の樹脂被覆面を、X線回折装置を用い測定する。測定条件の例として、X線管球(ターゲット)としてCu(波長λ=0.1542nm)を使用して、管電圧40kV、管電流200mA程度で、回折ピークが分離できるように受光スリットを選択する。
なお、本実施形態においては、バックグラウンド補正は不要であり、得られたX線回折スペクトルのピーク高さはバックグラウンド補正無しで測定するものとする。
すなわち上述したように、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のホモポリマーは、その結晶化速度の速さによりレトルトブラッシング(白斑)の問題を改善するために有効である。仮にポリブチレンテレフタレート層Aを、PBTホモポリマー以外の樹脂との複層とした場合、PBTホモポリマー以外の樹脂層では結晶化速度が遅く不十分であり、十分な水蒸気バリア性を確保できない。その結果、PBTホモポリマー以外の樹脂層においてレトルトブラッシング(白斑)が発生してしまい、好ましくない。
一方で、ポリブチレンテレフタレート層Aの厚みが30μmを超える場合は、フィルム内の残留応力が大き過ぎるため、レトルト密着性の確保が難しくなる点や、コストの観点から望ましくない。
以下、上記のポリエステル樹脂層Bについて説明をする。
ポリエステル樹脂層Bを構成するポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸が共重合されたポリエチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートがブレンドされた樹脂、イソフタル酸が共重合されたポリエチレンテレフタレート/イソフタレートとポリブチレンテレフタレートとがブレンドされた樹脂、等を挙げることができる。しかしながら、これに限定されず、公知のポリエステル樹脂を適用することが可能である。
次に、本実施形態におけるポリエステル樹脂被覆金属板の製造方法について説明するが、本発明は以下の記載に制限されるものではない。
本実施形態のポリエステル樹脂被覆金属板は、金属板1の少なくとも片面にポリブチレンテレフタレート層Aを熱接着により形成することにより製造することができる。
(1)前記金属板の板温を240℃~300℃の範囲内とし、前記ラミネートロールの表面温度を30℃~180℃の範囲内としつつ、かつ、ラミネート前の金属板の板温とラミネートロールの表面温度との差を80℃以上確保した条件にて前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを前記金属板に積層する積層工程;
(2)前記積層工程の後で、前記積層工程により溶解した前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムの配向結晶がラミネート直後の板温度の影響により復帰する配向復帰工程;
(3)前記配向復帰工程の後で、前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムが積層された金属板を急冷する急冷工程。
以下、各工程について説明する。
図3に示すように、金属板1を、図示しない加熱ロールにより240℃~300℃の温度に加熱する。そして加熱された金属板1を、ラミネートロール3A、3B間に供給する。
ここで、金属板1の加熱温度が240℃未満である場合、ポリブチレンテレフタレート層Aを形成した後に残存する二軸延伸PBTフィルムの(100)面のX線回折強度、すなわち配向結晶の量が多過ぎるため、X線回折強度比Rの値を好ましい範囲内とすることが困難であり、好ましくない。
一方で、金属板1の加熱温度が300℃を超える場合には、ポリブチレンテレフタレート層Aがラミネートの際、フィルム全体が溶融状態となってしまい、ラミネートロールに溶着する、もしくはラミネートロール表面の粗度が転写してしまうため好ましくない。
ニップ部の通過時間はすなわち、ラミネートロールによりポリエステル樹脂被覆金属板が冷却される時間である。したがって、ラミネート速度は、ポリブチレンテレフタレート層AのX線回折強度比Rの値を制御するパラメータのひとつであるといえる。
一方で、ラミネート速度が300mpmを超える場合は、金属板とフィルムとの間に巻き込まれる気泡の量が大幅に増加するため、耐食性及びレトルト密着性の観点から好ましくない。
その場合、金属板1の両面にポリブチレンテレフタレート層Aを形成してもよい。
あるいは、金属板1の片面にポリブチレンテレフタレート層Aを形成し、他方の面にポリブチレンテレフタレート層Aとは異なるポリエステル樹脂層Bを設けてもよい。その場合、図3に示すように、ポリエステル樹脂層Bとなるポリエステル樹脂フィルムB’を、ポリブチレンテレフタレートフィルムA’と同様にしてラミネートロール3A、3B間で挟み付け、熱接着することができる。
図3に示すように、ラミネートロール3A、3Bの下方には、冷却水を収容したクエンチタンク12が設けられている。上記した積層工程の後で、得られたポリエステル樹脂被覆金属板は、クエンチタンク12に送られる。
積層工程における熱により、ポリブチレンテレフタレート樹脂層A中の配向結晶は溶解している。しかしながら、上述したようにポリブチレンテレフタレートのホモポリマーは結晶化速度が非常に速いため、得られたポリエステル樹脂被覆金属板がクエンチタンク12へ送られるまでの間で、崩れた配向結晶が元の配向結晶状態に戻ろうとする現象が発生する(配向復帰)。
配向復帰が生じる時間Tが3秒を超える場合、上述した配向復帰が大きくなりすぎるため、本実施形態の特徴であるX線回折強度比Rを好ましい値に制御することが困難となる。
従って、本実施形態においては、時間Tを3秒以下とすることが好ましいといえる。
上述したように、図3に示されるように、ラミネートロール3A、3Bの下方には、冷却水を収容したクエンチタンク12が設けられている。得られたポリエステル樹脂被覆金属板は、このクエンチタンク12に送られ、直ちに80℃以下に急冷されることが、本実施形態の特徴であるX線回折強度比Rを好ましい値に制御するためには好ましい。
冷却温度が80℃を超える場合、冷却後も配向復帰が進んでしまい、本実施形態の特徴であるX線回折強度比Rの値を好ましい範囲に制御することができない可能性があるため、好ましくない。
次に、本実施形態における金属缶等の容器について説明する。
本実施形態における容器としては、飲料缶や食品缶等の金属缶、角形缶、一斗缶、ドラム缶、バッテリーケース、パウチ等を例示することができるが、これらに限られるものではない。
あるいは、容器の外面には上記したポリブチレンテレフタレート層Aが形成され、内面には上記したポリエステル樹脂層Bが積層されていてもよい。
本実施形態における容器蓋としては、いわゆるステイ・オン・タブタイプのSOT缶蓋や、フルオープンタイプのイージーオープン缶蓋(EOE)が挙げられる。または、3ピース缶の天地蓋を挙げることもできる。これらの缶蓋も、公知の方法により製造することができる。
金属板としては、板厚0.225mmのティンフリースチール(TFS)板を使用した。
ポリブチレンテレフタレート層Aとして、厚み15μmの興人フィルム&ケミカルズ(株)の二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(商品名BOBLET)を用意した。
X線回折装置:株式会社リガク製、RINT-2500
X線 :CuKαX線(波長λ=0.1542nm)
管電圧 :40kV
管電流 :200mA
発散スリット:1/2°
受光スリット:0.15mm
「(100)面の回折強度/(1-11)面の回折強度」の計算により、X線回折強度比R=2.0の値を得た。結果を表1に示す。
上記のようにして得られたポリエステル樹脂被覆金属板に、パラフィンワックスを片面50mg/m2ずつ塗布し、ポリブチレンテレフタレート層Aが缶外面となるようにして直径142mmの円板(ブランク)に打抜くと同時に絞り加工により1stカップを作製した。作製した1stカップに再絞り加工を行い、絞り比2.15のDRD(Draw and Redraw)カップを作製した。
次いで、カップの底から40mmの高さ位置にデュポン衝撃試験機を用いて高さ50mmから172gの重りをポンチ(先端R=0.5mm)に落下させ、デントを付与した。なお、デント付与箇所は、板の圧延方向、45°方向、直角方向の3か所とした。
その後、デント部のERV(Enamel Rater Value)を測定した。測定に際しては、指定の電解液(1%NaCl+界面活性剤(ラピゾール、日本油脂製)・200mg/L)を2:1の割合でエタノールにより希釈した液を用いた。6.3Vの電圧を印可し、4秒後の電流値を測定し、以下のように評価を行った。
◎ ・・・ 0.005mA以下、
○ ・・・ 0.005mAを超え0.05mA以下、
△ ・・・ 0.05mAを超え0.5mA以下、
× ・・・ 0.5mA超え
得られたポリエステル樹脂被覆金属板に、パラフィンワックスを片面50mg/m2ずつ両面に塗布した。直径151mmの円板(ブランク)に打ち抜いた後、ポリブチレンテレフタレート層Aが缶外面となるようにして、絞り加工を行い1stカップに加工した。続いてB/M(Body Maker)にてリダクション率45%のDI缶(7号缶)に200cpmの速度で製缶し、缶外面の削れの発生の有無を確認した。
結果を以下のように評価した。
○ ・・・ 外面削れの発生無く、実機生産が可能なレベル。
× ・・・ 外面削れが発生しており、実機生産は困難なレベル。
得られたポリエステル樹脂被覆金属板に、パラフィンワックスを片面50mg/m2ずつ塗布し、ポリブチレンテレフタレート層Aが缶外面となるようにして直径142mmの円板(ブランク)に打抜くと同時に絞り加工により1stカップを作製した。作製した1stカップに再絞り加工を行い、絞り比2.15のDRD(Draw and Redraw)カップを作製した。
◎ ・・・ 剥離長さが5mm以下
○ ・・・ 剥離長さが5mmを超え10mm以下
△ ・・・ 剥離長さが10mmを超え15mm以下
× ・・・ 剥離長さが15mmを超え20mm以下
×× ・・・ 剥離長さが20mmを超える
得られたポリエステル樹脂被覆金属板に、パラフィンワックスを片面50mg/m2ずつ塗布し、ポリブチレンテレフタレート層Aが缶外面となるようにして直径142mmの円板(ブランク)に打抜くと同時に絞り加工により1stカップを作製した。作製した1stカップに再絞り加工を行い、絞り比2.15のDRD(Draw and Redraw)カップを作製した。
××・・・パンチ穴がカップ底部の全面に転写
× ・・・パンチ穴がカップ底部のほぼ全面に転写(8割程度)
△ ・・・半数のパンチ穴がカップ底部に転写
○ ・・・わずかにパンチ穴がカップ底部に転写(2割以下)
◎ ・・・カップ底部にパンチ穴の転写無し
以上で得られた結果を、表1に示す。
ラミネートロールの表面温度を150℃とした以外は実施例1と同様にして行った。
得られたX線回折ピークのチャートを図5に示す。図5に示されるように、(100)面のX線回折強度としては、2θ=23.0~24.0°の範囲内に確認される最大値である7500cpsを採用した。また、(1-11)面のX線回折強度としては、2θ=25.0°~26.0°の範囲内に確認される最大値である2080cpsを採用した。
「(100)面の回折強度/(1-11)面の回折強度」の計算により、X線回折強度比R=3.6の値を得た。結果を表1に示す。
ラミネート前の金属板の加熱温度、ラミネートロールの表面温度、ラミネート速度、及び、配向復帰が生じる時間T、を各々表1に示すものとした以外は、実施例1と同様にして行った。
ラミネート前の金属板の加熱温度、ラミネートロールの表面温度、ラミネート速度、及び、配向復帰が生じる時間T、を各々表1に示すものとした以外は、実施例1と同様にして行った。
ポリブチレンテレフタレート層Aを形成する二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムの厚さを25μmとし、ラミネート前の金属板の加熱温度を275℃、ラミネートロールの表面温度を150℃とした以外は、実施例1と同様にして行った。
ラミネート前の金属板の加熱温度、ラミネートロールの表面温度、ラミネート速度、及び、配向復帰が生じる時間Tを各々表1に示すものとした以外は、実施例5と同様にして行った。
ラミネート前の金属板の加熱温度を235℃、ラミネートロールの表面温度を165℃とした以外は、実施例1と同様にして行った。
ラミネート速度を40mpm、ラミネート前の金属板の加熱温度を240℃、ラミネートロールの表面温度を150℃、及び配向復帰が生じる時間Tを4秒とした以外は、実施例1と同様にして行った。
ラミネート速度を150mpm、ラミネート前の金属板の加熱温度を265℃、ラミネートロールの表面温度を80℃、及び配向復帰が生じる時間Tを1秒とした以外は、実施例6と同様にして行った。
ポリブチレンテレフタレート層Aとして、未延伸の二層フィルムを準備した。二層フィルムのうち表層は、イソフタル酸が11モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂、下層はポリブチレンテレフタレートのホモポリマー樹脂とした。
ラミネート前の金属板の加熱温度、ラミネートロールの表面温度、ラミネート速度、及び配向復帰が生じる時間Tは、各々表1に示すものとした。それ以外は実施例1と同様にして行った。
ポリブチレンテレフタレート層Aとして、未延伸の二層フィルムを準備した。二層フィルムのうち表層は、ポリエチレンテレフタレートのホモポリマー、下層はポリブチレンテレフタレートのホモポリマーとした。
ラミネート前の金属板の加熱温度、ラミネートロールの表面温度、ラミネート速度、及び配向復帰が生じる時間Tは、各々表1に示すものとした。それ以外は実施例1と同様にして行った。
金属板の片面には実施例1と同様のポリブチレンテレフタレートのホモポリマーからなる二軸延伸フィルムを積層した。一方で、金属板の他方の面には、ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーの二軸延伸フィルム、厚み12μmを配向結晶が残る条件にて積層した。
ラミネート前の金属板の加熱温度、ラミネートロールの表面温度、ラミネート速度、及び、配向復帰が生じる時間Tは、各々表2に示すものとした。それ以外は、実施例1と同様にして行った。
金属板の片面には実施例1と同様のポリブチレンテレフタレートのホモポリマーからなる二軸延伸フィルムを積層した。一方で、金属板の他方の面には、イソフタル酸が11モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂の二軸延伸フィルム、厚み19μmを配向結晶が残らない条件にて積層した。
ラミネート前の金属板の加熱温度、ラミネートロールの表面温度、ラミネート速度、及び、配向復帰が生じる時間Tは、各々表2に示すものとした。それ以外は、実施例2と同様にして行った。
金属板の片面には実施例1と同様のポリブチレンテレフタレートのホモポリマーからなる二軸延伸フィルムを積層した。一方で、金属板の他方の面には、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートのブレンド樹脂(ブレンド比4:6)からなる二軸延伸フィルム、厚み18μmを配向結晶が残らない条件にて積層した。
ラミネート前の金属板の加熱温度、ラミネートロールの表面温度、ラミネート速度、及び、配向復帰が生じる時間Tは、各々表2に示すものとした。それ以外は、実施例3と同様にして行った。
Claims (8)
- 金属板と、
前記金属板の少なくとも片面に接するように積層されたポリブチレンテレフタレート層と、を有し、
前記ポリブチレンテレフタレート層における(100)面のX線回折強度と(1-11)面のX線回折強度比Rが1.3以上6.6以下の範囲内であることを特徴とするポリエステル樹脂被覆金属板。
(ただし、前記(100)面のX線回折強度は回折角2θが23.0°~24.0°の範囲に確認される最大値であり、前記(1-11)面のX線回折強度は回折角2θが25.0°~26.0°の範囲に確認される最大値であり、前記X線回折強度比R=(100)面の回折強度/(1-11)面の回折強度である。) - 前記ポリブチレンテレフタレート層は、前記金属板の片面に積層されており、
前記金属板の他方の面には前記ポリブチレンテレフタレート層とは異なるポリエステル樹脂層が積層されている、請求項1に記載のポリエステル樹脂被覆金属板。 - 前記異なるポリエステル樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート樹脂層、イソフタル酸が共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂層、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートがブレンドされた樹脂層、および、イソフタル酸が共重合されたポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとがブレンドされた樹脂層の中から選択されるいずれかである請求項2に記載のポリエステル樹脂被覆金属板。
- 前記異なるポリエステル樹脂層は、未配向の状態でラミネートされている請求項2又は3に記載のポリエステル樹脂被覆金属板。
- 前記X線回折強度比Rが、1.3以上3.0以下の範囲内である請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂被覆金属板。
- 前記X線回折強度比Rが、1.3以上2.7以下の範囲内である請求項5に記載のポリエステル樹脂被覆金属板。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂被覆金属板を用いて成形された容器。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂被覆金属板を用いて成形された容器蓋。
Priority Applications (2)
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