JP2007237568A - 積層シ−ト、エンボス意匠シートおよびエンボス意匠シート被覆金属板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】A層、およびB層の2層を有する積層シートにおいて、A層を、25〜75質量%の実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂、および、75〜25質量%の芳香族ポリカーボネート系樹脂を含有する樹脂混合物を主体とし、所定の貯蔵弾性率を有する厚みが20μm以上である無配向の樹脂層とし、B層を、融点が215〜235℃であるポリブチレンテレフタレート系樹脂、または、融点が215〜235℃であるポリトリメチレンテレフタレート系樹脂を、70〜95質量%含有するものであり、厚みが30μm以上である無配向の樹脂層として、さらに、積層シートの層厚みを50〜300μmの範囲とする。
【選択図】図1
Description
(1)エンボス付与適性に優れることから、意匠性に富んだ被覆材を得ることができる。
(2)一般的に背反要素である加工性と表面の傷入り性のバランスが比較的良好である。
(3)各種添加剤との相容性に優れること、および長年にわたり添加剤による物性向上検討が行われて来たことから、耐久性に優れた樹脂皮膜を得ることが容易である。
等の点を挙げることができる。
本発明の積層シートの層構成を、図1に模式的に示した。図1(a)に、A層10およびB層20の二層からなる積層シート100A、図1(b)に、A層10とB層20との間に印刷柄C30を有する積層シート100B、図1(c)に、印刷柄C30とB層20との間にD層40を有する積層シート100Cをそれぞれ示した。以下、各層についてそれぞれ説明する。
A層10は、積層シート100A〜100Cを図2に示したようなエンボス付与機300に通した際、加熱軟化されてエンボスロール350により押圧されエンボス意匠が転写される層である。従って、A層10はエンボスロール350で押圧される時点で一般的なエンボス付与機300でのシート加熱温度の上限である190℃を超える融点(Tm)を示すような高い結晶性を有する樹脂組成であってはなない。
A層10の樹脂混合物を構成する実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂としては、芳香族ポリエステル系樹脂であって、かかる芳香族ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸成分が、テレフタル酸、または、ジメチルテレフタル酸を主体とするものであり、また、かかる芳香族ポリエステル系樹脂を構成するジオール成分が、ジオール成分全体を基準(100モル%)として、50モル%以上、75モル%以下の1.4−シクロヘキサンジメタノール(1.4−CHDM)、および、25モル%以上、50モル%以下のエチレングリコールを含有するものであることが好ましい。なお、ここでの、「主体とする」とは、ジカルボン酸成分全体を基準(100モル%)として、テレフタル酸またはジメチルテレフタル酸を70モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは98モル%以上含むことをいう。
A層10の樹脂混合物を構成する芳香族ポリカーボネート樹脂としては、特に制限はないが、ビスフェノールAとホスゲンを原料とする、あるいはホスゲンを用いないものの同一の分子構造を有するもっとも汎用的なビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を支障なく用いることができ、世界的に広く用いられている材料であることからコストのメリットを得ることができる。
上記で説明した樹脂混合物を主体とするA層10について単独で、貯蔵弾性率(E’)を測定した。貯蔵弾性率(E’)の測定は、JIS K 7244−4:1999「プラスチック−動的機械特性の試験方法−第4部:引張振動−非共振法」に準じて行った。具体的には、動的粘弾性測定装置を用いて、引張り法により、測定周波数10Hzで測定して、100℃での貯蔵弾性率(E’)を求めた。このような条件によって測定した、A層10単独の貯蔵弾性率(E’)は、6×108Pa以上、6×109Pa以下であることが好ましい。この測定条件において、樹脂混合物の貯蔵弾性率がこれより低い場合は、エンボス耐熱性、特に沸騰水浸漬後のエンボス意匠の残存性が不十分なものとなりやすい。また、これより高い貯蔵弾性率を示すものは、通常の熱可塑性樹脂としては得ることが難しい。
A層10の下に印刷柄C30が存在しない場合は、A層10に意匠性の付与や下地金属の隠蔽のために顔料を添加しても良い。使用される顔料は、上記目的のために樹脂着色用として一般的に用いられているもので良く、その添加量に関しても上記目的のために一般的に添加される量で良い。一例としては、白系の着色では隠蔽効果の高い酸化チタン顔料をベースとして、色味の調整を有彩色の無機、有機の顔料で行うことができる。
A層10の好ましい厚みは20μm以上、250μm以下であり、30μm以上、150μm以下であることがさらに好ましい。精密エンボス意匠のみを転写する場合は、さらにA層10の厚みを薄くしても、エンボス意匠の転写性に問題は出ないが、単層のシートとしての取り扱い性に問題を生じやすい。また、通常のエンボス意匠の転写にも支障がない厚みを有する共通性のある積層シート100としておく方が、生産上有利である。逆に、厚みが厚すぎると、積層シートの総厚みの上限が決まっていることから、B層20の厚みを薄くする必要が生じ、積層シートを加熱した際の耐破断性を得難くなるため好ましくない。また、A層10として150μmまでの厚みがあれば、従来、軟質PVCシートにエンボス意匠を付与するために用いていた、図2に示したようなエンボスロール350のほとんどを使用することが可能となる。
B層20は積層シート100をエンボス付与機に通した際に、従来の軟質PVCと同様の温度まで加熱された積層シート100の幅縮み、皺入り、破断等を防ぐ機能を付与するために設けられる。
B層20は、樹脂成分を主体とする層であって、この樹脂成分は、融点が215℃以上、235℃以下のポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、または、融点が215℃以上、235℃以下のポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系樹脂を含有する。なお、ここでの「主体とする」とは、B層20全体の質量を基準(100質量%)として、樹脂成分を70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含有することをいう。融点が215℃以上必要なのは、従来の軟質PVCシートにエンボス付与機でエンボス意匠を転写する場合にシートが支持体無しでヒーターによって加熱される温度が160℃〜190℃程度であるのに対し、B層20の樹脂成分として、融点215℃未満のPBT系樹脂、または、PTT系樹脂用いた場合は、160℃〜190℃という加熱温度で十分な張力を得ることが困難となりやすいためである。また、融点の上限が235℃であるのは、融点がこれより高いPBT系樹脂、または、PTT系樹脂をB層20の主成分として用いた場合は、従来の軟質PVCよりなるシートを金属板にラミネートする場合と同様の温度では金属板との強固な密着力を得ることが難くなるためである。
B層20の樹脂成分であって、上記のPBT系樹脂およびPTT系樹脂以外の樹脂成分としては、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂としては、前述のA層10の樹脂混合物を構成する実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂と同一のものを用いることができ、例えば、イーストマン・ケミカル・カンパニー社製「イースターPETG・6763」、同社製「PCTG・5445」を挙げることができる。このような実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を用いることが好ましい理由は、B層20の上記のPBT系樹脂およびPTT系樹脂以外の樹脂成分として、ホモPET等の結晶化速度は遅いが、結晶性の高い樹脂を用いた場合は、経時的にPET系樹脂の結晶化が進行し、PET系樹脂の結晶相の加工性がPBT系樹脂等の結晶相の加工性より劣ることから、B層20の加工性が経時的に悪化し、結果的に積層シート100およびそれを用いて製造したエンボス意匠シート被覆金属板200の加工性が低下するおそれがあるためである。
B層20の好ましい厚みは、30μm以上、200μm以下であり、40μm以上、100μm以下であることがさらに好ましい。これより厚みが薄い場合は、エンボス付与機での張力付与層としての機能が不十分になりやすく、逆に、これより厚くしても、エンボス意匠シート被覆金属板200としての基本的な各種機能は飽和すると同時にコスト高となる。
B層20には、意匠性の付与や下地金属の隠蔽のために顔料を添加しても良い。印刷柄C30を付与した場合で、後に説明するD層40を付与しない場合は主としてB層20に顔料を添加することになる。使用される顔料やその添加量に関してはA層10に添加する場合と同様である。
本発明の積層シート100においては、図1(b)に層構成を示したように、A層10が実質的に透明であり、A層10とB層20との間に印刷による印刷柄C30が付与されている構成とすることができる。印刷柄C30は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の公知の方法で施され、石目調、木目調、幾何学模様、抽象模様等、任意の柄が施される。
上記の印刷柄C30を有する積層シート100Bにおいて、印刷柄C30とB層20との間に、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体としてなる着色された無配向の樹脂層(D層)40を配置した積層シート100Cとすることができる。この形態の層構成を図1(c)に示した。なお、ここでの「主体として」とは、D層40全体の質量を基準(100質量%)として、D層40が、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を70質量%以上、好ましくは、80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含有することをいう。
積層シート100全体での好ましい厚みは、50μm以上、300μm以下である。積層シート100の厚みが薄すぎる場合は、下地の視覚的隠蔽確保のために着色層に多量の顔料を添加する必要があり、その結果加工性の低下を来たすおそれがある。一方、積層シート100の厚みが厚すぎる場合は、軟質PVC樹脂被覆金属板の折り曲げ加工などの成形加工に従来から用いて来た成形金型の使用が困難になるなど、初期の2次加工性そのものに問題を生じるおそれがある。
本発明の積層シート100の製造方法としては各種公知の方法、Tダイを備えた押出し機によるキャスト製膜法やインフレーション法等を採用することができる。
上記の方法により製造した積層シート100A、100B、100Cは、A層10側表面にエンボス版により凹凸形状を付与し、エンボス意匠シートとすることができる。図1(d)は、積層シート100Bにエンボス意匠を付与した構成であり、図1(e)は、積層シート100Cにエンボス意匠を付与した構成である。エンボス版としては、エンボス意匠が形成された版であれば、その形状は特に限定されず、板状であっても、ロール状であってもよい。なお、以下において説明する従来の軟質PVCシートに使用されていたエンボス付与機300においては、エンボス版として、ロール状のエンボスロール350を使用している。
図1(f)に層構成を模式的に示したように、本発明のエンボス意匠シート被覆金属板200は、上記により作製したエンボス意匠シート100および金属板70を備え、エンボス意匠シート100におけるB層20側表面が接着剤60を介して金属板70上にラミネートされた構成を有している。
(実施例1〜13、比較例1〜13)
実施例1〜13、および比較例1〜12の積層シートは、φ65mmの2台の二軸混練押出機を使用して、マルチマニホールド方式の共押出しによって、Tダイより流出した樹脂をキャスティングロールで引き取る一般的方法により二層積層シートとして製造した。また、比較例13のシートは、同様な二軸混練押出機を1台使用して、A層のみの単層で製膜して製造した。なお、A層およびB層の両方に、各層の樹脂成分を100質量部として、24質量部の酸化チタンを主体とする白色系顔料を添加した。表1にA層の樹脂組成、厚み、貯蔵弾性率を示した。また、表2にB層の樹脂組成、厚みを示した。また、表3に積層シートにおけるA層およびB層の組み合わせを示した。
実施例14〜17の積層シートは、φ65mmの二軸混練押出機を用いて、Tダイにより単層の透明なシートとしてA層を押出し製膜し、これとは別にφ65mmの2台の二軸混練押出機を使用して、マルチマニホールド方式の共押出しによって、Tダイより流出した樹脂をキャスティングロールで引き取る一般的方法によりD層とB層の二層積層シートを得た。こうして得られたD層およびB層のD層側表面に、アクリル・ウレタン系インクを用いたグラビア印刷により石目調の模様を印刷した。その後、印刷を施したD層側表面に、A層を図2に示すようにエンボス付与機の加熱ロール部分で熱融着積層により積層一体化した。B層およびD層の両方に、各層の樹脂成分を100質量部として、20質量部の酸化チタンを主体とする白色系顔料を添加した。表4にD層の樹脂組成、厚みを示した。また、表5に、積層シートにおけるA層、D層およびB層の組み合わせを示した。
(1)イースターPETG・6763
イーストマン・ケミカル・カンパニー社製の非結晶性ポリエステル樹脂である(表中においては、「PETG・6763」と省略している。)。ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、ジオール成分の約30モル%が1.4−シクロヘキサンジメタノール、約70モル%がエチレングリコールである。融点:無し、ガラス転移温度:78℃。
イーストマン・ケミカル・カンパニー社製の実質的に非結晶性のポリエステル樹脂として扱うことが可能なポリエステル樹脂である。ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、ジオール成分の約65モル%が1.4−シクロヘキサンジメタノール、約35モル%がエチレングリコールである。融点:無し、ガラス転移温度:86℃。
三菱レイヨン社製の実質的に非晶性のポリエステルエラストマーである。ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、ジオール成分の約26モル%が1.4−シクロヘキサンジメタノール、約68モル%がエチレングリコール、約6モル%が数平均分子量約1000のポリテトラメチレングリコールである。融点:無し、ガラス転移温度:19℃
三菱エンジニアリングプラスチックス社製のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂である。粘度平均分子量25000、融点:無し、ガラス転移温度:149.5℃
三菱エンジニアリングプラスチックス社製の(ホモ)ポリブチレンテレフタレート樹脂である。測定された融点は224℃であった。
シェル社製の(ホモ)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂である。測定された融点は225℃であった。
図2に示すような軟質塩化ビニル系シートへのエンボス付与に一般的に使用されているエンボス付与機300を用いてエンボス意匠の転写を行った。エンボス付与機の工程概要としては、まず加熱ロール310を用いた接触型加熱によりシートの予備加熱を行う。なお、実施例14〜17の印刷柄を有するシートに関しては、この加熱ロール310部において、A層と、D層およびB層からなる積層シートとを、熱融着積層した。続いて、赤外ヒーター330を用いた非接触型加熱により任意の温度までシートを加熱し、エンボスロール350によりエンボス意匠を転写してエンボス意匠シートとするものである。
市販されているポリ塩化ビニル被覆金属板用のポリエステル系接着剤を、積層シートを貼り合せる金属板表面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になるようにして塗布した。次いで、赤外線ヒーターおよび熱風加熱炉により塗布面の溶剤乾燥および加熱を行った。そして、厚み0.45mmの亜鉛メッキ鋼板の表面温度を235℃に保持しつつ、直ちにロールラミネータを用いてシートを被覆・冷却することによりエンボス意匠シート被覆金属板を得た。
上記の実施例および比較例で得た、積層シートおよびエンボス意匠シート被覆金属板について、以下の各項目を評価した。結果を表6および表7にまとめて示した。
各実施例および比較例におけるA層についての貯蔵弾性率(E’)の測定は、岩本製作所製粘弾性スペクトロメーターを使用して行った。実施例14〜17において、A層を単層で製膜したものに関しては、単層のA層をそのまま測定試料とした。また、実施例1〜13、および、比較例1〜12において、A層とB層とを共押し出し製膜で作成したものに関しては、同一組成のA層のみを別途単層で製膜して測定試料とした。貯蔵弾性率(E’)の測定は、JIS K 7244−4:1999「プラスチック−動的機械特性の試験方法−第4部:引張振動−非共振法」に準じて行った。具体的には、上記の粘弾性スペクトロメーターを用いて、引張り法により、測定周波数10Hzにおいて、−100℃から昇温速度3℃/分で昇温し、250℃までの測定を実施した後、100℃における貯蔵弾性率(E’)を読みとった。この100℃における貯蔵弾性率(E’)を、表1に示した。
実施例1〜13、および比較例1〜13に関しては、共押し出し製膜法で作成した、エンボス付与前のA層およびB層からなる積層シートの取り扱い性を評価した。これら積層シートをMD方向15cm×TD方向30cmに切り出して、B層側が下面となるように定盤の上に置き、反りの状態を観察した。反りが強く完全に円筒状になってしまう場合や、定盤面から10cm以上の高さのアーチ状に反り返る場合を取り扱い性が悪いとして「×」、10cm未満であるが5cm以上の反りが出る場合を「△」、それ未満の反りの場合は、取り扱い性は良いとして「○」とした。
図2に示すエンボス付与機300でエンボス意匠を付与した際に、加熱ロール310に積層シートが粘着して剥離困難になったもの、および剥離は可能であったがシートの伸び・変形が顕著であったものは「×」、軽度の粘着を示したが作業の継続が可能であり、シートの伸び・変形も実用上支障の無い範囲であったものを「△」、粘着しなかったものは「○」で示した。
図2に示すエンボス付与機300でエンボス意匠を付与した際に、ヒーター330によるシート加熱中にシートが溶断したもの、およびシートの顕著な伸びや皺入り等を発生したものは「×」、軽度なシートの伸び・幅縮み等を生じたが実用上支障のない範囲であったものを「△」、これらの問題を生じなかったものは「○」で示した。この評価で「×」となったものに関しては、以降の評価を実施していない。
図2に示すエンボス付与機300でエンボス意匠を付与したシートを、目視で観察し、綺麗にエンボス意匠が転写しているものを「○」、これに比べてやや転写が浅い場合を「△」、転写が悪く、浅いエンボス意匠になっているもの、あるいは、エンボス意匠に無関係に単に表面が荒れているものを「×」で示した。この評価で「×」となったものに関しては、以降の評価を実施していない。
図2に示すエンボス付与機300でエンボス意匠を付与したシートを、目視で観察し、綺麗にエンボス意匠が転写しているものを「○」、これに比べてやや転写が浅い場合を「△」、転写が悪く、浅いエンボス意匠になっているもの、あるいは、エンボス意匠に無関係に単に表面が荒れているものを「×」で示した。この評価で「×」となったものに関しては、以降の評価を実施していない。なお、本評価は、実施例2と、実施例14〜17についてのみ実施した。
図2に示すエンボス付与機300でエンボス意匠を付与したシートをラミネートした金属板を105℃の熱風循環式オーブン中に3時間静置した後目視で観察した。オーブンに投入する前と比較してエンボス意匠の形状がほとんど変化していないものを「○」、これに比べてややエンボス戻りが発生している場合を「△」、エンボス戻りが顕著な場合、あるいは、エンボス意匠が完全に消失し単に表面が荒れているものを「×」で示した。
図2に示すエンボス付与機300でエンボス意匠を付与したシートをラミネートした金属板を沸騰水中に3時間浸漬した後目視で観察し、沸騰水に投入する前と比較してエンボス意匠の形状がほとんど変化していないものを「○」、これに比べてややエンボス戻りが発生している場合を「△」、エンボス戻りが顕著な場合、あるいはエンボス意匠が完全に消失し単に表面が荒れているものを「×」で示した。
樹脂被覆金属板に衝撃密着曲げ試験を行い、曲げ加工部のシートの面状態を目視で判定し、ほとんど変化がないものを「○」、若干クラックが発生したものを「△」、割れが発生したものを「×」として表示した。なお、衝撃密着曲げ試験は次のようにして行った。被覆金属板の長さ方向および幅方向からそれぞれ50mm×150mmの試料を作製し、23℃で1時間以上保った後、折り曲げ試験機を用いて180°(内曲げ半径2mm)に折り曲げ、その試料に直径75mm、質量5kgの円柱形の錘を50cmの高さから落下させた。
積層シートを金属板にラミネートした積層シート被覆金属板について、JIS K5600−5−4:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に従い実施した。23℃の恒温室内で、80mm×60mmに切り出した樹脂被覆金属板の樹脂シート面に対し45°の角度を保ちつつ9.8Nの荷重を掛けた状態で線引きをできる治具を使用して線引きを行い、該部分の樹脂シートの面状態を目視で判定し、2Bの鉛筆で全く傷が付かなかったものを「○」、2Bでは傷が入るが、3Bの鉛筆では全く傷が付かなかったものを「△」、3Bの鉛筆でも傷が付いたものを「×」として表示した。
積層シートを金属板にラミネートした積層シート被覆金属板について、その樹脂層側最表面(A層側表面)にシルク印刷法によりベタ印刷を施し、この印刷層の乾燥硬化後に、上記(9)に記載したと同様の衝撃密着曲げ試験を実施した。曲げ加工部のシートの面状態を目視で判定し、ほとんど変化がないものを「○」、若干クラックが発生したものを「△」、割れが発生したものを「×」として表示した。シルク印刷のインクとしては、セイコーアドバンス社製の1液常乾型アクリル系インク「ABS」を使用した。
<実施例1〜13、および比較例1〜13>
比較例13は、本発明に用いることのできるA層を単層で用いた場合であるが、エンボス付与機でのシート加熱によりシートの溶融破断を生じてしまった。
比較例2では、芳香族ポリカーボネート系樹脂のブレンド比率が低く、結果として100℃の貯蔵弾性率が低いため、100℃に温調したエンボスロールでは精密エンボス意匠の良好な転写を得ることができなかった。
実施例14〜17は、A層とB層との間にD層を有し、さらにD層とA層との間に印刷柄Cを有する構成である。いずれの構成においても、A層、B層、およびD層の各層は、本発明の好ましい範囲にあることから、精密エンボス意匠の転写性は良好であるが、D層の付与により、通常の粗さを有するエンボス意匠の転写性も良好なものとなっている。また、表7に比較のために示したが、D層を有さない実施例2について、通常エンボス意匠の転写性を評価したが、劣った結果を示した。
20 B層
30 印刷柄C
40 D層
60 接着剤
70 金属板
100A、100B、100C 積層シート
100D、100E エンボス意匠シート
200 エンボス意匠シート被覆金属板
310 加熱ロール
320 テイクオフロール
330 赤外線ヒーター
340 ニップロール
350 エンボスロール
360 冷却ロール
Claims (12)
- A層、およびB層の2層を有する積層シートであって、
前記A層が、樹脂混合物を主体とする層であって、該樹脂混合物が、該樹脂混合物全体の質量を基準として、25質量%以上、75質量%以下の実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂、および、25質量%以上、75質量%以下の芳香族ポリカーボネート系樹脂を含有するものであり、
動的粘弾性測定装置を用いて、引張り法により周波数10Hzで、該A層について単独で測定した、100℃での貯蔵弾性率(E')が、6×108Pa以上、6×109Pa以下であり、厚みが20μm以上である無配向の樹脂層であり、
前記B層が、樹脂成分を主体とする層であって、該樹脂成分が、該樹脂成分全体の質量を基準として、融点が215℃以上、235℃以下であるポリブチレンテレフタレート系樹脂、または、融点が215℃以上、235℃以下であるポリトリメチレンテレフタレート系樹脂を、70質量%以上、95質量%以下含有するものであり、
厚みが30μm以上である無配向の樹脂層であり、
積層シートの総厚みが50μm以上、300μm以下である精密エンボス意匠の付与適性に優れた積層シート。 - 前記A層の樹脂混合物を構成する実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂が、芳香族ポリエステル系樹脂であって、該芳香族ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸成分が、テレフタル酸、または、ジメチルテレフタル酸を主体とするものであり、該芳香族ポリエステル系樹脂を構成するジオール成分が、該ジオール成分全体を基準として、50モル%以上、75モル%以下の1.4−シクロヘキサンジメタノール、および、25モル%以上、50モル%以下のエチレングリコールを含有するものである、請求項1に記載の積層シート。
- 前記A層が、樹脂混合物を主体とする層であって、該樹脂混合物が、該樹脂混合物全体の質量を基準として、25質量%以上、50質量%以下の実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂、および、50質量%以上、75質量%以下の芳香族ポリカーボネート系樹脂を含有するものであり、
該実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂が、テレフタル酸、または、ジメチルテレフタル酸をジカルボン酸成分の主体とするものであり、ジオール成分が、該ジオール成分全体を基準として、25モル%以上、50モル%未満の1.4−シクロヘキサンジメタノール、および、50モル%より多く、75モル%以下のエチレングリコールを含有する、芳香族ポリエステル系樹脂である、請求項1に記載の積層シート。 - 前記A層が実質的に透明であり、前記A層と前記B層との間に印刷により付与された印刷柄Cを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
- 前記印刷柄Cと前記B層との間に、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体としてなる着色された無配向の樹脂層(D層)が配置されている、請求項4に記載の積層シート。
- 前記D層を構成する実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂が、芳香族ポリエステル系樹脂であって、該芳香族ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸成分が、テレフタル酸、または、ジメチルテレフタル酸を主体とするものであり、該芳香族ポリエステル系樹脂を構成するジオール成分が、該ジオール成分全体を基準として、25モル%以上、75モル%以下の1.4−シクロヘキサンジメタノール、および、25モル%以上、75モル%以下のエチレングリコールを含有するものである、請求項5に記載の積層シート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の積層シートにおける前記A層側表面にエンボス版により形成された凹凸形状を有する、エンボス意匠シート。
- 請求項7に記載のエンボス意匠シート、および金属板を備え、該エンボス意匠シートにおける前記B層側の表面が接着剤を介して該金属板上にラミネートされている、エンボス意匠シート被覆金属板。
- 請求項8に記載のエンボス意匠シート被覆金属板を用いた、ユニットバス部材。
- 請求項8に記載のエンボス意匠シート被覆金属板を用いた、建築内装材。
- 請求項8に記載のエンボス意匠シート被覆金属板を用いた、鋼製家具部材。
- 請求項8に記載のエンボス意匠シート被覆金属板を用いた、家電製品筐体部材。
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