JP2005225930A - 樹脂被覆金属板用シート及びその製造方法、並びに該シートを用いた樹脂被覆金属板 - Google Patents

樹脂被覆金属板用シート及びその製造方法、並びに該シートを用いた樹脂被覆金属板 Download PDF

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Abstract

【課題】
低温でのカレンダー加工性に優れ、耐沸騰水性などを有する樹脂被覆金属板用シート及びその製造方法、並びに該シートを用いた樹脂被覆金属板を得る。
【解決手段】
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)90〜60重量%と、ポリエステル系樹脂(B)10〜40重量%との混合樹脂組成物からなるシートであって、該ポリエステル系樹脂(B)がカルボン酸単量体(イ)単位として、芳香族ジカルボン酸を80〜100モル%、グリコール単量体(ロ)単位として、1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.1〜40モル%と数平均分子量500〜3000のポリアルキレングリコールを0.5〜15モル%とを含む構成単位からなるポリエステル樹脂であることを特徴とする樹脂被覆金属板用シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、低温でのカレンダー加工性に優れ、耐沸騰水性などを有する樹脂被覆金属板用シート及び該シートを用いた樹脂被覆金属板に関する。
従来、樹脂被覆金属板用の被覆シートとしては、顔料等の添加により着色された軟質ポリ塩化ビニル製シートを用いるのが一般的であり、色替えを含む多品種小ロット生産性に優れるカレンダー加工法により得られたシートが主に用いられて来た。
しかし、近年環境問題等から軟質ポリ塩化ビニル製シートに代わる素材で被覆された金属板が各種上市、提案されている。また、樹脂被覆金属板の市場での要求は、その用途と使用量から色替えを含む多品種小ロット生産への要求が強く、さらに既存の軟質ポリ塩化ビニル用のカレンダー加工設備(通常、軟質ポリ塩化ビニル用のカレンダー加工設備は、トラブル処理などの長時間の滞留時におけるポリ塩化ビニルの熱分解を抑制するために、カレンダーロールでのせん断発熱も考慮し、加熱上限温度が200℃程度の仕様になっている場合が多い)をそのまま用いてシートが生産できることが望ましい。
これに対し、例えば、特許文献1には、非晶性ポリエステル樹脂に特定の滑剤を添加することによりカレンダー成形性を付与することが提案されている。しかしながら、該非晶性ポリエステル樹脂はそのガラス転移温度(Tg)が100℃未満であることが主な要因で、建築内装用樹脂被覆金属板の評価項目として一般的に含まれる沸騰水浸漬試験を満足することが出来ない為、その使用に制限があるという問題点がある。
また、特許文献2には、ポリカーボネート樹脂に特定の離型剤を添加することによりカレンダー成形性を付与することが提案されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は流動開始温度が高く、従来から軟質ポリ塩化ビニルのカレンダー加工に用いられてきた加熱温度上限200℃程度の設備では、添加剤を添加するのみでは、カレンダーロール上でのバンク(原料樹脂)の回り方が不規則(バンク回りが悪い)になり、得られるシート状成形品の表面が荒れて外観が悪くなる等の問題点がある。
特開2000−327891号公報 特開2002−363396号公報
本発明の目的は、内外装および家電、家具等の意匠性などを高めるために好適に用いられ、低温でのカレンダー加工性に優れ、樹脂被覆金属板としての折り曲げ加工性等の二次加工性、耐擦傷性、沸騰水浸漬性等に優れた樹脂被覆金属板用シート及びその製造方法、並びに該シートを用いた樹脂被覆金属板を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート系樹脂と特定のポリエステル系樹脂との混合樹脂組成物からなるシートを用いることにより上記課題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)95〜60重量%と、ポリエステル系樹脂(B)5〜40重量%との混合樹脂組成物からなるシートであって、該ポリエステル系樹脂(B)がカルボン酸単量体(イ)単位として、芳香族ジカルボン酸を80〜100モル%、グリコール単量体(ロ)単位として、1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.1〜40モル%と数平均分子量500〜3000のポリアルキレングリコールを0.5〜15モル%とを含む構成単位からなるポリエステル樹脂であることを特徴とする樹脂被覆金属板用シート、
(2)芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂(B)との混合樹脂組成物の示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で測定されるガラス転移温度が単一であり、そのガラス転移温度が、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)のガラス転移温度とポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度の間にあることを特徴とする上記(1)に記載の樹脂被覆金属板用シート、
(3)混合樹脂組成物のガラス転移温度が100〜150℃であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の樹脂被覆金属板用シート、
(4)カレンダー加工法を用い、ロール設定温度が混合樹脂組成物の流動開始温度+10℃以上、200℃以下の温度で成形することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂被覆金属板用シートの製造方法、
(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂被覆金属板用シートで被覆されていることを特徴とする樹脂被覆金属板、
を提供するものである。
本発明によれば、内外装および家電、家具等の意匠性などを高めるために好適に用いられ、低温でのカレンダー加工性に優れ、樹脂被覆金属板としての折り曲げ加工性等の二次加工性、耐擦傷性、沸騰水浸漬性等に優れた樹脂被覆金属板用シート及びその製造方法、並びに該シートを用いた樹脂被覆金属板が提供できる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の樹脂被覆金属板用シートは、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂(B)との混合樹脂組成物からなるシートであって、該ポリエステル系樹脂(B)がカルボン酸単量体(イ)単位として、芳香族ジカルボン酸を80〜100モル%、グリコール単量体(ロ)単位として、1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.1〜40モル%と数平均分子量500〜3000のポリアルキレングリコールを0.5〜15モル%とを含む構成単位からなるポリエステル樹脂である。
ここで本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)は、ホモまたはコポリカーボネートのいずれであってもよい。また、芳香族ポリカーボネート樹脂の構造は分岐構造であっても、直鎖構造であってもよい。さらに、分岐構造と直鎖構造の混合物であってもよい。
本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の製造方法はホスゲン法やエステル交換法、ピリジン法など公知のいずれの方法を用いてもかまわない。以下一例として、エステル交換法による芳香族ポリカーボネート系樹脂の製造方法を説明する。エステル交換法は、2価フェノールと炭酸ジエステルとを塩基性触媒、さらにはこの塩基性触媒を中和する酸性物質を添加し、溶融エステル交換縮重合を行う製造方法である。2価フェノールの代表例としては、ビスフェノール類があげられ、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAが好ましく用いられる。また、ビスフェノールAの一部または全部を他の2価フェノールで置き換えてもよい。他の2価フェノールとしては、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンや1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルのような化合物、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなアルキル化ビスフェノール類、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなハロゲン化ビスフェノール類を挙げることができる。
炭酸ジエステルの代表例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げられる。これらの内、特にジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。
本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の重量平均分子量としては、力学特性と成形加工性のバランスから、通常、10,000〜100,000、好ましくは、20,000〜50,000、特に好ましくは22,000〜40,000の範囲のものが用いられる。ここで、重量平均分子量が10,000未満では得られる芳香族ポリカーボネート系樹脂の力学強度が低くなり、一方、100,000を超えると、溶融粘度が高くなるため成形加工性が低下しやすく、また、重合に長時間を要するので、生産サイクルやコストの点においても好ましくない。尚、本発明においては、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を一種のみを単独、又は2種以上を混合して使用してもよい。
次に本発明に用いられるポリエステル系樹脂(B)について説明する。ポリエステル系樹脂(B)のカルボン酸単量体(イ)単位は、芳香族ジカルボン酸を80〜100モル%含むカルボン酸からなる。芳香族ジカルボン酸は、得られるポリエステル樹脂に耐熱性および力学強度を付与するものであり、カルボン酸単量体(イ)中80モル%未満では、得られるポリエステル系樹脂(B)の耐熱性および力学強度が十分でない場合がある。芳香族ジカルボン酸はカルボン酸単量体(イ)中、85〜100モル%含まれることがさらに好ましい。芳香族ジカルボン酸としては特に制限はなく、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4または2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸はそのエステルとして重合に供される場合もある。芳香族ジカルボン酸エステルとしては特に制限はなく、上記の芳香族ジカルボン酸のエステルが好ましく、低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物等が挙げられる。また、カルボン酸単量体(イ)単位には、脂肪族ジカルボン酸を少量(通常、20モル%未満の範囲)含んでもよい。脂肪族ジカルボン酸としては特に制限はなく、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸等が挙げられる。
本発明で使用されるポリエステル系樹脂(B)のグリコール単量体(ロ)単位は、1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.1〜40モル%と数平均分子量が500〜3000のポリアルキレングリコールを0.5〜15モル%含むグリコールからなる。グリコール単量体(ロ)に使用されるグリコールには、上記した成分以外には特に制限はなく、エチレングリコール、ジエチレングリコール(副成する成分も含む)、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシレンジオール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)などが挙げられる。これらは一種のみを単独、又は2種以上を混合して使用でき、ポリエステル樹脂に色調、透明性、耐熱性、耐衝撃性等を適宜付与することができるが、得られるポリエステル樹脂の成形時における熱安定性を付与できる点や安価で工業的に入手が容易なことから、エチレングリコールが好ましく用いられる。
グリコール単量体(ロ)に使用される1,4−シクロヘキサンジメタノールは、得られるポリエステル樹脂に主に耐衝撃性を付与するものである。また、1,4−シクロヘキサンジメタノールには、シス型とトランス型の2種類の異性体が存在するが、いずれであってもよい。ここで、グリコール単量体(ロ)中の含有量が0.1モル%未満では得られるポリエステル樹脂に耐衝撃性を付与する効果が十分ではなく、一方、40モル%を超えると得られるポリエステル樹脂が200℃以上の融点を有するようになることがあり、低温でのカレンダー加工性が低下しやすいため好ましくない。このことから1,4−シクロヘキサンジメタノールはグリコール単量体(ロ)中1〜35モル%含まれることがさらに好ましい。
グリコール単量体(ロ)に使用される数平均分子量が500〜3000のポリアルキレングリコールは、得られるポリエステル樹脂に主に柔軟性を付与するものである。ここで、グリコール単量体(ロ)中の含有量が0.5モル%未満では得られるポリエステル樹脂に柔軟性を付与する効果が十分ではなく、一方、15モル%を超えると得られるポリエステル樹脂の熱安定性や力学強度が低下する場合があり好ましくない。このことから数平均分子量が500〜3000のポリアルキレングリコールはグリコール単量体(ロ)中1〜10モル%含まれることがさらに好ましい。ポリアルキレングリコールの数平均分子量が500未満では得られるポリエステル樹脂に柔軟性を十分付与できない場合があり、3000を超えると他の成分やポリマーとの相溶性が低下し、重合反応が停滞したり、得られるポリエステル樹脂の力学強度が低下したりする場合があり好ましくない。このことからポリアルキレングリコールの数平均分子量は800〜2000であることがより好ましい。また、ポリアルキレングリコールは、数平均分子量の異なるものを複数種併用してもよい。複数種併用する場合は、均一に混合した状態での数平均分子量が前記範囲内であることが好ましい。なお、ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等の一般的な方法により測定することができる。
このようなポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール−ポリネオペンチルグリコールブロック共重合体、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられ、これらは一種のみを単独、又は2種以上を混合して使用できる。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂(B)は、上述したように芳香族ジカルボン酸を80〜100モル%含むカルボン酸単量体(イ)単位と、1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.1〜40モル%と数平均分子量500〜3000のポリアルキレングリコールを0.5〜15モル%とを含むグリコール単量体(ロ)単位とから構成されるポリエステル樹脂であるが、さらに3価以上の多価カルボン酸化合物及び/または3価以上の多価アルコールを得られるポリエステル樹脂の柔軟性、溶融粘度、透明性、機械特性、耐溶剤性などの調整のために少量(通常、0.05〜2モル%程度)共重合させてもよい。
ここで、3価以上の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物等が挙げられ、3価以上の多価アルコールとしては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。これらは一種のみを単独、又は2種以上を混合して使用できるが、多価カルボン酸化合物のみを使用する場合、多価カルボン酸化合物の含有量は上記カルボン酸単量体(イ)中、通常、0.05〜2モル%、好ましくは0.1〜1モル%であり、多価アルコールのみを使用する場合、多価アルコールの含有量は上記グリコール単量体(ロ)中、通常、0.05〜2モル%、好ましくは0.1〜1モル%である。多価カルボン酸化合物と多価アルコールを併用する場合は、3価以上の多価カルボン酸化合物の上記カルボン酸単量体(イ)中の含有量と、3価以上の多価アルコールの上記グリコール単量体(ロ)中の含有量の合計が、通常、0.05〜2モル%、好ましくは0.1〜1モル%である。これら多価カルボン酸化合物及び/または多価アルコールの含有量が、上記それぞれの場合において、0.05モル%未満では、得られるポリエステル樹脂の柔軟性や溶融粘度の改良効果が十分でなく、2モル%を超えるとゲル化し、反応の制御が難しくなったり、得られる樹脂被覆金属板用シートにフィッシュアイが目立ちやすくなるため好ましくない。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂(B)は、公知の直接重合法やエステル交換法等により製造でき、必要に応じて、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン等のエステル化触媒、エステル交換触媒や、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマンニウム等の重合触媒を使用することができる。
ポリエステル系樹脂(B)のテトラクロロエタン/フェノール(重量比1/1)を溶媒として30℃で測定した固有粘度は、0.4〜1.5dl/gの範囲、好ましくは0.7〜1.2dl/gの範囲のものである。ここで、固有粘度が0.4dl/g未満では得られるポリエステル樹脂の耐湿性や力学強度が低くなり、一方、1.5dl/gを超えると重合に長時間を要するので、生産サイクルやコストの点においても好ましくない。尚、本発明においては、ポリエステル系樹脂(B)を一種のみを単独、又は2種以上を混合して使用してもよい。
次に、本発明の樹脂被覆金属板用シートは、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)95〜60重量%と、ポリエステル系樹脂(B)5〜40重量%の混合樹脂組成物からなるシートである。
ここで、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)が95重量%を超え、ポリエステル系樹脂(B)が5重量%未満では、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の流動開始温度を低下させる効果が少なく、従来使用されてきた軟質ポリ塩化ビニル用のカレンダー加工設備における規則的なバンク(樹脂組成物)の回り方などの安定したカレンダー加工性を付与することが困難となりやすく、一方、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)が60重量%未満、ポリエステル系樹脂(B)が40重量%を超えると、混合樹脂組成物のガラス転移温度が低くなるため、沸騰水浸漬試験を満足し難たく、また、引張破壊伸びなどの力学強度が低下するため、樹脂被覆金属板として折り曲げ加工性等の二次加工性が低下しやすいため好ましくない。これらのことから、本発明においては、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)90〜65重量%と、ポリエステル系樹脂(B)10〜35重量%からなる混合樹脂組成物を用いることがより好ましい。
次に、本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂(B)からなる混合樹脂組成物は、示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で測定されるガラス転移温度が単一であり、そのガラス転移温度が、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)のガラス転移温度とポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度の間にあること、また、該ガラス転移温度が100〜150℃であることが好ましい。
ここで、混合樹脂組成物のガラス転移温度が単一であるとは、混合樹脂組成物をJIS K7121に準じて、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計を用いてガラス転移温度を測定した際に、ガラス転移温度を示すピークが1つだけ現れるという意味である。混合樹脂組成物のガラス転移温度が単一であることにより、相溶性が良好であり、透明性に優れたシートを得ることが可能となる。本発明においては、得られる樹脂被覆金属板用シートに顔料等で着色して用いることができるが、透明性に優れたシートは、印刷が施された樹脂被覆金属板のオーバーシートとして好適に用いられる。ここで、透明性の指標であるヘーズ(曇価)については、より小さな値であることが好ましいが、シートの厚みが150μmである場合、通常5%以下、好ましくは4%以下であれば、印刷が施された樹脂被覆金属板のオーバーシートとして意匠性、視認性、ディスプレイ効果等を低下させることなく用いることができる。また、該ガラス転移温度が100℃未満であると、沸騰水浸漬試験を満足し難たくなり実用上好ましくない。一方、芳香族ポリカーボネート樹脂の示差走査熱量測定により測定されるガラス転移温度は、通常150℃程度である。
本発明に用いられる混合樹脂組成物には、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、成形加工性や樹脂被覆金属板用シートの諸物性を改良・調整する目的のため、ポリエステル系樹脂(B)以外のポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等の樹脂やコア−シェル型、グラフト型又は線状のランダム及びブロック共重合体のようなゴム状改質剤、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、加水分解防止剤(カルボジイミド化合物の単量体または重合体など)、リン系化合物(リン酸または亜リン酸系化合物等)などのエステル交換抑制剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤等の添加剤を適宜添加してもかまわない。
次に本発明の樹脂被覆金属板用シート及び樹脂被覆金属板の製造方法について説明する。本発明の樹脂被覆金属板用シートの製膜方法としては公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法やカレンダー加工法、インフレーション法などを採用することができ、特に限定されるものではないが、色替えを含む多品種小ロット生産への対応からカレンダー加工法が好ましく用いられる。
カレンダー加工法におけるロール設定温度は組成物の流動特性やロール剥離性、製膜速度等によって適宣調整されるが、上記の混合樹脂組成物の流動開始温度+10℃以上、250℃以下、好ましくは混合樹脂組成物の流動開始温度+10℃以上、200℃以下の範囲が好適である。特に、200℃以下のロール設定温度で製膜可能であれば、既存の軟質ポリ塩化ビニル用のカレンダー加工設備を特別な改造をあまり加えることなく用いることが可能となりやすい。さらに、低温で加工することにより加水分解などの影響も少なくすることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂単体の場合、耐衝撃性や力学強度が安定して発現する重量平均分子量20,000以上のグレードは、通常、流動開始温度が190℃以上(190〜205℃程度)となるため200℃以下のロール設定温度では、安定したカレンダー加工を行うことが困難となりやすい。
また、カレンダー加工を行う前の予備混練として、一般的に使用される単軸押出機、二軸押出機、ニーダーやミキサーなどが使用でき、特に制限されるものではないが、混合樹脂組成物の均一分散性、得られるシートの力学強度の安定性や透明性などから二軸押出機を用いることが好ましい。
本発明においては、溶融混練時に芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との間で発生する反応(エステル交換反応など)をできるだけ抑制することが好ましい。過度に反応が進行すると、得られる混合樹脂組成物の熱的性質の劣化のみならず、着色やガス生成によりシートに発泡現象が現れる場合があり好ましくない。このため、使用する原料の触媒の種類(Ge系触媒が好ましく使用される)と原料中に残存している触媒量、あるいは、溶融混練時の温度と滞留時間、必要に応じて、リン系化合物(リン酸または亜リン酸系化合物等)などエステル交換抑制剤の添加などにも注意を払うことが好ましい。溶融混練温度は、混合樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね320℃以下、好ましくは240℃〜280℃の範囲が好適である。
また、上記の混合樹脂組成物をカレンダー加工法によりシート化する際には、ロール剥離性を向上させるために、滑剤を添加することが好ましい。
ここで、滑剤としてはパラフィン、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤、ステアリン酸等の高級脂肪酸系滑剤、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸系滑剤、モンタン酸ワックス等のエステル系滑剤、ベンゾグアナミン、ポリメチルメタアクリレートを主成分とした架橋アクリル樹脂等の有機微粒子があげられる。特に無機滑剤との相乗効果をもたらす有機滑剤は外部滑性を向上させ、且つ樹脂との相溶性の良いものが好適に用いられる。このほかに溶融混練時の熱安定性を有する等の条件を満たす必要があり、本発明においてはモンタン酸ワックスが好適に用いられる。
ここで、モンタン酸ワックスとは、褐炭の溶剤抽出によって得られる炭素数21〜34の脂肪酸及び脂肪アルコールを主に含有する化石ろうのモンタンワックス、およびこのモンタンワックスをエステル化や部分鹸化したワックスである。具体的には、モンタンワックスを酸化したHoechst WAX S(Hoechst社製)、モンタンワックスをエチレングリコールでエステル化したモンタン酸ジエステルであるHoechst WAX E(Hoechst社製)、モンタンワックスをグリセリンでエステル化したモンタン酸ジエステルであるHostalubWE40(Hoechst社製)、モンタンワックスをブチレングリコールで部分的にエステル化し、残りが水酸化カルシウムで鹸化されている部分鹸化モンタン酸エステルであるHoechst WAX OP(Hoechst社製)等が挙げられる。
滑剤の添加量は、混合樹脂組成物100重量部に対して、0.05〜3.0重量部、好ましくは0.1〜1.5重量部である。ここで、滑剤の添加量が、0.05重量部未満では、ロール剥離性の改良効果が少なく、一方、3.0重量部を越えるとシート表面へのブリードやシートの力学特性などが低下するなどの問題が発生しやすく好ましくない。
本発明の樹脂被覆金属板用シートの厚みは、特に限定されるものではないが通常50〜500μmである。シートの厚みが50μm未満では樹脂被覆金属板用として使用した場合、金属板に対する保護層としての性能やエンボス加工性が劣りやすく、一方500μmを超えると樹脂被覆化粧金属板としての打ち抜き加工等の二次加工性が劣り易いため好ましくない。さらに必要に応じてシートには、印刷、エンボス加工、電子線加工、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工を施すことができる。
次に本発明の樹脂被覆金属板用シートと金属板とを接着させる方法としては、接着剤を使用する方法、接着剤を使用しないで熱融着させる方法、押出コーティングする方法等があり特に限定されないが、例えば、金属板の樹脂被覆金属板用シートとの接着面にポリエステル系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、樹脂シートを被覆する方法が挙げられる。
この方法では金属板にリバースコータ、キスコータ等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、樹脂被覆金属板用シートを貼り合せる金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になるように塗布し、次いで赤外線ヒータおよび熱風加熱炉により塗布面の乾燥および加熱を行い、金属板表面温度を樹脂被覆金属板用シートの流動開始温度+10℃程度以上に保持しつつ、直ちにロールラミネータを用いて該シートを被覆、冷却することにより樹脂被覆金属板を得ることができる。
本発明の樹脂被覆金属板に用いられる金属板としては、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、ステンレス鋼板等の各種鋼板やアルミニウム板が使用でき、通常の化成処理を施した後に使用しても良い。
以下に実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるシートについての種々の測定値および評価は次のようにして行った。ここで、シートのカレンダー加工設備からの流れ方向を縦方向、その直交方向を横方向とよぶ。
(1)ガラス転移温度(Tg)
パーキンエルマー(株)製DSC−7を用いて、得られたシートから切り出した試料10mgをJIS K7121に準じて、加熱速度を10℃/分で−40℃から250℃まで昇温し、250℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、−40℃で1分間保持した後、加熱速度10℃/分で再昇温した時のサーモグラムからガラス転移温度(Tg)を求めた。
(2)ポリエステル系樹脂の組成分析
ポリエステル系樹脂溶液試料を、核磁気共鳴装置(NMR)によりHをモニターすることにより分析し、カルボン酸単量体単位に関しては全カルボン酸単量体単位に対するモル%を、グリコール単量体単位に関しては全グリコール単量体単位に対するモル%を求めた。
(3)平均屈折率
JIS K7142に準じて、ナトリウムD線(589nm)を光源として、(株)アタゴ製アッベ屈折計を用いて測定した。
(4)流動開始温度
得られたシートをはさみで小さく刻み乾燥後、(株)島津製作所製の高化式フローテスターCFT−500C型により内径1mm、長さ2mmのノズルを用いて、昇温速度3℃/分、荷重3.92MPa(40kgf/cm)の条件で測定した。
(5)カレンダー加工性
φ40mm同方向二軸押出機(L/D=32)を用いてシリンダー設定温度270℃で溶融混練した後、ロール径250mmの金属ロール4本からなるL型カレンダー加工設備に移し、ロール設定温度を樹脂組成物の流動開始温度+10℃〜200℃の範囲内で調整し、カレンダー製膜性を次に示す基準で目視により評価した。
(○):バンク(樹脂組成物)の回り方が規則的で安定しており、得られるシートの表面外観や厚みの均一性が良好なもの
(×):バンクの回り方が不規則だったり、明らかに熱量不足でロールへの巻き付き状態が悪く得られるシートの表面外観に凹凸などの不良が発生したり、厚みが不均一となるもの
(6)引張破壊伸び
JIS K7127に準じて、温度23℃、試験速度200mm/分の条件で得られたシートの横方向について測定した。
(7)ヘーズ(曇価)
JIS K7105に準じて測定した。
(8)沸騰水浸漬試験
60mm×60mmのサイズに切り出した樹脂被覆金属板に、JIS−K7121で規定されるエリクセン試験装置を用いて、樹脂被覆側が凸になるように6mmの張り出しを設けた後、沸騰水中に3時間浸漬し、その樹脂シートの面状態を次に示す基準で目視により評価した。
(○):全く変化のなかったもの
(×):表面の荒れや樹脂層の膨れ、剥離等が発生したもの
(9)鉛筆硬度
JIS K5400 8.4の「鉛筆引っかき値」(試験機法)に準じて測定した。
(10)二次加工性
得られたシートから作製した樹脂被覆金属板に衝撃密着曲げ試験を行い、曲げ加工部の樹脂シートの面状態を目視でチェックし、次に示す基準で評価した。
(○):ほとんど変化がなく良好なもの
(×):クラックや割れが発生したもの
なお、衝撃密着曲げ試験は次のようにして行った。樹脂被覆金属板の長さ方向および幅方向からそれぞれ50mm×150mmの試料を切出し、23℃で1時間以上保った後、折り曲げ試験機を用いて180°(内曲げ半径2mm)に折り曲げ、その試料に直径75mm、質量5kgの円柱形の錘を50cmの高さから落下させた。
(実施例1)
表1に示すように芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)として、乾燥した芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製、ノバレックス7025A、Tg:149.5℃、平均屈折率:1.5858、流動開始温度:194.9℃)(以下、単にPCと略記する)85重量%と、ポリエステル系樹脂(B)として、乾燥した透明軟質ポリエステル樹脂(三菱レイヨン(株)製、ダイヤナイトDN−124、Tg:19.1℃、カルボン酸単量体(イ)単位:テレフタル酸100モル%、グリコール単量体(ロ)単位:エチレングリコール66モル%、ジエチレングリコール2モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール26モル%、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール6モル%、平均屈折率:1.5461、固有粘度:0.94dl/g)(以下、単にPET−1と略記する)15重量%とからなる混合組成物100重量部に滑剤としてモンタン酸ワックス(Hoechst社製、Hoechst WAX OP)を1.0重量部添加し、φ40mm同方向二軸押出機(L/D=32)を用いてシリンダー設定温度270℃で溶融混練し、続いて、ロール径250mmの金属ロール4本からなるL型カレンダー加工設備に移し、ロール設定温度200℃の条件下で圧延して、厚み150μmのシートを得た。さらに、市販されているポリ塩化ビニル被覆金属板用のポリエステル系接着剤を該シートを貼り合せる金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になるように塗布し、ついで赤外線ヒーターおよび熱風加熱炉により塗布面の乾燥および加熱を行い、亜鉛めっき鋼板(厚み0.5mm)の表面温度を該シートの流動開始温度+10℃以上に保持しつつ、直ちにロールラミネータを用いて被覆・冷却することにより樹脂被覆金属板を得た。得られたシートを用いて評価したガラス転移温度(Tg)や力学特性などの評価結果および樹脂被覆金属板を用いて評価した実用試験の評価結果を合わせて表1に示す。また、得られた結果について総合評価も行い、すべての評価が良好であり、実用上問題のないものを「○」、いずれか1つでも不良であるものを「×」として表示した。
(実施例2)
表1に示すように、実施例1において芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)として使用したPCとポリエステル系樹脂(B)として使用したPET−1の混合比をそれぞれ70重量%及び30重量%に変更し、ロール設定温度を185℃にした以外は実施例1と同様にして厚み150μmのシートおよび樹脂被覆金属板を得た。得られたシートを用いて評価したガラス転移温度(Tg)や力学特性などの評価結果および樹脂被覆金属板を用いて評価した実用試験の評価結果を合わせて表1に示す。
(比較例1)
表1に示すように、実施例1において芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)として使用したPCとポリエステル系樹脂(B)として使用したPET−1の混合比をそれぞれ50重量%及び50重量%に変更し、ロール設定温度を175℃にした以外は実施例1と同様にして厚み150μmのシートおよび樹脂被覆金属板を得た。得られたシートを用いて評価したガラス転移温度(Tg)や力学特性などの評価結果および樹脂被覆金属板を用いて評価した実用試験の評価結果を合わせて表1に示す。
(比較例2)
表1に示すように、実施例1において芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)として使用したPCとポリエステル系樹脂(B)として使用したPET−1の混合比をそれぞれ100重量%及び0重量%に変更した以外は実施例1と同様にしてカレンダー加工した。しかしながら、明らかに熱量不足でロールへの巻き付き状態が悪く、また、バンクの回り方が不規則であり、表面外観が良好なシートを得ることは出来なかった。
(比較例3)
表1に示すように、実施例1において芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)として使用したPCを50重量%とポリエステル系樹脂(B)として、実施例1で使用したPET−1に代えて、非晶性ポリエステル樹脂[イーストマンケミカル(株)製、EASTAR PETG Copolyester6763、Tg:79.0℃、カルボン酸単量体(イ)単位:テレフタル酸100モル%、グリコール単量体(ロ)単位:エチレングリコール68モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール32モル%、平均屈折率:1.5667](以下、単にPET−2と略記する)を50重量%、ロール設定温度を195℃にした以外は実施例1と同様にして厚み150μmのシートおよび樹脂被覆金属板を得た。得られたシートを用いて評価したガラス転移温度(Tg)や力学特性などの評価結果および樹脂被覆金属板を用いて評価した実用試験の評価結果を合わせて表1に示す。得られたシートは、79.4℃と134.8℃の2箇所にガラス転移温度(Tg)を示した。また、該シートのヘーズは6.5%であり、透明性に劣るものであった。
(比較例4)
表1に示すように、実施例1において芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)として使用したPCを70重量%とポリエステル系樹脂(B)として、実施例1で使用したPET−1に代えて、ポリエステル樹脂[イーストマンケミカル(株)製、EASTAR PCTG Copolyester5445、Tg:87.3℃、カルボン酸単量体(イ)単位:テレフタル酸100モル%、グリコール単量体(ロ)単位:エチレングリコール35モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール65モル%](以下、単にPET−3と略記する)を30重量%にした以外は実施例1と同様にしてカレンダー加工した。しかしながら、カレンダー加工中にシートが結晶化し表面外観が良好なシートを得ることは出来なかった。なお、該シートを用いてDSC測定を行った結果、結晶融解ピークが243℃であった。
Figure 2005225930
表1より、本発明で規定する芳香族ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂との混合樹脂組成物からなるシートは、透明性、低温でのカレンダー加工性、耐沸騰水性、耐擦傷性、二次加工性に優れていることがわかる(実施例1、実施例2)。これに対して、混合樹脂組成物において、ポリエステル系樹脂の配合割合が多い場合には、ガラス転移温度が低下しすぎるため耐沸騰水性が低下し(比較例1)、また、芳香族ポリカーボネート樹脂単体の場合には、低温でのカレンダー加工性が悪く(比較例2)、さらに、本発明で規定する範囲外のポリエステル系樹脂を用いた場合には、芳香族ポリカーボネート系樹脂との相溶性に劣り、得られるシートの透明性が低下したり(比較例3)、低温でのカレンダー加工中に熱量不足のためシートが結晶化するなどの問題が発生する(比較例4)ことがわかる。

Claims (5)

  1. 芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)95〜60重量%と、ポリエステル系樹脂(B)5〜40重量%との混合樹脂組成物からなるシートであって、該ポリエステル系樹脂(B)がカルボン酸単量体(イ)単位として、芳香族ジカルボン酸を80〜100モル%、グリコール単量体(ロ)単位として、1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.1〜40モル%と数平均分子量500〜3000のポリアルキレングリコールを0.5〜15モル%とを含む構成単位からなるポリエステル樹脂であることを特徴とする樹脂被覆金属板用シート。
  2. 芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂(B)との混合樹脂組成物の示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で測定されるガラス転移温度が単一であり、そのガラス転移温度が、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)のガラス転移温度とポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度の間にあることを特徴とする請求項1記載の樹脂被覆金属板用シート。
  3. 混合樹脂組成物のガラス転移温度が100〜150℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂被覆金属板用シート。
  4. カレンダー加工法を用い、ロール設定温度が混合樹脂組成物の流動開始温度+10℃以上、200℃以下で成形することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂被覆金属板用シートの製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂被覆金属板用シートで被覆されていることを特徴とする樹脂被覆金属板。


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