JP2003246925A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2003246925A
JP2003246925A JP2002370454A JP2002370454A JP2003246925A JP 2003246925 A JP2003246925 A JP 2003246925A JP 2002370454 A JP2002370454 A JP 2002370454A JP 2002370454 A JP2002370454 A JP 2002370454A JP 2003246925 A JP2003246925 A JP 2003246925A
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thermoplastic resin
polyester resin
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acid
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Masaru Oguro
大 小黒
Takeo Hayashi
武夫 林
Masahiro Kurokawa
正弘 黒川
Tsuyoshi Ikeda
剛志 池田
Takashi Hirokane
岳志 広兼
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度、
更に成形性、印刷性等に優れた熱可塑性樹脂組成物を提
供する。 【解決手段】 ポリカーボネート樹脂2〜99.5重
量%と、ジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有
するジオール単位を20〜60モル%含むポリエステル
樹脂98〜0.5重量%とからなる熱可塑性樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
樹脂と、ジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有
するジオールから形成された単位(以下「から形成され
た単位」を「単位」と記す。)を一定割合有するポリエ
ステル樹脂とからなる透明性、耐熱性、耐薬品性及び機
械的強度、更に成形性、印刷性等に優れた熱可塑性樹脂
組成物、並びに当該熱可塑性樹脂組成物を用いて得られ
る射出成形体、シート、及びフィルム、更に当該熱可塑
性樹脂組成物に有機及び/又は無機フィラーを配合して
なる機械的強度、耐熱性及び耐薬品性、更に成形性、印
刷性等に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂(以下「PC」と
いうことがある。)は耐熱性、耐衝撃性、透明性などの
特長からエクステリア、電子電気用途、光ディスク基板
等の分野で使用されてきた。更に、それらの特長を生か
した自動車用途、医療材料用途への応用が広がると共
に、耐薬品性改良の要望が高まっている。
【0003】PCの耐薬品性を向上させるために、改質
剤として飽和ポリエステル樹脂を溶融混合することが試
みられている。例えば、ポリエチレンテレフタレート
(以下「PET」ということがある。)をPCの改質剤
とすることが提案されているが、PETを添加すること
でPCの透明性が著しく損なわれることが知られてい
る。 この対策として、溶融混合時の滞留時間を長くす
る方法や溶融混合時の触媒としてTi系触媒を用いる方
法が検討されている。しかしながら、この方法によって
は透明性は十分とはいえず、更に、熱分解による組成物
の黄変や、分解によりアルデヒドなどのガスが生ずると
いう問題があった。更にPETのガラス転移温度(T
g)が比較的低いために樹脂組成物の耐熱性が著しく低
下するという問題があった。
【0004】ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下
「PBT」ということがある。)をPCの改質剤とした
場合、比較的透明性が得られているものの、透明性が十
分とは言えず、加えて、耐熱性も著しく低下するという
問題があった。また、ジオール構成単位の40モル%を
1,4−シクロヘキサンジメタノール単位とした変性P
ETとPCとの熱可塑性樹脂組成物が提案されているが
(特許文献1参照)、この樹脂組成物は透明性は良好で
あるものの、耐熱性が低下し、耐薬品性も十分ではない
という問題があった。
【0005】更に、樹脂中のジカルボン酸構成単位に特
定割合のナフタレンジカルボン酸単位を含む共重合ポリ
エステルをPCの改質剤とする方法が提案されているが
(特許文献2参照)、ジカルボン酸構成単位中に耐薬品
性の改善に必要な割合のナフタレンジカルボン酸単位を
含ませると、透明性が不十分となるという問題点があっ
た。従って、PCの透明性及び耐熱性を保ちつつ、耐薬
品性を向上させるようなPC−ポリエステル樹脂系樹脂
組成物は知られていない。
【0006】
【特許文献1】特開2000−63641号公報
【特許文献2】特開2000−103948号公報
【0007】一方、ポリエステル樹脂、例えば、PE
T、ポリエチレンナフタレート、PBT等は、一般にP
Cに比べ、耐薬品性、成形性、及び印刷性等に優れる
が、耐熱性、機械的強度(特に耐衝撃性)及び透明性に
劣っており、これらの物性の改善が求められている。
【0008】ポリエステル樹脂の耐熱性及び耐衝撃性等
を改善する方法として、ポリエステル樹脂にPCを溶融
混合した熱可塑性樹脂組成物が提案されているが、前記
したようにこの樹脂組成物は透明性が著しく劣る。従っ
て、ポリエステル樹脂の耐熱性、機械的強度(特に耐衝
撃性)を同時に改善し、透明性も良好な熱可塑性樹脂組
成物は知られていない。
【0009】上記から、ポリカーボネート樹脂とポリエ
ステル樹脂とから構成された、透明性、耐熱性、耐薬品
性及び機械的強度(特に耐衝撃性)、更に成形性、印刷
性等を兼ね備えた熱可塑性樹脂組成物は知られていな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
状況に鑑み、ポリカーボネート樹脂と特定の共重合ポリ
エステル樹脂とからなる透明性、耐熱性、耐薬品性及び
機械的強度(特に耐衝撃性)、更に成形性、印刷性等に
優れた熱可塑性樹脂組成物、並びに当該熱可塑性樹脂組
成物を用いてなる射出成形体、シート及びフィルム、更
に当該熱可塑性樹脂組成物に有機及び/又は無機フィラ
ーを配合してなる機械的強度、耐熱性、耐薬品性、成形
性、印刷性等に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供するこ
とを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため種々検討を重ねた結果、ポリカーボネー
ト樹脂と、ポリエステル樹脂のジオール構成単位として
環状アセタール骨格を有するジオール単位を一定割合含
む共重合ポリエステル樹脂とを配合して得られる熱可塑
性樹脂組成物が、透明性、耐熱性、耐薬品性及び機械的
強度、更に成形性、印刷性等に優れることを見いだし、
本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち本発明は、以下の(1)〜(5)
に関する発明である。 (1)ポリカーボネート樹脂(A)とポリエステル樹脂
(B)とからなる熱可塑性樹脂組成物(C)であって、
ポリエステル樹脂(B)がそのジオール構成単位中に環
状アセタール骨格を有するジオール単位を20〜60モ
ル%含み、かつ熱可塑性樹脂組成物(C)がポリカーボ
ネート樹脂(A)2〜99.5重量%とポリエステル樹
脂(B)98〜0.5重量%とからなることを特徴とす
る熱可塑性樹脂組成物。 (2)前記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)を
用いて得られる厚さ3.2mmの射出成形体の全光線透
過率が87%以上、かつ曇価が4%以下である射出成形
体。 (3)前記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)を
用いて得られる厚さ1.0mmシートの全光線透過率が
87%以上であるシート。 (4)前記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)を
用いて得られる厚さ20μmフィルムの曇価が4%以下
であるフィルム。 (5)前記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)1
00重量部に対し、有機及び/又は無機フィラーを1〜
100重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物(D)。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂組成物
(C)は、ポリカーボネート樹脂(A)2.0〜99.
5重量%とジオール構成単位中に環状アセタール骨格を
有するジオール単位を20〜60モル%含むポリエステ
ル樹脂(B)98.0〜0.5重量%とを配合すること
により構成される。
【0014】本発明で使用されるポリカーボネート樹脂
(A)は、下記一般式(1)及び/又は(2)で表され
る繰り返し単位からなるポリカーボネートである。
【化5】
【化6】 (ただし、式中R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原
子、炭素数1〜10の非環状炭化水素基、炭素数5〜1
0の脂環式炭化水素基から選ばれる。かかるR1及びR2
としては、メチル、エチル、プロピル、ノルマルプロピ
ル、イソブチル、ペンチル、シクロヘキシル基等を例示
できる。R3およびR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜
10の非環状炭化水素基、ハロゲン原子、フェニル基か
ら選ばれる。かかるR3およびR4としては、メチル、エ
チル、プロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ペンチ
ル、フェニル基、塩素原子、臭素原子等を例示できる。
m及びnはそれぞれ独立に、0、1または2であり、k
は4または5である。)
【0015】本発明で使用されるポリカーボネート樹脂
(A)を構成する芳香族ヒドロキシ化合物としては特に
制限はないが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,
5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(テ
トラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル
フェニル)プロパン、1,1−ビス(3−ターシャリー
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフ
ェニルプロパン等で例示されるビス(ヒドロキシアリー
ル)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1
−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)
シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4
−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等で例示される
ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニ
ルメタン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)ア
リールアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニル
エーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチル
ジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリ
ールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチル
ジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジア
リールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ
メチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロ
キシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,
3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒ
ドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾ
ルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げら
れる。これらの中でも、熱可塑性樹脂組成物(C)の耐
熱性、機械的性能、経済性等の面から、ビスフェノール
Aが特に好ましく、すなわちポリカーボネート樹脂
(A)がビスフェノールAのポリ炭酸エステルであるこ
とが特に好ましい。
【0016】本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、
分岐構造を有していてもよく、このような分岐構造を有
した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、フロログ
ルシン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−
ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、4,6−ジメチ
ル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−
2−ヘプテン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフ
ェニル)ベンゾール、1,1,1−トリス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ
−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、α,
α',α"−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,
3,5−トリイソプロピルベンゼン等で例示されるポリ
ヒドロキシ化合物、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリ
ール)オキシインドール(=イサチンビスフェノー
ル)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジ
クロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビ
スフェノール等を使用すればよい。
【0017】本発明で使用されるポリカーボネート樹脂
(A)は、その粘度平均分子量が10,000以上であ
ることが機械的強度を維持する上で好ましく、30,0
00以下であることが成形性の点から好ましいが、1
2,000以上28,000以下であることがより好ま
しい。粘度平均分子量を上記範囲とすることで、熱可塑
性樹脂(C)の機械的強度及び成形性は優れたものとな
る。
【0018】本発明で使用されるポリカーボネート樹脂
(A)は、通常塩化メチレン等の溶媒中において公知の
酸受容体や分子量調節剤の存在下、対応するビスフェノ
ールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応に
より(界面重合法)、あるいは対応するビスフェノール
とジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体
とのエステル交換反応(溶融重合法)などによって製造
される。
【0019】本発明で使用されるポリエステル樹脂
(B)におけるジオール構成単位中の環状アセタール骨
格を有するジオール単位の割合は、20〜60モル%で
あり、好ましくは25〜55モル%であり、特に好まし
くは30〜50モル%である。ポリエステル樹脂(B)
のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジ
オール単位が前記20モル%未満では熱可塑性樹脂組成
物(C)の透明性及び耐熱性の改良が不十分となり、一
方前記60モル%を越えると透明性及び機械的強度(特
に耐衝撃性)の改良が不十分となる。前記ポリエステル
樹脂(B)を使用した熱可塑性樹脂組成物(C)は、耐
熱性、透明性及び機械的強度が特に優れたものとなる
(実施例3、16、17、及び比較例1、2参照)。
【0020】本発明で使用されるポリエステル樹脂
(B)の原料モノマーの一部である環状アセタール骨格
を有するジオールは、一般式(3)又は(4)で表され
る化合物であることが好ましく、各種ヒドロキシアルデ
ヒドとペンタエリスリトール(以下「PE」という)若
しくはトリメチロールプロパン(以下「TMP」とい
う)から酸触媒存在下で容易に製造できる。これらの具
体例として、ネオペンチルグリコールの中間体であるヒ
ドロキシピバルアルデヒド(以下「HPA」という)と
PEから製造される3,9−ビス(1,1−ジメチル−
2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオ
キサスピロ〔5.5〕ウンデカン(以下「SPG」とい
う)、HPAとTMPから製造される5−メチロール−
5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシ
エチル)−1,3−ジオキサンなどが例示できる。上記
化合物を使用して得られたポリエステル樹脂(B)を用
いることにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)
は、透明性、耐熱性、耐薬品性及び、機械的強度、更に
成形性、印刷性等に優れる射出成形体、シート、及びフ
ィルム等を提供することができる。
【化7】 (式中、R5およびR6はそれぞれ独立して、炭素数が1
〜10の非環状炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式
炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基
から選ばれる特性基、好ましくはメチレン基、エチレン
基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの構造異性
体、例えば、イソプロピレン基、イソブチレン基を表
す。)
【化8】 (式中、R5は前記と同様であり、R7は炭素数が1〜1
0の非環状炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化
水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基から
選ばれる特性基、好ましくは、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、又はこれらの構造異性体、たとえ
ば、イソプロピル基、イソブチル基を表す。)
【0021】本発明で使用されるポリエステル樹脂
(B)の原料とする環状アセタール骨格を有しないジオ
ールとしては、特に制限はされないが、例えば、エチレ
ングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリ
コール等の脂肪族ジオール類;ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコー
ル等のポリエーテル化合物類;1,3−シクロヘキサン
ジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−
デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒド
ロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタ
レンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメ
タノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノー
ル、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノー
ル、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデ
カンジメタノール等の脂環式ジオール類;4,4'−
(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビ
スフェノール(ビスフェノールF)、4,4'−シクロ
ヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、
4,4'−スルホニルビスフェノール(ビスフェノール
S)等のビスフェノール類;及びビスフェノール類のア
ルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、
4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロ
キシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;
及び当該芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシ
ド付加物などが挙げられる。これらの中でも、熱可塑性
樹脂組成物(C)の機械的強度、経済性の面から、エチ
レングリコールが特に好ましい。
【0022】本発明で使用されるポリエステル樹脂
(B)は、ジオール構成単位中にエチレングリコールか
ら形成された単位を好ましくは80〜40モル%、より
好ましくは75〜45モル%、特に好ましくは70〜5
0モル%含むことで、熱可塑性樹脂組成物(C)の透明
性、機械的強度、経済性等に特に優れる。
【0023】本発明で使用されるポリエステル樹脂
(B)には本発明の目的を損なわない範囲でブチルアル
コール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等の
モノアルコール類やトリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用い
ることもできる。
【0024】本発明で使用されるポリエステル樹脂
(B)のジカルボン酸成分としては、特に制限はされな
いが、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ド
デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デ
カンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシ
クロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカル
ボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボ
キシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−
2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−
1,3−ジオキサン等の脂肪族ジカルボン酸;当該脂肪
族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体;テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル
酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタ
レンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボ
ン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン
酸;及び当該芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導
体などが挙げられる。
【0025】これらの中でも、熱可塑性樹脂組成物
(C)の耐熱性、機械的強度、耐薬品性等の面から芳香
族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体が好まし
く、特にテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体が好ま
しい。テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体を使
用することで熱可塑性樹脂組成物(C)の透明性、機械
的強度、及び経済性は特に優れたものとなる。また、
2,6−ナフタレンジカルボン酸及びそのエステル形成
性誘導体を使用することで、熱可塑性樹脂組成物(C)
の透明性、耐薬品性、耐熱性は特に優れたものとなる。
【0026】本発明のジカルボン酸のエステル形成性誘
導体とはジカルボン酸エステルを形成し得る化合物であ
り、例えば、ジカルボン酸ジアルキルエステル、ジカル
ボン酸ジハロゲン化物、ジカルボン酸ジアミド等が挙げ
られる。これらの中で、ジカルボン酸ジアルキルエステ
ルが好ましく、ジカルボン酸ジメチルエステルが特に好
ましい。
【0027】ポリエステル樹脂(B)におけるジカルボ
ン酸構成単位中の芳香族ジカルボン酸単位の割合は、通
常70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好
ましく、90モル%以上が特に好ましい。ポリエステル
樹脂(B)におけるジカルボン酸構成単位中の芳香族ジ
カルボン酸単位の割合を上記範囲とすることにより、熱
可塑性樹脂組成物(C)は、耐熱性、機械的強度及び耐
薬品性がより優れたものとなる。
【0028】上記ジカルボン酸構成単位中の芳香族ジカ
ルボン酸単位が70モル%以上であるポリエステル樹脂
(B)において、更に芳香族ジカルボン酸構成単位中に
テレフタル酸単位を含む場合は、当該ジカルボン酸構成
単位中のテレフタル酸単位の割合は好ましくは20〜1
00モル%であり、より好ましくは30〜80モル%、
特に好ましくは40〜60モル%である。ポリエステル
樹脂(B)におけるジカルボン酸構成単位中のテレフタ
ル酸単位の割合を上記範囲とすることで、熱可塑性樹脂
組成物(C)は、透明性、機械的強度が特に優れたもの
となる(実施例1〜3、比較例4〜7参照)。
【0029】また、上記ジカルボン酸構成単位中の芳香
族ジカルボン酸単位が70モル%以上であるポリエステ
ル樹脂(B)において、更に芳香族ジカルボン酸構成単
位中2,6−ナフタレンジカルボン酸単位を含む場合
は、ジカルボン酸構成単位中の2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸単位の割合は好ましくは5〜80モル%、より
好ましくは20〜70モル%、特に好ましくは40〜6
0モル%である。ポリエステル樹脂(B)におけるジカ
ルボン酸構成単位中の2,6−ナフタレンジカルボン酸
単位の割合を上記範囲とすることにより、熱可塑性樹脂
組成物(C)は、透明性、耐熱性、耐薬品性が特に優れ
たものとなる(実施例8、9、比較例3〜7参照)。
【0030】ポリエステル樹脂(B)の原料モノマーと
して、上記芳香族ジカルボン酸成分以外に1分子中に3
個以上のカルボキシル基が芳香環に結合している多価カ
ルボン酸化合物または当該化合物に結合しているカルボ
キシル基の内の2個以上が無水環を形成している多価カ
ルボン酸化合物を使用することができる。例えば、トリ
メリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、カ
ルボキシル基の芳香環への結合位置が異なる各種ナフタ
レントリカルボン酸無水物、各種アントラセントリカル
ボン酸、各種ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、ベ
ンゼンテトラカルボン酸一無水物、各種ナフタレンテト
ラカルボン酸二無水物、各種アントラセンテトラカルボ
ン酸二無水物、各種ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、エチレンビストリメリット酸無水物等が例示され
る。
【0031】ポリエステル樹脂(B)の原料モノマーに
は、本発明の目的を損なわない範囲でグルコール酸、乳
酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸等の
オキシ酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカル
ボン酸を用いることができる。
【0032】本発明のポリエステル樹脂(B)を製造す
る方法に特に制限はなく、従来公知の方法を適用するこ
とが出来る。例えばエステル交換法、直接エステル化法
等の溶融重合法または溶液重合法を挙げることが出来
る。エステル交換及びエステル化触媒は従来既知のもの
を用いることができ、特に限定されるものではないが、
例えばナトリウム、マグネシウムのアルコキサイド、亜
鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、
リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケ
ル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタニ
ウム、ゲルマニウム、アンチモン、スズ等の脂肪酸塩、
炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、金属マ
グネシウムなどが挙げられる。これらの触媒は単独で用
いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。重縮
合触媒は従来既知のものを用いることができ、特に限定
されるものではなく、例えば上述したものを用いること
が出来る。これらの触媒は単独で用いても良いし、複数
を組み合わせて用いても良い。
【0033】ポリエステル樹脂(B)を製造する際には
公知のエーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種
安定剤、重合調整剤等を用いることが出来る。具体的に
は、エーテル化防止剤としてアミン化合物等が例示され
る。また熱安定剤としてリン酸、亜リン酸、フェニルホ
スホン酸等の各種リン化合物を加えることも有効であ
る。その他光安定剤、耐電防止剤、滑剤、酸化防止剤、
離型剤、染料、顔料等を加えても良い。
【0034】ポリエステル樹脂(B)の示差走査型熱量
計で測定されるガラス転移温度は好ましくは70℃以
上、更に好ましくは80℃以上、特に好ましくは90℃
以上である。ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度
が上記範囲であることで、熱可塑性樹脂組成物(C)は
耐熱性が特に良好となる。
【0035】ポリエステル樹脂(B)は、ポリカーボネ
ート樹脂(A)と溶融混練する際、樹脂中の水分率を3
00ppm以下、好ましくは100ppm以下に乾燥さ
せることが望ましい。水分率を上記範囲とすることで、
ポリカーボネート樹脂(A)と溶融混練する際のポリエ
ステル樹脂(B)の劣化を防ぐ事が出来る。
【0036】本発明で用いるポリエステル樹脂(B)の
極限粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロ
エタンの質量比が6/4である混合溶媒中で、25℃で
測定した値)には、特に制限はないが、通常0.3〜
2.0d1/g、好ましくは0.4〜1.8d1/gで
あることが望ましい。極限粘度が0.3以上であるとポ
リエステル樹脂(B)の分子量が充分に高いために、こ
れを使用して得られる熱可塑性樹脂組成物(C)からな
る成形物が特に優れた機械的強度を有する。
【0037】ポリエステル樹脂(B)の溶融粘度は、温
度240℃、及びせん断速度100s-1の条件下で測定
した場合、好ましくは300〜5000Pa・sの範囲
であり、更に好ましくは500〜2000Pa・sの範
囲である。ポリエステル樹脂(B)の溶融粘度が上記範
囲であると、ポリカーボネート樹脂(A)との溶融混合
する際の混じりがよく、透明性、及び機械的強度に優れ
た熱可塑性樹脂組成物(C)を得ることが出来る。
【0038】ポリエステル樹脂(B)の分子量分布は
2.5〜12.0であることが好ましく、更に好ましく
は2.5〜8.0である。分子量分布が上記の場合にお
いてフィルム、シート、及び薄肉中空容器などの成形性
に特に優れる。ここで、分子量分布とは、数平均分子量
(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の割合(Mw
/Mn)をいう。分子量分布は、環状アセタール骨格を
有するジオールの添加時期、ポリエステル樹脂(B)の
分子量、重合温度、添加剤を選ぶことにより調節するこ
とが出来る。
【0039】本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)は、ポ
リカーボネート樹脂(A)2.0〜99.5重量%、好
ましくは5〜99.0重量%、より好ましくは10〜9
5重量%と、ジオール構成単位中に環状アセタール骨格
を有するジオール単位を20〜60モル%含むポリエス
テル樹脂(B)を98.0〜0.5重量%、好ましくは
95〜1.0重量%、より好ましくは90〜5重量%と
を配合することにより構成される。
【0040】熱可塑性樹脂組成物(C)がポリカーボネ
ート樹脂(A)99.5重量%以下、ポリエステル樹脂
(B)0.5重量%以上から構成される場合、ポリカー
ボネート樹脂(A)に対する耐薬品性は大幅に改善さ
れ、更に成形性及び印刷性も改善される。尚、熱可塑性
樹脂組成物(C)中にポリエステル樹脂(B)を0.3
重量%以上含む場合においてもポリカーボネート樹脂
(A)に対する耐薬品性の改善効果は発現する。熱可塑
性樹脂組成物(C)がポリカーボネート樹脂(A)2.
0重量%以上、ポリエステル樹脂(B)98.0重量%
以下から構成される場合、ポリエステル樹脂(B)に対
し、機械的強度(特に耐衝撃性)及び耐熱性が改善され
る。
【0041】熱可塑性樹脂組成物(C)は、従来公知の
方法により混合されたものである。例えば、ポリカーボ
ネート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とをタンブ
ラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等でドライ
ブレンドした混合物を一軸押出機、二軸押出機、ニーダ
ー等で1回以上溶融混合したもの、更には必要に応じて
溶融混合物を高真空下又は不活性ガス雰囲気下で固相重
合したものが挙げられる。
【0042】熱可塑性樹脂組成物(C)の厚さ3.2m
m射出成形体の全光線透過率は、透明性の点から、87
%以上が好ましく、88%以上がより好ましく、89%
以上が特に好ましく、一方、曇価は4%以下が好まし
く、3%以下がより好ましく、2%以下が特に好まし
い。
【0043】熱可塑性樹脂組成物(C)の示差走査型熱
量計で測定されるガラス転移温度は90℃以上が好まし
く、110℃以上がより好ましく、130℃以上が特に
好ましい。熱可塑性樹脂組成物(C)のガラス転移温度
が上記範囲であることで耐熱性が特に良好となる。
【0044】熱可塑性樹脂組成物(C)の厚さ3.2m
m射出成形体のノッチ付きアイゾット衝撃試験における
衝撃強度は、耐衝撃性の点から30J/m以上が好まし
く、50J/m以上がより好ましく、100J/m以上
が特に好ましい。
【0045】熱可塑性樹脂組成物(C)の厚さ3.2m
mの射出成形体に変形率1%の歪をかけた状態で四塩化
炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる溶
液(溶液温度:25℃)に浸漬した際にクラックが発生
するまでの時間は、耐薬品性の点から、5秒以上が好ま
しく、7秒以上がより好ましく、10秒以上が特に好ま
しい。
【0046】熱可塑性樹脂組成物(C)の厚さ1.0m
mの押出し成形シートにインキ(帝国インキ製造(株)
製、13−00215 ホワイト 遅乾D3N25−
P)と溶剤(帝国インキ製造(株)製 Z−603)か
らなる組成物(インキ/溶剤の重量比:100/30)
を厚さ60μmに塗布し、10分間風乾後更に80℃で
10分間乾燥させた際にインキ部分にクラックが入る割
合は、印刷性の点から、20%以下が好ましく、0%が
より好ましい。
【0047】熱可塑性樹脂組成物(C)の溶融粘度は、
温度240℃、及びせん断速度100s-1で測定した場
合に、300〜5000Pa・sの範囲が好ましく、5
00〜2000Pa・sの範囲がより好ましい。熱可塑
性樹脂組成物(C)の溶融粘度が上記範囲であると、成
形性、特に射出成形性、押出し成形性、発泡成形性が良
好となる。また、熱可塑性樹脂組成物(C)から得られ
た成形体は、真空圧空成形での賦形性、深絞り性が良好
である他、冷間曲げ、ドリル穴あけ、打ち抜き性等二次
加工性が良好となる。
【0048】熱可塑性樹脂組成物(C)は、ポリカーボ
ネート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との構成割
合により、以下の(I)〜(III)に記載する特徴を有
する。
【0049】(I)熱可塑性樹脂組成物(C)が多量の
ポリカーボネート樹脂(A)と少量のポリエステル樹脂
(B)とから構成される場合 すなわち、熱可塑性樹脂組成物(C)中のポリカーボネ
ート樹脂(A)が好ましくは60〜99.5重量%、よ
り好ましくは70〜95重量%と、ポリエステル樹脂
(B)が好ましくは40〜0.5重量%、特により好ま
しくは30〜5重量%とから構成される場合、主として
ポリカーボネート樹脂(A)に対して透明性、機械的強
度及び耐熱性を損なうことなく、耐薬品性、成形性及び
印刷性の改良が顕著となる(実施例1〜9、18、比較
例7参照)。
【0050】従って、上記組成の熱可塑性樹脂組成物
(C)は、耐熱性、透明性、耐薬品性及び機械的強度に
特に優れ、更に成形性及び印刷性にも優れるものであ
る。
【0051】上記組成の熱可塑性樹脂組成物(C)は具
体的には、下記(1)〜(4)の物性を有する。 (1)耐熱性:示差走査型熱量計で測定したガラス転移
温度が130℃以上。 (2)耐衝撃性:ノッチ付きアイゾット衝撃試験で衝撃
強度が100J/m以上。 (3)耐薬品性:1%の歪みを加えた射出成形体を四塩
化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる
混合溶液に浸漬した際に射出成形体にクラックが入るま
での時間が5秒以上。 (4)透明性:3.2mm厚の射出成形体の全光線透過
率が87%以上、かつ曇価が4%以下。
【0052】(II)熱可塑性樹脂組成物(C)がポリカ
ーボネート樹脂(A)と同程度量のポリエステル樹脂
(B)とから構成される場合 すなわち、熱可塑性樹脂組成物(C)中のポリカーボネ
ート樹脂(A)が好ましくは30〜70重量%、より好
ましくは40〜60重量%と、ポリエステル樹脂(B)
が好ましくは70〜30重量%、より好ましくは60〜
40重量%とから構成される場合、ポリカーボネート樹
脂(A)に対しては、特に耐薬品性、成形性、印刷性が
優れ、ポリエステル樹脂(B)に対しては特に耐熱性、
機械的強度、中でも耐衝撃性が優れたものとなる(実施
例10〜12、比較例7〜11参照)。
【0053】従って、ポリカーボネート樹脂(A)、ポ
リエステル樹脂(B)のそれぞれの透明性を損なうこと
なく、耐熱性、機械的強度、耐薬品性、成形性、印刷性
の優れた熱可塑性樹脂組成物(C)を得ることが出来
る。上記組成の熱可塑性樹脂組成物(C)は具体的に
は、下記(1)〜(4)の物性を有する。 (1)耐熱性:示差走査型熱量計で測定したガラス転移
温度が110℃以上。 (2)耐衝撃性:ノッチ付きアイゾット衝撃試験での衝
撃強度が30J/m以上。 (3)耐薬品性:1%の歪みを加えた射出成形体を四塩
化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる
溶液に浸漬した際に射出成形体にクラックが入るまでの
時間が7秒以上。 (4)透明性:3.2mm厚の射出成形体の全光線透過
率が87%以上、かつ曇価が4%以下。
【0054】(III)熱可塑性樹脂組成物(C)が少量
のポリカーボネート樹脂(A)と多量のポリエステル樹
脂(B)とから構成される場合 すなわち、熱可塑性樹脂組成物(C)中のポリカーボネ
ート樹脂(A)が好ましくは0.5〜40重量%、より
好ましくは5〜30重量%と、ポリエステル樹脂(B)
が好ましくは99.5〜60重量%、より好ましくは9
5〜70重量%とから構成される場合、ポリエステル樹
脂(B)に対して、特に耐熱性、機械的強度、中でも耐
衝撃性が改良されたものとなる(実施例13〜17、及
び比較例8〜11参照)。
【0055】従って、ポリエステル樹脂(B)の透明性
を損なうことなく、耐熱性、機械的強度を改善し、耐薬
品性、成形性、印刷性の優れた熱可塑性樹脂組成物
(C)を得ることが出来る。上記組成の熱可塑性樹脂組
成物(C)は具体的には、下記(1)〜(4)の物性を
有する。 (1)耐熱性:示差走査型熱量計で測定したガラス転移
温度が90℃以上。 (2)耐衝撃性:ノッチ付きアイゾット衝撃試験での衝
撃強度が30J/m以上。 (3)耐薬品性:1%の歪みを加えた射出成形体を四塩
化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる
溶液に浸漬した際に射出成形体にクラックが入るまでの
時間が10秒以上。 (4)透明性:3.2mm厚の射出成形体の全光線透過
率が87%以上、かつ曇価が4%以下。
【0056】本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)には、
本発明の効果を損なわない範囲で、顔料、染料、滑剤、
艶消剤、熱安定剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤、核剤、
可塑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を加えることも
出来る。
【0057】また、熱可塑性樹脂組成物(C)には、そ
の性質を本質的に変化させない範囲で、ポリエチレンテ
レフタレート製品回収物、少量のイソフタル酸成分単位
を含む変性ポリエチレンテレフタレート製品回収物、ポ
リカーボネート製品回収物、及び/または規格外物等の
ポリエステル樹脂及び/又はポリカーボネート樹脂回収
物を添加しても良い。
【0058】熱可塑性樹脂組成物(C)は、射出成形、
押出し成形、ブロー成形、発泡成形に好適に用いること
が出来る。熱可塑性樹脂組成物(C)は、これらの成形
により得られる射出成形体、単層又は多層シート及びシ
ート成形体、単層又は多層フィルム、熱収縮性フィル
ム、中空容器、シート発泡体、ビーズ発泡体、繊維、カ
レンダー成形体、異型押出し成形体、眼鏡レンズ等種々
の成形体に用いることが出来るほか、溶液型塗料、粉体
塗料、トナー、接着剤等種々の用途に用いることが出来
る。これらの中で射出成形体、シート、フィルムの用途
には特に好適に用いることが出来る。
【0059】熱可塑性樹脂組成物(C)から射出成形体
を得る方法としては特に制限されるものでは無く、従来
公知の方法を用いることができる。例えば、熱可塑性樹
脂組成物(C)を射出成形機に供給し、熱可塑性樹脂組
成物(C)の溶融温度において熱可塑性樹脂組成物
(C)を所定形状の金型に射出し、金型内で冷却固化す
ることにより成形体を得る方法が挙げられる。熱可塑性
樹脂組成物(C)から得られる3.2mm厚の射出成形
体の曇価は4.0%以下、好ましくは3.0%以下、更
に好ましくは2.0%以下であり、全光線透過率は87
%以上、好ましくは88%以上、更に好ましくは89%
以上であり、透明性が良好である。熱可塑性樹脂組成物
(C)から得られる3.2mm厚の射出成形体に1.8
2MPaの荷重をかけた際の荷重たわみ温度は好ましく
は80℃以上、更に好ましくは100℃以上、特に好ま
しくは120℃以上である。荷重たわみ温度が上記範囲
であることで、熱可塑性樹脂組成物(C)は耐熱性に特
に優れたものとなる。
【0060】熱可塑性樹脂組成物(C)からシートを得
る方法としては特に制限されるものでは無く、従来公知
の方法を用いることができる。例えば、例えば押出し成
形、キャスト成形を行うことが出来る。熱可塑性樹脂組
成物(C)から得られる1.0mm厚のシートの全光線
透過率は87%以上、好ましくは88%以上、更に好ま
しくは89%以上であり、透明性が良好である。更に、
熱可塑性樹脂組成物(C)から得られるシートは真空圧
空成形での賦形性、深絞り性が良好である他、冷間曲
げ、ドリル穴あけ、打ち抜き性等二次加工性が良好であ
る。
【0061】熱可塑性樹脂組成物(C)からフィルムを
得る方法としては特に制限されるものでは無く、従来公
知の方法を用いることができる。例えば、ロール延伸、
長間隙延伸、テンター延伸などの方法が挙げられる。延
伸時の形状はフラット状、チューブ状等の方法が適用で
きる。熱可塑性樹脂組成物(C)から得られる1.0m
m厚のフィルムの曇価は4.0%以下、好ましくは3.
0%以下、更に好ましくは2.0%以下であり透明性が
良好である。
【0062】本発明の熱可塑性樹脂組成物(C)100
重量部に対し、有機及び/又は無機フィラーを0.1〜
150重量部、好ましくは1〜130重量部、より好ま
しくは10〜100重量部配合して、機械的強度、耐熱
性等に優れた熱可塑性樹脂組成物(D)を得ることがで
きる。
【0063】当該有機フィラーとしては特に制限はない
が、炭素繊維、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素
樹脂、ABS樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリエチ
レンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリオレフ
ィンエラストマーやポリアミドエラストマー等の各種エ
ラストマー、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、アイオノマー等が挙げられる。当該無機
フィラーとしては特に制限はないがガラス繊維、ガラス
ビーズ、ガラスフレーク、繊維状マグネシウム、チタン
酸カリウムウィスカー、セラミックウィスカー、タル
ク、マイカ、酸化チタン、モンモリオナイト、粘土など
が挙げられる(実施例19参照)。
【0064】本発明の熱可塑性樹脂組成物(D)は、射
出成形、押出し成形、ブロー成形、発泡成形に好適に用
いることが出来る。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、こ
れらの成形により得られる射出成形体、単層又は多層シ
ート及びシート成形体、中空容器、シート発泡体、ビー
ズ発泡体、カレンダー成形体、異型押出し成形体等種々
の成形体に用いることが出来る。
【0065】本発明の熱可塑性樹脂組成物(D)から射
出成形体を得る方法としては特に制限されるものでは無
く、従来公知の方法を用いることができる。例えば、熱
可塑性樹脂組成物を射出成形機に供給し、熱可塑性樹脂
組成物の溶融温度において熱可塑性樹脂組成物を所定形
状の金型に射出し、金型内で冷却固化することにより成
形体を得る方法が挙げられる。
【0066】
【実施例】次に、本発明を実施例、比較例により更に具
体的に説明する。尚、実施例、比較例の評価に用いた試
料の合成方法、及びその物性の測定方法は次の通りであ
る。
【0067】(ポリエステル樹脂(B)の製造(製造例
1〜13))充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コール
ドトラップ、攪拌翼、加熱装置、及び窒素導入管を備え
た150リットル(L)のポリエステル製造装置に表1
に記載の量のモノマーを仕込み、酢酸マンガン四水和物
をジカルボン酸成分に対して0.03モル%加え、常
圧、窒素雰囲気下で昇温した。200℃まで昇温し、エ
ステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化
率を90モル%以上とした後、ジカルボン酸成分に対し
て0.02モル%の三酸化アンチモンと0.06モル%
のリン酸トリメチルを加え、昇温と減圧を徐々に行い、
エチレングリコールを系外に抜き出しつつ、最終的に2
70〜300℃、0.3kPa以下で重縮合反応を行っ
た。徐々に反応物の粘度が上昇し、適度な溶融粘度にな
った時点で反応を終了し、本発明のポリエステル樹脂
(B)を得た。
【0068】(ポリエステル樹脂(B)の評価)ポリエ
ステル樹脂(B)の評価は以下の方法で行った。なお、
評価結果は表2に示す。 (1)極限粘度(IV) ポリエステル樹脂(B)の極限粘度は混合溶媒(質量
比:フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン
=6/4)を用いて25℃恒温下で測定した。 (2)分子量分布(Mw/Mn) ポリエステル樹脂(B)の分子量分布は、ゲルパーミエ
イションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準
ポリスチレンで検量した。GPCは東ソー(株)製カラ
ムTSK GMHHR-Lを2本、TSK G5000HR
1本接続した東ソー(株)製TOSOH 8020を用
い、カラム温度40℃で測定した。溶離液はクロロホル
ムを1.0ml/minの流速で流し、UV検出器で測
定した。 (3)ポリエステル樹脂のジオール構成単位中の環状ア
セタール骨格を有するジオール単位 ポリエステル樹脂のジオール構成単位中の環状アセター
ル骨格を有するジオール単位を1H−NMR測定にて算
出した。測定装置は日本電子(株)製、NM−AL40
0を用い、400MHzで測定した。溶媒には重クロロ
ホルムを用いた。
【0069】〔実施例1〜17、比較例1〜6〕ポリカ
ーボネート樹脂(A)として、三菱エンジニアリングプ
ラスチックス(株)製、ポリカーボネート樹脂(商品
名:ユーピロンS−3000、Mv:2.3×104
を使用した。 (1)熱可塑性樹脂組成物(C)の作製 表3〜10に記載する量のポリカーボネート樹脂
(A)、ポリエステル樹脂(B)をタンブラーにより混
合した。この樹脂混合物を二軸押出し機(スクリュー
径:37mm、L/D:42)を用いてシリンダー温度
265〜285℃、ダイ温度265〜285℃、スクリ
ュー回転数100rpmの条件で溶融混合した。 (2)射出成形体の作製 熱可塑性樹脂組成物(C)をスクリュー式射出成形機
(スクリュー径:32mm、型締力:9.8kN)によ
り、シリンダー温度260〜280℃、金型温度35℃
の条件で3.2mm厚の各種試験片を成形した。 (3)シートの作製 熱可塑性樹脂組成物(C)を二軸押出し機(スクリュー
径:20mm、L/D:25)を用いてTダイ法により
シリンダー温度265〜285℃、Tダイ温度265〜
285℃、スクリュー回転数50rpmの条件で1.0
mm厚のシートを作製した。 (4)フィルムの作製 上記(3)に記載の条件で作製した100μm厚のシー
トを熱可塑性樹脂組成物(C)のガラス転移温度より1
0〜20℃高い温度で2.2×2.2倍に同時二軸延伸
を行った。 〔実施例18〕ポリカーボネート樹脂(A)として、下
記の繰返し単位からなる三菱エンジニエンジニアリング
プラスチックス(株)製、ポリカーボネート樹脂(M
v:2.3×104)を使用した以外は、実施例1と同
様に行った。
【化9】 〔実施例19〕熱可塑性樹脂組成物(C)の原料として
表8に記載する量のポリカーボネート樹脂(A)、ポリ
エステル樹脂(B)、フィラーとしてガラス繊維を使用
した以外は実施例3と同様に行った。 〔比較例7〕二軸押出し機による熱可塑性樹脂組成物の
製造工程を行わなかった以外は実施例1と同様に行っ
た。 〔比較例8−11〕射出成形体の作製は、シリンダー温
度240〜280℃、金型温度35℃、シートの作製は
シリンダー温度240〜280℃、Tダイ温度240〜
280℃、スクリュー回転数50rpmの条件で行った
以外は、比較例7と同様に行った。
【0070】〔評価方法〕実施例1〜19、及び比較例
1〜11中の樹脂組成物の評価方法は以下の通りであ
る。なお、評価結果は表3〜11にまとめて示す。 (1)曇価、全光線透過率:3.2mm厚の射出成形
体、1.0mm厚のシート、20μm厚のフィルムをそ
れぞれ使用して、JIS K7105、ASTM D1
003に準じて行った。使用した測定装置は、日本電色
工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)で
ある。 (2)荷重たわみ温度:ASTM D648に準じ、
1.82MPa荷重下で測定した。 (3)ガラス転移温度:ポリエステル樹脂のガラス転移
温度(Tgm)は、(株)島津製作所製、DSC/TA
−50WSを使用し、試料約10mgをアルミニウム製
非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流
中、昇温速度20℃/minで測定した。DSC曲線の
転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度を
ガラス転移温度とした。 (4)耐薬品性:厚み3.2mmの曲げ試験片(射出
成形体)に変形率0.5%の歪をかけた状態で試験薬品
を塗布し、温度25℃において表面にクラックが発生す
るまでの時間を測定した。試験薬品としては、ジオクチ
ルフタレート(東京化成工業(株)製)を使用した。 (5)耐薬品性:厚み3.2mmの曲げ試験片(射出
成形体)に変形率1%の歪をかけた状態で四塩化炭素7
5重量部/n−ブタノール25重量部からなる混合溶液
(溶液温度:25℃)に浸漬しクラックが発生するまで
の時間を計測した(試験数:5)。 (6)耐衝撃性:JIS K7110に準拠して3.2
mm厚の試験片でノッチ付きアイゾット衝撃強さの測定
を行った。 (7)印刷性:厚み1.0mmのシートにインキ(帝国
インキ製造(株)製、13−00215 ホワイト 遅
乾D3N25−P)と溶剤(帝国インキ製造(株)製
Z−603)を100:30(重量比)で混合したもの
をアプリケーターで厚さ60μmに塗布し、10分間風
乾後更に80℃で10分間乾燥させた際に試料のインキ
部分のクラック発生割合を測定した(試験数5)。 (8)成形性:厚み1.0mmのシートを真空圧空成形
した際(絞り比1.5)の賦形性を目視にて以下の基準
に従い評価した。 ○:金型どおりに賦形 △:賦形が十分でない ×:真空圧空成形できず
【0071】尚、表1、2中、テレフタル酸ジメチルを
「DMT」と、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチ
ルを「NDC」と、イソフタル酸ジメチルを「DMI」
と、エチレングリコールを「EG」と、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノールを「CHDM」と、3,9−ビス
(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカ
ンを「SPG」と、5−メチロール−5−エチル−2−
(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3
−ジオキサンを「DOG」と、極限粘度を「IV」と、
分子量分布を「Mw/Mn」と略記する。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
【表8】
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
【表11】
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、ポリカーボネート樹脂
と、ジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有する
ジオール単位を一定割合有するポリエステル樹脂とから
なる透明性、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、成形性、
及び印刷性に優れた熱可塑性樹脂組成物、並びに当該熱
可塑性樹脂組成物を用いて得られる射出成形体、シー
ト、及びフィルム、更には当該熱可塑性樹脂組成物に有
機及び/又は無機フィラーを一定割合配合してなる機械
的強度、耐熱性、耐薬品性、成形性、及び印刷性に優れ
た熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒川 正弘 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱瓦斯化学株式会社平塚研究所内 (72)発明者 池田 剛志 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱瓦斯化学株式会社平塚研究所内 (72)発明者 広兼 岳志 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱瓦斯化学株式会社平塚研究所内 Fターム(参考) 4F071 AA45 AA50 AA86 AF02 AF23 AF30 BB05 4J002 CF03X CF05X CF08X CF09X CG01W CG03W DE126 DE186 DJ006 DJ046 DJ056 DL006 FA016 FA086 FD016 FD046 GG00 4J029 AA03 AA09 AB01 AC01 AD07 AE01 BA01 BA03 BA05 BA08 BA09 BB04A BB09A BB12A BB13A BC07A BD03A BD07A BE05A BF13 BF30 CA04 CA05 CA06 CA09 CB04A CB05A CB06A CB10A CC05A CC06A HA01 HB01 HB02 HC01 HC05A JA013

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート樹脂(A)とポリエス
    テル樹脂(B)とからなる熱可塑性樹脂組成物(C)で
    あって、ポリエステル樹脂(B)がそのジオール構成単
    位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位を20
    〜60モル%含み、かつ熱可塑性樹脂組成物(C)がポ
    リカーボネート樹脂(A)2〜99.5重量%とポリエ
    ステル樹脂(B)98〜0.5重量%とからなることを
    特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリカーボネート樹脂(A)が一般式
    (1)及び/又は(2)で表される繰返し単位から構成
    されるポリカーボネート樹脂である請求項1記載の熱可
    塑性樹脂組成物(C)。 【化1】 【化2】 (ただし、式中R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原
    子、炭素数1〜10の非環状炭化水素基、炭素数5〜1
    0の脂環式炭化水素基から選ばれる。R3およびR4は、
    それぞれ独立に、炭素数1〜10の非環状炭化水素基、
    ハロゲン原子、フェニル基から選ばれ、m及びnはそれ
    ぞれ独立に0、1または2であり、kは4または5であ
    る。)
  3. 【請求項3】 ポリカーボネート樹脂(A)がビスフェ
    ノールAのポリ炭酸エステルである請求項1ないし2に
    記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
  4. 【請求項4】 環状アセタール骨格を有するジオール成
    分が一般式(3)又は(4)で表される請求項1ないし
    3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。 【化3】 (式中、R5およびR6はそれぞれ独立して、炭素数が1
    〜10の非環状炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式
    炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基
    から選ばれる特性基を表す。) 【化4】 (式中、R5は前記と同様であり、R7は炭素数が1〜1
    0の非環状炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化
    水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基から
    選ばれる特性基を表す。)
  5. 【請求項5】 環状アセタール骨格を有するジオール成
    分が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシ
    エチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
    〔5.5〕ウンデカン、又は5−メチロール−5−エチ
    ル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)
    −1,3−ジオキサンである請求項1ないし4のいずれ
    かに記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
  6. 【請求項6】 ポリエステル樹脂(B)が、そのジカル
    ボン酸構成単位中に芳香族ジカルボン酸単位を70モル
    %以上含むポリエステル樹脂である請求項1ないし5の
    いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
  7. 【請求項7】 ポリエステル樹脂(B)が、そのジカル
    ボン酸構成単位中にテレフタル酸、2,6−ナフタレン
    ジカルボン酸、イソフタル酸から選ばれる1種以上のジ
    カルボン酸単位を含むポリエステル樹脂であることを特
    徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の熱可塑性
    樹脂組成物(C)。
  8. 【請求項8】 以下の(1)ないし(4)の物性を有す
    ることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載
    の熱可塑性樹脂組成物(C)。 (1)示差走査型熱量計で測定されるガラス転移温度が
    90℃以上 (2)ノッチ付きアイゾット衝撃試験での衝撃強度が3
    0J/m以上 (3)1%の歪みを加えた射出成形体を四塩化炭素75
    重量部/n−ブタノール25重量部からなる混合溶液に
    浸漬した際に25℃で射出成形体にクラックが入るまで
    の時間が5秒以上 (4)3.2mm厚の射出成形体の全光線透過率が87
    %以上、かつ曇価が4%以下
  9. 【請求項9】 以下の(1)ないし(2)の物性を有す
    ることを特徴とする請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成
    物(C)。 (1)示差走査型熱量計で測定されるガラス転移温度が
    130℃以上 (2)ノッチ付きアイゾット衝撃試験での衝撃強度が1
    00J/m以上
  10. 【請求項10】 以下の(1)ないし(2)の物性を有
    することを特徴とする請求項8に記載の熱可塑性樹脂組
    成物(C)。 (1)示差走査型熱量計で測定されるガラス転移温度が
    110℃以上 (2)1%の歪みを加えた射出成形体を四塩化炭素75
    重量部/n−ブタノール25重量部からなる混合溶液に
    浸漬した際に射出成形体にクラックが入るまでの時間が
    7秒以上
  11. 【請求項11】 1%の歪みを加えた射出成形体を四塩
    化炭素75重量部/n−ブタノール25重量部からなる
    混合溶液に浸漬した際に射出成形体に25℃でクラック
    が入るまでの時間が10秒以上であることを特徴とする
    請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物(C)。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の熱可塑性樹脂組成物(C)を用いて得られる3.2m
    m厚の射出成形体の全光線透過率が87%以上、かつ曇
    価が4%以下である射出成形体。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の熱可塑性樹脂組成物(C)を用いて得られる1.0m
    m厚のシートの全光線透過率が87%以上であるシー
    ト。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の熱可塑性樹脂組成物(C)を用いて得られる20μm
    厚のフィルムの曇価が4%以下であるフィルム。
  15. 【請求項15】 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物
    (C)100重量部に対し、有機及び/又は無機フィラ
    ーを1〜100重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物
    (D)。
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