JP5283102B2 - ポリエステルシート - Google Patents
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Description
さらに、高分子量ポリアルキレングリコールを共重合する方法でも、短鎖エステル単位を50重量%以上含有していると柔軟性を確保することが難しかった。また、ポリアルキレングリコール単位の結晶性によってシートの白化が起こり外観を損なうという問題もあり、透明性、柔軟性を有するポリエステルシートの開発が望まれていた。
また、本発明者らは、特願平11−110176号で、柔軟性や透明性などに優れたポリエステルシートについて提案したが、より透明性の経時変化が少ないポリエステルシートが望まれている。
K 6714による。また、結晶融解熱量ΔHcは、DSCの融解ピークより求めた値である。)
K 6714による。また、結晶融解熱量ΔHcは、DSCの融解ピークより求めた値である。)
[実施形態例1]本実施形態例1のポリエステルシートの主成分であるポリエステルブロック共重合体は、芳香族ジカルボン酸単位を85〜100[モル%]含むジカルボン酸単量体(A)単位を構成単位として有する。芳香族ジカルボン酸単位は、ポリエステルブロック共重合体に耐熱性および機械的強度を付与するものであり、ジカルボン酸単量体(A)単位中80[モル%]未満では、ポリエステルシートの機械的強度や生産性が低下する。
芳香族ジカルボン酸はそのエステル形成誘導体として重合に供される場合もある。芳香族ジカルボン酸のエステル形成誘導体としては特に制限はなく、低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物等が挙げられる。
また、グリコール単量体(B)単位に含まれるポリアルキレングリコール単位が0.5[モル%]未満であると、得られるポリエステルシートに柔軟性を十分に付与できず、一方15[モル%]を超えると、ポリエステルブロック共重合体の熱安定性が低下し、重合反応が停滞したり、ポリエステルシートの機械物性が低下する傾向にある。好ましい範囲の下限は1[モル%]で、好ましい範囲の上限は12[モル%]である。
また、上記一般式(1)〜(3)ににおいて、m+nが4よりも大きくなると、得られるポリエステルシートの耐熱性が低下する傾向がある。
テレフタル酸単位以外の単量体単位として少なくともイソフタル酸を使用すると、経済的に高透明なポリエステルシートが得られ、エチレングリコール単位以外の単量体単位として少なくとも1,4−シクロヘキサンジメタノールを使用すると、得られるポリエステルシートの耐衝撃性が優れる。
本実施形態例1のポリステルシートの主成分であるポリエステルブロック共重合体は、25℃のフェノール/テトラクロロエタン等量混合溶媒中で測定された極限粘度[η]が0.7〜1.2[dl/g]となるような重合度で製造される。極限粘度[η]が0.7[dl/g]未満では、シートに成形する時の材料のロスが大きい傾向にある。一方1.2[dl/g]を超えると、シートを押出成形する時の負荷が大きく十分な吐出量が得られず、得られるポリエステルシートの外観を損なう可能性がある。
そして、さらに、ポリエステルブロック共重合体は、DSCの融解ピークより求めた結晶融解熱量[ΔHc]が0〜5[J/g]である。結晶融解熱量[ΔHc]が5[J/g]を超えると、得られるポリエステルシートの外観が低下する。
そして、これらが必要に応じて添加された後、溶融流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押し出し法、カレンダー法等の一般的な方法でポリエステルシートに成形される。ポリエステルシートの厚さには制限はないが、例えば0.1〜2.5mmである。
(Td/Tt)×100
(式中、Tdは散乱光線透過率、Ttは全光線透過率である。)
ヘイズ値が3を超えるとポリエステルシートが白濁し、外観を損なう可能性がある。
このようにして得られたポリエステルシートは、透明性、柔軟性、機械特性、耐溶剤性、成形性に優れるとともに、特に、ポリエステルブロック共重合体における、ジカルボン酸単量体(A)単位中のテレフタル酸単位以外の単量体単位のモル分率と、グリコール単量体(B)単位中のエチレングリコール単位以外の単量体単位のモル分率との和が30[モル%]以上であるので、経時的な透明性の低下が抑制され、透明性が持続する。
ポリステルシートの用途には制限はなく、例えば、建材、内装部品、軟質透明シート、表面保護材等などに使用できる。
1)極限粘度[η]
25[℃]のフェノール/テトラクロロエタン等量混合溶媒中で測定した。
2)柔軟性
ASTM−K7215に準じてショアA表面硬度を測定した。ショアA硬度に単位はない。
3)透明性
40mmφ単軸押出機を使用して得た200μmシートを、日本電色 ヘイズメーターで測定した。なお、測定法はJIS K 6714に準じた。また、同シートを60[℃]雰囲気下、24[時間]経過後、23[℃]にて24[時間]調整したものを、経時変化後のサンプルとした。
4)引張強度
ASTM−D638に準拠して測定した。
5)成形性
東洋精機製作所 キャピログラフを使用して、200[℃]、せん断速度60[sec.-1]、L/D=10で押出されたストランドが400[mm]に到達する時間[sec.]を測定した。
5)ガラス転移温度および結晶融解熱[ΔHc]
示差走査熱量測定(DSC)により求めた。
テレフタル酸を2.23[kg]と、イソフタル酸を0.96[kg]と、エチレングリコールを1.78[kg]と、トリメチロールプロパンを7.71[g]と、平均分子量1000のポリテトラメチレングリコールを1.25[kg]、およびテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを62.5[g]とを反応容器に入れ、190〜225[℃]で3時間加熱攪拌してエステル化反応を行った。ついで260[℃]に昇温し、リン酸を0.5[g]と、重合触媒として三酸化アンチモンを1.75[g]を添加して重合反応を進行させた。得られたポリエステルブロック共重合体は極限粘度[η]=0.72であった。
この樹脂、および減圧下、40[℃]、24[時間]乾燥したペレットを200[℃]で成形したものを用いた物性評価結果を表1に示した。
テレフタル酸を2.83[kg]と、エチレングリコールを1.28[kg]と、1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.74[kg]と、平均分子量1000のポリテトラメチレングリコールを1.25[kg]と、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを62.5[g]と、リン酸を0.15[g]および、二酸化ゲルマニウムを1.58[g]とを用い、実施例1と同様にして得られたポリエステルブロック共重合体は極限粘度[η]=0.88であった。
この樹脂を実施例1と同様に評価した結果を表1に示した。
テレフタル酸を2.83[kg]と、エチレングリコールを1.27[kg]と、1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.74[kg]と、トリメチロールプロパンを6.87[g]と、平均分子量1000のポリテトラメチレングリコールを1.25[kg]と、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを62.5[g]と、リン酸を0.15[g]および、二酸化ゲルマニウムを1.58[g]とを用い、実施例1と同様にして得られたポリエステルブロック共重合体は極限粘度[η]=0.76であった。
この樹脂を実施例1と同様に評価した結果を表1に示した。
テレフタル酸を1.92[kg]と、エチレングリコールを0.72[kg]と、ビスフェノールAのEO2モル付加物を1.15[kg]と、トリメチロールプロパンを15.5[g]と、平均分子量1000のポリテトラメチレングリコールを1.25[kg]と、平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールを0.50[kg]と、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを87.5[g]と、リン酸を0.15[g]および、二酸化ゲルマニウム1.58[g]を用い、実施例1と同様にして得られたポリエステルブロック共重合体は極限粘度[η]=0.85であった。
この樹脂を実施例1と同様に評価した結果を表1に示した。
テレフタル酸を2.23[kg]と、イソフタル酸を0.74[kg]と、アジピン酸を0.65[kg]と、エチレングリコールを2.08[kg]と、トリメチロールプロパンを3.00[g]と、平均分子量1000のポリテトラメチレングリコールを0.75[kg]と、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを37.5[g]と、リン酸を0.5[g]および、三酸化アンチモンを1.75[g]とを用い、実施例1と同様にして得られたポリエステルブロック共重合体は極限粘度[η]=0.75であった。
この樹脂を実施例1と同様に評価した結果を表1に示した。
テレフタル酸を2.07[kg]と、エチレングリコールを0.70[kg]と、ビスフェノールAのEO2モル付加物を1.24[kg]と、1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.54[kg]と、トリメチロールプロパンを5.02[g]と、平均分子量1000のポリテトラメチレングリコールを1.25[kg]と、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを62.5[g]と、リン酸を0.15[g]および、二酸化ゲルマニウムを1.58[g]とを用い実施例1と同様にして得られたポリエステルブロック共重合体は極限粘度[η]=0.54であった。
この樹脂は脆く、機械特性は測定不可であったが、その他の項目について実施例1と同様に評価した結果を表1に示した。
テレフタル酸を3.73[kg]と、イソフタル酸を0.41[kg]と、エチレングリコールを2.17[kg]と、1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.36[kg]と、トリメチロールプロパンを3.35[g]と、リン酸を0.5[g]と、三酸化アンチモンを1.75[g]とを用い実施例1と同様にして得られたポリエステルブロック共重合体は極限粘度[η]=0.72であった。この樹脂を実施例1と同様に220[℃]で成形し、評価した結果を表1に示した。
テレフタル酸を1.77[kg]と、イソフタル酸を0.31[kg]と、エチレングリコールを1.13[kg]と、ビスフェノールAのEO2モル付加物を0.21[kg]と、トリメチロールプロパンと5.05[g]と、平均分子量1000のポリテトラメチレングリコールを2.3[kg]と、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを115[g]と、リン酸を0.15[g]および、二酸化ゲルマニウムを1.58[g]とを用い実施例1と同様にして重合反応を行ったが、固形のポリエステルブロック共重合体は得られなかった。
Claims (2)
- テレフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸単位を85〜100[モル%]含む酸単量体(A)単位と、数平均分子量500〜3000のポリアルキレングリコール単位を0.5〜15[モル%]とエチレングリコール単位とを含むアルコール単量体(B)単位とからなり、
前記酸単量体(A)単位としてイソフタル酸、および/または前記アルコール単量体(B)単位として1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/またはビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物を含有し、
前記酸単量体(A)単位中のイソフタル酸単位のモル分率と、前記アルコール単量体(B)単位中の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/またはビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物単位のモル分率との和が30〜50[モル%]であって、
極限粘度[η]が0.7〜1.2[dl/g]で、ガラス転移温度(Tg)が0〜40[℃]で、結晶融解熱量[ΔHc]が0〜5[J/g]であるポリエステルブロック共重合体を主成分とする、200μm厚でのヘイズ値が3以下であることを特徴とするポリエステルシート。(ただし、極限粘度[η]は25[℃]のフェノール/テトラクロロエタン等量混合溶媒中で測定された値であり、ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定(DSC)で得られた値である。また、ヘイズ値の測定はJIS
K 6714による。また、結晶融解熱量[ΔHc]は、DSCの融解ピークより求めた値である。)
- テレフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸単位を85〜100[モル%]含む酸単量体(A)単位と、数平均分子量500〜3000のポリアルキレングリコール単位を0.5〜15[モル%]とエチレングリコール単位とを含むアルコール単量体(B)単位とからなり、前記酸単量体(A)単位としてイソフタル酸、および/または前記アルコール単量体(B)単位として1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/またはビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物を含有し、
前記酸単量体(A)単位中のイソフタル酸単位のモル分率と、前記アルコール単量体(B)単位中の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/またはビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物単位のモル分率との和が30〜50[モル%]であって、
前記酸単量体(A)単位に含まれる3価以上の多価成分のモル分率と、前記アルコール単量体(B)単位に含まれる3価以上の多価成分のモル分率との和が0.05〜2[モル%]であって、
極限粘度[η]が0.6〜1.2[dl/g]で、ガラス転移温度(Tg)が0〜40[℃]で、結晶融解熱量[ΔHc]が0〜10[J/g]であるポリエステルブロック共重合体を主成分とする、200μm厚でのヘイズ値が3以下であることを特徴とするポリエステルシート。(ただし、極限粘度[η]は25[℃]のフェノール/テトラクロロエタン等量混合溶媒中で測定された値であり、ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定(DSC)で得られた値である。また、ヘイズ値の測定はJIS
K 6714による。また、結晶融解熱量[ΔHc]は、DSCの融解ピークより求めた値である。)
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