JP2015215593A - 光学用ポリエステルフィルム及びそれを用いた偏光板、透明導電性フィルム - Google Patents

光学用ポリエステルフィルム及びそれを用いた偏光板、透明導電性フィルム Download PDF

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光隆 坂本
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康之 石田
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Abstract

【課題】二軸延伸ポリエステルフィルムでありながら大画面の液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際に干渉色を抑制可能なポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】ポリエステルA層とポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を有する少なくとも2層以上の積層ポリエステルフィルムであって、
フィルムの10cm四方の範囲における光弾性係数の最大値(P・max)と最小値(P・min)が下記(I)式を満足する光学用ポリエステルフィルム。
P・max/P・min≦2.3・・・(I)
【選択図】なし

Description

本発明は、光学用途(偏光子保護、透明導電性フィルムなど)に特に適して用いられるポリエステルフィルムに関するものであり、ポリエステルA層とポリエステルB層を有する積層構成で、光弾性係数の最大値(P・max)と最小値(P・min)の関係を特定の範囲とすることで、大画面の液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際に干渉色を抑制可能なポリエステルフィルムに関する。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸配向ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから、磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において基材フィルムとして広く使用されている。特に近年、フラットパネルディスプレイやタッチパネル分野において、偏光板保護フィルムや透明導電性フィルムなど各種光学用フィルムの需要が高まっており、その中でも、偏光板保護フィルム用途では、低コスト化を目的として従来のTAC(トリアセチルセルロース)フィルムから二軸配向ポリエステルフィルムへの置き換えが盛んに検討されている(例えば、特許文献1)。
しかし、従来検討されている二軸配向ポリエステルフィルムでは、延伸時のポリマーの配向に起因して液晶ディスプレイとして組み立てた際に干渉色が生じてしまうことから、画面を表示した際の品位が低下するという課題があった。また、ポリエステル原料の光弾性係数を小さくする検討(例えば、特許文献2)や面配向係数のばらつきを小さくする検討(例えば、特許文献3)もされているが、いずれも液晶ディスプレイとして組み立てた際の干渉色を十分に抑制できていなかった。
また、タッチパネルなどで用いられる透明導電性フィルムや飛散防止フィルムにおいても、大画面化や構成の簡素化により、タッチパネルなどに組み立てた際の干渉色抑制の要求が強まってきているが、従来のフィルム(例えば、特許文献1から3)では特性が不十分であった。
特開2013−210598号公報 特開2011−52190号公報 特許4120089号公報
そこで、本発明では上記の欠点を解消し、二軸延伸ポリエステルフィルムでありながら大画面の液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際に干渉色を抑制可能なポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。
(1) ポリエステルA層とポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を有する少なくとも2層以上の積層ポリエステルフィルムであって、
フィルムの10cm四方の範囲における光弾性係数の最大値(P・max)と最小値(P・min)が下記(I)式を満足する光学用ポリエステルフィルム。
P・max/P・min≦2.3・・・(I)
(2) フィルム10cm四方の範囲における光弾性係数の平均値(P・ave)が、2.5×10−12/Pa以下である、(1)に記載の光学用ポリエステルフィルム。
(3) フィルム面内の任意の一方向を方向X、方向Xに直行する方向を方向Yとすると、方向Xの85℃における熱収縮率(Sx)、方向Yの85℃における熱収縮率(Sy)がいずれも0.5%以下である、(1)または(2)に記載の光学用ポリエステルフィルム。
(4) 前記Sx、Syが下記(II)式を満たす、(1)〜(3)のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
|Sx−Sy|≦0.3・・・(II)
(5) 少なくとも一方の面のスキューネス(Rsk)が下記(III)式を満たす、(1)〜(4)のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
−1.0≦Rsk≦1.0・・・(III)
(6) 85℃×24h熱処理後の少なくとも一方の面のスキューネス(Rsk)が下記(IV)式を満たす、(1)〜(5)のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
−1.0≦Rsk≦1.0・・・(IV)
(7)前記光学用ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最表面に、ハードコート性、自己修復性、防眩性、反射防止性、低反射性、及び帯電防止性からなる群より選択される1種以上の機能を示す層が積層されていることを特徴とする、(1)から(6)のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム
(8)偏光子保護用途である、(1)〜(7)のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載のポリエステルフィルムを有する偏光板。
(10)(1)〜(7)のいずれかに記載のポリエステルフィルムを有する透明導電性フィルム。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際に、高品位な表示ができる効果を奏する。
(光学用ポリエステルフィルム)
以下、本発明の光学用ポリエステルフィルムについて詳細に説明する。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、ポリエステルA層とポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を有する少なくとも2層以上の積層ポリエステルフィルムであり、ポリエステルB層は、ポリエステルA層より融点が低いことが重要である。ポリエステルA層よりも融点の低いポリエステルB層を有することで、光弾性係数の平均値(P・ave)を低くし、ディスプレイなどの表示装置に搭載した際の干渉色を抑制することが可能となる。本発明における融点としては、示唆走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度20℃/分で測定を行った際の融解現象で発現する吸熱ピーク温度である。異なる組成のポリエステル樹脂をブレンドして使用してフィルムとした場合などには、融解に伴う吸熱ピークが複数現れる場合があるが、その場合には熱流の絶対値が最も大きい温度を融点とする。なお、本発明におけるポリエステルB層は、フィルム製膜時の熱処理工程等で配向緩和させ、光弾性係数の平均値(P・ave)を低く制御することを目的としているため、結晶性が低く明確な融点を有さないポリエステルについても包含するものとする。
また、本発明の光学用ポリエステルフィルムは、ポリエステルA層と、ポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層の両方を有することが重要である。融点の高いポリエステルA層を有することで、光学用途のうち、偏光子保護用途において、偏光子に貼り合わせる際の反りを低減させたり、光学用途のうち、透明導電性フィルム用途において、透明導電層を積層(スパッタリング加工、コーティングなど)する際の耐熱性を良好とすることができ、融点の低いポリエステルB層を有することで、光弾性係数の平均値(P・ave)を低くして、ディスプレイなどの表示装置に搭載した際の干渉色を抑制することができる。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、ポリエステルA層とポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を有し、少なくとも2層以上であることが重要である。少なくとも2層以上あれば層数、層構成は特に限定されないが、フィルムのカールを抑制し、偏光子保護用途において、偏光子に貼り合わせる際の反り低減と干渉色抑制を両立する観点、あるいは、透明導電性フィルム用途において、透明導電層を積層する際の耐熱性と干渉色抑制を両立する観点からは、A層/B層/A層、A層/B層/A層/B層/A層、といったように、フィルムが厚み方向に対して対称であり、かつ両表層がポリエステルA層である構成が好ましい。偏光子に貼り合わせる際の反り低減がより重要な用途においては、積層する層数が3〜9層であると好ましく、5〜7層が特に好ましい。積層する層数が3層未満であると、偏光子保護用途において、偏光子に貼り合わせる際の反り低減が不十分になったり、透明導電性フィルム用途において、透明導電層を積層する際の耐熱性が不十分になったりする場合があり、積層する総数が9層を超えると、製膜時の積層性が低くなり、フローマーク等が発生し、フィルムの品位が低下する場合がある。
ポリエステルB層の融点をポリエステルA層より低くするための方法としては、ポリエステルB層の融点を下げる方法が挙げられ、具体的な方法としては、ポリエステルB層を構成するジオール由来の構造単位であるジオール成分、およびB層を構成するジカルボン酸由来の構造単位であるジカルボン酸成分のうちそれぞれ最も多い成分に対し、それ以外の成分を増やしていく方法が挙げられる。
例えば、B層を構成するジオール由来の構造単位としてエチレングリコール由来の構造単位を最も多く含み、ジカルボン酸由来の構造単位としてテレフタル酸を最も多く含む場合、エチレングリコール以外のジオール成分の割合、およびテレフタル酸以外のジカルボン酸成分の割合を増やしていくことで、ポリエステルB層の融点を下げることができる。
ここで、エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でも、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルベート、スピログリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分はエチレングリコール以外に1種類のみでもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、および、各種芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸とのエステル誘導体などが挙げられる。
ポリエステルB層として、光弾性係数の平均値(P・ave)を低くしながら、低い熱収縮率を発現するための具体的な構成としては、ポリエステルB層が、B層のジオール由来の全構造単位に対して、エチレングリコール由来の構造単位を60モル%以上95モル%以下、その他のジオール由来の構造単位を10モル%を超えて、40モル%以下含有する構成であり、かつ、B層のジカルボン酸由来の全構造単位に対して、テレフタル酸由来の構造単位を10モル%を超えて、40モル%以下含有する構成であることが好ましい。

本発明の光学用ポリエステルフィルムは、フィルムの10cm四方の範囲における光弾性係数の最大値(P・max)と最小値(P・min)が下記(I)式を満足することが重要である。
P・max/P・min≦2.3・・・(I)
(I)式を満足するということは、フィルムの面方向の光弾性係数のばらつきが小さいことを示し、液晶ディスプレイに実装した場合に、ディスプレイの熱膨張などでフィルムに荷重がかかった場合も複屈折の変化が均一になるため、経時でディスプレイが変形した場合も干渉色を抑制することができる。より好ましくは、(I’)式を満足し、(I”)式を満足すれば最も好ましい。
P・max/P・min≦2.2・・・(I’)
1.0≦P・max/P・min≦2.1・・・(I”)
なお、本発明における光弾性係数は、所定のサイズのサンプルの一方向に応力を加えた際の位相差変化を測定し、応力と厚みで割ることで算出されるものであり、具体的には、一方向に荷重をかけたサンプルを、大塚電子(株)社製RETS−1200を用いて算出した値を用いるものとする。
(I)式を満足させるための方法としては、ポリエステルA層、ポリエステルB層それぞれにおいてジオール由来の構造単位、及び/又はテレフタル酸由来の構造単位を複数含む場合に、それぞれの分散状態を均一にする方法、フィルム10cm四方の範囲におけるリターデーションのばらつきを小さくする方法などが挙げられる。
ジオール由来の構造単位、及び/又はテレフタル酸由来の構造単位を複数含む場合に、それぞれの分散状態を均一にする具体的な方法としては、二軸押出機を使用して各層のポリマーの溶融押出を行う方法、各層を構成する原料を予めコンパウンドして均一化した状態で溶融押出を行う方法などが挙げられる。なお、二軸押出機を使用する場合は、スクリューの回転方式が、同軸方向、異軸方向の2種類あるが、押出機内での溶融混練時に過度な剪断が加わってポリマーが劣化してフィルムの欠点となるのを抑制する観点から、同軸方向の回転方式が好ましい。
フィルム10cm四方の範囲におけるリターデーションのばらつきを小さくするための具体的な方法としては、後述する二軸延伸において、長手方向および幅方向の延伸配向をできるだけ等方にするため、長手方向の延伸倍率と幅方向の延伸倍率を同倍率とする方法などが好ましく用いられる。また、別の方法として、幅方向の延伸を複数に分けて段階的に昇温しながら延伸する方法なども好ましく用いられ、例えば、延伸前半温度を100℃以上120℃以下、延伸中盤温度を105℃以上130℃以下、さらに延伸後半温度を110℃以上150℃以下とし、延伸前半温度、延伸中盤温度、延伸後半温度の順に温度を高くしていく(延伸前半温度が最も低く、延伸後半温度が最も高い)方法などが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム10cm四方の範囲における光弾性係数の平均値(P・ave)が、2.5×10−12/Pa以下であることが好ましい。光弾性係数の平均値(P・ave)を2.5×10−12/Pa以下とすることで、本発明の液晶ディスプレイに実装した場合に、ディスプレイの熱膨張などでフィルムに荷重がかかった場合も色づきが起こりにくくすることができる。本発明のポリエステルフィルムにおける、光弾性係数の平均値(P・ave)は、より好ましくは2.4×10−12/Pa以下であり、特に好ましくは2.1×10−12/Pa以下である。また、光弾性係数の平均値(P・ave)は低いほど好ましいが、耐熱性の観点から、0.5×10−12/Pa以上が好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、光学用途のうち、偏光子保護用途において、偏光子に貼り合わせる際の反りを低減させる観点、ならびに、光学用途のうち、透明導電性フィルム用途において、透明導電層を積層(スパッタリング加工、コーティングなど)する際の寸法安定性を良好とする観点から、フィルム面内の任意の一方向を方向X、方向Xに直行する方向を方向Yとした際に、方向Xの85℃における熱収縮率(Sx)、方向Yの85℃における熱収縮率(Sy)がいずれも0.5%以下であることが好ましい。方向X、方向Yの熱収縮率をそれぞれ0.5%以下とすることで、偏光子保護用途において、偏光子に貼り合わせる際にフィルムにかかる熱でのフィルムの収縮応力が抑制され、偏光板の反り発生を抑制することができたり、透明導電性フィルム用途において、透明導電層を積層する際の寸法安定性が良好となったりする。
X方向、Y方向の85℃における熱収縮率は、0.3%以下であればさらに好ましく、0.1%以下であれば最も好ましい。X方向、Y方向の85℃における熱収縮率を0.5%以下とする方法としては、ポリエステルA層とポリエステルB層の積層する層数を5層以上9層以下とする方法などが好ましく用いられる。また、長手方向、幅方向に延伸する際の予熱工程において、85℃の条件下で1秒以上予熱する方法も好ましく用いられる。目標となる温度での熱収縮率を低くするために、延伸前の予熱工程で目標温度でのフィルムの歪みを除去することも有効である。
本発明のポリエステルフィルムは、光学用途のうち、偏光子保護用途において、偏光子に貼り合わせる際の反りを更に低減させる観点、ならびに、光学用途のうち、透明導電性フィルム用途において、透明導電層を積層(スパッタリング加工、コーティングなど)する際の寸法安定性を更に良好とする観点から、フィルム面内の任意の一方向を方向X、方向Xに直行する方向を方向Yとした際に、方向Xの85℃における熱収縮率(Sx)、方向Yの85℃における熱収縮率(Sy)が、下記(II)式を満足することが好ましい。
|Sx−Sy|≦0.3・・・(II)
式(II)を満足するということは、ポリエステルフィルムの熱収縮の異方性がないことを示し、偏光子に貼り合わせる際にフィルムにかかる熱での収縮応力が一方向に強くかかることが抑制され、熱収縮が生じた場合にも等方的に収縮が起こるため、偏光子保護用途において偏光板の反り発生を抑制することができたり、透明導電性フィルム用途において、透明導電層を積層する際の寸法安定性が良好となったりする。より好ましくは、(I’)式を満足し、(I”)式を満足すれば最も好ましい。
|Sx−Sy|≦0.2・・・(II’)
|Sx−Sy|≦0.1・・・(II”)
本発明のポリエステルフィルムは、光学用途のうち、偏光子保護用途において、偏光子に貼り合わせた後の表面外観の観点から、ならびに、光学用途のうち、透明導電性フィルム用途において、透明導電層を積層した後の表面外観の観点から、少なくとも一方の面のスキューネス(Rsk)が下記(III)式を満足することが好ましい。
−1.0≦Rsk≦1.0・・・(III)
ここで、式(III)のスキューネス(Rsk)は、JIS−B0601−2001に基づいて求められる、歪度に関する指標であり、Rskが0に近いと表面粗さの断面形状が表面粗さ曲線の平均線に対して対称(正規分布)となっていることを示し、Rskが正の値として大きくなると、表面粗さ曲線の平均線に対して下側に偏っていることを示し、Rskが負の値として小さくなると、表面粗さ曲線の平均線に対して上側に偏っていることを示す。つまり、ここで式(III)を満足するということは、本発明のポリエステルフィルムの歪度が小さく、表面粗さ曲線が平均線に対して対称となっていることを示す。式(III)を満足することで、本発明のポリエステルフィルムの光沢や艶が良好となり、偏光子保護用途において、偏光子に張り合わせた後の表面外観が良好となることから、外観の良好な偏光板を得ることができたり、良好な外観の透明導電性フィルム、およびそれを用いたタッチパネル部材を得ることができたりする。より好ましくは、(III’)式を満足し、(III”)式を満足すれば最も好ましい。
−0.8≦Rsk≦0.8・・・(III’)
−0.6≦Rsk≦0.6・・・(III”)
本発明のポリエステルフィルムは、例えば、偏光子保護用途において、偏光子に貼り合わせた後の表面外観の経時変化を抑制する観点、あるいは、透明導電性フィルム用途において、透明導電層を積層した後の表面外観の経時変化を抑制する観点から、85℃×24h熱処理後の少なくとも一方の面のスキューネス(Rsk)が下記(IV)式を満足することが好ましい。
−1.0≦Rsk≦1.0・・・(IV)
ここで式(IV)を満足するということは、本発明のポリエステルフィルムの85℃×24h熱処理後歪度が小さく、表面粗さ曲線が平均線に対して対称となっていることを示す。式(IV)を満足することで、本発明のポリエステルフィルムを高温保管した後も、光沢や艶が良好であり、偏光子保護用途において外観の良好な偏光板を得ることができたり、良好な外観の透明導電性フィルム、およびそれを用いたタッチパネル部材を得ることができたりする。より好ましくは、(IV’)式を満足し、(IV”)式を満足すれば最も好ましい。
−0.8≦Rsk≦0.8・・・(IV’)
−0.6≦Rsk≦0.6・・・(IV”)
本発明のポリエステルフィルムは、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加してもよい。
(表面層)
また、前述の課題に加えて、製造工程における工程安定化や、使用環境における耐久性を付与するため、本発明の光学用ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の面にハードコート性、自己修復性、防眩性、反射防止性、低反射性、紫外線遮蔽性、及び帯電防止性からなる群より選択される1種以上の機能を示す層(係る層を「表面層」ともいう)を有することが好ましい。
前記表面層の厚みは、その機能により異なるが、好ましくは10nmから30μmの範囲であり、50nmから20μmがより好ましい。これよりも薄いと効果が不十分になり、熱くなると光学性能などに悪影響を及ぼす可能性がある。
ここでハードコート性とは、表面の硬度を高めることにより傷がつきにくくする機能である。その機能としては、JIS K5600−5−4(1999)に記載の引っかき硬度(鉛筆法)による評価にて、好ましくはHB以上、より好ましくは2H以上であるか、#0000のスチールウールを用いて、200g/cm、10往復の条件で行う耐擦傷性試験(スチールウール耐擦傷性試験)において、好ましくは傷が10本未満、より好ましくは5本未満である。
ここで自己修復性とは、弾性回復により傷を修復することで、傷がつきにくくする機能であり、その機能としては、500gの荷重をかけた真鍮ブラシで表面を擦過した際、好ましくは3分以内で、より好ましくは1分以内で傷が回復するものである。
防眩性とは、表面での光散乱により外光の映り込みを抑制することで、視認性を向上させる機能である。その機能としては、JIS K7136(2000)に記載の、ヘイズ(ヘーズ)の求め方に基づく評価にて、2〜50%であえることが好ましく、より好ましくは2〜40%、特に好ましくは2〜30%である。
反射防止性、低反射性とは、光の干渉効果により表面での反射率を低減することで、視認性を向上させる機能である。その機能としては反射率分光測定により、好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。
帯電防止性とは、表面からの剥離や表面への擦過により発生した摩擦電気を、漏洩させることにより除去する機能である。その機能の目安としては、JIS K6911(2006)に記載の表面抵抗率が、好ましくは1011Ω/□以下であり、より好ましくは10Ω/□以下である。帯電防止性の付与は、公知の帯電防止剤を含有した層である他、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子を含有した層からなるものであってもよい。以下、ハードコート性と防眩性の付与について、さらに詳しく述べる。
前記ハードコート性を付与する表面層(以下、ハードコート層とする)に用いられる材料は、公知のハードコート層に用いられる材料を用いることができ、特に限定されないが、乾燥、熱、化学反応、もしくは電子線、放射線、紫外線のいずれかを照射することによって重合、および/または反応する樹脂化合物を用いることができる。このような、硬化性樹脂としては、メラミン系、アクリル系、シリコン系、ポリビニルアルコール系の硬化性樹脂が挙げられるが、高い表面硬度もしくは光学設計を得る点で電子線又は紫外線により硬化するアクリル系硬化性樹脂が好ましい。
電子線又は紫外線により硬化するアクリル樹脂とは、アクリレート系の官能基を有するものであり、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を含有するものが使用できる。
電子線又は紫外線硬化型樹脂の場合には、前述の樹脂中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチラウムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。上記光重合開始剤の添加量は、電子線紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
上記塗膜の硬化方法としては特に限定されないが、紫外線照射によって行うことが好ましい。紫外線によって硬化を行う場合、190〜380nmの波長域の紫外線を使用することが好ましい。紫外線による硬化は、例えば、メタルハライドランプ灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯等によって行うことができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
また、シロキサン系熱硬化性樹脂もハードコート層の樹脂として有用であり、酸または塩基触媒下においてオルガノシラン化合物を単独または2種以上混合して加水分解及び縮合反応させて製造することができる。
上記ハードコート層の膜厚は、0.5μm〜20μmが好ましく、1μm〜20μmがさらに好ましく、1μm〜15μmがさらに好ましい。
前記防眩性を付与する表面層(以下、防眩層とする)に使用される樹脂としては、前述の電子線又は紫外線硬化型樹脂と同様のものも使用することができる。また、前記記載の樹脂から1種類もしくは2種類以上を混合して使用することができる。また、可塑性や表面硬度などの物性を調整するために、電子線又は紫外線で硬化しない樹脂を混合することもできる。防眩層に用いうる電子線または紫外線で硬化しない樹脂としては、ポリウレタン、セルロース誘導体、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアミドなどが挙げられる。
防眩層に使用する粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、アルミナ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子、あるいはポリメチルメタクリレート粒子、アクリル−スチレン共重合体粒子、架橋アクリル粒子、メラミン粒子、架橋メラミン粒子、ポリカーボネート粒子、ポリ塩化ビニル粒子、ベンゾグアナミン粒子、架橋ベンゾグアナミン粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子などの樹脂粒子が好ましく挙げられる。形状としては、表面突起形状が揃う真球状粒子が好適に用いられるが、タルク、ベントナイトなどの層状無機化合物などの不定形のものも使用できる。また、異なる2種以上の粒子を併用して用いてもよい。素材種が2種類以上でも、異なる粒度分布の粒子が2種類以上混合されたものであっても、その制限は無い。
防眩層で使用する粒子の粒径は、0.5〜10μmであり、0.5〜5μmがより好ましく、0.5〜3μmがさらに好ましく、0.5〜1.5μmがより一層好ましい。また、前記粒子の含有量は、防眩層を構成する樹脂に対して1〜50重量%であり、2〜30重量%がさらに好ましい。
上記防眩層の膜厚は、0.5μm〜20μmが好ましく、1μm〜20μmがさらに好ましく、1μm〜10μmがさらに好ましい。
本発明に用いられる防眩層としては、特開平6−18706号公報、特開平10−20103号公報、特開2009−227735号公報、特開2009−86361号公報、特開2009−80256号公報、特開2011−81217号公報、特開2010−204479号公報、特開2010−181898号公報、特開2011−197329号公報、特開2011−197330号公報、特開2011−215393号公報などに記載の防眩層も好適に使用できる。
前記表面層には、上記記載された成分以外に、必要に応じて、発明の効果を失わない範囲でその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、限定されるわけではないが、例えば、無機または有機顔料、重合体、重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、触媒、赤外線吸収剤、難燃剤、消泡剤、導電性微粒子、導電性樹脂などを添加することができる。
(光学用フィルム)
本発明の光学用フィルムは、液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際に高品位な表示が可能となることから、各種光学用途に好適に用いることが可能であり、光学
用途の中でも、特に、偏光子保護用途、透明導電性フィルム用途、ガラスの飛散防止フィルム用途などに好適に用いることできる。
(偏光板)
本発明の偏光板は、偏光子の両面に偏光子保護フィルムを有してなる偏光板であって、少なくとも一方の面の偏光子保護フィルムが前記偏光子保護ポリエステルフィルムであることが好ましい。他方の偏光子保護フィルムは、本発明の偏光子保護ポリエステルフィルムであっても良いし、トリアセチルセルロースフィルムやアクリルフィルム、ノルボルネン系フィルムに代表されるような複屈折が無いフィルムを用いることも好ましい。
偏光子としては、例えばポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性材料を含むものが挙げられる。偏光子保護フィルムは偏光子と直接または接着剤層を介して貼り合わされるが、接着性向上の点からは接着剤を介して貼り合わせることが好ましい。本発明のポリエステルフィルムを接着させるのに好ましい偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性材料を染色・吸着させ、ホウ酸水溶液中で一軸延伸し、延伸状態を保ったまま洗浄・乾燥を行うことにより得られる偏光子が挙げられる。一軸延伸の延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。ポリビニルアルコール系フィルムとしてはポリビニルアルコールが好適であり、「クラレビニロン」[(株)クラレ製]、「トーセロビニロン」[東セロ(株)製]、「日合ビニロン」[日本合成化学(株)製]などの市販品を利用することができる。二色性材料としてはヨウ素、ジスアゾ化合物、ポリメチン染料などが挙げられる。
(透明導電性フィルム)
本発明の透明導電性フィルムは、本発明の光学用ポリエステルフィルム上に、直接、または易接着層を介して透明導電層を積層したフィルムである。透明導電層は、透明な導電性の膜を形成できれば特に限定されず、例えば、酸化スズを含有する酸化インジウム(ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物、CNTなどの薄膜が挙げられる。これらの化合物は、適切な生成条件を選択することにより、透明性と導電性を両立できる。
透明導電層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法、導電性材料を含んだ塗液をコーティングする方法などが知られており、材料の種類および必要な膜厚に応じて適宜の方法を選択して使用することができる。例えば、スパッタリング法の場合は、化合物ターゲットを使用した通常のスパッタ、金属ターゲットを使用した反応性スパッタ等が使用される。この際、酸素、窒素、水蒸気などの反応性ガスを導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を併用したりすることもできる。
(製造方法)
次に、本発明の光学用ポリエステルフィルムの好ましい製造方法を以下に具体例を挙げて説明する。しかし、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
ポリエステルA層に用いるポリエステルAと、ポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層に用いるポリエステルBをそれぞれ別々のベント式二軸押出機に供給し溶融押出する。この際、押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂温度は265℃〜295℃に制御することが好ましい。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、耐熱性、寸法安定性の観点から二軸配向フィルムとすることが好ましい。二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、長手方向に、好ましくは、2.8倍以上3.5倍以下、さらに好ましくは3倍以上3.3倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、95℃以上130℃以下が好ましく、延伸前に85℃で1秒以上予熱することが好ましい。また、幅方向の延伸倍率としては、好ましくは2.8倍以上3.5倍以下、さらに好ましくは、3倍以上3.5倍以下で、長手方向の延伸倍率にそろえることが好ましい。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また、85℃の熱収縮率を抑制させるため、延伸前半温度を100℃以上120℃以下、延伸中盤温度を105℃以上130℃以下、さらに延伸後半温度を110℃以上150℃以下とし、延伸前に85℃で1秒以上予熱することが好ましい。
さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの結晶融解ピーク温度以下の温度で行われるが、好ましくはポリエステルB層の融点―10℃以上融点+30℃以下である。ここで好ましい熱処理温度とは、二軸延伸後に行う熱処理温度の中で、最も高温となる温度を示す。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。
さらに、偏光子や透明導電層との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行ったり、易接着層をコーティングさせることもできる。コーティング層をフィルム製造工程内のインラインで設ける方法としては、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましく、その際、易接着層厚みとしては0.01μm以上1μm以下とすることが好ましい。また、易接着層中に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料、染料、有機または無機粒子、帯電防止剤、核剤などを添加してもよい。易接着層に好ましく用いられる樹脂としては、接着性、取扱い性の点からアクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。さらに、140〜200℃条件下でオフアニールすることも好ましく用いられる。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、ポリエステルA層とポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を有する少なくとも2層以上の積層構成であって、
フィルムの10cm四方の範囲における光弾性係数の最大値(P・max)と最小値(P・min)が下記(I)式を満足する、すなわち光弾性係数のばらつきが小さいことから、大画面の液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際に、ディスプレイの変形によっても干渉色を呈することがないため、PVA中にヨウ素を含有させて配向させて作成されたPVAシート(偏光子)と貼り合わされて偏光板として、好ましく用いられたり、良好な外観の透明導電性フィルム、およびそれを用いたタッチパネル部材として好ましく用いられたりする。を得ることができたりする。
本発明の光学用ポリエステルフィルムにおいて、ハードコート性、自己修復性、防眩性、反射防止性、低反射性、又は帯電防止性などといった機能を付与するため、最表面に表面層を積層する場合には、前述の塗料組成物を塗布−乾燥−硬化することにより形成する製造方法を用いることが好ましい。
塗布により表面層を製造する方法は特に限定されないが、塗料組成物をディップコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法(米国特許第2681294号明細書)などにより支持基材等に塗布することにより表面層を形成することが好ましい。さらに、これらの塗布方式のうち、グラビアコート法または、ダイコート法が塗布方法としてより好ましい。
次いで、塗布された液膜を乾燥することで完全に溶媒を除去するため、乾燥工程では液膜の加熱を伴うことが好ましい。乾燥方法については、伝熱乾燥(高熱物体への密着)、対流伝熱(熱風)、輻射伝熱(赤外線)、その他(マイクロ波、誘導加熱)などが挙げられる。この中でも、精密に幅方向でも乾燥速度を均一にする必要から、対流伝熱、または輻射伝熱を使用した方式が好ましい。
さらに、熱またはエネルギー線を照射することによるさらなる硬化操作(硬化工程)を行ってもよい。硬化工程において、熱で硬化する場合には、室温から200℃であることが好ましく、硬化反応の活性化エネルギーの観点から、100℃以上200℃以下がより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
また、活性エネルギー線により硬化する場合には汎用性の点から電子線(EB線)及び/又は紫外線(UV線)であることが好ましい。また紫外線により硬化する場合は、酸素阻害を防ぐことができることから酸素濃度ができるだけ低い方が好ましく、窒素雰囲気下(窒素パージ)で硬化する方がより好ましい。酸素濃度が高い場合には、最表面の硬化が阻害され、表面の硬化が不十分となる場合がある。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させる場合、紫外線の照度が100〜3,000mW/cm、好ましくは200〜2,000mW/cm、さらに好ましくは300〜1,500mW/cmとなる条件で紫外線照射を行うことが好ましく、紫外線の積算光量が100〜3,000mJ/cm、好ましく200〜2,000mJ/cm、さらに好ましくは300〜1,500mJ/cmとなる条件で紫外線照射を行うことがより好ましい。
ここで、紫外線の照度とは、単位面積当たりに受ける照射強度をいい、ランプ出力、発光スペクトル効率、発光バルブの直径、反射鏡の設計及び被照射物との光源距離によって変化する。しかし、搬送スピードによって照度は変化しない。また、紫外線積算光量とは単位面積当たりに受ける照射エネルギーで、その表面に到達するフォトンの総量である。積算光量は、光源下を通過する照射速度に反比例し、照射回数とランプ灯数に比例する。
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの組成
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取して評価した。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(2)ポリエステルの固有粘度
ポリエステル樹脂およびフィルムの極限粘度は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の固有粘度を評価した。
(3)フィルム厚み、層厚み
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で5000倍の倍率で観察し、フィルム厚みおよびポリエステル層の厚みを求めた。
(4)融点
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用い、JIS K7121−1987、JIS K7122−1987に準拠して測定および、解析を行った。ポリエステルフィルムを5mg、サンプルに用い、25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際のDSC曲線より得られた吸熱ピークの頂点の温度を融点とした。なお、積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の融点を測定することができる。本発明において、ポリエステルA層とポリエステルB層とを有する積層ポリエステルフィルムの場合は、各層の融点を測定し、融点の高い層をポリエステルA層、低い方の層をポリエステルB層とした。
(5)光弾性係数(P・max、P・min、P・ave)
大塚電子(株)社製RETS−1200を用い、589nm光源を用いて、測定スポット径を5mmφとして測定を行った。サンプルサイズを15mm×50mmとし、フィルムサンプル10cm四方から15mm×50mmのサイズのサンプルを6本切り取った。なお、切り取る場所は、10cm四方のフィルムサンプルの角を含み、かつ両辺にそれそれ並行な方向に2本ずつ(計4本)と、10cm四方のサンプルの各対角線方向に1本ずつ(計2本)の、合計6箇所とした。1本のサンプルについて、サンプルの長手方向の両端を冶具ではさみ、荷重をかけない状態で、大塚電子(株)社製RETS−1200を用いて位相差R1(nm)を測定した。なお、測定位置は、測定スポット系の中心がサンプルの中心(すなわち、測定スポットの中心が、長手方向において片側から25mmの位置、短手方向において片側から7.5mmの位置)になるようにして測定を行った。その後、サンプル長手方向に9.8×10Paの応力をかけた状態で、位相差R2(nm)を測定した。なお、測定位置は、測定スポットの中心がサンプルの中心(すなわち、R1を測定した際のサンプルの中心位置)になるようにして測定を行った。厚みをd(μm)としたとき、(光弾性係数P)=(R2−R1)/(9.8×10×d×10)として、光弾性係数P(10−12/Pa)を算出した。この測定を6本それぞれについて行い、最も大きな光弾性係数をP・max、最も小さな光弾性係数をP・min、6本の光弾性係数の平均値をP・aveとした。
(6)85℃熱収縮率
フィルムを任意の一方向XおよびX方向に直交する方向Yにそれぞれ長さ70mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに50mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して85℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式により熱収縮率を算出した。測定は各フィルムともX方向およびY方向に3サンプル実施して平均値で評価を行った。
熱収縮率(%)={(加熱処理前の標線間距離)−(加熱処理後の標線間距離)}/(加熱処理前の標線間距離)×100。
(7)スキューネス
スキューネスは、JIS−B0601−2001に基づいて求めた。菱化システム社製、非接触表面・層断面形状計測システム、VertScan2.0を用いて測定した。測定条件は下記の通りとした。10cm四方のサンプルの5箇所についてRskの測定を実施し、平均値を算出した。なお、両面それぞれについて行い、小さいほうの面の値をRsk(A面)、大きい方の面の値をRsk(B面)とした。
測定長さ(Lr:基準長さ):1252μm
レンズ:10倍
(8)スキューネス(熱処理後)
10cm四方のサンプルを、85℃に加熱した熱風オーブンに24時間置いて加熱処理を行った後、(7)と同様にしてRsk(A面)、Rsk(B面)とした。
(9)視認性テスト(i)
PVA中にヨウ素を吸着・配向させて作成した偏光度99.9%の偏光子の一方の面に、10cm四方のフィルムを貼り合わせてテストピースとした。なお、貼り合わせには、85℃に設定したラミネーターロールを使用した。作成したテストピースとフィルムを貼り付けていない偏光板とをクロスニコルの配置にて重ね合わせLED光源(トライテック製A3−101)上においた場合の視認性を確認した。
◎:干渉色はほとんどみられない。
○:フィルムのエッジ部分のみ干渉色が若干見られるものの、実用に問題ない。
△:フィルム全体に干渉色が若干見られるものの、実用に問題ない。
×:干渉色がはっきりみられるため、ディスプレイ用途には適さない。
(10)視認性テスト(ii)
(9)で得られたテストピースについて、85℃に加熱した熱風オーブンに30分置いて加熱処理を行った後、(9)と同様にして視認性を確認した。
(11)カール性
(9)で得られたテストピースについて、水平なガラス板上に置き、ガラス板面から垂直方向での4隅の浮き上がり量を測定し、当該4角のうち最大の高さをカール高さとして下記基準で評価した。
◎:カール高さが5mm未満。
○:カール高さが5mm以上7mm未満。
△:カール高さが7mm以上10mm未満。
×:カール高さが10mm以上。
(12)表面外観(i)
(9)で得られたテストピースについて、蛍光灯を反射させて、蛍光灯の映り込みの状態を下記基準で目視で評価した。
◎:テストピースを動かしていずれの反射位置においても、蛍光灯の輪郭がはっきりと見える。
○:テストピースを動かして反射位置を変えると、蛍光灯の輪郭がわずかにゆがむ位置が存在する。
△:テストピースを動かして反射位置を変えると、蛍光灯の輪郭がゆがむ位置が多く存在する。
×:テストピースを動かして反射位置を変えると、ほとんど蛍光灯の輪郭がゆがんでいる。
(13)表面外観(ii)
(9)で得られたテストピースについて、85℃に加熱した熱風オーブンに30分置いて加熱処理を行った後、(12)と同様にして視認性を確認した。
(14)鉛筆硬度試験
(9)で得られたテストピースについて、JIS K5600−5−4(1999)に記載の引っかき硬度(鉛筆法)による評価を行い、HB以上を合格とした。
(15)スチールウール耐擦傷性試験
(9)で得られたテストピースについて、ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなうことで、耐擦傷性の指標とした。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNo.0000)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定。
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:200g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察し、以下の基準で評価した。評価は上記テストを3回繰り返し、それぞれを下記の5段階で評価し、それらを平均して3点以上を合格とした。
5点: 0本
4点: 1本以上 5本未満
3点: 5本以上 10本未満
2点: 10本以上 20本未満
1点: 20本以上。
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
(ポリエステルB)
1,4−シクロヘキサンジメタノールがグリコール成分に対し20モル%共重合された共重合ポリエステル(イーストマン・ケミカル社製 GN001)を、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートとして使用した(固有粘度0.75)。
(ポリエステルC)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が82.5モル%、イソフタル酸成分が17.5モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.7)。
(ポリエステルD)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が75モル%、イソフタル酸成分が25モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.68)。
(粒子マスター)
ポリエステルA中に数平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
(ハードコート層形成用塗料組成物)
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%のハードコート層形成用塗料組成物を得た。
トルエン 30質量部
多官能ウレタンアクリレート 25質量部
(ダイセルオルネクス株式会社製 KRM8655)
ペンタエリスリトールトリアクリレート混合物 25質量部
(日本化薬株式会社 PET30)
多官能シリコーンアクリレート 1質量部
(ダイセルオルネクス株式会社製 EBECRYL1360)
光重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
(防眩層形成用塗料組成物)
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の防眩層形成用塗料組成物を得た。
トルエン 30質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 50質量部
(日本化薬株式会社 PET30)
シリカ分散物 12質量部
(数平均粒径1μm)
多官能シリコーンアクリレート 1質量部
(ダイセルオルネクス株式会社製 EBECRYL1360)
光重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
(実施例1)
組成を表の通りとして、原料をそれぞれ酸素濃度を0.2体積%とした別々のベント同方向二軸押出機に供給し、A層押出機シリンダー温度を280℃、B層押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、フィードブロック内でA層/B層/A層の3層構成になるよう合流させ、合流後の短管温度を275℃、口金温度を280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向への予熱温度85℃で1.5秒間予熱を行い、延伸温度115℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度85℃で1.5秒予熱を行い、延伸前半温度115℃、延伸中盤温度135℃、延伸後半温度145℃で幅方向に3.3倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理温度220℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、フィルム厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2)
組成を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例3)
A層、B層の各押出機を、一軸押出機にした以外は、実施例1と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例4)
フィードブロックの構成を変更し、層構成を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例5)
フィードブロックの構成を変更し、層構成を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例6)
フィードブロックの構成を変更し、層構成を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例7)
組成を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例8)
組成を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例1)
組成を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例2)
組成を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例3)
組成を表の通りに変更し、長手方向の延伸温度95℃、幅方向の延伸前半温度95℃、延伸中盤温度95℃、延伸後半温度95℃とした以外は、実施例1と同様にして厚み40μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2−2、5−2、6−2)
前述の実施例2、5、6の二軸配向ポリエステルフィルム上に、前述のハードコート層形成用塗料組成物を、乾燥後の厚みが5μmになるように流量を制御してスロットダイコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥して溶剤を除去した。次いで、ハードコート層を塗布したフィルムに、高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの紫外線を照射し、ハードコート層が積層された光学用ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2−3、5−3、6−3)
前述の実施例2、5、6の二軸配向ポリエステルフィルム上に、前述の防眩層形成用塗料組成物を、乾燥後の厚みが5μmになるように流量を制御してスロットダイコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥し溶剤を除去した。次いで、防眩層を塗布したフィルムに高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの紫外線を照射し、防眩層が積層された光学用ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2−4、比較例1−4)
前述の実施例2、比較例1の二軸配向ポリエステルフィルム上に、透明導電層としてITO膜を150℃雰囲気中でスパッタリング法にて30nmの厚みで形成し、透明導電性フィルムを作製した。その後、(9)視認性テスト(i)と同様の評価基準にて視認性を確認したところ、実施例2−4の透明導電性フィルムは、◎評価であったのに対し、比較例1−4の透明導電性フィルムは、×評価となった。
Figure 2015215593
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本発明は、光学用途(偏光子保護、透明導電フィルムなど)に特に適して用いられるポリエステルフィルムに関するものであり、ポリエステルA層とポリエステルB層を有する積層構成で、光弾性係数の最大値(P・max)と最小値(P・min)のが特定の関係を満たすため、大画面の液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際に干渉色を抑制可能であり、PVA中にヨウ素を含有させて配向させて作製されたPVAシート(偏光子)と貼り合わされて偏光板として、あるいは、透明導電層を積層した透明導電性フィルム、およびそれを用いたタッチパネル部材として好ましく用いられる。

Claims (10)

  1. ポリエステルA層とポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層を有する少なくとも2層以上の積層ポリエステルフィルムであって、
    フィルムの10cm四方の範囲における光弾性係数の最大値(P・max)と最小値(P・min)が下記(I)式を満足する光学用ポリエステルフィルム。
    P・max/P・min≦2.3・・・(I)
  2. フィルム10cm四方の範囲における光弾性係数の平均値(P・ave)が、2.5×10−12/Pa以下である、請求項1に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  3. フィルム面内の任意の一方向を方向X、方向Xに直行する方向を方向Yとすると、方向Xの85℃における熱収縮率(Sx)、方向Yの85℃における熱収縮率(Sy)がいずれも0.5%以下である、請求項1または請求項2に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  4. 前記Sx、Syが下記(II)式を満たす、請求項1〜3のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
    |Sx−Sy|≦0.3・・・(II)
  5. 少なくとも一方の面のスキューネス(Rsk)が下記(III)式を満たす、請求項1〜4のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
    −1.0≦Rsk≦1.0・・・(III)
  6. 85℃×24時間熱処理後の少なくとも一方の面のスキューネス(Rsk)が下記(IV)式を満たす、請求項1〜5のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
    −1.0≦Rsk≦1.0・・・(IV)
  7. 前記光学用ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最表面に、ハードコート性、自己修復性、防眩性、反射防止性、低反射性、及び帯電防止性からなる群より選択される1種以上の機能を示す層が積層されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
  8. 偏光子保護用である、請求項1〜7のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルムを有する偏光板。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステルフィルムを有する透明導電性フィルム。
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