JP2011103289A - 透明導電性積層フィルム及び透明導電性積層シート並びにタッチパネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明プラスチックフィルムからなる基材の少なくとも片面に、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層を設け、更にその上に第1の非晶質な透明導電性薄膜層、第2の結晶質な透明導電性薄膜層をこの順で積層した透明導電性積層フィルムであって、(a)第1の透明導電性薄膜層は、酸化インジウムに対して酸化スズ(SnO2/(SnO2+In2O3))が7〜20質量%、膜厚が2〜20nm、 (b)第2の透明導電性薄膜層は、酸化インジウムに対して酸化スズ(SnO2/(SnO2+In2O3))が1〜6質量%、膜厚が5〜20nm、 (c)第1と第2の透明導電性薄膜層の膜厚の和が15〜30nm、である透明導電性積層フィルム。
【選択図】なし
Description
1. 透明プラスチックフィルムからなる基材の少なくとも片面に、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層を設け、更にその上に第1の非晶質な透明導電性薄膜層、第2の結晶質な透明導電性薄膜層をこの順で積層した透明導電性積層フィルムであって、
(a)第1の透明導電性薄膜層は、酸化インジウムに対して酸化スズ(SnO2/(SnO2+In2O3))が7〜20質量%、膜厚が2〜20nm、
(b)第2の透明導電性薄膜層は、酸化インジウムに対して酸化スズ(SnO2/(SnO2+In2O3))が1〜6質量%、膜厚が5〜20nm、
(c)第1と第2の透明導電性薄膜層の膜厚の和が15〜30nm、
であることを特徴とする透明導電性積層フィルム。
2. 第2の結晶質な透明導電性薄膜層中の酸化インジウムの平均結晶粒径が30〜1000nmであり、かつ結晶質部に対する非晶質部の比が0.00〜0.50であることを特徴とする上記1に記載の透明導電性積層フィルム。
3. 第1の非晶質な透明導電性薄膜層及び第2の結晶質な透明導電性薄膜層が酸素分圧8.0×10−3〜30×10−3Paで作製されたことを特徴とする上記1又は2に記載の透明導電性積層フィルム。
4. 透明導電性薄膜層面の反対面に、ハードコート層が積層されていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の透明導電性積層フィルム。
5. ハードコート層が低反射処理を施されていることを特徴とする上記4記載の透明導電性積層フィルム。
6. 上記1〜5のいずれかに記載の透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層面の反対面に、粘着剤を介して透明樹脂シートが貼り合わされていることを特徴とする透明導電性積層シート。
7. 前記透明導電性薄膜層を有する一対のパネル板を透明導電性薄膜層が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルであって、少なくとも一方のパネル板が上記1〜6のいずれかに記載の透明導電性積層フィルムもしくは透明導電性積層シートを含むことを特徴とするタッチパネル。
透過型電子顕微鏡下で透明導電膜層を観察したときに、多角形状の領域を持つものを結晶粒と定義し、結晶粒の面積を出す。結晶粒の面積を円周率πで割った値の平方根を2倍した値を結晶粒径とする。
透過型電子顕微鏡下で透明導電膜層に観察される結晶粒について、すべての結晶粒径を算出する。すべての結晶粒径の平均値を平均結晶粒径とする。
また、結晶質部に対する非晶質部の比を見積もる方法は、透過型電子顕微鏡下で観察したときの結晶質部と非晶質部の面積比から算出する。
前記の比が0.50以下であれば、結晶粒が非晶部の中に島状に浮いているような状態はとらず、結晶粒同士がすべてつながっている状態をとる。このような状態であれば、ペン摺動耐久性試験を行っても、結晶粒同士でお互いを支えあうので、ペン摺動耐久性が非常に高いものが得られる。
(透明プラスチックフィルムからなる基材)
本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材とは、有機高分子をフィルム状に溶融押出し又は溶液押出しをしてフィルム状に成形し、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、熱固定、熱弛緩処理を施したフィルムである。有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。
(硬化物層)
本発明における透明導電性薄膜の構成成分としては、環境安定性や回路加工性の観点から、インジウム−スズ複合酸化物が好適である。
例えば、スパッタリング法の場合、酸化物ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が用いられる。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素、等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用したりしてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、基板に直流、交流、高周波などのバイアスを印加してもよい。
透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に酸化インジウムを主とした透明導電性薄膜を成膜する方法において、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比が8.0×10−4〜3.0×10−3とし、かつ酸素分圧は8.0×10−3〜30×10−3Paとして、かつ成膜中はフィルム温度を80℃以下に保持して透明プラスチックフィルム上に透明導電性薄膜を成膜することが望ましい。
まず1点目として、スパッタリングで、プラスチックフィルムに成膜をすると、フィルムが加熱され成膜雰囲気中の水分量が増加してしまい、到達真空度を測定したときの水分量より増加する。
酸素分圧を高い値にする意図は次の通りである。酸素分圧を高い状態で成膜すると、酸化インジウムの酸素欠損部分が補われるために、非常にエネルギー的に安定した構造をもつ透明導電性薄膜が得られることになる。
その結果、第2の結晶質な透明導電性薄膜層中のスズ濃度を1〜6質量%とすることにより、透明プラスチック基材上で結晶粒の発生確率が増大し、さらには結晶成長が容易になるために、非常に優れたペン摺動耐久性、環境安定性を発現することになる。
また、第1の非晶質な透明導電性薄膜層中のスズ濃度を6〜20質量%とすることにより、結晶化を抑制し、非晶質な薄膜とし、エッチング特性、環境安定性を発現することになる。
ただし、酸素分圧を30×10−3Paより大きくすると表面抵抗値が実用的な水準を超えてしまうので望ましくない。ここで表面抵抗値の実用的な水準は、50〜1000Ω/□程度である。
透明導電性積層フィルムの透過率、カラー、反射率を変える目的で、光学干渉層として第1の非晶質な透明導電性薄膜層と硬化物層の間に屈折率の異なる層を少なくとも2層以上設けることが好ましい。屈折率の異なる層として、例えば2層を設ける場合には、透明プラスチックフィルム側から屈折率が1.60〜2.50の層、次いで屈折率が1.30〜1.60の層をこの順で積層することが好ましい。
また、タッチパネルとした際の最外層(ペン入力面)の耐擦傷性を、さらに改善させるために、透明プラスチックフィルムの透明導電性薄膜層を形成させた表面の反対面(タッチパネルとした際の最外層のペン入力面)に、ハードコート層を設けることが好ましい。前記ハードコート層の硬度は、鉛筆硬度で2H以上であることが好ましい。2H未満の硬度では、透明導電性積層フィルムのハードコート層としては耐擦傷性の点で不十分である。
また、タッチパネルに用いた際に可視光線の透過率をさらに向上させるために、ハードコート層上に低反射処理を施してもよい。この低反射処理は、ハードコート層の屈折率とは異なる屈折率を有する材料を単層もしくは2層以上に積層することが好ましい。
本発明の透明導電性積層フィルムを用い、透明導電性薄膜層を形成していない面と粘着剤を介して透明樹脂シートと積層することで、タッチパネルの固定電極に用いる透明導電性積層シートが得られる。すなわち、タッチパネルの固定電極の基板をガラスから透明樹脂シートに変更することで、軽量かつ割れにくいタッチパネルを作製することができる。
図1に、本発明の透明導電性積層フィルムを用いた、タッチパネルの例を示す。これは、透明導電性薄膜層を有する一対のパネル板を、透明導電性薄膜層が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルにおいて、一方のパネル板に本発明の透明導電性積層フィルムを用いたものである。
(1)全光線透過率
JIS−K7136に準拠し、日本電色工業(株)製、NDH−1001DPを用いて、全光線透過率を測定した。
JIS−K7194に準拠し、4端子法にて表面抵抗値を測定した。測定器は、三菱油化(株)製、Lotest AMCP−T400を用いた。
JIS−K7105に準拠し、色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用いて、標準の光C/2でカラーb値を測定した。
ポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に5Nの荷重をかけ、10万回(往復5万回)の直線摺動試験をタッチパネルに行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は60mm/秒とした。この摺動耐久性試験後に、摺動部が白化しているかを目視によって観察した。
○: 摺動部位が全く白化していない
△: 摺動部位が少し白化
×: 摺動部位が白化
透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、電子顕微鏡用エポキシ樹脂に包埋した。これをウルトラミクロトームの試料ホルダに固定し、包埋した試料片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片の薄膜の著しい損傷がない部位において、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)を用い、加速電圧200kV、明視野で観察倍率1万倍にて写真撮影を行って得られた写真から膜厚を求めた。
(6)透明導電性薄膜の酸化インジウムの結晶質判定方法
透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、導電性薄膜面を外向きにして適当な樹脂ブロックの上面に貼り付けた。これをトリミングしたのち、一般的なウルトラミクロトームの技法によってフィルム表面にほぼ平行な超薄切片を作製した。
この切片を透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)で観察して著しい損傷がない導電性薄膜表面部分を選び、加速電圧200kV、直接倍率40000倍で写真撮影を行った。
透過型電子顕微鏡下で透明導電性薄膜層を観察したときに、多角形状の領域を持つものを結晶質の酸化インジウム(結晶粒)と定義した。
上記透過型電子顕微鏡下で透明導電性薄膜層に観察される酸化インジウムのすべての結晶粒について面積を出して結晶粒の面積を円周率πで割った値の平方根を2倍した値を結晶粒径とし、平均値を平均結晶粒径、標準偏差を平均円相当径で割った値を結晶粒径の変動係数とする。
上記透過型電子顕微鏡下で透明導電性薄膜層に観察・写真撮影された酸化インジウムのすべての結晶粒について面積を出し、観察・写真撮影した面積との差を非晶質部の面積として、結晶質部に対する非晶質部の比を算出した。
透明導電性積層フィルムを、(株)ナガノ科学機械製作所製のLH43−12Pを用いて60℃、95%RHの雰囲気下で500時間暴露した。処理前と処理後の表面抵抗値(それぞれR0、R)を測定し、変化率を算出した(R/R0)。
光重合開始剤含有紫外線硬化型アクリル系樹脂(大日精化工業社製、セイカビームEXF−01J)100質量部に、平均粒子径0.5μmのシリカ粒子10質量部、溶剤としてトルエン/MEK(80/20:質量比)の混合溶媒を、固形分濃度が50質量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した。
成膜の際、雰囲気のAr分圧、酸素分圧、水分圧をスパッタプロセスモニター(LEYBOLD INFICON社製、XPR2)にて観測した。
成膜の際、雰囲気のAr分圧、酸素分圧、水分圧をスパッタプロセスモニター(LEYBOLD INFICON社製、XPR2)にて観測した。
第1の透明導電性薄膜層及び第2の透明導電性薄膜層の成膜条件と評価結果を表1に、透明導電性積層フィルムの評価結果を表2に示した。
この透明導電性積層フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にプラズマCVD法で厚みが20nmのインジウム−スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜基板(日本曹達社製、S500)を用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜層が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して、配置しタッチパネルを作製した。
あの作製において、膜厚を8nmに変更する以外は実施例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
実施例1と同様にして、二軸配向透明PETフィルムからなる基材/硬化物層からなる積層体を作製した。次に、この積層体の硬化物層面の反対面にも同様の硬化物層を積層した。
実施例11と同様にして硬化物層/基材/硬化物層/透明導電性薄膜層からなる積層体を作製し、次いで、この硬化物層上に順次TiO2薄膜層(屈折率:2.30、膜厚15nm)、SiO2薄膜層(屈折率:1.46、膜厚29nm)、TiO2薄膜層(屈折率:2.30、膜厚109nm)、SiO2薄膜層(屈折率:1.46、膜厚87nm)を積層することで反射防止処理層を形成した。TiO2薄膜層を形成するには、チタンをターゲットに用いて、直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Paとし、ガスとしてArガスを500sccm、O2ガスを80sccmの流速で流した。また、基板の背面には表面温度が0℃の冷却ロールを設けて、透明プラスチックフィルムを冷却した。このときのターゲットには7.8W/cm2の電力を供給し、ダイナミックレートは23nm・m/分であった。
実施例1で作製した透明導電性積層フィルムを、アクリル系粘着剤を介して、厚みが1.0mmのポリカーボネート製のシートに貼り付けて、透明導電性積層シートを作製した。この透明導電性積層シートを固定電極として用い、さらに実施例12の透明導電性積層フィルムを用いて、タッチパネルを作製した。
実施例1で作製した透明導電性積層フィルムを、140℃で1時間大気雰囲気下、熱処理を施した。さらに実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
ターゲットの酸化スズ濃度、透明導電性薄膜層の構成を変更する以外は実施例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
一方、本願発明の範囲を外れる比較例1〜5に記載の透明導電性積層フィルムは、エッチング性又はペン摺動耐久性、環境安定性又はカラーb値が実施例に対して劣り、抵抗膜式タッチパネル用の電極フィルムとして不適であった。
11:透明プラスチックフィルム(基材)
12:硬化物層
13:第1の透明導電性薄膜層
14:第2の透明導電性薄膜層
15:ハードコート層
20:ビーズ
30:ガラス板
31:透明導電性薄膜層
40:透明導電性積層シート
41:粘着剤
42:透明樹脂シート
Claims (7)
- 透明プラスチックフィルムからなる基材の少なくとも片面に、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層を設け、更にその上に第1の非晶質な透明導電性薄膜層、第2の結晶質な透明導電性薄膜層をこの順で積層した透明導電性積層フィルムであって、
(a)第1の非晶質な透明導電性薄膜層は、酸化インジウムに対して酸化スズ(SnO2/(SnO2+In2O3))が7〜20質量%、膜厚が2〜20nm、
(b)第2の結晶質な透明導電性薄膜層は、酸化インジウムに対して酸化スズ(SnO2/(SnO2+In2O3))が1〜6質量%、膜厚が5〜20nm、
(c)第1と第2の透明導電性薄膜層の膜厚の和が15〜30nm、
であることを特徴とする透明導電性積層フィルム。 - 第2の結晶質な透明導電性薄膜層中の酸化インジウムの平均結晶粒径が30〜1000nmであり、かつ結晶質部に対する非晶質部の比が0.00〜0.50であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層フィルム。
- 第1の非晶質な透明導電性薄膜層及び第2の結晶質な透明導電性薄膜層が酸素分圧8.0×10−3〜30×10−3Paで作製されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性積層フィルム。
- 透明導電性薄膜層面の反対面に、ハードコート層が積層されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性積層フィルム。
- ハードコート層が低反射処理を施されていることを特徴とする請求項4記載の透明導電性積層フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層面の反対面に、粘着剤を介して透明樹脂シートが貼り合わされていることを特徴とする透明導電性積層シート。
- 透明導電性薄膜層を有する一対のパネル板を透明導電性薄膜層が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルであって、少なくとも一方のパネル板が請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性積層フィルムもしくは透明導電性積層シートを含むことを特徴とするタッチパネル。
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