JP4640535B1 - 透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネル - Google Patents

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Abstract

本発明は、高精細な液晶ディスプレイ等の表示体の前面に使用されるタッチパネル用の電極フィルムとして用いた際に、視認性に優れるとともに、生産性に優れ、かつ額縁近傍でのペン摺動耐久性に優れた透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルを提供することを目的とする。
本発明は、透明プラスチックフィルムからなる基材上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電性薄膜層をこの順に積層した透明導電性フィルムであって、高屈折率層は酸化スズの含有率が10〜60質量%である非晶質なインジウム−スズ複合酸化物からなる無機薄膜であり、低屈折率層は屈折率が1.30〜1.60の無機薄膜からなり、透明導電性薄膜層は屈折率が1.80〜2.20の無機薄膜よりなり、かつ透明導電性フィルムの分光透過率のピークが450〜530nmに存在し、かつ全光線透過率が90%以上、カラーb値が−2〜2である透明導電性フィルムに関する。
【選択図】図1

Description

本発明は透明プラスチックフィルムからなる基材上に高屈折率層、低屈折率層及び透明導電性薄膜層をこの順で積層した透明導電性フィルム又は透明導電性シート(以下、単に透明導電性フィルムともいう)及びこれらを用いたタッチパネルに関するものである。特に高精細な液晶ディスプレイ等の表示体に組み込まれるタッチパネルの電極用フィルムとして用いた場合、視認性に優れるとともにタッチパネルの額縁近傍でのペン摺動耐久性に優れるため表示エリアを広くすることが可能となる透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルに関するものである。
透明プラスチックフィルムからなる基材上に、透明でかつ抵抗が小さい薄膜を積層した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(ELと略記される場合がある)ディスプレイなどのようなフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極など、電気、電子分野の用途に広く使用されている。
近年、タッチパネルは入力インターフェイスとして幅広く認知され、特に携帯情報端末やデジタルビデオカメラ、デジタルカメラなどの携帯端末には操作キーを省くため表示ディスプレイにタッチパネルを搭載するケースが増えている。一方、これらの携帯端末に用いられる液晶ディスプレイ等の表示体の高精細化はますます進んでおり、このような表示体の前面に組み込まれるタッチパネル用の電極フィルムは視認性を低下させないことが強く望まれている。
すなわち、電極フィルムの透過率が低い場合、液晶ディスプレイ等の表示体の輝度が低下し、表示画面が暗くなるため表示がみづらくなる。また電極フィルムが着色している場合、液晶ディスプレイ等の表示色(特に白色)の色表示が変化し、鮮明な画像が得られにくくなる。このため、電極フィルムには透過率が高く、かつ着色の少ないことが望まれている。
一方、液晶ディスプレイ等の表示体は大画面化が望まれている。そのため、表示ディスプレイを含む筐体エリア(額縁)はより狭くなり、タッチパネルとしてもより狭い額縁化が望まれ、さらにタッチパネルの額縁近傍は筐体内に収まらずに表示エリア上に存在する状態になってきた。
タッチパネルは、透明導電層を有する一対の透明導電性基板を、透明導電層が対向するようにスペーサーを介して配置してなる。タッチパネルをペン入力する際、固定電極側の透明導電性薄膜と可動電極(フィルム電極)側の透明導電性薄膜同士が接触するが、特に額縁近傍では、可動電極側の透明導電性薄膜に、ペン荷重による強い曲げストレスがかかる。このため、ペン荷重による強い曲げストレスがかかっても、透明導電性薄膜にクラック、剥離などの破壊が生じない、額縁近傍でのペン摺動耐久性に優れる透明導電性フィルムが要望されている。
視認性を向上させるためには、反射防止加工等で用いられる屈折率の異なる層を積層させ、光の干渉を利用することが提案されている。すなわち、透明導電膜と基材フィルムの間に屈折率の異なる層を設けて光学干渉を利用することが提案されている(特許文献1〜3)。
特開平11−286066号公報 特許第3626624号公報 特開2006−346878号公報 しかしながらこれらの特許文献1〜3記載の透明導電性フィルムは、視認性の改善はできるものの環境安定性又はタッチパネル額縁近傍でのペン摺動耐久性に問題があった。すなわち、特許文献1の実施例1に記載されたように高真空状態まで真空槽を排気した後に形成したインジウムに対するスズ含有率の低い膜を高屈折率層として用いた場合には、成膜中又はタッチパネルの製造工程でかかる熱処理によりITO膜の結晶化が起こりやすくなる。このように結晶化したITO膜を高屈折層又は透明導電層として有する透明導電性フィルムを電極フィルムとして用いたタッチパネルにおいては、タッチパネル額縁近傍でのペン摺動耐久性がよくない。また特許文献2記載の酸化チタン膜を高屈折層として用いた透明導電性フィルムを用いたタッチパネルにおいては、屋外で使用した場合、入力の位置ずれが生じるという問題が発生する。また特許文献3記載の酸化スズ及び酸化セリウムを含有した酸化インジウム膜を高屈折率層として用いた場合、酸化セリウムを含有するため硬くて脆い膜となるため、タッチパネルの額縁近傍でのペン摺動耐久性が不十分であり、また成膜速度が遅くなるため生産性が低下する。
すなわち、本発明の目的は、上記の従来の問題点に鑑み、高精細な液晶ディスプレイ等の表示体の前面に使用されるタッチパネル用の電極フィルムとして用いた際に、視認性に優れるとともに、生産性に優れ、かつ額縁近傍でのペン摺動耐久性(エッジ耐久性)に優れた透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルを提供することにある。
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決することができた透明導電性フィルム、及びタッチパネルとは、以下の構成よりなる。
1. 透明プラスチックフィルムからなる基材上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電性薄膜層をこの順に積層した透明導電性フィルムであって、高屈折率層は酸化スズの含有率が20〜60質量%である非晶質なインジウム−スズ複合酸化物からなる無機薄膜であり、低屈折率層は屈折率が1.30〜1.60の無機薄膜からなり、透明導電性薄膜層は屈折率が1.80〜2.20の無機薄膜よりなり、かつ透明導電性フィルムの分光透過率のピークが450〜530nmに存在し、かつ全光線透過率が90%以上、カラーb値が−2〜2であることを特徴とする透明導電性フィルム。
2. 前記透明プラスチックフィルムからなる基材の透明導電性薄膜層が積層された面の反対面に低反射処理を施したことを特徴とする前記1.記載の透明導電性フィルム。
3. 前記1.又は2.に記載の透明導電性フィルムの透明導電性薄膜層が積層された面の反対面に、粘着剤を介して透明樹脂シートが貼り合わされていることを特徴とする透明導電性シート。
4. 透明導電性薄膜層を有する一対のパネル板を透明導電性薄膜層が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルであって、少なくとも一方のパネル板が前記1.〜3.のいずれかに記載の透明導電性フィルムもしくは透明導電性シートからなることを特徴とするタッチパネル。
本発明の透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルムからなる基材上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電性薄膜層の順に積層した構成を有し、特定波長領域に透過率のピークが存在するため、高精細な表示体の前面に配置しても視認性の低下を抑制できる。また前記高屈折率層に酸化スズの含有率を所定値にした非晶質なインジウム−スズ複合酸化物からなる層を用いることにより、生産性に優れ、かつ曲げに対する機械強度を向上させることができる。そのため、タッチパネル額縁近傍においてペン摺動試験を行った際に、透明導電性薄膜に剥離及びクラックが発生しにくくなり、額縁近傍でのペン摺動耐久性を向上させることができるという利点がある。
本発明の透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルムからなる基材上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電性薄膜層をこの順に積層した透明導電性フィルムである。以下、各層別に詳細に説明する。
(透明プラスチックフィルムからなる基材)
本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材とは、有機高分子を溶融押出し又は溶液押出しをして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムである。有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。
これらの有機高分子のなかで、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレートなどが好適である。また、これらの有機高分子は他の有機重合体の単量体を少量共重合してもよいし、他の有機高分子をブレンドしてもよい。
本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材の厚みは、10μmを越え、300μm以下の範囲であることが好ましく、上限値は260μm、下限値は70μmであることが特に好ましい。プラスチックフィルムの厚みが10μm以下では機械的強度が不足し、特にタッチパネルに用いた際のペン入力に対する変形が大きくなる傾向があり、耐久性が不十分となりやすい。一方、厚みが300μmを越えると、タッチパネルに用いた際に、フィルムを変形させるためのペン荷重を大きくする必要がある。そのため、透明導電性薄膜にかかる荷重も必然と大きくなり、透明導電性薄膜の耐久性の点で好ましくない。
本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施してもよい。
また、本発明では、基材と透明導電性薄膜層との密着性を向上させ、ペン入力耐久性、耐薬品性の付与、オリゴマーなどの低分子量物の析出防止を目的として、基材と透明導電性薄膜層の間に、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層を設けてもよい。
前記の硬化型樹脂は、加熱、紫外線照射、電子線照射などのエネルギー印加により硬化する樹脂であれば特に限定されなく、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。生産性の観点からは、紫外線硬化型樹脂を主成分とする硬化型樹脂が好ましい。
このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどから合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。必要に応じて、これらの多官能性の樹脂に単官能性の単量体、例えば、ビニルピロリドン、メチルメタクリレート、スチレンなどを加えて共重合させることができる。
また、透明導電性薄膜と硬化物層との付着力を向上するために、硬化物層を表面処理することが有効である。具体的な方法としては、グロー又はコロナ放電を照射する放電処理法を用いて、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基を増加させる方法、酸又はアルカリで処理する化学薬品処理法を用いて、アミノ基、水酸基、カルボニル基などの極性基を増加させる方法、などが挙げられる。
紫外線硬化型樹脂は、通常、光重合開始剤を添加して使用される。光重合開始剤としては、紫外線を吸収してラジカルを発生する公知の化合物を特に限定なく使用することができ、このような光重合開始剤としては、例えば、各種ベンゾイン類、フェニルケトン類、ベンゾフェノン類などを挙げることができる。光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、1〜5質量部とすることが好ましい。
塗布液中の樹脂成分の濃度は、コーティング法に応じた粘度などを考慮して適切に選択することができる。例えば、塗布液中に紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤の合計量が占める割合は、通常は20〜80質量%である。また、この塗布液には、必要に応じて、その他の公知の添加剤、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などのレベリング剤などを添加してもよい。
本発明において、調製された塗布液は透明プラスチックフィルムからなる基材上にコーティングされる。コーティング法には特に限定されなく、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法などの従来から知られている方法を使用することができる。
また、硬化物層の厚みは0.1〜15μmの範囲であることが好ましい。硬化物層の厚みの下限値は、0.5μmがより好ましく、特に好ましくは1μmである。また、硬化物層の厚みの上限値は、10μmがより好ましく、特に好ましくは8μmである。硬化物層の厚みが0.1μm未満の場合には、十分に架橋した構造が形成されにくくなるため、ペン入力耐久性や耐薬品性が低下しやすくなり、オリゴマーなどの低分子量による密着性の低下もおこりやすくなる。一方、硬化物層の厚みが15μmを超える場合には、生産性が低下する傾向がある。
(高屈折率層)
本発明における高屈折率層は酸化スズの含有率が10〜60質量%である非晶質なインジウム−スズ複合酸化物からなる無機薄膜である。より好ましくは酸化スズの含有率が20〜50質量%であり、さらに好ましくは30〜45質量%である。
高屈折率層は、少なくとも低屈折率層(屈折率が1.30〜1.60)より高い屈折率を持つ層である。低屈折率層より高い屈折率を持つ層を透明プラスチックフィルム基材上に形成することによって、光の干渉効果が得られる。
一般的に高屈折率層としてはTiO、Nb、Inが用いられる。しかしながら例えばスパッタリング法によりTiO膜、Nb膜を形成する場合、成膜速度が遅く生産性が低下する。このため生産性の観点からは高屈折率層としてインジウム酸化物が好ましい。
しかし、Inあるいは酸化スズ含有率の低いインジウム−スズ複合酸化膜を形成する場合、生産性は優れるものの、スパッタリングでの成膜中あるいはタッチパネル製造工程中にかかる熱処理により高屈折率層が結晶化する。高屈折率層が結晶化している透明導電性フィルム用いて作製したタッチパネルでは額縁近傍でのペン摺動耐久性が劣る。従って、高屈折率層には結晶粒が存在しないことが好ましい。具体的には、実施例の蘭に記載した測定において結晶粒が観測されないものが好ましい。
このため本発明において用いられる高屈折率層は、生産性の観点からインジウム−スズ複合酸化物からなり、酸化スズの含有率が10〜60質量%である。酸化スズの含有率が10質量%未満の場合、成膜中あるいはタッチパネル製造工程中にかかる熱処理による結晶化を抑制することが困難となる。一方、酸化スズの含有率が60質量%を超える場合、ターゲットの密度を向上させることが困難となり、生産中に放電異常が発生しやすくなり生産性の観点から好ましくない。
なお、酸化スズの含有率が10〜60質量%の範囲であっても、酸化スズの含有量が低い領域では製膜条件によって結晶化することがある。特に不活性ガスに対する水分圧の比が低い場合には結晶化しやすい。このような酸化スズの含有量が低い場合(例えば20質量%以下)では、特に不活性ガスに対する水分圧の比を高くすることにより、結晶化を抑制することができる。好ましい不活性ガスに対する水分圧の比は酸化スズの含有率量によって異なるが、例えばスズ含有率が10質量%の場合、3×10−3以上とすることが好ましい。不活性ガスに対する水分圧の比を高くするためには、製膜前の真空暴露条件を調整することによりフィルムの含有水分量を高めにする方法、製膜時にフィルム温度を比較的高くする方法、意図的に水蒸気を導入する方法等任意の方法が挙げられる。その他、使用する基材フィルムの水分含有率によっても左右されるため、これを考慮して適正条件を決める必要がある。また、酸素の分圧比を低くすることによっても結晶化を抑制することが出来る。
本発明で用いる高屈折率層の膜厚としては35〜50nmが好ましく、さらに好ましくは38〜48nmである。50nmを超えた場合、高屈折率層が成膜中又は加熱処理後に結晶化しやすくなる。また35nm未満の場合、透明導電性フィルムの光学特性を改善することが困難となる。なお、高屈折率層の屈折率は1.70〜2.50であることが好ましく、さらには1.90〜2.30、特には1.90〜2.10であることが好ましい。
本発明における高屈折率層の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法などが知られており、必要とする膜厚に応じて、前記の方法を適宜用いることができるが、膜厚のバラツキを低減するという観点からスパッタリング法が好ましい。
スパッタリング法では一般的に金属ターゲットから反応性ガスを導入して金属酸化物を作製する反応性スパッタリング法と酸化物ターゲットから金属酸化物を作製する方法がある。膜厚のバラツキを抑制するには酸化物ターゲットを用いることが好ましい。
本発明で用いる高屈折率層は低屈折率層を介して積層する透明導電性薄膜の導電性への影響を抑制するために絶縁体であることが好ましい。具体的には1×10Ω/□以上である。そのためインジウム−スズ複合酸化物層を形成する際に反応性ガスを表面抵抗値が最小値となるガス流量の1.5〜5倍流すことが好ましい。1.5倍未満であると表面抵抗値を上記範囲にすることが困難である。また5.0倍を越えるガス流量を流すと膜中に化学量論比以上の酸素が取り込まれたり、又は酸素負イオンの過剰な生成により形成によるダメージの大きな膜が形成しやすくなり、不安定な膜となるため環境試験後の透明導電性薄膜の安定性が低下してしまう。
このため高温、高湿環境下(85℃、85%RH、1000時間)での安定性を得るためにはガス流量を表面抵抗値が最小値となるガス流量の1.5〜3倍にすることが好ましく、そのため酸化スズの含有率が20〜60質量%であることが好ましい。20質量%未満の場合、上記ガス流量では表面抵抗値を1×10Ω/□以上にすることが困難となる。
(低屈折率層)
本発明における低屈折率層の屈折率は、1.30〜1.60が好ましく、さらに好ましくは1.40〜1.50である。具体的にはSiO、Alなどの透明金属酸化物、あるいはSiO−Al等の複合金属酸化物からなる層が挙げられる。屈折率が1.30未満の場合、低屈折率層がポーラスな膜となりその上に形成する透明導電性薄膜層の電気特性を阻害してしまう。一方、屈折率が1.60を越える場合には、前記光学特性を満足することが困難となる。
低屈折率層の膜厚は、本願発明の範囲とする分光透過率、全光線透過率及びカラー値を満足さえすれば、適宜選択できる。例えばSiO薄膜の場合は45〜60nmが好ましく、さらに好ましくは50〜58nmである。60nmを超えると透明導電性フィルムの光線透過率は向上するものの着色が生じ分光透過率やカラーb値が目標からはずれてしまう。一方、45nm未満の場合は、目標とする全光線透過率を得ることが困難となる。
本発明における低屈折率層の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法などが知られており、必要とする膜厚に応じて、前記の方法を適宜用いることができるが、膜厚のバラツキを低減するという観点からスパッタリング法が好ましい。一般的にスパッタリングで形成する場合は反応性DC又はACスパッタリング法が用いられる。成膜速度を向上するためにDC又はAC電源の電圧値を一定に保つように反応性ガス流量を制御するインピーダンス制御又は特定元素のプラズマ中での発光強度を一定に保つように反応性ガス流量を制御するプラズマエミッション法が用いられる。
(透明導電性薄膜層)
本発明における透明導電性薄膜層は屈折率が1.80〜2.20の無機薄膜よりなる。より好ましくは、1.90〜2.10の無機薄膜であり、さらに好ましくは1.93〜2.05の無機薄膜である。透明導電性薄膜の屈折率が1.80未満の場合は、導電性の良好な透明導電性薄膜層を形成することが困難である。一方、屈折率が2.20を超える場合も導電性の良好な透明導電性薄膜層を形成することが困難であり、さらに、空気と透明導電性薄膜層との界面での反射が大きくなり、前記光学特性を満たすことが困難となる。
具体的には酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム−スズ複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物などが挙げられる。また、屈折率調整のために金属酸化物を適宜添加しても構わない。これらのうち、環境安定性や回路加工性の観点から、インジウム−スズ複合酸化物が好適である。
本発明において透明導電性薄膜層を積層して、透明導電性フィルムの表面抵抗値を好ましくは50〜5000Ω/□、更に好ましくは100〜2000Ω/□とすることによって、透明導電性フィルムとしてタッチパネルなどに使用できる。表面抵抗値が100Ω/□未満ではタッチパネルの位置認識精度が悪くなり、2000Ω/□を超えるとタッチパネルの電極間にかける電圧を高くしなければならない場合があり、好ましくない。
また生産性の観点から透明導電性薄膜は高屈折率層と同じ素材、例えばインジウム−スズ組成であることが好ましい。組成が異なる場合、高屈折率用、透明導電性薄膜用のそれぞれのターゲット及びカソードが必要となり、設備的にも大掛かりな装置となってしまう。
透明導電性薄膜の層構造は、単層構造でもよいし、2層以上の積層構造でもよい。2層以上の積層構造を有する透明導電性薄膜の場合、各層を構成する前記の金属酸化物は同一でもよいし、異なっていてもよい。
透明導電性薄膜の膜厚は、4〜25nmの範囲が好ましく、特に好ましくは5〜20nmであり、より好ましくは8〜18nmである。透明導電性薄膜の膜厚が4nm未満の場合、連続した薄膜になりにくく、良好な導電性が得られにくくなる。一方、透明導電性薄膜の膜厚が25nmよりも厚い場合、透明性が低下しやすくなるとともに、タッチパネルの額縁近傍での曲げストレスに耐えることができる機械強度を有する膜を得ることが困難になる。
本発明における透明導電性薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法などが知られており、必要とする膜厚に応じて、前記の方法を適宜用いることができる。
例えば、スパッタリング法の場合、酸化物ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が用いられる。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素、等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用したりしてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、基板に直流、交流、高周波などのバイアスを印加してもよい。
(透明導電性フィルムの光学特性)
本発明の透明導電性フィルムは、上記の透明プラスチックフィルムからなる基材上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電性薄膜層の順に積層した構成を有し、特定波長領域に透過率のピークが存在するため、高精細な表示体の前面に配置しても視認性の低下を抑制できる。
本発明の透明導電性フィルムの分光透過率のピークは、450〜530nmに存在するので、着色が極めて少なく、かつ透過率に優れるため、本発明の透明導電性フィルムをタッチパネルなどの部材に使用した時に、視認性に優れる。より好ましい分光透過率のピークは、460〜520nmであり、さらに好ましい分光透過率のピークは、470〜510nmである。
また、本発明の透明導電性フィルムの全光線透過率が90%以上であるので、本発明の透明導電性フィルムをタッチパネルなどの部材に使用した時に、液晶ディスプレイ等の輝度の低下を抑制できる。
更に、本発明の透明導電性フィルムのカラーb値が−2〜2であるので、本発明の透明導電性フィルムをタッチパネルなどの部材に使用した時に、液晶ディスプレイ等の表示体の表示色を損なうことを抑制できる。より好ましいカラーb値は−1.0〜1.5であり、さらに好ましくは0〜1.5である。
(ニュートンリングの発生を防止)
また、タッチパネルとした際にニュートンリングの発生を防止する目的で、透明プラスチックフィルムの説明において記載した硬化物層に中心線平均粗さ(Ra)が0.1〜0.5μmの範囲になるように粒子を含有させることが好ましい。Raが0.1未満の場合には、ニュートンリングの発生を防止することが難しくなる。一方、Raが0.5μmを超える場合には、透明導電性薄膜表面が粗くなりすぎて、ペン摺動耐久性が悪くなる傾向がある。
硬化物層に含有させる粒子としては特に限定はないが、無機粒子(例えば、シリカ、炭酸カルシウムなど)、耐熱性有機粒子(例えば、シリコン粒子、PTFE粒子、ポリイミド粒子など)、架橋高分子粒子(架橋PS粒子、架橋アクリル系粒子など)が例示される。これらの粒子の平均粒径(電子顕微鏡法による)は、0.5〜5μmであることが好ましい。また、硬化物層中に含有させる粒子の含有量は0.01〜10質量%とすることが好ましい。
(ハードコート層)
また、タッチパネルとした際の最外層(ペン入力面)の耐擦傷性を、さらに改善させるために、透明プラスチックフィルムの透明導電性薄膜を形成させた表面とは反対面(タッチパネルとした際の最外層のペン入力面)に、ハードコート層を設けることが好ましい。前記ハードコート層の硬度は、鉛筆硬度で2H以上であることが好ましい。2H未満の硬度では、透明導電性フィルムのハードコート層としては耐擦傷性の点で不十分である。
前記のハードコート層の厚みは0.5〜10μmであることが好ましい。厚みが0.5μm未満では、耐擦傷性が不十分となりやすく、10μmよりも厚い場合には生産性の観点から好ましくない。
前記のハードコート層に用いられる硬化型樹脂組成物は、アクリレート系の官能基を有する樹脂が好ましく、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能性化合物の(メタ)アクリート等のオリゴマー又はプレポリマーなどが挙げられる。
また、反応性希釈剤としては、エチル(メタ)アクリート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合することが好ましい。
また、前記ハードコート層に用いられる硬化型樹脂組成物としては、ポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートとの混合物が特に好適である。ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬くてハードコート層として適している。しかしながら、ポリエステルアクリレート単独の塗膜では耐衝撃性が低く脆くなりやすいという問題がある。そこで、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるために、ポリウレタンアクリレートを併用することが好ましい。すなわち、ポリエステルアクリレートにポリウレタンアクリレートを併用することで、塗膜はハードコート層としての硬度を維持しながら、耐衝撃性及び柔軟性という機能を具備することができる。
両者の配合割合は、ポリエステルアクリレート樹脂100質量部に対し、ポリウレタンアクリレート樹脂を30質量部以下とするのが好ましい。ポリウレタンアクリレート樹脂の配合割合が30質量部を超えると、塗膜が柔らかくなりすぎて耐衝撃性が不十分となる傾向がある。
前記の硬化型樹脂組成物の硬化方法は、通常の硬化方法、すなわち、加熱、電子線又は紫外線の照射によって硬化する方法を用いることができる。例えば、電子線硬化の場合は、コックロフトワルトン型、ハンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用される。また、紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハイライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
さらに、電離放射線硬化の場合には、前記の硬化型樹脂組成物中に光重合開始剤や光増感剤を含有させることが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類などが挙げられる。また、光増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等が好ましい。
ハードコート層に防眩性を付与するためには、硬化型樹脂中にCaCOやSiOなどの無機粒子を分散させる方法、あるいはハードコート層の表面に凹凸形状を形成させる方法が有効である。例えば、凹凸を形成するためには、硬化型樹脂組成物を含む塗液を塗工後、表面に凸形状を有する賦形フィルムをラミネートし、この賦形フィルム上から紫外線を照射し硬化型樹脂を硬化させた後に、賦形フィルムのみを剥離することにより得られる。
前記の賦型フィルムには、離型性を有するポリエチレンテレフタレート(以後、PETと略す場合がある)等の基材フィルム上に所望の凸形状を設けたもの、あるいは、PET等の基材フィルム上に繊細な凸層を形成したもの等を用いることができる。その凸層の形成は、例えば、無機粒子とバインダー樹脂からなる樹脂組成物を用いて基材フィルム上に塗工することにより得ることができる。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートで架橋されたアクリルポリオールを用い、無機粒子としては、CaCOやSiOなどを用いることができる。また、この他にPET製造時にSiO等の無機粒子を練込んだマットタイプのPETも用いることができる。
この賦型フィルムを紫外線硬化型樹脂の塗膜にラミネートした後紫外線を照射して塗膜を硬化する場合、賦型フィルムがPETを基材としたフィルムの場合、該フィルムに紫外線の短波長側が吸収され、紫外線硬化型樹脂の硬化が不足するという欠点がある。したがって、紫外線硬化型樹脂の塗膜にラミネートする賦型フィルムの全光線透過率が20%以上のものを使用することが必要である。
また、タッチパネルに用いた際に可視光線の透過率をさらに向上させるために、ハードコート層上に低反射処理を施してもよい。この低反射処理は、ハードコート層の屈折率とは異なる屈折率を有する材料を単層もしくは2層以上に積層することが好ましい。
単層構造の場合、ハードコート層よりも小さな屈折率を有する材料を用いるのが好ましい。また、2層以上の多層構造とする場合は、ハードコート層と隣接する層は、ハードコート層よりも大きな屈折率を有する材料を用い、この上の層にはこれよりも小さな屈折率を有する材料を選ぶのがよい。このような低反射処理を構成する材料としては、有機材料でも無機材料でも上記の屈折率の関係を満足すれば特に限定されない。例えば、CaF、MgF、NaAlF、SiO、ThF、ZrO、Nd、SnO、TiO、CeO、ZnS、Inなどの誘電体を用いるのが好ましい。
この低反射処理は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法などのドライコーティングプロセスでも、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式などのウェットコーティングプロセスでもよい。
さらに、この低反射処理層の積層に先立って、前処理として、コロナ放電処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、プライマ処理、易接着処理などの公知の表面処理をハードコート層に施してもよい。
(透明導電性シート)
本発明の透明導電性シートは、本発明の透明導電性フィルムの透明導電性薄膜層が積層された面の反対面に、粘着剤を介して透明樹脂シートが貼り合わせ積層することで得られる。本発明の透明導電性シートは、タッチパネルの固定電極に用いることができる。すなわち、タッチパネルの固定電極の基板をガラスから本発明の透明樹脂シートに変更することで、軽量かつ割れにくいタッチパネルを作製することができる。
前記の粘着剤は、透明性を有するものであれば特に限定はないが、例えばアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが好適である。この粘着剤の厚さは特に限定はないが、通常1〜100μmの範囲に設定するのが望ましい。粘着剤の厚みが1μm未満の厚さの場合、実用上問題のない接着性を得るのが難しく、100μmを越える厚さでは生産性の観点から好ましくない。
この粘着剤を介して貼合わせる透明樹脂シートは、ガラスと同等の機械的強度を付与するために使用するものであり、厚さは0.05〜5mmの範囲が好ましい。前記透明樹脂シートの厚みが0.05mm未満では、機械的強度がガラスに比べ不足する。一方、厚さが5mmを越える場合には、厚すぎてタッチパネルに用いるには不適当である。また、この透明樹脂シートの材質は、前記の透明プラスチックフィルムと同様のものを使用することができる。
(タッチパネル)
タッチパネルは、透明導電性薄膜層を有する一対の透明導電性基板(フィルム、ガラス、シートのいずれか)を、透明導電性薄膜層が対向するようにスペーサーを介して配置してなる。ペンにより文字を入力した時に、ペンからの押圧により、対向した透明導電性薄膜同士が接触し、電気的にONの状態になり、タッチパネル上でのペンの位置を検出することができる。このペン位置を連続的かつ正確に検出することで、ペンの軌跡から文字を認識することができる。
本発明のタッチパネルは、少なくとも一方の透明導電性基板に上記の本発明の透明導電性フィルムを用いたものである。この際、ペン接触側の可動電極が本発明の透明導電性フィルムを用いると、高精細な液晶ディスプレイ等の表示体に組み込まれても視認性が低下するこがなく、またペン摺動耐久性に優れるため、長期にわたって安定なタッチパネルとすることができる。図1に、本発明の透明導電性フィルムを用いた、タッチパネルの例を示す。
また、本発明の透明導電性フィルム及び透明導電性シートを使用して得た、ガラス基板を用いないプラスチック製のタッチパネルの断面図を図2に示した。このプラスチック製のタッチパネルは、ガラスを用いていないため、非常に軽量であり、かつ、衝撃により割れたりすることがない。
以下に実施例により本発明をさらに、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、透明導電性フィルムの性能及び高屈折率層、透明導電性薄膜の結晶性、タッチパネルのペン摺動耐久性試験は、下記の方法により測定した。
(1)全光線透過率
JIS−K7136に準拠し、日本電色工業(株)製NDH−1001DPを用いて、光線透過率を測定した。
(2)表面抵抗値
JIS−K7194に準拠し、4端子法にて測定した。測定機は、三菱油化(株)製 Lotest AMCP−T400を用いた。
(3)カラー(a値、b値)
JIS−K7105に準拠し、色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用いて、標準の光C/2でカラーa値、b値を測定した。
(4)分光透過率のピーク波長
分光光度計(日立U−3500型)を用いて、380〜780nmの範囲で透明導電性薄膜側に光が照射するようにして、室内の空気を透過率の参照として測定した。測定結果より透過率が最大値となる波長をピーク波長とした。
(5)高屈折率層、透明導電性薄膜の結晶性
高屈折率層、透明導電性薄膜を積層したフィルム試料片を300μm×300μmの正方形に切り出し、ウルトラミクロトームの試料ホルダに、薄膜面を手前にして固定した。次いで、1μm×1μm以上の目的観察部位を持つ切片を得られる程度にナイフをフィルム面に対して極めて鋭角に設置し、設定厚み70nmで切削した。
この切片の導電性薄膜表面側でかつ薄膜の著しい損傷がない部位において、1μm×1μmの観察視野を確保し、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)を用い、加速電圧200kV、明視野で観察倍率5万倍にて写真撮影を行って結晶性を評価した。
(6)額縁近傍でのペン摺動耐久性試験
タッチパネルの貼合部の内側から1.5mm離れた位置をポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に2.5Nの荷重をかけ、1万回(往復5000回)の直線摺動試験をタッチパネルに行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は60mm/秒とした。さらに、タッチパネルの上下基板のギャップは150μmであった。この摺動耐久性試験後に、まず、摺動部が白化しているかを目視によって観察した。また、摺動部位近辺を顕微鏡にて観察し、クラックの発生がないか観察した。さらに、ペン荷重1.0Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定した。
(7)ペン摺動耐久性試験
ポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に2.5Nの荷重をかけ、10万回(往復5万回)の直線摺動試験をタッチパネルに行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は60mm/秒とした。この摺動耐久性試験後に、まず、摺動部が白化しているかを目視によって観察した。さらに、ペン荷重0.5Nで上記の摺動部にかかるように20mmφの記号○印を筆記し、タッチパネルがこれを正確に読みとれるかを評価した。さらに、ペン荷重0.5Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定した。
(8)高温・高湿下での環境試験
透明導電性フィルムを、(株)ナガノ科学機械製作所製のLH43−12Pを用いて85℃、85%RHの雰囲気下で1000時間暴露した。この処理後に表面抵抗値、光線透過率、カラーを測定した。
(9)高屈折率層、低屈折率層、透明導電性薄膜層の膜厚
高屈折率層、低屈折率層、透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、電子顕微鏡用エポキシ樹脂に包埋した。これをウルトラミクロトームの試料ホルダに固定し、包埋した試料片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片の薄膜の著しい損傷がない部位において、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)を用い、加速電圧200kV、明視野で観察倍率1万倍にて写真撮影を行って得られた写真から膜厚を求めた。
(10)高屈折率層、低屈折率層、透明導電性薄膜層の屈折率
シリコンウェハー上に各層をそれぞれ同成膜条件にて作製した試料について分光エリプソメーター(大塚電子株式会社製、FE−5000)を用いて550nmの屈折率を評価した。また、各層を設けたフィルムの分光透過率測定データに対して光学シミュレーションソフトを用いてフィッティングを行い、屈折率を算出した。この際、各層の膜厚は前記膜厚評価方法により評価した値を用いた。さらにこのように算出した各層の屈折率がシリコンウェハー上の各層の屈折率と大差ないことを確認した。
〔実施例1〕
光重合開始剤含有アクリル系樹脂(大日精化工業社製、セイカビームEXF−01J)100質量部に、溶剤としてトルエン/MEK(80/20:質量比)の混合溶媒を、固形分濃度が50質量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した。
両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡績社製、A4340、厚み188μm)に、塗膜の厚みが5μmになるように、調製した塗布液を、マイヤーバーを用いて塗布した。80℃で1分間乾燥を行った後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、UB042−5AM−W型)を用いて紫外線を照射(光量:300mJ/cm)し、塗膜を硬化させた。次いで、反対面についても同様に塗膜を設けた後、180℃で1分間の加熱処理を施して、揮発成分の低減を行った。
また、この硬化物層を積層した二軸配向透明PETフィルムを真空暴露するために、真空チェンバー中で巻き返し処理を行った。このときの圧力は0.002Paであり、暴露時間は20分とした。また、センターロールの温度は40℃とした。
次に、この硬化物層上にインジウム−スズ複合酸化物からなる高屈折率層を成膜した。このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとして酸化スズを36質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山社製、密度6.9g/cm)に用いて、2W/cmのDC電力を印加した。また、Arガスを130sccm、Oガスを表面抵抗値が最小となるO流量の3倍の流速で流し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した。ただし、通常のDCではなく、アーク放電を防止するために、日本イーエヌアイ製RPG−100を用いて5μs幅のパルスを50kHz周期で印加した。また、センターロール温度は0℃として、スパッタリングを行った。
また、雰囲気の酸素分圧をスパッタプロセスモニター(LEYBOLD INFICON社製、XPR2)にて常時観測しながら、インジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸化度が一定になるように酸素ガスの流量計及びDC電源にフィートバックした。以上のようにして、厚さ45nmのインジウム−スズ複合酸化物からなる高屈折率層を堆積させた。このようにして得られた高屈折率層の表面抵抗値は1×10Ω/□以上であった。
さらに前記高屈折層上に低屈折率層としてSiO薄膜を形成するには、シリコンをターゲットに用いて、直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、Oガスを80sccmの流速で流した。また、基板の背面には0℃の冷却ロールを設けて、透明プラスチックフィルムを冷却した。このときのターゲットには7.8W/cmの電力を供給し、ダイナミックレートは23nm・m/分であった。
また、成膜中の電圧値を常時観測しながら、電圧値が一定となるように酸素ガスの流量計にフィートバックした。以上のようにして、厚さ55nm、屈折率1.46の低屈折率層を堆積させた。
次に、この低屈折率層上にインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を成膜した。このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとして酸化スズを36質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山社製、密度6.9g/cm)に用いて、2W/cmのDC電力を印加した。また、Arガスを130sccm、Oガスを表面抵抗値が最小となる流速で流し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した。ただし、通常のDCではなく、アーク放電を防止するために、日本イーエヌアイ製RPG−100を用いて5μs幅のパルスを50kHz周期で印加した。また、センターロール温度は10℃として、スパッタリングを行った。
また、雰囲気の酸素分圧をスパッタプロセスモニター(LEYBOLD INFICON社製、XPR2)にて常時観測しながら、インジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸化度が一定になるように酸素ガスの流量計及びDC電源にフィートバックした。以上のようにして、厚さ15nm、屈折率1.96のインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を堆積させた。
<タッチパネルの作製>
この透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にプラズマCVD法で厚みが20nmのインジウム−スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜(日本曹達社製、S500)を用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して、配置しタッチパネルを作製した。
参考例1
実施例1において高屈折率層を作製するターゲットとして酸化スズを10質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山社製、密度7.1g/cm)とし、Oガス流量を表面抵抗値が最小となる流量の5倍とした以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた高屈折率層の表面抵抗値は1×10Ω/□以上であった。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。なお、不活性ガスに対する水分圧の比は5×10−3であった。
〔比較例1〕
実施例1において高屈折率層を作製するターゲットとして酸化スズを5質量%含有した酸化インジウム(三井金属鉱業社製、密度7.1g/cm)とした以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔比較例2〕
実施例1において低屈折率層の膜厚を70nmとした以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔比較例3〕
実施例1において低屈折率層の膜厚を40nmとした以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔実施例
実施例1と同様にしてハードコート層/二軸配向透明PETフィルムからなる基材/硬化物層/高屈折率層/低屈折率層/透明導電性薄膜層からなる積層体を作製し、次いで、このハードコート層上に順次TiO薄膜層(屈折率:2.30、膜厚15nm)、SiO薄膜層(屈折率:1.46、膜厚29nm)、TiO薄膜層(屈折率:2.30、膜厚109nm)、SiO薄膜層(屈折率:1.46、膜厚87nm)を積層することで反射防止処理層を形成した。TiO薄膜層を形成するには、チタンをターゲットに用いて、直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Paとし、ガスとしてArガスを500sccm、Oガスを80sccmの流速で流した。また、基板の背面には表面温度が0℃の冷却ロールを設けて、透明プラスチックフィルムを冷却した。このときのターゲットには7.8W/cmの電力を供給し、ダイナミックレートは23nm・m/分であった。
SiO薄膜を形成するには、シリコンをターゲットに用いて、直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、Oガスを80sccmの流速で流した。また、基板の背面には0℃の冷却ロールを設けて、透明プラスチックフィルムを冷却した。このときのターゲットには7.8W/cmの電力を供給し、ダイナミックレートは23nm・m/分であった。さらに、この透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔実施例
実施例1と同様にして作製した透明導電性フィルムを、アクリル系粘着剤を介して、厚みが1.0mmのポリカーボネート製のシートに貼り付けて、透明導電性積層シートを作製した。この透明導電性積層シートを固定電極として用い、実施例1の透明導電性フィルムを可動電極に用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔実施例
実施例1において低屈折率層としてフッ化マグネシウム(MgF2)からなる薄膜を成膜した以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを形成した。
このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとしてフッ化マグネシウム(三井金属製)に用いて、2W/cmの13.56MHzの高周波電力を印加しマグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccmの流速で流し成膜を行った。また、成膜中の電圧値を常時観測しながら、電圧値が一定となるように酸素ガスの流量計にフィートバックした。以上のようにして、厚さ60nm、屈折率1.36の低屈折率層を堆積させた。
さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔実施例
実施例1において硬化物層上に低屈折率層としてアルミニウムーシリコン複合酸化物(Al −SiO )からなる薄膜を成膜した以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを形成した。
このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとしてAl−Si(50:50wt%)(三井金属製)に用いて、2W/cmのDC電力を印加しマグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、Oガスを80sccmの流速で流し成膜を行った。また、成膜中の電圧値を常時観測しながら、電圧値が一定となるように酸素ガスの流量計にフィートバックした。以上のようにして、厚さ50nm、屈折率1.55の低屈折率層を堆積させた。
さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔実施例
実施例1において高屈折率層を作製するターゲットとして酸化スズを20質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山社製、密度7.0g/cm)とし、Oガス流量を表面抵抗値が最小となる流量の4倍とした以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた高屈折率層の表面抵抗値は1×10Ω/□以上であった。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔実施例
実施例1においてガリウムをドープした酸化亜鉛薄膜を透明導電性薄膜に用いた以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。ターゲットとして酸化ガリウムを5質量%含有した酸化亜鉛(東ソー社製)に用いて、2W/cmのDC電力を印加した。また、Arガスを130sccm、Oガスを表面抵抗値が最小となる流速で流し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜し、厚さ14nm、屈折率2.05の透明導電性薄膜を得た。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔実施例
高屈折率層の厚みを40nmとした以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムおよびタッチパネルを作製した。
〔実施例
低屈折率層の厚みを50nmとした以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムおよびタッチパネルを作製した。
〔実施例10
透明導電性薄膜の厚みを10nmとした以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムおよびタッチパネルを作製した。
〔実施例11
透明導電性薄膜の厚みを22nmとした以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムおよびタッチパネルを作製した。
〔実施例12
実施例1において高屈折率層を作製するターゲットとして酸化スズを55質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山社製、密度6.7g/cm)とし、Oガス流量を表面抵抗値が最小となる流量の2.5倍とした以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた高屈折率層の表面抵抗値は1×10Ω/□以上であった。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔比較例4〕
実施例1において低屈折率層としてジルコニア−シリコン複合酸化物(ZrO−SiO)からなる薄膜を成膜した以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを形成した。
このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとしてZrSi(三井金属製)に用いて、2W/cmのDC電力を印加し直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、Oガスを80sccmの流速で流し成膜を行った。また、成膜中の電圧値を常時観測しながら、電圧値が一定となるように酸素ガスの流量計にフィートバックした。以上のようにして、厚さ45nm、屈折率1.75の低屈折率層を堆積させた。
〔比較例5〕
参考例1において、製膜前の巻き返し時の圧力をさらに1桁向上させて0.0002Paとした以外は、参考例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。この時の不活性ガスに対する水分圧の比は1×10−3であった。さらにこの透明導電性フィルムを用いて実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔比較例6〕
実施例1において高屈折率層を作製するターゲットとして酸化スズを75質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山社製、密度5.8g/cm)とし、Oガス流量を表面抵抗値が最小となる流量の2倍とした。しかしながら、スパッタリング中に異常放電が多発し、高屈折率層を成膜することが出来なかった。
〔比較例7〕
実施例1においてチタンおよびスズをドープした酸化インジウム薄膜を透明導電性薄膜に用いた以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。ターゲットとして酸化インジウム:酸化スズ:酸化チタン=60:10:30重量%(住友金属鉱山社製)に用いて、2W/cmのDC電力を印加した。また、Arガスを130sccm、Oガスを表面抵抗値が最小となる流速で流し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜し、厚さ15nm、屈折率2.25の透明導電性薄膜を得た。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔比較例8〕
実施例1においてシリコンおよびスズをドープした酸化インジウム薄膜を透明導電性薄膜に用いた以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。ターゲットとして酸化インジウム:酸化スズ:酸化シリコン=60:10:30重量%(住友金属鉱山社製)に用いて、2W/cmのDC電力を印加した。また、Arガスを130sccm、Oガスを表面抵抗値が最小となる流速で流し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜し、厚さ18nm、屈折率1.75の透明導電性薄膜を得た。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔比較例9〕
高屈折率層の厚みを30nmとした以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムおよびタッチパネルを作製した。
〔比較例10〕
高屈折率層の厚みを60nmとした以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムおよびタッチパネルを作製した。
〔比較例11〕
透明導電性薄膜の厚みを30nmとした以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムおよびタッチパネルを作製した。
表1、2の結果より、本願発明の範囲を満足する実施例1〜12及び参考例1記載の透明導電性フィルム又は透明導電性シートを用いたタッチパネルは、視認性に優れ、かつ額縁近傍においてポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に2.5Nの荷重をかけ1万回の摺動試験を行った後でも剥離やクラックの発生もなく、ON抵抗にも異常がなかった。
一方、高屈折率層が結晶質な比較例1に記載の透明導電性フィルム又は透明導電性シートを用いたタッチパネルは、額縁近傍でポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に2.5Nの荷重をかけ1万回の摺動試験を行った後にON抵抗に異常が生じた。さらに、顕微鏡でペン摺動部分を評価すると、透明導電性薄膜の剥離やクラックがみられた。透明導電性薄膜が結晶質である比較例5も同様である。
また、低屈折率層または高屈折率層または透明導電性薄膜の膜厚が厚い〔比較例2、10、11〕は全光線透過率が本願発明の範囲外であり透明性が悪く、低屈折率層または高屈折率層の膜厚が薄い〔比較例3、9〕はカラーb値が本願発明の範囲外であり色彩が悪く、これらの透明導電性フィルムを用いたタッチパネルは視認性が劣るものであった。比較例4、比較例7は低屈折率層または透明導電性薄膜の屈折率が高いためカラーb値が本願発明の範囲外であり色彩が悪い。
比較例7、8は表面抵抗が高すぎ、タッチパネル用途に適さない。さらに比較例6は酸化インジウムに対する酸化スズの割合が多すぎて異常放電が多く、スパッタリング中の異常放電が多く、成膜を行うことが出来なかった。
本発明の透明導電性フィルム又は透明導電性シートは、高精細な液晶ディスプレイ等の表示体の前面に配置されるタッチパネルに用いた際に、視認性に優れるとともに、タッチパネルの額縁近傍でも剥離、クラック等を生じることがなく、ペン摺動耐久性に優れており、かつ位置検出精度や表示品位にも優れているため、タッチパネルの狭額縁化に対応でき、携帯情報端末やデジタルビデオカメラ、デジタルカメラなどに用いられる、記録媒体の小型化と表示ディスプレイの大画面化が強く要求されるタッチパネルとして特に好適である。
本発明の透明導電性フィルムを用いた、タッチパネルの説明図である。 本発明の透明導電性フィルムを用いた、ガラス基板を使用しないタッチパネルの説明図である。
10:透明導電性フィルム
11:透明プラスチックフィルム(基材)
12:硬化物層
13:高屈折率層
14:低屈折率層
15:透明導電性薄膜層
16:ハードコート層
20:ビーズ
30:ガラス板
40:透明導電性シート
41:粘着剤
42:透明樹脂シート

Claims (4)

  1. 透明プラスチックフィルムからなる基材上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電性薄膜層をこの順に積層した透明導電性フィルムであって、高屈折率層は酸化スズの含有率が20〜60質量%である非晶質なインジウム−スズ複合酸化物からなる無機薄膜であり、低屈折率層は屈折率が1.30〜1.60の無機薄膜からなり、透明導電性薄膜層は屈折率が1.80〜2.20の無機薄膜よりなり、かつ透明導電性フィルムの分光透過率のピークが450〜530nmに存在し、かつ全光線透過率が90%以上、カラーb値が−2〜2であることを特徴とする透明導電性フィルム。
  2. 前記透明プラスチックフィルムからなる基材の透明導電性薄膜層が積層された面の反対面に低反射処理を施したことを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の透明導電性フィルムの透明導電性薄膜層が積層された面の反対面に、粘着剤を介して透明樹脂シートが貼り合わされていることを特徴とする透明導電性シート。
  4. 透明導電性薄膜層を有する一対のパネル板を透明導電性薄膜層が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルであって、少なくとも一方のパネル板が請求項1〜のいずれかに記載の透明導電性フィルムもしくは透明導電性シートからなることを特徴とするタッチパネル。
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