JP4844692B2 - 透明導電性積層フィルム - Google Patents
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Description
1. 透明プラスチックフィルムからなる基材上に、平均粒径が0.05〜5μmの粒子を含有する硬化物層を有し、更にその上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電性薄膜層をこの順に積層した構成を有し、高屈折率層の屈折率が1.70〜2.50、膜厚が4〜20nmの範囲にあり、低屈折率層の屈折率が1.30〜1.60、膜厚が20〜50nmの範囲であり、透明導電性薄膜層が非晶質な金属酸化物薄膜からなる静電容量式タッチパネル用の透明導電性積層フィルムであって、透明導電性積層フィルムのJIS K7105(1999年版)によって規定される0.125mmの光学くしを使った場合の透過法の像鮮明度と2.0mmの光学くしを使った場合の透過法の像鮮明度の比が下記(1)式を満たすことを特徴とする透明導電性積層フィルム。
0.125mm幅くしの値/2mm幅くしの値≧0.7 (1)
2. 透明導電性薄膜層が酸化スズの含有率が10〜60質量%である非晶質なインジウム−スズ複合酸化物であることを特徴とする1.に記載の透明導電性積層フィルム。
3. 1.又は2.に記載の透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層をパターニングした透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層側に、屈折率が1.40〜1.70の誘電体層を積層したことを特徴とする透明導電性積層フィルム。
4. 3.に記載の透明導電性積層フィルムのパターニングによる透明導電性薄膜層を有する部分と有しない部分の光学特性の差が下記(2)式及び(3)式を満たすことを特徴とする透明導電性積層フィルム。
0≦|T1−T0|≦1.0 (2)
0≦|b1−b0|≦1.0 (3)
(T1:透明導電性薄膜層を有する部分のフィルムの全光線透過率、
b1:透明導電性薄膜層を有する部分のフィルムのカラーb値、
T0:透明導電性薄膜層を有しない部分のフィルムの全光線透過率、
b0:透明導電性薄膜層を有しない部分のフィルムのカラーb値)
さらに、上記透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層をパターニングした透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層側に、誘電体層を積層したことを特徴とする透明導電性積層フィルムである。
以下、各層別に詳細に説明する。
本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材とは、有機高分子をフィルム状に溶融押出し又は溶液押出しをしてフィルム状に成形し、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、熱固定、熱弛緩処理を施したフィルムである。有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。
すなわち、JIS K7105(1999年版)によって規定される0.125mmの光学くしを使った場合の透過法の像鮮明度と2.0mmの光学くしを使った場合の透過法の像鮮明度の比が0.125mm幅くしの値/2mm幅くしの値≧0.7の範囲に設計することが好ましい。さらに好ましくは0.8以上である。0.7未満の場合には、高精細な液晶ディスプレイ等の表示体の前面に設置した場合、ギラツキ現象が生じるために視認性が低下する。
本発明で用いることのできる高屈折率層の屈折率は1.70〜2.50の範囲であり、好ましくは1.90〜2.30、より好ましくは1.90〜2.10である。1.70未満の場合、低屈折率層との屈折率差が小さすぎるため、透明導電性薄膜層をパターニングした際、透明導電性薄膜層を有する部分と有しない部分の光学特性を近づけることが困難となる。一方、屈折率が2.50を越える場合、斜め方向のパターニングを目立たなくすることが困難となり、また、工業的に適した材料も存在しない。高屈折率層の具体的素材としては、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Ta2O5、ZnO、In2O3、SnO 2等およびこれらの複合酸化物および硫化亜鉛ZnSが挙げられる。これらのなかでも生産性の観点からZnO、In2O3、SnO2およびこれらの複合酸化物が好ましい。また、これらの酸化物または硫化物に屈折率調整のために任意の酸化物、硫化物を添加しても構わない。
スパッタリング法では一般的に金属ターゲットから反応性ガスを導入して金属酸化物を作製する反応性スパッタリング法と酸化物ターゲットから金属酸化物をする方法がある。反応性スパッタリング法においては反応性ガスの流量によって成膜速度が急激に変化する遷移領域が存在する。このため膜厚のバラツキを抑制するには酸化物ターゲットを用いることが好ましい。
本発明で用いる低屈折率層の屈折率は1.30〜1.60であり、好ましくは1.4〜1.1.55、より好ましくは1.43〜1.50である。屈折率が1.30未満の場合、ポーラスな膜となるため、その上に形成した透明導電性薄膜層の電気特性を低下させてしまう。一方、屈折率が1.60を越える場合、透明導電性薄膜層との光の干渉が弱くなりすぎるため、透明導電性薄膜層をパターニングした際、透明導電性薄膜層を有する部分と有しない部分の光学特性を近づけることが困難となり、液晶ディスプレイ等の表示体の前面に配置した際に透明導電性薄膜層のパターニングが目立ってしまい、視認性が低下する。見え視認性が低下する。
本発明における透明導電性薄膜としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム−スズ複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物などが挙げられる。これらのうち、環境安定性や回路加工性の観点から、インジウム−スズ複合酸化物が好適である。
本発明において透明導電性薄膜層を積層して、透明導電性積層フィルムの表面抵抗値を好ましくは50〜2000Ω/□、更に好ましくは100〜1500Ω/□とすることによって、透明導電性積層フィルムとしてタッチパネルなどに使用できる。表面抵抗値が50Ω/□未満であったり、2000Ω/□を超える場合、タッチパネルの位置認識精度が悪くなり、好ましくない。
例えば、スパッタリング法の場合、酸化物ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が用いられる。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素、等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用したりしてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、基板に直流、交流、高周波などのバイアスを印加してもよい。
本発明において屈折率が1.40〜1.70の誘電体層とは、表示体の部材として透明導電性積層フィルムを使用する際に透明導電性薄膜を保護するために積層する保護層としての目的と、指などでタッチした際の静電容量変化を大きくし、位置入力精度を向上させる目的を併せ持つ層である。
屈折率が1.40〜1.70の誘電体層としては、例えば、SiO2、Al2O3などの透明金属酸化物及びSiO2−Al2O3等の複合金属酸化物、アクリル、シリコーン、ポリエステル系の樹脂からなる有機物等が用いられる。本発明の導電性積層フィルムは、このような誘電体層が設置された状態であってもパターニングが目立ちにくく、視認性に優れる。
本願発明においては、透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層をパターニングしてから、屈折率が1.40〜1.70の誘電体層を透明導電性薄膜層側に積層した状態において、透明導電性薄膜層を有する部分と有しない部分の光学特性の差が少ないことが重要であり、下記(2)及び(3)式を満たすことが好ましい。
0≦|T1−T0|≦1.0 (2)
0≦|b1−b0|≦1.0 (3)
(T1:透明導電性薄膜層を有する部分のフィルムの全光線透過率、
b1:透明導電性薄膜層を有する部分のフィルムのカラーb値、
T0:透明導電性薄膜層を有しない部分のフィルムの全光線透過率、
b0:透明導電性薄膜層を有しない部分のフィルムのカラーb値)
T1、b0、T0、b0は、各層間での反射光の干渉を考慮し、各層の光学厚みを高屈折率層の屈折率は1.70〜2.50、高屈折率層の膜厚は4〜20nm、低屈折率層の屈折率は1.30〜1.60、低屈折率層の膜厚は20〜50nmの範囲内で調整することにより、達成することができる。
また、b値は上記調整の中で、分光透過率のピークを450〜530nmの範囲にすることで調整することができる。さらに好ましい分光透過率のピークは470〜510nmである。
JIS−K7136に準拠し、日本電色工業(株)製、NDH−1001DPを用いて、全光線透過率を測定した。
なお、(2)式及び(3)式におけるT1、T0は、パターニングした透明導電性積層フィルムに屈折率が1.40〜1.70の誘電体層を透明導電性薄膜層側に積層した状態において測定した透明導電性薄膜層を有する部分及び透明導電性薄膜層が無い部分の値である。
JIS−K7194に準拠し、4端子法にて表面抵抗値を測定した。測定器は、三菱油化(株)製、Lotest AMCP−T400を用いた。
JIS−K7105に準拠し、色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用いて、標準の光C/2でカラーb値を測定した。
なお、(2)式及び(3)式におけるb1、b0は、パターニングした透明導電性積層フィルムに屈折率が1.40〜1.70の誘電体層を透明導電性薄膜層側に積層した状態において測定した透明導電性薄膜層を有する部分及び透明導電性薄膜層が無い部分の値である。
透明導電性積層フィルムにエッチングレジストを印刷した後、1N塩酸中に浸漬、アルカリ浸漬により、1×3cmのパターンを形成した。透明導電性薄膜側に屈折率1.52のアクリル系粘着層を有する二軸配向ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記する)フィルムを保護フィルムとして貼り合わせた。富士通社製FMV−BIBLOLOOX T70M/Tを用いて画面を白色表示にし、保護フィルムを貼り合わせたフィルムをその前に置いて、様々な角度からパターニングの見え方を評価した。
○: パターニングがほとんどみえない。
△: パターニングが少しみえる。
×: パターニングがみえる。
富士通社製FMV−BIBLOLOOX T70M/Tを用いて画面を緑色表示にしてフィルムをその前においてギラツキを評価した。
○: ギラツキが全く気にならない。
△: ギラツキがほとんど気にならない。
×: ギラツキが気になる。
JIS−K7105(1999年版)に準拠し、スガ試験機社製ICM−1Tを用いて、光学くしが0.125mm、2.0mmでの像鮮明度を測定した。
高屈折率層、低屈折率層、透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、電子顕微鏡用エポキシ樹脂に包埋した。これをウルトラミクロトームの試料ホルダに固定し、包埋した試料片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片の薄膜の著しい損傷がない部位において、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)を用い、加速電圧200kV、明視野で観察倍率1万倍にて写真撮影を行って得られた写真から膜厚を求めた。
シリコンウェハー上に各層をそれぞれ同成膜条件にて作製した試料について分光エリプソメーター(大塚電子株式会社製、FE−5000)を用いて550nmの屈折率を評価した。また、各層を設けたフィルムの分光透過率測定データに対して光学シミュレーションソフトを用いてフィッティングを行い、屈折率を算出した。この際、各層の膜厚は前記膜厚評価方法により評価した値を用いた。さらにこのように算出した各層の屈折率がシリコンウェハー上の各層の屈折率と大差ないことを確認した。
1cm×10cmの切り出した透明導電性積層フィルムを40℃ 1Nの塩酸水溶液に浸漬し、端子間抵抗値が1MΩ以上となる時間を測定した。
光重合開始剤含有紫外線硬化型アクリル系樹脂(大日精化工業社製、セイカビームEXF−01J)100質量部に、溶剤としてトルエン/MEK(80/20:質量比)の混合溶媒を、固形分濃度が50質量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した。
透明導電性薄膜層の膜厚を25nmとする以外は参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
硬化物層に平均粒子径1.0μmのシリカ粒子を添加する以外は参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
硬化物層に平均粒子径10.0μmのシリカ粒子を添加する以外は参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
参考例1において硬化物層上に高屈折率層としてジルコニア−シリコン複合酸化物(ZrO2−SiO2)からなる薄膜を成膜した以外は、参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとしてZrSi2(三井金属製)に用いて、2W/cm2のDC電力を印加し直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、O2ガスを80sccmの流速で流し成膜を行った。また、成膜中の電圧値を常時観測しながら、電圧値が一定となるように酸素ガスの流量計にフィートバックした。以上のようにして、厚さ12nm、屈折率1.75の高屈折率層を堆積させた。
参考例1において硬化物層上に高屈折率層としてチタン酸化物(TiO2)からなる薄膜を成膜した以外は、参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとしてTi(三井金属製)に用いて、2W/cm2のDC電力を印加し直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、O2ガスを80sccmの流速で流し成膜を行った。また、成膜中の電圧値を常時観測しながら、電圧値が一定となるように酸素ガスの流量計にフィートバックした。以上のようにして、厚さ8nm、屈折率2.29の高屈折率層を堆積させた。
参考例1において硬化物層上に高屈折率層として硫化亜鉛(ZnS)からなる薄膜を成膜した以外は、参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとして硫化亜鉛(三井金属製)に用いて、2W/cm2の13.56MHzの高周波電力を印加しマグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、O2ガスを80sccmの流速で流し成膜を行った。また、成膜中の電圧値を常時観測しながら、電圧値が一定となるように酸素ガスの流量計にフィートバックした。以上のようにして、厚さ7.5nm、屈折率2.43の高屈折率層を堆積させた。
参考例1において硬化物層上に低屈折率層としてフッ化マグネシウム(MgF2)からなる薄膜を成膜した以外は、参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとしてフッ化マグネシウム(三井金属製)に用いて、2W/cm2の13.56MHzの高周波電力を印加しマグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccmの流速で流し成膜を行った。また、成膜中の電圧値を常時観測しながら、電圧値が一定となるように酸素ガスの流量計にフィートバックした。以上のようにして、厚さ40nm、屈折率1.36の低屈折率層を堆積させた。
参考例1において硬化物層上に低屈折率層としてアルミニウムーシリコン複合酸化物(Al2O3−SiO2)からなる薄膜を成膜した以外は、参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとしてAl−Si(50:50wt%)(三井金属製)に用いて、2W/cm2のDC電力を印加しマグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、O2ガスを80sccmの流速で流し成膜を行った。また、成膜中の電圧値を常時観測しながら、電圧値が一定となるように酸素ガスの流量計にフィートバックした。以上のようにして、厚さ35m、屈折率1.55の低屈折率層を堆積させた。
参考例1において透明導電性薄膜の厚さを10nmとした以外は、参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
参考例1において透明導電性薄膜をターゲットとして酸化スズを10質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山社製、密度7.1g/cm3)を用いて成膜した以外は、参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
参考例1において透明導電性薄膜をターゲットとして酸化スズを55質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山社製、密度6.7g/cm3)を用いて成膜した以外は、参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
高屈折率層、低屈折率層を設けずに、透明導電性薄膜層の膜厚を22nmとした以外は参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
高屈折率層を設けない以外は参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
低屈折率層の膜厚を10nmにした以外は参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
低屈折率層の膜厚を100nmにした以外は参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
参考例1において硬化物層上に高屈折率層としてアルミニウムーシリコン複合酸化物(Al2O3−SiO2)からなる薄膜を成膜した以外は、参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとしてAl−Si(50:50wt%)(三井金属製)に用いて、2W/cm2のDC電力を印加しマグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、O2ガスを80sccmの流速で流し成膜を行った。また、成膜中の電圧値を常時観測しながら、電圧値が一定となるように酸素ガスの流量計にフィートバックした。以上のようにして、厚さ22m、屈折率1.55の高屈折率層を堆積させた。
参考例1において硬化物層上に低屈折率層としてジルコニア−シリコン複合酸化物(ZrO2−SiO2)からなる薄膜を成膜した以外は、参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとしてZrSi2(三井金属製)に用いて、2W/cm2のDC電力を印加し直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、O2ガスを80sccmの流速で流し成膜を行った。また、成膜中の電圧値を常時観測しながら、電圧値が一定となるように酸素ガスの流量計にフィートバックした。以上のようにして、厚さ29nm、屈折率1.75の低屈折率層を堆積させた。
参考例1においてターゲットとして酸化スズを5質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山社製、密度7.1g/cm3)を用いて結晶質の透明導電性薄膜を成膜した以外は、参考例1と同様にして透明導電性積層フィルムを作製した。
一方、高屈折率層、低屈折率層が適切に配置されていない、又は膜厚が適切でない比較例1〜6に記載の透明導電性積層フィルムは、パターニングされた部分が目立つために視認性が劣った。参考例12は視認性に優れるものであったが透明導電性薄膜が結晶質であるためエッチング時間が長く、パターニング加工に難があった。
11:透明プラスチックフィルム(基材)
12:硬化物層
13:高屈折率層
14:低屈折率層
15:透明導電性薄膜層
20:誘電体層
Claims (4)
- 透明プラスチックフィルムからなる基材上に、平均粒径が0.05〜5μmの粒子を含有する硬化物層を有し、更にその上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電性薄膜層をこの順に積層した構成を有し、高屈折率層の屈折率が1.70〜2.50、膜厚が4〜20nmの範囲にあり、低屈折率層の屈折率が1.30〜1.60、膜厚が20〜50nmの範囲であり、透明導電性薄膜層が非晶質な金属酸化物薄膜からなる静電容量式タッチパネル用の透明導電性積層フィルムであって、透明導電性積層フィルムのJIS K7105(1999年版)によって規定される0.125mmの光学くしを使った場合の透過法の像鮮明度と2.0mmの光学くしを使った場合の透過法の像鮮明度の比が下記(1)式を満たすことを特徴とする透明導電性積層フィルム。
0.125mm幅くしの値/2mm幅くしの値≧0.7 (1) - 透明導電性薄膜層が酸化スズの含有率が10〜60質量%である非晶質なインジウム−スズ複合酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層フィルム。
- 請求項1又は2に記載の透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層をパターニングした透明導電性積層フィルムの透明導電性薄膜層側に、屈折率が1.40〜1.70の誘電体層を積層したことを特徴とする透明導電性積層フィルム。
- 請求項3に記載の透明導電性積層フィルムのパターニングによる透明導電性薄膜層を有する部分と有しない部分の光学特性の差が下記(2)式及び(3)式を満たすことを特徴とする透明導電性積層フィルム。
0≦|T1−T0|≦1.0 (2)
0≦|b1−b0|≦1.0 (3)
(T1:透明導電性薄膜層を有する部分のフィルムの全光線透過率、
b1:透明導電性薄膜層を有する部分のフィルムのカラーb値、
T0:透明導電性薄膜層を有しない部分のフィルムの全光線透過率、
b0:透明導電性薄膜層を有しない部分のフィルムのカラーb値)
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