JP5805129B2 - 透明導電性フィルム - Google Patents
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Description
(2)本発明の透明導電性フィルムにおいて、第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層と第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層は、それぞれ、インジウムスズ酸化物の非晶質層を加熱処理により結晶化させた結晶質層である。
(3)本発明の透明導電性フィルムにおいて、フィルム基材の材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、またはポリカーボネートである。
(4)本発明の透明導電性フィルムにおいて、透明導体パターンの厚さ(第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さ+第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さ)は、10nm〜45nmである。
(5)本発明の透明導電性フィルムにおいて、第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層の酸化スズの含有量と、第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層の酸化スズの含有量の差は3重量%〜10重量%である。
(6)本発明の透明導電性フィルムにおいて、第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さは3nm〜15nmであり、第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さは7nm〜25nmである。
(7)本発明の透明導電性フィルムにおいて、粘着剤層の屈折率は1.45〜1.50である。
(8)本発明の透明導電性フィルムにおいて、透明導体パターンの存在する部分の波長450nm〜650nmの平均反射率をR1(%)とし、透明導体パターンの存在しない部分の波長450nm〜650nmの平均反射率をR2(%)とし、ΔR(%)を平均反射率R1と平均反射率R2の差の絶対値とするとき(すなわちΔR=|R1−R2|)、平均反射率の差の絶対値ΔRが0.7%以下である。
(9)本発明の透明導電性フィルムにおいて、透明導体パターンの表面抵抗値は150Ω/□(単位:ohms per square)未満である。
本発明の透明導電性フィルム10は、図1に示すように、フィルム基材11と、フィルム基材11上に形成された透明導体パターン12と、透明導体パターン12を埋設するようにフィルム基材11上に形成された粘着剤層13を備える。透明導体パターン12は、第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層14と、第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層15が積層された二層構造を有する。以後、「第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層14」を単に「第1のインジウムスズ酸化物層14」といい、「第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層15」を単に「第2のインジウムスズ酸化物層15」という。
本発明に用いられるフィルム基材11は、透明性と耐熱性に優れたものが好ましい。フィルム基材11の材料は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、またはポリカーボネートである。フィルム基材11は、その表面に易接着層、アンダーコート層、あるいはハードコート層を備えていてもよい。易接着層は透明導体パターン12とフィルム基材11の密着性を高める機能を有する。アンダーコート層はフィルム基材11の反射率を調整する機能を有する。ハードコート層はフィルム基材11の表面に傷がつくのを防ぐ機能を有する。フィルム基材11の厚さは、例えば、10μm〜200μmである。揮発成分を少なくして、インジウムスズ酸化物層の成膜性を高くするため、フィルム基材11の厚さは20μm〜50μmが好ましい。
本発明に用いられる透明導体パターン12は、第1のインジウムスズ酸化物層14と、第2のインジウムスズ酸化物層15が積層された二層構造を有する。第1のインジウムスズ酸化物層14はフィルム基材11に近い側に配置され、第2のインジウムスズ酸化物層15はフィルム基材11から遠い側に配置される。
本発明の透明導電性フィルム10に用いられる粘着剤層13は、透明導体パターン12を埋設するように、フィルム基材11上に形成される。粘着剤層13を形成する材料としては、アクリル系粘着剤が透明性に優れるため好ましい。アクリル系粘着剤の屈折率は、本発明の効果をより高める観点から、好ましくは1.45〜1.50である。アクリル系粘着剤の厚さは、好ましくは100μm〜500μmである。なお、本発明の透明導電性フィルム10が、スマートフォンに用いられる場合、粘着剤層13の上に、例えばカバーガラスが積層される。
本発明の透明導電性フィルム10の製造方法の一例を説明する。まず、500m〜5,000m巻の長尺のフィルム基材11のロールをスパッタリング装置内に入れ、これを一定速度で巻き戻しながら、スパッタリング法により、フィルム基材11上に、第1のインジウムスズ酸化物層、第2のインジウムスズ酸化物層を連続的に形成する。スパッタリング法においては、低圧気体(例えば低圧アルゴンガス)中で発生させたプラズマ中の陽イオンを、インジウムスズ酸化物の焼成体ターゲット(負電極)に衝突させ、焼成体ターゲット表面から飛散した物質をフィルム基材11上に付着させる。この際、スパッタリング装置内に、酸化スズの含有量の異なるインジウムスズ酸化物の焼成体ターゲットを、少なくとも2個設置することにより、2層のインジウムスズ酸化物層(第1のインジウムスズ酸化物層と第2のインジウムスズ酸化物層)を連続的に形成することができる。スパッタリング後(熱処理前)の第1のインジウムスズ酸化物層、第2のインジウムスズ酸化物層は、いずれも非晶質層である。
厚さ23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、メラミン樹脂を含む熱硬化性樹脂のアンダーコート層(厚さ30nm)を形成した、長尺のフィルム基材11のロールを準備した。この長尺のフィルム基材11のロールを、アルゴンガス80体積%と酸素ガス20体積%からなる、ガス圧0.4Paの雰囲気のスパッタリング装置にセットした。長尺のフィルム基材11のロールを一定速度で巻き戻しながら、フィルム基材11の上に、第1のインジウムスズ酸化物の非晶質層(酸化スズの含有量10重量%、厚さ8nm)、第2のインジウムスズ酸化物の非晶質層(酸化スズの含有量3.3重量%、厚さ12nm)を順次形成し、トータル厚さ20nmの透明導体膜を形成した。第1のインジウムスズ酸化物の非晶質層と第2のインジウムスズ酸化物の非晶質層が形成された長尺のフィルム基材11を、一旦巻回してロールにした。
第1のインジウムスズ酸化物の酸化スズの含有量を3.3重量%、厚さを12nmとした。第2のインジウムスズ酸化物の酸化スズの含有量を10重量%、厚さを8nmとした。透明導体膜のトータル厚さ20nmは実施例1と同じである。上記以外は、実施例1と同様の方法により、透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムの特性を表1に示す。
透明導電膜を2層から1層に変更した。インジウムスズ酸化物の酸化スズの含有量を3.3重量%、厚さを23nmとした。上記以外は、実施例1と同様の方法により、透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムの特性を表1に示す。
透明導電膜を2層から1層に変更した。インジウムスズ酸化物の酸化スズの含有量を10重量%、厚さを23nmとした。上記以外は、実施例1と同様の方法により、透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムの特性を表1に示す。
表1に示すように、本発明の透明導電性フィルム(実施例1)において、第1のインジウムスズ酸化物層の酸化スズの含有量は、第2のインジウムスズ酸化物層の酸化スズの含有量より多い。また、第1のインジウムスズ酸化物層の厚さは、第2のインジウムスズ酸化物層の厚さより薄い。これらにより、透明導体パターンの存在する部分の反射率と、透明導体パターンの存在しない部分の反射率の差ΔRを、従来品より低減することができた。その結果、従来品より透明導体パターンが視認されにくい透明導電性フィルムを得ることができた。さらに、本発明の透明導電性フィルム(実施例1)においては、透明導体パターンの結晶化時間を短縮しながら、表面抵抗値を小さくすることができた。
[反射率の差ΔR]
透明導電性フィルムから粘着剤層を取り除いた後、分光光度計(日立製作所製U4100)を用いて、透明導体パターンの存在する部分の波長450nm〜650nmの平均反射率R1(%)と、透明導体パターンの存在しない部分の波長450nm〜650nmの平均反射率R2(%)とを測定し、反射率の差の絶対値ΔR(%)=|R1−R2|を算出した。なお、粘着剤層を積層すると、透明導体パターンの存在する部分の平均反射率R1(%)と、透明導体パターンの存在しない部分の平均反射率R2(%)はいずれも同程度小さくなるため、反射率の差の絶対値ΔR(%)は若干小さくなる。
透明導電性フィルムに粘着剤層を積層する前に、4端子法を用いて、表面抵抗値を測定した。
透明導電性フィルムの表面抵抗値がほぼ一定となる時間を結晶化時間とした。
スパッタリング装置に設置したインジウムスズ酸化物の焼成体ターゲットの酸化スズ含有量を、インジウムスズ酸化物の結晶質層の酸化スズ含有量とした。
透過型電子顕微鏡(日立製作所製H-7650)を用いてインジウムスズ酸化物層の断面を観察し、インジウムスズ酸化物層の膜厚を測定した。
11 フィルム基材
12 透明導体パターン
13 粘着剤層
14 第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層
15 第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層
Claims (9)
- フィルム基材と、前記フィルム基材上に形成された透明導体パターンと、前記透明導体パターンを埋設するように前記フィルム基材上に形成された粘着剤層を備えた透明導電性フィルムであって、
前記透明導体パターンは、前記フィルム基材側から、第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層と、第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層が、この順に積層された2層構造を有し、
前記第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層の酸化スズの含有量は6重量%〜15重量%であり、
前記第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層の酸化スズの含有量は1重量%〜5重量%であり、
前記第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さは前記第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さより薄く、
前記第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さと前記第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さの差は2nm〜10nmであることを特徴とする透明導電性フィルム。 - 前記第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層と前記第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層は、それぞれ、インジウムスズ酸化物の非晶質層を加熱処理により結晶化させた結晶質層であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
- 前記フィルム基材の材料が、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、またはポリカーボネートであることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導体パターンの厚さ(前記第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さ+前記第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さ)は、10nm〜45nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 前記第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層の酸化スズの含有量と前記第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層の酸化スズの含有量の差は3重量%〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 前記第1のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さは3nm〜15nmであり、前記第2のインジウムスズ酸化物の結晶質層の厚さは7nm〜25nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 前記粘着剤層の屈折率は1.45〜1.50であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導体パターンの存在する部分の波長450nm〜650nmの平均反射率をR1(%)とし、
前記透明導体パターンの存在しない部分の波長450nm〜650nmの平均反射率をR2(%)とし、
ΔR(%)を前記平均反射率R1と前記平均反射率R2の差の絶対値とするとき(ΔR=|R1−R2|)、
前記平均反射率の差の絶対値ΔRが0.7%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透明導電性フィルム。 - 前記透明導体パターンの表面抵抗値が150Ω/□(単位:ohms per square)未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
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