JP6404064B2 - 透明導電性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、透明フィルム基板上に透明電極層が形成された透明導電性フィルムに関する。
タッチパネルやディスプレイなどに用いられる透明電極は、ガラスや高分子フィルム上に形成されるが、近年は製品の軽量化、薄型化の要望から高分子フィルム上に透明電極層が形成された透明導電性フィルム(透明電極付き基板)が注目されている。また、タッチパネルディスプレイは大型化する傾向にあるため、低抵抗な透明電極が求められている。これまで、透明電極を低抵抗にするため、非晶質の透明電極層を熱処理することで結晶化を促進し、低抵抗化する技術が用いられてきた。しかしながら、ガラス基板と異なり、高分子フィルム上の透明電極層は、そのフィルムの耐熱性の問題から200℃以下の熱処理に限られ、結晶化の促進が困難である。さらに、フィルムからの有機成分などのアウトガスにより結晶化が阻害される。そのため、これらの問題に対応しつつ、結晶化を促進するために、特許文献1に記載のように基板と透明電極の間に下地層を設ける手法が用いられる。
ところで、最近、透明電極付き基板を常温常圧環境下で長期間保管した場合に電気特性が低下してしまう現象が起き得ることが確認された。これは、非晶質の透明電極が常温常圧環境下において熱力学的に安定な結晶質に転移し、意図せずに電気特性が変化する現象である。元々非晶質が結晶質に変化することは知られているが、このような常温常圧環境での結晶化はこれまで知られていなかった課題であり、その後のデバイス作製プロセスにおいて、透明電極の応力により、基板からの剥離や変形を引き起こす可能性があり、特に、基板がフィルムやプラスチックなどの軟質の材料の場合には問題が生じ得る。
上記の「熱処理時の結晶化促進」と「常温常圧時の結晶化抑制」は、相反する特性と考えられるが、より高性能な製品では同時に要求される。このような課題に対して、例えば、特許文献2には、ZnO中にSiなどの元素を含有する下地層を設け、高光透過率で膜の表面に凹凸が少ない低比抵抗の酸化インジウム・スズ複合酸化物(ITO)からなる透明電極層を作製する技術が記載され、特許文献3には、金属化合物からなる下地層を用いて、ITOからなる透明電極層の耐屈曲性を向上させる技術が記載され、特許文献4には、ZnO製膜時に窒素を導入し、ZnONからなる下地層を作製することで直上のZnOからなる透明電極層の結晶性を改善する技術が記載されている。しかし、いずれの文献も前述の「熱処理時の結晶化促進」と「常温常圧時の結晶化抑制」を同時に解決するものではない。
特開2012−114070号公報 特開2000−108244号公報 WO2006−019184号公報 WO2012−026599号公報
そこで、本発明は、ITOからなる透明電極層の下層として形成する下地層を改良し、熱処理による結晶化促進能を維持しつつ、常温結晶化抑制機能を付与した透明電極層を提供することを目的とする。
本発明は、透明フィルム基板上に主成分が酸化亜鉛である下地層とインジウム・スズ複合酸化物からなる透明電極層とを順に有し、前記下地層1〜20質量%の酸化珪素と窒素とを含有する透明導電性フィルムである。
また、下地層の膜厚は0より大きく15nm以下が好ましく、下地層の550nmにおける屈折率は1.7〜1.9が好ましく、窒素量は0.1〜5質量%が好ましい。
また、本発明の透明導電フィルムの製造方法は、透明フィルム基板に透明電極層を積層する前に、酸化亜鉛を主成分とし、酸化珪素を1〜20質量%含有する酸化物下地層をスパッタリング製膜する工程を有し、下地層を製膜する際の窒素ガス雰囲気は5.9×10−5Pa以上である。
本発明によれば、熱処理後の結晶化促進および低抵抗化の実現のみならず、常温環境での意図せぬ結晶化を抑制することが可能となり、品質が安定した透明電極付基板を提供することができる。
一実施形態における透明電極付き基板の模式断面図である。 電極層を複数回に分けて製膜した透明電極付き基板の模式断面図である。
[透明電極付き基板の構成]
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、透明フィルム基板10上に下地層20、さらにその上に透明電極30を形成した透明電極付き基板を示している。透明電極30は図2に示すように31と32のような複数層の構成で形成されていても良い。透明フィルム基板10と下地層20との間にコーティング層が設けられてもよい。透明フィルム基板10を構成する透明フィルムは、少なくとも可視光領域において無色透明であるものが好ましい。
下地層20は、酸化亜鉛を主成分とする無機化合物であり、窒素の他、酸化珪素を1〜20質量%を含んでおり、酸化珪素の含有量は5〜20質量%が好ましい。酸化亜鉛に対する酸化珪素の含有量を増加させると、下地層の屈折率は酸化珪素の屈折率1.5に近づくため下地層の屈折率は低下する。上記範囲で酸化珪素の含有量を変化させると、屈折率は1.7〜1.9の範囲で調整可能で、反射率の低減による非視認性が向上する。下地層20が窒素を含まない場合は光学的な観点では良好になる傾向があるが、後述のように、透明電極層30の常温結晶化の抑制が不十分になる場合がある。
下地層20の膜厚は0より大きく15nm以内であることが好ましく、さらには2〜10nmが好まく、特に好ましいのは2〜5nmである。膜厚を厚くすると透過率の悪化が懸念され、薄すぎると下地層としての結晶化促進能を十分に発揮できない。下地層20には透明フィルム基板10からの炭素原子、水分子などの透明電極30の結晶化阻害成分の拡散抑制の役割があり、この役割を満たすためには上記膜厚範囲が好ましい。
下地層20の形成にはスパッタリング法が好適に用いられる。スパッタリング法では、マグネトロンスパッタリング法が特に好ましい。マグネトロンスパッタリング時のマグネットの磁場強度は700〜1300ガウスが好ましく、これにより極端なエロージョンによるスパッタターゲットの利用効率低下を抑制し、かつ良質な下地層20の形成が可能となる。これは、磁場強度を大きくすることで、放電電圧を下げることが可能となるためであり、下地層20の形成を透明フィルム基板10に対して低ダメージで行うことができる。スパッタリングに用いる電源には制限が無く、直流電源や交流電源などをターゲット材料にあわせて選択できる。放電電圧は装置や電源の種類に依るが、良好な下地層20を形成するためには−100〜−350V程度が好ましく、さらには、−180〜−300V程度がより好ましい。
本発明では、下地層20を製膜する真空槽中の圧力を一旦1×10−3Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素等の反応性ガスを0.1〜1Paとなるまで導入しておき、次いで、導入される不活性ガスとしてアルゴン(Ar)、反応性ガスとして酸素(O)、窒素(N)を用いることで、下地層を形成できる。
反応性ガスとして窒素を導入することで、下地層20中に窒素が取り込まれ、これにより、透明電極層形成後に熱処理を行うことで、下地層とITO層界面付近の窒素原子がITO層に混入し、ITOの結晶化を阻害することで結晶化速度が遅くなると考えられる。すなわち常温結晶化抑制の効果が期待される。窒素を含有するITO膜のホール移動度が窒素を含有していないITO膜に比べ大きくなることは、例えば、特開2014−148734号公報などで知られているが、本願発明においても、下地層に窒素が含まれる場合と含まれない場合におけるそれぞれのホール移動度は31cm/Vsと27cm/Vsであり、特開2014−148734号公報と同様の傾向が見られ、ITO層への窒素の混入が推定される。
透明電極30は酸化インジウムを87.5重量%〜99.0重量%含有することが好ましい。酸化インジウムの含有量は90重量%〜95重量%であることがより好ましい。結晶質の透明電極は、膜中にキャリア密度を持たせて導電性を付与するためのドープ不純物を含有する。このようなドープ不純物としては、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン又は酸化タングステンが好ましい。透明電極30を低抵抗かつ高透過率とする観点から、透明電極30の膜厚は15nm〜30nmが好ましく、17nm〜27nmがより好ましく、20nm〜25nmがさらに好ましい。
なお、透明電極と下地層の膜厚の合計は、50nm未満が好ましく、1〜20nmがさらに好ましく、2〜16nmが最も好ましい。
透明電極30は、140℃30分の熱処理後の抵抗率が3.5×10−4Ωcm以下であることが好ましい。また、結晶質透明電極30の表面抵抗は、170Ω/□以下であることが好ましく、150Ω/□以下であることがより好ましい。透明電極が低抵抗であれば、静電容量方式タッチパネルの応答速度向上や、有機EL照明の面内輝度の均一性向上、各種光学デバイスの省消費電力化等に寄与し得る。
透明電極30の形成方法は、生産性の観点からスパッタリング法が好ましく、中でもマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
[透明電極付き基板の製造方法]
以下、本発明の好ましい実施の形態について、透明電極付き基板の製造方法に沿って説明する。本発明の製造方法では、透明フィルム上にハードコートなど透明誘電体層を備える透明フィルム基板10が用いられる(基板準備工程)。透明電極はスパッタリング法により形成され(製膜工程)、その後、透明電極層が結晶化される(結晶化工程)。一般に、酸化インジウムを主成分とする非晶質の透明電極層を結晶化するためには、150℃60分程度の加熱処理を実施する。
(基板準備工程)
透明フィルム基板10を構成する透明フィルムは、少なくとも可視光領域で無色透明であり、透明電極層形成温度における耐熱性を有していれば、その材料は特に限定されない。透明フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフテレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。中でも、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましく用いられる。
透明フィルム基板10の厚みは特に限定されないが、10μm〜400μmが好ましく、20μm〜200μmがより好ましい。透明フィルム基板10の片面または両面にハードコート層等の機能性層が形成されたものであってもよい。透明フィルム基板に適度な耐久性と柔軟性を持たせるためには、ハードコート層の厚みは1〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましく、5〜8μmがさらに好ましい。ハードコート層の材料は特に制限されず、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等を、塗布・硬化させたもの等を適宜に用いることができる。
(製膜工程)
透明フィルム基板10の透明下地層20上に、スパッタリング法により透明電極30が形成される。
スパッタ製膜は、製膜室内に、アルゴン等の不活性ガスおよび酸素ガスを含むキャリアガスが導入されながら行われる。導入ガスは、アルゴンと酸素の混合ガスが好ましい。アルゴンと酸素は、所定の混合比のガスを予め用意しても良いし、それぞれのガスを流量制御装置(マスフローコントローラ)により流量を制御した後に混合しても良い。なお、混合ガスには、本発明の機能を損なわない限りにおいて、その他のガスが含まれていてもよい。製膜室内の圧力(全圧)は、0.1Pa〜1.0Paが好ましく、0.15Pa〜0.8Paがより好ましい。
本発明において、下地層20形成時のアルゴン分圧は1.0×10−3Pa、酸素分圧は4.0×10−1Pa以下であることが好ましい。また、所望の常温結晶化抑制効果を得るためには、N分圧は5.9×10−5Pa以上であることが好ましく、5.9×10−5Pa〜1.3×10−3Paであることがより好ましく、1.0×10−4Pa〜5.0×10−4Paが最も好ましい。 分圧が5.9×10 −5 Pa〜1.3×10 −3 Paであれば、膜中に0.1質量%〜5質量%の窒素原子が含まれ好ましく、透明電極層の熱処理時の結晶化促進と常温常圧時の結晶化抑制を同時に解決することに資する。1.3×10−3Pa以上になると、下地層中に過剰の窒素が取り込まれる。また、5.9×10−5Pa以下であると常温結晶化抑制効果の影響がほとんど期待できない。
透明電極30形成時の製膜室内の酸素分圧は、1.0×10−3Pa〜5.0×10−2Paであることが好ましく、3.0×10−3Pa〜4.0×10−2Paであることがより好ましい。以下の表1にはスパッタリング製膜時の真空装置内の雰囲気として、四重極質量分析計で測定した値を示す。
(結晶化工程)
非晶質の透明電極層が形成された基板は結晶化工程に供される。結晶化工程では、当該基板が120〜170℃に加熱される。
膜中に酸素を十分に取り込み、結晶化時間を短縮するためには、結晶化は大気中等の酸素含有雰囲気下で行われることが好ましい。真空中や不活性ガス雰囲気下でも結晶化は進行するが、低酸素濃度雰囲気下では、酸素雰囲気下に比べて結晶化に長時間を要する傾向がある。
巻回体のまま結晶化が行われる場合、透明電極層形成後の基板をそのまま常温・常圧環境に置くか、加熱室等で養生(静置)すればよい。ロール・トゥ・ロールで結晶化を行わう場合、基板が搬送されながら加熱炉内に導入されて加熱が行われた後、再びロール状に巻回される。なお、室温で結晶化が行われる場合も、透明電極層を酸素と接触させて結晶化を促進させる等の目的で、ロール・トゥ・ロール法が採用されてもよい。
[透明電極付き基板の用途]
本発明の透明電極付き基板は、ディスプレイや発光素子、光電変換素子等の透明電極として用いることができ、タッチパネル用の透明電極として好適に用いられる。中でも、透明電極層が低抵抗であることから、静電容量方式タッチパネルに好ましく用いられる。
タッチパネルの形成においては、透明電極付き基板上に、導電性インクやペーストが塗布されて、熱処理されることで、引き廻し回路用配線としての集電極が形成される。加熱処理の方法は特に限定されず、オーブンやIRヒータ等による加熱方法が挙げられる。加熱処理の温度・時間は、導電性ペーストが透明電極に付着する温度・時間を考慮して適宜に設定される。例えば、オーブンによる加熱であれば120〜150℃で30〜60分、IRヒータによる加熱であれば150℃で5分等の例が挙げられる。なお、引き廻し回路用配線の形成方法は、上記に限定されず、ドライコーティング法によって形成されてもよい。また、フォトリソグラフィによって引き廻し回路用配線が形成されることで、配線の細線化が可能である。
以下に、表1を参照しながら実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
透明電極層の表面抵抗は、三菱化学社製低抵抗率計ロレスタGPMCP‐T710を用いて四探針圧接測定により測定した。透明電極付き基板の全光線透過率は、日本電色工業社製ヘイズメーターNDH−5000を用いた。
[実施例1]
(下地層20の製膜)
酸化亜鉛(酸化珪素含量2重量%)をターゲットとして用い、アルゴンガス250sccmに対し窒素ガスを2sccm導入し、製膜室内圧力0.3Pa、基板温度30℃、パワー密度3.0W/cmの条件で行った。
(透明電極層の製膜)
インラインで酸化インジウム・スズ(酸化スズ含量10重量%)をターゲットとして用い、アルゴンガス250sccmに対し酸素ガス3sccm導入し、製膜室内圧力0.3Pa、基板温度30℃、パワー密度3.0W/cmの条件で行った。
(熱処理による結晶化工程)
この透明電極付き基板を140℃で熱処理した。顕微鏡観察によってほぼ完全に結晶化していることが確認された。
(常温結晶化の評価)
製膜したフィルムを25℃・50%RHの環境に90日間静置し、その時のシート抵抗を測定することで評価した。シート抵抗が低下していることと結晶化が進んでいることを等価とした。
(結晶化時間の測定)
加熱前の透明電極付き基板の透明電極層30側の面の向かい合う2辺に平行電極を取り付けた。この際、電極間距離と電極を取り付けた辺の長さとを等しくすることにより、抵抗値からシート抵抗を読み取れるようにした。平行電極を取り付けた状態で、透明導電フィルムを140℃のオーブンに投入し、シート抵抗の経時変化を測定した。抵抗の時間変化が無くなった時の抵抗値(完全結晶化時の抵抗値)とのシート抵抗の差が2Ω/□以内になった時間を、結晶化完了時間とした。
[実施例2]
下地層20の製膜において、アルゴンガス250sccmに対し窒素ガスを10sccm導入し製膜を行った以外は、実施例1と同じ条件で実施例2の透明導電性フィルムを製作した。
[実施例3]
下地層20の製膜において、アルゴンガス250sccmに対し窒素ガスを100sccm導入し製膜を行った以外は、実施例1と同じ条件で実施例3の透明導電性フィルムを製作した。
[実施例4]
下地層20の製膜において、酸化亜鉛(酸化珪素含量5重量%)をターゲットとして用い、アルゴンガス500sccmに対し酸素ガスを3sccm、窒素ガスを10sccm導入し、透明電極層30製膜時に酸化スズ含量7重量%の酸化インジウム・スズ(ITO)をターゲットとして用い製膜を行った以外は、実施例1と同じ条件で実施例4の透明導電性フィルムを製作した。
[実施例5]
下地層20の製膜において、アルゴンガス500sccmに対し酸素ガスを3sccm、窒素ガス100sccm導入し製膜を行った以外は、実施例4と同じ条件で実施例5の透明導電性フィルムを製作した。
[比較例1]
下地層20の製膜において、窒素導入をせず製膜を行った以外は実施例1と同じ条件で比較例1の透明導電性フィルムを製作した。
[比較例2]
下地層20を製膜せずに、透明フィルム基板10上に直接透明電極30を製膜した以外は実施例1と同じ条件で比較例2の透明導電性フィルムを製作した。
[比較例3]
透明フィルム基板10上に透明電極層を3nm製膜し、その上に実施例1と同じ条件で透明電極30を製膜し比較例3の透明導電性フィルムを製作した。
[比較例4]
下地層20の代わりに、ターゲットとして珪素の単結晶を用い、アルゴンガス100sccmに対し酸素ガス20sccm導入し、膜厚3nmで製膜を行った以外は実施例1と同じ条件で比較例4の透明導電性フィルムを製作した。
[比較例5]
下地層20の製膜において、窒素導入をせず製膜を行った以外は実施例4と同じ条件で比較例5の透明導電性フィルムを製作した。
各層の構成、結果、各水準の特性を表1に示す。90日経過後のシート抵抗が180Ω/□以上維持しているものを良好とした。また、140℃で30分加熱後のシート抵抗が130Ω/□以下のものを良好とした。
表1の実施例1〜5の結果より、下地層に窒素を含有する膜とすることで、熱処理後の低抵抗化と常温結晶化の抑制の両方を同時に満たすことが可能となることを見出した。実施例では、90日静置後のシート抵抗の低下度合いが小さいことから、常温結晶化はほぼ抑制されていると考えられ、良好な透明電極付き基板を作製できた。
一方、比較例5のように、酸化亜鉛に酸化珪素を5重量%添加したターゲットを下地層として用い、窒素環境化で製膜しなかった場合には、常温結晶化が抑制できなかった。この原因は定かではないが、酸化珪素の含有量が透明電極薄膜の結晶化に影響しており、珪素の含有量が多いことで結晶化が促進されたためであると推測される。そのため、酸化珪素を5重量%以上添加する膜では常温結晶化条件を満たすには、実施例4、5ように下地層に窒素を含有する膜とすることが好ましい。また、比較例3、4のように、下地層20をITOや酸化珪素とした場合にも常温結晶化が抑制できない。比較例2では、常温結晶化しないが熱処理によってもシート抵抗が低下しないという結果となった。
10:透明フィルム基板
20:下地層
30:透明電極
31、32:透明電極を構成する層

Claims (6)

  1. 透明フィルム基板上に主成分が酸化亜鉛である下地層とインジウム−スズ複合酸化物からなる透明電極層とを順に有し、
    前記下地層は1〜20質量%の酸化珪素と窒素とを含有することを特徴とする透明導電性フィルム。
  2. 前記下地層の膜厚0より大きく15nm以下である請求項1に記載の透明導電性フィルム。
  3. 前記下地層の窒素含有量が0.1〜5質量%である請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム。
  4. 前記下地層の550nmにおける屈折率1.7〜1.9である請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
  5. 前記下地層の酸化珪素含有量が5〜20質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
  6. 透明フィルム基板に透明電極層を製膜する透明導電フィルムの製造方法において、
    前記透明フィルム基板に前記透明電極層を積層する前に、
    酸化亜鉛を主成分とし、酸化珪素を1〜20質量%含有する酸化物下地層を、反応性ガスとして窒素を用いてスパッタリング製膜する工程を有することを特徴とする透明導電フィルムの製造方法。
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