JP2015104904A - 透明積層体フィルム及びそれを用いた透明電極付き基板並びにその製造方法 - Google Patents

透明積層体フィルム及びそれを用いた透明電極付き基板並びにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ロールトゥロール式により透明フィルムに透明な積層膜を製膜する際においても歪が発生しにくい透明積層体フィルム及びそれを用いた透明電極付き基板並びに透明電極付き基板の製造方法を提供する。
【解決手段】透明基材の少なくとも1面に透明で表面に凹凸形状を有する積層膜が形成された透明積層体フィルムであって、該透明積層体の1面の表面形状におけるTD方向とMD方向の頂点間距離(Sm)と頂点数(Rds)が、Rds(MD)>Rds(TD)およびSm(TD)>Sm(MD)の関係を同時に満たし、且つ、Rds(MD)/Rds(TD)=1.10〜1.25、Sm(TD)/Sm(MD)=1.10〜4.00、である透明積層体フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロールトゥロールプロセスを用いて製造される透明積層体フィルムに関し、特に、タッチパネルなどに用いる透明電極付きフィルムに関するものである。
タッチパネルやディスプレイなどの表示デバイス、有機エレクトロルミネッセンスなどの発光デバイス、太陽電池パネルなどの受光デバイスに用いられる透明電極付き基板、静電容量型タッチパネルに用いられる透明電極付き基板には、近年プラスチックを材料としたフィルム基板が広く用いられている。フィルム基板を用いた透明電極付きフィルム基板は、その柔軟性から製造方法も多岐にわたり、バッチ式やロールトゥロール式などがあるが、中でも大量生産への適用性の高さからロールトゥロール式の技術革新は目覚しく進歩している。ロールトゥロール式では、一般に、フィルムは原反ロールから巻き出され、多くの搬送ロールを経由し、巻取りロールで巻き取られ、その経路中においてフィルムに電極となる材料が形成される。
その製膜の際、特に100ミクロン以下の厚みの薄いフィルム基板を用いる場合には、フィルム全体に進行方向や幅方向に対し均一に張力をかけることが困難であることから、フィルムにシワやうねりなどの歪が発生しやすいという課題がある。例えば、特許文献1のように、搬送ロールの形状による歪み対策は種々の方式も提案されているが、フィルム基板側からの対策は少ない。
特開2003−316505号公報
上記に鑑み、本発明は、ロールトゥロール式により透明フィルムに透明な積層膜を製膜する際においても歪が発生しにくい透明積層体フィルム及びそれを用いた透明電極付き基板並びに透明電極付き基板の製造方法を提供する。
本発明者らは鋭意検討した結果、フィルム(透明基材)を搬送する際のTD方向(幅方向)とMD方向(進行方向)の表面粗さパラメーター、特に、TD方向のSm(頂点間距離)とRds(頂点数)を制御することで、ロールトゥロールプロセスにおいて課題となる歪の発生や、ゲージバンドの発生を抑制可能となることを見出した。
すなわち、透明基材の少なくとも1面に透明で表面に凹凸形状を有する積層膜が形成された透明積層体フィルムであって、該透明積層体の1面の表面形状におけるTD方向とMD方向の頂点間距離(Sm)と頂点数(Rds)が、Rds(MD)>Rds(TD)およびSm(TD)>Sm(MD)の関係を同時に満たし、且つ、Rds(MD)/Rds(TD)=1.10〜1.25、Sm(TD)/Sm(MD)=1.10〜4.00、である。また、上記透の明積層体フィルムの上面に透明導電層がさらに形成されている透明電極付き基板が好ましい。
さらに、本発明の製造方法は、透明基材をロールトゥロールプロセスで搬送し、前記透明基材の少なくとも1面に積層膜を製膜する工程と、上記積層膜が製膜された積層体フィルムに透明導電層を製膜する工程と、を含む透明電極付き基板の製造方法において、コーティング液吐出部に対向する位置に設けられ、上記積層体フィルムを搬送するコーティングロールは、幅方向の両側の径が幅方向の中央側の径に対して大きくなるようにクラウン量が+5〜+60μmのものを用い、蒸気コーティングロールの下流側では、クラウン量が−5〜+5のガイドロールが一つ以上設けられているものを用いる。
本発明によれば、フィルムに形成された積層膜の表面粗さを制御することが出来、具体的には、フィルム上の積層膜について、MD方向にTD方向よりも表面凹凸形状が密な状態にすることで、フィルムの搬送性を制御し、積層膜が製膜された透明積層体フィルムに対する歪の発生を抑制することが可能となる。
一実施形態にかかる透明電極付き基板の模式的断面図である。 コーティングのシステムに関し、アンダーコート層塗工部に注目した模式図である。
[透明電極付き基板の構成]
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、透明フィルム基材10上にアンダーコート層20、さらにその上に透明導電層30が形成された透明電極付き基板を示している。アンダーコート層20の表面(透明導電層30側)には表面粗さを制御するための凹凸形状が設けられている。透明フィルム基材10を構成する透明フィルムは、少なくとも可視光領域において無色透明であるものが好ましい。
アンダーコート層20は、フィルム基材10の保護、フィルム基材10からの低分子量成分の拡散抑制などの役割を果たし、材料は特に制限されないが、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等を、塗布・硬化させたもの等を適宜に用いることができる。さらに、アンダーコート層20の屈折率を制御することで、例えばタッチパネルに用いる場合の「骨見え性」を解消することが可能となる。また、アンダーコート層20は図中では片面のみの構成であるが、両面にあってもよく、それぞれの構成において表面粗さを制御することで、フィルムロールのゲージバンドや巻き出し時の剥離放電を抑制することが可能となる。アンダーコート層20の膜厚は、0.2〜5.0μmが好ましく、特に1.0〜2.5μmが好ましい。
アンダーコート層20と透明導電層30との間には、結晶性制御層40を設けることができる。結晶性制御層40の役割は、透明導電層30が形成された透明導電フィルムをアニール処理する際に透明導電層30の結晶成長を促すことであり、電気特性・光学特性を良好なものとすることである。結晶性制御層40は、その上に形成する透明導電層30が金属酸化物であることから、酸化物であることが好ましく、例えばケイ素やチタン、ニオブ、ジルコニウムなどの酸化物を用いることができる。
結晶性制御層40の膜厚は2〜30nmが好ましく、さらには3〜18nm、特に3〜10nmが好ましい。この膜厚の範囲とすることで、結晶成長に必要な下地機能と併せて、光学特性も良好な透明電極付き基板を作製できる。
透明導電層30は酸化インジウムを87.5重量%〜99.0重量%含有する。酸化インジウムの含有量は、90重量%〜95重量%であることがより好ましい。結晶質透明導電層は、膜中にキャリア密度を持たせて導電性を付与するためのドープ不純物を含有する。このようなドープ不純物としては、酸化スズまたは酸化亜鉛、酸化チタン、酸化タングステンが好ましい。ドープ不純物が酸化スズである場合の透明導電層は酸化インジウム・スズ(ITO)であり、ドープ不純物が酸化亜鉛である場合の透明導電層は酸化インジウム・亜鉛(IZO)である。透明導電層中の前記ドープ不純物の含有量は、4.5重量%〜12.5重量%であることが好ましく、5重量%〜10重量%であることがより好ましい。
透明導電層を低抵抗かつ高透過率とする観点から、透明導電層30の膜厚は、15nm〜30nmが好ましく、17nm〜27nmがより好ましく、20nm〜25nmがさらに好ましい。
透明導電層30は、結晶化度が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。結晶化度が上記範囲であれば、透明導電層による光吸収を小さくできるとともに、環境変化等による抵抗値の変化が抑制される。なお、結晶化度は、顕微鏡観察時において観察視野内で結晶粒が占める面積の割合から求められる。
透明導電層30は、抵抗率が3.5×10−4Ωcm以下であることが好ましい。また、結晶質透明導電層30の表面抵抗は、150Ω/□以下であることが好ましく、130Ω/□以下であることがより好ましい。透明導電層が低抵抗であれば、静電容量方式タッチパネルの応答速度向上や、有機EL照明の面内輝度の均一性向上、各種光学デバイスの省消費電力化等に寄与し得る。
透明導電層30のキャリア密度は、4×1020cm−3〜9×1020cm−3であることが好ましく、6×1020cm−3〜8×1020cm−3であることがより好ましい。キャリア密度が上記範囲内であれば、透明導電層30を低抵抗化できる。
[透明電極付き基板の製造方法]
以下、本発明の好ましい実施の形態について、透明電極付き基板の製造方法に沿って説明する。本発明の製造方法では、透明フィルム10上にアンダーコート層20が備えられる(基材準備工程)。透明導電層はスパッタリング法により形成され(製膜工程)、その後、透明導電層が結晶化される(結晶化工程)。一般に、酸化インジウムを主成分とする非晶質の透明導電層を結晶化するためには、150℃程度の加熱処理を実施する。
(基材準備工程)
透明フィルム基材10を構成する透明フィルムは、少なくとも可視光領域で無色透明であり、透明導電層形成温度における耐熱性を有していれば、その材料は特に限定されない。透明フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフテレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。中でも、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましく用いられる。
透明フィルム10の厚みは特に限定されないが、10μm〜400μmが好ましく、50μm〜300μmがより好ましい。厚みが上記範囲内であれば、透明フィルム10が耐久性と適度な柔軟性とを有し得るため、その上に各透明誘電体層および透明導電層をロールトゥロール方式により生産性高く製膜することが可能である。透明フィルム10としては、二軸延伸により分子を配向させることで、ヤング率などの機械的特性や耐熱性を向上させたものが好ましく用いられる。
一般に、延伸フィルムは、延伸による歪が分子鎖に残留するため、加熱された場合に熱収縮する性質を有している。このような熱収縮を低減させるために、延伸の条件調整や延伸後の加熱によって応力を緩和し、熱収縮率を0.8%程度あるいはそれ以下に低減させるとともに、熱収縮開始温度が高められた二軸延伸フィルム(低熱収縮フィルム)が知られている。透明電極付き基板の製造工程における基材の熱収縮による不具合を抑止する観点から、このような低熱収縮フィルムを基材として用いることも提案されている。
アンダーコート層の表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)で測定された値で規定される。AFMで測定される表面粗さのパラメーターは平均表面粗さ(Ra)やn点平均表面粗さ(Rz)などがあるが、本発明においては表面に微小凹凸形状を有する積層膜の頂点間距離(Sm)と単位距離あたりの頂点数(Rds)が重要であることを見出した。この2つのパラメーターを制御することで、ロールトゥロールプロセスにおけるフィルムの搬送性を向上させることが可能となる。SmとRdsはフィルムの幅(TD)方向と長手(MD)方向のそれぞれで規定されることが重要であり、具体的には、Sm(TD)>Sm(MD)とRds(MD)>Rds(TD)を同時に満たすと共に、Sm(TD)/Sm(MD)の値が1.10〜1.25であり、Rds(MD)/Rds(TD)の値が1.10〜4.00であることを同時に満たすことが重要である。つまり、表面の凹凸形状がMD方向においてTS方向よりも密になっていることが重要である。
この範囲とすることで、ロールトゥロールプロセスで製膜されたフィルムの搬送性が良好となる知見が得られた。なお、搬送性とは、ロールトゥロール設備を構成する駆動ロールやフリーロール上をフィルムが通過する時に、ロールの軸ズレやロールとフィルムの摩擦、フィルムへのテンションのかかり具合により、フィルムにシワなどの歪が発生することを意味している。上記範囲とすることで設備に対して歪発生を抑制できる許容範囲が広くなることがわかった。
また、表面形状が上記の関係をみたすのであれば、アンダーコート層中にフィラー類を含有させてもよいし、また、塗工直後のアンダーコート層の表面を空気の流れ等によって荒らす方法などを適用することも可能である。
このようなフィルムは、アンダーコート層の塗工時に加工することで作製可能である。アンダーコートの塗工は、ロールトゥロール設備により実施され、実際のコーティング方法は、グラビア(マイクログラビア含む)法やダイコーティング法、などがあるが、これに限られるものではない。一方で、コーティング時にフィルムに加えられるテンションは重要であり、上記のような表面粗さ特性を実現するためには、MD方向のテンションをTD方向のそれよりも明確に強くすることで実現される。この方法としては、コーティング部にかかるMD方向のテンションを過剰に強くする方法や、コーティング部付近の駆動ロールやフリーロールの形状を“逆クラウン”とすることで可能となる。ここで、逆クラウンとは、搬送されるフィルムに対し、搬送ロール幅方向の両端(両側)の径が、幅方向の中央部分(中央側)の径に対して大きくなる状態のことを意味し、クラウン量としては、ロールの長手方向で凹型形状となるものを+とし、凸型形状を−とした。
コーティングのシステムについて、アンダーコート層塗工部に注目した模式図を図2に示す。原反フィルムロール101から繰り出されたフィルム1011は駆動軸を持たないガイドロール1022を通過し、103から吐出される塗工液によりコーティングされる。1021はコーティング部に位置するロールであり、テンションを付与するため駆動軸を有していてもよい。本発明では、ロール1021をクラウン形状とすることを特徴とする。また、ガイドロール1022はクラウン形状であってもそうでなくてもよいが、ロール1021の下流に位置するガイドロールの少なくとも一つはクラウン形状にしないか、あるいは、クラウン量を−5〜+5μmにするのが好ましい。
ロール1021のクラウン量は+5〜+60μmが好ましく、+10〜+50μmが特に好ましい。クラウン量が大きすぎる場合には、厚みムラや塗工ムラの原因の原因となるため好ましくなく、クラウン量が負となる場合には、表面粗さの配向が逆転し、搬送性の悪化が起こりやすくなるため好ましくない。
(製膜工程)
透明フィルム基材10のアンダーコート層20上に、スパッタリング法により透明導電層30が形成される。
スパッタ電源としては、DC,RF,MF電源等が使用できる。スパッタ製膜に用いられるターゲットとしては金属、金属酸化物等が用いられる。特に、酸化インジウムと酸化スズまたは酸化亜鉛を含有する酸化物ターゲットが好適に用いられる。酸化物ターゲットは、酸化インジウムを87.5重量%〜95.5重量%含有するものが好ましく、90重量%〜95重量%含有するものがより好ましい。また、酸化物ターゲットは、酸化インジウム以外に、酸化スズまたは酸化亜鉛を4.5重量%〜12.5重量%含有するものが好ましく、5重量%〜10重量%含有するものがより好ましい。
スパッタ製膜は、製膜室内に、アルゴンや窒素等の不活性ガスおよび酸素ガスを含むキャリアガスが導入されながら行われる。導入ガスは、アルゴンと酸素の混合ガスが好ましい。混合ガスは、酸素を0.4体積%〜2.0体積%含むことが好ましく、0.7体積%〜1.5体積%含むことがより好ましい。上記体積の酸素を供給することで、透明導電層の透明性および導電性を向上させることができる。なお、混合ガスには、本発明の機能を損なわない限りにおいて、その他のガスが含まれていてもよい。製膜室内の圧力(全圧)は、0.1Pa〜1.0Paが好ましく、0.25Pa〜0.8Paがより好ましい。
本発明において、製膜時の製膜室内の酸素分圧は、1×10−3Pa〜5×10−3Paであることが好ましく、2.3×10−3Pa〜4.3×10−3Paであることがより好ましい。上記酸素分圧範囲は、一般的なスパッタ製膜における酸素分圧よりも低い値である。すなわち、本発明においては、酸素供給量が少ない状態で製膜がおこなわれる。そのため、製膜後の非晶質膜中には、酸素欠損が多く存在していると考えられる。
製膜時の基板温度は、透明フィルム基材が耐熱性を有する範囲であればよく、60℃以下であることが好ましい。基板温度は、−20℃〜40℃であることがより好ましく、−10℃〜20℃であることがさらに好ましい。基板温度を60℃以下とすることで、透明フィルム基材からの水分や有機物質(例えばオリゴマー成分)の揮発等が起こり難くなり、酸化インジウムの結晶化が起こりやすくなるとともに、非晶質膜が結晶化された後の結晶質透明導電層の抵抗率の上昇を抑制することができる。また、基板温度を前記範囲とすることで、透明導電層の透過率の低下や、透明フィルム基材の脆化が抑制されるとともに、製膜工程においてフィルム基材が大幅な寸法変化を生じることがない。
本発明においては、巻取式スパッタリング装置を用いて、ロールトゥロール法により製膜が行われることが好ましい。ロールトゥロール法により製膜が行われることで、非晶質の透明導電層が形成された透明フィルム基材の長尺シートのロール状巻回体が得られる。透明フィルム10上への結晶性制御層40の形成が巻取式スパッタリング装置を用いて行われる場合、結晶性制御層40と透明導電層30とが、連続して製膜されてもよい。
(結晶化工程)
非晶質の透明導電層が形成された基材は、結晶化工程に供される。結晶化工程では、当該基材が120〜170℃に加熱される。
膜中に酸素を十分に取り込み、結晶化時間を短縮するためには、結晶化は大気中等の酸素含有雰囲気下で行われることが好ましい。真空中や不活性ガス雰囲気下でも結晶化は進行するが、低酸素濃度雰囲気下では、酸素雰囲気下に比べて結晶化に長時間を要する傾向がある。
長尺シートのロール状巻回体が結晶化工程に供される場合、巻回体のままで結晶化が行われてもよく、ロールトゥロールでフィルムが搬送されながら結晶化が行われてもよく、フィルムが所定サイズに切り出されて結晶化が行われてもよい。
巻回体のまま結晶化が行われる場合、透明導電層形成後の基材をそのまま常温・常圧環境に置くか、加熱室等で養生(静置)すればよい。ロールトゥロールで結晶化が行われる場合、基材が搬送されながら加熱炉内に導入されて加熱が行われた後、再びロール状に巻回される。なお、室温で結晶化が行われる場合も、透明導電層を酸素と接触させて結晶化を促進させる等の目的で、ロールトゥロール法が採用されてもよい。
[透明電極付き基板の用途]
本発明の透明電極付き基板は、ディスプレイや発光素子、光電変換素子等の透明電極として用いることができ、タッチパネル用の透明電極として好適に用いられる。中でも、透明導電層が低抵抗であることから、静電容量方式タッチパネルに好ましく用いられる。
タッチパネルの形成においては、透明電極付き基板上に、導電性インクやペーストが塗布されて、熱処理されることで、引き廻し回路用配線としての集電極が形成される。加熱処理の方法は特に限定されず、オーブンやIRヒータ等による加熱方法が挙げられる。加熱処理の温度・時間は、導電性ペーストが透明電極に付着する温度・時間を考慮して適宜に設定される。例えば、オーブンによる加熱であれば120〜150℃で30〜60分、IRヒータによる加熱であれば150℃で5分等の例が挙げられる。なお、引き廻し回路用配線の形成方法は、上記に限定されず、ドライコーティング法によって形成されてもよい。また、フォトリソグラフィによって引き廻し回路用配線が形成されることで、配線の細線化が可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各透明誘電体層および透明導電層の膜厚は、透明電極付き基板の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた値を使用した。透明導電層の表面抵抗は、低抵抗率計ロレスタGP(MCP‐T710、三菱化学社製)を用いて四探針圧接測定により測定した。表面粗さは原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、ダイナミックフォースモード(DFM)で測定を実施した。サンプルはMD方向・TD方向が明確になるように設置し、測定領域は10ミクロン四方に対し実施した。解析時にMD方向とTD方向と別々にSmとRdsを評価した。
[実施例1]
(透明フィルム基材の作製)
透明フィルムとして、厚み50μmの2軸延伸PETフィルムを用いた。
このPETフィルム上にアンダーコート層を形成した。アンダーコート層は、紫外線硬化型ポリメチルメタクリレート(PMMA)系樹脂にシリカ微粒子(1次粒径:0.5μm)を10重量%混ぜ、混練した後に、ロールトゥロール方式塗工装置を用いて塗工した。塗工にはグラビア印刷法を用い、乾燥・硬化後の膜厚が2μmとなるように調整した。コーティング装置は、グラビアロールの前と後のロールを逆クラウン状とし、クラウン量(端部外径から中央部外径を引いた差)が50μmとなるロールを使用した。
ここで、クラウン量はロールの長手方向で凹型形状となるものを+とし、凸型形状を−とした。
(非晶質透明導電層の製膜)
透明電極の製膜は、ロールトゥロール型のスパッタ装置を用いて実施した。フィルムの幅は1100mmとし、1000m製膜を実施した。
酸化インジウム・スズ(酸化スズ含量5重量%)をターゲットとして用い、酸素とアルゴンの混合ガスを装置内に導入しながら、酸素分圧10×10−3Pa、製膜室内圧力0.5Pa、基板温度0℃、パワー密度4W/cmの条件で行った。
(結晶化)
この透明電極付き基板を、150℃で1時間熱処理を行った。顕微鏡観察によってほぼ完全に結晶化されていることが確認された(結晶化度100%)。
[実施例2〜4、比較例1〜2]
アンダーコート形成時のクラウンロールのクラウン量を表1に従って変更し、その他は実施例1と同様にして透明電極付き基板を作製した。
各層の構成および結果について表1に示す。また、Rds(MD)/Rds(TD)比およびSm(TD)/Sm(MD)比を表2に示す。
表1の結果より、クラウンロールのクラウン量を+にすることで、所望の表面粗さの配向とすることが可能であることがわかり、TD方向と比べてMD方向のRdsを大きくし、且つSmを小さくすることで歪みの発生が抑制できることがわかった。これは、粗さを構成する粒子の並び方の影響で、MD方向とTD方向の滑り性や微細な摩擦が変化していることが想定される。上述のとおり、クラウン量は大きくても+60μm以下であることが好ましく、これより大きいクラウン量では厚みムラが発生し、均一な塗工ができなかった。ここでいう均一とは、塗工幅1000mm以上の塗工において、膜厚ムラが最大−最小計算法で5%以下となる状態を示す。
さらにクラウン量に加えて、塗工部のフィルムMD方向にかかっている張力も要素のひとつであると言える。例えば、50〜300N/mの張力では、適度な張力で搬送方向に引かれることで、表面粗さの制御が容易となる。
10:透明フィルム基材
20:アンダーコート層
30:透明導電層
40:結晶性制御層
101:原反フィルムロール
1011:フィルム
1021:コーティングロール
1022:ガイドロール
103:コーティング液吐出部

Claims (3)

  1. 透明基材の少なくとも1面に透明で表面に凹凸形状を有する積層膜が形成された透明積層体フィルムであって、
    該透明積層体の1面の表面形状におけるTD方向とMD方向の頂点間距離(Sm)と頂点数(Rds)が、
    Rds(MD)>Rds(TD)およびSm(TD)>Sm(MD)の関係を同時に満たし、且つ、
    Rds(MD)/Rds(TD)=1.10〜1.25、
    Sm(TD)/Sm(MD)=1.10〜4.00、
    であることを特徴とする透明積層体フィルム。
  2. 請求項1に記載の前記透明積層体フィルムの上面に透明導電層がさらに形成されている透明電極付き基板。
  3. 透明基材をロールトゥロールプロセスで搬送し、前記透明基材の少なくとも1面に積層膜を製膜する工程と、前記積層膜が製膜された積層体フィルムに透明導電層を製膜する工程と、を含む透明電極付き基板の製造方法において、
    コーティング液吐出部に対向する位置に設けられ、前記積層体フィルムを搬送するコーティングロールは、幅方向の両側の径が幅方向の中央側の径に対して大きくなるようにクラウン量が+5〜+60μmのものを用い、
    前記コーティングロールの下流側では、クラウン量が−5〜+5のガイドロールが一つ以上設けられているものを用いる透明電極付き基板の製造方法。
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