JP6151950B2 - 透明電極付き基板 - Google Patents

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Description

本発明は、透明フィルム基材上に透明電極層が形成された透明電極付き基板に関する。
タッチパネルやディスプレイなどの表示デバイス、発光デバイス、受光デバイスに用いられる透明電極付き基板、特に静電容量型タッチパネルに用いられる透明電極付き基板には「非視認性」と呼ばれる課題がある。これは、骨見え現象とも言われるように、透明電極層を一部分パターニングすることで、ディスプレイ上にそのパターンが視認される現象である。このような非視認性が悪くなる一因として、パターニングにより生じた「透明電極層の有無」により、それぞれの層の透過または反射スペクトルが異なることが挙げられる。非視認性を向上するために、例えば特許文献1〜4では、反射防止層として、屈折率の異なる層を積層したフィルムを形成する技術が記載されている。
このような層は屈折率を制御した層を積層することから「インデックスマッチング層」とも呼ばれており、上記特許文献のように形成方法はドライプロセスやウェットプロセスなど様々である。これらの文献には、屈折率を制御することで非視認性を向上する技術が記載されているが、角度依存性については十分な性能を有していない構造である。角度依存性は、表示デバイスにとっては視野角などの特性、発光デバイスにとっては光(波長)の均一性、受光デバイスにとっては受講変換特性に影響を与えるものであり、角度依存性の向上はこれからの光学デバイスにとって必須の課題である。
特開2004−284232号公報 特開2010−177194号公報 特開2011−167914号公報 特開2012−146211号公報
上記に鑑み、本発明は、パターニングされた透明電極層について高い非視認性と低い角度依存性(すなわち、幅広い角度において透過率および反射率が不変であること)を有する透明電極付き基板を提供するものである。
本発明者らが鋭意検討した結果、屈折率制御層および透明電極層の平均屈折率を最適なものとし、透明電極層の有無においても平均屈折率の変化が小さく、さらに角度依存性が小さい透明電極付き基板を発明するに至った。
すなわち、本発明は、透明基材上に屈折率制御層および透明電極層が順に形成されている透明電極付き基板において、屈折率制御層は、平均屈折率が1.45〜1.56で全体の膜厚が1200〜2500nmである2層以上の積層体であり、折率制御層透明電極層との総合の平均屈折率と、屈折率制御層のみの平均屈折率の差が0〜0.02であり、透明電極付き基板の透明電極製膜面またはその反対面に対して垂直に入射させ光の透過率および反射率を測定した時に、垂直位置である0°の透過率と垂直位置に対し60°の傾斜をつけるまで計測した透過率との差が常に25%以内であり、かつ2°の反射率と60°の傾斜をつけるまで計測した反射率との差が常に25%以内である。
本発明によれば、透明導電フィルムの平均屈折率を制御し、具体的には屈折率制御層と透明電極層の総合の平均屈折率と、屈折率制御層のみの平均屈折率の差が小さくなることで、非視認性を向上できるだけでなく、屈折率制御層を多層構造とし、膜厚を最適なものとすることで、角度依存性が良好となる。
一実施形態にかかる(実施例1)透明電極付き基板の模式的断面図である。 一実施形態にかかる(実施例2)透明電極付き基板の模式的断面図である。 一実施形態にかかる(実施例3)透明電極付き基板の模式的断面図である。 一実施形態にかかる(実施例7)透明電極付き基板の模式的断面図である。 実施例1における反射率の角度依存性である。 比較例1における反射率の角度依存性である。
[透明電極付き基板の構成]
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、透明フィルム基材10上に屈折率制御層200、さらにその上に透明電極層30を形成した透明電極付き基板を示している。屈折率制御層200はさらに201〜203の異なる屈折率からなる層で構成されている。また、屈折率制御層200と透明電極層30との間には図4に示すような結晶性制御層40が形成されていても良い。
透明フィルム基材10を構成する透明フィルムは、少なくとも可視光領域において無色透明であるものが好ましい。
屈折率制御層200は、光の干渉現象を利用して透過光・反射光のスペクトルを制御するために設けるものである。このため、屈折率制御層200は屈折率が異なる2層以上積層された構造体であることが好ましい。このような屈折率の異なる連続積層体を屈折率制御層200として設けることで、透明電極層30をパターニングした時の非視認性を優れたものとすることができるだけでなく、透過率・反射率の角度依存性を良くすることが可能となる。透過率・反射率の角度依存性は単純に屈折率制御だけでは制御することができず、異なる屈折率を有する層を積層するということが非常に重要である。屈折率制御層200の中での異なる屈折率を有する層の積層順については特に制限はなく、屈折率が基板側から順に小さくなるような構造であっても、順に大きくなるような構造であっても、3層以上設けられる場合には中間に最大屈折率を有する層が設けられる構造であっても構わない。
屈折率制御層200の平均屈折率は1.45〜1.60が好ましい。中でも1.48〜1.56が光学特性の観点から好ましく、特に1.48〜1.55の時には角度依存性の観点も含めて好ましい。平均屈折率は下記式(1)のようにして定義することができる。
(数1)
・・・式(1)
ここで、式中では屈折率制御層201、202・・・に従って屈折率制御層a、b・・・と記載した。一方、透明電極層と併せた平均屈折率(全体の平均屈折率)は下記式(2)のように定義される。
(数2)
ここで、光学膜厚は下記式(3)のように定義される。
(数3)
・・・式(3)
式(1)〜(3)において、膜厚の単位はナノメートル(nm)である。
式(2)で求められる全体の平均屈折率から式(1)で求められる屈折率制御層の平均屈折率を引いた差が0.02以下であることが本発明の特徴である。これほどの小さい差とすることで非視認性を最適なものとすることができる。
さらに、屈折率制御層の膜厚は1000〜2500nmが好ましく、さらには1200〜2250nmが好ましい。中でも非視認性および角度依存性の観点から1250〜2000nmが好ましい。上記膜厚の範囲とすることで、角度依存性を向上することが可能となる。上記において、平均屈折率差を0.02以下とするには、屈折率制御層の膜厚を厚くすることが最も有効である。これは、屈折率制御層の平均屈折率の寄与が「屈折率制御層+透明電極層」積層体に対して大きくなるからである。一方で、屈折率制御層の膜厚が2500nmを超える場合など、厚くなり過ぎる場合には、透明導電フィルムの表裏の硬さがアンバランスになりやすく、フィルムの反りの原因になる。
角度依存性については、以下のように定義できる。まず透過率については、透明電極付き基板の透明電極層面側から、透明電極層に対して垂直に光を入れ、直進的に透過してきた光を0°の透過率とした。その0°の線から60°まで15°刻みに測定を行った。反射率については、透過率と同じように光を入れ、垂直に反射してきた光を0°として、そこから60°まで15°刻みに測定を行った。ただし、0°については検出器の問題から2°の位置で測定を行った。
上記のように測定した透過率・反射率について、0°(反射測定については2°)からの差が25%以下であることが好ましい。より好ましくは20%以下であり、特には15%以下が好ましい。図5および図6には、0°(反射測定については2°)の測定値で規格化した値をプロットした。このような良好な角度依存性は、上記に示したような屈折率制御層の積層構造及び膜厚、屈折率を最適なものとすることで達成可能である。角度依存性は、異なる屈折率を有する層の積層による光の干渉現象を利用しながら、さらに適度な膜厚を有することで層中での緩やかな光の拡がりを設けることで達成できる。例えば屈折率制御層の膜厚が薄い場合には、光が拡がる前に異なる層を光が通ることで、急峻な光路となり、拡がりが小さくなるため、結果的に角度依存性は悪くなる。
屈折率制御層200と透明電極層30との間には、結晶性制御層40を設けることができる。結晶性制御層40の役割は、アニール処理による透明電極層30結晶成長を促し、電気特性・光学特性を良好なものとすることである。結晶性制御層40は、その上に形成する透明電極層30が金属酸化物であることから、酸化物であることが好ましく、例えばケイ素やチタンやニオブ、ジルコニウムなどの酸化物を用いることができる。
結晶性制御層40の膜厚は2〜10nmが好ましく、さらには3〜7nm、特に3〜5nmが好ましい。この膜厚の範囲とすることで、結晶成長に必要な下地機能と併せて、光学特性も良好な透明電極付き基板を作製できる。
透明電極層30は酸化インジウムを、87.5重量%〜99.0重量%含有する。酸化インジウムの含有量は、90重量%〜95重量%であることがより好ましい。結晶質透明電極層は、膜中にキャリア密度を持たせて導電性を付与するためのドープ不純物を含有する。このようなドープ不純物としては、酸化スズまたは酸化亜鉛、酸化チタン、酸化タングステンが好ましい。ドープ不純物が酸化スズである場合の透明電極層は酸化インジウム・スズ(ITO)であり、ドープ不純物が酸化亜鉛である場合の透明電極層は酸化インジウム・亜鉛(IZO)である。透明電極層中の前記ドープ不純物の含有量は、4.5重量%〜12.5重量%であることが好ましく、5重量%〜10重量%であることがより好ましい。
透明電極層を低抵抗かつ高透過率とする観点から、透明電極層30の膜厚は、15nm〜30nmが好ましく、17nm〜27nmがより好ましく、20nm〜25nmがさらに好ましい。
透明電極層30は、結晶化度が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。結晶化度が上記範囲であれば、透明電極層による光吸収を小さくできるとともに、環境変化等による抵抗値の変化が抑制される。なお、結晶化度は、顕微鏡観察時において観察視野内で結晶粒が占める面積の割合から求められる。
透明電極層30は、抵抗率が3.5×10−4Ωcm以下であることが好ましい。また、結晶質透明電極層30の表面抵抗は、150Ω/□以下であることが好ましく、130Ω/□以下であることがより好ましい。透明電極層が低抵抗であれば、静電容量方式タッチパネルの応答速度向上や、有機EL照明の面内輝度の均一性向上、各種光学デバイスの省消費電力化等に寄与し得る。
透明電極層30のキャリア密度は、4×1020cm−3〜9×1020cm−3であることが好ましく、6×1020cm−3〜8×1020cm−3であることがより好ましい。キャリア密度が上記範囲内であれば、透明電極層30を低抵抗化できる。
[透明電極付き基板の製造方法]
以下、本発明の好ましい実施の形態について、透明電極付き基板の製造方法に沿って説明する。本発明の製造方法では、透明フィルム上にハードコートなどを備える透明フィルム基材10が用いられる(基材準備工程)。透明電極層はスパッタリング法により形成され(製膜工程)、その後、透明電極層が結晶化される(結晶化工程)。一般に、酸化インジウムを主成分とする非晶質の透明電極層を結晶化するためには、150℃程度の加熱処理を実施する。
(基材準備工程)
透明フィルム基材10を構成する透明フィルムは、少なくとも可視光領域で無色透明であり、透明電極層形成温度における耐熱性を有していれば、その材料は特に限定されない。透明フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフテレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。中でも、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましく用いられる。
透明フィルムの厚みは特に限定されないが、10μm〜400μmが好ましく、50μm〜300μmがより好ましい。厚みが上記範囲内であれば、透明フィルムが耐久性と適度な柔軟性とを有し得るため、その上に屈折率制御層および透明電極層をロール・トゥー・ロール方式により生産性高く製膜することが可能である。透明フィルムとしては、二軸延伸により分子を配向させることで、ヤング率などの機械的特性や耐熱性を向上させたものが好ましく用いられる。
一般に、延伸フィルムは、延伸による歪が分子鎖に残留するため、加熱された場合に熱収縮する性質を有している。このような熱収縮を低減させるために、延伸の条件調整や延伸後の加熱によって応力を緩和し、熱収縮率を0.2%程度あるいはそれ以下に低減させるとともに、熱収縮開始温度が高められた二軸延伸フィルム(低熱収縮フィルム)が知られている。透明電極付き基板の製造工程における基材の熱収縮による不具合を抑止する観点から、このような低熱収縮フィルムを基材として用いることも提案されている。
透明フィルム基材は、透明フィルムの片面または両面にハードコート層等の機能性層(不図示)が形成されたものであってもよい。透明フィルム基材に適度な耐久性と柔軟性を持たせるためには、ハードコート層の厚みは1〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましく、5〜8μmがさらに好ましい。ハードコート層の材料は特に制限されず、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等を、塗布・硬化させたもの等を適宜に用いることができる。なお、ハードコート層等の機能性層が、透明フィルムの透明電極層30形成面側に形成される場合、当該機能性層は、透明フィルムと屈折率制御層200との間に形成されることが好ましい。
(屈折率制御層作製工程)
折率制御層200表面の算術平均粗さRaは、0.4nm〜3nmが好ましく、0.5nm〜1.5nmがより好ましい。屈折率制御層200の表面形状は、透明フィルム基材10の表面形状にも影響されるため、一般にはRaは0.4nm以上となる。算術平均粗さRaは、走査プローブ顕微鏡を用いた非接触法により測定された表面形状(粗さ曲線)に基づいて、JIS B0601:2001(ISO1302:2002)に準拠して算出される。
折率制御層の膜厚は1000nm以上あることから、生産性の高さの観点からウェットコーティング法が好ましく用いることができる。ウェットコーティング法には、グラビアコーティング法やスロットダイ法など公知の方法を用いることができる。本発明における屈折率制御層はロールトゥロール法で形成することによって効率よく生産することができる。
屈折率制御層形成に用いる塗布液は以下のように作製することができる。しかし、この塗布液の作製方法は一例であり、この方法に厳密に従うものではない。
[低屈折率制御層塗布液A]
アクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR−102、三菱レイヨン製)をメチルセロソルブに溶解した。固形分濃度は30重量%とした。
この樹脂溶液をバーコート法により、3マイクロメートルの厚みに塗布し、125℃で15分間乾燥させることで、1マイクロメートル厚の樹脂層を形成した。この低屈折率層の屈折率は1.49であった。
[中屈折率制御層塗布液B]
アクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR−102、三菱レイヨン製)をメチルセロソルブに溶解した。固形分濃度は30重量%とした。この樹脂溶液に、酸化ジルコニウム(商品名:ジルコニア粒子TZ−3Y−E、東ソー製)を、アクリル樹脂に対して1重量%添加して十分に撹拌することで、中屈折率制御層塗布液を作成した。
この樹脂溶液をバーコート法により、3マイクロメートルの厚みに塗布し、125℃で15分間乾燥させることで、1マイクロメートル厚の樹脂層を形成した。この低屈折率層の屈折率は1.53であった。
[高屈折率制御層塗布液C]
アクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR−102、三菱レイヨン製)をメチルセロソルブに溶解した。固形分濃度は30重量%とした。この樹脂溶液に、酸化チタン(商品名:チタニア粒子TECNAPOW−TIO2、エアブラウン製)を、アクリル樹脂に対して4重量%添加して十分に撹拌することで、中屈折率制御層塗布液を作成した。
この樹脂溶液をバーコート法により、3マイクロメートルの厚みに塗布し、125℃で15分間乾燥させることで、1マイクロメートル厚の樹脂層を形成した。この低屈折率層の屈折率は1.65であった。
(製膜工程)
屈折率制御層200上に、スパッタリング法により透明電極層30が形成される。
スパッタ電源としては、DC,RF,MF電源等が使用できる。スパッタ製膜に用いられるターゲットとしては金属、金属酸化物等が用いられる。特に、酸化インジウムと酸化スズまたは酸化亜鉛を含有する酸化物ターゲットが好適に用いられる。酸化物ターゲットは、酸化インジウムを87.5重量%〜95.5重量%含有するものが好ましく、90重量%〜95重量%含有するものがより好ましい。また、酸化物ターゲットは、酸化インジウム以外に、酸化スズまたは酸化亜鉛を4.5重量%〜12.5重量%含有するものが好ましく、5重量%〜10重量%含有するものがより好ましい。
スパッタ製膜は、製膜室内に、アルゴンや窒素等の不活性ガスおよび酸素ガスを含むキャリアガスが導入されながら行われる。導入ガスは、アルゴンと酸素の混合ガスが好ましい。混合ガスは、酸素を0.4体積%〜2.0体積%含むことが好ましく、0.7体積%〜1.5体積%含むことがより好ましい。上記体積の酸素を供給することで、透明電極層の透明性および導電性を向上させることができる。なお、混合ガスには、本発明の機能を損なわない限りにおいて、その他のガスが含まれていてもよい。製膜室内の圧力(全圧)は、0.1Pa〜1.0Paが好ましく、0.25Pa〜0.8Paがより好ましい。
本発明において、製膜時の製膜室内の酸素分圧は、1×10−3Pa〜5×10−3Paであることが好ましく、2.3×10−3Pa〜4.3×10−3Paであることがより好ましい。上記酸素分圧範囲は、一般的なスパッタ製膜における酸素分圧よりも低い値である。すなわち、本発明においては、酸素供給量が少ない状態で製膜がおこなわれる。そのため、製膜後の非晶質膜中には、酸素欠損が多く存在していると考えられる。
製膜時の基板温度は、透明フィルム基材が耐熱性を有する範囲であればよく、60℃以下であることが好ましい。基板温度は、−20℃〜40℃であることがより好ましく、−10℃〜20℃であることがさらに好ましい。基板温度を60℃以下とすることで、透明フィルム基材からの水分や有機物質(例えばオリゴマー成分)の揮発等が起こり難くなり、酸化インジウムの結晶化が起こりやすくなるとともに、非晶質膜が結晶化された後の結晶質透明電極層の抵抗率の上昇を抑制することができる。また、基板温度を前記範囲とすることで、透明電極層の透過率の低下や、透明フィルム基材の脆化が抑制されるとともに、製膜工程においてフィルム基材が大幅な寸法変化を生じることがない。
透明電極層は、15nm〜40nmの膜厚で製膜されることが好ましい。製膜厚みは、18nm〜35nmがより好ましい。製膜厚みを前記範囲とすることで、透明電極層を、低温加熱あるいは室温で結晶質膜に転化され得るものとすることができる。
本発明においては、巻取式スパッタリング装置を用いて、ロール・トゥー・ロール法により製膜が行われることが好ましい。ロール・トゥー・ロール法により製膜が行われることで、非晶質の透明電極層が形成された透明フィルム基材の長尺シートのロール状巻回体が得られる。透明フィルム基材10上への結晶性制御層40の形成が巻取式スパッタリング装置を用いて行われる場合、結晶性制御層40と透明電極層30とが、連続して製膜されてもよい。
(結晶化工程)
非晶質の透明電極層が形成された基材は、結晶化工程に供される。結晶化工程では、当該基材が120〜170℃に加熱される。
膜中に酸素を十分に取り込み、結晶化時間を短縮するためには、結晶化は大気中等の酸素含有雰囲気下で行われることが好ましい。真空中や不活性ガス雰囲気下でも結晶化は進行するが、低酸素濃度雰囲気下では、酸素雰囲気下に比べて結晶化に長時間を要する傾向がある。
長尺シートのロール状巻回体が結晶化工程に供される場合、巻回体のままで結晶化が行われてもよく、ロール・トゥー・ロールでフィルムが搬送されながら結晶化が行われてもよく、フィルムが所定サイズに切り出されて結晶化が行われてもよい。
巻回体のまま結晶化が行われる場合、透明電極層形成後の基材をそのまま常温・常圧環境に置くか、加熱室等で養生(静置)すればよい。ロール・トゥー・ロールで結晶化が行われる場合、基材が搬送されながら加熱炉内に導入されて加熱が行われた後、再びロール状に巻回される。なお、室温で結晶化が行われる場合も、透明電極層を酸素と接触させて結晶化を促進させる等の目的で、ロール・トゥー・ロール法が採用されてもよい。
[透明電極付き基板の用途]
本発明の透明電極付き基板は、ディスプレイや発光素子、光電変換素子等の透明電極として用いることができ、タッチパネル用の透明電極として好適に用いられる。中でも、透明電極層が低抵抗であることから、静電容量方式タッチパネルに好ましく用いられる。
タッチパネルの形成においては、透明電極付き基板上に、導電性インクやペーストが塗布されて、熱処理されることで、引き廻し回路用配線としての集電極が形成される。加熱処理の方法は特に限定されず、オーブンやIRヒータ等による加熱方法が挙げられる。加熱処理の温度・時間は、導電性ペーストが透明電極に付着する温度・時間を考慮して適宜に設定される。例えば、オーブンによる加熱であれば120〜150℃で30〜60分、IRヒータによる加熱であれば150℃で5分等の例が挙げられる。なお、引き廻し回路用配線の形成方法は、上記に限定されず、ドライコーティング法によって形成されてもよい。また、フォトリソグラフィによって引き廻し回路用配線が形成されることで、配線の細線化が可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
屈折率制御層および透明電極層の膜厚は、透明電極付き基板の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた値を使用した。透明電極層の表面抵抗は、低抵抗率計ロレスタGP(MCP‐T710、三菱化学社製)を用いて四探針圧接測定により測定した。屈折率は分光エリプソメーターWVASEを用いて測定を行い。
[実施例1]
屈折率制御層の形成
透明フィルム基材として、ウレタン系樹脂からなるハードコート層が両面に形成された厚み100μmの2軸延伸PETフィルム(熱収縮開始温度85℃、150℃30分加熱時の熱収縮率0.6%)を用いた。このPETフィルムの一方の面上に、屈折率制御層を設けた。屈折率制御層の構成については表1に従った。屈折率制御層は上記屈折率制御層塗布液A〜Cにより形成した層をそれぞれA〜Cとし、表1では基板フィルム側から製膜したものをC/Aのように表記した。
(非晶質透明電極層の製膜)
酸化インジウム・スズ(酸化スズ含量5重量%)をターゲットとして用い、酸素とアルゴンの混合ガスを装置内に導入しながら、酸素分圧10×10−3Pa、製膜室内圧力0.5Pa、基板温度0℃、パワー密度4W/cmの条件で行った。
(結晶化)
この透明電極付き基板を、150℃で1時間熱処理を行った。顕微鏡観察によってほぼ完全に結晶化されていることが確認された(結晶化度100%)。
(パターニング)
結晶化済みの透明電極付き基板に、ポジ型フォトレジスト(品名:TSMR−8900 東京応化製)をスピンコート法により5μmの厚みで塗布した。これを90℃に設定したホットプレート上でプリベークし、トータル78mJの照射量となるように露光した。この後、0.5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することで現像を行った。純水でリンスを行った後、エッチング液(品名:ITO−02 関東化学製)を用いてITOのエッチングを行った。純水でリンスを行った後、2重量%濃度水酸化ナトリウム水溶液でレジストの剥離を行い、純水でリンスし、乾燥した。パターニング後のパターンの見え方について「見えない:3」「見え難い:2」「見える:1」の3段階評価を行い、2以上であれば、透明電極付き基板として機能するとした。
(角度依存性)
透過率については、透明電極付き基板の透明電極層面側から、透明電極層に対して垂直に光を入れ、直進的に透過してきた光を0°の透過率とした。その0°の線から60°まで15°刻みに測定を行った。反射率については、透過率と同じように光を入れ、垂直に反射してきた光を0°として、そこから60°まで15°刻みに測定を行った。ただし、0°については検出器の問題から2°の位置で測定を行った。
角度依存性については、上記のように測定した透過率・反射率について0°(反射測定については2°)の値を1.0とした時の相対値で評価した。
今回角度依存性を評価した波長である500nmおよび600nmでは、透明導電フィルムの吸収はほぼないと考えてよいので、透過率と反射率の角度依存性については等価と考えることができる。このため、表1および図5,6では反射率の角度依存性に関する結果のみを表記した。例えば図5では、反射率の変化が最も大きい角度が30°であり、その時の値が相対値で0.80なので、角度依存性は20%とした。
各層の構成および結果について表1に示す。
表1の結果より、屈折率制御層を設けることで非視認性だけでなく、角度依存性を向上可能であることがわかった。特に、屈折率制御層を2層以上形成したものは角度依存性の向上が明らかであり、さらに屈折率制御層の膜厚を最適なものとすることで、角度依存性により効果があることがわかった。これは、屈折率制御層と透明電極層との平均屈折率の最適化だけでなく、厚みを含めた屈折率制御層の干渉効果などの光学的な効果により達成できるものと考えられる。
10:透明フィルム基材
200:屈折率制御層
201:低屈折率屈折率制御層
202:中屈折率屈折率制御層
203:高屈折率屈折率制御層
30:透明電極
40:結晶性制御層

Claims (3)

  1. 透明基材上に屈折率制御層および透明電極層が順に形成されている透明電極付き基板において、
    前記屈折率制御層は、平均屈折率が1.45〜1.56で全体の膜厚が1200〜2500nmである2層以上の積層体であり、
    記屈折率制御層と前記透明電極層との総合の平均屈折率と、前記屈折率制御層のみの平均屈折率の差が0〜0.02であり、
    前記透明電極付き基板の前記透明電極製膜面またはその反対面に対して垂直に入射させ光の透過率および反射率を測定した時に、垂直位置である0°の透過率と垂直位置に対し60°の傾斜をつけるまで計測した透過率との差が常に25%以内であり、かつ2°の反射率と垂直位置に対して60°の傾斜をつけるまで計測した反射率との差が常に25%以内であることを特徴とする、透明電極付き基板。
  2. 前記透明電極層の膜厚が15〜30nmである請求項1に記載の透明電極付き基板。
  3. 屈折率制御層と透明電極層との間に、膜厚が2〜10nmである結晶性制御層が形成されている、請求項1又は2に記載の透明電極付き基板。
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