JP2014186279A - 光透過性導電性フィルム及びそれを有するタッチパネル - Google Patents

光透過性導電性フィルム及びそれを有するタッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】光透過性導電層の下層に、光学調整の目的で、高屈折率層、低屈折率層を光透過性支持層側からこの順に積層した光透過性導電性フィルムであって、十分に低い抵抗値を有するフィルムを提供する。
【解決手段】高屈折率層12が、光透過性支持層11の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、低屈折率層13が、高屈折率層11の光透過性支持層11とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、光透過性導電層14が、低屈折率層13の光透過性支持層11とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、高屈折率層12の、(i)厚さが25〜70nmであり、(ii)屈折率が1.55〜1.75であり、かつ(iii)光透過性支持層11側とは反対側の面の平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、光透過性導電性フィルム及びそれを有するタッチパネルに関する。
タッチパネルに搭載される光透過性導電性フィルムとして、PET等からなる光透過性支持層の上に酸化インジウムスズ(ITO)等からなる光透過性導電層を積層して得られるフィルムが数多く使用されている(特許文献1)。
タッチパネル等として使用される場合、これらの光透過性導電性フィルムは、光透過性導電層をパターン化した上で使用される場合がある。このパターン化とは、光透過性導電層が存在する領域(導電部)と、存在しない領域(非導電部)を設けることを意味する。このように設けられた導電部を配線として利用することができる。このパターン化により、導電部と非導電部との間で透過率、反射率又は色調等の光学特性において差が生じることがあり、この場合には光透過性導電層側から見たときにパターンが視認されることとなり、好ましくない。パターンを視認されにくくする、すなわち、いわゆるパターン見え(pattern visibility)現象を改善するためには、これらの光学特性の差をより小さくすることが必要となる。
従来、このようなパターン見え現象の改善を狙いとして、光透過性導電層の下層に、高屈折率層及び低屈折率層を光透過性支持層側から見てこの順となるように積層した光透過性導電性フィルムが開発されている(特許文献2)。これは、各層の界面における屈折率差に基づく反射光の干渉効果により、反射率の波長特性を制御しようとするものである。
さらに、高屈折率層の材料としてNb25等の材料が一般に広く用いられている(特許文献3)。しかしながら、この材料を用いる場合、性能の観点では相当薄い層(5nm程度)とすることが求められる。一方、そのような薄い層を形成するための製造手法は限定的であり、制御幅が小さいため、結果的に、歩留低下の原因となるという問題があった。また、高屈折率層を、ZrO2の微粒子をバインダーに混ぜて塗布して形成する方法も提案されているが(特許文献4)、このような設計では目的の抵抗値を得難いという問題があった。より詳細には、このような設計であっても導電層の厚さを増加することで目的とする抵抗値に制御することができるが、この場合は、パターン見え現象が強く現れるという別の問題が生じる。
特開2002−326301号公報 特開2007−299534号公報 特開2011−175900号公報 特開2011−098563号公報
本発明者らは、パターン見え現象の改善を狙いとして高屈折率層及び低屈折率層を備える、上述の構成を有する光透過性導電性フィルムにおいては、抵抗値が高くなる傾向があることを見出した。したがって、本発明は、上述の構成を有する光透過性導電性フィルムであって、十分に低い抵抗値を有するフィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ね、本発明を完成させた。本発明は上記課題を解決するものであり、次に掲げるものである。
項1.
(A)光透過性支持層;
(B)高屈折率層;
(C)低屈折率層;及び
(D)光透過性導電層
を含有する光透過性導電性フィルムであって、
前記高屈折率層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
前記低屈折率層(C)が、前記高屈折率層(B)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
前記光透過性導電層(D)が、前記低屈折率層(C)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
前記高屈折率層(B)の:
(i)厚さが25〜70nmであり;
(ii)屈折率が1.55〜1.75であり;かつ
(iii)前記光透過性支持層(A)側とは反対側の面の平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmであることを特徴とする、
光透過性導電性フィルム。
項2.
高屈折率層(B)が、シリコンの合金を含有する、項1に記載の光透過性導電性フィルム。
項3.
前記シリコンの合金が、少なくともジルコニア及びスズからなる群より選択される少なくとも一種の金属とシリコンからなる合金である、項2に記載の光透過性導電性フィルム。
項4.
前記シリコンの合金が、ジルコニアを17〜46重量%含有する合金である、項3に記載の光透過性導電性フィルム。
項5.
前記シリコンの合金が、スズを23〜56重量%含有する合金である、項3に記載の光透過性導電性フィルム。
項6.
光透過性支持層(A)の屈折率が、高屈折率層(B)よりも低い、項1〜5のいずれかに記載の光透過性導電性フィルム。
項7.
少なくとも一方の前記光透過性導電層(D)が、酸化インジウムスズを含む、項1〜6のいずれかに記載の光透過性導電性フィルム。
項8.
項1〜7のいずれかに記載の光透過性導電性フィルムを含む、タッチパネル。
項9.
(A)光透過性支持層;
(B)高屈折率層;
(C)低屈折率層;及び
(D)光透過性導電層
を含有する光透過性導電性フィルムであって、
前記高屈折率層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
前記低屈折率層(C)が、前記高屈折率層(B)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
前記光透過性導電層(D)が、前記低屈折率層(C)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
前記高屈折率層(B)の:
(i)厚さが25〜70nmであり;
(ii)屈折率が1.55〜1.75である、
光透過性導電性フィルムの製造方法であって、
平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmである、前記高屈折率層(B)の前記光透過性支持層(A)側とは反対側の面に、前記低屈折率層(C)を含有する層を順次配置する工程を含有する方法。
項10.
前記光透過性支持層(A)側とは反対側の面の平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmである前記高屈折率層(B)を、気相成膜法を用いて成膜する工程を含有する、項9に記載の方法。
本発明を利用することにより、光透過性導電性フィルムにおいて、光透過性導電層をパターン化した際におけるパターン見え現象を改善しつつ、抵抗値を十分に低下させることができる。
光透過性支持層(A)の片面に、高屈折率層(B)、低屈折率層(C)及び光透過性導電層(D)がこの順で、互いに全層が隣接して配置されている、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。 光透過性支持層(A)の両面に、高屈折率層(B)、低屈折率層(C)及び光透過性導電層(D)がこの順で、互いに全層が隣接して配置されている、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。 光透過性支持層(A)の片面に、ハードコート層(E)、高屈折率層(B)、低屈折率層(C)及び光透過性導電層(D)がこの順で、互いに全層が隣接して配置されている、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。 光透過性支持層(A)の両面に、ハードコート層(E)、高屈折率層(B)、低屈折率層(C)及び光透過性導電層(D)がこの順で、互いに全層が隣接して配置されている、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。 光透過性支持層(A)の片面に、ハードコート層(E)、高屈折率層(B)、低屈折率層(C)及び光透過性導電層(D)がこの順で、互いに全層が隣接して配置されており、さらに光透過性支持層(A)の他方の面に、別のハードコート層(E)が隣接して配置されている、本発明の光透過性導電性フィルムを示す断面図である。
1. 光透過性導電性フィルム
本発明の光透過性導電性フィルムは、
(A)光透過性支持層;
(B)高屈折率層;
(C)低屈折率層;及び
(D)光透過性導電層
を含有する光透過性導電性フィルムであって、
前記高屈折率層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
前記低屈折率層(C)が、前記高屈折率層(B)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
前記光透過性導電層(D)が、前記低屈折率層(C)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
前記高屈折率層(B)の:
(i)厚さが25〜70nmであり;
(ii)屈折率が1.55〜1.75であり;かつ
(iii)前記光透過性支持層(A)側とは反対側の面の平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmであることを特徴とする、
光透過性導電性フィルムである。
本発明において「光透過性」とは、光を透過させる性質を有する(translucent)ことを意味する。「光透過性」には、透明(transparent)が含まれる。「光透過性」とは、例えば、全光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上である性質をいう。本発明において全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色社製、商品名:NDH−2000、またはその同等品)を用いてJIS−K−7105に基づいて測定する。
本発明において、各層の厚さは、市販の反射分光膜厚計(大塚電子、FE−3000(製品名)、又はその同等品)を用いて求める。又は、代替的に、市販の透過型電子顕微鏡を用いた観察により求めてもよい。具体的には、ミクロトーム又はフォーカスイオンビームなどを用いて光透過性導電性フィルムをフィルム面に対して垂直方向に薄く切断し、その断面を観察する。
本明細書において、光透過性支持層(A)の一方の面に配置される複数の層のうち二つの層の相対的な位置関係について言及する場合、光透過性支持層(A)を基準にして、光透過性支持層(A)からの距離が大きい一方の層を「上の」層等ということがある。
図1に、本発明の光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の一方の面に、高屈折率層(B)が直接配置されており、低屈折率層(C)が高屈折率層(B)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されており、さらに光透過性導電層(D)が低屈折率層(C)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されている。
図2に、本発明の光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の両方の面に、高屈折率層(B)が直接配置されており、低屈折率層(C)が両方の高屈折率層(B)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されており、さらに光透過性導電層(D)が両方の低屈折率層(C)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されている。
1.1 光透過性支持層(A)
本発明において光透過性支持層とは、光透過性導電層を含有する光透過性導電性フィルムにおいて、光透過性導電層を含む層を支持する役割を果たすものをいう。光透過性支持層(A)としては、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用光透過性導電性フィルムにおいて、光透過性支持層として通常用いられるものを用いることができる。
光透過性支持層(A)の素材は、特に限定されないが、例えば、各種の有機高分子等を挙げることができる。有機高分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂及びポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)等が挙げられる。
光透過性支持層(A)の素材は、ポリエステル系樹脂が好ましく、中でも特にPETが好ましい。光透過性支持層(A)は、これらのうちいずれか単独からなるものであってもよいし、複数種からなるものであってもあってもよい。
光透過性支持層(A)の厚さは、特に限定されないが、例えば、2〜300μmの範囲が挙げられる。
光透過性支持層(A)の屈折率は、特に限定されないが、例えば、PETを主材料とした場合には、1.65程度であり、COPを主材料とした場合には、1.52程度である。
特に限定されないが、光透過性支持層(A)は、高屈折率層(B)よりも高い屈折率を有していてもよいし、低い屈折率を有していてもよい。
一般的にタッチパネル用基材として光透過性支持層は両面がハード処理されたものが用いられる。ハードコート材料として一般的に用いられるのは屈折率が1.52程度のアクリル系材料である。PETを光透過性支持層として用い、これらのアクリル系材料をコートした場合は光透過性支持層とハードコート層の屈折率差が大きくなり、干渉ムラが発生する。干渉ムラのあるフィルムをタッチパネル等のディスプレイ部材に使用すると、視認性が悪く、使用しづらいものとなってしまう。一方、COPを光透過性支持層として用いた場合は、COPの屈折率が1.52程度であるため、光透過性支持層とハードコート層の屈折率差が小さくなり、干渉ムラが発生し難いためより好ましい。このように、干渉ムラの点では、光透過性支持層(A)の材料としてCOPがより好ましく用いられる。
1.2 高屈折率層(B)
高屈折率層(B)は、光透過性支持層(A)の一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されている。
高屈折率層(B)は、低屈折率層(C)と一体となって機能するものであり、これらの層(光学調整層)は、各層の界面における屈折率差に基づく反射光の干渉効果により、反射率の波長特性を制御し、光透過性導電層がパターン化された際のパターン見え現象を改善する目的で備えられている。
高屈折率層(B)は、低屈折率層(C)よりも高い屈折率を有している。
高屈折率層(B)は、光透過性支持層(A)よりも高い屈折率を有していてもよく、また、光透過性支持層(A)よりも低い屈折率を有していてもよい。
高屈折率層(B)は、特に限定されないが、少なくとも一種のシリコンの合金を含有していてもよい。高屈折率層(B)は、より簡便に形成できるという点で、好ましくは、実質的にシリコンの合金からなるものであり、より好ましくは、シリコンの合金からなる。シリコンの合金としては、特に限定されないが、少なくともジルコニア及びスズからなる群より選択される少なくとも一種の金属とシリコンからなる合金を含有していてもよい。
上述のシリコンの合金としては、ジルコニアを17〜46重量%含有する合金、又はスズを23〜56重量%含有する合金が好ましい。
高屈折率層(B)は、光透過性支持層(A)側とは反対側の面の平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmである。同様の構成を有する従来の光透過性導電性フィルムにおいては、高屈折率層(B)に相当する層の表面粗さが上記のようには制御されておらず、このことに起因して、フィルムの抵抗値が悪化するという問題が生じていた。本発明においては、光透過性支持層(A)側とは反対側の面の高屈折率層(B)の平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmへと制御されており、フィルムの抵抗値を十分に低く制御できる。この平均表面粗さRaは、抵抗値の点で、好ましくは、0.4〜1.4nmであり、より好ましくは、0.4〜1.0nmである。
本発明において平均表面粗さRaは、走査型プローブ顕微鏡を用いて測定される粗さの算術平均を意味する。本発明における平均表面粗さRaは、詳細には、市販の走査型プローブ顕微鏡(株式会社島津製作所、SPM−9700、又はその同等品)を用いて、所定のコンタクトモードで1μm平方の測定面を探針で走査して得られる、平均線からの絶対偏差を平均した値である。
高屈折率層(B)の厚さは、25〜70nmである。高屈折率層(B)が金属を含有するものである場合、いわゆる液相成膜法(ウェット)により高屈折率層(B)を成膜しようとするときには、高屈折率層(B)の厚さを薄くしていくと、当該金属粒子の大きさによっては、その粒子形状が膜表面の形状に影響を及ぼし、平滑な膜表面を形成することが困難になってくる。高屈折率層(B)の厚さが25〜70nm程度であれば、金属粒子の大きさによっては上記のような影響が現れやすくなってくる。このような場合であっても、例えば、気相成膜法(ドライ)により高屈折率層(B)を成膜することにより、高屈折率層(B)の面の平均表面粗さRaを0.4〜1.4nmに調整することができる。気相成膜法としては、特に限定されないが、PVD(物理的気相法)及びCVD(化学的気相法)に大きく分けることができ、いずれも使用できる。PVDとしては、蒸着及びスパッタ等が挙げられる。CVDとしては、熱CVD、MOCVD及びプラズマ等が挙げられる。生産性の面において、これらの中でもスパッタリングが特に好ましい。
特に限定されないが、高屈折率層(B)は、例えば、上述のシリコンの合金からなるスパッタリング用ターゲット材料を用いて、反応性スパッタリングにより下地となる層のうえに形成することができる。
スパッタリングによって高屈折率層(B)を成膜する場合、原料が一種であれば一種のターゲットを用いて、あるいは原料が二種以上であれば二種以上のターゲットを用いてスパッタリングを行うことで成膜できる。
高屈折率層(B)の屈折率は、1.55〜1.75である。より好ましくは1.58以上1.7未満である。
1.3 低屈折率層(C)
低屈折率層(C)は、高屈折率層(B)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されている。
低屈折率層(C)は、特に他に必要性のない限り、高屈折率層(B)の一方の面に、直接配置されているほうが、パターン見え現象の改善の観点では好ましい。
低屈折率層(C)は、高屈折率層(B)よりも低い屈折率を有している。
低屈折率層(C)の屈折率は、本発明の光透過性導電性フィルムがタッチパネル用光透過性導電性フィルムとして使用できる限り特に限定されないが、例えば、1.4〜1.5が好ましい。
低屈折率層(C)の素材は、特に限定されないが、例えば、誘電性を有するものであってもよい。低屈折率層(C)の素材としては、特に限定されないが、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンアルコキシド、アルキルシロキサン及びその縮合物、ポリシロキサン、シルセスキオキサン、ポリシラザン及びアクリルシリカハイブリッド等が挙げられる。
低屈折率層(C)としては、ポリシラザン、アクリルシリカハイブリッド及びSiO(x=1.0〜2.0)からなる群より選択される1種を含む層が好ましい。低屈折率層(C)は、ポリシラザン、アクリルシリカハイブリッド及びSiO(x=1.0〜2.0)からなる群より選択される1種からなる層であってもよい。低屈折率層(C)としては、SiO(x=1.0〜2.0)を含む層が好ましい。低屈折率層(C)は、SiO(x=1.0〜2.0)からなる層であってもよい。以下、例えば、SiO(x=1.0〜2.0)からなる層を、SiO層というように略記する場合がある。
低屈折率層(C)の厚さとしては、特に限定されないが、例えば15〜25nm等が挙げられる。
低屈折率層(C)を配置する方法として、乾式としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法及びパルスレーザーデポジション法により隣接する層上に積層する方法等が挙げられる。
1.4 光透過性導電層(D)
光透過性導電層(D)は、低屈折率層(C)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されている。
本発明において光透過性導電層とは、導電性物質を含有し、電気を導通しかつ可視光を透過する役割を果たすものをいう。光透過性導電層(D)としては、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用光透過性導電性フィルムにおいて光透過性導電層として通常用いられるものを用いることができる。
光透過性導電層(D)の素材は、特に限定されないが、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫及び酸化チタン等が挙げられる。光透過性導電層(D)としては、透明性と導電性を両立する点で酸化インジウムにドーパントをドープしたものを含む光透過性導電層が好ましい。光透過性導電層(D)は、酸化インジウムにドーパントをドープしたものからなる光透過性導電層であってもよい。ドーパントとしては、特に限定されないが、例えば、酸化スズ及び酸化亜鉛、並びにそれらの混合物等が挙げられる。
光透過性導電層(D)の素材として酸化インジウムに酸化スズをドープしたものを用いる場合は、酸化インジウム(III)(In)に酸化スズ(IV)(SnO)をドープしたもの(tin−doped indium oxide;ITO)が好ましい。この場合、SnOの添加量としては、特に限定されないが、例えば、1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%等が挙げられる。また、ドーパントの総量が左記の数値範囲を超えない範囲で、酸化インジウムスズにさらに他のドーパントが加えられたものを光透過性導電層(D)の素材として用いてもよい。左記において他のドーパントとしては、特に限定されないが、例えばセレン等が挙げられる。
光透過性導電層(D)は、上記の各種素材のうちいずれか単独からなるものであってもよいし、複数種からなるものであってもあってもよい。
光透過性導電層(D)は、特に限定されないが、結晶体若しくは非晶質体、又はそれらの混合体であってもよい。
光透過性導電層(D)を形成する方法としては、導電性物質を焼成する工程を含有する方法が好ましい。焼成方法としては、特に限定されないが、例えばスパッタリング等を行う際のドラム加熱や、熱風式焼成炉、遠赤外線焼成炉などを例として挙げることができる。焼成温度は、特に限定されないが、通常は30〜250℃であり、好ましくは50〜200℃、より好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜160℃である。焼成時間は、好ましくは3分〜180分、より好ましくは5分〜120分、さらに好ましくは10分〜90分である。焼成を行う雰囲気としては、真空下、大気、窒素やアルゴンなどの不活性ガス、酸素、若しくは水素添加窒素等、又はこれらのうち二種以上の組合せが挙げられる。導電性物質を焼成することにより、導電性物質の結晶化が促進される。
光透過性導電層(D)の厚さは、特に限定されないが、通常15〜30nmである。光透過性導電層(D)の厚さは、20nm未満であると、改善された透過率及びパターン化された光透過性導電層のパターン見えの軽減等の利点が得られるため、好ましい。この場合、光透過性導電層の厚さとしては、5〜19nm、12〜19nm、及び15〜19nmが挙げられる。左記の例示列挙においては後出のものが前出のものよりも導電性及び/又は透明性の点で好ましい。
光透過性導電層(D)を配置する方法は、湿式及び乾式のいずれであってもよく、特に限定されない。光透過性導電層(D)を配置する方法の具体例として、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法及びパルスレーザーデポジション法等が挙げられる。
1.5 ハードコート層(E)
本発明の光透過性導電性フィルムは、さらに、ハードコート層(E)を含有し、かつ少なくとも一方の光透過性導電層(D)が、少なくともハードコート層(E)を介して光透過性支持層(A)の面に配置されていてもよい。
ハードコート層(E)は、好ましくは光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に隣接して配置されている。
ハードコート層(E)は、一層が配置されていてもよい。あるいは二層以上が互いに隣接して、または他の層を介して互いに離間して配置されていてもよい。
ハードコート層(E)は、光透過性支持層(A)の両面に配置されていてもよい。
図3に、本発明の光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の一方の面に、ハードコート層(E)が直接配置されており、高屈折率層(B)がハードコート層(E)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されており、低屈折率層(C)が高屈折率層(B)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されており、さらに光透過性導電層(D)が低屈折率層(C)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されている。
図4に、本発明の光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の両方の面に、ハードコート層(E)が直接配置されており、高屈折率層(B)が両方のハードコート層(E)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されており、低屈折率層(C)が両方の高屈折率層(B)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されており、さらに光透過性導電層(D)が両方の低屈折率層(C)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されている。
図5に、本発明の光透過性導電性フィルムの一態様を示す。この態様では、光透過性支持層(A)の一方の面に、ハードコート層(E)が直接配置されており、高屈折率層(B)がハードコート層(E)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されており、低屈折率層(C)が高屈折率層(B)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されており、さらに光透過性導電層(D)が低屈折率層(C)の光透過性支持層(A)とは反対側の面に直接配置されている。さらに、光透過性支持層(A)の他方の面に、別のハードコート層(E)が直接配置されている。
本発明においてハードコート層とは、プラスチック表面の傷つきを防止する役割を果たすものをいう。ハードコート層(E)としては、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用光透過性導電性フィルムにおいてハードコート層として通常用いられるものを用いることができる。
ハードコート層(E)の素材は、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂及びアルキド系樹脂等が挙げられる。ハードコート層(E)の素材としては、さらに、シリカ、ジルコニア、チタニア及びアルミナ等のコロイド粒子等を上記樹脂中に分散させたものも挙げられる。ハードコート層(E)は、これらのうちいずれか単独からなるものであってもよいし、複数種からなるものであってもあってもよい。ハードコート層(E)としては、ジルコニア粒子を分散したアクリル樹脂が好ましい。
ハードコート層(E)の一層あたりの厚さは、特に限定されないが、例えば0.1〜10μm、1〜7μm、及び2〜6μm等が挙げられる。二層以上が互いに隣接して配置されている場合は互いに隣接している全てのハードコート層(E)の合計厚さが上記範囲内であればよい。左記の例示列挙においては後出のものが前出のものよりも好ましい。
ハードコート層(E)の屈折率は、本発明の光透過性導電性フィルムがタッチパネル用光透過性導電性フィルムとして使用できる限り特に限定されないが、例えば、1.4〜1.7等が挙げられる。
ハードコート層(E)を配置する方法としては、特に限定されないが、例えば、フィルムに塗布して、熱で硬化する方法、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化する方法等が挙げられる。生産性の点で、紫外線により硬化する方法が好ましい。
1.6 その他の層
本発明の光透過性導電性フィルムは、光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、高屈折率層(B)、低屈折率層(C)及び光透過性導電層(D)に加えて、ハードコート層(E)及びそれらと異なる少なくとも1種のその他の層(F)からなる群より選択される少なくとも1種の層がさらに配置されていてもよい。
(A)〜(E)のいずれとも異なるその他の層としては、特に限定されないが、例えば、接着層等が挙げられる。
接着層とは、二層の間に当該二層と互いに隣接して配置され、当該二層間を互いに接着するために配置される層である。接着層としては、特に限定されないが、例えば、タッチパネル用光透過性導電性フィルムにおいて接着層として通常用いられるものを用いることができる。接着層は、これらのうちいずれか単独からなるものであってもよいし、複数種からなるものであってもあってもよい。
1.7 本発明の光透過性導電性フィルムの用途
本発明の光透過性導電性フィルムは、タッチパネルの製造のために好ましく用いられる。
抵抗膜方式タッチパネルの製造のために用いられる光透過性導電性フィルムは一般に表面抵抗率(シート抵抗)が250〜1,000Ω/sq程度は必要であるとされる。これに対して静電容量型タッチパネルの製造のために用いられる光透過性導電性フィルムは一般に表面抵抗率が低いほうが有利である。本発明の光透過性導電性フィルムは、抵抗率が低減されており、これにより、静電容量型タッチパネルの製造のために好ましく用いられる。静電容量型タッチパネルについて詳細は、2で説明する通りである。
2. 本発明の静電容量型タッチパネル
本発明の静電容量型タッチパネルは、本発明の光透過性導電性フィルムを含み、さらに必要に応じてその他の部材を含んでなる。
本発明の静電容量型タッチパネルの具体的な構成例としては、次のような構成が挙げられる。なお、保護層(1)側が操作画面側を、ガラス(5)側が操作画面とは反対側を向くようにして使用される。
(1)保護層
(2)本発明の光透過性導電性フィルム(Y軸方向)
(3)絶縁層
(4)本発明の光透過性導電性フィルム(X軸方向)
(5)ガラス
本発明の静電容量型タッチパネルは、特に限定されないが、例えば、上記(1)〜(5)、並びに必要に応じてその他の部材を通常の方法に従って組み合わせることにより製造することができる。
3. 本発明の光透過性導電性フィルムの製造方法
本発明の光透過性導電性フィルムの製造方法において、それぞれの層を配置する工程は、それぞれの層について説明した通りである。
より具体的には、本発明の光透過性導電性フィルムの製造方法は、
平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmである、高屈折率層(B)の前記光透過性支持層(A)側とは反対側の面に、前記低屈折率層(C)を含有する層を順次配置する工程を含むことを特徴とする。このように、平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmである面の上に前記低屈折率層(C)を含有する層を順次配置することによって、抵抗値が低い光透過性導電性フィルムを得ることができる。なお、本製造方法において「低屈折率層(C)を含有する層」とは、より詳細には、少なくとも低屈折率層(C)及び光透過性導電層(D)を含有する、高屈折率層(B)の上方に位置する少なくとも二以上の層を指す。
さらに、平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmである上述の高屈折率層(B)は、特に限定されないが、気相成膜法を用いて成膜する工程を含有する方法によって得ることができる。より詳細には、例えば、所定のスパッタリング用ターゲット材料を用いて、反応性スパッタリングにより下地となる層のうえに形成することにより、得ることができる。
好ましくは、本発明の光透過性導電性フィルムの製造方法は、さらに、光透過性導電層(D)の導電性物質を焼成する目的で行われる焼成工程を含有していれば好ましい。
本発明の光透過性導電性フィルムの製造方法は、光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、高屈折率層(B)、低屈折率層(C)及び光透過性導電層(D)に加えて、ハードコート層(E)及びそれらと異なる少なくとも1種のその他の層(F)からなる群より選択される少なくとも1種の層をそれぞれ配置する工程をそれぞれ含んでいてもよい。例えば、光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に光透過性支持層(A)側から順次配置させてもよいが、配置の順番は特に限定されない。例えば、最初に光透過性支持層(A)ではない層(例えば、光透過性導電層(D))の一方の面に他の層を配置させてもよい。あるいは、一方で2種以上の層を互いに隣接するように配置させることにより1種の複合層を得てから、又はそれと同時に、他方で同様に2種以上の層を互いに隣接するように配置させることにより1種の複合層を得て、これらの2種の複合層をさらに互いに隣接するように配置させてもよい。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
1.実施例1
1.1 ハードコート用材料の調製
光重合剤含有アクリル系オリゴマーに、トルエンとメチルイソブチルケトン(MIBK)とを5:5(重量比)の割合にて混合してなる混合溶媒を加えて、液状のハードコート用材料(固形分濃度:40重量%)を調製した。
1.2 ハードコートフィルムの作成
厚さ100μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(日本ゼオン製、商品名:ZF16)の一方の面に、コロナ処理後、液状のハードコート用材料を、バーコーターを用いて塗工し、その塗工膜を、ドライヤーオーブンを用いて、100℃×1分の条件で加熱乾燥した。次いで、乾燥後の塗工膜に対して紫外線を照射することにより(照射量:300mJ/cm)、COPフィルム上に厚さ約1μmのハードコートを設けた。
COPフィルムの他方の面に対しても同一の作業を施すことにより、COPフィルムの両面に厚さ約1μmのハードコートが設けられてなるハードコートフィルムを得た。
1.3 高屈折率層(高屈層)の成膜
得られたハードコートフィルムの一方の面にSiとSnが1:1の合金からなるスパッタリング用ターゲット材料を用いて反応性スパッタリングで成膜した。具体的にはチャンバー内を5×10−4Pa以下となるまで真空排気した後にArガスとOガスを2:1の割合で投入しチャンバー内圧力を0.2PaとしDCパルス電源を用いてスパッタリングを実施した。得られた膜の屈折率は1.7、膜厚は46nm、Raは1.25nmであった。
1.4 低屈折率層(低屈層)の成膜
得られたSiSnの薄膜上にSi(ボロンドープ)らなるスパッタリング用ターゲット材料を用いて反応性スパッタリングで成膜した。具体的にはチャンバー内を5×10−4Pa以下となるまで真空排気した後にArガスとOガスを2:1で投入しチャンバー内圧力を0.2Paとしスパッタリングを実施した。
1.5 光透過性導電層の成膜
酸化インジウム:95重量%及び酸化スズ:5重量%からなる焼結体材料をターゲット材として用いて、DCマグネトロンスパッタリング法により、低屈折率層の全面を覆う光透過性導電層を形成した。具体的には、チャンバー内を5×10−4Pa以下となるまで真空排気した後に、かかるチャンバー内にArガス:95%及び酸素ガス:5%からなる混合ガスを導入し、チャンバー内圧力を0.2〜0.3Paとしてスパッタリングを実施した。尚、最終的に得られる光透過性導電層の膜厚が20nmとなるように、スパッタリングを実施した。得られた膜を150℃で1時間熱処理した後のシート抵抗値は150Ω/□であった。
1.6 エッチング処理
得られた光透過性導電層上にパターン化されたフォトレジスト膜を形成した後、フィルム全体を25℃のHCl/HNO /HO 混合溶液[HCl:HNO :HO =20:1:30 (体積比))の溶液に10分間、浸漬することにより、パターン開口部及びパターン部からなる光透過性導電層を最表面に有する光透過性導電性フィルムを得た。
2.実施例2
高屈層にSi合金(Zr:30vol%)からなるスパッタリング材料を用いた以外は実施例1と同様の手順で作成した。
具体的にはチャンバー内を5×10−4Pa以下となるまで真空排気した後にArガスとOガスを2:1で投入しチャンバー内圧力を0.2Paとしスパッタリングを実施した。得られた膜の屈折率は1.63、膜厚は50nm、Raは1.1nmであった。
最終的に得られた膜を150℃で1時間熱処理した後のシート抵抗値は150Ω/□であった。
3.実施例3
高屈層にSi合金(Sn=72vol%)からなるスパッタリング材料を用いた以外は実施例1と同様の手順で作成した。具体的にはチャンバー内を5×10−4Pa以下となるまで真空排気した後にArガスとOガスを2:1で投入しチャンバー内圧力を0.2Paとしスパッタリングを実施した。得られた膜の屈折率は1.58、膜厚は50nm、Raは1.17nmであった。
最終的に得られた膜を150℃で1時間熱処理した後のシート抵抗値は150Ω/□であった。
4.比較例1
高屈層として酸化ジルコニウムフィラー分散液を用いた以外は実施例1と同様に作成した。
具体的には平均粒子径が20〜40nmである酸化ジルコニウム:16重量部と、ウレタンアクリレートオリゴマー:5重量部と、光重合開始剤:3重量部と、メチルイソブチルケトン(MIBK)とメチルエチルケトン(MEK)とを5:5(重量比)の割合にて混合してなる混合溶媒(以下、MIBK/MEK混合溶媒という)とを用いて、液状の高屈折率層用材料(固形分濃度:5重量%)を調製し、得られたハードコートフィルムの一方の面に、別途調製した液状の高屈折率層用材料を、ロールコーターを用いて塗工し、その塗工膜を、ドライヤーオーブンを用いて100℃×1分の条件で加熱乾燥した。次いで、乾燥後の塗工膜に対して、窒素パージ下において紫外線を照射して(照射量:300mJ/cm2 )、塗工膜に含まれるウレタンアクリレートオリゴマーを架橋することにより、ポリエステルフィルムのハードコート上に高屈折率層を設けた。なお、最終的に得られる高屈折率層の屈折率が1.65で膜厚が47nmとなるように、塗工膜を調整した。高屈層表面のRaは4.0nmであった。
最終的に得られた膜を150℃で1時間熱処理した後のシート抵抗値は220Ω/□であった。
5.比較例2
高屈層にSi合金(Zr=54vol%)からなるスパッタリング材料を用いた以外は実施例1と同様の手順で作成した。具体的にはチャンバー内を5×10−4Pa以下となるまで真空排気した後にArガスとOガスを2:1で投入しチャンバー内圧力を0.2Paとしスパッタリングを実施した。得られた膜の屈折率は1.75、膜厚は12nm、Raは1.05nmであった。
最終的に得られた膜を150℃で1時間熱処理した後のシート抵抗値は160Ω/□であった。
6.屈折率と膜厚算出
光透過性導電層、低屈層、高屈層及びハードコートの厚さ及び屈折率については、これらの層と屈折率が相違する適当な熱可塑性フィルム基板上に同様のコーティング条件で単層で積層し、上記積層面の光反射スペクトル上に光干渉効果に基づいて発現する反射率の極大ピークもしくは極小ピークの波長とそのピーク反射率の値を用いて、光学シミュレーションにより算出した
5.抵抗値測定
MITSUBISHI CHEMICAL ANALYTECH社製の表面抵抗計(Loresta−EP)を用いて、4端子法により測定した。
7.Raの求め方
平均表面粗さRaは、市販の走査型プローブ顕微鏡(株式会社島津製作所、SPM−9700)および走査型プローブ顕微鏡用マイクロカンチレバー(オリンパス社、OMCL−NCHR-10、バネ定数42N/m)を用いて、所定のダイナミックモードで1μm×1μm 平方の測定面を探針で走査して得られる512×512画素の形状像から、株式会社島津製作所製SPM−9700の解析ソフトを用いて求めた。
8.視認性(背景色:黒色)
黒い板の上に、光透過性導電性フィルムを、光透過性導電層側が最表面となるように載置し、光透過性導電層側より、目視にてフィルムを観察した。パターン部とパターン開口部との判別が困難な場合を〇とし、パターン部とパターン開口部との判別が可能である場合を×として評価した。
Figure 2014186279
1 光透過性導電性フィルム
11 光透過性支持層(A)
12 高屈折率層(B)
13 低屈折率層(C)
14 光透過性導電層(D)
15 ハードコート層(E)

Claims (10)

  1. (A)光透過性支持層;
    (B)高屈折率層;
    (C)低屈折率層;及び
    (D)光透過性導電層
    を含有する光透過性導電性フィルムであって、
    前記高屈折率層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
    前記低屈折率層(C)が、前記高屈折率層(B)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
    前記光透過性導電層(D)が、前記低屈折率層(C)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
    前記高屈折率層(B)の:
    (i)厚さが25〜70nmであり;
    (ii)屈折率が1.55〜1.75であり;かつ
    (iii)前記光透過性支持層(A)側とは反対側の面の平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmであることを特徴とする、
    光透過性導電性フィルム。
  2. 高屈折率層(B)が、シリコンの合金を含有する、請求項1に記載の光透過性導電性フィルム。
  3. 前記シリコンの合金が、少なくともジルコニア及びスズからなる群より選択される少なくとも一種の金属とシリコンからなる合金である、請求項2に記載の光透過性導電性フィルム。
  4. 前記シリコンの合金が、ジルコニアを17〜46重量%含有する合金である、請求項3に記載の光透過性導電性フィルム。
  5. 前記シリコンの合金が、スズを23〜56重量%含有する合金である、請求項3に記載の光透過性導電性フィルム。
  6. 光透過性支持層(A)の屈折率が、高屈折率層(B)よりも低い、請求項1〜5のいずれかに記載の光透過性導電性フィルム。
  7. 少なくとも一方の前記光透過性導電層(D)が、酸化インジウムスズを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の光透過性導電性フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の光透過性導電性フィルムを含む、タッチパネル。
  9. (A)光透過性支持層;
    (B)高屈折率層;
    (C)低屈折率層;及び
    (D)光透過性導電層
    を含有する光透過性導電性フィルムであって、
    前記高屈折率層(B)が、前記光透過性支持層(A)の少なくとも一方の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
    前記低屈折率層(C)が、前記高屈折率層(B)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
    前記光透過性導電層(D)が、前記低屈折率層(C)の前記光透過性支持層(A)とは反対側の面に、直接又は一以上の他の層を介して配置されており、
    前記高屈折率層(B)の:
    (i)厚さが25〜70nmであり;
    (ii)屈折率が1.55〜1.75である、
    光透過性導電性フィルムの製造方法であって、
    平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmである、前記高屈折率層(B)の前記光透過性支持層(A)側とは反対側の面に、前記低屈折率層(C)を含有する層を順次配置する工程を含有する方法。
  10. 前記光透過性支持層(A)側とは反対側の面の平均表面粗さRaが0.4〜1.4nmである前記高屈折率層(B)を、気相成膜法を用いて成膜する工程を含有する、請求項9に記載の方法。
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