WO2022049898A1 - 透明導電性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】タッチパネルに用いた際の軽快な操作性、優れたペン入力安定性および優れたペン摺動耐久性を有する透明導電性フィルムを提供すること。 【解決手段】透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面側にインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、入力荷重試験による透明導電フィルムの入力開始荷重が3g以上15g以下であり、さらに、ペン入力安定性試験による透明導電性フィルムの電圧ロス時間が0.00ミリ秒以上0.40ミリ秒以下である透明導電性フィルム。

Description

透明導電性フィルム
 本発明は、透明プラスチックフィルム基材上にインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜を積層した透明導電性フィルム、特に、抵抗膜式タッチパネルに用いた際の軽快な操作性および優れたペン入力安定性および優れたペン摺動耐久性を有する透明導電性フィルムに関するものである。
 透明プラスチック基材上に、透明でかつ抵抗の小さい薄膜を積層した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のようなフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極等として、電気・電子分野の用途に広く使用されている。
 抵抗膜式タッチパネルは、ガラスやプラスチックの基板に透明導電性薄膜をコーティングした固定電極と、プラスチックフィルムに透明導電性薄膜をコーティングした可動電極(=フィルム電極)を組み合わせたものであり、表示体の上側に重ね合わせて使用されている。指やペンでフィルム電極を押して、固定電極とフィルム電極の透明導性薄膜同士を接触させることが、タッチパネルの位置認識のための入力となる。特にペンで入力する際には、ペン摺動耐久性が求められる。
 また、近年では静電容量式タッチパネルが一般的になってきたため、抵抗膜式タッチパネルにおいても静電容量式タッチパネルと同様に、軽く触っても入力できることも求められている。例えば、年齢、病気、その他の理由により、指で押す力の弱い人や筆圧の弱い人に対しては、軽く触っても入力できることを強く求められると考えられる。また、タッチパネルに対して、ペンなどで触ってから離れるまでの間、タッチパネルへの入力が安定していること(=「ペン入力安定性」と定義する)も求められている。
 しかし、抵抗膜式タッチパネルでは、指やペンなどでフィルム電極を押して、固定電極とフィルム電極の透明導性薄膜同士を接触させるために、ある程度の入力荷重が必要になるため、静電容量式タッチパネルのような軽快な操作感はない。また、ペン入力安定性が優れる透明導電性フィルムの特性も明確ではない。これらの問題を解決するために、軽快な操作性を有し、優れたペン入力安定性を有する透明導電性フィルムが要望されている。
特開2004-071171号公報
 特許文献1に示される従来の透明導電性フィルムは、インジウム-スズ複合酸化物の結晶性を制御することでペン摺動耐久性の向上を試みている。しかし、従来の透明導電性フィルムは、後述の入力荷重試験およびペン入力安定性試験を実施すると、操作性とペン入力安定性を両立できなかった。
 更に、タッチパネル等の用途において、速記性、例えば、連続して文字を入力する際に生じ得る、文字カスレの低減が要求されている。
 本発明の目的は、上記の従来の問題点に鑑み、軽快な操作性および優れたペン入力安定性および優れたペン摺動耐久性を有する透明導電性フィルムを提供することにある。
更に、速記性、例えば、連続して文字を入力する際に生じ得る、文字カスレを低減できる
透明導電性フィルムを提供することにある。
 本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決することができた本発明の透明導電性フィルムとは、以下の構成よりなる。
1.透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面側にインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、
 以下の入力荷重試験による透明導電フィルムの入力開始荷重が3g以上15g以下であり、さらに、以下のペン入力安定性試験による透明導電性フィルムの電圧ロス時間が0.00ミリ秒以上0.40ミリ秒以下である透明導電性フィルム。
(入力荷重試験方法)
 透明導電性フィルム(サイズ:220mm×135mm)を一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板(サイズ:232mm×151mm)上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜Aを用いる。
 インジウム-スズ複合酸化物薄膜付きガラス基板、以下、ITOガラスとも称する、の透明導電性薄膜A側に、ドットスペーサーとしてエポキシ樹脂(縦60μm×横60μm×高さ5μm)を4mmピッチの正方格子状に配置する。
 次に、ITOガラスの四隅の角のいずれか1つを起点として、190mm×135mmの長方形ができるようにITOガラスの透明導電性薄膜A側に両面テープ(厚み:105μm、幅6mm)を貼る。
 次に、ITOガラスに貼った両面テープ上に、透明導電性フィルムの透明導電膜B側を貼り付け、透明導電性薄膜Aと透明導電膜Bとが対面するように積層する。
 このとき、透明導電性フィルムの一方の短辺側が、ITOガラスからはみ出るようにする。
次にITOガラスと透明導電性フィルムをテスターでつなぐ。
 次に、透明導電性フィルム側からポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)で荷重をかけていき、テスターで計測した抵抗値が安定した時の荷重値を入力開始荷重とする。
 ペンで荷重をかける位置は、4つのドットスペーサーに囲まれた中心領域であり、3点における入力開始荷重の平均値を算出する。
(ペン入力安定性試験方法)
 透明導電性フィルム(サイズ:220mm×135mm)を一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板(サイズ:232mm×151mm)上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜Aを用いる。
 インジウム-スズ複合酸化物薄膜付きガラス基板、以下、ITOガラスとも称する、の透明導電性薄膜A側に、ドットスペーサーとしてエポキシ樹脂(縦60μm×横60μm×高さ5μm)を4mmピッチの正方格子状に配置する。
 次に、ITOガラスの四隅の角のいずれか1つを起点として、190mm×135mmの長方形ができるようにITOガラスの透明導電性薄膜A側に両面テープ(厚み:105μm、幅6mm)を貼る。
 次に、ITOガラスに貼った両面テープ上に、透明導電性フィルムの透明導電膜B側を貼り付け、透明導電性薄膜Aと透明導電膜Bとが対面するように積層する。
 このとき、透明導電性フィルムの一方の短辺側が、ITOガラスからはみ出るようにする。
 次にITOガラスと透明導電性フィルムに定電圧電源を接続する。次にITOガラスと透明導電性フィルムとの電圧を計測できるレコーダーを接続する。ここでは、レコーダーは電圧の時間変化を観測するために用いる。次に定電圧電源に6V印加し、レコーダーで電圧を0.02ミリ秒単位で計測開始する。次に、透明導電性フィルム側からポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)で1秒間に5回のペースで50gの荷重をかける。ペンで荷重をかける位置は、4つのドットスペーサーに囲まれた中心領域である。透明導電性フィルムにペンで荷重をかけたときの電圧の時間変化のデータをレコーダーから取り出す。ペンが透明導電性フィルムから離れ始めるときに電圧が減少するため、電圧が6Vから減少する時を起点とし、電圧が5Vになるまでの時間を測定し、電圧ロス時間として記録する。
2.下記のフィルム剛軟度試験の剛軟度が0.23N・cm以上0.90N・cm以下であって、さらに透明導電性フィルムの導電面の下記の平均最大山高さが下記式(2-1)および式(2-2)を満たし、さらに、下記の接触面積率評価で算出された値が式(2-3)を満たす上記の透明導電性フィルム。
(フィルム剛軟度試験方法)
 透明導電性フィルムから20 mm× 250 mm の試験片を採取し、透明導電層が上になるようにして試験片を表面の滑らかな水平台の上に配置する。このとき試験片の20mm×20mmの部分のみ水平台の上に置き、20mm×230mmは水平台の外に出るように置く。また、試験片の20mm×20mmの部分の上におもりを置く。このとき、試験片と水平台の間に隙間ができないように、おもりの重量、サイズを選択する。
 次に、水平台の高さとフィルムの先端の高さの差、以下δ、をスケールによって読む。次に以下の式(1)に数値を代入して剛軟度を算出する。
 式(1) (g×a×b×L4)÷8δ (N・cm)
 g=重力加速度、a=試験片の短辺の長さ、b=試験片の比重、L=試験片の長さ、δ=水平台の高さとフィルムの先端の高さの差
(平均最大山高さ評価)
 平均最大山高さは5点の最大山高さの平均である。5点の選び方は、まず任意の1点Aを選択する。次に、Aに対してフィルムの長手(MD)方向の上下流1cmに各1点、計2点を選択する。次に、Aに対してフィルムの幅(TD)方向の左右1cmに各1点、計2点を選択する。最大山高さは、ISO 25178に規定されるものであり、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ10倍))を用いて、最大山高さを求めた。また、1nm未満の値は、四捨五入によりまるめた。
(接触面積率評価)
 透明導電性フィルムの導電面について、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ50倍))を用い、測定長100μm~200μmの範囲で、JIS B 0601-2001に従って算術平均粗さRaを測定する。ただし、「Rp-平均高さ-Ra≦0.20μm」と「(Rp-平均高さ)÷Ra≦5.0」のどちらか一方もしくは両方を満たし、さらにRsm≦30μmを満たすようにRaを測定する。ここで、Rp、RsmはJIS B 0601-2001に従って測定する。平均高さは測定長における高さの平均値である。前記条件を満たせない場合は、異なる点で再測定する。次に、同じ透明導電性フィルムの導電面について、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ10倍))を用い、さらに同測定装置にある粒子解析を使い「Ra-15nm-平均高さ」を閾値として断面積の総和を求める。断面積の総和を測定視野の面積で割った値に100をかけた値を接触面積率とする。
 式(2-1) 平均最大山高さ(μm)≧4.7×剛軟度-1.8
 式(2-2) 0.005(μm)≦平均最大山高さ(μm)≦12.000(μm)
 式(2-3) 接触面積率(%)≧32.6×剛軟度+17.2
3.前記平均最大山高さ評価における最大山高さの最大値が、前記平均最大山高さの1.0倍を超え1.4倍以下であり、かつ、
 前記平均最大山高さ評価における最大山高さの最小値が、前記平均最大山高さの0.6倍以上1.0倍以下である、上記の透明導電性フィルム。
4.透明導電膜の厚みが、10~100nmである上記の透明導電性フィルム。
5.透明導電膜に含まれる酸化スズの濃度が0.5~40質量%である上記の透明導電性フィルム。
6.透明導電膜と透明プラスチックフィルム基材の間に、硬化型樹脂層を有し、
さらに透明プラスチック基材の前記透明導電膜とは反対側に機能層を有する、上記の透明導電性フィルム。
7.透明プラスチックフィルム基材の少なくとも1方の側に、易接着層を有する請求項1~5のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
8.易接着層は、透明プラスチックフィルム基材と硬化型樹脂層との間、又は透明プラスチック基材と機能層との間の少なくとも1方の位置に配置される、上記の透明導電性フィルム。
9.下記のペン摺動耐久性試験による透明導電フィルムの透明導電膜のON抵抗が10kΩ以下である上記の透明導電性フィルム。
(ペン摺動耐久性試験)
 透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜を用いる。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して、配置しタッチパネルを作製した。次にポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に2.5Nの荷重をかけ、5万往復の直線摺動試験をタッチパネルに行う。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は180mm/秒とする。この摺動耐久性試験後に、ペン荷重0.8Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定する。
10.透明導電膜の表面における、JIS K5600-5-6:1999に準じた付着性試験において、透明導電膜の残存面積率が95%以上である、上記の透明導電性フィルム。
 本発明によれば、軽快な操作性、優れたペン入力安定性、優れたペン摺動耐久性を有する透明導電性フィルムの提供が可能となる。更に、速記性、例えば、連続して文字を入力する際に生じ得る、文字カスレを低減できる。
本発明において好適に使用されるスパッタリング装置の一例のセンターロールの位置を説明するための模式図である。 本発明の一態様における構成を示す模式図である。 本発明の一態様における構成を示す模式図である。 本発明の一態様における構成を示す模式図である。 本発明の一態様における構成を示す模式図である。 本発明の一態様における測定条件を示す模式図である。 本発明の一態様における電圧と時間の関係を示す概念図である。
 本発明の透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面側にインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、以下の入力荷重試験による透明導電フィルムの入力開始荷重が3g以上15g以下であり、さらに、以下のペン入力安定性試験による透明導電性フィルムの電圧ロス時間が0.00ミリ秒以上0.40ミリ秒以下である透明導電性フィルムである。
(入力荷重試験方法)
 透明導電性フィルム(サイズ:220mm×135mm)を一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板(サイズ:232mm×151mm)上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜Aを用いる。
 インジウム-スズ複合酸化物薄膜付きガラス基板、以下、ITOガラスとも称する、の透明導電性薄膜A側に、ドットスペーサーとしてエポキシ樹脂(縦60μm×横60μm×高さ5μm)を4mmピッチの正方格子状に配置する。
 次に、ITOガラスの四隅の角のいずれか1つを起点として、190mm×135mmの長方形ができるようにITOガラスの透明導電性薄膜A側に両面テープ(厚み:105μm、幅6mm)を貼る。
 次に、ITOガラスに貼った両面テープ上に、透明導電性フィルムの透明導電膜B側を貼り付け、透明導電性薄膜Aと透明導電膜Bとが対面するように積層する。
 このとき、透明導電性フィルムの一方の短辺側が、ITOガラスからはみ出るようにする。
次にITOガラスと透明導電性フィルムをテスターでつなぐ。
 次に、透明導電性フィルム側からポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)で荷重をかけていき、テスターで計測した抵抗値が安定した時の荷重値を入力開始荷重とする。
 ペンで荷重をかける位置は、4つのドットスペーサーに囲まれた中心領域であり、3点における入力開始荷重の平均値を算出する。
 例えば、入力開始荷重は両面テープから50mm以上離れた任意の3点を測定し平均値をとることが好ましい。また、小数点は四捨五入してもよい。
 また、ペンで荷重をかける位置は、図6に示すように4つのドットスペーサーの中心領域である。
(ペン入力安定性試験方法)
 透明導電性フィルム(サイズ:220mm×135mm)を一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板(サイズ:232mm×151mm)上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜Aを用いる。
 インジウム-スズ複合酸化物薄膜付きガラス基板、以下、ITOガラスとも称する、の透明導電性薄膜A側に、ドットスペーサーとしてエポキシ樹脂(縦60μm×横60μm×高さ5μm)を4mmピッチの正方格子状に配置する。
次に、ITOガラスの四隅の角のいずれか1つを起点として、190mm×135mmの長方形ができるようにITOガラスの透明導電性薄膜A側に両面テープ(厚み:105μm、幅6mm)を貼る。
 次に、ITOガラスに貼った両面テープ上に、透明導電性フィルムの透明導電膜B側を貼り付け、透明導電性薄膜Aと透明導電膜Bとが対面するように積層する。
 このとき、透明導電性フィルムの一方の短辺側が、ITOガラスからはみ出るようにする。
次にITOガラスと透明導電性フィルムに定電圧電源を接続する。次にITOガラスと透明導電性フィルムとの電圧を計測できるレコーダーを接続する。ここでは、レコーダーは電圧の時間変化を観測するために用いる。次に定電圧電源に6V印加し、レコーダーで電圧を0.02ミリ秒単位で計測開始する。次に、透明導電性フィルム側からポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)で1秒間に5回のペースで50gの荷重をかける。 ペンで荷重をかける位置は、4つのドットスペーサーに囲まれた中心領域である。透明導電性フィルムにペンで荷重をかけたときの電圧の時間変化のデータをレコーダーから取り出す。ペンが透明導電性フィルムから離れ始めるときに電圧が減少するため、電圧が6Vから減少する時を起点とし、電圧が5Vになるまでの時間を測定し、電圧ロス時間として記録する。
 例えば、図7は、本発明の一態様における電圧と時間の関係を示す概念図であり、横軸13は時間軸であり、縦軸14は電圧を示し、電圧ロス時間15の時間を測定する。
 ここで、本発明において、テスターで計測した場合、測定する環境等の外部要因に応じて、「安定した抵抗値」の判断は、例えば±5%の範囲内で抵抗値が変動する状態が好ましい。
 このような特徴を有する本願発明は、軽快な操作性、優れたペン入力安定性、優れたペン摺動耐久性を有する透明導電性フィルムの提供が可能となる。得られた透明導電性フィルムは、抵抗膜式タッチパネル等の用途に極めて有用である。
 本発明の透明導電性フィルムは、軽快な操作性を有する。操作性に優れるインジウム-スズ複合酸化物の透明導電性フィルムは、透明導電膜側の面の最大山高さが、タッチパネル用ITOガラスにあるドットスペーサーの高さに対して適度な範囲にあること、フィルムの剛軟度試験による剛軟度が低いこと、透明導電膜の酸化スズ濃度がタッチパネル用ITOガラスの酸化スズ濃度が近いことを見出した。
 軽快な操作性について説明する。軽快な操作性とは、抵抗膜式タッチパネルに対して透明導電性フィルム側からペン、指で軽い力で押しても、抵抗膜式タッチパネルへの入力が可能なことである。軽快な操作性を、本発明では入力荷重試験で評価した。本発明において入力荷重試験による透明導電性フィルムの入力開始荷重が3g以上15g以下であれば、軽快な操作性を有する。
 このような入力開始荷重を有する本発明は、抵抗膜式タッチパネル等の用途に用いる透明導電性フィルムであっても、年齢、病気、その他の理由により、指で押す力の弱い人や筆圧の弱い人に対して、軽く触ることで入力可能である。
 入力開始荷重が15g以下であれば軽快な操作性を有するため好ましい。より好ましくは13g以下である。さらに好ましくは11g以下である。一方で、入力開始荷重が3g以上であれば、タッチパネルの誤反応を防止できるため好ましい。より好ましくは5g以上、さらに好ましくは8g以上である。
 本発明の透明導電性フィルムは、優れたペン入力安定性を有する。優れたペン入力安定性を有するインジウム-スズ複合酸化物の透明導電性フィルムは、フィルムの剛軟度試験による剛軟度が低いこと、接触面積率評価による透明導電膜面の接触面積率が高いこと、透明導電膜の酸化スズ濃度がタッチパネル用ITOガラスの酸化スズ濃度が近いことを見出した。
 優れたペン入力安定性について説明する。優れたペン入力安定性とは、抵抗膜式タッチパネルに対して透明導電性フィルム側からペンや指が押してから離れるまでの間、ITOガラスなどの透明導電性ガラスと透明導電性フィルムとの電気的接触が安定している時間が長いため、タッチパネルへの入力が安定していることである。ペン入力安定性が優れていると、例えば、抵抗膜式タッチパネルにペンで文字を入力した際に、文字の払い部分が掠れずに書ける。
 ペン入力安定性を、本発明ではペン入力安定性試験で評価した。ペン入力安定性試験では、タッチパネルからペンが離れ始めた時の透明導電性ガラスと透明導電性フィルムの電圧の変化を観測している。ペンにより透明導電性ガラスと透明導電性フィルムが完全に接触している場合、印加電圧を6Vとしているので電圧は6Vで一定となるが、タッチパネルからペンが離れ始めると、電圧が6Vから降下を始める。
 本発明者らは、電圧降下開始から5Vになるまでの時間、すなわち電圧ロス時間が、本発明の範囲内であることにより、例えば、インジウム-スズ複合酸化物薄膜付きガラス基板(ITOガラス)の透明導電性薄膜Aと、本発明に係る透明導電性フィルムの透明導電膜Bとの間で、電気的に安定した接触時間をより長くできることを見出した。
 特定の理論に限定して解釈すべきではないが、このように、電圧ロス時間が、本発明の範囲内であることにより、タッチパネルにおける一対の透明導電性薄膜において、電気的に安定した接触時間をより長くでき、電気的に不安定な接触状態をより低減できるものと考えられる。その結果、入力の不安定な時間が短くなり、例えば、連続して文字を記載した際に、文字カスレを防ぐことができる。また、例えば、タッチパネルにおいて、文字払いの際に、タッチパネル上に示される文字がかすれる、表示されないといった課題を解決した。更に、優れた速記性を備えており、速記時の文字カスレを低減できる。
 本発明においてペン入力安定性試験による透明導電性フィルムの電圧ロス時間が0.00ミリ秒以上0.40ミリ秒以下であれば、優れたペン入力安定性、速記性を有する。
 このようなペン入力安定性を有する本発明は、抵抗膜式タッチパネル上で表現したい文字や絵などを鮮やかに描くことを可能にしている。例えば、毛筆で表現するような文字のハライも表現できる。
 電圧ロス時間は、本発明の範囲内である限り、短ければ短いほど好ましく、0.40ミリ秒以下であれば優れたペン入力安定性を有するため好ましい。より好ましくは0.35ミリ秒以下である。さらに好ましくは0.30ミリ秒以下である。
 また、0.01ミリ秒以上であってもよく、例えば、0.02ミリ秒以上、0.02ミリ秒以上であってもよい。
 本発明において、以下のフィルム剛軟度試験の剛軟度が0.23N・cm以上0.90N・cm以下であって、さらに透明導電性フィルムの透明導電膜側の面の以下の平均最大山高さが下記式(2-1)式および式(2-2)式を満たし、さらに、下記の接触面積率評価で算出された値が式(2-3)を満たすことが好ましい。
 まず、フィルム剛軟度試験による剛軟度について説明する。フィルム剛軟度試験では、透明導電層が上になるようにして試験片を表面の滑らかな水平台の上に配置している。これは、透明導電性フィルムが非透明導電層側からペンや指で押されて、透明導電性フィルムが変形する方向を揃えるためである。同じ透明導電性フィルムでも、フィルム剛軟度試験で透明導電層が上になるか下になるかで剛軟度の値が変わるので、評価をするときに注意が必要である。
 また、透明プラスチック基材と透明導電膜の間に硬化型樹脂層を配置する場合は、硬化型樹脂層の厚みや硬さも剛軟度に影響を与える。また、透明プラスチック基材の両面に硬化型樹脂層を配置する場合には、各面の硬化型樹脂層の厚みや硬さのバランスが剛軟度に影響を与える。
 透明導電性フィルムの剛軟度が0.23N・cm以上であれば、意図せずに透明導電性フィルムに非常に軽い力で触れた時に、透明導電性フィルムが変形しにくいため、透明導電性フィルムの透明導電膜とタッチパネル用ITOガラスの透明導電膜との電気的接触が起こりにくく、誤入力を防止しやすく好ましい。また、ペン摺動耐久性にも優れるため好ましい。より好ましくは0.27N・cm以上である。さらに好ましくは0.30N・cm以上である。
 一方で、透明導電性フィルムの剛軟度が0.90N・cm以下であれば、ペンや指で透明導電性フィルム側から低い入力荷重で押しても透明導電性フィルムが変形しやすくなるため、透明導電性フィルムの透明導電膜とITOガラスの透明導電膜が電気的に接触しやすくなるため、軽快な操作性を有し好ましい。より好ましくは0.80N・cm以下である。さらに好ましくは0.70N・cm以下である。特に好ましくは0.60N・cm以下である。
(フィルム剛軟度試験方法)
 透明導電性フィルムから20 mm× 250 mm の試験片を採取し、透明導電層が上になるようにして試験片を表面の滑らかな水平台の上に配置する。このとき試験片の20mm×20mmの部分のみ水平台の上に置き、20mm×230mmは水平台の外に出るように置く。また、試験片の20mm×20mmの部分の上におもりを置く。このとき、試験片と水平台の間に隙間ができないように、おもりの重量、サイズを選択する。
 次に、水平台の高さとフィルムの先端の高さの差(=δ)をスケールによって読む。次に以下の式(1)に数値を代入して剛軟度を算出する。
 式(1) (g×a×b×L4)÷8δ (N・cm)
 g=重力加速度、a=試験片の短辺の長さ、b=試験片の比重、L=試験片の長さ、δ=水平台の高さとフィルムの先端の高さの差
 本発明において、フィルム剛軟度試験を実施した時に、フィルム剛軟度試験の剛軟度が0.23N・cm以上0.90N・cm以下であって、さらに透明導電性フィルムの透明導電膜側の面の以下の平均最大山高さが下記式(2-1)式および式(2-2)式を満たすことが好ましい。
(平均最大山高さ評価)
 平均最大山高さは5点の最大山高さの平均である。5点の選び方は、まず任意の1点Aを選択する。次に、Aに対してフィルムの長手(MD)方向の上下流1cmに各1点、計2点を選択する。次に、Aに対してフィルムの幅(TD)方向の左右1cmに各1点、計2点を選択する。最大山高さは、ISO 25178に規定されるものであり、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ10倍))を用いて、最大山高さを求めた。また、1nm未満の値は、四捨五入によりまるめた。
 式(2-1) 平均最大山高さ≧4.7×剛軟度-1.8
 式(2-2) 0.005(μm)≦平均最大山高さ(μm)≦12.000(μm)
 透明導電膜側の面の最大山高さが式(2-1)および式(2-2)を満たせば、ペンや指で透明導電性フィルム側から低い入力荷重で押しても、透明導電性フィルムの透明導電膜側の突起の上に配置した透明導電膜とタッチパネル用ITOガラスの透明導電膜と電気的に接触できるため、軽快な操作性を有し好ましい。
 より好ましくは式(2-1)のy切片、すなわち、上記式(2-1)の「-1.8」で示される値が、-1.7以上である。さらに好ましくは式(2-1)のy切片が-1.6以上である。
 また、平均最大山高さが0.005(μm)以上であれば、透明導電性フィルムをロール状に支障なく巻けるので好ましい。より好ましくは、0.010(μm)以上である。さらに好ましくは0.020(μm)以上である。また、平均最大山高さが12.000(μm)以下であれば、透明導電性フィルムの透明導電膜側の突起の上に配置した透明導電膜とタッチパネル用ITOガラスの透明導電膜との意図しない電気的接触が起こりにくいため、誤入力を防止しやすく好ましい。より好ましくは11.000(μm)以下である。さらに好ましくは10.000(μm)以下である。以上より、剛軟度と平均最大山高さの適度なバランスにより軽快な操作性などを満たすことを見出した。
 本発明において、フィルム剛軟度試験を実施した時に、フィルム剛軟度試験の剛軟度が0.23N・cm以上0.90N・cm以下であって、さらに透明導電性フィルムの透明導電膜側の面の以下の平均最大山高さが下記式(2-1)式および式(2-2)式を満たし、さらに、下記の接触面積率評価で算出された値が式(2-3)を満たすことが好ましい。
(接触面積率評価)
 透明導電性フィルムの導電面について、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ50倍))を用い、測定長100μm~200μmの範囲で、JIS B 0601-2001に従って算術平均粗さRaを測定する。ただし、「Rp-平均高さ-Ra≦0.20μm」と「(Rp-平均高さ)÷Ra≦5.0」のどちらか一方もしくは両方を満たし、さらにRsm≦30μmを満たすようにRaを測定する。ここで、Rp、RsmはJIS B 0601-2001に従って測定する。平均高さは測定長における高さの平均値である。前記条件を満たせない場合は、異なる点で再測定する。次に、同じ透明導電性フィルムの導電面について、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ10倍))を用い、さらに同測定装置にある粒子解析を使い「Ra-15nm-平均高さ」を閾値として断面積の総和を求める。断面積の総和を測定視野の面積で割った値に100をかけた値を接触面積率とする。
 式(2-1) 平均最大山高さ(μm)≧4.7×剛軟度-1.8
 式(2-2) 0.005(μm)≦平均最大山高さ(μm)≦12.000(μm)
 式(2-3) 接触面積率(%)≧32.6×剛軟度+17.2
 接触面積率評価で式(2-3)について説明する。ペンや指などで抵抗膜式タッチパネルに入力しているとき、透明導電性ガラスと透明導電性フィルムは接触している。ペンや指などが抵抗膜式タッチパネルの透明導電性フィルムから離れていくとき、透明導電性ガラスと透明導電性フィルムの接触面積は小さくなっていく。接触面積が小さくなると、透明導電性ガラスと透明導電性フィルムの電気的接触の安定性も低下していく。ペンや指などで抵抗膜式タッチパネルに入力しているときの透明導電性ガラスと透明導電性フィルムの接触面積が大きいほど、透明導電性ガラスと透明導電性フィルムの電気的接触の安定性が高いため、ペンや指などが抵抗膜式タッチパネルの透明導電性フィルムから離れていくときに、透明導電性ガラスと透明導電性フィルムの電気的接触が不安定になる接触面積になるまでの時間を稼げる。このような、電気的接触が不安定になる接触面積になるまでの時間を、本発明における電圧ロス時間と同意義に捉えることができる。すなわち、本発明における電圧ロス時間内であると、タッチパネルへの入力が安定することを意味する。
 タッチパネルへ入力するペンや指などのサイズが同じでも、透明導電性ガラスと透明導電性フィルムの接触面積が異なる。以下に示す接触面積率とペン入力安定性と強い相関があることを見出した。
 ペンや指などで抵抗膜式タッチパネルに入力しているとき、透明導電性ガラスと透明導電性フィルムの接触部について述べる。透明導電性ガラスと接触している透明導電性フィルムの大部分は、透明導電性フィルムの平均的な高さの突起である。透明導電性フィルムの平均的な高さの突起との接触面積を正確に算出することは困難なので、代替指標として、透明導電性フィルムの平均的な突起の高さよりわずかに小さい高さ(=透明導電性フィルムの平均的高さより15nm低い高さ)における透明導電性フィルムの透明導電膜側の断面積を用いることにした。ここで、透明導電性フィルムの平均的な突起の高さとしてISO25178の算術平均高さSaやJIS B 0601-2001の算術平均粗さRaを用いると、透明導電性フィルムの透明導電膜側にある数は少ないが高さが非常に高い粗大突起の影響で、SaやRaは、透明導電性フィルムの実際の平均的な突起の高さより大きくなるため好ましくない。そこで、粗大突起の影響をなくすために、以下を実施する。
 透明導電性フィルムの導電面について、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ50倍))を用い、測定長100μm~200μmの範囲で、JIS B 0601-2001に従って算術平均粗さRaを測定する。ただし、「Rp-平均高さ-Ra≦0.20μm」と「(Rp-平均高さ)÷Ra≦5.0」のどちらか一方もしくは両方を満たし、さらにRsm≦30μmを満たすようにRaを測定する。ここで、Rp、RsmはJIS B 0601-2001に従って測定する。平均高さは測定長における高さの平均値である。
 「Rp-平均高さ-Ra≦0.20μm」と「(Rp-平均高さ)÷Ra≦5.0」のどちらか一方もしくは両方を満たし、さらにRsm≦30μmを満たしていれば、粗大突起の影響が少なくなるため、透明導電性フィルムの平均的な突起の高さを算出できることを見出した。前記条件を満たせない場合は、粗大突起の影響が大きいため、透明導電性フィルムの平均的な突起の高さを算出できないので、異なる点で再測定する。
 次に、同じ透明導電性フィルムの導電面について、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ10倍))を用い、さらに同測定装置にある粒子解析を使い「Ra-15nm-平均高さ」を閾値として断面積の総和を求める。断面積の総和を測定視野の面積で割った値に100をかけた値を接触面積率とする。接触面積率が式(2-3)を満たせば、ペン入力安定性試験による電圧ロス時間が本発明の範囲内となり、優れたペン入力安定性になるため好ましい。式(2-3)について説明する。検討により、剛軟度が大きいとペンや指などが抵抗膜式タッチパネルの透明導電性フィルムから離れていく速度が増加するため、接触面積率が大きい透明導電性フィルムを用いないと優れたペン入力安定性を発現しないことが分かった。優れたペン入力安定性を発現するためには、接触面積率と剛軟度の相関関係が式(2-3)であればよい。より好ましくは式(2-3)のy切片、すなわち、上記式(2-3)の「+17.2」で示される値が、+17.5以上である。さらに好ましくは式(2-3)のy切片が+18.0以上である。
 式(2-1)、式(2-2)、式(2-3)のすべてを満たすことで、軽快な操作性および優れたペン入力安定性を両立できることを見出した。
 式(2-1) 平均最大山高さ(μm)≧4.7×剛軟度-1.8
 式(2-2) 0.005(μm)≦平均最大山高さ(μm)≦12.000(μm)
 式(2-3) 接触面積率(%)≧32.6×剛軟度+17.2
 本発明において下記に記載した平均最大山高さ評価における最大山高さの最大値が、前記平均最大山高さの1.0倍を超え1.4倍以下であり、かつ、
平均最大山高さ評価における最大山高さの最小値が、前記平均最大山高さの0.6倍以上1.0倍以下である。前記の範囲であれば、入力開始荷重のバラツキが±5%未満になるので好ましい。
 平均最大山高さ評価における最大山高さの最小値が、平均最大山高さの0.6倍以上であれば、軽快な操作性に関与する透明導電性フィルムの透明導電膜側の高い突起の面内分布が均等であるため、ペンや指で透明導電性フィルム側から押すとき、いずれの場所でも同等の入力荷重でタッチパネルの入力が可能となるため好ましい。より好ましくは0.7倍以上である。さらに好ましくは0.8倍以上である。
 一方で、平均最大山高さ評価における最大山高さの最大値が、平均最大山高さの1.4倍以下であれば、軽快な操作性に関与する透明導電性フィルムの透明導電膜側の高い突起の面内分布が均等であるため、ペンや指で透明導電性フィルム側から押すとき、いずれの場所でも同等の入力荷重でタッチパネルの入力が可能となるため好ましい。より好ましくは1.3倍以下である。さらに好ましくは1.2倍以下である。
(平均最大山高さ評価)
 平均最大山高さは5点の最大山高さの平均である。5点の選び方は、まず任意の1点Aを選択する。次に、Aに対してフィルムの長手(MD)方向の上下流1cmに各1点、計2点を選択する。次に、Aに対してフィルムの幅(TD)方向の左右1cmに各1点、計2点を選択する。最大山高さは、ISO 25178に規定されるものであり、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ10倍))を用いて、最大山高さを求めた。また、1nm未満の値は、四捨五入によりまるめた。
 本発明における透明導電膜は、インジウム-スズ複合酸化物からなる。なお、本発明の透明導電性フィルムの表面抵抗は50~900Ω/□であることが好ましく、より好ましくは50~700Ω/□である。また、本発明の透明導電性フィルムの全光線透過率は70~95%が好ましい。
 本発明において透明導電膜の厚みは、10nm以上100nm以下であることが好ましい。透明導電膜の厚みが10nm以上であると、透明フィルム基材、もしくは硬化型樹脂層に透明導電膜が全体に付着し、透明導電膜の膜質が安定するので、結果として表面抵抗値が安定して好ましい範囲になるため好ましい。より好ましくは透明導電膜の厚みは13nm以上、より好ましくは16nm以上である。また、透明導電膜の厚みが100nm以下であると、透明導電膜の結晶粒径と結晶化度が適度であり、さらに全光線透過率が実用的な水準となるため好ましい。より好ましくは50nm以下、更に好ましくは30nm以下、特に好ましくは25nm以下である。
 本発明において透明導電性フィルムの透明導電膜に含まれる酸化スズ濃度は0.5~40質量%であることが好ましい。透明導電性フィルムの透明導電膜に含まれる酸化スズ濃度が、タッチパネル用ITOガラスに含まれる酸化スズ濃度に近ければ近いほど、透明導電性フィルムの透明導電膜とITOガラスの透明導電膜が電気的に接触しやすくなるため、軽快な操作性および優れたペン入力安定性を有することを見出した。タッチパネル用ITOガラスに含まれる酸化スズ濃度は一般的には10質量%である。
 本発明において透明導電性フィルムの透明導電膜に含まれる酸化スズ濃度が、タッチパネル用ITOガラスに含まれる酸化スズ濃度との差が30質量%以下であれば、透明導電性フィルムの透明導電膜とITOガラスの透明導電膜が電気的に接触しやすくなるため、軽快な操作性および優れたペン入力安定性を有し好ましい。
 タッチパネル用ITOガラスに含まれる酸化スズ濃度は10質量%であることが多い。そのため本発明においては、透明導電性フィルムの酸化スズ濃度は40質量%以下が好ましい。より好ましくは25質量%以下である。さらに好ましくは20質量%以下である。特に好ましくは2質量%以上18質量%である。また、酸化スズが0.5質量%以上含有されていると、透明導電性フィルムの表面抵抗が実用的な水準となり好ましい。更に好ましくは酸化スズの含有率は1質量%以上であり、2質量%以上であると特に好ましい。
 一態様において、本発明における透明導電性フィルムは、透明導電膜と透明プラスチックフィルム基材との間に硬化型樹脂層を有する。
さらに透明プラスチック基材の透明導電膜とは反対側に、機能層を有することが好ましい。
 図2に構成例を示すように、透明導電膜5、硬化型樹脂層6、透明プラスチックフィルム基材7及び機能層8をこの順で有することができる。
 タッチパネル加工工程で透明導電性フィルムを加熱され、そのとき、透明プラスチックフィルム基材から発生するモノマー、オリゴマーが透明導電膜上にまで析出すると、タッチパネルの軽快な操作性やペン入力安定性を阻害するおそれがある。
 そのため、透明導電膜と透明プラスチックフィルム基材の間に硬化型樹脂層があることにより、透明導電膜上にモノマーやオリゴマーを析出することをブロックできるため好ましい。
 また、透明プラスチック基材から析出するモノマーやオリゴマーは透明導電性フィルムの視認性を低下させるおそれがあるため、透明プラスチックフィルム基材に硬化型樹脂層および機能層を有することが好ましい。
 また、硬化型樹脂層および機能層を有することにより、透明導電性フィルムの剛軟度を、本発明おいて更に好ましい範囲に調整できる。
 本発明に係る硬化型樹脂層および機能層は、ペン摺動耐久性などの各種特性を、より効果的に発現することができる。特に、本発明においては、硬化型樹脂層及び機能層を有することで、本発明の透明導電性フィルムの剛軟度を調整でき、入力開始荷重を所定の範囲に調整することができ、その上、優れた視認性を奏することができる。
 特定の理論に限定して解釈すべきでないが、本発明においては、硬化型樹脂層および機能層を共に有することで、抵抗膜式タッチパネルおいて軽快な操作感と、より正確な入力性を示すことができる。
 また、透明プラスチックフィルム基材に硬化型樹脂層を有することにより、透明導電膜の密着力増加に加え、透明導電膜にかかる力を分散することができるため、ペン摺動耐久性試験での透明導電膜に対してクラック、剥離、摩耗などが抑えられるため好ましい。また、透明プラスチックフィルム基材に機能層を有することにより、ペンなどで入力したことによるキズがつきにくくなるため好ましい。
 一態様において、本発明における透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材の少なくとも1方の側に、易接着層が積層される。
 例えば、本発明における透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材と硬化型樹脂層の間、透明プラスチックフィルム基材と機能層との間、のいずれか、もしくはどちらにも易接着層を含むことが好ましい。図3、図4、図5に構成例を示す。これらの図において、易接着層9が配置される。その他符号は、図2と同義である。
易接着層があることで、硬化型樹脂層および機能層が透明プラスチックフィルム基材に強固に密着できるため、外力による硬化型樹脂層および機能層の剥れを更に効果的に抑制でき好ましい。
 本発明の透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面にインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、以下のペン摺動耐久性試験による透明導電フィルムの透明導電膜のON抵抗が10kΩ以下であることが好ましい。
(ペン摺動耐久性試験)
 本発明に係る透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜を用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して配置し、厚みが170μmの両面テープでフィルム側のパネル板とガラス側のパネル板を貼り付けて、タッチパネルを作製した。次にポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に2.5Nの荷重をかけ、5万往復の直線摺動試験をタッチパネルに行った。この試験において、本発明に係る透明導電性フィルム面に対してペンの荷重を印加する。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は180mm/秒とした。この摺動耐久性試験後に、ペン荷重0.8Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定した。
 本発明においてペン摺動耐久性試験による透明導電フィルムの透明導電膜のON抵抗が10kΩ以下であれば、タッチパネルにペンで連続入力しても透明導電膜に対してクラック、剥離、摩耗などが抑えられているため好ましい。一態様においてON抵抗は、9.5kΩ以下であってよく、より好ましくは5kΩ以下である。例えば、ON抵抗は3kΩ以下であり、1.5kΩ以下であってよく、好ましくは1kΩ以下である。
ON抵抗は、例えば5kΩ以上であり、3kΩ以上であってよく、0kΩ以上であることが好ましい。
 ON抵抗がこのような範囲内であることにより、タッチパネルにペンで連続入力しても透明導電膜に対してクラック、剥離、摩耗などが抑えられる。
 一態様において、これら上限及び下限を適宜組み合わせてもよい。
 例えば、本発明における透明導電性フィルムは、透明導電膜の表面における、JIS K5600-5-6:1999に準じた付着性試験において、透明導電膜の残存面積率が95%以上である。本発明における透明導電性フィルムは、透明導電膜面において付着性試験(JIS K5600-5-6:1999)を実施しても透明導電膜の残存面積率が95%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、透明導電膜の剥離面積は99%以上であり、特に好ましくは99.5%以上である。付着性試験で透明導電膜の残存面積率が上記範囲内であることにより、透明導電性フィルムは、透明導電膜が透明プラスチックフィルム基材や硬化型樹脂層など透明導電膜に接している層と密着しているため、タッチパネルにペンで連続入力しても透明導電膜に対してクラック、剥離、摩耗などが抑えられ、さらに、通常使用想定以上の強い力がかかったとしても、透明導電膜に対してクラック、剥離などが抑えられるため好ましい。
 例えば、本発明における透明導電性フィルムは、機能層面の表面における、JIS K5600-5-6:1999に準じた付着性試験において、機能層の残存面積率が95%以上である。本発明における透明導電性フィルムは、機能層面において付着性試験(JIS K5600-5-6:1999)を実施しても機能層面の残存面積率が95%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、機能層面の残存面積率は99%以上であり、特に好ましくは、99.5%以上である。
 付着性試験で機能層が剥れない透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材と機能層が密着しているため、タッチパネルにペンで連続入力しても機能層のクラック、剥離、摩耗などの外観不良が抑えられ、さらに、通常使用想定以上の強い力がかかったとしても、機能層が強い力を緩和するため、透明導電膜に対してクラック、剥離などが抑えられるため好ましい。
 本発明の透明導電性フィルムを得るための製造方法に特に限定はないが、例えば、以下のような製造方法を好ましく例示できる。
 透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面にインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜を成膜する方法としてはスパッタリング法が好ましく用いられる。透明導電性フィルムを高い生産性で製造するためには、フィルムロールを供給し、成膜後、フィルムロールの形状に巻き上げる所謂ロール式スパッタリング装置を使用することが好ましい。成膜雰囲気中にマスフローコントローラーを用い、不活性ガス、酸素ガスを流し、インジウム-スズ複合酸化物の焼結ターゲットを用い、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の厚みが10~100nmになるように調整し、透明プラスチックフィルム上に透明導電膜を成膜することが好ましく採用され得る。生産効率を向上させるために、フィルムの流れ方向に対して、インジウム-スズ複合酸化物の焼結ターゲットを複数枚設置してもよい。また、成膜雰囲気中にマスフローコントローラーを用いて、水素原子含有ガス(水素、アンモニア、水素+アルゴン混合ガスなど、水素原子が含まれているガスであれば特に限定しない。ただし、水は除く。)を流しても構わない。成膜雰囲気中の水が多いと、透明導電膜の膜質が低下により、表面抵抗値が好ましい範囲から外れたり、本来結晶化する透明導電膜が結晶化しなかったりするなどの透明導電膜の膜質に悪影響を及ぼすことが知られているため、成膜雰囲気中の水分量も重要な因子である。フィルムロールへのスパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比の中心値(最大値と最小値の中間の値)を7.00×10-3以下に制御することにより、透明導電膜の膜質の低下を抑えることができるため好ましい。成膜雰囲気中の水分量制御のために、スパッタ機の排気装置としてよく使用されるロータリーポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプに加えて、下記のボンバード工程、下記のフィルムロール端面の凹凸の高低差の限定、透明導電膜を成膜する面の反対面に吸水率の低い保護フィルムを貼るなど、透明導電膜を成膜するときにフィルムから放出される水分量を少なくなり好ましい。また、スパッタリング時のフィルム温度を0℃以下にして透明プラスチックフィルム上に透明導電膜を成膜することが好ましい。成膜中のフィルム温度は、走行フィルムが接触するセンターロールの温度を調節する温調機の設定温度で代用する。ここで、図1に本発明において好適に使用されるスパッタリング装置の一例の模式図を示しており、走行するフィルム1がセンターロール2の表面に部分的に接触して走行している。チムニー3を介してインジウム-スズのスパッタリングターゲット4が設置され、センターロール2上を走行するフィルム1の表面にインジウム-スズ複合酸化物の薄膜が堆積して積層される。センターロール2は図示しない温調機によって温度制御される。フィルム温度が0℃以下であれば、透明導電膜の膜質を低下させるフィルムからの水、有機ガス等の不純物ガスの放出を抑制できるため好ましい。また、透明導電性フィルムの表面抵抗および全光線透過率を実用的な水準にするために、スパッタリング時に酸素ガスを添加することが望ましい。
 プラスチックフィルム上にインジウム-スズ複合酸化物を成膜する時の水分量の制御には、到達真空度を観測するよりも、実際に成膜時の水分量を観測することの方が以下の2つの理由で望ましい。
 その理由の1点目として、スパッタリングで、プラスチックフィルムに成膜をすると、フィルムが加熱され、フィルムから水分が放出されるので、成膜雰囲気中の水分量が増加し、到達真空度を測定したときの水分量より増加するため、到達真空度で表現するよりも成膜時の水分量で表現する方が正確である。
 その理由の2点目は、大量に透明プラスチックフィルムを投入する装置での場合である。このような装置ではフィルムをフィルムロールの形態で投入する。フィルムをロールにして真空槽に投入するとロールの外層部分は水が抜けやすいが、ロールの内層部分は水が抜けにくい。到達真空度を測定するとき、フィルムロールは停止しているが、成膜時にはフィルムロールが走行するため、水を多く含むフィルムロールの内層部分が巻き出されてくるため、成膜雰囲気中の水分量が増加し、到達真空度を測定したときの水分量より増加するためである。本発明においては、成膜雰囲気中の水分量の制御に当たって、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比を観測することで好ましく対応することができる。
 透明導電膜を成膜する前に、フィルムをボンバード工程に通すことが望ましい。ボンバード工程とは、アルゴンガスなどの不活性ガスだけ、もしくは、酸素などの反応性ガスと不活性ガスの混合ガスを流した状態で、電圧を印加し放電を行い、プラズマを発生させることである。具体的には、SUSターゲットなどでRFスパッタリングにより、フィルムをボンバードすることが望ましい。ボンバード工程によりフィルムがプラズマにさらされるため、フィルムから水や有機成分が放出し、透明導電膜を成膜するときにフィルムから放出する水や有機成分が減少するため、透明導電膜の膜質が良くなるため好ましい。また、ボンバード工程により透明導電膜が接する層が活性化するため、透明導電膜の密着性が向上するため、ペン摺動耐久性やペン重加圧耐久性が向上するため望ましい。
 透明導電膜を成膜するためのフィルムロールは、ロール端面において、最も凸の箇所と最も凹の箇所の高低差は10mm以下が好ましい。10mm以下であれば、スパッタ装置にフィルムロールを投入した時にフィルム端面からの水や有機成分の放出しにくくなるため、透明導電膜の膜質が良くなるため好ましい。
 透明導電膜を成膜するフィルム(透明プラスチックフィルム基材)において、透明導電膜を成膜する面の反対面に吸水率の低い保護フィルムを貼ることが望ましい。吸水率の低い保護フィルムを貼ることにより、フィルム基材からの水などのガスが放出されにくくなり、透明導電膜の膜質が良くなるため好ましい。吸水率の低い保護フィルムの基材として、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンなどが好ましい。
 透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面にインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜を成膜する方法において、スパッタリング時に酸素ガスを導入することが望ましい。スパッタリング時に酸素ガスを導入すると、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の酸素の欠乏による不具合がなく、透明導電性フィルムの表面抵抗は低く、全光線透過率は高くなり好ましい。そのため、透明導電性フィルムの表面抵抗および全光線透過率を実用的な水準にするために、スパッタリング時に酸素ガスを導入することが望ましい。 なお、本発明の透明導電性フィルムの全光線透過率は70~95%が好ましい。
 本発明の透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上にインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜が成膜積層された後、酸素を含む雰囲気下で、80~200℃、0.1~12時間加熱処理を施されてなることが望ましい。80℃以上であると、ペン摺動耐久性の向上を目的に透明導電膜の結晶性を高める必要がある場合に好ましい。200℃以下であると、透明プラスチックフィルムの平面性が確保されて好ましい。
<透明プラスチックフィルム基材>
 本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材とは、有機高分子をフィルム状に溶融押出し又は溶液押出しをして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー等が挙げられる。
 これらの有機高分子のなかで、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレート等が好適である。また、これらの有機高分子は他の有機重合体の単量体を少量共重合したり、他の有機高分子をブレンドしてもよい。
 本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施してもよい。
 本発明における透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材の厚みは、100μm以上240μm以下の範囲であることが好ましく、120μm以上220μm以下であることがより好ましい。プラスチックフィルムの厚みが100μm以上であると、機械的強度が保持され、特にタッチパネルに用いた際のペン入力に対する変形が小さく、ペン摺動耐久性が優れるため好ましい。一方、厚みが240μm以下であると、タッチパネルに用いた際に、軽快な操作性や優れたペン入力安定性を保持するため好ましい。
 透明プラスチックフィルム基材に硬化型樹脂層を積層すると、透明プラスチックフィルム基材から発生するモノマーやオリゴマーが透明導電膜上に析出することをブロックできるため、タッチパネルの軽快な操作性を阻害しないため好ましい。また、透明導電膜が硬化型樹脂層と強く密着すること、透明導電膜にかかる力を分散することができるため、ペン摺動耐久性試験での透明導電膜に対してクラック、剥離、摩耗などが抑えられるため好ましい。透明プラスチックフィルム基材と硬化型樹脂層の密着力を向上させるために、透明プラスチックフィルム基材と硬化型樹脂層との間に易接着層を設けることが好ましい。
 透明プラスチックフィルム基材に機能層を積層すると、透明プラスチックフィルム基材から発生するモノマーやオリゴマーが析出することをブロックできるため、透明導電性フィルム視認性低下を抑制するため好ましい。透明導電性フィルムの剛軟度を調整するために透明プラスチックフィルム基材に機能層を有することが好ましい。また、透明プラスチックフィルム基材に機能層を有することにより、ペンなどで入力したことによるキズがつきにくくなるため好ましい。
 また、本発明で好ましく用いられる前記硬化型樹脂層および機能層に含まれる樹脂としては、加熱、紫外線照射、電子線照射等のエネルギー印加により硬化する樹脂であれば特に制限はなく、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。生産性の観点からは、紫外線硬化型樹脂を主成分とすることが好ましい。
 硬化型樹脂層および機能層に含まれる樹脂は同一の樹脂であっても、異なる樹脂であってもよい。
 このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等から合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂等を挙げることができる。必要に応じて、これらの多官能性の樹脂に単官能性の単量体、例えば、ビニルピロリドン、メチルメタクリレート、スチレン等を加えて共重合させることができる。
 また、透明導電性薄膜と硬化型樹脂層との付着力を向上するために、硬化型樹脂層の表面を以下に記載する手法で処理することが有効である。具体的な手法としては、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基を増加するためにグロー又はコロナ放電を照射する放電処理法、アミノ基、水酸基、カルボニル基等の極性基を増加させるために酸又はアルカリで処理する化学薬品処理法等が挙げられる。
 紫外線硬化型樹脂は、通常、光重合開始剤を添加して使用される。光重合開始剤としては、紫外線を吸収してラジカルを発生する公知の化合物を特に制限なく使用することができ、このような光重合開始剤としては、例えば、各種ベンゾイン類、フェニルケトン類、ベンゾフェノン類等を挙げることができる。光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型樹脂100質量部当たり通常1~5質量部とすることが好ましい。
 また、本発明において硬化型樹脂層および機能層は、主たる構成成分である硬化型樹脂のほかに、無機粒子や有機粒子を併用することが好ましい。硬化型樹脂に無機粒子や有機粒子を分散させることにより、硬化型樹脂層および機能層の表面に凹凸を形成させ、広領域における表面粗さを向上させることができる。
 本発明においては、硬化型樹脂層の表面粗さを向上させることで、透明導電性フィルムの剛軟度を、本発明においてさらに好ましい範囲に調整できる。また、ペン摺動耐久性及びアンチニュートンリング性やフィルムの巻取り性などの各種特性を、より効果的に発現することができる。
 本発明においては、機能層の表面粗さを向上させることで、透明導電性フィルムの剛軟度を、本発明においてさらに好ましい範囲に調整できる。また、フィルムの巻取り性、ペンなどの書き心地や指の触感などの各種特性を、より効果的に発現することができる。
 前記の無機粒子としてはシリカなどが例示される。前記の有機粒子としてポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂等が例示される。硬化型樹脂層および機能層に含まれる粒子は同一の粒子であっても、異なる粒子であってもよい。
 無機粒子や有機粒子以外に、主たる構成成分である硬化型樹脂のほかに、硬化型樹脂に非相溶な樹脂を併用することも好ましい。マトリックスの硬化型樹脂に非相溶な樹脂を少量併用することで、硬化型樹脂中で相分離が起こり非相溶樹脂を粒子状に分散させることができる。この非相溶樹脂の分散粒子により、硬化型樹脂層および機能層の表面に凹凸を形成させ、広領域における表面粗さを向上させることができる。
 非相溶樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂等が例示される。
 ここでは一例として、硬化型樹脂層に無機粒子を用いる場合の配合割合を示す。紫外線硬化型樹脂100質量部当たり無機粒子0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量部以上25質量部以下、特に好ましくは0.1質量部以上20質量部以下である。前記無機粒子の配合量が紫外線硬化型樹脂100質量部当たり0.1質量部以上30質量部以下であると、硬化型樹脂層表面に形成される凸部が小さ過ぎず、効果的な平均最大山高さを付与でき、タッチパネルへの軽快な操作性を有し、さらに透明導電膜に多少の表面突起があるためフィルム巻取り性も保持できるため好ましい。また、硬化型樹脂層に無機粒子を用いる場合、その配合割合が上記範囲内で高いほうが、硬化型樹脂層の平均最大山高さが高くなる傾向にある。
 また、硬化型樹脂層に無機粒子を用いる場合、その配合割合が上記範囲内で高いほうが、透明導電性フィルムの剛軟度を増加させる傾向にある。
 ここでは一例として、機能層に無機粒子を用いる場合の配合割合を示す。紫外線硬化型樹脂100質量部当たり無機粒子0.1質量部以上60質量部以下であることが好ましい。
 機能層に無機粒子を用いる場合、その配合割合が上記範囲内での配合割合が高いほうが、透明導電性フィルムの剛軟度を低下させる傾向にある。また、無機粒子の配合量が少ないほど、透明導電性フィルムの接触面積率が大きくなる傾向にある。前記無機粒子の配合量が紫外線硬化型樹脂100質量部当たり0.1質量部以上60質量部以下であると、透明導電性フィルムの剛軟度を、本発明に係る適切な値に調整することができ好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で機能層に表面突起ができるため、フィルム巻取り性も保持できるため好ましい。
 ここでは一例として、硬化型樹脂層に無機粒子を用いる場合の無機粒子のサイズを示す。無機粒子のサイズとしては、平均粒径が0.010~10.000μmであることが好ましい。硬化型樹脂層に無機粒子を用いる場合、平均粒径が異なる無機粒子を混合してもよい。平均粒径が大きいほど、硬化型樹脂層の平均最大山高さが大きくなる傾向にある。硬化型樹脂層に用いる無機粒子の平均粒径が揃っているほど、透明導電性フィルムの接触面積率が大きくなる傾向にある。
 一態様において、平均粒径が1.0μm以上10.000μmの無機粒子Aと、平均粒径が0.010μm以上1.0μm未満の無機粒子Bとを併用できる。例えば、無機粒子Bの平均粒径は0.05μm以上が好ましい。
 更に、無機粒子Aと無機粒子Bとを含む場合、硬化型樹脂層における無機粒子Aの量は、硬化型樹脂層の固形分100wt%に対して、例えば、0.1wt%以上5wt%以下である。硬化型樹脂層における無機粒子Bの量は、硬化型樹脂層の固形分100wt%に対して、無機粒子Aの量よりも多いことが好ましく、例えば、5wt%超30wt%以下である。
 このような関係を有することで、硬化型樹脂層の平均最大山高さが大きくしつつ、透明導電性フィルムの接触面積率を大きくでき、電圧ロス時間をより短くできる。また、電圧ロスを本発明の範囲内でより小さくすることができるので、入力の不安定な時間が短くなり、例えば、連続して文字を記載した際に、文字カスレをより効果的に防ぐことができる。
 ここでは一例として、機能層に無機粒子を用いる場合の無機粒子のサイズを示す。無機粒子のサイズとしては、平均粒径が0.010~10.000μmであることが好ましい。機能層に無機粒子を用いる場合、平均粒径が異なる無機粒子を混合してもよい。
 前記の紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤及び、無機粒子や有機粒子や紫外線硬化型樹脂に非相溶な樹脂は、それぞれに共通の溶剤に溶解して塗布液を調製する。使用する溶剤には特に制限はなく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のようなアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のようなエステル系溶剤、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のようなエーテル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のようなケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等のような芳香族炭化水素系溶剤等を単独に、あるいは混合して使用することができる。
 塗布液中の樹脂成分の濃度は、コーティング法に応じた粘度等を考慮して適切に選択することができる。例えば、塗布液中に紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤及び高分子量のポリエステル樹脂の合計量が占める割合は、通常は20~80質量%である。樹脂成分の濃度が高いほうが硬化型樹脂層の平均最大山高さが高くなる傾向にある。また、この塗布液には、必要に応じて、その他の公知の添加剤、例えば、シリコーン系レベリング剤等を添加してもよい。
 本発明において、調製された塗布液は透明プラスチックフィルム基材上にコーティングされる。コーティング法には特に制限はなく、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法等の従来から知られている方法を使用することができる。
 コーティングされた塗布液は、次の乾燥工程で溶剤が蒸発除去される。この工程で、塗布液中で均一に溶解していた高分子量のポリエステル樹脂は粒子となって紫外線硬化型樹脂中に析出する。塗膜を乾燥した後、プラスチックフィルムに紫外線を照射することにより、紫外線硬化型樹脂が架橋・硬化して硬化型樹脂層および機能層を形成する。この硬化の工程で、高分子量のポリエステル樹脂の粒子はハードコート層中に固定されるとともに、硬化型樹脂層および機能層の表面に突起を形成し広領域における表面粗さを向上させる。
 また、硬化型樹脂層の厚みは0.1μm以上15μm以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上10μm以下の範囲であり、特に好ましくは1μm以上8μm以下の範囲である。硬化型樹脂層の厚みが0.1μm以上の場合には、十分な突起が形成され好ましい。一方、15μm以下であれば、生産性がよく好ましい。また、硬化型樹脂層が厚いと透明導電性フィルムの剛軟度を増加させる傾向にある。
 また、機能層の厚みは0.1μm以上15μm以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上15μm以下の範囲であり、特に好ましくは1μm以上10μmの範囲である。機能層が厚いと透明導電性フィルムの剛軟度を低下させる傾向にある。機能層の厚みが0.1μm以上の場合には、十分な突起が形成され好ましい。一方、15μm以下であれば、生産性がよく好ましい。
 硬化型樹脂層に含まれる無機粒子・有機粒子・非相溶樹脂の添加量、さらに硬化型樹脂層の厚みが透明導電性フィルムの剛軟度に及ぼす影響に対して、機能層に含まれる無機粒子・有機粒子・非相溶樹脂の添加量、さらに機能層の厚みを適切に選択することにより透明導電性フィルムの剛軟度を上記の適切な値にすることができる。
 よって、本発明においては、単に機能層を設ければ本発明の奏する効果を得られるものではなく、本発明に係る特徴を有することで、透明導電性フィルムの剛軟度に効果的に寄与できる。
 一態様において、硬化型樹脂層の厚みと機能層の厚みは同一であってもよい。また、別の態様において、例えば、硬化型樹脂層の厚みと機能層の厚みの差の絶対値は、以下の関係を有する。
  0.1μm≦ |硬化型樹脂層の厚み-機能層の厚み|≦3μm
 このように、本発明においては、硬化型樹脂層の厚みと機能層の厚みに差を設けることでも、透明導電性フィルムの剛軟度を、本発明おいて更に好ましい範囲に調整できる。また、ペン摺動耐久性などの各種特性を、より効果的に発現することができ、その上、軽快な操作性を有する透明導電性フィルムを得ることができる。
 また、硬化型樹脂層の単位体積あたりの粒子質量と、機能層の単位体積あたりの粒子質量は、異なることが好ましい。
 本発明に係る易接着層は、ウレタン樹脂、架橋剤、及びポリエステル樹脂を含有する組成物から形成されることが好ましい。架橋剤としては、ブロックイソシアネートが好ましく、3官能以上のブロックイソシアネートがさらに好ましく4官能以上のブロックイソシアネートが特に好ましい。易接着層の厚みは、0.001μm以上2.00μm以下が好ましい。
 以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、実施例における各種測定評価は下記の方法により行った。
(1)全光線透過率
 JIS-K7361-1:1997に準拠し、日本電色工業(株)製NDH-2000を用いて、全光線透過率を測定した。
(2)表面抵抗値
 JIS-K7194:1994に準拠し、4端子法にて測定した。測定機は、(株)三菱化学アナリテック製 Lotesta AX MCP-T370を用いた。
(3)平均最大山高さ評価
 平均最大山高さは5点の最大山高さの平均である。5点の選び方は、まず任意の1点Aを選択する。次に、Aに対してフィルムの長手(MD)方向の上下流1cmに各1点、計2点を選択する。次に、Aに対してフィルムの幅(TD)方向の左右1cmに各1点、計2点を選択する。最大山高さは、ISO 25178に規定されるものであり、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ10倍))を用いて、最大山高さを求めた。また、1nm未満の値は、四捨五入によりまるめた。
(4)透明導電膜の結晶化度
 透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、導電性薄膜面を外向きにして適当な樹脂ブロックの上面に貼り付けた。これをトリミングしたのち、一般的なウルトラミクロトームの技法によってフィルム表面にほぼ平行な超薄切片を作製した。
 この切片を透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM-2010)で観察して著しい損傷がない導電性薄膜表面部分を選び、加速電圧200kV、直接倍率40000倍で写真撮影を行った。
 透明導電膜の結晶性評価として、透過型電子顕微鏡下で観察される結晶粒の割合、すなわち結晶化度を観察した。
(5)透明導電膜の厚み(膜厚)
 透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、電子顕微鏡用エポキシ樹脂に包埋した。これをウルトラミクロトームの試料ホルダに固定し、包埋した試料片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片の薄膜の著しい損傷がない部位において、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM-2010)を用い、加速電圧200kV、明視野で観察倍率1万倍にて写真撮影を行って得られた写真から膜厚を求めた。
(6)ペン摺動耐久性試験
 透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜を用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して、配置しタッチパネルを作製した。次にポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に2.5Nの荷重をかけ、5万往復の直線摺動試験をタッチパネルに行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は180mm/秒とした。この摺動耐久性試験後に、ペン荷重0.8Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定した。ON抵抗は10kΩ以下であるのが望ましい。
(7)透明導電膜中に含まれる酸化スズの含有率の測定
 試料を切りとって(約15cm)石英製三角フラスコにいれ、6mol/l塩酸20mlを加え、酸の揮発がないようにフィルムシールをした。室温で時々揺り動かしながら9日間放置し、透明導電膜を溶解させた。残フィルムを取り出し、透明導電膜が溶解した塩酸を測定液とした。溶解液中のIn、Snは、ICP発光分析装置(メーカー名;リガク、装置型式;CIROS-120 EOP)を用いて、検量線法により求めた。各元素の測定波長は、干渉のない、感度の高い波長を選択した。また、標準溶液は、市販のIn、Snの標準溶液を希釈して用いた。
(8)入力荷重試験方法
 透明導電性フィルム(サイズ:220mm×135mm)を一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板(サイズ:232mm×151mm)上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜Aを用いた。
 インジウム-スズ複合酸化物薄膜付きガラス基板、以下、ITOガラスとも称する、の透明導電性薄膜A側に、ドットスペーサーとしてエポキシ樹脂(縦60μm×横60μm×高さ5μm)を4mmピッチの正方格子状に配置した。
 次に、ITOガラスの四隅の角のいずれか1つを起点として、190mm×135mmの長方形ができるようにITOガラスの透明導電性薄膜A側に両面テープ(厚み:105μm、幅6mm)を貼った。
次に、ITOガラスに貼った両面テープ上に、透明導電性フィルムの透明導電膜B側を貼り付け、透明導電性薄膜Aと透明導電膜Bとが対面するように積層する。
 このとき、透明導電性フィルムの一方の短辺側が、ITOガラスからはみ出るようにする。
次にITOガラスと透明導電性フィルムをテスターでつなぐ。
次に、透明導電性フィルム側からポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)で荷重をかけていき、テスターで計測した抵抗値が安定した時の荷重値を入力開始荷重とする。
 ペンで荷重をかける位置は、4つのドットスペーサーに囲まれた中心領域であり、3点における入力開始荷重の平均値を算出する。
 ペンで荷重をかける位置は、図6に示すように4つのドットスペーサーの中心領域とした。また、入力開始荷重は両面テープから50mm以上離れた任意の3点を測定し平均値をとった。小数点は四捨五入した。
(9)フィルム剛軟度試験方法
 透明導電性フィルムから20 mm× 250 mm の試験片を採取し、透明導電層が上になるようにして試験片を表面の滑らかな水平台の上に配置する。このとき試験片の20mm×20mmの部分のみ水平台の上に置き、20mm×230mmは水平台の外に出るように置く。また、試験片の20mm×20mmの部分の上におもりを置く。このとき、試験片と水平台の間に隙間ができないように、おもりの重量、サイズを選択する。次に、水平台の高さとフィルムの先端の高さの差(=δ)をスケールによって読む。次に以下の式(1)に数値を代入して剛軟度を算出する。
 式(1) (g×a×b×L4)÷8δ (N・cm)
 g=重力加速度、a=試験片の短辺の長さ、b=試験片の比重、L=試験片の長さ、δ=水平台の高さとフィルムの先端の高さの差
(10)平均最大山高さに対する最大山高さの最大値および最大山高さの最小値の評価
 平均最大山高さ評価で測定した5点の最大山高さの値のうち、最大値および最小値を平均最大山高さで割り算する。
(11)付着性試験
 JIS K5600-5-6:1999に準拠して実施した。
下記表における結果は、付着性を残存面積率で示している。残存面積率の最高値は100%である。表中における付着性試験の残存面積率が100%に近いほど、剥離面積が少ない。
(12)ペン入力安定性試験方法
 透明導電性フィルム(サイズ:220mm×135mm)を一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板(サイズ:232mm×151mm)上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜Aを用いる。
 インジウム-スズ複合酸化物薄膜付きガラス基板、以下、ITOガラスとも称する、の透明導電性薄膜A側に、ドットスペーサーとしてエポキシ樹脂(縦60μm×横60μm×高さ5μm)を4mmピッチの正方格子状に配置する。
次に、ITOガラスの四隅の角のいずれか1つを起点として、190mm×135mmの長方形ができるようにITOガラスの透明導電性薄膜A側に両面テープ(厚み:105μm、幅6mm)を貼る。
 次に、ITOガラスに貼った両面テープ上に、透明導電性フィルムの透明導電膜B側を貼り付け、透明導電性薄膜Aと透明導電膜Bとが対面するように積層する。
このとき、透明導電性フィルムの一方の短辺側が、ITOガラスからはみ出るようにする。
次にITOガラスと透明導電性フィルムに定電圧電源を接続する。次にITOガラスと透明導電性フィルムとの電圧を計測できるレコーダー(キーエンス社製、GR-7000)を接続する。ここでは、レコーダーは電圧の時間変化を観測するために用いる。次に定電圧電源に6V印加し、レコーダーで電圧を0.02ミリ秒単位で計測開始する。次に、透明導電性フィルム側からポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)で1秒間に5回のペースで50gの荷重をかける。ペンで荷重をかける位置は、4つのドットスペーサーに囲まれた中心領域である。透明導電性フィルムにペンで荷重をかけたときの電圧の時間変化のデータをレコーダーから取り出す。ペンが透明導電性フィルムから離れ始めるときに電圧が減少するのだが、電圧が6Vから減少する時を起点とし、電圧が5Vになるまでの時間を測定し、電圧ロス時間として記録する。図7参照。
(13)接触面積率評価
 透明導電性フィルムの導電面について、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ50倍))を用い、測定長100μm~200μmの範囲で、JIS B 0601-2001に従って算術平均粗さRaを測定する。ただし、「Rp-平均高さ-Ra≦0.20μm」と「(Rp-平均高さ)÷Ra≦5.0」のどちらか一方もしくは両方を満たし、さらにRsm≦30μmを満たすようにRaを測定する。ここで、Rp、RsmはJIS B 0601-2001に従って測定する。平均高さは測定長における高さの平均値である。前記条件を満たせない場合は、異なる点で再測定する。次に、同じ透明導電性フィルムの導電面について、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ10倍))を用い、さらに同測定装置にある粒子解析を使い「Ra-15nm-平均高さ」を閾値として断面積の総和を求める。断面積の総和を測定視野の面積で割った値に100をかけた値を接触面積率とする。
 実施例、比較例において使用した透明プラスチックフィルム基材は、両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡社製、A4380、厚みは表2に記載)である。硬化型樹脂層として、光重合開始剤含有アクリル系樹脂(大日精化工業社製、セイカビーム(登録商標)EXF-01J)100質量部に、表2に記載の平均粒子径のシリカ粒子を記載の量を配合し、溶剤としてトルエン/MEK(8/2:質量比)の混合溶媒を、固形分濃度を表2の記載の値になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した(この塗布液を以下塗布液Aと呼ぶ)。塗膜の厚みを表3に記載の値になるように、調製した塗布液を、マイヤーバーを用いて塗布した。80℃で1分間乾燥を行った後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、UB042-5AM-W型)を用いて紫外線を照射(光量:300mJ/cm)し、塗膜を硬化させた。
 また、表3に示す条件で、機能層を、透明プラスチック基材における上記硬化型樹脂層とは反対側の面に設けた。
(実施例1~7)
 各実施例水準は表1に示した条件のもと、以下の通り実施した。
 真空槽にフィルムを投入し、1.5×10-4Paまで真空引きをした。次に、酸素導入後に不活性ガスとしてアルゴンを導入し全圧を0.6Paにした。
 インジウム-スズ複合酸化物の焼結ターゲット、あるいは酸化スズを含まない酸化インジウム焼結ターゲットに3W/cmの電力密度で電力を投入し、DCマグネトロンスパッタリング法により、透明導電膜を成膜した。膜厚についてはフィルムがターゲット上を通過するときの速度を変えて制御した。また、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比については、ガス分析装置(インフィコン社製、トランスペクターXPR3)を用いて測定した。各実施例水準において、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する水分圧の比を調節すべく、表1に記載されるように、ボンバード工程の有無、フィルムロール端面の凹凸高低差、フィルムが接触走行しているセンターロールの温度を制御する温調機の温媒の温度を調節した。フィルムロールへの成膜開始時から成膜終了時までの温度の最大値と最小値の丁度真ん中に当たる温度を中心値として表1に記載した。
 透明導電膜を成膜積層したフィルムは、表1に記載の熱処理をした後、測定を実施した。測定結果を表1~3に示す。
(比較例1~8)
 表1~3に記載の条件で実施例1と同様に透明導電性フィルムを作製して評価した。結果を表1~3に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表1~3に記載のとおり、実施例1~7記載の透明導電性フィルムは、入力開始荷重が本発明の範囲内であるため、抵抗膜式タッチパネルに用いた際の軽快な操作性に優れ、電圧ロス時間が本発明の範囲内であるため、ペン入力安定性に優れ、ペン摺動耐久性にも優れており、各特性を兼備している。しかしながら、比較例1~8は軽快な操作性、ペン入力安定性およびペン摺動耐久性をすべて満たすことができていない。
 上記の通り、本発明によれば、軽快な操作性、優れたペン入力安定性および優れたペン摺動耐久性を有する透明導電性フィルムを提供することができ、これは抵抗膜式タッチパネル等の用途に極めて有用である。
   1.フィルム
   2.センターロール
   3.チムニー
   4.インジウム-スズ複合酸化物のターゲット
   5.透明導電膜
   6.硬化型樹脂層
   7.透明プラスチックフィルム基材
   8.機能層
   9.易接着層
   10.ITOガラス
   11.ドットスペーサー
   12.ペンで荷重をかける位置
   13.時間
   14.電圧
   15.電圧ロス時間
 

Claims (10)

  1.  透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面側にインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、
    以下の入力荷重試験による透明導電フィルムの入力開始荷重が3g以上15g以下であり、さらに、以下のペン入力安定性試験による透明導電性フィルムの電圧ロス時間が、
    0.00ミリ秒以上0.40ミリ秒以下である透明導電性フィルム。
    (入力荷重試験方法)
     透明導電性フィルム(サイズ:220mm×135mm)を一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板(サイズ:232mm×151mm)上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜Aを用いる。
     インジウム-スズ複合酸化物薄膜付きガラス基板、以下、ITOガラスとも称する、の透明導電性薄膜A側に、ドットスペーサーとしてエポキシ樹脂(縦60μm×横60μm×高さ5μm)を4mmピッチの正方格子状に配置する。
     次に、ITOガラスの四隅の角のいずれか1つを起点として、190mm×135mmの長方形ができるようにITOガラスの透明導電性薄膜A側に両面テープ(厚み:105μm、幅6mm)を貼る。
     次に、ITOガラスに貼った両面テープ上に、透明導電性フィルムの透明導電膜B側を貼り付け、透明導電性薄膜Aと透明導電膜Bとが対面するように積層する。
    このとき、透明導電性フィルムの一方の短辺側が、ITOガラスからはみ出るようにする。
    次にITOガラスと透明導電性フィルムをテスターでつなぐ。
    次に、透明導電性フィルム側からポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)で荷重をかけていき、テスターで計測した抵抗値が安定した時の荷重値を入力開始荷重とする。
     ペンで荷重をかける位置は、4つのドットスペーサーに囲まれた中心領域であり、3点における入力開始荷重の平均値を算出する。
    (ペン入力安定性試験方法)
     透明導電性フィルム(サイズ:220mm×135mm)を一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板(サイズ:232mm×151mm)上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜Aを用いる。
     インジウム-スズ複合酸化物薄膜付きガラス基板、以下、ITOガラスとも称する、の透明導電性薄膜A側に、ドットスペーサーとしてエポキシ樹脂(縦60μm×横60μm×高さ5μm)を4mmピッチの正方格子状に配置する。
     次に、ITOガラスの四隅の角のいずれか1つを起点として、190mm×135mmの長方形ができるようにITOガラスの透明導電性薄膜A側に両面テープ(厚み:105μm、幅6mm)を貼る。
     次に、ITOガラスに貼った両面テープ上に、透明導電性フィルムの透明導電膜B側を貼り付け、透明導電性薄膜Aと透明導電膜Bとが対面するように積層する。
     このとき、透明導電性フィルムの一方の短辺側が、ITOガラスからはみ出るようにする。
    次にITOガラスと透明導電性フィルムに定電圧電源を接続する。次にITOガラスと透明導電性フィルムとの電圧を計測できるレコーダーを接続する。次に定電圧電源に6V印加し、レコーダーで電圧を0.02ミリ秒単位で計測開始する。次に、透明導電性フィルム側からポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)で1秒間に5回のペースで50gの荷重をかける。ペンで荷重をかける位置は、4つのドットスペーサーに囲まれた中心領域である。透明導電性フィルムにペンで荷重をかけたときの電圧の時間変化のデータをレコーダーから取り出す。ペンが透明導電性フィルムから離れ始め、電圧が6Vから減少する時を起点とし、電圧が5Vになるまでの時間を測定し、電圧ロス時間として記録する。
  2. 下記のフィルム剛軟度試験の剛軟度が0.23N・cm以上0.90N・cm以下であって、さらに透明導電性フィルムの導電面の下記の平均最大山高さが下記式(2-1)および式(2-2)を満たし、さらに、下記の接触面積率評価で算出された値が式(2-3)を満たす請求項1に記載の透明導電性フィルム。
    (フィルム剛軟度試験方法)
    透明導電性フィルムから20 mm× 250 mm の試験片を採取し、透明導電層が上になるようにして試験片を表面の滑らかな水平台の上に配置する。このとき試験片の20mm×20mmの部分のみ水平台の上に置き、20mm×230mmは水平台の外に出るように置く。また、試験片の20mm×20mmの部分の上におもりを置く。このとき、試験片と水平台の間に隙間ができないように、おもりの重量、サイズを選択する。
     次に、水平台の高さとフィルムの先端の高さの差、以下δ、をスケールによって読む。次に以下の式(1)に数値を代入して剛軟度を算出する。
     式(1) (g×a×b×L4)÷8δ (N・cm)
     g=重力加速度、a=試験片の短辺の長さ、b=試験片の比重、L=試験片の長さ、δ=水平台の高さとフィルムの先端の高さの差
    (平均最大山高さ評価)
     平均最大山高さは5点の最大山高さの平均である。5点の選び方は、まず任意の1点Aを選択する。次に、Aに対してフィルムの長手(MD)方向の上下流1cmに各1点、計2点を選択する。次に、Aに対してフィルムの幅(TD)方向の左右1cmに各1点、計2点を選択する。最大山高さは、ISO 25178に規定されるものであり、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ10倍))を用いて、最大山高さを求めた。また、1nm未満の値は、四捨五入によりまるめた。
    (接触面積率評価)
     透明導電性フィルムの導電面について、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ50倍))を用い、測定長100μm~200μmの範囲で、JIS B 0601-2001に従って算術平均粗さRaを測定する。ただし、「Rp-平均高さ-Ra≦0.20μm」と「(Rp-平均高さ)÷Ra≦5.0」のどちらか一方もしくは両方を満たし、さらにRsm≦30μmを満たすようにRaを測定する。ここで、Rp、RsmはJIS B 0601-2001に従って測定する。平均高さは測定長における高さの平均値である。前記条件を満たせない場合は、異なる点で再測定する。次に、同じ透明導電性フィルムの導電面について、3次元表面形状測定装置バートスキャン(菱化システム社製、R5500H-M100(測定条件:waveモード、測定波長560nm、対物レンズ10倍))を用い、さらに同測定装置にある粒子解析を使い「Ra-15nm-平均高さ」を閾値として断面積の総和を求める。断面積の総和を測定視野の面積で割った値に100をかけた値を接触面積率とする。
     式(2-1) 平均最大山高さ(μm)≧4.7×剛軟度-1.8
     式(2-2) 0.005(μm)≦平均最大山高さ(μm)≦12.000(μm)
     式(2-3) 接触面積率(%)≧32.6×剛軟度+17.2
  3.  前記平均最大山高さ評価における最大山高さの最大値が、前記平均最大山高さの1.0倍を超え1.4倍以下であり、かつ、
    前記平均最大山高さ評価における最大山高さの最小値が、前記平均最大山高さの0.6倍以上1.0倍以下である、請求項2に記載した透明導電性フィルム。
  4.  透明導電膜の厚みが、10nm以上100nm以下である請求項1~3のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
  5.  透明導電膜に含まれる酸化スズの濃度が0.5質量%以上40質量%以下である請求項1~4のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
  6.  透明導電膜と透明プラスチックフィルム基材の間に、硬化型樹脂層を有し、
    さらに透明プラスチックフィルム基材の前記透明導電膜とは反対側に、機能層を有する請求項1~5のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
  7.  透明プラスチックフィルム基材の少なくとも1方の側に、さらに易接着層を有する請求項1~6のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
  8.  易接着層が、透明プラスチックフィルム基材と硬化型樹脂層との間、又は透明プラスチック基材と機能層との間の少なくとも1方の位置に配置される、請求項7に記載の透明導電性フィルム。
  9.  以下のペン摺動耐久性試験による透明導電フィルムの透明導電膜のON抵抗が10kΩ以下である請求項1~8のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
    (ペン摺動耐久性試験)
     透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜を用いる。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して、配置しタッチパネルを作製した。次にポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に2.5Nの荷重をかけ、5万往復の直線摺動試験をタッチパネルに行う。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は180mm/秒とする。この摺動耐久性試験後に、ペン荷重0.8Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定する。
  10.  透明導電膜の表面における、JIS K5600-5-6:1999に準じた付着性試験において、透明導電膜の残存面積率が95%以上である、請求項1~9のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
     
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