JP5481992B2 - 透明導電性フィルム - Google Patents

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本発明は、透明プラスチックフィルム基材上に酸化インジウムを主とした透明導電膜をスパッタリング法により積層した透明導電性フィルム、特にペン入力用タッチパネルに用いた際にペン摺動耐久性に優れるとともにタッチパネルの上部電極として使用する際などにおいて平面性の良好なものが得られる透明導電性フィルムに関するものである。
透明プラスチック基材上に、透明でかつ抵抗が小さい薄膜を積層した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のようなフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極等として、電気・電子分野の用途に広く使用されている。
携帯情報端末やタッチパネル付きノートパソコンの普及により、最近では従来以上のペン摺動耐久性に優れたタッチパネルが要求されるようになってきた。タッチパネルにペン入力する際、固定電極側の透明導電性薄膜と可動電極(フィルム電極)側の透明導電性薄膜同士が接触するが、この際にペン荷重で透明導電性薄膜にクラック、剥離等の破壊が生じない、優れたペン摺動耐久性を有する透明導電性フィルムが要望されている。
ペン摺動耐久性を向上させる手段として、可動電極(フィルム電極)側の透明導電性薄膜を結晶質にする方法がある(特許文献1〜11)。
しかしながら、従来の透明導電性フィルムは次のような課題を有している。
特許文献1〜7は、透明プラスチックフィルム基材上に有機珪素化合物の加水分解により生成された下地層を設け、さらに結晶質の透明導電性薄膜を成膜した透明導電性フィルムである。しかしながら、これらの透明導電性フィルムは、後述のペン摺動耐久性試験に記載のポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で30万回の直線摺動試験後には、透明導電性薄膜に剥離が生じた結果、白化してしまい、ペン摺動に対する耐久性は不十分であった。
特許文献8〜11は、スパッタリング時の成膜雰囲気中の水を極度に低減して、結晶質の透明導電性薄膜を成膜することを特徴とした透明導電性フィルムである。しかしながら、これらの透明導電性フィルムを作製するには、長時間の真空引きの実施もしくは非常に能力の高い真空ポンプが必要であり、産業上の利用に適していない。また、特許文献11の透明導電性フィルムは、後述のペン摺動耐久性試験に記載のポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で30万回の直線摺動試験後には、透明導電性薄膜に剥離が生じた結果、白化してしまい、ペン摺動に対する耐久性は不十分であった。
また、従来の結晶質の透明導電性薄膜を成膜した透明導電性フィルムは、結晶化のために熱処理を行うため、この時に基材の透明フィルムの残留歪が緩和され、熱収縮率が低い透明導電性フィルムとなってしまい、10インチを超える大型のタッチパネルの上部電極として使用する際などにおいて熱処理で適度に収縮させて平面性の良好ものに仕上げることができないという問題もあった。
特開昭60−131711号公報 特開昭61−79647号公報 特開昭61−183809号公報 特開平2−194943号公報 特開平2−276630号公報 特開平8−64034号公報 特開平11−286078号公報 特開平2000−144379号公報 特開2000−238178号公報 特開2004−71171号公報 国際公開WO2000/051139
本発明の目的は、上記の従来の問題点に鑑み、タッチパネルに用いた際のペン摺動耐久性に優れ、特にポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で30万回の摺動試験後でも透明導電性薄膜が破壊されない透明導電性フィルムを産業上利用できる手段で提供するとともに、適度な熱収縮率を透明導電性フィルムに持たせることによって大型のタッチパネルの上部電極として使用する際などにおいて熱処理で適度に収縮させて平面性の良好ものに仕上げることができる透明導電性フィルムを提供することにある。
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決することができた本発明の透明導電性フィルムとは、以下の構成よりなる。
1.透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に酸化インジウムを主成分とした透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、透明導電膜の厚みが10〜200nmであり、透明導電性フィルムの少なくとも一方向の120℃60分における収縮率が0.20〜0.70%であり、120℃60分熱処理後の透明導電膜の酸化インジウムの平均結晶粒径が30〜1000nmで、かつ、透明導電膜の結晶質部に対する非晶質部の比が0.00〜0.50であることを特徴とする透明導電性フィルム。
2.透明導電性フィルムの流れ方向の120℃60分における収縮率HMDと、透明導電性フィルムの幅方向の120℃60分における収縮率HTDが(1)式を満足することを特徴とする前記1に記載の透明導電性フィルム。
0.00%≦|HMD−HTD|≦0.30% (1)
3.透明導電膜が、酸化インジウムを主成分とし、酸化スズを0.5〜8質量%含むことを特徴とする前記1又は2に記載の透明導電性フィルム。
4.120℃60分熱処理後の透明導電膜の酸化インジウムの結晶粒径の変動係数が0.00〜0.30であることを特徴とする前記1〜3に記載の透明導電性フィルム。
5.透明プラスチックフィルムの少なくとも一方の面に硬化型樹脂硬化層を形成した積層フィルムからなる基材上の少なくとも一方の面に酸化インジウムを主成分とした透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、透明導電性フィルムの少なくとも一方向の120℃60分における収縮率が0.20〜0.70%であり、120℃60分熱処理後の透明導電膜の酸化インジウムの平均結晶粒径が30〜1000nmで、かつ、透明導電膜の結晶質部に対する非晶質部の比が0.00〜0.50であることを特徴とする透明導電性フィルム。
6.前記硬化型樹脂が紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする前記5に記載の透明導電性フィルム。
7.前記1〜6いずれかに記載の透明導電性フィルムを可動電極側フィルムとして使用したタッチパネル。
上記の通り、本発明によれば、透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に透明導電膜を成膜するときに120℃60分熱処理後の透明導電膜の酸化インジウムの平均結晶粒径、結晶/非晶の割合、結晶粒径の変動係数を制御することによって、非常に優れたペン摺動耐久性を持つ透明導電性フィルムを作製できるとともに、透明導電性フィルムは適度な熱収縮性も持たせられるので、得られた透明導電性フィルムと用いると、ペン摺動耐久性が優れ、かつ平面性が良好なペン入力用タッチパネルを作製することができる。
本発明の透明導電性フィルムを得るための方法〔1〕に記載の、フィルムとカソードと「フィルムから一番近いアノード」の配置図である。
本発明の透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に特定の酸化インジウムを主成分とした透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、従来の酸化インジウム透明導電膜が積層された透明導電性フィルムでは達成できない平面化処理のための熱収縮性を持ち、かつ低い熱処理温度で結晶質の酸化インジウムを主成分とした透明導電膜を形成できる透明導電性フィルムである。
以下詳細に本発明の透明導電性フィルムについて説明する。
本発明の透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に酸化インジウムを主成分とした透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、透明導電膜の酸化インジウムの平均結晶粒径が30〜1000nmであり、かつ透明導電膜の結晶質部に対する非晶質部の比が0.00〜0.50であり、透明導電性フィルムの少なくとも一方向の120℃60分における収縮率が0.20〜0.70%である。
更に、透明導電性フィルムの流れ方向の120℃60分における収縮率HMDと、透明導電性フィルムの幅方向の120℃60分における収縮率HTDは、(1)式を満足することが好ましい。
0.00%≦|HMD−HTD|≦0.30% (1)
更に好ましくは、透明導電性フィルムの透明導電膜の酸化インジウムの結晶粒径の変動係数は、0.00〜0.30である。
ここで結晶質の酸化インジウム、および透明導電膜の酸化インジウムの平均結晶粒径と結晶粒径の変動係数の定義は次の通りである。
透過型電子顕微鏡下で透明導電膜層を観察したときに、多角形状の領域を持つものを結晶質の酸化インジウムと定義する。また、その多角形状の領域を酸化インジウムの結晶粒とし、すべての結晶粒の面積を出す。結晶粒の面積を円周率πで割った値の平方根を2倍した値を結晶粒径とする。すべての結晶粒の結晶粒径から平均結晶粒径と変動係数を計算する。
本発明の透明導電性フィルムを構成する透明導電膜の酸化インジウムの平均結晶粒径は30〜1000nmである。特に好ましくは35〜800nmである。平均結晶粒径が30nmより小さいときは結晶粒同士の結合力が弱いためペン摺動耐久性が悪化する。逆に、平均結晶粒径が1000nmを超えると耐屈曲性が悪化するため、可撓性が低下しプラスチックフィルム基材に透明導電薄膜を形成する意味を著しく逸し、タッチパネルの上部電極への使用などに適さなくなる場合がある。
本発明の透明導電性フィルムを構成する透明導電膜の酸化インジウムの結晶粒径の変動係数は0.00〜0.30である。特に好ましくは0.00〜0.25である。結晶粒径の変動係数が0.00〜0.30であれば、ペン摺動実施時に、ペンから透明導電膜が受ける力が均一にかかるため、亀裂や白化の発生を抑制できる。結晶粒径の変動係数が0.30より大きいと、結晶粒サイズにばらつきが大きくなるため、ペンから透明導電膜が受ける力が不均一になるため、ペンからの圧力が大きくかかった場所から、亀裂や白化が発生し、さらにペン摺動を継続すると、そこを起点にペン摺動部分全体が悪化する。酸化インジウムの結晶粒径が揃っていることは、好ましいので変動係数は零も好ましいが、安定的に作製できるのは0.05以上である。
また、本発明における透明導電膜の酸化インジウムの結晶質部に対する非晶質部の比は、0.00〜0.50であり、好ましくは0.00〜0.45である。前記の比が0.50より大きいと、結晶粒が非晶部の中に島状に浮いているような状態をとる。このような状態では、ペン摺動耐久試験を行った際に、非晶部分がまず剥離し、その部分をきっかけにして結晶粒も剥離し、透明導電性薄膜が破壊されてしまう。
前記の比が0.50以下であれば、結晶粒が非晶部の中に島状に浮いているような状態はとらず、結晶粒同士がすべてつながっている状態をとる。このような状態であれば、ペン摺動耐久試験を行っても、結晶粒同士でお互いを支えあうので、ペン摺動耐久性が非常に高いものが得られる。
本発明の透明導電性フィルムを得るためには以下のパラメーターが重要である。
透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に結晶質の酸化インジウムを主とした透明導電膜を成膜する方法において、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガス分圧に対する質量数28のガス分圧の比を5.0×10−4〜5.0×10−2として、かつ成膜中はフィルム温度を80℃以下に保持して透明プラスチックフィルム上に透明導電膜を成膜することが望ましい。スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガス分圧に対する質量数28のガス分圧の比を5.0×10−4以下にするためには非常に能力の高い真空ポンプが必要であり、経済的な実施が難しくなる。
成膜雰囲気中の質量数28のガスは主に一酸化炭素、窒素である。特に、一酸化炭素ガスはフィルムに透明導電膜を成膜するときに多く放出される。質量数28のガスは主にフィルムに含まれる有機成分がプラズマにより分解して出てきたものである。透明導電膜を成膜するときに、フィルムから非常に多くの有機成分が揮発するため、透明導電膜の結晶粒が不均一になりやすい。有機成分の揮発量を低下させることが、透明導電膜の結晶粒の均一性の向上につながる。有機成分の揮発量は質量数28のガスを観測すればよい。本発明では、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガス分圧に対する質量数28のガス分圧の比を5.0×10−4〜5.0×10−2に制御することにより、透明導電膜の結晶粒を均一化できペン摺動耐久性が優れた透明導電膜を成膜できることを見出した。
本発明の透明導電性フィルムを得るためには以下の方法〔1〕、〔2〕、〔3〕が望ましい。
〔1〕透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に酸化インジウムの均一性の高い結晶粒を主とした透明導電膜が積層された透明導電性フィルムを成膜するには、カソードと「フィルムから一番近いアノード」(ただしフィルムを走行させるロールは除く)の間の距離に対するフィルムと「フィルムから一番近いアノード」の間の距離の比が0.07以上であることが望ましい。フィルムとカソードと「フィルムから一番近いアノード」の配置に関しては、図1参照。カソードと「フィルムから一番近いアノード」の間の距離に対するフィルムと「フィルムから一番近いアノード」の間の距離の比が0.07より小さいと、フィルムへのイオン照射量が多くなるため、フィルムから有機成分が多く揮発し、均一な結晶粒の形成が阻害される。
〔2〕透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に酸化インジウムの均一性の高い結晶粒を主とした透明導電膜が積層された透明導電性フィルムを成膜するには、真空状態にしたときにフィルムが巻き締まりにくくすることが望ましい。具体的には、フィルムに保護フィルムを貼り合わせる、フィルムにナールをつける、フィルムを50〜100N/mといった弱い力で巻くことなどが望ましい。ただし、フィルムを50N/m未満で巻くとフィルムを運ぶときに巻きズレが生じるので適さない。フィルムが巻き締まってしまうと、フィルム内部から有機成分が抜けていく箇所が少なくなってしまうので、透明導電膜を成膜するときに、フィルムから有機成分が多く揮発するため、透明導電膜の結晶粒が不均一になる。
〔3〕透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に酸化インジウムの均一性の高い結晶粒を主とした透明導電膜が積層された透明導電性フィルムを成膜するには、透明導電膜を成膜する前に、フィルムをボンバード工程に通すことが望ましい。ボンバード工程とは、アルゴンガスなどの不活性ガスだけ、もしくは、酸素などの反応性ガスと不活性ガスの混合ガスを流した状態で、電圧を印加し放電を行い、プラズマを発生させることである。具体的には、SUSターゲットなどでRFスパッタリングにより、フィルムをボンバードすることが望ましい。ボンバード工程によりフィルムがプラズマにさらされるため、フィルムから有機成分が揮発し、透明導電膜を成膜するときにフィルムから揮発する有機成分が減少するため、透明導電膜の結晶粒サイズの均一性が増加し、ペン摺動性を向上させる。
また、成膜中は基板温度を80℃以下に保持して基板上に透明導電膜を形成することが望ましい。80℃以上にするとフィルムからの有機成分が大量に発生するため均一な結晶粒を有する透明導電膜の成膜、すなわちペン摺動耐久性が優れた透明導電膜の成膜を阻害する。さらに、基板温度を80℃以上にすると120℃60分における収縮率が0.20〜0.70%の範囲よりも低くなってしまう。このため、成膜中にプラスチックフィルム背面のロールは80℃以下で温調することが好ましい。
本発明の透明導電性フィルムを構成する透明導電膜は、酸化インジウムを主成分とし、酸化スズを0.5〜8質量%含むことが望ましい。酸化インジウムに対して酸化スズは不純物添加に相当する。酸化スズの不純物添加により、酸化スズが入った酸化インジウムは融点が増大する。すなわち、酸化スズの不純物添加は結晶化を阻害する方向に働く。酸化スズは0.5〜8質量%を含むことが望ましい。酸化スズが0.5%未満では結晶化はするが、表面抵抗は実用的な水準より高くなるので望ましくない。酸化スズが8質量%より大きい場合は結晶化が困難となりペン摺動耐久性が悪くなる。なお、本発明の透明導電性フィルムの表面抵抗は10〜1000Ω/□が好ましい。
本発明の透明導電性フィルムを構成する透明導電膜の厚みは、10〜200nmであることが望ましい。透明導電膜の厚みが10nm未満になると膜が不均一になってしまうためペン摺動耐久性が弱くなる。また、透明導電膜の厚みが200nmより厚くなると全光線透過率が実用的な水準より低くなるので望ましくない。なお、本発明の透明導電性フィルムの全光線透過率は60〜95%が好ましい。
以上のようにして透明導電性薄膜をプラスチックフィルム上に成膜した透明導電性フィルムは、通常の結晶化のための150℃程度の加熱工程を有していない。このため、透明フィルムの残留歪が緩和されることはなく、熱収縮性の透明導電性フィルムを得ることが可能となる。このため、タッチパネルの上部電極として使用する際などにおいて熱処理で適度に収縮させて平面性の良好なものに仕上げることが可能である。すなわち、透明導電性フィルムの少なくとも一方向の120℃60分における収縮率が0.20〜0.70%であることが好ましい。収縮率は0.25〜0.65%の範囲であることがさらに好ましく、0.30〜0.50%であることが特に好ましい。
また、透明導電性フィルムの流れ方向の120℃60分における収縮率HMDと、透明導電性フィルムの幅方向の120℃60分における収縮率HTDは、(1)式を満足することが好ましい。
0.00%≦|HMD−HTD|≦0.30% (1)
<透明プラスチックフィルム基材>
本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材とは、有機高分子をフィルム状に溶融押出し又は溶液押出しをして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー等が挙げられる。
これらの有機高分子のなかで、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレート等が好適である。また、これらの有機高分子は他の有機重合体の単量体を少量共重合したり、他の有機高分子をブレンドしてもよい。
本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材の厚みは、10〜300μmの範囲であることが好ましく、70〜260μmの範囲が特に好ましい。プラスチックフィルムの厚みが10μm以下では機械的強度が不足し、特にタッチパネルに用いた際のペン入力に対する変形が大きくなる傾向があり、耐久性が不十分となりやすい。一方、厚みが300μmを越えると、タッチパネルに用いた際に、フィルムを変形させるためのペン荷重が大きくなりやすく、好ましくない。
本発明で用いる透明プラスチックフィルムフィルムの少なくとも一方向の120℃60分における収縮率が0.20〜0.70%であることが好ましい。 更に、本発明で用いる透明プラスチックフィルムフィルムの流れ方向の120℃60分における収縮率HMDと、透明導電性フィルムの幅方向の120℃60分における収縮率HTDは、(1)式を満足することが好ましい。
0.00%≦|HMD−HTD|≦0.30% (1)
透明導電性薄膜の成膜工程や後述する硬化性樹脂硬化層の塗工工程で加熱工程はほとんど存在したいため、本発明で用いる透明プラスチックフィルムフィルムは透明導電性フィルムと同様の収縮挙動を有している必要がある。
本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施してもよい。
透明プラスチックフィルム基材に硬化型樹脂硬化層を塗布し、かつその硬化型樹脂硬化層の表面を凹凸にした上に透明導電膜を成膜すると、ペン摺動耐久性の向上を期待することができる。この効果は主に2点ある。1点目は透明導電性薄膜と硬化型樹脂硬化層の付着力が増すことにより、ペン摺動による透明導電膜の剥がれの防止をできるためペン摺動耐久性が向上するという点である。2点目はペン摺動により透明導電薄膜がガラスと接触するときの真の接触面積が減少し、ガラス面と透明導電膜との滑り性が良くなるためペン摺動耐久性が向上するという点である。
また、透明導電性薄膜を成膜する面と反対側の面に硬化型樹脂硬化層を設けてもよい。本発明の透明導電性フィルムをタッチパネルの可動電極として用いる際には、ペンや指による入力が行われるために、可動電極の透明導電性薄膜を形成していない面はキズなどは生じやすい。このキズを防止するためのハードコート層として硬化型樹脂硬化層を有用である。
<硬化型樹脂硬化層>
また、本発明で用いる前記硬化型樹脂は、加熱、紫外線照射、電子線照射等のエネルギー印加により硬化する樹脂であればよく、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。ただし、120℃60分における収縮率が0.20〜0.70%である積層体を得るためには硬化性樹脂硬化層を形成する工程では出来るだけ低温処理することが好ましい。この観点からは、紫外線硬化型樹脂を主成分とすることが好ましい。
このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等から合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂等を挙げることができる。必要に応じて、これらの多官能性の樹脂に単官能性の単量体、例えば、ビニルピロリドン、メチルメタクリレート、スチレン等を加えて共重合させることができる。
また、透明導電性薄膜と硬化型樹脂硬化層との付着力を向上するために、硬化型樹脂硬化層の表面を表面処理することが有効である。具体的な手法としては、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基を増加するためにグロー又はコロナ放電を照射する放電処理法、アミノ基、水酸基、カルボニル基等の極性基を増加させるために酸又はアルカリで処理する化学薬品処理法等が挙げられる。
紫外線硬化型樹脂は、通常、光重合開始剤を添加して使用される。光重合開始剤としては、紫外線を吸収してラジカルを発生する公知の化合物を特に制限なく使用することができ、このような光重合開始剤としては、例えば、各種ベンゾイン類、フェニルケトン類、ベンゾフェノン類等を挙げることができる。光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型樹脂100質量部当たり通常1〜5質量部とすることが好ましい。
また、本発明において硬化型樹脂硬化層には、主たる構成成分である硬化型樹脂のほかに、硬化型樹脂に非相溶な樹脂を併用することが好ましい。マトリックスの硬化型樹脂に非相溶な樹脂を少量併用することで、硬化型樹脂中で相分離が起こり非相溶樹脂を粒子状に分散させることができる。この非相溶樹脂の分散粒子により、硬化型樹脂表面に凹凸を形成させ、広領域における表面粗さを向上させることができる。
硬化型樹脂が前記の紫外線硬化型樹脂の場合、非相溶樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂等が例示される。
本発明において、硬化型樹脂硬化層の主たる構成成分である硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂を用い、硬化型樹脂に非相溶な高分子樹脂として高分子量のポリエステル樹脂を用いる場合、それらの配合割合は、紫外線硬化型樹脂100質量部当たりポリエステル樹脂0.1〜20質量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜10質量部、特に好ましくは0.5〜5質量部である。
前記ポリエステル樹脂の配合量が紫外線硬化型樹脂100質量部当たり0.1質量部未満であると、硬化型樹脂硬化層表面に形成される凸部が小さくなったり、凸部が減少する傾向にあり表面粗さが向上せず、ペン摺動耐久性のさらなる改良効果が発現せず好ましくない。一方、前記ポリエステル樹脂の配合量が紫外線硬化型樹脂100質量部当たり20質量部を超えると、この硬化型樹脂硬化層の強度が低下し、耐薬品性が悪化しやすくなる。
しかしながら、ポリエステル樹脂は紫外線硬化型樹脂と屈折率に差異があるため、硬化型樹脂硬化層のヘーズ値が上昇し透明性を悪化させる傾向があるので好ましくない。逆に、高分子量のポリエステル樹脂の分散粒子による透明性の悪化を積極的に利用し、ヘーズ値が高く防眩機能を有する防眩フィルムとして使用することもできる。
前記の紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤及び高分子量のポリエステル樹脂は、それぞれに共通の溶剤に溶解して塗布液を調製する。使用する溶剤には特に制限はなく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のようなアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のようなエステル系溶剤、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のようなエーテル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のようなケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等のような芳香族炭化水素系溶剤等を単独に、あるいは混合して使用することができる。
塗布液中の樹脂成分の濃度は、コーティング法に応じた粘度等を考慮して適切に選択することができる。例えば、塗布液中に紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤及び高分子量のポリエステル樹脂の合計量が占める割合は、通常は20〜80質量%である。また、この塗布液には、必要に応じて、その他の公知の添加剤、例えば、シリコーン系レベリング剤等を添加してもよい。
本発明において、調製された塗布液は透明プラスチックフィルム基材上にコーティングされる。コーティング法には特に制限はなく、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法等の従来から知られている方法を使用することができる。
コーティングされた塗布液は、次の乾燥工程で溶剤が蒸発除去される。この工程で、塗布液中で均一に溶解していた高分子量のポリエステル樹脂は微粒子となって紫外線硬化型樹脂中に析出する。塗膜を乾燥した後、プラスチックフィルムに紫外線を照射することにより、紫外線硬化型樹脂が架橋・硬化して硬化型樹脂硬化層を形成する。この硬化の工程で、高分子量のポリエステル樹脂の微粒子はハードコート層中に固定されるとともに、硬化型樹脂硬化層の表面に突起を形成し広領域における表面粗さを向上させる。この溶剤乾燥温度はプラスチックフィルムの熱収縮挙動に影響を与えないために、プラスチックフィルムのガラス転移点温度と同程度までにすることが好ましい。
また、硬化型樹脂硬化層の厚みは0.1〜15μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは0.5〜10μmの範囲であり、特に好ましくは1〜8μmの範囲である。硬化型樹脂硬化層の厚みが0.1μm未満の場合には、突起が十分に形成されにくくなる。一方、15μmを超える場合には生産性の観点から好ましくない。
また、硬化型樹脂硬化層の上に、無機層を設けてもかまわない。無機層としては、例えば、珪素やアルミの酸化物や窒化物などが上げられる。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、実施例における各種測定評価は下記の方法に用いて行った。
(1)全光線透過率
JIS−K7361−1に準拠し、日本電色工業(株)製NDH2000を用いて、全光線透過率を測定した。
(2)表面抵抗値
JIS−K7194に準拠し、4端子法にて測定した。測定機は、株式会社三菱化学アナリテック製 ロレスター MCP−T350を用いた。
(3)透明導電膜の酸化インジウムの結晶質判定方法
透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、導電性薄膜面を外向きにして適当な樹脂ブロックの上面に貼り付けた。これをトリミングしたのち、一般的なウルトラミクロトームの技法によってフィルム表面にほぼ平行な超薄切片を作製した。
この切片を透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)で観察して著しい損傷がない導電性薄膜表面部分を選び、加速電圧200kV、直接倍率40000倍で写真撮影を行った。
透過型電子顕微鏡下で透明導電膜層を観察したときに、多角形状の領域を持つものを結晶質の酸化インジウムと定義した。
(4)透明導電膜の酸化インジウムの結晶粒径及び平均結晶粒径
上記透過型電子顕微鏡下で透明導電膜層に観察される多角形状の領域を酸化インジウムの結晶粒とし、結晶粒の面積を出し、結晶粒の面積を円周率πで割った値の平方根を2倍した値を結晶粒径とした。
上記透過型電子顕微鏡下で観察・写真撮影された透明導電膜の酸化インジウムの結晶粒について、すべての結晶粒径を算出し、すべての結晶粒径の平均値を平均結晶粒径とした。
(5)透明導電膜の結晶質部に対する非晶質部の比
上記透過型電子顕微鏡下で透明導電膜層に観察・写真撮影された酸化インジウムのすべての結晶粒について面積を出し、観察・写真撮影した面積との差を非晶質部の面積として、結晶質部に対する非晶質部の比を算出した。
(6)結晶粒径の変動係数
透過型電子顕微鏡下で透明導電膜層に観察されるすべての酸化インジウムの結晶粒径を算出し、それらから平均結晶粒径、標準偏差を計算する。標準偏差を平均結晶粒径で割った値を変動係数とする。
(7)透明導電膜の厚み(膜厚)
透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、電子顕微鏡用エポキシ樹脂に包埋した。これをウルトラミクロトームの試料ホルダに固定し、包埋した試料片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片の薄膜の著しい損傷がない部位において、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)を用い、加速電圧200kV、明視野で観察倍率1万倍にて写真撮影を行って得られた写真から膜厚を求めた。
(9)透明導電性フィルムの収縮率測定
JIS C 2151に準拠し、熱処理前の寸法Aと、120±3℃に保たれた恒温槽中に60分放置後の寸法Bを画像測定器(ミツトヨ社製:QS−L1020Z/AF)で測定して、下記式により収縮率Hを算出した。
H(%)=(A−B)/A×100
透明導電性フィルムの流れ方向および幅方向にサンプリング(20mm×150mm)を行い、透明導電性フィルムの流れ方向の120℃60分における収縮率HMDと、透明導電性フィルムの幅方向の120℃60分における収縮率HTDを測定した。
本発明の透明導電性フィルムを用いて作製したタッチパネルの評価として以下を行った。
(10)ペン摺動耐久性試験
ポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ、30万回(往復15万回)の直線摺動試験をタッチパネルに行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は60mm/秒とした。この摺動耐久性試験後に、まず、摺動部が白化しているかを目視によって観察した。さらに、ペン荷重0.5Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定した。ON抵抗は10kΩ以下であるのが望ましい。
(11)タッチパネルの平面性
タッチパネルの透明導電性フィルム表面側に蛍光灯の光を反射させて、目視確認を行った。この際に透明導電性フィルム表面に蛍光灯が歪まずに映ったときは○、蛍光灯が歪んで映った際には×と判定した。
〔実施例1〜13〕
透明プラスチックフィルム基材は、両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡績社製、A4340、厚み188μm)を用いた。硬化型樹脂硬化層として、光重合開始剤含有アクリル系樹脂(大日精化工業社製、セイカビームEXF−01J)100質量部に、共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロン200、重量平均分子量18,000)を3質量部配合し、溶剤としてトルエン/MEK(8/2:質量比)の混合溶媒を、固形分濃度が50質量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した。二軸配向透明PETフィルムの両面に塗膜の厚みが5μmになるように、調製した塗布液をマイヤーバーを用いて塗布した。70℃で1分間乾燥を行った後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、UB042−5AM−W型)を用いて紫外線を照射(光量:300mJ/cm)し、塗膜を硬化させた。
透明導電性フィルムを得る手法は上記の〔1〕〜〔3〕の方法を採用している。
これらの実施例における透明導電膜作製条件は表1に記載した。また、各実施例において共通の作製条件は以下の通り。
真空槽にフィルムを投入し、2.0×10−4Paまで真空引きをした。次に、酸素分圧が1.5×10−2Paになるように酸素を導入し、その後不活性ガスとしてアルゴンを導入し全圧を0.5Paにした。実施例7のボンバード工程における導入ガスも、前記と同じである。
酸化スズを含む酸化インジウム焼結ターゲット、あるいは酸化スズを含まない酸化インジウム焼結ターゲットに1W/cmの電力密度で電力を投入し、DCマグネトロンスパッタリング法により、透明導電膜を成膜した。膜厚についてはフィルムがターゲット上を通過するときの速度を変えて制御した。また、スパッタリング時の成膜雰囲気の不活性ガスに対する質量数28のガス分圧の比については、ガス分析装置(インフィコン社製、トランスペクターXPR3)を用いて測定した。
まず上記方法で作製した透明導電性フィルムの収縮率を測定した。
以上のようにして得られた透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にプラズマCVD法で厚み20nmのインジウム−スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜(日本曹達社製、S500)を成膜した透明導電性ガラスを用いて、この2枚のパネル板(250mm×190mm)を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して配置し、パネル板の4辺を両面テープ(日東電工社製:No.500)を用いて貼り合せて、12インチサイズのタッチパネルを作製した。この後、平面性を向上させるためにタッチパネルを120℃60分の熱処理を行った。
このタッチパネルを用いてペン摺動耐久性試験およびタッチパネルの平面性を評価した。
さらにタッチパネルから透明導電性フィルムを切り出して、透明導電膜の酸化インジウムの平均結晶粒径、結晶質部に対する非晶質部の比、結晶粒径の変動係数、透明導電性フィルムの全光線透過率、表面抵抗値、透明導電膜の膜厚の測定を行った。
〔実施例14〕
透明プラスチックフィルム基材は、両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡績社製、A4340、厚み188μm)を用い、この一方の面にのみ実施例1と同様の硬化型樹脂硬化層を形成した。さらこの硬化型樹脂硬化層上に、実施例1と同様にして透明導電性薄膜を成膜し、透明導電性フィルムを得た。評価およびタッチパネルの作製は実施例1と同様にして行った。
〔実施例15〕
透明プラスチックフィルム基材は、両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡績社製、A4340、厚み188μm)を用い、この一方の面にのみ実施例1と同様の硬化型樹脂硬化層を形成した。さらこの硬化型樹脂硬化層を形成していない面上に、実施例1と同様にして透明導電性薄膜を成膜し、透明導電性フィルムを得た。評価およびタッチパネルの作製は実施例1と同様にして行った。
〔実施例16〕
透明プラスチックフィルム基材は、両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡績社製、A4340、厚み188μm)を用い、硬化型樹脂硬化層を形成しなかった。さらにPETフィルムの一方の面に実施例1と同様にして透明導電性薄膜を成膜し、透明導電性フィルムを得た。評価およびタッチパネルの作製は実施例1と同様にして行った。
〔比較例1〜8〕
透明プラスチックフィルム基材は、両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡績社製、A4340、厚み188μm)を用い、この両面に実施例1と同様の硬化型樹脂硬化層を形成した。これらの比較例の透明導電膜作製条件については、実施例と同じく表1に記載。また、各比較例において共通の作製条件についても実施例1〜13と同じである。また、実施例と同様にしてタッチパネルを作製し、評価を行った。測定結果を表3に示した。
表2、3に記載のとおり、実施例1〜16記載の透明導電性フィルムは、ペン摺動耐久試験後も摺動部が透明で、ON抵抗も10kΩ以下であり、かつ非常に優れたペン摺動耐久性が得られた。さらにタッチパネルの平面性も良好であった。比較例1、2、4、6はペン摺動耐久試験後に摺動部が白化し、ON抵抗も10kΩ以上であり、ペン摺動耐久性が十分でなかった。比較例3、5、7、8はペン摺動耐久試験は優れているが、他の特性が劣っている。比較例3は全光線透過率が実用的な水準よりも低いために使用に適さない。比較例5は表面抵抗が実用的な水準よりも高いため使用に適さない。比較例7、8はタッチパネルの平面性が十分でない。
上記の通り、本発明によれば、透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に透明導電膜を成膜するときに平均結晶粒径と結晶粒径の変動係数を前記記載の範囲に制御することによって、非常に優れたペン摺動耐久性を持つ透明導電性フィルムを作製できる。また、高い熱収縮率を有しているため、特に大型タッチパネル等の用途に極めて有用である。
1:カソードと「フィルムから一番近いアノード」の間の距離
2:フィルムと「フィルムから一番近いアノード」の間の距離
3:フィルム
4:ロール
5:カバー(フィルムから一番近いアノード)
6:酸化インジウムを主とし、酸化スズを0.5〜8質量%含むターゲット

Claims (7)

  1. 透明プラスチックフィルム基材上の少なくとも一方の面に酸化インジウムを主成分とした透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、透明導電膜の厚みが10〜200nmであり、透明導電性フィルムの少なくとも一方向の120℃60分における収縮率が0.20〜0.70%であり、120℃60分熱処理後の透明導電膜の酸化インジウムの平均結晶粒径が30〜1000nmで、かつ、透明導電膜の結晶質部に対する非晶質部の比が0.00〜0.50であることを特徴とする透明導電性フィルム。
  2. 透明導電性フィルムの流れ方向の120℃60分における収縮率HMDと、透明導電性フィルムの幅方向の120℃60分における収縮率HTDが(1)式を満足することを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
    0.00%≦|HMD−HTD|≦0.30% (1)
  3. 透明導電膜が、酸化インジウムを主成分とし、酸化スズを0.5〜8質量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム。
  4. 120℃60分熱処理後の透明導電膜の酸化インジウムの結晶粒径の変動係数が0.00〜0.30であることを特徴とする請求項1〜3に記載の透明導電性フィルム。
  5. 透明プラスチックフィルムの少なくとも一方の面に硬化型樹脂硬化層を形成した積層フィルムからなる基材上の少なくとも一方の面に酸化インジウムを主成分とした透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、透明導電性フィルムの少なくとも一方向の120℃60分における収縮率が0.20〜0.70%であり、120℃60分熱処理後の透明導電膜の酸化インジウムの平均結晶粒径が30〜1000nmで、かつ、透明導電膜の結晶質部に対する非晶質部の比が0.00〜0.50であることを特徴とする透明導電性フィルム。
  6. 前記硬化型樹脂が紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の透明導電性フィルム。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の透明導電性フィルムを可動電極側フィルムとして使用したタッチパネル。
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