JP2011129527A - 透明導電性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】タッチパネルに用いた際のペン入力耐久性に優れ、特に後述の摺動耐久試験に記載のポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で10万回の摺動試験後でも透明導電性薄膜の劣化がない、透明導電性フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】透明プラスチックフィルム基材上に、紫外線硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層、及び透明導電性薄膜をこの順に積層した透明導電性フィルムの製造方法であって、前記透明導電性フィルムに含有する揮発成分量が30ppm以下であり、紫外線照射による架橋反応の後に加熱処理を施す透明導電性フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は透明プラスチックフィルム基材上に硬化物層及び透明導電性薄膜をこの順に積層した透明導電性フィルムの製造方法に関するものであり、特にペン入力用タッチパネルに用いた際にペン摺動耐久性に優れる透明導電性フィルムの製造方法に関するものである。
透明プラスチックフィルム基材上に、透明でかつ抵抗が小さい薄膜を積層した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどのようなフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極など、電気、電子分野の用途に広く使用されている。
近年、携帯情報端末やタッチパネル付きノートパソコンの普及により、従来以上に耐ペン摺動性に優れたタッチパネルが要求されるようになってきた。
タッチパネルにペン入力する際、固定電極側の透明導電性薄膜と可動電極(フィルム電極)側の透明導電性薄膜同士が接触するが、この際にペン荷重で透明導電性薄膜にクラック、剥離などの破壊が生じない、優れた耐ペン摺動性を有する透明導電性フィルムが必要とされる。
しかしながら、従来の透明導電性フィルムは次のような課題を有していた。
厚さが120μm以下の透明プラスチックフィルム基材上に透明導電性薄膜を形成し、粘着剤層で他の透明基体と貼りあわせた透明導電性フィルムが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、後述の摺動耐久試験に記載のポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で10万回の直線摺動試験後には、透明導電性薄膜に剥離が生じ、ペン入力に対する耐久性は不十分であった。そのため、この剥離部の白化により、タッチパネル付きディスプレイ用に使用した際に表示品位が低下するという問題があった。
また、透明プラスチックフィルム基材上に、有機ケイ素化合物の加水分解により生成された層を設け、さらに結晶質の透明導電性薄膜を積層した透明導電性フィルムが提案されている(特許文献2〜7参照)
しかしながら、これらの透明導電性フィルムは、結晶性の透明導電性薄膜であるため非常に脆く、後述の摺動耐久試験に記載のポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で10万回の直線摺動試験後には、透明導電性薄膜にクラックが発生する。また、透明導電性薄膜をスパッタリングした後に190℃程度の熱処理を必要とするため、加工コストが高くなるという欠点がある。
また、硬化被膜層の上に透明導電性薄膜を形成した導電性プラスチック積層体が提案されている(特許文献8、9参照)。しかしながら、この積層体は液晶ディスプレイの透明電極に用いるのには十分であるが、タッチパネルに用いた際の摺動耐久性が十分ではない。これは透明導電性薄膜を製膜中に硬化皮膜層から残留揮発成分がガス化して発生して、透明導電性薄膜の膜質が低下するためである。
特開平2−66809号公報 特開昭60−131711号公報 特開昭61−79647号公報 特開昭61−183809号公報 特開平2−194943号公報 特開平2−276630号公報 特開平8−64034号公報 特開平2−5308号公報 特開2000−62074号公報
本発明の目的は、上記の従来の問題点に鑑み、タッチパネルに用いた際のペン入力耐久性に優れ、特に後述の摺動耐久試験に記載のポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で10万回の摺動試験後でも透明導電性薄膜の劣化がない、透明導電性フィルムの製造方法を提供することである
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決することができた透明導電性フィルムの製造方法とは、以下の通りである。
即ち、本発明の第1の発明は、透明プラスチックフィルム基材上に、紫外線硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層、及び透明導電性薄膜をこの順に積層した透明導電性フィルムの製造方法であって、該透明導電性フィルムに含有する揮発成分量が30ppm以下であり、紫外線照射による架橋反応の後に加熱処理を施すことを特徴する透明導電性フィルムの製造方法である。
第2の発明は、加熱処理の温度が100〜200℃の範囲であることを特徴とする第1の発明に記載の透明導電性フィルムの製造方法である。
第3の発明は、硬化物層を積層したプラスチックフィルムを真空中に保持することを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性フィルムの製造方法である。
の発明は、前記硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層と前記透明導電性薄膜との付着力が0.1N/15mm以上であることを特徴とする第1乃至3のいずれかの発明に記載の透明導電性フィルムの製造方法である。
の発明は、前記透明導電性薄膜がインジウム−スズ複合酸化物からなることを特徴とする第1乃至いずれかの発明に記載の透明導電性フィルムの製造方法である。
の発明は、前記透明導電性薄膜がスズ−アンチモン複合酸化物からなることを特徴とする第1乃至いずれかの発明に記載の透明導電性フィルムの製造方法である。
の発明は、前記透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面とは反対面に、ハードコート層を積層することを特徴とする第1乃至いずれかに発明に記載の透明導電性フィルムの製造方法である。
の発明は、前記ハードコート層が防眩効果を有することを特徴とする第の発明に記載の透明導電性フィルムの製造方法である。
の発明は、前記ハードコート層に低反射処理を施したことを特徴とする第またはの発明に記載の透明導電性フィルムの製造方法である。
本発明により得られる透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上に、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層、及び透明導電性薄膜をこの順に積層し、このフィルム中の揮発成分量が30ppm以下であるため、良好な膜質である透明導電性薄膜を成膜することができる。このため、前記透明導電性フィルムを用いたペン入力用タッチパネルは、ペンの押圧で対向の透明導電性薄同士が接触しても、剥離、クラック等を生じることがないなどペン入力耐久性に優れており、かつ位置検出精度や表示品位にも優れている。したがって、ペン入力タッチパネルとして好適である。
実施例1のタッチパネルからの出力形状を示した説明図である。 実施例2のタッチパネルからの出力形状を示した説明図である。 実施例3のタッチパネルからの出力形状を示した説明図である。 実施例4のタッチパネルからの出力形状を示した説明図である。 実施例5のタッチパネルからの出力形状を示した説明図である。 実施例6のタッチパネルからの出力形状を示した説明図である。 比較例1のタッチパネルからの出力形状を示した説明図である。 比較例2のタッチパネルからの出力形状を示した説明図である。 本発明により得られる透明導電性フィルムを使用して得たタッチパネルの断面図である。 本発明により得られる透明導電性フィルム及び透明導電性シートを使用して得た、ガラス基板を用いないプラスチック製のタッチパネルの断面図である。
本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材とは、有機高分子を溶融押出し又は溶液押出しをして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。
これらの有機高分子のなかで、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレートなどが好適である。また、これらの有機高分子は他の有機重合体の単量体を少量共重合したり、他の有機高分子をブレンドしてもよい。
本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材の厚みは、10μmを越え、300μm以下の範囲であることが好ましく、70〜260μmの範囲が特に好ましい。プラスチックフィルムの厚みが10μm以下では機械的強度が不足し、特にタッチパネルに用いた際のペン入力に対する変形が大きくなり過ぎ、耐久性が不十分となる。一方、厚みが300μmを越えると、タッチパネルに用いた際に、フィルムを変形させるためのペン荷重が大きくなり、好ましくない。
本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施してもよい。
また、本発明で用いる硬化型樹脂は、加熱、紫外線照射、電子線照射などのエネルギー印加により硬化する樹脂であれば特に制限はないが、生産性の観点から紫外線硬化型樹脂を主成分とすることが好ましい。このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどから合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。必要に応じてこれらの多官能性の樹脂に単官能性の単量体、例えば、ビニルピロリドン、メチルメタクリレート、スチレンなどを加えて共重合させることができる。
紫外線硬化型樹脂は、通常、光重合開始剤を添加して使用される。光重合開始剤としては、紫外線を吸収してラジカルを発生する公知の化合物を特に制限なく使用することができ、このような光重合開始剤としては、例えば、各種ベンゾイン類、フェニルケトン類、ベンゾフェノン類などを挙げることができる。光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型樹脂100重量部当たり通常1〜5重量部である。
また、本発明で使用する硬化物層は、主たる構成成分である硬化型樹脂のほかに、硬化型樹脂に非相溶な樹脂を併用することが好ましい。マトリックスの硬化型樹脂に非相溶な樹脂を少量併用することで、硬化型樹脂中で相分離が起こり非相溶樹脂を粒子状に分散させることができる。この非相溶樹脂の分散粒子により、硬化物表面に凹凸を形成させることができる。
硬化型樹脂が前記の紫外線硬化型樹脂の場合、非相溶樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂などが例示される。
前記ポリエステル樹脂は、重量平均分子量で5,000〜50,000と高分子量であることが好ましく、特に好ましくは8,000〜30,000である。ポリエステル樹脂の重量平均分子量が5,000未満であると、ポリエステル樹脂が硬化物層中で適切な大きさの粒子となって分散することが困難となる傾向があり好ましくない。一方、ポリエステル樹脂の重量平均分子量が50,000を超えると、塗布液を調整する際、溶剤に対する溶解性が低下するので好ましくない。
前記の高分子量のポリエステル樹脂は、二価アルコールと二価カルボン酸を重合することにより得られる非結晶性の飽和ポリエステル樹脂であり、上記の紫外線硬化型樹脂と共通の溶媒に溶解することができるものである。
前記の二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなどを挙げることができる。
また、前記の二価カルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などを挙げることができる。
溶媒に対する溶解性が不十分とならない範囲で、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトールのような三価以上のアルコール、及び、無水トリメリット酸や無水ピロメリット酸のような三価以上のカルボン酸を共重合することができる。
本発明において硬化物層の主たる構成成分である紫外線硬化型樹脂と高分子量のポリエステル樹脂との配合割合は、紫外線硬化型樹脂100重量部当たりポリエステル樹脂0.1〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜10重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部である。前記ポリエステル樹脂の配合量が紫外線硬化型樹脂100重量部当たり0.1重量部未満であると、硬化物層表面に形成される突起数が少なくなり好ましくない。一方、前記ポリエステル樹脂の配合量が紫外線硬化型樹脂100重量部当たり20重量部を超えると、この硬化物層の強度が低下しやすくなる。さらに、ポリエステル樹脂は紫外線硬化型樹脂と屈折率に差異があるため、硬化物層のヘーズ値が上昇し透明性を悪化させる傾向があるので好ましくない。しかしながら、高分子量のポリエステル樹脂の分散粒子による透明性の悪化を積極的に利用し、ヘーズ値の高いフィルムを防眩フイルムとして使用することができる。
前記の紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤及び高分子量のポリエステル樹脂は、それぞれに共通の溶剤に溶解して塗布液を調製する。使用する溶剤には特に制限はなく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのようなアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのようなエステル系溶剤、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのようなエーテル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのようなケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ソルベントナフサなどのような芳香族炭化水素系溶剤などを単独に、あるいは混合して使用することができる。塗布液中の樹脂成分の濃度は、コーティング法に応じた粘度などを考慮して適切に選択することができるが、通常は、塗布液中に紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤及び高分子量のポリエステル樹脂の合計量が占める割合は20〜80重量%である。また、この塗布液には、必要に応じてその他の公知の添加剤、例えば、シリコーン系レベリング剤などを添加することができる。
本発明において、調製された塗布液は透明プラスチックフイルム基材上にコーティングされる。コーティング法には特に制限はなく、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法などの従来から知られている方法を使用することができる。コーティングされた塗布液は、次の乾燥工程で溶剤が蒸発除去される。この工程で、塗布液中で均一に溶解していた高分子量のポリエステル樹脂は微粒子となって紫外線硬化型樹脂中に析出する。塗膜が乾燥した後、プラスチックフイルムには、さらに紫外線が照射され、紫外線硬化型樹脂が架橋・硬化して硬化物層を形成する。この硬化の工程で、高分子量のポリエステル樹脂の微粒子はハードコート層中に固定され、また、硬化物層の表面に突起を形成する。
また、硬化物層の厚みは0.1〜15μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10μmの範囲であり、特に好ましくは1〜8μmの範囲である。硬化物層の厚みが0.1μmよりも薄い場合には、後述する突起が十分に形成されず、一方15μmよりも厚い場合には生産性の観点から好ましくない。
このようにして形成した硬化物層上に透明導電性薄膜をスパッタリングなどの真空プロセスにより成膜するが、硬化物層中および/またはプラスチックフィルム中に揮発成分を含んでいると、真空プロセスに悪影響を与える。
例えば、スパッタリング法でインジウム−スズ複合酸化物薄膜を形成する場合、スパッタリングされたインジウム原子と硬化物層から揮発したガスが気相中で衝突して、インジウム原子のエネルギーが低下し、この結果として硬化物層上に形成される透明導電性薄膜の膜質が良好でなくなることがある。
また、硬化物層から揮発したガス成分が薄膜中に不純物として取り込まれ、やはり膜質の良くない透明導電性薄膜が形成される。このような膜質の良くない透明導電性薄膜が積層された透明導電性フィルムをタッチパネルに用いると、5.0Nの荷重で10万回の直線摺動試験後に透明導電性薄膜が摩耗劣化し好ましくない。
例えば、硬化物層中に存在する揮発成分としては、前述した硬化物層の塗工にもちいた塗工液の溶剤や紫外線硬化反応に寄与しなかった残留の光重合開始剤およびこの副生成物などがあげられる。
これらの揮発成分を減少させるためには、紫外線照射による架橋反応の後に加熱処理を施すのが好適である。このときの温度は100〜200℃の範囲であることが好ましい。100℃未満では揮発成分を減少させる効果が不十分であり、200℃を越える温度では、フィルムの平面性を保つのが難しく好ましくない。
また、スパッタリング等を行う真空チェンバーの中でフィルムを真空暴露することで揮発成分を減少させることも有効な手段である。この際に接触するロール温度を上げておいたり、赤外線ヒーターをもちいてフィルム加熱を併用することで揮発成分をより減少させることが可能となる。
本発明で用いる透明導電性薄膜としては、透明性及び導電性をあわせもつ材料であれば特に制限はないが、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム−スズ複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物、銀および銀合金、銅および銅合金、金等が単層もしくは2層以上の積層構造したものが挙げられる。これらのうち、環境安定性や回路加工性の観点からインジウム−スズ複合酸化物もしくはスズ−アンチモン複合酸化物が好適である。
透明導電性薄膜の膜厚は4〜800nmの範囲が好ましく、特に好ましくは5〜500nmである。透明導電性薄膜の膜厚が4nmよりも薄い場合、連続した薄膜になりにくく良好な導電性を示しにくくなる。また、800nmよりも厚い場合、透明性が低下しやすくなる。
本発明における透明導電性薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法などが知られており、必要とする膜厚に応じて、前記の方法を適宜用いることが出来る。
例えば、スパッタリング法の場合、酸化物ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が用いられる。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用してもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、基板に直流、交流、高周波などのバイアスを印加してもよい。
また、透明プラスチックフィルムに透明導電性薄膜を成膜する際の温度は、150℃以下とすることが好ましい。成膜時の温度が150℃を越えるようにするためには、プラスチックフィルムの送り速度を極端に遅くする必要があり、生産性が低下し工業的に好ましくない。
また、スパッタリングを行う際の真空度は、0.01〜10Paの範囲で行うのが好ましい。真空度が0.01Paよりも高真空では、安定な放電が出来ないため、スパッタリングが安定しない。また、10Paよりも低い真空度でも、やはり安定な放電が出来ないため、スパッタリングが安定しない。また、蒸着法、CVD法などの他の方法においても同様である。
これらの成膜プロセスにおいて、成膜直前に少なからずとも、硬化物層を積層したプラスチックフィルムは真空中に保持されることになる。この真空暴露により、揮発成分量を更に少なくすることが可能となる。以上のような揮発成分除去プロセスを経ることで揮発成分量が30ppm以下となった透明導電性フィルムは、透明導電性薄膜の膜質が優れているため、タッチパネルに用いると、ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)を用いて5.0Nの荷重で10万回の直線摺動試験を行った後でも透明導電性薄膜の劣化が見られない。
透明導電性薄膜と硬化物層の付着力を向上するために、硬化物層を表面処理することが有効である。具体的な手法としては、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基を増加するためにグローまたはコロナ放電を照射する放電処理法、アミノ基、水酸基、カルボニル基などの極性基を増加させるために酸またはアルカリで処理する化学薬品処理法などが挙げられる。
また、タッチパネルとした際の最外層(ペン入力面)の耐擦傷性をさらに向上させるために、透明プラスチックフィルムの透明導電性薄膜を形成させた表面とは反対面(タッチパネルとした際の最外層のペン入力面)に、ハードコート層を設けることが好ましい。前記ハードコート層の硬度は、鉛筆硬度で2H以上であることが好ましい。2Hよりも低い硬度では、透明導電性フィルムのハードコート層としては耐擦傷性の点で不十分である。
前記ハードコート層の厚みは0.5〜10μmであることが好ましい。厚みが0.5μm未満では、耐擦傷性が不十分となりやすく、10μmよりも厚い場合には生産性の観点から好ましくない。
前記ハードコート層に用いられる硬化型樹脂組成物の皮膜形成成分は、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリート等のオリゴマーまたはプレポリマー、及び反応性希釈剤として、エチル(メタ)アクリート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
ポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物が特に好適である。その理由は、ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬くてハードコート層として適しているためである。しかしながら、ポリエステルアクリレート単独の塗膜では耐衝撃性が低く脆くなりやすいので、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるために、ポリウレタンアクリレートを併用する。ポリエステルアクリレート100重量部に対するポリウレタンアクリレートの配合割合は30重量部以下とするのが好ましい。この配合割合が30重量部を超えると、塗膜が柔らかくなりすぎて耐衝撃性が不十分となる傾向がある。
前記の硬化型樹脂組成物の硬化方法は、通常の硬化方法、即ち、加熱、電子線または紫外線の照射によって硬化する方法を用いることができる。例えば、電子線硬化の場合は、コックロフトワルトン型、ハンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用される。また、紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハイライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
さらに、電離放射線硬化の場合には、前記の硬化型樹脂組成物中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を混合することが好ましい。本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合することが特に好ましい。
ハードコート層に防眩性を付与するためには、硬化型樹脂中にCaCO3やSiO2などの無機粒子を分散させたり、ハードコート層の表面に凹凸形状を形成させることが有効である。例えば、凹凸を形成するためには、硬化型樹脂組成物を含む塗液を塗工後、表面に凸形状を有する賦形フィルムをラミネートし、この賦形フィルム上から紫外線を照射し硬化型樹脂を硬化させた後に、賦形フィルムのみを剥離することにより得られる。
前記の賦型フィルムには、離型性を有するポリエチレンテレフタレート(以後、PETと略す)等の基材フィルム上に所望の凸形状を設けたもの、或いは、PET等の基材フィルム上に繊細な凸層を形成したもの等を用いることができる。その凸層の形成は、例えば、無機粒子とバインダー樹脂からなる樹脂組成物を用いて基材フィルム上に塗工することにより得ることができる。前記バインダー樹脂は、例えば、ポリイソシアネートで架橋されたアクリルポリオールを用い、無機粒子としては、CaCO3やSiO2などを用いることができる。また、この他にPET製造時にSiO2等の無機粒子を練込んだマットタイプのPETも用いることができる。
この賦型フィルムを紫外線硬化型樹脂の塗膜にラミネートした後紫外線を照射して塗膜を硬化する場合、賦型フィルムがPETを基材としたフィルムの場合、該フィルムに紫外線の短波長側が吸収され、紫外線硬化型樹脂の硬化が不足するという欠点がある。したがって、紫外線硬化型樹脂の塗膜にラミネートする賦型フィルムの透過率が20%以上のものを使用することが必要である。
また、タッチパネルに用いた際に可視光線の透過率をさらに向上させるためにハードコート層上に、低反射処理を施してもよい。この低反射処理は、ハードコート層の屈折率とは異なる屈折率を有する材料を単層もしくは2層以上に積層することが好ましい。単層構造の場合、ハードコート層よりも小さな屈折率を有する材料を用いるのが好ましい。また、2層以上の多層構造とする場合は、ハードコート層と隣接する層は、ハードコート層よりも大きな屈折率を有する材料を用い、この上の層にはこれよりも小さな屈折率を有する材料を選ぶのがよい。このような低反射処理を構成する材料としては、有機材料でも無機材料でも上記の屈折率の関係を満足すれば特に限定されない。例えば、CaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd23、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In23、などの誘電体を用いるのが好ましい。
この低反射処理は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法などのドライコーティングプロセスでも、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式などのウェットコーティングプロセスでもよい。
さらに、この低反射処理層の積層に先立って、前処理として、コロナ放電処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、プライマ処理、易接着処理などの公知の表面処理をハードコート層に施してもよい。
本発明により得られる透明導電性フィルムを用い、透明導電性薄膜を形成していない面と粘着剤を介して透明樹脂シートと積層することで、タッチパネルの固定電極に用いる透明導電性積層シートが得られる。すなわち、固定電極をガラスから樹脂製にすることで、軽量かつ割れにくいタッチパネルを作製することができる。
前記粘着剤は透明性を有するものであれば特に制限はないが、例えばアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが好適である。この粘着剤の厚さは特に制限はないが、通常1〜100μmの範囲に設定するのが望ましい。粘着剤の厚みが1μm未満の厚さの場合、実用上問題のない接着性を得るのが難しく、100μmを越える厚さでは生産性の観点から好ましくない。
この粘着剤を介して貼合わせる透明樹脂シートは、ガラスと同等の機械的強度を付与するために使用するものであり、厚さは0.05〜5mmの範囲が好ましい。前記透明樹脂シートの厚みが0.05mm未満では、機械的強度がガラスに比べ不足する。一方、厚さが5mmを越える場合には、厚すぎてタッチパネルに用いるには不適当である。また、この透明樹脂シートの材質は、前記の透明プラスチックフィルムと同様のものを使用することができる。
図9に、本発明により得られる透明導電性フィルムを用いた、タッチパネルの例を示す。これは、透明導電性薄膜を有する一対のパネル板を、透明導電性薄膜が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルにおいて、一方のパネル板に本発明により得られる透明導電性フィルムを用いたものである。
このタッチパネルは、ペンにより文字を入力した時に、ペンからの押圧により、対向した透明導電性薄膜同士が接触し、電気的にONの状態になり、タッチパネル上でのペンの位置を検出することができる。このペン位置を連続的かつ正確に検出することで、ペンの軌跡から文字を認識することができる。この際、ペン接触側の可動電極が本発明により得られる透明導電性フィルムを用いると、ペン入力耐久性に優れるため、長期にわたって安定なタッチパネルとすることができる。
なお、本発明により得られる透明導電性フィルム及び透明導電性シートを使用して得た、ガラス基板を用いないプラスチック製のタッチパネルの断面図を図10に示した。このプラスチック製のタッチパネルは、ガラスを用いていないため、非常に軽量であり、かつ、衝撃により割れたりすることがない。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、透明導電性フィルムの性能およびタッチパネルのペン入力耐久性試験は、下記の方法により測定した。
<光線透過率及びヘイズ>JIS−K7105に準拠し、日本電色工業(株)製NDH−1001DPを用いて、光線透過率及びヘイズを測定した。
<表面抵抗率>JIS−K7194に準拠し、4端子法にて測定した。測定機は、三菱油化(株)製 Lotest AMCP−T400を用いた。
<揮発成分量>透明導電性フィルム3gを3cm×0.5cmに短冊状に切断し、固体パージ・アンド・トラップ装置(日本分析工業製、JHS−100)によりHe中100℃で15分間加熱脱離させる。脱離成分を吸着材(石英ウール)に液体窒素でコールドトラップし、急速加熱によりGC−MS装置(ヒュレットパッカード社製、 HP6890およびHP5973)に導入し、透明導電性フィルム中の揮発成分量を定量した。
<ペン入力耐久性試験>ポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ、10万回(往復5万回)の摺動試験をタッチパネルに行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は60mm/秒とした。この摺動耐久試験後に、まず、摺動部が白化しているかを目視によって観察した。さらに、ペン荷重0.5Nで上記の摺動部にかかるように20mmφの記号○印を筆記し、タッチパネルがこれを正確に読みとれるかを評価した。さらに、ペン荷重0.5Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定した。
<付着力測定>40μm厚のアイオノマーフィルムをポリエステル系接着剤を用いて、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにラミネートし、付着力測定用積層体を作製した。この付着力測定用積層体のアイオノマー面と透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面を対向させ、130℃でヒートシールした。この積層体を付着力測定用積層体と透明導電性フィルムとを180度剥離法で剥離し、この剥離力を付着力とした。この時の剥離速度は1000mm/分とした。
実施例1
光重合開始剤含有アクリル系樹脂(大日精化工業(株)製、セイカビームEXF−01J)を、トルエン/MEK(8/2;重量比)の混合溶媒を用いて、固形分濃度が50重量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した。両面に易接着層を有する二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルム(東洋紡績(株)製、A4340、厚み188μm)に、塗膜の厚みが5μmになるように、調製した塗布液をマイヤーバーを用いて塗布し、80℃で1分間乾燥を行った後、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、UB042−5AM−W型)を用いて紫外線を照射(光量:300mJ/cm2)し、塗膜を硬化させた。次いで、180℃で1分間の加熱処理を施して、揮発成分の低減を行なった。
次に、この硬化物層上にスズ−アンチモン複合酸化物からなる透明導電性薄膜を成膜した。このとき、ターゲットには酸化アンチモン5重量%含有した酸化スズをターゲット(三井金属鉱業(株)製、密度5.7g/cm3)として用いて、2W/cm2のDC電力を印加した。また、Arガスを130sccm、O2ガスを15sccmの流速で流し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネトロンスパッタリング法で成膜した。ただし、通常のDCではなく、アーク放電を防止するために、日本イーエヌアイ製RPG−100を用いて3μs幅のパルスを50kHz周期で印加した。
また、センターロールの温度を20℃とし、スパッタリングを行った。また、雰囲気の酸素分圧をスパッタプロセスモニター(伯東(株)製、SPM200)にて常時観測しながら、スズ−アンチモン複合酸化物薄膜中の酸化度が一定になるように酸素ガスの流量計およびDC電源にフィートバックした。以上のようにして、厚さ27nmのスズ−アンチモン複合酸化物からなる透明導電性薄膜を堆積した。
さらに、この透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にプラズマCVD法で厚みが20nmのインジウムースズ複合酸化物薄膜(酸化スズ:10重量%)からなる透明導電性薄膜(日本曹達製:S500)を用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して、配置しタッチパネルを作製した。
実施例2
光重合開始剤含有アクリル系樹脂(大日精化工業(株)製、セイカビームEXF−01J)100重量部に、共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、バイロン200、重量平均分子量18,000)を3重量部配合し、溶剤としてトルエン/MEK(8/2;重量比)の混合溶媒を、固形分濃度が50重量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した。二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルム(東洋紡績(株)製、A4340、厚み188μm)に、塗膜の厚みが5μmになるように、調製した塗布液をマイヤーバーを用いて塗布した。80℃で1分間乾燥を行った後、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、UB042−5AM−W型)を用いて紫外線を照射(光量:300mJ/cm2)し、塗膜を硬化させた。次いで、180℃で1分間の加熱処理を施して、揮発成分の低減を行なった。
また、この硬化物層を積層したプラスチックフィルムを真空暴露するために、真空チェンバー中で巻き返し処理を行なった。このときの圧力は0.002Paであり、暴露時間は10分とした。また、センターロールの温度は40℃とした。
次に、この硬化物層上にインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を成膜した。このとき、ターゲットとして酸化スズを5重量%含有した酸化インジウム(三井金属鉱業(株)製、密度7.1g/cm3)に用いて、2W/cm2のDC電力を印加した。また、Arガスを130sccm、O2ガスを10sccmの流速で流し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネトロンスパッタリング法で成膜した。ただし、通常のDCではなく、アーク放電を防止するために、日本イーエヌアイ製RPG−100を用いて5μs幅のパルスを50kHz周期で印加した。また、センターロール温度は40℃として、スパッタリングを行った。
また、雰囲気の酸素分圧をスパッタプロセスモニター(伯東(株)製、SPM200)にて常時観測しながら、インジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸化度が一定になるように酸素ガスの流量計およびDC電源にフィートバックした。以上のようにして、厚さ22nmのインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を堆積した。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例3
実施例2の透明プラスチックフィルム基材/硬化物層からなる積層体の、硬化物層面とは反対面にハードコート層樹脂としてポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートとの混合物からなる紫外線硬化型樹脂(大日精化工業(株)製、EXG)を乾燥後の膜厚が5μmになるようにグラビアリバース法により塗布し、溶剤を乾燥させた。この後、160Wの紫外線照射装置の下を10m/分の速度で通過させ、紫外線硬化型樹脂を硬化させ、ハードコート層を形成させた。次いで、180℃で1分間の加熱処理をおこない、揮発成分の低減を行った。
このハードコート層/透明プラスチックフィルム基材/硬化物層からなる積層体の硬化物層上に、実施例2と同様にしてインジウム−スズ複合酸化物薄膜を成膜した。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例4
実施例2と同様にして、透明プラスチックフィルム基材/硬化物層からなる積層体を作製した。この積層体の硬化物層面とは反対面に、ハードコート層樹脂としてポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートとの混合物からなる紫外線硬化型樹脂(大日精化工業(株)製、EXG)を乾燥後の膜厚が5μmになるようにグラビアリバース法により塗布し、溶剤を乾燥した。その後、表面に微細な凸形状が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムのマット賦形フィルム(東レ(株)製、X)をマット面が紫外線硬化型樹脂と接するようにラミネートした。このマット賦形フィルムの表面形状は、平均表面粗さ0.40μm、山の平均間隔160μm、最大表面粗さ25μmである。
このようにラミネートしたフィルムを160Wの紫外線照射装置の下を10m/分の速度で通過させ、紫外線硬化型樹脂を硬化させた。次いで、マット賦形フィルムを剥離して、表面に凹形状加工が施され防眩効果のあるハードコート層を形成させた。次いで、180℃で1分間の加熱処理をおこない、揮発成分の低減を行った。
この防眩性ハードコート層/透明プラスチックフィルム基材/硬化物層からなる積層体の硬化物層上に、実施例2と同様にしてインジウムースズ複合酸化物薄膜を透明導電性薄膜として成膜した。さらに、この透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例5
実施例4と同様にして防眩性ハードコート層/透明プラスチックフィルム基材/硬化物層/透明導電性薄膜層からなる積層体を作製し、次いで、この防眩性ハードコート層上に順次TiO2(屈折率:2.30、膜厚15nm)、SiO2(屈折率:1.46、膜厚29nm)、TiO2(屈折率:2.30、膜厚109nm)、SiO2(屈折率:1.46、膜厚87nm)を積層することで反射防止処理層を形成した。TiO2薄膜を形成するには、チタンをターゲットに用いて、直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Paとし、ガスとしてArガスを500sccm、O2ガスを80sccmの流速で流した。また、基板の背面には0℃の冷却ロールを設けて、透明プラスチックフィルムを冷却した。このときのターゲットには7.8W/cm2の電力を供給し、ダイナミックレートは23nm・m/分であった。
SiO2薄膜を形成するには、シリコンをターゲットに用いて、直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、O2ガスを80sccmの流速で流した。また、基板の背面には0℃の冷却ロールを設けて、透明プラスチックフィルムを冷却した。このときのターゲットには7.8W/cm2の電力を供給し、ダイナミックレートは23nm・m/分であった。さらに、この透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例6
実施例2と同様にして作製した透明導電性フィルムをアクリル系粘着剤を介して、厚みが1.0mmのポリカーボネート製のシートに貼り付けて、透明導電性積層シートを作製した。この透明導電性積層シートを固定電極として用い、実施例6の透明導電性フィルムを可動電極に用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
比較例1
180℃で1分間の揮発成分低減のプロセスを行わなかった以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
比較例2
180℃で1分間の加熱処理及び10分間の真空暴露処理の揮発成分低減のプロセスを行わなかった以外は、実施例2と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
以上の実施例及び比較例の測定結果を表1及び図1〜8に示す。
表1の結果より、実施例1〜6記載の透明導電性フィルムは、揮発成分量が少なく良好な膜質を有する透明導電性薄膜が得られた。この透明導電性フィルムを用いたタッチパネルは、ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ10万回の摺動試験を行った後でも白化もなく、ON抵抗にも異常がなかった。また、入力した記号○印も正確に認識していた。
これに対して、比較例1及び2は揮発成分量が多く、膜質も良好でないため、タッチパネルに用いた際に、ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ10万回の摺動試験を行った後に摺動部が白化し、ON抵抗も上昇した。また、入力した記号○印も摺動部で正確に認識していなかった。
本発明により得られる透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上に、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層、及び透明導電性薄膜をこの順に積層し、このフィルム中の揮発成分量が30ppm以下であるため、良好な膜質である透明導電性薄膜を成膜することができる。このため、前記透明導電性フィルムを用いたペン入力用タッチパネルは、ペンの押圧で対向の透明導電性薄同士が接触しても、剥離、クラック等を生じることがないなどペン入力耐久性に優れており、かつ位置検出精度や表示品位にも優れている。したがって、ペン入力タッチパネルとして好適である。
1 摺動試験部
2 タッチパネル出力形状
10 透明導電性フィルム
11 透明プラスチックフィルム基材
12 硬化物層
13 透明導電性薄膜
14 ハードコート層
20 ビーズ
30 ガラス板
40 透明導電性シート
41 粘着剤
42 透明樹脂シート

Claims (9)

  1. 透明プラスチックフィルム基材上に、紫外線硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層、及び透明導電性薄膜をこの順に積層した透明導電性フィルムの製造方法であって、前記透明導電性フィルムに含有する揮発成分量が30ppm以下であり、紫外線照射による架橋反応の後に加熱処理を施すことを特徴する透明導電性フィルムの製造方法
  2. 加熱処理の温度が100〜200℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  3. 硬化物層を積層したプラスチックフィルムを真空中に保持することを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  4. 前記硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層と前記透明導電性薄膜との付着力が0.1N/15mm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法
  5. 前記透明導電性薄膜がインジウム−スズ複合酸化物からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法
  6. 前記透明導電性薄膜がスズ−アンチモン複合酸化物からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法
  7. 前記透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面とは反対面に、ハードコート層を積層することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
  8. 前記ハードコート層が防眩効果を有することを特徴とする請求項7に記載の透明導電性フィルムの製造方法
  9. 前記ハードコート層に低反射処理を施したことを特徴とする請求項または8に記載の透明導電性フィルムの製造方法
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