JP2002157928A - 透明導電性フィルム、透明導電性シートの製造方法およびタッチパネル - Google Patents

透明導電性フィルム、透明導電性シートの製造方法およびタッチパネル

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JP2002157928A
JP2002157928A JP2000350049A JP2000350049A JP2002157928A JP 2002157928 A JP2002157928 A JP 2002157928A JP 2000350049 A JP2000350049 A JP 2000350049A JP 2000350049 A JP2000350049 A JP 2000350049A JP 2002157928 A JP2002157928 A JP 2002157928A
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film
thin film
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transparent
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JP2000350049A
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Toshiyuki Otani
寿幸 大谷
Yoshiharu Morihara
芳治 森原
Katsuya Ito
勝也 伊藤
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タッチパネルに用いた際のペン入力耐久性に
優れ、特にポリアセタール製のペンを使用し、5.0N
の荷重で10万回の摺動試験でも透明導電性薄膜が破壊
されない、透明導電性フィルムまたは透明導電性シート
の製造方法、及びこれらの製造方法で得た透明導電性フ
ィルムまたは透明導電性シートを用いたタッチパネルを
提供する。 【解決手段】 透明プラスチックフィルム基材上に、硬
化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層、及び透明導
電性薄膜をこの順に積層する透明導電性フィルムの製造
方法であって、透明導電性薄膜を成膜する直前に、透明
プラスチックフィルムと硬化型樹脂を主たる構成成分と
する硬化物層とからなる積層体を真空中に5分間以上暴
露し、かつ透明導電性薄膜を成膜する際に前記積層体の
薄膜形成面とは反対面にロールを密着させ、前記ロール
の表面温度を−20〜70℃とすることを特徴とする透
明導電性フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明プラスチックフ
ィルム基材上に硬化物層及び透明導電性薄膜をこの順に
積層した透明導電性フィルムまたは透明導電性シートに
関する製造方法、及びこれらの製造法で得た透明導電性
フィルムまたは透明導電性シートを用いたタッチパネル
に関するものであり、特にペン入力用タッチパネルに用
いた際にペン摺動耐久性に優れる透明導電性フィルムま
たは透明導電性シートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透明プラスチックフィルム基材上に、透
明でかつ抵抗が小さい薄膜を積層した透明導電性フィル
ムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディス
プレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレ
イなどのようなフラットパネルディスプレイや、タッチ
パネルの透明電極など、電気、電子分野の用途に広く使
用されている。
【0003】近年、携帯情報端末やタッチパネル付きノ
ートパソコンの普及により、従来以上に耐ペン摺動性に
優れたタッチパネルが要求されるようになってきた。
【0004】タッチパネルにペン入力する際、固定電極
側の透明導電性薄膜と可動電極(フィルム電極)側の透
明導電性薄膜同士が接触するが、この際にペン荷重で透
明導電性薄膜にクラック、剥離などの破壊が生じない、
優れた耐ペン摺動性を有する透明導電性フィルムが必要
とされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
透明導電性フィルムは次のような課題を有していた。
【0006】厚さが120μm以下の透明プラスチック
フィルム基材上に透明導電性薄膜を形成し、粘着剤層で
他の透明基体と貼りあわせた透明導電性フィルムが特開
平2−66809号公報に開示されている。しかしなが
ら、後述の摺動耐久試験に記載のポリアセタール製のペ
ンを使用し、5.0Nの荷重で10万回の直線摺動試験
後には、透明導電性薄膜に剥離が生じ、ペン入力に対す
る耐久性は不十分であった。そのため、この剥離部の白
化により、タッチパネル付きディスプレイ用に使用した
際に表示品位が低下するという問題があった。
【0007】また、透明プラスチックフィルム基材上
に、有機ケイ素化合物の加水分解により生成された層を
設け、さらに結晶質の透明導電性薄膜を積層した透明導
電性フィルムが、例えば特開昭60−131711号公
報、特開昭61−79647号公報、特開昭61−18
3809号公報、特開平2−194943号公報、特開
平2−276630号公報、特開平8−64034号公
報などに提案されている。
【0008】しかしながら、これらの透明導電性フィル
ムは、結晶性の透明導電性薄膜であるため非常に脆く、
後述の摺動耐久試験に記載のポリアセタール製のペンを
使用し、5.0Nの荷重で10万回の直線摺動試験後に
は、透明導電性薄膜にクラックが発生する。
【0009】また、特開平2−5308号公報、特開2
000−62074号公報において、硬化被膜層の上に
透明導電性薄膜を形成した導電性プラスチック積層体が
提案されている。しかしながら、この積層体は液晶ディ
スプレイの透明電極に用いるのには十分であるが、タッ
チパネルに用いた際の摺動耐久性が十分ではない。これ
は透明導電性薄膜を製膜中に硬化皮膜層から残留揮発成
分がガス化して発生して、透明導電性薄膜の膜質が低下
するためである。
【0010】本発明の目的は、前記の従来の問題点に鑑
み、タッチパネルに用いた際のペン入力耐久性に優れ、
特にポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重
で10万回の摺動試験でも透明導電性薄膜が破壊されな
い、透明導電性フィルムまたは透明導電性シートの製造
方法、及びこれらの製造方法で得た透明導電性フィルム
または透明導電性シートを用いたタッチパネルを提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決す
ることができた透明導電性フィルム、透明導電性シート
の製造方法およびタッチパネルとは、以下の通りであ
る。
【0012】すなわち、本発明の第1の発明は、透明プ
ラスチックフィルム基材上に、硬化型樹脂を主たる構成
成分とする硬化物層、及び透明導電性薄膜をこの順に積
層する透明導電性フィルムの製造方法であって、透明導
電性薄膜を成膜する直前に、透明プラスチックフィルム
と硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層とからな
る積層体を真空中に5分間以上暴露し、かつ透明導電性
薄膜を成膜する際に前記積層体の薄膜形成面とは反対面
にロールを密着させ、前記ロールの温度を−20〜70
℃とすることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方
法である。
【0013】第2の発明は、第1の発明に記載の透明導
電性フィルムの透明導電性薄膜面とは反対面に、粘着剤
を介して透明樹脂シートを貼り合わせることを特徴とす
る透明導電性シートの製造方法である。
【0014】第3の発明は、前記透明導電性薄膜を有す
る一対のパネル板を透明導電性薄膜が対向するようにス
ペーサーを介して配置してなるタッチパネルにおいて、
少なくとも一方のパネル板が請求項1乃至2のいずれか
に記載の製造方法で得られた透明導電性フィルムもしく
は透明導電性シートからなることを特徴とするタッチパ
ネルである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明で用いる透明プラスチック
フィルム基材とは、有機高分子を溶融押出し又は溶液押
出しをして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に
延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分
子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナ
イロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、
ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエー
テルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレー
ト、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテ
ルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレン
オキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリス
チレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。
【0016】これらの有機高分子のなかで、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート、シンジオタクチッ
クポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー、ポリカーボ
ネート、ポリアリレートなどが好適である。また、これ
らの有機高分子は他の有機重合体の単量体を少量共重合
したり、他の有機高分子をブレンドしてもよい。
【0017】本発明で用いる透明プラスチックフィルム
基材の厚みは、10μmを越え、300μm以下の範囲
であることが好ましく、70〜260μmの範囲が特に
好ましい。プラスチックフィルムの厚みが10μm以下
では機械的強度が不足し、特にタッチパネルに用いた際
のペン入力に対する変形が大きくなり過ぎ、耐久性が不
十分となる。一方、厚みが300μmを越えると、タッ
チパネルに用いた際に、フィルムを変形させるためのペ
ン荷重が大きくなり、好ましくない。
【0018】本発明で用いる透明プラスチックフィルム
基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記フィル
ムをコロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外
線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理などの表面活
性化処理を施してもよい。
【0019】また、本発明で用いる硬化型樹脂は、加
熱、紫外線照射、電子線照射などのエネルギー印加によ
り硬化する樹脂であれば特に制限はなく、シリコーン樹
脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、メ
ラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙
げられるが、生産性の観点から紫外線硬化型樹脂を主成
分とすることが好ましい。
【0020】このような紫外線硬化型樹脂としては、例
えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エ
ステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシ
アネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリ
ル酸のヒドロキシアルキルエステルなどから合成される
ような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などが挙げ
られる。必要に応じて、これらの多官能性の樹脂に単官
能性の単量体、例えば、ビニルピロリドン、メチルメタ
クリレート、スチレンなどを加えて共重合させることが
できる。
【0021】紫外線硬化型樹脂は、通常、光重合開始剤
を添加して使用される。光重合開始剤としては、紫外線
を吸収してラジカルを発生する公知の化合物を特に制限
なく使用することができ、このような光重合開始剤とし
ては、例えば、各種ベンゾイン類、フェニルケトン類、
ベンゾフェノン類などが挙げられる。光重合開始剤の添
加量は、紫外線硬化型樹脂100重量部当たり通常1〜
5重量部である。
【0022】また、本発明で使用する硬化物層は、主た
る構成成分である硬化型樹脂のほかに、硬化型樹脂に非
相溶な樹脂を併用してもよい。マトリックスの硬化型樹
脂に非相溶な樹脂を少量併用することで、硬化型樹脂中
で相分離が起こり非相溶樹脂を粒子状に分散させること
ができる。この非相溶樹脂の分散粒子により、硬化物表
面に凹凸を形成させることができる。
【0023】硬化型樹脂が前記の紫外線硬化型樹脂の場
合、非相溶樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂などが例
示される。
【0024】前記ポリエステル樹脂は、重量平均分子量
で5,000〜50,000と高分子量であることが好
ましく、特に好ましくは8,000〜30,000であ
る。ポリエステル樹脂の重量平均分子量が5,000未
満であると、ポリエステル樹脂が硬化物層中で適切な大
きさの粒子となって分散することが困難となる傾向があ
り好ましくない。一方、ポリエステル樹脂の重量平均分
子量が50,000を超えると、塗布液を調整する際、
溶剤に対する溶解性が低下するので好ましくない。
【0025】前記の高分子量のポリエステル樹脂は、二
価アルコールと二価カルボン酸を重合することにより得
られる非結晶性の飽和ポリエステル樹脂であり、上記の
紫外線硬化型樹脂と共通の溶媒に溶解することができる
ものである。
【0026】前記の二価アルコールとしては、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−
ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチル
グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水
素化ビスフェノールAなどを挙げることができる。
【0027】また、前記の二価カルボン酸としては、例
えば、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、無水
フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無
水フタル酸などを挙げることができる。
【0028】溶媒に対する溶解性が不十分とならない範
囲で、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール
のような三価以上のアルコール、及び無水トリメリット
酸や無水ピロメリット酸のような三価以上のカルボン酸
を共重合することができる。
【0029】本発明において、硬化物層の主たる構成成
分である紫外線硬化型樹脂と高分子量のポリエステル樹
脂との配合割合は、紫外線硬化型樹脂100重量部当た
りポリエステル樹脂0.1〜20重量部であることが好
ましく、さらに好ましくは0.2〜10重量部、特に好
ましくは0.5〜5重量部である。前記ポリエステル樹
脂の配合量が紫外線硬化型樹脂100重量部当たり0.
1重量部未満であると、硬化物層表面に形成される突起
数が少なくなり好ましくない。一方、前記ポリエステル
樹脂の配合量が紫外線硬化型樹脂100重量部当たり2
0重量部を超えると、硬化物層の強度が低下しやすくな
る。
【0030】さらに、ポリエステル樹脂は紫外線硬化型
樹脂と屈折率に差異があるため、硬化物層のヘーズ値が
上昇し透明性を悪化させる傾向があるので好ましくな
い。しかしながら、高分子量のポリエステル樹脂の分散
粒子による透明性の悪化を積極的に利用し、ヘーズ値の
高いフィルムを防眩フイルムとして使用することができ
る。
【0031】前記の紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤及
び高分子量のポリエステル樹脂は、それぞれに共通の溶
剤に溶解して塗布液を調製する。使用する溶剤には特に
制限はなく、例えば、エチルアルコール、イソプロピル
アルコールなどのようなアルコール系溶剤、酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなどのようなエステル系溶剤、ジブチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなど
のようなエーテル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノンなどのようなケトン系溶剤、トルエン、
キシレン、ソルベントナフサなどのような芳香族炭化水
素系溶剤などを単独に、あるいは混合して使用すること
ができる。
【0032】塗布液中の樹脂成分の濃度は、コーティン
グ法に応じた粘度などを考慮して適切に選択することが
できるが、通常は、塗布液中に紫外線硬化型樹脂、光重
合開始剤及び高分子量のポリエステル樹脂の合計量が占
める割合は20〜80重量%である。また、この塗布液
には、必要に応じてその他の公知の添加剤、例えば、シ
リコーン系レベリング剤などを添加することができる。
【0033】本発明において、調製された塗布液は透明
プラスチックフイルム基材上にコーティングされる。コ
ーティング法には特に制限はなく、バーコート法、グラ
ビアコート法、リバースコート法などの従来から知られ
ている方法を使用することができる。
【0034】コーティングされた塗布液は、次の乾燥工
程で溶剤が蒸発除去される。この工程で、塗布液中で均
一に溶解していた高分子量のポリエステル樹脂は微粒子
となって紫外線硬化型樹脂中に析出する。塗膜が乾燥し
た後、プラスチックフイルムには、さらに紫外線が照射
され、紫外線硬化型樹脂が架橋・硬化して硬化物層を形
成する。この硬化の工程で、高分子量のポリエステル樹
脂の微粒子はハードコート層中に固定されるとともに、
また、硬化物層の表面に突起を形成する。
【0035】また、硬化物層の厚みは0.1〜15μm
の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜
10μmの範囲であり、特に好ましくは1〜8μmの範
囲である。硬化物層の厚みが0.1μmよりも薄い場合
には、後述する突起が十分に形成されず、一方15μm
よりも厚い場合には生産性の観点から好ましくない。
【0036】このようにして形成した硬化物層上に透明
導電性薄膜をスパッタリングなどの真空プロセスにより
成膜するが、硬化物層中および/またはプラスチックフ
ィルム中から成膜中に水分などのガスが発生すると、摺
動耐久性の不十分な透明導電性薄膜が形成されてしま
う。
【0037】これは、揮発したガス成分が薄膜中に不純
物として取り込まれ、やはり膜質の良くない透明導電性
薄膜が形成される。このような膜質の良くない透明導電
性薄膜が積層された透明導電性フィルムをタッチパネル
に用いると、5.0Nの荷重で10万回の直線摺動試験
後に透明導電性薄膜が摩耗劣化し好ましくない。
【0038】そこで、成膜までの間にプラスチックフィ
ルム/硬化物層からなる積層体を真空に5分以上暴露す
ることで、水分などのガス成分が成膜中に発生すること
を抑制できる。この際の圧力は大気圧以下であれば特に
制限されないが、好ましくは10Pa以下、更に好まし
くは1Pa以下である。
【0039】透明導電性薄膜を成膜するには、プラスチ
ックフィルム/硬化物層からなる積層体をシート状にし
て1枚ずつ成膜する枚葉方式と、長尺フィルムのまま連
続的に成膜する巻き取り式成膜方法の2種類が挙げられ
る。
【0040】枚葉方式で成膜する場合には、シートを真
空チェンバーに挿入し真空引きを開始し、スパッタリン
グ等の成膜を開始するまでの時間を5分以上とするのが
重要である。
【0041】巻き取り式成膜の場合には、巻出しロール
からフィルムが搬送され、成膜室に入るまでの時間が5
分以上となるように、搬送速度を設定するのが重要であ
る。あるいは、最初に、スパッタリングなどの成膜を行
わずに、巻出しロールから巻き取りロールまでをフィル
ムを真空中で巻き返す工程で5分以上真空暴露した後
に、通常通り、スパッタリングなどの成膜方法で透明導
電性薄膜を成膜してもよい。
【0042】このような真空暴露の際に、より効率良く
水分などのガスを除去するために、IRヒーターやマイ
クロ波によりフィルムを加熱したり、グロー放電などの
プラズマ処理によりフィルム表面の吸着水をたたき出す
ことは有効な手段である。
【0043】これらの水などのガスを成膜雰囲気に拡散
しないように、成膜室との境界近傍にクライオパネルや
ポリコールド、チタンゲッターポンプなどの発生ガスを
効率的に吸着、排気する真空ポンプを設けることは非常
に好適である。
【0044】また、このような真空暴露処理により、ス
パッタリングなどの成膜工程での水分などのガス発生は
抑制可能となるが、ガス発生をより低減するために、成
膜中にフィルムを冷却することは有効である。
【0045】このために、成膜面の反対面に冷却ロール
を設け、該冷却ロールにフィルムを密着させることによ
り、フィルムの成膜時の温度を下げる手法が有効であ
る。このときのロールの表面温度を−20〜70℃とす
るのが必要である。ロールの表面温度を−20℃未満に
するためには、ロールの冷却のために設備が大掛かりに
なり工業的に不適である。また、ロールの表面温度が7
0℃を越えると、成膜中にガスが発生し、良好な透明導
電性薄膜を得ることが出来ない。
【0046】このように、基板温度を加熱せずに冷却す
ることは、ガラス基板やシリコンウェハー基板の場合に
良質な薄膜を得るために基板加熱を行うことと矛盾する
ように考えられるが、水分などの揮発成分を含有する樹
脂基板に固有の製造方法である。
【0047】この冷却の際に、ロールとフィルムを密着
させることが非常に重要となる。例えば、ロールの表面
を鏡面加工することは有効な手段である。このときのロ
ールの表面粗度を0.8S以下、好ましくは0.4S以
下とするのが好ましい。0.8Sを越える表面粗度で
は、ロールとフィルムの密着性が不十分となり好ましく
ない。
【0048】また、フィルムの張力も重要であり、1〜
50kgf/mの範囲であることが好ましい。1kgf
/m未満ではロールとフィルムの密着性が不足し、50
kgf/mを超える張力では、フィルムの安定走行が難
しくなる。
【0049】ロール温度を制御するには、ロール中に水
路をもうけて、この水路中に温度調整された冷媒を流せ
ばよい。この冷媒としては、特に制限はないが、水やメ
タノール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、塩化カルシウムなどの単体およびこれらの混合物が
好適である。
【0050】本発明で用いる透明導電性薄膜としては、
透明性及び導電性をあわせもつ材料であれば特に制限は
ないが、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジ
ウム−スズ複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、
亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合
酸化物、銀および銀合金、銅および銅合金、金等が単層
もしくは2層以上の積層構造したものが挙げられる。こ
れらのうち、環境安定性や回路加工性の観点からインジ
ウム−スズ複合酸化物もしくはスズ−アンチモン複合酸
化物が好適である。
【0051】透明導電性薄膜の膜厚は4〜800nmの
範囲が好ましく、特に好ましくは5〜500nmであ
る。透明導電性薄膜の膜厚が4nmよりも薄い場合、連
続した薄膜になりにくく、そのため良好な導電性を示し
にくくなる。また、800nmよりも厚い場合、透明性
が低下しやすくなる。
【0052】本発明における透明導電性薄膜の成膜方法
としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、
イオンプレーティング法、スプレー法などが知られてお
り、必要とする膜厚に応じて、前記の方法を適宜用いる
ことが出来る。
【0053】例えば、スパッタリング法の場合、酸化物
ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、あるい
は、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等
が用いられる。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素
等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンア
シスト等の手段を併用してもよい。また、本発明の目的
を損なわない範囲で、基板に直流、交流、高周波などの
バイアスを印加してもよい。
【0054】また、スパッタリングを行う際の真空度
は、0.01〜10Paの範囲で行うのが好ましい。真
空度が0.01Paよりも高真空では、安定な放電が出
来ないため、スパッタリングが安定しない。また、10
Paよりも低い真空度でも、やはり安定な放電が出来な
いため、スパッタリングが安定しない。また、蒸着法、
CVD法などの他の方法においても同様である。
【0055】また、さらに膜質の優れた透明導電性薄膜
を得るために、成膜後に加熱、紫外線照射などの手段で
エネルギーを加えてもよい。このうち、酸素雰囲気下で
の加熱処理が好適である。加熱温度は150〜220℃
の範囲が好ましい。150℃未満の温度では、膜質改善
の効果が十分でなく、220℃を超える温度ではフィル
ムの平面性を維持するのが難しい。また加熱時間として
は0.2〜60分の範囲が好適である。0.2分未満で
は220℃程度の高温処理しても膜質改善の効果が十分
でなく、60分を超える加熱時間では工業的生産するに
は不適である。
【0056】また、加熱処理をおこなう雰囲気は、まず
0.2Pa以下の圧力まで排気した後に酸素で満たした
空間で行うことが好ましい。このときの圧力は大気圧以
下であることが好ましい。
【0057】透明導電性薄膜と硬化物層の付着力を向上
するために、硬化物層を表面処理することが有効であ
る。具体的な手法としては、カルボニル基、カルボキシ
ル基、水酸基を増加するためにグローまたはコロナ放電
を照射する放電処理法、アミノ基、水酸基、カルボニル
基などの極性基を増加させるために酸またはアルカリで
処理する化学薬品処理法などが挙げられる。
【0058】また、タッチパネルとした際の最外層(ペ
ン入力面)の耐擦傷性をさらに向上させるために、透明
プラスチックフィルムの透明導電性薄膜を形成させた表
面とは反対面(タッチパネルとした際の最外層のペン入
力面)に、ハードコート層を設けることが好ましい。前
記ハードコート層の硬度は、鉛筆硬度で2H以上である
ことが好ましい。2Hよりも低い硬度では、透明導電性
フィルムのハードコート層としては耐擦傷性の点で不十
分である。
【0059】前記ハードコート層の厚みは0.5〜10
μmであることが好ましい。厚みが0.5μm未満で
は、耐擦傷性が不十分となりやすい。一方、10μmを
超える場合には、生産性の観点から好ましくない。
【0060】前記ハードコート層に用いられる硬化型樹
脂組成物の皮膜形成成分は、アクリレート系の官能基を
有する樹脂が好ましい。例えば、比較的低分子量のポリ
エステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポ
キシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセ
タール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエ
ン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)ア
クリート等のオリゴマーまたはプレポリマーなどが挙げ
られる。
【0061】また、反応性希釈剤としては、エチル(メ
タ)アクリート、エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン
等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ト
リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキ
サンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用
できる。
【0062】前記の中でも、ポリエステルアクリレート
とポリウレタンアクリレートの混合物が特に好適であ
る。なぜなら、ポリエステルアクリレートは塗膜が非常
に硬くてハードコート層として適しているためである。
しかしながら、ポリエステルアクリレート単独の塗膜で
は耐衝撃性が低く脆くなりやすいので、塗膜に耐衝撃性
及び柔軟性を与えるために、ポリウレタンアクリレート
を併用する。ポリエステルアクリレート100重量部に
対するポリウレタンアクリレートの配合割合は30重量
部以下とするのが好ましい。この配合割合が30重量部
を超えると、塗膜が柔らかくなりすぎて耐衝撃性が不十
分となる傾向がある。
【0063】前記の硬化型樹脂組成物の硬化方法は、通
常の硬化方法、即ち、加熱、電子線または紫外線の照射
によって硬化する方法を用いることができる。例えば、
電子線硬化の場合は、コックロフトワルトン型、ハンデ
グラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダ
イナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放
出される50〜1000keV、好ましくは100〜3
00keVのエネルギーを有する電子線等が使用され
る。また、紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧
水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアー
ク、メタルハイライドランプ等の光線から発する紫外線
等が利用できる。
【0064】さらに、電離放射線硬化の場合には、前記
の硬化型樹脂組成物中に光重合開始剤として、アセトフ
ェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベン
ゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチ
ウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感
剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−
n−ブチルホスフィン等を混合することが好ましい。本
発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モ
ノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)ア
クリレート等を混合することが特に好ましい。
【0065】ハードコート層に防眩性を付与するために
は、硬化型樹脂中にCaCO3やSiO2などの無機粒子
を分散させたり、ハードコート層の表面に凹凸形状を形
成させることが有効である。例えば、凹凸を形成するた
めには、硬化型樹脂組成物を含む塗液を塗工後、表面に
凸形状を有する賦形フィルムをラミネートし、この賦形
フィルム上から紫外線を照射し硬化型樹脂を硬化させた
後に、賦形フィルムのみを剥離することにより得られ
る。
【0066】前記の賦型フィルムには、離型性を有する
ポリエチレンテレフタレート(以後、PETと略す)等
の基材フィルム上に所望の凸形状を設けたもの、或い
は、PET等の基材フィルム上に繊細な凸層を形成した
もの等を用いることができる。その凸層の形成は、例え
ば、無機粒子とバインダー樹脂からなる樹脂組成物を用
いて基材フィルム上に塗工することにより得ることがで
きる。前記バインダー樹脂は、例えば、ポリイソシアネ
ートで架橋されたアクリルポリオールを用い、無機粒子
としては、CaCO3やSiO2などを用いることができ
る。また、この他にPET製造時にSiO2等の無機粒
子を練込んだマットタイプのPETも用いることができ
る。
【0067】この賦型フィルムを紫外線硬化型樹脂の塗
膜にラミネートした後紫外線を照射して塗膜を硬化する
場合、賦型フィルムがPETを基材としたフィルムの場
合、該フィルムに紫外線の短波長側が吸収され、紫外線
硬化型樹脂の硬化が不足するという欠点がある。したが
って、紫外線硬化型樹脂の塗膜にラミネートする賦型フ
ィルムの透過率が20%以上のものを使用することが必
要である。
【0068】また、タッチパネルに用いた際に可視光線
の透過率をさらに向上させるためにハードコート層上
に、低反射処理を施してもよい。この低反射処理は、ハ
ードコート層の屈折率とは異なる屈折率を有する材料を
単層もしくは2層以上に積層することが好ましい。単層
構造の場合、ハードコート層よりも小さな屈折率を有す
る材料を用いるのが好ましい。
【0069】また、2層以上の多層構造とする場合は、
ハードコート層と隣接する層は、ハードコート層よりも
大きな屈折率を有する材料を用い、この上の層にはこれ
よりも小さな屈折率を有する材料を選ぶのがよい。この
ような低反射処理を構成する材料としては、有機材料で
も無機材料でも上記の屈折率の関係を満足すれば特に限
定されない。例えば、CaF2、MgF2、NaAl
4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd23、Sn
2、TiO2、CeO2、ZnS、In23、などの誘
電体を用いるのが好ましい。
【0070】この低反射処理は、真空蒸着法、スパッタ
リング法、CVD法、イオンプレーティング法などのド
ライコーティングプロセスでも、グラビア方式、リバー
ス方式、ダイ方式などのウェットコーティングプロセス
でもよい。
【0071】さらに、この低反射処理層の積層に先立っ
て、前処理として、コロナ放電処理、プラズマ処理、ス
パッタエッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処
理、プライマ処理、易接着処理などの公知の表面処理を
ハードコート層に施してもよい。
【0072】本発明の透明導電性フィルムを用い、透明
導電性薄膜を形成していない面と粘着剤を介して透明樹
脂シートと積層することで、タッチパネルの固定電極に
用いる透明導電性積層シートが得られる。すなわち、固
定電極をガラスから樹脂製にすることで、軽量かつ割れ
にくいタッチパネルを作製することができる。
【0073】前記粘着剤は透明性を有するものであれば
特に制限はないが、例えばアクリル系粘着剤、シリコー
ン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが好適である。この粘着
剤の厚さは特に制限はないが、通常1〜100μmの範
囲に設定するのが望ましい。粘着剤の厚みが1μm未満
の厚さの場合、実用上問題のない接着性を得るのが難し
く、100μmを越える厚さでは生産性の観点から好ま
しくない。
【0074】この粘着剤を介して貼合わせる透明樹脂シ
ートは、ガラスと同等の機械的強度を付与するために使
用するものであり、厚さは0.05〜5mmの範囲が好
ましい。前記透明樹脂シートの厚みが0.05mm未満
では、機械的強度がガラスに比べ不足する。一方、厚さ
が5mmを越える場合には、厚すぎてタッチパネルに用
いるには不適当である。また、この透明樹脂シートの材
質は、前記の透明プラスチックフィルムと同様のものを
使用することができる。
【0075】図9に、本発明の透明導電性フィルムを用
いた、タッチパネルの例を示す。これは、透明導電性薄
膜を有する一対のパネル板を、透明導電性薄膜が対向す
るようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネル
において、一方のパネル板に本発明の透明導電性フィル
ムを用いたものである。
【0076】このタッチパネルは、ペンにより文字を入
力した時に、ペンからの押圧により、対向した透明導電
性薄膜同士が接触し、電気的にONの状態になり、タッ
チパネル上でのペンの位置を検出することができる。こ
のペン位置を連続的かつ正確に検出することで、ペンの
軌跡から文字を認識することができる。この際、ペン接
触側の可動電極が本発明の透明導電性フィルムを用いる
と、ペン入力耐久性に優れるため、長期にわたって安定
なタッチパネルとすることができる。
【0077】なお、本発明の透明導電性フィルム及び透
明導電性シートを使用して得た、ガラス基板を用いない
プラスチック製のタッチパネルの断面図を図10に示し
た。このプラスチック製のタッチパネルは、ガラスを用
いていないため、非常に軽量であり、かつ、衝撃により
割れたりすることがない。
【0078】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定さ
れるものではない。なお、透明導電性フィルムの性能お
よびタッチパネルのペン入力耐久性試験は、下記の方法
により測定した。
【0079】<光線透過率及びヘイズ>JIS−K71
05に準拠し、日本電色工業(株)製NDH−1001
DPを用いて、光線透過率及びヘイズを測定した。
【0080】<表面抵抗率>JIS−K7194に準拠
し、4端子法にて測定した。測定機は、三菱油化(株)
製 Lotest AMCP−T400を用いた。
【0081】<ペン入力耐久性試験>ポリアセタール製
のペン(先端の形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重
をかけ、10万回(往復5万回)の摺動試験をタッチパ
ネルに行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度
は60mm/秒とした。この摺動耐久試験後に、まず、
摺動部が白化しているかを目視によって観察した。さら
に、ペン荷重0.5Nで上記の摺動部にかかるように2
0mmφの記号○印を筆記し、タッチパネルがこれを正
確に読みとれるかを評価した。さらに、ペン荷重0.5
Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィ
ルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定
した。
【0082】実施例1 <ロール表面温度の校正>巻き取り式スパッタリング装
置において、スパッタリングを行う際の背面ロールとな
るセンターロール(表面粗度:0.2S)へ温調ユニッ
ト(タイテック株式会社製、CH-602BFP32お
よび300LF)を接続し、冷媒として、日曹丸善ケミ
カル(株)製ナイブラインZ1を用いた。センターロー
ルの表面温度を井内盛栄堂製IT−2000およびIK
−500を用いて測定し、温調ユニットの設定温度との
相関を測定した。以後、成膜中のセンターロールの表面
温度はこの相関関係のグラフより、温調ユニットの設定
温度により制御した。
【0083】<硬化物層の形成>両面に易接着層を有す
る二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋
紡績(株)製、A4340、厚み188μm)の片面
に、濃度1重量%の有機ケイ素化合物のブタノール/イ
ソプロパノール混合アルコール系溶液(日本コルコート
化学社製:HAS−2)を塗布した後、 100℃で1
分間乾燥させた。
【0084】<透明導電性薄膜の製膜>巻出しロールか
らスパッタリング室までのフィルムパス長が5mである
ため、ライン速度を0.8m/分に設定してフィルムを
搬送した。この際の真空暴露時間は6.25分とした。
また、スパッタリングを行う際にセンターロールの表面
温度を10℃になるように設定した。
【0085】さらに、硬化物層上にインジウム−スズ複
合酸化物からなる透明導電性薄膜を成膜した。このと
き、ターゲットにはスズを5重量%含有したインジウム
をターゲット(三井金属鉱業(株)製)として用いて、
2W/cm2のDC電力を印加した。また、Arガスを
130sccm、O2ガスを55sccmの流量で流
し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネトロンスパッタ
リング法で成膜した。ただし、通常のDCではなく、ア
ーク放電を防止するために、日本イー・エヌ・アイ製R
PG−100を用いて3μs幅のパルスを50kHz周
期で印加した。
【0086】次いで、雰囲気の酸素分圧をスパッタプロ
セスモニター(伯東(株)製、SPM200)にて常時
観測しながら、インジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸
化度が一定になるように酸素ガスの流量計およびDC電
源にフィートバックした。以上のようにして、厚さ27
nmのインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性
薄膜を堆積した。さらに、この後、190℃で1分間の
アニール処理を酸素雰囲気化で行なった。
【0087】<タッチパネルの作製>この透明導電性フ
ィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板と
して、ガラス基板上にプラズマCVD法で厚みが20n
mのインジウムースズ複合酸化物薄膜(酸化スズ:10
重量%)からなる透明導電性薄膜(日本曹達製、S50
0)を用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が
対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介し
て、配置しタッチパネルを作製した。
【0088】実施例2〜5 <硬化物層の形成>光重合開始剤含有アクリル系樹脂
(大日精化工業(株)製、セイカビームEXF−01
J)100重量部に、共重合ポリエステル樹脂(東洋紡
績(株)製、バイロン200、重量平均分子量18,0
00)を3重量部配合し、溶剤としてトルエン/MEK
(8/2;重量比)の混合溶媒を、固形分濃度が50重
量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を
調製した。
【0089】両面に易接着層を有する二軸配向ポリエチ
レンテレフタレートフイルム(東洋紡績(株)製、A4
340、厚み188μm)に、塗膜の厚みが5μmにな
るように、調製した塗布液をマイヤーバーを用いて塗布
した。80℃で1分間の乾燥を行った後、紫外線照射装
置(アイグラフィックス(株)製、UB042−5AM
−W型)を用いて紫外線を照射(光量:300mJ/c
2)し、塗膜を硬化させた。さらに180℃で1分間
の加熱処理を行った。
【0090】<透明導電性薄膜の製膜>スパッタリング
を行う前に、硬化物層を積層したプラスチックフィルム
を真空暴露するために、真空チェンバー中で巻き返し処
理を行なった。このときの圧力は0.002Paであ
り、巻き出しロールから巻き取りロールまでのフィルム
パス長が15mであるので、暴露時間が5分となるよう
にフィルムの搬送速度3m/分とした。また、この巻き
返し処理時のセンターロールの表面温度は40℃とし
た。
【0091】さらに、スパッタリングの前に巻出しロー
ルからスパッタリング室までのフィルムパス長が5mで
あるため、ライン速度を2m/分に設定してフィルムを
搬送した。この際の真空暴露時間は2.5分である。
【0092】前記2工程におけるフィルムの真空暴露時
間の合計は7.5分である。また、スパッタリングを行
う際にセンターロールの表面温度を60、30、10、
−5℃となるように実施例1の校正曲線を用いて、設定
した。
【0093】次に、この硬化物層上にインジウム−スズ
複合酸化物からなる透明導電性薄膜を成膜した。このと
き、ターゲットとして酸化スズを5重量%含有した酸化
インジウム(三井金属鉱業(株)製、密度7.1g/c
3)を用いて、2W/cm2のDC電力を印加した。ま
た、Arガスを130sccm、O2ガスを10scc
mの流速で流し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネト
ロンスパッタリング法で成膜した。ただし、通常のDC
ではなく、アーク放電を防止するために、日本イーエヌ
アイ製RPG−100を用いて5μs幅のパルスを50
kHz周期で印加した。
【0094】また、雰囲気の酸素分圧をスパッタプロセ
スモニター(伯東(株)製、SPM200)にて常時観
測しながら、インジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸化
度が一定になるように酸素ガスの流量計およびDC電源
にフィートバックした。以上のようにして、厚さ22n
mのインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄
膜を堆積した。さらに、この透明導電性フィルムを用い
て、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0095】比較例1 スパッタリング前に行う真空巻き返しを行わず真空暴露
時間を2.5分とした以外は、実施例3と同様にして透
明導電性フィルムを作製した。さらに、この透明導電性
フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネル
を作製した。
【0096】比較例2 センターロールの表面温度を80℃とした以外は実施例
3と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さら
に、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様
にしてタッチパネルを作製した。
【0097】以上の実施例及び比較例の測定結果を表1
及び図1〜7に示す。
【0098】表1の結果より、実施例1〜5記載の透明
導電性フィルムは、真空暴露処理が十分であり、かつ表
面ロール温度が低いため、成膜中にガスの発生が抑制で
き、良好な膜質を有する透明導電性薄膜が得られた。こ
の透明導電性フィルムを用いたタッチパネルは、ポリア
セタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に5.0N
の荷重をかけ10万回の摺動試験を行った後でも白化も
なく、ON抵抗にも異常がなかった。また、入力した記
号○印も正確に認識していた。
【0099】これに対して、比較例1及び2は真空暴露
処理が十分でない、もしくは、センターロールの冷却が
十分でないため、透明導電性薄膜の膜質に劣っていた。
そのため、タッチパネルに用いた際に、ポリアセタール
製ペン(先端形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重で
10万回の摺動試験を行った後に摺動部が白化し、ON
抵抗も上昇した。また、入力した記号○印も摺動部で正
確に認識していなかった。
【0100】
【表1】
【0101】
【発明の効果】本発明の透明導電性フィルムの製造方法
は、透明導電性薄膜を成膜する直前に、透明プラスチッ
クフィルムと硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物
層とからなる積層体を真空中に5分間以上暴露し、かつ
透明導電性薄膜を成膜する際に前記積層体の薄膜形成面
とは反対面にロールを密着させ、前記ロールの表面温度
を−20〜70℃として成膜する方法を用いているた
め、良好な膜質を有する透明導電性薄膜を成膜すること
ができる。このため、前記透明導電性フィルムを用いた
ペン入力用タッチパネルは、ペンの押圧で対向の透明導
電性薄同士が接触しても、剥離、クラック等を生じるこ
とがない。その結果、ペン入力耐久性に優れており、か
つ位置検出精度や表示品位にも優れている。したがっ
て、ペン入力タッチパネルとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のタッチパネルからの出力形状を示し
た説明図である。
【図2】実施例2のタッチパネルからの出力形状を示し
た説明図である。
【図3】実施例3のタッチパネルからの出力形状を示し
た説明図である。
【図4】実施例4のタッチパネルからの出力形状を示し
た説明図である。
【図5】実施例5のタッチパネルからの出力形状を示し
た説明図である。
【図6】比較例1のタッチパネルからの出力形状を示し
た説明図である。
【図7】比較例2のタッチパネルからの出力形状を示し
た説明図である。
【図8】本発明の透明導電性フィルムを使用して得たタ
ッチパネルの断面図である。
【図9】本発明の透明導電性フィルム及び透明導電性シ
ートを使用して得た、ガラス基板を用いないプラスチッ
ク製のタッチパネルの断面図である。
【符号の説明】 1 摺動試験部 2 タッチパネル出力形状 10 透明導電性フィルム 11 透明プラスチックフィルム基材 12 硬化物層 13 透明導電性薄膜 14 ハードコート層 20 ビーズ 30 ガラス板 40 透明導電性シート 41 粘着剤 42 透明樹脂シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA28 AA33 AH06 AK01A AK01B AK01D AK42 AR00C BA03 BA04 BA10A BA10C BA10D CB05 EC181 EH461 EH662 EJ422 EJ592 EJ861 GB41 JB12B JG01C JK06 JK14 JL00 JM02C JN01A JN01C JN01D 4K029 AA11 AA25 BA50 CA06 DA08 DC04 DC34 DC39 EA08 KA01 5G323 BB02 BB03 BB04 BB05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明プラスチックフィルム基材上に、硬
    化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層、及び透明導
    電性薄膜をこの順に積層する透明導電性フィルムの製造
    方法であって、透明導電性薄膜を成膜する直前に、透明
    プラスチックフィルムと硬化型樹脂を主たる構成成分と
    する硬化物層とからなる積層体を真空中に5分間以上暴
    露し、かつ透明導電性薄膜を成膜する際に前記積層体の
    薄膜形成面とは反対面にロールを密着させ、前記ロール
    の表面温度を−20〜70℃とすることを特徴とする透
    明導電性フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の透明導電性フィルムの透明導
    電性薄膜面とは反対面に、粘着剤を介して透明樹脂シー
    トを貼り合わせることを特徴とする透明導電性シートの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記透明導電性薄膜を有する一対のパネ
    ル板を透明導電性薄膜が対向するようにスペーサーを介
    して配置してなるタッチパネルにおいて、少なくとも一
    方のパネル板が請求項1乃至2のいずれかに記載の製造
    方法で得られた透明導電性フィルムまたは透明導電性シ
    ートを用いることを特徴とするタッチパネル。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007141755A (ja) * 2005-11-22 2007-06-07 Dainippon Printing Co Ltd 導電性基板
JP2007149546A (ja) * 2005-11-29 2007-06-14 Dainippon Printing Co Ltd 導電性基板
JP2012107336A (ja) * 2010-05-06 2012-06-07 Toyobo Co Ltd 透明導電性フィルム及びその製造方法

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