JP6361462B2 - 透明導電性積層体の選別方法、及び透明導電性積層体の製造方法 - Google Patents

透明導電性積層体の選別方法、及び透明導電性積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、透明導電性積層体の選別方法、及び透明導電性積層体の製造方法に関する。
タブレット型PCならびにスマートフォンに代表される双方向の通信機能を備え、かつ情報表示ならびに情報入力用の透明タッチパネルを搭載したモバイル型の情報端末機器が、世界中で広く普及してきている。
透明タッチパネルとしては、コスト的に優れた抵抗膜方式があるが、マルチタッチ等のジェスチャー操作、透過率向上による表示デバイスの画質維持が可能である等の点で、情報端末機器の爆発的な普及もトリガーとなり、静電容量方式のタッチパネル、特に、投影型静電容量方式のタッチパネルの需要が拡大してきている。
投影型静電容量方式のタッチパネルの基本構造は、X軸電極と、該X電極と直交するY軸電極とを絶縁体を介して配置した基本構成に、回路が接続されてなるものである。X電極及びY電極は、透明基材上にITO(酸化インジウムスズ)等からなる透明導電層を有する透明導電性基材の透明導電層をパターニングして形成されている。
透明導電性基材はガラスとプラスチックフィルムに大別されるが、軽量化や薄型化の観点からプラスチックフィルムが用いられることが多くなっている。プラスチックフィルムを用いた透明導電性フィルムは、プラスチックフィルム及びハードコート層等からなる基体上に、透明導電層を有する基本構成からなる。
また、近年、端末機器のさらなる軽量化及び薄型化の要望、並びにスパッタ処理時のコストダウンの要望のために、プラスチックフィルムの低減化(薄膜化)が求められている。また、表示画素の高精細化ならびにタッチ検出精度の高精度化に伴い、透明導電層のパターンの高精細化ならびに多様化等の要求もでてきている。
一方、透明導電性フィルムは、透明導電層を高温で結晶化する工程や、透明導電層を成膜した後に、所定の箇所に形成した銀ペースト等からなる取り出し電極を焼成する工程において、基体と透明導電層との熱膨張率差又は熱収縮率差を起因として、基体から透明導電層が剥がれたり、透明導電層表面に微細なクラック等が生じる場合がある。
特許文献1には、該問題を解消するために、透明導電層を成膜する前に、ポリエチレンテレフタレートフィルムにあらかじめ加熱処理を施し、該ポリエチレンテレフタレートフィルムの熱収縮率(長手方向MD及び横手方向TDの収縮率)を0.5%程度に低減させておく旨の技術が開示されている。
特開2007−133839号公報
特許文献1の実施例では、基体の上に成膜した透明導電層はパターニングせず、ベタ層(膜)を用いて行っており、該透明導電層の表面積と該基体の表面積との比は1:1の関係である。
しかし、近年、タッチパネルの主流が抵抗膜式から静電容量式に切り替わったことに伴い、透明導電層はパターニングされることが多くなっている。また、表示素子の高精細化に伴い、該パターニングも高精細化しているところ、特許文献1では、基体とパターニングされた透明導電層との間で、どのような相互作用(熱応力による歪み等)が生じるのか、全く検討がなされていなかった。
さらに、上述したように、透明基材の厚みの低減化の要求があるなかで、特許文献1のように、たとえポリエチレンテレフタレートフィルムの熱収縮率を0.5%以下に低減させておいたとしても、上述の問題(透明導電層を高温で結晶化する工程や、透明導電層を成膜した後に取り出し電極を高温で焼結する工程において、基体から透明導電層が剥がれたり、透明導電層表面に微細なクラック等が生じる問題)は解消するものの新たな問題が生じた。
上記の新たな問題として、透明導電層をパターニングした直後に透明導電層表面にうねりが生じる現象が挙げられる。
さらに、上記の新たな問題として、パターニングした透明導電層に対して高温長時間の熱処理(透明導電層の結晶化あるいは取り出し電極の焼成)を行った際に、前述したうねりとは異なる、洗濯板のようなさざ波状の凹凸面(以下、ウォッシュボードリップル又はWBRと称することがある。)が発生する現象が挙げられる。
上記のうねり及びウォッシュボードリップルは、透明導電性積層体の外観性状の低下を招き、該透明導電性積層体を表示素子の前面に設置した際に、表示素子の視認性が低下してしまう。特に、ウォッシュボードリップルは透明導電性積層体の外観性状を低下させやすい。
上記のうねりやウォッシュボードリップルは、透明導電性積層体を目視で観察することによって評価できる。しかし、目視評価では均質な評価が困難である。しかも、ウォッシュボードリップルには方向性があり、該方向性を考慮した上で、目視で均質な評価をすることは極めて困難であった。
本発明は、上記問題点に鑑み、ウォッシュボードリップル等により外観性状が低下していない透明導電性積層体を選択する方法、及びウォッシュボードリップル等により外観性状が低下しない透明導電性積層体を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明らは鋭意研究した結果、ウォッシュボードリップル等による外観性状の低下の度合いが、JIS K7105:1981の像鮮明度に相関していることを見出し、上記課題を解決するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]の透明導電性積層体の選別方法、及び透明導電性積層体の製造方法を提供する。
[1]プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを少なくとも1枚備えた透明導電性積層体の選別方法であって、写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、該透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらしてJIS K7105:1981の像鮮明度を測定し、得られた像鮮明度の最小値が20%以上であるものを透明導電性積層体として選別する、透明導電性積層体の選別方法。
[2]さらに、[前記像鮮明度の最小値/前記像鮮明度の最大値]の比を算出し、該比が0.25以上であるものを透明導電性積層体として選別する、上記[1]に記載の透明導電性積層体の選別方法。
[3]前記透明導電性フィルムは、透明導電層がパターニングされた後に熱処理されたものである、上記[1]又は[2]に記載の透明導電性積層体の選別方法。
[4]前記透明導電性積層体がタッチパネル用の透明導電性積層体である、上記[1]〜[3]の何れかに記載の透明導電性積層体の選別方法。
[5]プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを作製する工程、及び該透明導電性フィルムと透明基板とを粘着剤層を介して積層する工程を有する透明導電性積層体の製造方法であって、写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、該透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらして測定した際のJIS K7105:1981の像鮮明度の最小値が20%以上となるように透明導電性積層体を製造する、透明導電性積層体の製造方法。
[6]さらに、[前記像鮮明度の最小値/前記像鮮明度の最大値]の比が0.25以上となるように透明導電性積層体を製造する、上記[5]に記載の透明導電性積層体の製造方法。
[7]前記透明導電性フィルムの作製後にさらに透明導電性フィルムを熱処理する工程を有する、上記[5]又は[6]に記載の透明導電性積層体の製造方法。
[8]前記透明導電性積層体がタッチパネル用の透明導電性積層体である、上記[5]〜[7]の何れかに記載の透明導電性積層体の製造方法。
本発明の透明導電性積層体の選別方法は、ウォッシュボードリップル等により外観性状が低下していない透明導電性積層体を迅速かつ正確に選別することができ、品質管理を効率よくできる。また、本発明の透明導電性積層体の製造方法は、ウォッシュボードリップル等により外観性状が低下していない透明導電性積層体を迅速かつ正確に製造することができる。
本発明に関する透明導電性積層体の一実施形態を示す断面図である。 本発明に関する透明導電性積層体の他の実施形態を示す断面図である。 本発明に関する透明導電性積層体の他の実施形態を示す断面図である。 本発明に関する透明導電層のパターンの一実施形態を示す平面図である。
[透明導電性積層体の選別方法]
本発明の透明導電性積層体の選別方法は、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを少なくとも1枚備えた透明導電性積層体の選別方法であって、写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、該透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらしてJISK7105:1981の像鮮明度を測定し、得られた像鮮明度の最小値が20%以上であるものを透明導電性積層体として選別するものである。
透明導電性フィルムは、透明導電層をパターニングした直後に透明導電層表面にうねりが生じる場合がある。また、透明導電性フィルムは、パターニングした透明導電層に対して高温長時間の熱処理(透明導電層の結晶化あるいは取り出し電極の焼成)を行った際に、洗濯板のようなさざ波状の凹凸面(ウォッシュボードリップル)が発生する場合がある。うねり及びウォッシュボードリップルは、透明導電性積層体の外観性状の低下を招き、該透明導電性積層体を表示素子の前面に設置した際に、表示素子の視認性が低下してしまう。特に、ウォッシュボードリップルは透明導電性積層体の外観性状を低下させやすい。
本発明の透明導電性積層体の選別方法では、ウォッシュボードリップル等により外観性状が低下していない透明導電性積層体を迅速かつ正確に選別することができ、透明導電性積層体の品質管理を効率よくできる。
透明導電性積層体を選別する判定条件は、(a)写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらして測定したJISK7105:1981の像鮮明度の最小値(以下、単に「最小像鮮明度」と称する場合がある。)が20%以上であることを必須条件とする。
ウォッシュボードリップルは透明導電層のパターンの形状に対応したパターンを有する。そして、ウォッシュボードリップルのパターン方向と、光学櫛の配列方向とが一定の関係となった場合に、像鮮明度は大きく低下する。したがって、透明導電性積層体の最小像鮮明度が20%以上であることは、透明導電性積層体のウォッシュボードリップルが抑制されて、視認性が良好であることを意味している。なお、ウォッシュボードリップルの発生による像鮮明度の低下は、光学櫛の幅が狭いほど顕著である。したがって、光学櫛の幅を狭くした上で条件(a)を満たせば、透明導電性積層体のウォッシュボードリップルがより抑制されているといえる。このため、光学櫛の幅が0.125mmである時に、条件(a)を満たすことが好ましい。後述する条件(b)についても同様である。
条件(a)の最小像鮮明度の判定条件は40%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本発明の透明導電性積層体の選別方法では、さらに、(b)[前記像鮮明度の最小値/前記像鮮明度の最大値]の比を算出し、該比が0.25以上であるものを判定条件とすることが好ましい。該比を0.25以上とすることにより、透明導電性積層体のウォッシュボードリップルがより抑制され、視認性がより良好であることを意味している。
条件(b)の比は0.45以上であることがより好ましく、0.80以上であることがさらに好ましく、0.90以上であることがよりさらに好ましい。
像鮮明度には透過の像鮮明度及び反射の像線明度がある。上記条件(a)及び(b)では、透過の像鮮明度及び反射の像鮮明度の少なくとも一方が上述した範囲を満たしていればよい。また、本発明の透明導電性積層の選別方法は、透過光を重視する場合は透過の像鮮明度が上述した範囲を満たしていることが好ましく、反射光を重視する場合は反射の像鮮明度が上述した範囲を満たしていることが好ましい。また、本発明の透明導電性積層体の選別方法は、透過の像鮮明度及び反射の像鮮明度の両方が上述した範囲を満たしていることがより好ましい。
なお、本発明において、透明導電性積層体、透明導電性フィルム、透明層、透明導電層、及び透明基板における「透明」とは、可視光を透過する領域を面内に持っていることを意味し、実質的に半透明であってもよい。また、「透明」とは、たとえば波長550nmでの光透過率が概ね50%以上であることをいう。
[透明導電性積層体]
以下、本発明の透明導電性積層体の選別方法で用いる透明導電性積層体、及び本発明の透明導電性積層体の製造方法により得られる透明導電性積層体(以下、単に「透明導電性積層体」と称する場合がある。)の実施の形態を説明する。
透明導電性積層体は、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを少なくとも1枚備えてなるものである。
図1〜3は、透明導電性積層体の実施の形態を示す断面図である。図1〜3に示すように、透明導電性積層体4は、少なくとも一枚の透明導電性フィルム1を有している。また、図1〜3においては、透明導電性フィルム1は粘着剤層2を介して透明基板3,31と積層されている。
<透明導電性フィルム>
透明導電性フィルムは、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する構成からなる。
(基体)
基体はプラスチックフィルムを含むものである。
プラスチックフィルムとしては、光透過性、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものであることが好ましい。このようなプラスチックフィルムとしては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等が挙げられる。
これらプラスチックフィルムの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル、例えば、機械特性、寸法安定性、耐薬品性、透明性等の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
なお、ポリエチレンナフタレートは屈折率の異方性が大きいので、延伸により高リタデーションにできる(偏光サングラスへの対応)。また、ポリエチレンテレフタレートは、高い透明性が安定的に得られ、さらに、隣接して積層される透明層との屈折率差を小さくしやすく、界面の影響が出にくい等の特徴を有する。
また、プラスチックフィルムの表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
プラスチックフィルムの製造方法は、特に制限されないが、通常、溶融押し出し法等の公知の方法で製造することができる。耐熱性、透明性、機械的強度、表面の平滑性等の観点から、二軸延伸により製造されたプラスチックフィルム(特にPETフィルム)が好ましい。
二軸延伸の方法としては、未延伸のプラスチックフィルムを長手方向(流れ方向)あるいは横手方向(流れ方向に対し垂直方向)に延伸し、続いて先のいずれかの延伸方向と直行する方向の延伸を行う逐次二軸延伸や、長手方向、横手方向に一度に延伸する同時二軸延伸があるが、本発明においては、特に制限されず、どちらの二軸延伸で製造されたプラスチックフィルムでも使用することができる。
二軸延伸プラスチックフィルムは、上述したように、長手方向及び横手方向に延伸され製造されるため、延伸時の残留応力等により、加熱時に大きく収縮してしまう傾向にある。このため、例えば、二軸延伸プラスチックフィルムを基材として使用する際には、予め所定の熱処理を行い、収縮率を0.7%以下に低減して使用することが好ましい。
本発明で用いるプラスチックフィルムの厚みは、10〜70μmであることが好ましく、より好ましくは15〜65μm、さらに好ましくは20〜60μmである。
プラスチックフィルムの厚みを10μm以上とすることにより、強度及びハンドリング性を良好にすることができ、70μm以下とすることにより、コスト、薄型化、軽量化の観点で有利となる。また、プラスチックフィルムの厚みが薄いと、ロールの巻き径が小さくとも巻き長さが長大となり、透明導電層の成膜(スパッタ)効率が上がるため、よりコストを減少できる。
上記観点からプラスチックフィルムの厚みは、強度不足を生じない程度に薄くすることが好ましい。
プラスチックフィルム中にオリゴマー成分が残存している場合、透明導電層の結晶化や取り出し電極の焼成の加熱処理の際に、プラスチックフィルム中からオリゴマーが析出し、白濁を生じるなどして視認性に悪影響を及ぼす場合がある。特に、プラスチックフィルムがPET等のポリエステル系フィルムの場合にオリゴマーの析出は顕著である。したがって、基体は、プラスチックフィルムの片面又は両面に、オリゴマーを抑制するための透明層を有することが好ましい。
オリゴマーを抑制するため、透明層は電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物から形成することが好ましい。このように形成された透明層は、プラスチックフィルムの機械的特性(耐摩耗性、耐擦傷性、高鉛筆硬度性等)を向上しやすい点でも好適である。以下、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物から形成した透明層を、「ハードコート層」と称する場合がある。
一方、上述したようにプラスチックフィルムの厚みを薄くした場合、透明導電層のパターニング後の高温長時間の熱処理時(例えば、125〜160℃で10〜60分間)に、透明導電性積層体の基体上にウォッシュボードリップルが発生し、上述した条件(a)及び(b)を満たしにくくなる場合がある。また、オリゴマーの抑制及びプラスチックフィルムの機械的特性の向上を重視して基体の強度を高くし過ぎると、屈曲等により基体に容易にクラックが生じてしまう。
このため、プラスチックフィルムの片面又は両面に透明層を有する基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)と、該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt130(N/m)が下記条件(1)を満たすことが好ましい。
3.3×10≦Et130≦12.5×10 (1)
条件(1)は、基体を構成するプラスチックフィルムのMD方向で満たしていることが好ましく、基体の全方向で満たしていることがより好ましい。なお、MD方向とはプラスチックフィルムの延伸倍率が最も大きい方向のことを言う。
Et130を3.3×10(N/m)以上とすることにより、基体が塑性変形しづらい傾向となり、加熱工程時に発生する応力によって容易に変形することなく、パターニングされた透明導電層にウォッシュボードリップルが発生することを抑制でき、最小像鮮明度を20%以上にしやすくできる。Et130を12.5×10(N/m)以下とすることにより、屈曲性の低下を抑制し、タッチパネルに使用した時に、多数回のタッチ操作により、透明層にクラックが入ったり、透明層が剥離することを抑制しやすくできる。つまり、Et130が上記の範囲にあると、該基体とパターニングされた透明導電層との熱処理時の熱応力を含む機械的な相互作用が緩和され、パターニングされた透明導電層に高温長時間の熱処理(例えば、120〜160℃で10〜60分間)を行っても、ウォッシュボードリップルが発生することがなく、同時に屈曲性が保たれる。
さらに、Et130が上記の範囲にあると、透明導電層のパターニング直後のうねりも抑制しやすくできる。なお、該うねりは、透明導電層のエッチング時のエッチング液による影響や、透明導電層の存在箇所と不存在箇所との応力バランスが崩れることが原因であると考えられる。また、該うねりが生じない場合でもウォッシュボードリップルが発生する場合があり、ウォッシュボードリップルを抑制できる本発明は極めて有用である。
条件(1)は、3.6×10≦Et130≦10.5×10を満たすことがより好ましく、5.0×10≦Et130≦10.5×10を満たすことがさらに好ましい。
なお、基体の150℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)と、該基体の厚みd(m)とを乗じることで得られるEt150(N/m)は、2.5×10〜10.5×10(N/m)が好ましく、3.0×10〜9.5×10(N/m)がより好ましく、5.0×10〜9.5×10(N/m)がさらに好ましい。
基体の貯蔵弾性率Ecは、後述する実施例で記載するが、動的粘弾性測定装置(UBM社製、装置名:Rheogel−E4000)を用いて測定した。
また、ウォッシュボードリップルを抑制しやすくする観点から、透明層の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)が、プラスチックフィルムの130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)より大きいことが好ましい。さらに、同様の観点から、透明層の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)と、プラスチックフィルムの130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)との比[透明層の130℃における貯蔵弾性率/プラスチックフィルムの130℃における貯蔵弾性率]は、3.0〜8.0であることが好ましく、4.0〜7.0であることがより好ましい。
透明層のx℃の貯蔵弾性率は、基体がプラスチックフィルム及び透明層からなる場合、以下の式で近似できる。なお、以下の式の「透明層の厚み」は、透明層が2層の場合は、透明層の合計厚みである。
透明層のx℃貯蔵弾性率=(基体のx℃貯蔵弾性率×基体の厚み−プラスチックフィルムのx℃貯蔵弾性率×プラスチックフィルムの厚み)/透明層の厚み
さらに、ウォッシュボードリップルを抑制しやすくする観点から、透明層の150℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)と、透明層の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)との比[透明層の150℃における貯蔵弾性率/透明層の130℃における貯蔵弾性率]は、0.70以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましい。
プラスチックフィルムの厚みをd(m)、透明層の厚み(透明層を両面に形成する場合は、透明層の合計厚み)をd(m)とした場合、下記条件(2)を満たすことが好ましい。
0.005≦d/(d+d)≦0.700 (2)
薄いプラスチックフィルムであっても、d/(d+d)の値が、0.005以上であると、Et130の確保が容易であり、0.700以下であれば、屈曲性が保たれる。条件(2)は、0.015≦d/(d+d)≦0.500であることがより好ましく、0.030≦d/(d+d)≦0.350であることがさらに好ましい。
なお、透明層及び後述する機能層の厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。測定する膜厚がμmオーダーの場合、SEMを用いることが好ましく、nmオーダーの場合、TEM又はSTEMを用いることが好ましい。SEMの場合、加速電圧は30kV、倍率は1000〜7000倍とすることが好ましく、TEM又はSTEMの場合、加速電圧は30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
また、透明層の屈折率は、干渉縞防止の観点から、プラスチックフィルム、あるいはプラスチックフィルム上に必要に応じて形成するプライマー層との屈折率差を0.15以内とすることが好ましく、0.10以内とすることがより好ましく、0.08以内とすることがさらに好ましい。ただし、透明層の屈折率が前記条件を満たさなくても、プラスチックフィルムと透明層との界面を凹凸にしたり、プラスチックフィルムやプライマー層に透明層の成分を浸透したりすることにより、干渉縞を低減することができる。
なお、透明層上に後述する低屈折率層を設ける場合、透明層を高屈折率化して高屈折率透明層とすることが好ましい。高屈折率透明層上に低屈折率層を有することにより、透明導電層のパターンを見えにくくすることができる。高屈折率透明層の屈折率は、後述する高屈折率層の屈折率と同様の範囲とすることが好ましい。
透明層を高屈折率化するには、透明層塗布液に屈折率の高い樹脂を配合する手段と、屈折率の高い粒子を配合する手段が挙げられる。
屈折率の高い樹脂としては、電離放射線硬化性化合物に硫黄やリンを含有する基を導入したものが挙げられる。屈折率の高い粒子としては、後述する高屈折率層に用いる高屈折率粒子と同様のものを用いることができる。
また、透明層上に後述する高屈折率層を設ける場合、透明層の屈折率は、高屈折率層の屈折率より小さいことが好ましい。
透明層、並びに後述する機能層及び粘着剤層の屈折率は、例えば、反射光度計により測定した反射スペクトルと、フレネル係数を用いた多層薄膜の光学モデルから算出した反射スペクトルとのフィッティングにより算出することができる。
透明層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、一つ又は二つ以上の不飽和結合を有するアクリレート系化合物を挙げることができる。一つの不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げられる。また、二つ以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物、その変成物、及び、これらの多官能化合物と(メタ)アクリレート等との反応生成物(例えば、多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)、等を挙げることができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、メタクリレート及びアクリレートを意味するものである。
上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂等も上記電離放射線硬化性樹脂として使用することができる。
上記の電離放射線硬化性樹脂の中でも、透明層を極端に厚くすることなくEt130を上述した範囲内にしやすいという観点から、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートが好ましい。
上記電離放射線硬化性樹脂は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)、及び貯蔵弾性率Ec(N/m)と基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt130(N/m)が高すぎる場合、電離放射線硬化性組成物にソフト成分を混合して、Ec及びEt130を制御できる。なお、ソフト成分の配合は、カールの発生や層の脆さを防止することができる。
ソフト成分としては、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、アクリルポリマー等が挙げられる。
上記の電離放射線硬化性樹脂組成物を構成する樹脂成分は、各成分をそれぞれ複数併用した樹脂としてもよい。
電離放射線硬化性樹脂組成物の調製に用いる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、又はエチレングリコール等のアルコール類、アセトン、又はメチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、又はキシレン等の芳香族炭化水素、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、又はプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等の酢酸エステル等を適宜使用することができる。
電離放射線硬化性樹脂が電子線硬化性ではなく光硬化性の場合、電離放射線硬化性樹脂組成物には光重合開始剤を添加する。
光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、電離放射線硬化性樹脂組成物中の1〜10質量%が好ましく、3〜7質量%がより好ましい。
透明層は、プラスチックフィルムの片面に形成されていても、両面に形成されていてもよい。また、透明層がプラスチックフィルムの両面に形成される場合、2つの透明層を形成する材料は異なっていてもよいが、製造効率、コスト、性能の観点から、2つの透明層を形成する材料は同一とすることが好ましい。
透明層が、プラスチックフィルムの片面に形成され、プラスチックフィルムの厚みが10〜200μm(好ましくは15〜125μm、より好ましくは20〜70μm)である場合、透明層の厚みは、好ましくは1〜12μm、より好ましくは1.5〜12μm、さらに好ましくは4〜12μmである。透明層の厚みが、1μm以上であれば、Et130(N/m)を上述した範囲に制御しやすくでき、12μm以下であれば、屈曲性の低下によるクラックや剥離の発生を防ぎやすくすることができる。また、透明層の厚みがこの範囲にあれば、Et130を上述した範囲に制御しやすくできる。
透明層が、プラスチックフィルムの両面に形成され、プラスチックフィルムの厚みが10〜200μm(好ましくは15〜125μm、より好ましくは20〜70μm)であり、かつ透明層の形成材料が同一の場合、透明層の合計厚みは、好ましくは2〜24μm、より好ましくは3〜24μm、さらに好ましくは8〜24μmである。プラスチックフィルムの両面に形成される透明層のそれぞれの厚みは、上記合計厚みの範囲内で、積層体のカールの発生の影響が少なく、かつプラスチックフィルムからのオリゴマーの析出を抑制できる範囲で適宜調整すればよく、それらの厚みは同じであっても、異なっていてもよい。
透明層の厚みが上記範囲にあれば、Et130を上述した範囲に制御しやすくでき、かつ屈曲性の低下によるクラックや剥離を抑制しやすくできる。
なお、プラスチックフィルムの両面の透明層の形成材料がそれぞれの面で異なる場合は、合計厚み及び各透明層の厚みを適宜調整することにより、Et130を上述した範囲としやすくできる。
基体は、さらに機能層を有していてもよい。機能層としては、特に制限されず、積層体の特性を損なうことがない範囲で用いることができ、例えば、光学調整層が挙げられる。なお、機能層は、プラスチックフィルム上に直接設けてもよいが、透明層上に設けることが好ましい。
光学調整層は、例えば、透明導電層のパターンを見えづらくするために、透明層と透明導電層との間に設けることができる。このような光学調整層は、多層構造からなる光学調整層の各層の反射光同士を干渉させること、あるいは光学調整層の反射光と、光学調整層の下層(例えば透明層)の反射光とを干渉させることにより、前記作用を発揮するものである。また、積層体の透明導電層を有さない側の面に、反射防止性を付与するための光学調整層を設けることもできる。
上記光学調整層としては、低屈折率層の単層構造、高屈折率層及び低屈折率層の二層構造、高屈折率層、中屈折率層及び低屈折率層の三層構造、あるいは四層以上の多層構造が挙げられるが、費用対効果の観点から、高屈折率層及び低屈折率層の二層構造が好適である。
低屈折率層を形成する手法としては、ウェット法とドライ法とに大別できる。ウェット法は生産効率の点で優れている。
ウェット法としては、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、フッ素樹脂のような低屈折率のバインダーを塗工して形成する手法、バインダー樹脂に低屈折率粒子を含有させた組成物を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、後述する低屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する粒子を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
ゾルゲル法に用いる材料としては、金属アルコキシドが挙げられ、該金属アルコキシドを加水分解並びに縮合重合することにより低屈折率層を形成させる。金属アルコキシドとしては、機械的強度や安定性、透明導電層や基材等との密着性に優れている観点から、チタニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド又はアルコキシシランが挙げられ、屈折率の観点からアルコキシシランが好ましく用いられる。
バインダー樹脂として用いる材料としては、電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、前述した透明層に用いるものと同様のものが挙げられる。
熱硬化型樹脂としては、ウレタン系熱硬化性樹脂、メラミン系熱硬化性樹脂、フェノキシ系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系熱硬化性樹脂が靭性を上げ易く、耐久性が良好である観点から好ましく用いられる。
バインダーとして本発明において最も好ましいのは、製造効率がよく、物性や後述する低及び高屈折率微粒子の分散性が良好となる電離放射線硬化型樹脂である。
低屈折率粒子としては、金属フッ化物からなるMgF2、LiF、又はSiO2が挙げられ、耐湿熱安定性の観点からSiO2が好ましく用いられる。
低屈折率粒子の一次粒子径は100nm以下のものを用い、5〜60nmであるものが好ましい。上記範囲であれば、塗膜が白化することなく良好な光学干渉層を形成することができる。なお、添加量は、所望の屈折率に合わせ、適宜調整する。
高屈折率層を形成する手法としては、ウェット法とドライ法とに大別できる。ウェット法は生産効率の点で優れている。
ウェット法としては、低屈折率層と同様、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、バインダー樹脂に高屈折率粒子を含有させた組成物を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、後述する高屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する材料を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
ゾルゲル法に用いる材料としては、金属アルコキシドが挙げられ、該金属アルコキシドを加水分解並びに縮合重合することにより高屈折率層を形成させる。金属アルコキシドとしては、機械的強度や安定性、透明導電層や基材等との密着性に優れている観点から、チタニウムアルコキシド又はジルコニウムアルコキシドが挙げられる。これらのなかでも、ジルコニウムアルコキシドが、屈折率の観点から好ましく用いられる。
バインダー樹脂として用いる材料としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化型樹脂が挙げられ、いずれも低屈折率層で用いたものと同様のものを用いることができる。
高屈折率粒子としては、酸化亜鉛(1.90)、酸化チタン(2.3〜2.7)、酸化セリウム(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95〜2.00)、アンチモンドープ酸化スズ(1.75〜1.85)、酸化イットリウム(1.87)、酸化ジルコニウム(2.10)などが挙げられ、適度に高い屈折率を有し、耐光性などの耐久安定性が高いという観点から酸化ジルコニウムが好ましく用いられる。上記かっこ内は、各粒子の材料の屈折率を示す。
高屈折率粒子の一次粒子径は100nm以下のものを用い、10〜60nmであるものが好ましい。上記範囲であれば、塗膜が白化することなく良好な光学干渉層を形成することができる。なお、添加量は、所望の屈折率に合わせ、適宜調整する。
高屈折率層は、厚みが200nm以下で、屈折率が1.55〜1.75であることが好ましい。低屈折率層は、厚みが200nm以下で、屈折率は高屈折率層の屈折率よりも低く、1.30〜1.55であることが好ましい。高屈折率層の屈折率は1.58〜1.70であることがより好ましく、低屈折率層の屈折率は1.35〜1.51であることがより好ましい。また、透明導電層のパターンをより見えづらくするために、低屈折率層の厚みが3〜100nm、高屈折率層の厚みが10〜100nmであることがより好ましく、低屈折率層の厚みが10〜40nm、高屈折率層の厚みが10〜70nmであることがさらに好ましい。屈折率及び厚みが上記の範囲にあれば、優れた反射防止効果を有すると同時に、不可視化層としての効果を有する。
上述した透明層、光学調整層中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、帯電防止剤、防汚剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。
上述した基体は、例えば以下の(A)、(B)が挙げられる。透明層としてはハードコート層が好ましい。光学調整層は、高屈折率層及び低屈折率層の2層構造が好ましい。また、光学調整層が低屈折率層の単層であり、透明層を高屈折率透明層とする構成も好ましい。
(A)透明層/プラスチックフィルム/透明層/光学調整層
(B)光学調整層/透明層/プラスチックフィルム/透明層/光学調整層
(透明導電層)
透明導電層は上述した基体上に積層されてなるものである。また、本発明においては、透明導電層は基体上でパターニングされている。
なお、光学特性に影響のない範囲で、基体と透明導電層との間にSiO等からなる無機層を形成してもよい。透明導電層を形成する工程で基体からガスやオリゴマーが生じた場合、該無機層によりこれら成分を封止しやすくできる。
透明導電層は特に制限されないが、金属酸化物が挙げられる。金属酸化物としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、リンドープ酸化スズ(PTO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)等が挙げられる。この中で、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)が好まししい。特に、透明性、導電性がともに優れることから、スズドープ酸化インジウム(ITO)が好ましい。
透明導電層の形成方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法、又は化学気相成長法、その他印刷法、塗工法等種々あるが、光学特性、電気特性の観点から物理気相成長法、化学気相成長法が好ましく、特に、化学気相成長法に比べ、より低温度で処理できる物理気相成長法がより好ましい。
通常、スパッタ法で成膜したスズドープ酸化インジウム(ITO)は、非結晶であるが、積層体の耐熱温度の範囲内で、例えば、100〜150℃で加熱することにより、結晶化を進めることができ、加熱時間等を適宜調整することにより、50%以上結晶化させることができる。この結晶化により、ITO層の表面抵抗率を低下させることができる。また同時に、密着強度を向上させたり、貯蔵弾性率を増加させたりすることもできる。
透明導電層は、厚み10〜200nm、屈折率1.90〜3.00で、表面抵抗率が300Ω/□以下、好ましくは150Ω/□以下である。厚み、屈折率及び表面抵抗率が上記範囲であれば、タッチパネルとして用いた場合、高い光透過率、低消費電力及び大面積化された場合においても高速応答性が確保できる。
透明導電層は、パターニングにより所定のパターンを形成して用いる。パターンの形状は、例えば、タッチパネルとして使用する際、所定の位置検出機能が付与でき、かつ視認性の低下が可能な限り最小となるような形状及び配置であれば、特に制限されない。
透明導電層のパターンのピッチは5mm以下であることが好ましく、より好ましくは2mm以下である。パターンのピッチが上記範囲であると、表示画素の高精細化ならびにタッチ検出精度の高精度化に対応できる。また、パターンのピッチが上記範囲である場合に、Et130(N/m)を上述した範囲にすることで、パターニングされた透明導電層に対してさらに熱処理を施してもウォッシュボードリップルの発生を抑制できる。
図4に、本発明に用いる透明導電層のパターンの一例を示す。パターン層500は多数の横方向に電気的に連結されたX電極部611〜616と、多数の縦方向に電気的に連結されたY電極部711〜714とが、図示しないプラスチックフィルム、透明層及び粘着剤層等の絶縁層を介して交差して配置される。例えば、(i)一枚のプラスチックフィルムの一方の面にX電極部、他方の面にY電極部を形成すること、又は(ii)一枚のプラスチックフィルムにX電極部、別のプラスチックフィルム又は透明基板にY電極部を形成し、両基材を貼り合わせることにより、絶縁体を介してX電極部及びY電極部が交差される。図4において、LxはX電極のピッチ、LyはY電極のピッチを示している。
投影型静電容量式タッチパネルに用いられるパターンとしては、通常、透明導電層からなる複数の直線状の電極Xと複数の直線状の電極Yとが絶縁層(プラスチックフィルム、透明層、粘着剤層等)を介し互いに略直交するよう配置されている。電極X、電極Yのパターンの具体例としては、メッシュ状で、且つ、直線(電極X、電極Yともに所定のピッチで並列に配列)が略直交した形態の直線格子パターン、交差部間の導電部分が少なくとも1つの湾曲を有する波線格子パターン、ダイヤモンド状のパターン等が挙げられる。
透明導電性フィルムの構成としては、例えば以下の(A)、(B)が挙げられる。透明層としてはハードコート層が好ましい。光学調整層は、高屈折率層及び低屈折率層の2層構造が好ましい。また、光学調整層が低屈折率層の単層であり、透明層を高屈折率透明層とする構成も好ましい。
(A)透明層/プラスチックフィルム/透明層/光学調整層/パターニングされた透明導電層
(B)パターニングされた透明導電層/光学調整層/透明層/プラスチックフィルム/透明層/光学調整層/パターニングされた透明導電層
<透明基板及び粘着剤層>
透明導電性積層体4は、図1〜3に示すように、上述した透明導電性フィルム1と、透明基板3,31とを、粘着剤層2を介して積層してなる構成が好ましい。
透明基板は、主として保護板としての役割を果たすものである。透明基板の素材は、ガラスやプラスチックフィルムを用いることができ、ガラスが好適に用いられる。なお、図3の透明基板31は図示しないパターニングされた透明導電層が粘着剤層側に形成されており、保護板としての役割の他、導電性基材としての役割を果たしている。
また、図1及び図3のタイプの透明導電性積層体において、透明導電性フィルム1の透明導電層12が透明基板3,31とは反対側を向くように配置してもよいが、図1及び図3のように、透明導電性フィルム1の透明導電層12が透明基板3,31側を向くように配置することが好ましい。
透明基板の厚みは、素材がガラスの場合、0.2〜3.0mmであることが好ましく、0.5〜1.5mmであることがより好ましい。また、素材がプラスチックフィルムの場合、透明基板の厚みは、0.5〜5.0mmであることが好ましく、1.0〜4.0mmであることがより好ましい。
粘着剤層は、透明性に優れる粘着剤(いわゆるOCA)が好適に用いられ、その材質は透明性が良好であれば特に制限はされず、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤等を用いることができる。
また、粘着剤層は、25℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)が1.0×10〜1.0×10N/mであることが好ましく、1.0×10〜5.0×10N/mであることがより好ましく、2.0×10〜1.0×10N/mであることがさらに好ましく、4.0×10〜1.0×10N/mであることがよりさらに好ましい。
粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率Ecを1.0×10N/m以上とすることにより、透明導電性フィルムに若干のウォッシュボードリップルが発生していても、透明導電性フィルムと透明基板とを粘着剤を介して積層する際に、ウォッシュボードリップルの凹凸の高さを低下させ、像鮮明度を低下させにくくできる。また、粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率Ecを1.0×10N/m以上とすることにより、透明導電性フィルムと透明基板との積層時に粘着剤が伸びてはみ出すことがなく、作業性を良好にすることができる。
粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率Ecを1.0×10N/m以下とすることにより、外枠印刷等のマイクロオーダーの段差に追従しやすく、気泡の混入や段差を起点とした剥がれを防止しやすくできる。
粘着剤層の厚みは、5〜170μmであることが好ましく、10〜120μmであることがより好ましく、20〜100μmであることがさらに好ましい。粘着剤層の厚みを5μm以上とすることにより、透明導電性フィルムとの接着性を確保でき、10μm以上とすることにより、外枠印刷等のマイクロオーダーの段差に追従しやすく、気泡の混入や段差を起点とした剥がれを防止しやすくでき、200μm以下とすることにより、透明導電性積層体全体の厚みを低減することができる。
粘着剤層の屈折率は、通常1.30〜1.80程度であり、1.45〜1.60であることが好ましい。
[透明導電性積層体の製造方法]
本発明の透明導電性積層体の製造方法は、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを作製する工程、及び該透明導電性フィルムと透明基板とを粘着剤層を介して積層する工程を有する透明導電性積層体の製造方法であって、写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、該透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらして測定した際のJIS K7105:1981の像鮮明度の最小値が20%以上となるように透明導電性積層体を製造するものである。
本発明の透明導電性積層体の製造方法は、(c)写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらして測定したJIS K7105:1981の像鮮明度の最小値(最小像鮮明度)が20%以上となるように製造条件を制御することを必須とする。
また、追加の条件(d)として、上述した透明導電性積層体の選択方法の条件(b)を満たすように製造条件を制御することが好ましい。
製造条件(c)及び(d)の好適な範囲は、上述した本発明の透明導電性積層体の選択方法の条件(a)及び(b)と同様である。また、上述した透明導電性積層体の選択方法と同様に、光学櫛の幅が0.125mmのときに製造条件(c)及び(d)を満たすように製造することが好ましい。
製造条件(c)及び(d)を満たすためには、例えば、基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)と、該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt130(N/m)を上述した範囲とすることが好ましく、また、粘着剤層の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)を上述した範囲とすることも好ましい。
本発明の透明導電性積層体は、より具体的には、以下の工程(1)〜(3)の工程により製造することができる。
<工程(1)>
工程(1)は、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを作製する工程である。工程(1)はより詳しくは、以下の工程(1−1)〜(1−4)を含む。
(1−1)基体形成工程
プラスチックフィルムの片面又は両面に透明層を形成し、基体を形成する工程である。また、該工程において、基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt130(N/m)が3.3×10≦Et130≦12.5×10となるようにすることが好ましい。
透明層は、プラスチックフィルム上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させた後、塗膜を硬化させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。
塗布後の乾燥条件は、特に限定されないが、通常40〜200℃で20〜120秒間行うとよい。塗膜を硬化させる方法は、特に限定されず、公知の方法であればよい。
なお、トータルの照射量を一定として、照射強度を可変することで、透明層の分子の架橋形態や架橋密度を変えることにより分子の均一性を向上させ、貯蔵弾性率を制御することも可能である。また、貯蔵弾性率は、材料組成によるだけではなく、硬化条件によっても制御できる。例えば、貯蔵弾性率を高めるためには、後述するヒュージョンランプ等を使用して、照射光量密度を高め、急激に多量のラジカルを発生させることで架橋密度を上げることが好ましい。又、照射光量密度を低く照射時間を長くすることで、急激なラジカル密度の上昇を押さえ、架橋密度を抑えることで、貯蔵弾性率を抑え、屈曲性を高めることが出来る。
電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ、ヒュージョンランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する。これらのランプの中でも、ヒュージョンランプが好適である。照射量は、積算で通常100〜500mJ/cmである。また、走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。電子線としては、50〜1000eVのエネルギーを持つものが好ましく、より好ましくは100〜300eVである。
なお、プラスチックフィルムには、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の表面処理を予め行ってもよい。
基体形成工程では、透明層上に、さらに、光学調整層を形成する工程を行ってもよい。なお、必要に応じて、プラスチックフィルム上に、光学調整層等を直接形成してもよい。
光学調整層は主として高屈折率層及び低屈折率層が挙げられ、これらは上述したように、ウェット法またはドライ法により形成することができる。
(1−2)透明導電層形成工程
透明導電層形成工程は、基体上に、金属酸化物等からなる透明導電層を形成する工程である。
透明導電層の形成方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法、又は化学気相成長法、その他印刷法、塗工法等種々あるが、光学特性、電気特性の観点から物理気相成長法、化学気相成長法が好ましく、特に、化学気相成長法に比べ、より低温度で処理できる物理気相成長法が好ましい。
(1−3)結晶化工程
透明導電層を温度加熱により、結晶化させる工程である。この結晶化工程は、透明導電層のパターン形成前、又は透明導電層のパターン形成工程後の何れであってもよく、また、透明導電層のパターン形成前及び形成後の2段階で結晶化させてもよい。なお、透明導電層のパターン形成工程後に結晶化を行う場合、該結晶化工程を独立して行わず、後述する取り出し電極形成工程と結晶化工程とを兼用してもよい。結晶化工程のタイミングは、使用する金属酸化物のエッチングの容易性、製造効率等を考慮して、上記例示した中から適宜選択する。
加熱温度は、使用する金属酸化物により異なるが、通常130〜170℃である。また、加熱時間は、通常、5分間〜24時間であり、製造効率や結晶化度(機械的特性、表面抵抗率値等に影響を及ぼす)を考慮して適宜調整すればよい。加熱方法は、特に制限されることはなく、公知の方法で行うことができるが、金属酸化物としてITOを用いる場合は、空気中で加熱炉、赤外線ランプヒーター等を用いて行うことが好ましい。
透明導電層のパターン形成後に、結晶化工程又は取り出し電極形成工程の加熱処理がされることにより、通常はウォッシュボードリップルが生じ得るが、例えば、Et130(N/m)や粘着剤層の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m)を上述した範囲とすることにより、ウォッシュボードリップルを抑制しやすくできる。
(1−4)パターン形成工程
パターン形成工程は、透明導電層を所定のパターンにパターニングする工程である。パターニングは公知の方法で行うことができ、通常、フォトリソ法で行われる。具体的には、フォトレジストを透明導電層上に塗布し、所定パターンを有するフォトマスクを介して露光を行い、アルカリ溶液等の現像液を用い現像を行い、レジストパターンを形成し、さらにウェット又はドライエッチング法により不要となる透明導電層をエッチングした後、レジストを剥離することにより、所定の透明導電層のパターンを形成することができる。
以上の工程により、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを得ることができる。
<取り出し電極形成工程、及び積層工程>
工程(1)でパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを得た後は、取り出し電極形成工程、及び積層工程を行う。
(2)取り出し電極形成工程
取り出し電極形成工程は、パターン形成工程で形成された透明導電パターンと接続するための電極を形成する工程である。取り出し電極は、透明導電性フィルムの有効表示エリア外、あるいは保護板(図1〜3の場合、透明基板3、又は導電性透明基板31)の有効表示エリア外に形成される。
本工程では、銀ペースト等の導電性を有する材料を形成し、配線に係る電極パターンを形成させる。電極パターンの形成方法は、特に制限はなく、公知の手法で行うことができ、通常、スクリーン印刷法で行われる。得られた電極パターンは、使用した溶媒の乾燥を含め、電極パターンの導電性を向上させるために、高温度で焼成(加熱処理による焼結)される。加熱処理条件は、透明導電層の結晶化温度より低い温度(125〜150℃程度)で、10〜60分間である。加熱処理条件がこの範囲であれば、電極パターンの導電性を向上できるとともに、透明導電層の加熱変形(透明導電層の結晶性変化に伴う体積変化)の影響を小さくでき、取り出し電極と透明導電層の密着性や取出し電極へのクラックの発生等の欠陥の発生を防止できる。加熱方法は、特に制限されることはなく、公知の方法で行うことができる。通常、加熱炉、真空加熱炉、赤外線ランプヒーター等を用いて行われる。
(3)積層工程
次に、パターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムと、透明基板とを粘着剤層を介して積層する。図1のように透明導電性フィルム1を2枚用いる場合は、さらに透明導電性フィルム1同士を粘着剤層2を介して積層する。なお、透明基板がパターニングされた透明導電層を有する場合、透明導電性フィルムと、透明基板とを積層する前に、該透明基板を上記工程(1−4)のようにパターニングしておく。
上述した製造方法によれば、ウォッシュボードリップル等により外観性状が低下していない透明導電性積層体を迅速かつ正確に製造することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によって何ら限定されるものではない。なお、文中、「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
1.測定、評価
実施例及び比較例で得られた透明導電性積層体、該積層体を構成する基体、及び該積層体を構成する粘着剤層について、以下の測定又は評価を行った。結果を表1に示す。
(1)透過の像鮮明度
写像性測定器(スガ試験機社製、商品名:ICM−1T、)を透過測定に設定し、0.125mm幅の光学櫛の配列方向に対して、透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらして、JIS K7105:1981の透過の像鮮明度を測定した。測定結果から、像鮮明度の最小値及び最大値をピックアップし、さらに[最小値/最大値]の比を算出した。
(2)ウォッシュボードリップルの視認性
透明導電性積層体のパターニングされた透明導電層の凹凸を、蛍光灯の光を用い、蛍光灯の反射像の映りこみ具合を目視観察することにより評価した。なお、蛍光灯の光に対して、透明導電性積層体の角度を変更しながら目視観察した。評価基準は以下のようにした。
いかなる角度でも凹凸が全く見えないレベル:◎
いかなる角度でも凹凸がわずかにしか見えないレベル:○
何れかの角度で凹凸が容易に見えるレベル:×
(3)基体の貯蔵弾性率
試験片として基体を5mm×20mmの大きさに切り出し、基体のMD方向における130℃及び150℃の貯蔵弾性率(Ec)を、動的粘弾性測定装置(UBM社製、装置名:Rheogel−E4000)を用いて以下の条件で、測定した。
(測定条件)
周波数:10Hz、測定治具:引っ張り、荷重:50g、加振状態:連続加振
歪み制御:10μm、測定温度範囲:25℃〜200℃、昇温速度:2℃/分。
(4)粘着剤層の貯蔵弾性率
粘弾性測定器(ティー・エイ・インスツルメント社製、商品名:固体粘弾性アナライザーRSA−III)を用い、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法により、粘着剤層の貯蔵弾性率を測定した。
(測定条件)
アタッチメントモード:圧縮モード,周波数:1Hz,温度:−50〜150度、昇温速度:5度/分
(5)屈曲性
直径6mmの円柱状の棒(マンドレル棒)に、プラスチックフィルム上に透明層を有してなる基体を巻き、ビデオライトの光を照射して、クラックの発生の状況を、以下に示す評価基準で、目視観察することにより評価した。
クラックが発生しない:〇
クラックが僅かに発生する:△
2.透明導電性積層体の作製
[実施例1]
プラスチックフィルムである二軸延伸PETフィルム(東洋紡社製、商品名:A4300、プライマー層付、厚み:50μm)の片方の面に、下記透明層塗工液をワイヤーバーを用いて塗工したものを、温度70℃の熱オーブン中で40秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が160mJ/cmになるように照射して、塗膜を硬化させた。同様に、PETフィルムの他方の片面にも、透明層塗工液をワイヤーバーを用いて塗工し、塗膜を硬化させることにより、片面あたり厚みが15μm、両面の合計厚み30μmの透明層を形成した。
<透明層塗工液の調製>
光重合開始剤(BASF社製、商品名:イルガキュア184)を5質量部、希釈溶剤(MIBK/シクロヘキサノン=9/1)を300質量部入れ、溶け残りがなくなるまで撹拌した。ここに光硬化樹脂(日本化薬社製、DPHA)を100質量部入れ撹拌し、溶け残りがなくなるまで撹拌した。
次いで、一方の透明層上に、下記の高屈折率層塗布液を用いて、透明層と塗工方法、乾燥条件及び紫外線照射条件が同一となるようにして高屈折率層(厚み50nm、屈折率1.66)を形成し、さらに高屈折率層上に、スパッタ装置を用いてSiOを成膜(厚み:30nm、屈折率1.46)し、基体(透明層/プラスチックフィルム/透明層/高屈折率層/低屈折率層)を得た。
<高屈折率層塗布液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10部
・光重合開始剤 0.7部
(BASF社製、イルガキュア127)
・高屈折率粒子含有液 55部
(平均粒径20〜30nmのジルコニア粒子をメチル
エチルケトンに分散させ、固形分30%としたもの)
・メチルイソブチルケトン 500部
・メチルエチルケトン 500部
次に、得られた基体の低屈折率層上に、スパッタ装置を用いてスズドープ酸化インジウム(ITO)からなる透明導電層を成膜(厚み:25nm)し、温度150℃のオーブン中で30分間、熱処理することにより、透明導電層を結晶化させた。
さらに、透明導電層上に、ストライプ状パターンのフォトレジストを形成し、塩酸に浸漬してエッチング処理を施した。エッチング処理後、120℃で5分間乾燥して、高さ25nm、幅3.0mm、ピッチ2.0mmのストライプ状にパターニングされた透明導電層を形成し、パターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを得た。
次いで、取り出し電極の焼成工程を模擬するために、上記透明導電性フィルムをさらに熱処理(130℃30分間)行った。
次いで、熱処理後の透明導電性フィルムと、厚み0.7mmの透明ガラスとを、厚み25μmのアクリル系粘着剤(25℃の貯蔵弾性率1.6×10N/m)と貼り合わせ、透明導電性積層体を得た。
(実施例2〜7)
実施例1において、透明層の片面厚みを12、10、8.5、4、2、1μmに変更(透明層の合計厚みを24、20、17、8、4、2μmに変更)した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を作製した。
(実施例8)
実施例1において、粘着剤層をアクリル系粘着剤(25℃の貯蔵弾性率6.4×10N/m)に変更し、さらに透明層の片面厚みを0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を作製した。
(実施例9)
実施例1において、粘着剤層をアクリル系粘着剤(25℃の貯蔵弾性率5.0×10N/m)に変更し、さらに透明層の片面厚みを0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を作製した。
(実施例10)
実施例8において、透明層の片面厚みを1μmに変更した以外は、実施例8と同様にして透明導電性積層体を作製した。
(実施例11)
実施例9において、透明層の片面厚みを1μmに変更した以外は、実施例9と同様にして透明導電性積層体を作製した。
(比較例1)
実施例1において、透明層の片面厚みを0.5μmに変更(透明層の合計厚みを1μmに変更)した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を作製した。
(比較例2)
実施例1において、透明層、高屈折率層及び低屈折率層を形成せず、プラスチックフィルム上に直接透明導電層を形成した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を作製した。
表1より、最小像鮮明度が20%以上である実施例1〜11の透明導電性積層体は、ウォッシュボードリップルの発生がなく、優れた外観性状及び視認性を有することが確認できる。特に、像鮮明度の最小値が90%以上である実施例2〜5、10〜11の透明導電性積層体は、ウォッシュボードリップルに基づく凹凸が全く視認できず、極めて優れた外観性状及び視認性を有することが確認できる。また、実施例2〜11の透明導電性積層体を構成する透明導電性フィルムは、耐屈曲性に優れ、クラックを生じにくいことが確認できる。
一方、像鮮明度が20%未満である比較例1〜2の透明導電性積層体は、ウォッシュボードリップルが発生し、外観性状に劣ることが確認できる。
なお、透明導電性フィルムと透明ガラスとを貼り合わせる際に、実施例1〜11のものは貼り合わせ時に気泡を巻き込みにくかったが、比較例1〜2のものは気泡を巻き込みやすく作業性に劣るものであった。
本発明の選別方法で選別された透明導電性積層体、及び本発明の製造方法で製造された透明導電性積層体は、タッチパネルの構成部材として好適に使用することができ、静電容量式タッチパネルの構成部材として特に好適に使用することができる。
1:透明導電性フィルム
11:基体
12:透明導電層
111:プラスチックフィルム
112:透明層
2:粘着剤層
3:透明基板
31:透明導電層を備えた透明基板
4:透明導電性積層体
500:パターン層
610:二軸延伸されたポリエステルフィルムの延伸倍率が大きい方向(MD;X電極部用)
611〜616:X電極部(透明導電層パターン)
710:二軸延伸されたポリエステルフィルムの延伸倍率が大きい方向(MD;Y電極部用)
711〜714:Y電極部(透明導電層パターン)

Claims (8)

  1. プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを少なくとも1枚備えた透明導電性積層体の選別方法であって、写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、該透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらしてJIS K7105:1981の像鮮明度を測定し、得られた像鮮明度の最小値が20%以上であるものを透明導電性積層体として選別する、透明導電性積層体の選別方法。
  2. さらに、[前記像鮮明度の最小値/前記像鮮明度の最大値]の比を算出し、該比が0.25以上であるものを透明導電性積層体として選別する、請求項1に記載の透明導電性積層体の選別方法。
  3. 前記透明導電性フィルムは、透明導電層がパターニングされた後に熱処理されたものである、請求項1又は2に記載の透明導電性積層体の選別方法。
  4. 前記透明導電性積層体がタッチパネル用の透明導電性積層体である、請求項1〜3の何れか1項に記載の透明導電性積層体の選別方法。
  5. プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを作製する工程、及び該透明導電性フィルムと透明基板とを粘着剤層を介して積層する工程を有する透明導電性積層体の製造方法であって、写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、該透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらして測定した際のJIS K7105:1981の像鮮明度の最小値が20%以上となるように透明導電性積層体を製造する、透明導電性積層体の製造方法。
  6. さらに、[前記像鮮明度の最小値/前記像鮮明度の最大値]の比が0.25以上となるように透明導電性積層体を製造する、請求項5に記載の透明導電性積層体の製造方法。
  7. 前記透明導電性フィルムの作製後にさらに透明導電性フィルムを熱処理する工程を有する、請求項5又は6に記載の透明導電性積層体の製造方法。
  8. 前記透明導電性積層体がタッチパネル用の透明導電性積層体である、請求項5〜7の何れか1項に記載の透明導電性積層体の製造方法。
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