JP6361462B2 - 透明導電性積層体の選別方法、及び透明導電性積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
透明タッチパネルとしては、コスト的に優れた抵抗膜方式があるが、マルチタッチ等のジェスチャー操作、透過率向上による表示デバイスの画質維持が可能である等の点で、情報端末機器の爆発的な普及もトリガーとなり、静電容量方式のタッチパネル、特に、投影型静電容量方式のタッチパネルの需要が拡大してきている。
また、近年、端末機器のさらなる軽量化及び薄型化の要望、並びにスパッタ処理時のコストダウンの要望のために、プラスチックフィルムの低減化(薄膜化)が求められている。また、表示画素の高精細化ならびにタッチ検出精度の高精度化に伴い、透明導電層のパターンの高精細化ならびに多様化等の要求もでてきている。
特許文献1には、該問題を解消するために、透明導電層を成膜する前に、ポリエチレンテレフタレートフィルムにあらかじめ加熱処理を施し、該ポリエチレンテレフタレートフィルムの熱収縮率(長手方向MD及び横手方向TDの収縮率)を0.5%程度に低減させておく旨の技術が開示されている。
しかし、近年、タッチパネルの主流が抵抗膜式から静電容量式に切り替わったことに伴い、透明導電層はパターニングされることが多くなっている。また、表示素子の高精細化に伴い、該パターニングも高精細化しているところ、特許文献1では、基体とパターニングされた透明導電層との間で、どのような相互作用(熱応力による歪み等)が生じるのか、全く検討がなされていなかった。
さらに、上述したように、透明基材の厚みの低減化の要求があるなかで、特許文献1のように、たとえポリエチレンテレフタレートフィルムの熱収縮率を0.5%以下に低減させておいたとしても、上述の問題(透明導電層を高温で結晶化する工程や、透明導電層を成膜した後に取り出し電極を高温で焼結する工程において、基体から透明導電層が剥がれたり、透明導電層表面に微細なクラック等が生じる問題)は解消するものの新たな問題が生じた。
さらに、上記の新たな問題として、パターニングした透明導電層に対して高温長時間の熱処理(透明導電層の結晶化あるいは取り出し電極の焼成)を行った際に、前述したうねりとは異なる、洗濯板のようなさざ波状の凹凸面(以下、ウォッシュボードリップル又はWBRと称することがある。)が発生する現象が挙げられる。
上記のうねり及びウォッシュボードリップルは、透明導電性積層体の外観性状の低下を招き、該透明導電性積層体を表示素子の前面に設置した際に、表示素子の視認性が低下してしまう。特に、ウォッシュボードリップルは透明導電性積層体の外観性状を低下させやすい。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]の透明導電性積層体の選別方法、及び透明導電性積層体の製造方法を提供する。
[2]さらに、[前記像鮮明度の最小値/前記像鮮明度の最大値]の比を算出し、該比が0.25以上であるものを透明導電性積層体として選別する、上記[1]に記載の透明導電性積層体の選別方法。
[3]前記透明導電性フィルムは、透明導電層がパターニングされた後に熱処理されたものである、上記[1]又は[2]に記載の透明導電性積層体の選別方法。
[4]前記透明導電性積層体がタッチパネル用の透明導電性積層体である、上記[1]〜[3]の何れかに記載の透明導電性積層体の選別方法。
[6]さらに、[前記像鮮明度の最小値/前記像鮮明度の最大値]の比が0.25以上となるように透明導電性積層体を製造する、上記[5]に記載の透明導電性積層体の製造方法。
[7]前記透明導電性フィルムの作製後にさらに透明導電性フィルムを熱処理する工程を有する、上記[5]又は[6]に記載の透明導電性積層体の製造方法。
[8]前記透明導電性積層体がタッチパネル用の透明導電性積層体である、上記[5]〜[7]の何れかに記載の透明導電性積層体の製造方法。
本発明の透明導電性積層体の選別方法は、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを少なくとも1枚備えた透明導電性積層体の選別方法であって、写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、該透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらしてJISK7105:1981の像鮮明度を測定し、得られた像鮮明度の最小値が20%以上であるものを透明導電性積層体として選別するものである。
本発明の透明導電性積層体の選別方法では、ウォッシュボードリップル等により外観性状が低下していない透明導電性積層体を迅速かつ正確に選別することができ、透明導電性積層体の品質管理を効率よくできる。
ウォッシュボードリップルは透明導電層のパターンの形状に対応したパターンを有する。そして、ウォッシュボードリップルのパターン方向と、光学櫛の配列方向とが一定の関係となった場合に、像鮮明度は大きく低下する。したがって、透明導電性積層体の最小像鮮明度が20%以上であることは、透明導電性積層体のウォッシュボードリップルが抑制されて、視認性が良好であることを意味している。なお、ウォッシュボードリップルの発生による像鮮明度の低下は、光学櫛の幅が狭いほど顕著である。したがって、光学櫛の幅を狭くした上で条件(a)を満たせば、透明導電性積層体のウォッシュボードリップルがより抑制されているといえる。このため、光学櫛の幅が0.125mmである時に、条件(a)を満たすことが好ましい。後述する条件(b)についても同様である。
条件(a)の最小像鮮明度の判定条件は40%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
条件(b)の比は0.45以上であることがより好ましく、0.80以上であることがさらに好ましく、0.90以上であることがよりさらに好ましい。
なお、本発明において、透明導電性積層体、透明導電性フィルム、透明層、透明導電層、及び透明基板における「透明」とは、可視光を透過する領域を面内に持っていることを意味し、実質的に半透明であってもよい。また、「透明」とは、たとえば波長550nmでの光透過率が概ね50%以上であることをいう。
以下、本発明の透明導電性積層体の選別方法で用いる透明導電性積層体、及び本発明の透明導電性積層体の製造方法により得られる透明導電性積層体(以下、単に「透明導電性積層体」と称する場合がある。)の実施の形態を説明する。
透明導電性積層体は、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを少なくとも1枚備えてなるものである。
図1〜3は、透明導電性積層体の実施の形態を示す断面図である。図1〜3に示すように、透明導電性積層体4は、少なくとも一枚の透明導電性フィルム1を有している。また、図1〜3においては、透明導電性フィルム1は粘着剤層2を介して透明基板3,31と積層されている。
透明導電性フィルムは、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する構成からなる。
基体はプラスチックフィルムを含むものである。
プラスチックフィルムとしては、光透過性、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものであることが好ましい。このようなプラスチックフィルムとしては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等が挙げられる。
これらプラスチックフィルムの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル、例えば、機械特性、寸法安定性、耐薬品性、透明性等の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
なお、ポリエチレンナフタレートは屈折率の異方性が大きいので、延伸により高リタデーションにできる(偏光サングラスへの対応)。また、ポリエチレンテレフタレートは、高い透明性が安定的に得られ、さらに、隣接して積層される透明層との屈折率差を小さくしやすく、界面の影響が出にくい等の特徴を有する。
また、プラスチックフィルムの表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
二軸延伸の方法としては、未延伸のプラスチックフィルムを長手方向(流れ方向)あるいは横手方向(流れ方向に対し垂直方向)に延伸し、続いて先のいずれかの延伸方向と直行する方向の延伸を行う逐次二軸延伸や、長手方向、横手方向に一度に延伸する同時二軸延伸があるが、本発明においては、特に制限されず、どちらの二軸延伸で製造されたプラスチックフィルムでも使用することができる。
二軸延伸プラスチックフィルムは、上述したように、長手方向及び横手方向に延伸され製造されるため、延伸時の残留応力等により、加熱時に大きく収縮してしまう傾向にある。このため、例えば、二軸延伸プラスチックフィルムを基材として使用する際には、予め所定の熱処理を行い、収縮率を0.7%以下に低減して使用することが好ましい。
プラスチックフィルムの厚みを10μm以上とすることにより、強度及びハンドリング性を良好にすることができ、70μm以下とすることにより、コスト、薄型化、軽量化の観点で有利となる。また、プラスチックフィルムの厚みが薄いと、ロールの巻き径が小さくとも巻き長さが長大となり、透明導電層の成膜(スパッタ)効率が上がるため、よりコストを減少できる。
上記観点からプラスチックフィルムの厚みは、強度不足を生じない程度に薄くすることが好ましい。
オリゴマーを抑制するため、透明層は電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物から形成することが好ましい。このように形成された透明層は、プラスチックフィルムの機械的特性(耐摩耗性、耐擦傷性、高鉛筆硬度性等)を向上しやすい点でも好適である。以下、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物から形成した透明層を、「ハードコート層」と称する場合がある。
このため、プラスチックフィルムの片面又は両面に透明層を有する基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と、該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt130(N/m)が下記条件(1)を満たすことが好ましい。
3.3×104≦Et130≦12.5×104 (1)
条件(1)は、基体を構成するプラスチックフィルムのMD方向で満たしていることが好ましく、基体の全方向で満たしていることがより好ましい。なお、MD方向とはプラスチックフィルムの延伸倍率が最も大きい方向のことを言う。
さらに、Et130が上記の範囲にあると、透明導電層のパターニング直後のうねりも抑制しやすくできる。なお、該うねりは、透明導電層のエッチング時のエッチング液による影響や、透明導電層の存在箇所と不存在箇所との応力バランスが崩れることが原因であると考えられる。また、該うねりが生じない場合でもウォッシュボードリップルが発生する場合があり、ウォッシュボードリップルを抑制できる本発明は極めて有用である。
なお、基体の150℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と、該基体の厚みd(m)とを乗じることで得られるEt150(N/m)は、2.5×104〜10.5×104(N/m)が好ましく、3.0×104〜9.5×104(N/m)がより好ましく、5.0×104〜9.5×104(N/m)がさらに好ましい。
基体の貯蔵弾性率Ecは、後述する実施例で記載するが、動的粘弾性測定装置(UBM社製、装置名:Rheogel−E4000)を用いて測定した。
透明層のx℃の貯蔵弾性率は、基体がプラスチックフィルム及び透明層からなる場合、以下の式で近似できる。なお、以下の式の「透明層の厚み」は、透明層が2層の場合は、透明層の合計厚みである。
透明層のx℃貯蔵弾性率=(基体のx℃貯蔵弾性率×基体の厚み−プラスチックフィルムのx℃貯蔵弾性率×プラスチックフィルムの厚み)/透明層の厚み
さらに、ウォッシュボードリップルを抑制しやすくする観点から、透明層の150℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と、透明層の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)との比[透明層の150℃における貯蔵弾性率/透明層の130℃における貯蔵弾性率]は、0.70以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましい。
0.005≦dL/(dS+dL)≦0.700 (2)
薄いプラスチックフィルムであっても、dL/(dS+dL)の値が、0.005以上であると、Et130の確保が容易であり、0.700以下であれば、屈曲性が保たれる。条件(2)は、0.015≦dL/(dS+dL)≦0.500であることがより好ましく、0.030≦dL/(dS+dL)≦0.350であることがさらに好ましい。
透明層を高屈折率化するには、透明層塗布液に屈折率の高い樹脂を配合する手段と、屈折率の高い粒子を配合する手段が挙げられる。
屈折率の高い樹脂としては、電離放射線硬化性化合物に硫黄やリンを含有する基を導入したものが挙げられる。屈折率の高い粒子としては、後述する高屈折率層に用いる高屈折率粒子と同様のものを用いることができる。
また、透明層上に後述する高屈折率層を設ける場合、透明層の屈折率は、高屈折率層の屈折率より小さいことが好ましい。
透明層、並びに後述する機能層及び粘着剤層の屈折率は、例えば、反射光度計により測定した反射スペクトルと、フレネル係数を用いた多層薄膜の光学モデルから算出した反射スペクトルとのフィッティングにより算出することができる。
上記電離放射線硬化性樹脂は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ソフト成分としては、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、アクリルポリマー等が挙げられる。
上記の電離放射線硬化性樹脂組成物を構成する樹脂成分は、各成分をそれぞれ複数併用した樹脂としてもよい。
光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、電離放射線硬化性樹脂組成物中の1〜10質量%が好ましく、3〜7質量%がより好ましい。
透明層の厚みが上記範囲にあれば、Et130を上述した範囲に制御しやすくでき、かつ屈曲性の低下によるクラックや剥離を抑制しやすくできる。
なお、プラスチックフィルムの両面の透明層の形成材料がそれぞれの面で異なる場合は、合計厚み及び各透明層の厚みを適宜調整することにより、Et130を上述した範囲としやすくできる。
ウェット法としては、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、フッ素樹脂のような低屈折率のバインダーを塗工して形成する手法、バインダー樹脂に低屈折率粒子を含有させた組成物を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、後述する低屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する粒子を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、前述した透明層に用いるものと同様のものが挙げられる。
熱硬化型樹脂としては、ウレタン系熱硬化性樹脂、メラミン系熱硬化性樹脂、フェノキシ系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系熱硬化性樹脂が靭性を上げ易く、耐久性が良好である観点から好ましく用いられる。
バインダーとして本発明において最も好ましいのは、製造効率がよく、物性や後述する低及び高屈折率微粒子の分散性が良好となる電離放射線硬化型樹脂である。
低屈折率粒子の一次粒子径は100nm以下のものを用い、5〜60nmであるものが好ましい。上記範囲であれば、塗膜が白化することなく良好な光学干渉層を形成することができる。なお、添加量は、所望の屈折率に合わせ、適宜調整する。
ウェット法としては、低屈折率層と同様、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、バインダー樹脂に高屈折率粒子を含有させた組成物を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、後述する高屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する材料を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
バインダー樹脂として用いる材料としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化型樹脂が挙げられ、いずれも低屈折率層で用いたものと同様のものを用いることができる。
高屈折率粒子の一次粒子径は100nm以下のものを用い、10〜60nmであるものが好ましい。上記範囲であれば、塗膜が白化することなく良好な光学干渉層を形成することができる。なお、添加量は、所望の屈折率に合わせ、適宜調整する。
(A)透明層/プラスチックフィルム/透明層/光学調整層
(B)光学調整層/透明層/プラスチックフィルム/透明層/光学調整層
透明導電層は上述した基体上に積層されてなるものである。また、本発明においては、透明導電層は基体上でパターニングされている。
なお、光学特性に影響のない範囲で、基体と透明導電層との間にSiO2等からなる無機層を形成してもよい。透明導電層を形成する工程で基体からガスやオリゴマーが生じた場合、該無機層によりこれら成分を封止しやすくできる。
透明導電層は特に制限されないが、金属酸化物が挙げられる。金属酸化物としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、リンドープ酸化スズ(PTO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)等が挙げられる。この中で、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)が好まししい。特に、透明性、導電性がともに優れることから、スズドープ酸化インジウム(ITO)が好ましい。
透明導電層のパターンのピッチは5mm以下であることが好ましく、より好ましくは2mm以下である。パターンのピッチが上記範囲であると、表示画素の高精細化ならびにタッチ検出精度の高精度化に対応できる。また、パターンのピッチが上記範囲である場合に、Et130(N/m)を上述した範囲にすることで、パターニングされた透明導電層に対してさらに熱処理を施してもウォッシュボードリップルの発生を抑制できる。
(A)透明層/プラスチックフィルム/透明層/光学調整層/パターニングされた透明導電層
(B)パターニングされた透明導電層/光学調整層/透明層/プラスチックフィルム/透明層/光学調整層/パターニングされた透明導電層
透明導電性積層体4は、図1〜3に示すように、上述した透明導電性フィルム1と、透明基板3,31とを、粘着剤層2を介して積層してなる構成が好ましい。
透明基板は、主として保護板としての役割を果たすものである。透明基板の素材は、ガラスやプラスチックフィルムを用いることができ、ガラスが好適に用いられる。なお、図3の透明基板31は図示しないパターニングされた透明導電層が粘着剤層側に形成されており、保護板としての役割の他、導電性基材としての役割を果たしている。
また、図1及び図3のタイプの透明導電性積層体において、透明導電性フィルム1の透明導電層12が透明基板3,31とは反対側を向くように配置してもよいが、図1及び図3のように、透明導電性フィルム1の透明導電層12が透明基板3,31側を向くように配置することが好ましい。
また、粘着剤層は、25℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)が1.0×104〜1.0×107N/m2であることが好ましく、1.0×105〜5.0×106N/m2であることがより好ましく、2.0×105〜1.0×106N/m2であることがさらに好ましく、4.0×105〜1.0×106N/m2であることがよりさらに好ましい。
粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率Ecを1.0×104N/m2以上とすることにより、透明導電性フィルムに若干のウォッシュボードリップルが発生していても、透明導電性フィルムと透明基板とを粘着剤を介して積層する際に、ウォッシュボードリップルの凹凸の高さを低下させ、像鮮明度を低下させにくくできる。また、粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率Ecを1.0×104N/m2以上とすることにより、透明導電性フィルムと透明基板との積層時に粘着剤が伸びてはみ出すことがなく、作業性を良好にすることができる。
粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率Ecを1.0×107N/m2以下とすることにより、外枠印刷等のマイクロオーダーの段差に追従しやすく、気泡の混入や段差を起点とした剥がれを防止しやすくできる。
本発明の透明導電性積層体の製造方法は、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを作製する工程、及び該透明導電性フィルムと透明基板とを粘着剤層を介して積層する工程を有する透明導電性積層体の製造方法であって、写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、該透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらして測定した際のJIS K7105:1981の像鮮明度の最小値が20%以上となるように透明導電性積層体を製造するものである。
また、追加の条件(d)として、上述した透明導電性積層体の選択方法の条件(b)を満たすように製造条件を制御することが好ましい。
製造条件(c)及び(d)の好適な範囲は、上述した本発明の透明導電性積層体の選択方法の条件(a)及び(b)と同様である。また、上述した透明導電性積層体の選択方法と同様に、光学櫛の幅が0.125mmのときに製造条件(c)及び(d)を満たすように製造することが好ましい。
<工程(1)>
工程(1)は、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを作製する工程である。工程(1)はより詳しくは、以下の工程(1−1)〜(1−4)を含む。
プラスチックフィルムの片面又は両面に透明層を形成し、基体を形成する工程である。また、該工程において、基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt130(N/m)が3.3×104≦Et130≦12.5×104となるようにすることが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。
塗布後の乾燥条件は、特に限定されないが、通常40〜200℃で20〜120秒間行うとよい。塗膜を硬化させる方法は、特に限定されず、公知の方法であればよい。
なお、トータルの照射量を一定として、照射強度を可変することで、透明層の分子の架橋形態や架橋密度を変えることにより分子の均一性を向上させ、貯蔵弾性率を制御することも可能である。また、貯蔵弾性率は、材料組成によるだけではなく、硬化条件によっても制御できる。例えば、貯蔵弾性率を高めるためには、後述するヒュージョンランプ等を使用して、照射光量密度を高め、急激に多量のラジカルを発生させることで架橋密度を上げることが好ましい。又、照射光量密度を低く照射時間を長くすることで、急激なラジカル密度の上昇を押さえ、架橋密度を抑えることで、貯蔵弾性率を抑え、屈曲性を高めることが出来る。
なお、プラスチックフィルムには、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の表面処理を予め行ってもよい。
光学調整層は主として高屈折率層及び低屈折率層が挙げられ、これらは上述したように、ウェット法またはドライ法により形成することができる。
透明導電層形成工程は、基体上に、金属酸化物等からなる透明導電層を形成する工程である。
透明導電層の形成方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法、又は化学気相成長法、その他印刷法、塗工法等種々あるが、光学特性、電気特性の観点から物理気相成長法、化学気相成長法が好ましく、特に、化学気相成長法に比べ、より低温度で処理できる物理気相成長法が好ましい。
透明導電層を温度加熱により、結晶化させる工程である。この結晶化工程は、透明導電層のパターン形成前、又は透明導電層のパターン形成工程後の何れであってもよく、また、透明導電層のパターン形成前及び形成後の2段階で結晶化させてもよい。なお、透明導電層のパターン形成工程後に結晶化を行う場合、該結晶化工程を独立して行わず、後述する取り出し電極形成工程と結晶化工程とを兼用してもよい。結晶化工程のタイミングは、使用する金属酸化物のエッチングの容易性、製造効率等を考慮して、上記例示した中から適宜選択する。
加熱温度は、使用する金属酸化物により異なるが、通常130〜170℃である。また、加熱時間は、通常、5分間〜24時間であり、製造効率や結晶化度(機械的特性、表面抵抗率値等に影響を及ぼす)を考慮して適宜調整すればよい。加熱方法は、特に制限されることはなく、公知の方法で行うことができるが、金属酸化物としてITOを用いる場合は、空気中で加熱炉、赤外線ランプヒーター等を用いて行うことが好ましい。
透明導電層のパターン形成後に、結晶化工程又は取り出し電極形成工程の加熱処理がされることにより、通常はウォッシュボードリップルが生じ得るが、例えば、Et130(N/m)や粘着剤層の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)を上述した範囲とすることにより、ウォッシュボードリップルを抑制しやすくできる。
パターン形成工程は、透明導電層を所定のパターンにパターニングする工程である。パターニングは公知の方法で行うことができ、通常、フォトリソ法で行われる。具体的には、フォトレジストを透明導電層上に塗布し、所定パターンを有するフォトマスクを介して露光を行い、アルカリ溶液等の現像液を用い現像を行い、レジストパターンを形成し、さらにウェット又はドライエッチング法により不要となる透明導電層をエッチングした後、レジストを剥離することにより、所定の透明導電層のパターンを形成することができる。
以上の工程により、プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを得ることができる。
工程(1)でパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを得た後は、取り出し電極形成工程、及び積層工程を行う。
取り出し電極形成工程は、パターン形成工程で形成された透明導電パターンと接続するための電極を形成する工程である。取り出し電極は、透明導電性フィルムの有効表示エリア外、あるいは保護板(図1〜3の場合、透明基板3、又は導電性透明基板31)の有効表示エリア外に形成される。
本工程では、銀ペースト等の導電性を有する材料を形成し、配線に係る電極パターンを形成させる。電極パターンの形成方法は、特に制限はなく、公知の手法で行うことができ、通常、スクリーン印刷法で行われる。得られた電極パターンは、使用した溶媒の乾燥を含め、電極パターンの導電性を向上させるために、高温度で焼成(加熱処理による焼結)される。加熱処理条件は、透明導電層の結晶化温度より低い温度(125〜150℃程度)で、10〜60分間である。加熱処理条件がこの範囲であれば、電極パターンの導電性を向上できるとともに、透明導電層の加熱変形(透明導電層の結晶性変化に伴う体積変化)の影響を小さくでき、取り出し電極と透明導電層の密着性や取出し電極へのクラックの発生等の欠陥の発生を防止できる。加熱方法は、特に制限されることはなく、公知の方法で行うことができる。通常、加熱炉、真空加熱炉、赤外線ランプヒーター等を用いて行われる。
次に、パターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムと、透明基板とを粘着剤層を介して積層する。図1のように透明導電性フィルム1を2枚用いる場合は、さらに透明導電性フィルム1同士を粘着剤層2を介して積層する。なお、透明基板がパターニングされた透明導電層を有する場合、透明導電性フィルムと、透明基板とを積層する前に、該透明基板を上記工程(1−4)のようにパターニングしておく。
実施例及び比較例で得られた透明導電性積層体、該積層体を構成する基体、及び該積層体を構成する粘着剤層について、以下の測定又は評価を行った。結果を表1に示す。
写像性測定器(スガ試験機社製、商品名:ICM−1T、)を透過測定に設定し、0.125mm幅の光学櫛の配列方向に対して、透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらして、JIS K7105:1981の透過の像鮮明度を測定した。測定結果から、像鮮明度の最小値及び最大値をピックアップし、さらに[最小値/最大値]の比を算出した。
(2)ウォッシュボードリップルの視認性
透明導電性積層体のパターニングされた透明導電層の凹凸を、蛍光灯の光を用い、蛍光灯の反射像の映りこみ具合を目視観察することにより評価した。なお、蛍光灯の光に対して、透明導電性積層体の角度を変更しながら目視観察した。評価基準は以下のようにした。
いかなる角度でも凹凸が全く見えないレベル:◎
いかなる角度でも凹凸がわずかにしか見えないレベル:○
何れかの角度で凹凸が容易に見えるレベル:×
試験片として基体を5mm×20mmの大きさに切り出し、基体のMD方向における130℃及び150℃の貯蔵弾性率(Ec)を、動的粘弾性測定装置(UBM社製、装置名:Rheogel−E4000)を用いて以下の条件で、測定した。
(測定条件)
周波数:10Hz、測定治具:引っ張り、荷重:50g、加振状態:連続加振
歪み制御:10μm、測定温度範囲:25℃〜200℃、昇温速度:2℃/分。
(4)粘着剤層の貯蔵弾性率
粘弾性測定器(ティー・エイ・インスツルメント社製、商品名:固体粘弾性アナライザーRSA−III)を用い、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法により、粘着剤層の貯蔵弾性率を測定した。
(測定条件)
アタッチメントモード:圧縮モード,周波数:1Hz,温度:−50〜150度、昇温速度:5度/分
直径6mmの円柱状の棒(マンドレル棒)に、プラスチックフィルム上に透明層を有してなる基体を巻き、ビデオライトの光を照射して、クラックの発生の状況を、以下に示す評価基準で、目視観察することにより評価した。
クラックが発生しない:〇
クラックが僅かに発生する:△
[実施例1]
プラスチックフィルムである二軸延伸PETフィルム(東洋紡社製、商品名:A4300、プライマー層付、厚み:50μm)の片方の面に、下記透明層塗工液をワイヤーバーを用いて塗工したものを、温度70℃の熱オーブン中で40秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が160mJ/cm2になるように照射して、塗膜を硬化させた。同様に、PETフィルムの他方の片面にも、透明層塗工液をワイヤーバーを用いて塗工し、塗膜を硬化させることにより、片面あたり厚みが15μm、両面の合計厚み30μmの透明層を形成した。
光重合開始剤(BASF社製、商品名:イルガキュア184)を5質量部、希釈溶剤(MIBK/シクロヘキサノン=9/1)を300質量部入れ、溶け残りがなくなるまで撹拌した。ここに光硬化樹脂(日本化薬社製、DPHA)を100質量部入れ撹拌し、溶け残りがなくなるまで撹拌した。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10部
・光重合開始剤 0.7部
(BASF社製、イルガキュア127)
・高屈折率粒子含有液 55部
(平均粒径20〜30nmのジルコニア粒子をメチル
エチルケトンに分散させ、固形分30%としたもの)
・メチルイソブチルケトン 500部
・メチルエチルケトン 500部
さらに、透明導電層上に、ストライプ状パターンのフォトレジストを形成し、塩酸に浸漬してエッチング処理を施した。エッチング処理後、120℃で5分間乾燥して、高さ25nm、幅3.0mm、ピッチ2.0mmのストライプ状にパターニングされた透明導電層を形成し、パターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを得た。
次いで、熱処理後の透明導電性フィルムと、厚み0.7mmの透明ガラスとを、厚み25μmのアクリル系粘着剤(25℃の貯蔵弾性率1.6×105N/m2)と貼り合わせ、透明導電性積層体を得た。
実施例1において、透明層の片面厚みを12、10、8.5、4、2、1μmに変更(透明層の合計厚みを24、20、17、8、4、2μmに変更)した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を作製した。
実施例1において、粘着剤層をアクリル系粘着剤(25℃の貯蔵弾性率6.4×105N/m2)に変更し、さらに透明層の片面厚みを0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を作製した。
実施例1において、粘着剤層をアクリル系粘着剤(25℃の貯蔵弾性率5.0×105N/m2)に変更し、さらに透明層の片面厚みを0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を作製した。
実施例8において、透明層の片面厚みを1μmに変更した以外は、実施例8と同様にして透明導電性積層体を作製した。
実施例9において、透明層の片面厚みを1μmに変更した以外は、実施例9と同様にして透明導電性積層体を作製した。
実施例1において、透明層の片面厚みを0.5μmに変更(透明層の合計厚みを1μmに変更)した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を作製した。
実施例1において、透明層、高屈折率層及び低屈折率層を形成せず、プラスチックフィルム上に直接透明導電層を形成した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を作製した。
一方、像鮮明度が20%未満である比較例1〜2の透明導電性積層体は、ウォッシュボードリップルが発生し、外観性状に劣ることが確認できる。
なお、透明導電性フィルムと透明ガラスとを貼り合わせる際に、実施例1〜11のものは貼り合わせ時に気泡を巻き込みにくかったが、比較例1〜2のものは気泡を巻き込みやすく作業性に劣るものであった。
11:基体
12:透明導電層
111:プラスチックフィルム
112:透明層
2:粘着剤層
3:透明基板
31:透明導電層を備えた透明基板
4:透明導電性積層体
500:パターン層
610:二軸延伸されたポリエステルフィルムの延伸倍率が大きい方向(MD;X電極部用)
611〜616:X電極部(透明導電層パターン)
710:二軸延伸されたポリエステルフィルムの延伸倍率が大きい方向(MD;Y電極部用)
711〜714:Y電極部(透明導電層パターン)
Claims (8)
- プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを少なくとも1枚備えた透明導電性積層体の選別方法であって、写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、該透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらしてJIS K7105:1981の像鮮明度を測定し、得られた像鮮明度の最小値が20%以上であるものを透明導電性積層体として選別する、透明導電性積層体の選別方法。
- さらに、[前記像鮮明度の最小値/前記像鮮明度の最大値]の比を算出し、該比が0.25以上であるものを透明導電性積層体として選別する、請求項1に記載の透明導電性積層体の選別方法。
- 前記透明導電性フィルムは、透明導電層がパターニングされた後に熱処理されたものである、請求項1又は2に記載の透明導電性積層体の選別方法。
- 前記透明導電性積層体がタッチパネル用の透明導電性積層体である、請求項1〜3の何れか1項に記載の透明導電性積層体の選別方法。
- プラスチックフィルムを含む基体上にパターニングされた透明導電層を有する透明導電性フィルムを作製する工程、及び該透明導電性フィルムと透明基板とを粘着剤層を介して積層する工程を有する透明導電性積層体の製造方法であって、写像性測定器の光学櫛の配列方向に対して、該透明導電性積層体の方向を0〜180°の範囲で1°毎にずらして測定した際のJIS K7105:1981の像鮮明度の最小値が20%以上となるように透明導電性積層体を製造する、透明導電性積層体の製造方法。
- さらに、[前記像鮮明度の最小値/前記像鮮明度の最大値]の比が0.25以上となるように透明導電性積層体を製造する、請求項5に記載の透明導電性積層体の製造方法。
- 前記透明導電性フィルムの作製後にさらに透明導電性フィルムを熱処理する工程を有する、請求項5又は6に記載の透明導電性積層体の製造方法。
- 前記透明導電性積層体がタッチパネル用の透明導電性積層体である、請求項5〜7の何れか1項に記載の透明導電性積層体の製造方法。
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